goo blog サービス終了のお知らせ 

あいりのCinema cafe

只今gooブログにお引っ越し(工事中)

藍色夏恋・藍色大門(ビデオにて)

2005-03-04 21:55:22 | 台湾映画 (5)

020photo1.jpg

脚本・監督 イー・ツーイェン(易智言)
出演 チェン・ポーリン(チャン・シーハオ) 
    グイ・ルンメイ(モン・クーロウ)
2002年台湾フランス合作映画
原題の「藍色大門(英語タイトル:BLUE GATE CROSSING)」には、若者は日々の暮らしの中で大なり小なり未来に影響を及ぼす出来事に常に遭遇している、つまり毎日門を通過している、という意味が込められている。

台湾の街の袋小路や、子供達の遊ぶ姿が、とても懐かしく感じられる。
青春は、風のように自転車と共に駆け抜けて行く。
17歳の頃、私は、どんな日々を送っていただろう。
「藍色夏恋」を観て、甘酸っぱいその頃の思い出が胸をよぎった。
両親の事、友達、孤独、初恋。色んなことを真剣に悩んだ。

モン・クーロウは、見たところまだ少年のような女子高校生。
性格は優しいけれど、友人は多そうではない。
ある日、大切な親友から、好きな人がいると告げられ、
そして、その相手チャン・シーハオに橋渡しをして欲しいと持ちかけられる。
チャン・シーハオは、その事からモン・クーロウに好意を持ち始める。

親友と、初めてできた男友達の狭間で揺れるモン・クーロウ。
三人の関係は、微妙に変わって行く。
モン・クーロウとチャン・シーハオは、ある日互いの秘密を話し合う。
シーハオの悩みは、17歳の高校生らしいものだったが。
モン・クーロウの思いがけない秘密とは・・・

青春・・まだこの頃は自分が何者なのか、本当は、誰を好きなのか分からない混沌とした年頃なんじゃないだろうか。
台湾ではの習慣、それとも彼らが学生だから?
互いをフルネームで呼び合ってるのが、なんだかリズミカルで面白い。
モン・クーロウを演じたグイ・ルンメイ、表情の硬い青い林檎のような女子高生役がぴったりだった。
触れると壊れそうな。

講堂でモン・クーロウは、チャン・シーハオに殴りかかる。
まるで、自分の中の混乱をぶつけるように。純粋な彼らが愛らしい。
だって、モン・クーロウのチャン・シーハオを見る時の顔は、輝いているもの。
「何年か後に・・・」チャン・シーハオが言う。

爽やかなエンディングは、希望に溢れていて・・・
幸せな気分になれました。


アン・リー監督作品2 ウェディング・バンケット

2005-02-20 19:08:09 | 台湾映画 (5)

uedi

監督・脚本 アン・リー
出演 ウィンストン・チャオ(ウェイトン)
   ミッチェル・リヒテンシュタイン(サイモン)
   メイ・チン(ウェイウェイ)ロイ・ション(父)
   グア・アーレイ(母)1993年、台湾/アメリカ

アン・リー監督がある家族の心理を丁寧に暖かい目で見た物語です。
ウェイトンはニューヨークに来て10年、帰化し、ビジネスマンとして成功している。
でも、実は彼はゲイでサイモンという恋人と幸せに暮らしている。
台湾の両親が結婚をせっついてくる。
特に、父は心臓が悪く軽い発作を起こしたが、孫の顔を見るという執念で持ち応えたらしい。

切羽詰った二人、ウェイトンは中国から来てグリーンカードを欲しがっている画家の卵、ウェイウェイと偽装結婚することにする。
豪華な披露宴で飲み過ぎた父の血圧が下がらず、飛行機に乗れなくて帰れない。
しかも、一夜の過ちでウェイウェイは妊娠してしまったからさあ大変。

サイモンは両親の前で、つい英語で怒り出す。
英語なら両親には分からない。
中絶するのしないの、男二人は別れるのどうのと、てんやわんや。

息子は母親には自分の秘密を打ち明ける。
「ゲイが心の通じる相手を見つけるのは難しいんだ。サイモンは僕の宝なんだ。」
この言葉、重みがあります~~。

サイモンが揉め事の中で、割りとアッケラカンとしているのは国民性の違い?と思ってしまう。
披露宴の最中もベストマンとして新郎の口元を拭いてやったり、料理は上手いし、とにかくいいヤツなのである。
両親も善良な人、ウェイウェイもまた心優しい娘だ。
しかし、台湾の結婚披露宴と新婚の部屋に押しかけてくる習慣って、、ある意味凄まじい。
披露宴の中に、アン・リー監督の顔を見たような気がするけど。。

ここでは書けないある心温まる意外なことが判明するのです。
そうかあ!そうだったのか!

孫を見ることを楽しみにして両親は台湾に帰ります。
空港で、去って行く老いた二人の小さな背中を見て、万感胸に迫るウェイトンの姿が感動的です。

以下、種明かし、未見の方は要注意です。(笑)
_________________________

思いがけないことに父親は○語が少しできて、最初から全てを知っていたのです!
空港で一瞬ためらう母親に代わって、父親はサイモンを固く抱きしめます。
父にとってサイモンは嫁!なのですね。胸が熱くなります。

男性二人は元のように幸せに暮らすでしょう。
ウェイウェイも二人の助けを借りて子供を育てるのでしょうね。

外国で映画を撮るアン・リー監督らしい少しアメリカン・ティストな希望に溢れるラストでした。


アン・リー監督作品1 恋人たちの食卓 

2005-02-15 20:03:00 | 台湾映画 (5)

koi70

監督・脚本 アン・リー(ある晴れた日に)
出演 ロン・ション (父)
    ヤン・クイメイ(長女ジェン) ヤン・ユーウェン(三女ニン)
    シルビア・チャン(長女の親友) ン・シンリン (次女チェン) 
英題 EAT DRINK MAN WOMAN 1994年、台湾

一口で言うと、とっても美味しそうな映画でした。 
映画は元、一流料理人の父親の鮮やかな料理作りの場面から始まる。
ハスの葉包みの蒸しご飯が美味しそう!盛り付けなどは勉強にもなる。

台湾のこの一家では日曜の晩餐は家長の手料理がこれでもかというように豪華に並ぶ。
母親が亡くなった後、男手一つで娘たちを育ててきた。
父の心尽くしも大人の三姉妹には日曜の夜だというのに外出もできず、うんざり気味である。
父親の大切な味覚も落ちてきた様子。

独立して暮らしたいと姉妹は考えているが、誰が父と家に残るのか互いに牽制気味でもある。
大学時代に失恋した経験のある地味な長女、バリバリのキャリアウーマン次女、現代っ子の三女。
次女を演じたン・シンリンが香港の娯楽名作(笑)の『逃避行』の初々しい少女とは全く雰囲気が違って驚いた。

父親の不器用な娘への愛情の表し方が微笑ましく、言い出せないでいる娘たちの思い遣りがいとおしいようなユーモラスなような。
俳優が皆、腹芸が上手で凄いなあと思います。
亡くなった母親は次女にそっくりである。
日本にも少し前まで見られた家族の風景のようだ。

三女が妊娠して彼の家に越して言った。父親の寂しそうな姿はやはりかわいそうかな。
次に、意外にも長女が優しい男性と巡り会い、文字通り飛んで出て行った。。
実は次女は料理人になりたかったのだが、父の意向で学歴を積んだ。
次女はそれを不満に思っている。
彼女は面差しが母親似で性格は父親にそっくりで、お互いが素直になれないようだ。

最後に、この父親は隅に置けない人であったという心温まるお楽しみが待っている。
これにはびっくりした!
ン・シンリン良いです。カッコ良いです。アニタ・ムイみたいにならないかな。(笑)
そして、最後に、見事な料理の腕前を見せる次女と二人の場面がしみじみと胸にせまるのです。

ロン・ション、(『不夜城』にも出演)この素敵な俳優さんも先頃この世を去りました。
暖かい父親像を見せて貰えたことに感謝してご冥福をお祈りします。


悲情城市

2004-11-23 11:21:17 | 台湾映画 (5)

f_hijou

監督 ホウ・シャオシェン
出演 リー・ティエンルー(林阿祿) チェン・ソンユン(林文雄)
       ジャック・カオ(林文良) トニー・レオン(ウンセイ・林文清)  
       チェン・シュウファン(美黛) ケニー・チャン(阿嘉)  
       シン・シューフェン(ヒロミ・呉寛美)ウー・イーファン(呉寛榮)

林家の四男ウンセイ(トニー・レオン)は耳が聞こえず、話すことができない。
村の外れで写真館を営んでいる。

良いという噂を聞いて、もうずいぶん前にビデオで見た映画です。
台湾のホウ・シャオシェン監督の淡々とした演出と美しい映像。
台湾の歴史の波に飲み込まれてしまう家族を、叙情的に描いた名作として忘れられない映画でもあります。

1945年8月15日、台湾は51年にわたる日本統治から解放された。
中国大陸との確執、国民党による弾圧など第二次世界大戦後の激動の台湾。
私は台湾と日本との関係の歴史にはうとくて、初めて知ることが沢山あり驚きでした。

映画は酒家を営む林(リン)家の物語です。

野に咲く花に目をとめる清らかな心の持ち主である。
何かの記事で読んだのですが、このウンセイは『カラマーゾフの兄弟』のアリョーシャをモデルにしているとか。
成るほど。。魂の清らかさが似通っているかな。

この頃の台湾には、日本人たちによる病院があったり、人名や生活様式に日本の影響が色濃く見られます。
ヒロミは病院で看護婦として働いている。
ウンセイの家で彼とヒロミは、蓄音機で音楽を聴く。
ヒロミはその曲が「ローレライ」という曲であること、その歌詞の意味をウンセイに紙に書いて説明します。
顔を輝かせるウンセイ。
二人の心が通い合うこの場面はハッとするほどに美しい。

友人の寛榮らは、国民党に反発し、山に立て篭もる。
寛榮たちに会いに行ったウンセイが自分もここで一緒に戦うと手話で必死に訴える。
胸が詰まる場面です。

ウンセイも、皆と一緒に逮捕されるが一人ずつ監獄から連れ出され銃声がする。
ウンセイにはそれは聞こえない・・・その姿が哀しいです。
実際には、反逆行為に加わらなかったウンセイは只一人釈放されヒロミと結婚し子供も生まれるが。
幸せな日々は長くは続かず、
不穏な先行きを察してウンセイは家族一緒の最後の写真を撮ります・・・

悲しい物語だけど、それまでハンサムな男優という印象だったトニー・レオンの見方が変わった映画でした。
この映画によってトニー・レオンは演技派として世界に認められる俳優となったようです。