あいりのCinema cafe

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憑神

2007-06-26 08:06:30 | 邦画 (69)

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監督 降旗康男
原作 浅田次郎
出演 別所彦四郎/妻夫木聡
     勝海舟/江口洋介
     甚平/香川照之
     伊勢屋/西田敏之
     別所左兵衛/佐々木蔵之介
     おつや/森迫永依
     小文吾/佐藤隆太
     九頭龍/赤井英和
     別所イト/夏木マリ
2007年、日本

やってきたのは愉快な神様たち!

こんな時代だからこそ生きる目的を見つけることの大切さ。
誇りを持って生きることの意味を問う。

全てのツイていない人に幸せを呼ぶ映画。

>>「憑神」は、しがない御徒歩・下級武士が三人の災いの神に取り憑かれ奮闘する物語。ささやかな出世を祈ったはずが、祈る稲荷を間違えた。やって来たのはなんと、貧 乏神・疫病神・死神という三人の災いの神。階級制度にがんじがらめに縛られた武家社会。婿に入った家から「用済みの種馬」と追い出され、八方塞がりの毎日を無為に過ごしていた男が、突然の災難に翻弄される中で、自分の人生の意義について次第に目覚めていく。

原作は読まずに映画を先に観た。

気軽に見て楽しめるコメディ。
いえ、江戸小話、落語の世界かな。
よく笑いました。

当時の江戸情緒も感じました。いいね。

妻夫木聡は月代を剃っていないのもあるけれど、思ったより武士姿が似合う。
着古した着物が下級武士の哀れさ感じさせ、(笑)可愛らしいお侍のできあがり。
貧乏神が憑いても、これ以上貧乏になれそうにないがな~;
子持ちの役というのも意外だった。

日本を代表する俳優たちがガッチリ脇を固めて主役を盛り立てている。

登場人物ひとり、ひとりの個性がはっきり描かれ、活き活きとしていて親しみまで湧く。笑

貧乏神(西田敏行)と、彦四郎と、修験者の心得のある(でも、ちょっとへたれ;)彦四郎の知己・小文吾(佐藤隆太)のからみで、まず大笑い。

妻夫木聡、佐藤隆太は映画『ローレライ』コンビ。

ドサクサまぎれに、災いが【宿替え】で、お鉢のまわった彦四郎の兄・左兵衛(佐々木蔵之介、この人、本当によく見かける)の、のらりくらり飄々としたグウタラぶりが最高にいい味を出している。

200年以上続いた安泰な御世に影武者もないわ~、と、この時代のサラリーマン的?武士代表とでもいいましょうか。厄病神もこのタイプは苦手と見ゆる。笑

母が、病い篤く寝たきりの左兵衛に向かって:「これ、左兵衛、たっての頼みがある」
左兵衛:「立っては聞けませぬが、このままなら・・」
吹き出してしまった。

はてな?と思うところもあるにはある。笑
彦四郎は確かに人好きはするが、見かけだけでなく、内面ももう少し描いたほうが災いの神が肩入れするのにも、もっと納得できたと思う。

それから、最後の彦四郎の選択は話が早く進んで、少し物足りない気がした。笑
これはあくまでも私個人の感想です;

でも、細かいことにこだわらず、難しいことは考え込まずに楽しむもよし。

ここから結末に触れています。
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死神の名が「おつや」 爆笑
可愛いだけに、よけい格上に見えて不気味。
おつやと彦四郎の間に通うのは淡い恋心なのかな?^^

武士は死を恐れはしない。
ただ、このまま犬死したくない。
「神にはできなくて、人間にはできることがある。」

勝海舟(江口洋介)の台詞で勘のいい人は察しがつくのだが、
将軍慶喜と彦四郎がそっくり(二役)だったのにはウッと驚いた。
同じ顔なのに、慶喜のむくれたような様子はわがままそう・・

そう言えば、彦四郎の家は代々、影武者を勤めた家柄だったのに思い至る。

慶喜は家来を捨てて逃げた。。。捨てて。。

上野の山に立てこもり、負け戦と知りつつも官軍と戦う武士のもとへ、彦四郎もまた、武士の本懐を真っ当するために、徳川慶喜として赴く。
死地で、にっこりと微笑む彦四郎の笑顔はアッパレ、最後の侍である。

本当に優しい人間はまた、強いものなのだ。

映画を観たあとで、原作を読んだが、彦四郎の気持ちは原作では浅田次郎節、炸裂。ワラワラ
細やかに描かれている。


イノセントワールド -天下無賊-

2007-06-16 05:49:52 | 中国映画 (19)

Image

英題 A world uithout thieves

監督・脚本 フォン・シャオガン
出演 アンディ・ラウ(ワン・ポー) レネ・リウ(ワン・リー )
    グォ・ヨウ(窃盗団の頭目フー・リー)
    リー・ビンビン(シャオイエ)ワン・バオチアン(シャーケン)

2004年、中国

汚れない世界で
永遠の愛を知った

戦いの中で運命が変わるのを、僕は気づいた。

現代の童話
「天下無賊」とはこの世に泥棒などいないという意味なんだって。

>>詐欺やスリで世間を渡り歩く恋人同士のワン・ポーとワン・リーだが、チベットの高原地帯で二人は仲たがいをし、怒ったワン・リーは車を降りてしまう。そこでワン・リーは、出稼ぎに来ている若者シャーケンと出会う。その後、彼女は列車の始発駅で、貯めた大金を持って故郷に帰ろうとするシャーケンに再会するが、そこへワン・ポーもやって来た。彼はシャーケンの金に狙いをつけるが、同じ列車には窃盗集団も乗り合わせていた…。

本作は2005年正月の中国公開では、同時期公開の『カンフーハッスル』をしのぐ大ヒットになったそうです。

久しぶりの香港映画?(実は中国映画)と、なにげに見に行ったのだけど、これが水準以上に面白くて。
1日1回きり上映、大した宣伝もなしなんて、勿体無い~。

そこいらの洋画も真っ青に面白かった。
平凡なラブストーリーと、勘違いしちゃ損というもの。

色彩やテンポいい話運びも、シーンの切り替えも新鮮なものがあって、洗練されている。
ヨーロッパのサスペンス映画を見ているような錯覚をおこしそう。笑

中国映画に新しい風を感じて、喜ぶべきだな。

チベットで、寺の彩色の修複の仕事をする青年は、大地にひれ付して仏に祈るワン・リー(レネ・リウ)を見て、目を奪われる。
青年の名はシャーケン。
このレネ・リウが美しい。

この時、青年の持つ筆から金色の絵の具がひとしずく、大地に落ちる。
これが、後に印象的な場面につながる演出が憎い。

チベットに出稼ぎに来ている、バカがつくくらいイノセントな天涯孤独な青年(意外に頑固)は稼いだ大金(全財産・結婚資金)を手元に持っていることを駅の雑踏のなかで、口にしてしまう。
列車に乗り合わせた狼たちの目が光る。

疾走する列車、閉鎖された空間で繰り広げられるスリのプロと窃盗団の攻防戦、意地の張り合い。
列車は轟然と大陸を走りに走り続ける。
ゲームからも、疾走する列車からも降りることはできない。

大陸縦断列車。ここはやはり、大陸。
列車内は人生の縮図。庶民の生活の熱気や匂いがこちらにもムンムン伝わってくる。

こういう人々のエネルギー溢れる生活感は中国、地元の監督だからこそ出せるんだろうな。

でも、列車の扉一枚隔てた向こうは別世界。
華やかな退廃の夜がひらけている。
悪人たちの技の競い合いはラテン系だったかな?軽快な曲に合わせて流れるよう。

○○○リでの闘いに目を奪われる。プロの手にかかったら、こんなものも強力な武器になる。

純朴青年は全く人を疑わず、だんだん、彼に肩入れしたくなってくる。
彼の人を信じる清い心を傷つけるな!!!
たとえ、それがバカげていようと。

せちがらいこの世の中に、こんな人がいたら貴重よ。
いかにも、大陸の奥地にいそうな純朴な青年シャーケン役をワン・バオチアンが自然に、リアルに演じている。

ワン・リーはある切ない願いから悪事から足を洗おうとし、青年を守ろうとする。
ポーはそのせいで、のっぴきならない事態へと巻き込まれていく。
あの人(リー)は信心深い人だ。
青年は直感を信じて疑わない。

孤児育ちの青年は仲間が故郷に帰る時もチベットに残って働いた。
狼たちを話し相手に。(ウルウル)

彼が狼と別れる凍てつく「蒼い」場面が幻想的でなんとも美しい。
車窓に流れる壮大な景色に熱い浪漫を感じる。
途中の夜の停車駅のたたずまいにも詩情をかきたてられる。

さて、この列車には強盗団逮捕のための警察組織も送り込まれていた。
こうして三つ巴の闘いは始まる。

大人たちの必死の努力で、純朴青年は大金があっちへいったり、こっちへいったりしているのも、何も知らない。
それは大人たちの心に残る”希望”や”良心”なのかもしれない。

さて青年の心(大金)は誰の手に!?

ここから結末に触れています。

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リーは妊娠していた。

こうしてポーと古狸フー・リーの最後の一騎打ちが始まる。
リー「待ってるわ、置き去りにしないでね」

殺しにも手をそめたフー・リーは極悪なことでは一枚上手であった。

ポーは最後の力を振り絞って、青年シャーケンの元に金を返してやる。
青年に、生まれてくるであろう自分は目にすることのない子を重ねて・・
真っ当に育ってくれ・・・

何も知らずに眠りこけるシャーケンの頬に、ポツリと血のひとしずく。

携帯の画面。

リー、シャーケンは大丈夫。待っていてくれ・・の文字が悲しい。

アンディ・ラウと言えば、イメージは壮絶な死。
この世に未練を残して、自分に何が起こったのか信じられない、死が受け入れられない眼。
これ、お約束ですね~。
いつも思うのだけど、この人の首から肩への線が美しい。

雨の日、しゃれたレストランで、(ここ、どこ?北京かな。綺麗です)リーは警官にポーが逝ったことを聞かされる。
また、この警官がエエ人で。
彼女の目は涙で光って、むせびながらも、でも、食べものにむしゃぶりつくことを止めない。

生きて、生きて、ポーの子供を産む!
強い中国女性の意志が彼女の姿に見える。
泣けます。

閑話休題っていうかおまけ:

アンディ・ラウもお茶目なカツラを被って、どこにでもいそう?なスリに化けてる。(笑)
何やってもアンディとは言わせない!彼の心意気やね~。^^

このお話は童話なのだから。
ポーは死なせなくてもよかったんじゃないかなと思う。
それこそ、よくあるエンディングになってしまう。

死んだと見せかけて、得意の手品で生還なんてどうでしょう?
悲劇よりも、そのほうがセンスよくない?

あの、ひとりぼっちの青年を純粋培養しながら(笑)広々とした草原で、ポーたち親子もみんな一緒に暮らす幸せな姿を見たかった。

私はひとりそんな幻想を見る・・


パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド

2007-06-03 12:54:30 | アメリカ映画 (40)

Pai
原題 PIRATES OF THE CARIBBEAN: AT WORLD'S END

監督  ゴア・ヴァービンスキー
音楽  ハンス・ジマー
出演  ジョニー・デップ(ジャック・スパロウ)
       オーランド・ブルーム(ウィル・ターナー
       キーラ・ナイトレイ(エリザベス・スワン)
       ジェフリー・ラッシュ(キャプテン・バルボッサ)
           ビル・ナイ(デイヴィ・ジョーンズ)
       チョウ・ユンファ(サオ・フェン)
       トム・ホランダー(ベケット卿)
          キース・リチャーズ(ジャック・スパロウの父)
          ナオミ・ハリス(女神カリプソ/ティア・ダルマ)
          ジョナサン・プライス ステラン・スカルスガルド
          ジャック・ダヴェンポート デヴィッド・スコフィールド
          ケヴィン・R・マクナリー
2007年、アメリカ
      
世界制覇をもくろむ東インド貿易会社のベケット卿(トム・ホランダー)は、“深海の悪霊”、デイヴィ・ジョーンズ(ビル・ナイ)の心臓を手に入れ、彼とフライング・ダッチマン号を操り、通商の妨げになる海賊絶滅に立ち上がる。
海賊が生き残る手段は“9人の海賊たち”を招集することだったが、9人のうちのひとりはあのジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)だった。
ところがである。スパロウは13年前、悪霊デイヴィ・ジョーンズと、自由とブラック・パール号を得るために”血の契約”を交わし、魂を売り渡した結果、クラーケンの餌食となり、溺死した船乗りが沈む無限地獄「海の墓場」に囚われている。

と、まあ、3部作の粗筋はこうなのだが、2作目はかなり忘れていて(悪霊タコ・キャプテンの心臓は鉄の箱に入れ心臓を突き刺さない限り、死なないんだった;)映画を見ながら思い出した。汗

映画は妙に暗い雰囲気で始まる・・・

愛すべき我らジャックが出てくるまでは退屈なのが残念。
この辺り、カットしちゃって、前作のおさらいでもすれば?笑
顔こそ見覚えはあるもののベケット卿が何者だったのか、字幕追いきれず、何をもくろんでいるのか初めはよくわからなかった。
でも、気にしない~。

この映画は1作目で完結するはずだったのじゃないかな。
2・3作目は物語に、多少のこじつけを感じるけど。ワラ

スパロウが落ちた無間地獄というのが、やはり彼らしく賑やかで奇妙^^。
難解な海図を見て、船の左右に体当たりするジャック。

まだ、妄想の続きかと危ぶんだが、なんと海図の解読に成功。
ジャックはああ見えて頭は切れるのだ。
あのトリックは荒唐無稽、考えたもんだ。

女神カリプソの肉体の一部は蟹だったのね。
後半1時間はもう目が回る(実際回りそうに・・・)ほどに面白くて目が離せない。

あのローリング・ストーンのキース・リチャーズが出てました。
ジャックの父役。え~、ジャック・スパロウも人の子だったのかと今更驚く;

「どけ、坊主!」ゾクゾク・・

キースがジャックを下からねめつけ、アイコンタクト。
凄みあります。
貫禄です。カッコいい~~。

ウィルが刺された時のスパロウの怒りむき出しの顔がいい。
高いマストでのデイヴィ・ジョーンズとの一騎打ちに、単純にゾクゾク、ワクワクする。

最早、ジャック・スパロウはジョニー・デップを超えてひとり歩きしている感じ。
不世出の俳優はジャック・スパロウという架空の人物に命を吹き込んだ。
いいなあ。あの濃いとぼけたメイクにコロコロ変わる表情。
おふざけの仕草。
ジャックは結局、自分が一番好きなんだ。ワラ

猿も犬も常連さん、総出演。
お猿も大活躍。

完結と聞くと、スパロウの愉快な姿も見納めなのねと、目頭がチと熱くもなる。(これからもシリーズは続く?・・へっ?)

エンドロールは猛烈に長いけど、最後まで見ないと、この映画の本当の結末を見逃します。
ここから、結末に触れています。

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予想通りフライング・ダッチマン号はみごと!蘇った。
ここ、CGにしても感動的ですらあります。

悲しいかな、蘇ったウィルの胸には傷跡が・・
最早、この世の者ではない。ウル
もともと、彼には人間以外の血が宿っていたのかな。
運命は受け入れるしかない。

今回、ウィルの成長著しく、キャプテンとして蘇った後は特に大人の男の色気が感じられて美しい。

ジャックは海底で、死者のお守りはしたくなかった。
このへんは狸です。^^

水平線の彼方に緑の閃光が走る時、10年に一度の逢瀬・・
胸がチリリ、切ないですね。

自分大好きなスパロウは再び、信じられないようなボロ小船で大海原を目指していく。
人々の胸のなかで、夢を紡いで・・

伊達男スパロウらしく、なんともヨーホー!な胸躍るラストではありませんか★

2作目『パイレーツ・オブ・カリビアン・デッドマンズ・チェスト』の拙感想