あいりのCinema cafe

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今すぐ抱きしめたい(劇場にて)

2004-10-30 10:35:53 | 香港映画 (57)
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監督 ウォン・カーウァイ
出演 アンディー・ラウ 
    ジャッキー・チュン 
    マギー・チャン 1988年、香港

ウォン・カーウァイ初監督、出世作です。

特殊な黒社会が背景の映画だけど、そこでしか生きることのできない若者たちの出口の見えない青春を描いた映画でした。
ヤクザ組織の一員ワーのアパートに遠い親戚だというマギーがやって来る。
ワーには、いつもヘマばかりやっているが憎めない弟分がいる。
彼がふと香港の街の頭上を飛ぶ飛行機を見上げる場面があるけど、
あれはこの世のしがらみを捨てて、何処か遠くに行きたかったのではないかしら。

故郷に帰ったマギーを忘れられないワーは後を追う。
バスに乗るワー、緑が目に沁みるカーウァイ監督らしいシーンだと思います。
また、王傑(ウォン・キ)のシャンソンを思わせる歌声が流れるようで。
そう言えばこの映画、どこかフランス映画を見ているようです。

若い二人が再会し、駆け寄り互いを求め合い。
魂が求め合い若さが爆発する・・・何度見ても胸を打つ素敵な場面です。

この映画の原題は「モンコック・カルメン」だけど、カルメンはワーのことだと言われています。
恋人を想い、彼女との地道な生活を夢見て、
けれど、弟分を救うために結局はヤクザ世界に戻っていく。

恋人と弟分の間を揺れながら行ったり来たり。切ないです。

別れの日、二人はお互いを少しでも長く見つめようとする。
バスの中で頭を巡らせマギーを探すワーは迷子の子犬みたいに心細げで。
やがて、あきらめて背を向けるマギー。

「もう、会えないかもしれない」・・・

やっぱり弟分は見捨てられないか・・見ている私も心が揺れます。

ここから結末に触れています。
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最後に、路上にまるでボロ布のように倒れるしがないチンピラの脳裏をよぎったのは・・・
この場面でパタパタパタと鳥が羽ばたくような音が聞こえるのは気のせいかな。
ワーが地上から飛び去った音にも聞こえる。

ちなみにこのラストは実際は二通りあるそうです。
韓国版ビデオなどはワーは生き延びるのか。

こちらのほうがシンプルでいいらしいです。

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2046 (劇場)

2004-10-30 08:25:21 | 香港映画 (57)

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監督 ウォン・カーウァイ
出演 トニー・レオン 木村拓哉 
    チャン・チェン コーン・リー 
    マギー・チャン カリーナ・ラウ
    フェイ・ウォン チャン・ツィイー
今週はゆっくりとPCの前に座れなくて、久々の日記です;
さて、早く書きたかった『2046』の感想で~す♪

ん?何だろうこの感覚?
遠い未来から響いてくるような音楽と共に、虹色の光の洪水2046年の香港が目の前に広がった時のあの感覚は。。
ミステリートレイン?・・

まだこの映画を見ていない人のお楽しみに、できるだけおしゃべりは控えたつもりだけど。
これから見る予定の方はザッと流し読みして下さるといいかも。

映画は『花様年華』に続いてはいるけど、見ていなくても大丈夫だと思います。
ただ、カーワイ監督のこれまでの映画を見ているとより楽しめますが。
とても感覚的な映画で、シナリオなんてあったのかなかったのか、この映画をダメだと言う人の気持ちもよくわかるな。

お話はいたってシンプルで、ただ映画の雰囲気にドップリと浸かってればいいだけ。
人は誰もが秘密を持っているし。
2046は想像の中だけで存在するのだから。

『恋する惑星』と同じように人々は交錯し、互いの想いはすれ違っていく。
”輪廻”

前の日記に書いたように私は『欲望の翼』には思い入れがあって
ミミが出てきた時は悲しい映画じゃないのに涙がこぼれそうになった。
『欲望の翼』のラストシーンから今もずっと彼女は彼を探す旅を続けている。
カリーナは素敵過ぎます。カ、カリーナ~~~ア♪

また、『恋する惑星』と同じようにトニーレオンがやはりフェィ・ウォンに恋をするのが微笑ましい。
アンドロイドは物悲しいけど、『2046』はどうやらこの二人が主役らしい。
二人を軸に人々が関わっていく。
そして、ある二人がタクシーの後部座席に座り寄り添う場面はどこか『ブエノスアイレス』を思い出させる。
みんなが旅人で、自分の行く先を知らない。ミステリートレイン・・

「あなたは私を愛していないけど、私はあなたを愛している」
あっ、そうか、チャウはヨディなのかもしれない。
じゃあチャン・ツィイーはコーラ売りのマギー?
そんな深読みもまた楽しい。

人生なんて終わりのない旅みたいなものかも知れない。
確かなのは今という時間だけ。
”刹那”

カーウァイ監督よ、心地よい映画をありがとうと心に思いながらぽ~~っとして、私は電車を乗り過ごした。うう~涙

ラストシーンで私はこの映画はまだ終わっていないと思った。
それから、もうひとつ、『2046』の中にレスリー・チャンは出演していないけれど、彼はそこに確かにいた。