あいりのCinema cafe

只今gooブログにお引っ越し(工事中)

DVD三昧Ⅲ 舞妓 Haaaan!!!

2008-01-28 07:59:22 | 邦画 (69)

Maiko


監督 水田伸生 
脚本 宮藤官九郎 
出演 
阿部サダヲ(鬼塚公彦)堤真一(内藤貴一郎)
柴咲コウ(大沢富士子(駒富士))
小出早織(駒子)大倉孝二(大下)
生瀬勝久(先崎部長)山田孝之(修学旅行生)
須賀健太(カメラ小僧)Mr.オクレ(老社員)
北村一輝(医師)植木等(斉藤老人)
真矢みき(こまつ)吉行和子(さつき)
伊東四朗(鈴木大海)


2007年、日本


1月はとうとう劇場に行かずじまいです。笑
是非、見たいという作品がなかったせいもあるけど。
年末に見た映画の感想で~~す。かなり楽しい映画でしたよ。


今年初の劇場はアン・リー監督の『ラスト、コーション』になりそうです。



アン・リー監督と言えば、『ブロークバック・マウンテン』、ヒース・レジャー・・・28歳、まだまだこれからの人なのに、とても残念です。



あらすじ: お茶屋で遊んだことはなくとも、熱狂的な舞妓ファンの鬼塚公彦(阿部サダヲ)は、念願の京都支社への転勤が決まる。恋人の富士子(柴咲コウ)を捨てて京都入りした彼は、お茶屋へ直行するも、「一見さんお断り」の壁にぶつかってしまう。しかし、会社の社長がお茶屋の常連で、仕事で実績を出した公彦はついにお茶屋デビューを果たす。(シネマトゥデイ)


男の究極の夢。それは・・・
<<舞妓はんとの野球拳!!!>>


鬼塚公彦は高等学校の修学旅行で、京都を訪れ、舞妓さんたちの可愛らしさに心を奪われる。
京都で、思い切り舞妓さんとお座敷遊びがしたい。笑
念願叶って、13年後、京都へ転勤がきまる。


13年後の春どずエ~♪


関西人の私でも京都で、あまりにも美しい舞子さんを見かけると興奮する。
面白いところに目をつけたと思う。
一見さんお断り・・男性にはある意味、夢の世界かもしれない。


パッとしない恋人富士子(芝咲コウはそうは見えないが)とはあっさり別れた。ひとつことしか見えなくなってる男って怖いね。笑


宮藤官九郎の脚本ということで、舞子さんに憧れるひとりの男性の物語を、ありえない話しながらたたっとテンポよく面白く見せてくれる。


知らずに見たら、原作はコミックかなんて思いそう。


舞妓おたくの鬼塚“ぼん”がブログを書いているのも現代的で笑える。
仕事中にいいのか。笑

途中、堤真一との競い合いがについていけない感じはあったが。(くどい・・脚本がクドカンだけに・・笑)ミュージカル場面はよして、もっと舞妓さんの踊りを見せてくれてもよかったかなあ。
その後、お話は意外な展開で人情話とあいなります。


堤真一は、あのほのぼのさがやはりいい感じです。


小出早織は芝咲さんより舞妓姿が似合っている。笑


阿部サダオはカツゼツもあざやかに、脇役もかすむ凄まじい!!怪演。
阿部サダオなくしてこの映画は成立しないと言っても過言ではない?笑

主題歌も歌っている。
へ~、バンドのボーカリストなのね。


しかし、“大好き“文字”には笑ったなあ。
あら、やったらアカンやろ~。京都のお人が泣かはりますえ。


これだけ役者が揃ったら面白くない訳がない。

気色の悪い医者役、北村一輝はインパクトあります!笑


植木等さんの花街登場の図にはCGかと思ってしまった。


ここから、結末にふれています。
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芝咲さんは多彩な役がこなせますね。感心。
駒子がいながら富士子に未練たらたらの鬼塚に、
「駒子はんにはあんさんしかおへんのどす。行く前に前の恋人との縁をお切りやす」
この女心は切ない。


舞妓ふたりは正しい衣装の選択をした。
めでたし。めでたし。


阿部サダオの舞子姿の舞踊は堂にいってうなりそうになった。笑
遠目には(汗)誰よりもあでやかなのには舌を巻く。笑


時は流れ、ある御茶屋に入ると女将は駒富士である。
そこで、下足番をしている不敵に笑う男は・・こちらも、にやりとさせられる。


最後に。

植木等さん、笑いと元気をありがとうございました。


昭和のあの時代に、能天気な陽気さをふりまいてくれた人でした。
感謝。お疲れさまでございました。合掌


DVD三昧Ⅱ 善き人のためのソナタ

2008-01-10 18:50:02 | ヨーロッパ映画/イギリス・フランス (2

20070131yo


監督 フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク 
出演 ウルリッヒ・ミューエ(ヴィースラー大尉)
    マルティナ・ゲデック(クリスタ)
    セバスチャン・コッホ(ゲオルク・ドライマン)
    ウルリッヒ・トゥクール(ブルビッツ部長)
    トーマス・ティーメ(ヘンプフ大臣)


2006年、ドイツ


1984年、壁崩壊直前の東ベルリン。
盗聴器から聞こえてきたのは、
自由な思想、愛の言葉、そして美しいソナタ・・・。
それを聴いたとき彼は、生きる歓びに打ち震えたーーーー


「この曲を本気で聴いた者は、悪人になれない」


解説
ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツを舞台に、強固な共産主義体制の中枢を担っていたシュタージの実態を暴き、彼らに翻ろうされた芸術家たちの苦悩を浮き彫りにした話題作。
シュタージについては、東西ドイツ統一後も、長い間映画のテーマとして描かれることはほとんどタブー視されていた。そして、17年を経た今、やっと人々は重い口を開き、当時の状況を語り始めた。


あらすじ
舞台は1984年、東西の壁が崩壊する5年前の東ベルリン。(東西ドイツ統一の3年後、ソビエト連邦解体)戦後の東西冷戦下、東ドイツ(ドイツ民主共和国)では国民を統制するため、国家保安省(シュタージ)が徹底して国民を監視していた。共産主義体制の下、個人の自由な政治思想は許されず、反体制的であるとされた者は逮捕され禁固刑が課されるという独裁体制がしかれていた。
国家に忠実なシュタージの職員ヴィースラー大尉は、劇作家のドライマンを監視する任務を与えられる。この指令には、ドライマンの恋人である舞台女優のクリスタを自分のものにしたいという、ヘンプフ大臣の権力を傘に着た醜い私的な欲望が潜んでたことも知らず。


感想
色彩を抑えた画面が荒涼とした心の世界を感じさせる。
テーマも重い。


独裁政治体制のもと、ヴィースラーは勤勉であるがゆえに職務に忠実だ。
冷酷で、徹底した尋問の手腕を講義する彼の顔に人間性は感じられない。
序盤、彼は皮肉にも、自ら「人は変わることはできない」と断言している。


こういう社会では権力を持つ者の気持ち次第で、人の命までもが左右される。
卑劣だ。
卑劣漢ヘンプフ大臣の(ドライマンを失脚させる)命によって、ヴィースラーはドライマンとクリスタのアパートの屋根裏で、黙々と盗聴捜査を始める。


ゲシュタポにも似た非人間的なシュタージのやりかたに、ドライマンとクリスタに忍び寄る恐怖感と緊迫感は背筋を凍らせる。


屋根裏のヴィースラーにあるのは孤独。
階下にあるのは自由な思想と、温かい愛の思いやり、友情、”本気で聴いた者は、悪人になれない”美しいソナタ。


ヴィースラーは舞台女優クリスタに惹かれたのだと思う。


娼婦相手のいとなみは愛とも言えない侘しいもの。
次第に彼は本来持っていた人間性を取り戻していく。


彼女のためにドライマンの計画は握りつぶす。
それは自分を窮地に陥れるかもしれないのに、危険を省みないで。


善と悪。ふたつは複雑に絡み合ってこの世にある。
善なるクリスタのなかにも悪はあり、悪なるヴィースラーのなかには大いなる善がある。


ここから結末にふれています。


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ヴィースラーの一世一代の賭けにもかかわらず、クリスタは死ぬ。
作家や、女優、芸術を志す者にとって、活動を禁止されるのは死よりも恐ろしいことなのかなと思う。
クリスタは追い詰められ、女優であることを選ぶ。


私ならドライマンとの愛、正義を貫くだろうか。


壁は崩壊し、人々は自由を得た。


その後も新聞か何かを配達するヴィースラー。
東ドイツ時代の職歴ではこういう仕事しかないのか、それは解らない。
さえないが、淡々と働く様子は全く以前と変わらない。


彼が買ったドライマンの本には”HGWXX/7に感謝をもって”とあった。


書店店員「プレゼントですか?」
ヴィースラー「私のための本です・・」


初めてのヴィースラーのにこやかな笑顔。
抑圧されていたかのような観客の感動が溢れる瞬間である。


映画はここで終わるが、未だ自由なき政治の下で、苦しむ多くの人々がいる。
それを忘れることはできない。


DVD三昧Ⅰ リトル・ミス・サンシャイン

2008-01-06 19:08:03 | アメリカ映画 (40)

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監督:ジョナサン・デイトン 、ヴァレリー・ファリス 
出演:グレッグ・キニア(リチャード・フーヴァー)
    トニ・コレット(シェリル・フーヴァー)
    スティーヴ・カレル(フランク)
    アラン・アーキン(グランパ)
    ポール・ダノ(ドウェーン・フーヴァー)
    アビゲイル・ブレスリン(オリーヴ・フーヴァー)
2006年、アメリカ


>>アリゾナに住むフーヴァー一家は、“リトル・ミス・サンシャイン”コンテストに繰り上げ参加することとなった娘オリーヴを連れてカリフォルニアに向けて出発。独自の成功論を振りかざす父親リチャードとバラバラな家族を必死でまとめようとする母シェリル、家族を嫌って沈黙を続ける長男ドウェーン、ヘロイン常用者で言いたい放題の祖父、失恋が原因で自殺をはかったシェリルの兄のフランク、そしてビューティー・クィーンを夢見るオリーヴが乗ったミニバスには一触即発の空気が漂う。ハリウッドの人気ジャンルであるファミリー・ドラマとロード・ムービーをミックスさせて、風刺的であると同時に深い人間性を備えた本作が描くのは、機能不全に陥った家族の再生だ。美少女コンテストへ向かう旅路でさまざまなハプニングに遭遇するうち、互いに理解しえないと思い込んでいた家族の心が徐々にほぐれていく。そして、思わぬ出来事に一家は団結する。成功し勝者となることが絶対とされる現代社会において、敗北することによって得られる何かがあると伝えてくれる。


オリーブの父親は人は勝ち馬と負け犬とに分けられるとう考えを持っている。


そういう一家が実は問題をかかえた立派な負け犬組なのだ。笑
アメリカ映画が得意とするジャンル。
確かにそういうのがあって、こういうホ-ムドラマがそのうちのひとつだと思う。


評判が高かったのに、見逃した。
でも、一度見ると何度でも見たくなる爽快な映画だ。青い空、真っ直ぐにどこまでも続くハイウェイ。
ジェットコースターに乗って、あれよ、あれよと楽しんでいる間に、すっかり映画のなかにはまり込んでしまう感じ。


フーヴァー家の両親はいつもお金のことでもめて騒がしい。
長男ドウェーンは9ヶ月も口をきいていない。
ヘロイン常用者で、ホームから追い出されたぶっとんだ祖父。
シェリルの兄はゲイ恋人に失恋して自殺未遂。
行くところもないので一家が引き取った。


一家の太陽、可愛いオリーブの夢だから“リトル・ミス・サンシャイン”コンテストに参加させようと、シェリルママの”家族は一緒に”の考えのもと、節約のために一家はオンボロバスに乗り込む。


おじいさんは文句ばっかり。
老いてなお盛んで、しかも口は悪い。
「黙らんぞ。大戦ではナチと戦った」
でも、このおじいさんは孫、孫娘を心から愛してる。


価値観、人種の全く違う、父親リチャードと、シェリルの兄フランクは険悪なムード。


こういう一見バラバラの彼らだけど、実は人一倍心は温かく善良なのだ。
ドウェーンは特に優しい。
「ママをハグしろ」のメモには胸を不意打ちされます。


めがねちゃんで、お腹ぽっこりの幼児体型の子供らしいオリーブが可愛い。
バラバラ家族がかろうじて、ひまわりのようなオリーブの存在でつながっている。


助演男優賞獲得が納得の演技が心に残る、おじいちゃんの言葉は重く、真実がこもっている。


コンテストの前夜、父親のおかしな教育で、負けることを恐れるオリーブに。
負け犬というのはね・・負けるのが怖くて挑戦しない人のことだよ。


仕事に失敗した息子に。
結果はどうであれ、お前は精一杯やった。
誇りに思うよ。


インテリで物静かなゲイの伯父さんもオリーブのためなら一生懸命、なりふりかまわないところが素敵です。
この伯父さん、優しいのはもちろんで、よく見るとハンサムなんですよね。笑


大笑いさせる場面も多いのだけど、人間の心理を深く繊細に描いていて我知らず感動してしまいます。


何度見ても、オンボロバスを押して飛び乗るところはひやひやもので興奮する。可笑しい。


疲れた一家が泊まるハイウェイ脇の黄昏のなかのモーテル・・・
こんな景色に、たまらなくアメリカを感じて、オレンジ色の綺麗な空になぜか涙がこぼれそうになる。


以下、結末にふれています。


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私が好きな場面は、色弱とわかって動揺するドウェーンにオリーブがただ黙って寄り添うところ。
慰めに言葉はいらないんだなと納得できる美しい場面です。


ドウェーンと、フランクの桟橋での場面も爽やかです。


あの世からもおじいちゃんはエロ本で一家を救います。笑
おじいちゃんはタフそうだったのに、疲れた体にヘロインがこたえたのかな。


子供は素直です。
オリーブ「天国はあると思うわ」
フランク「僕も行けるかい?」
オリーブ「行けるわよ」


何があっても私たちは家族よ。
大事なのは互いに愛し合うこと・・


ラストにアッという仕掛けがあります。


オリーブは結局、優勝なんてしませんが、家族はもっと大切なものを得ます。


少女たちに点数をつけるなんてバカげてる。
ならば、オリーブのダンスのどこが悪い?


アッパレおじいちゃん!!!