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マラソン (劇場)

2005-07-08 20:21:49 | 韓国映画
m6-in

監督:チョン・ユンチョル
脚本:ユン・ジノ、ソン・イェジン、チョン・ユンチョル
撮影:クォン・ヒョクジュン
編集:ハム・ソンウォン ナム・インジュ
音楽:キム・ジュンソン
出演:チョ・スンウ(ユン・チョウォン)
    キム・ミスク(キョンスク・チョウォンの母親)
    イ・ギヨン(ソン・チョンウク ・コーチ)
              2004年、韓国
公式ページ 
5才の心を持つ20才の青年チョウォン
「ボクは走っているときがいちばん幸せ!」

映画のキャッチコピーから内容は想像できて、ためらいながら見に行った。
予告編を見てあの『ラブストーリ』のチョ・スンウの映画を久しぶりに見たかったし。
私の職業(笑)は母親業だし、訳あって障害のある子供を持つ母親の気持ちが少しだけ分かるので、チョウォンの母親の気持ちに共感すること多々。

実在の青年を描いた映画です。
今までに、この題材を真っ向から描いた映画があったかな。
描くべきことはしっかりと丁寧に描いていて、決して、泣いてください的でない力強い映画だった。

チョウォンはチョコパイとジャージャー麺としまうまとマラソン、音楽に合わせて踊るのが大好き。
5才の心を持つ20才の青年チョウォン。

このような子供を母親という仕事柄、見てはいるけど本当のところは知らなかった。
雨、水、風、ああいうふうに感じさせ、覚えさせるのか。
ああ、なんて大変。
お化粧っ気のない母親に苦労のあとが見えて。
彼らが誘拐防止のため他人から食べ物を貰わないのも初めて知った。

動物園で母親がしようとしたことはショックだったけど、魔が差すのも分かる気がした。
若い母親が一人で担うには重荷過ぎる。

純心無垢なチョウォンの心と表情は見る者の気持ちを暖かくし、笑わせてくれる。
私はたくさん笑った。

それから、このお母さんは強い。
心無い大人にチョウォンが侮辱されたり乱暴されると、猛然と反撃するのにはスカッとする。

飲酒運転でボランティアの罰を受けた自堕落な生活を送る元マラソンチャンピオンの男に、母親は息子のコーチを頼む。
あなたに20年間罰を受けてる気持ちが分かりますか。(それは少し違うと思うけど;)
望みはあの子よりも一日だけ後に死ぬこと。(涙)
でも、この悲痛な思いはのちに変わるのだけどね。
そして、このコーチはたぶんチョウォンが母以外に初めて心を開いた他人となる。

チョ・スンウはチョウォンを完璧に演じたと思う。
でも、演技に嫌らしさが出ていないのは彼の素朴な感じの個性のせいかな。
特徴を出すために高い声で話す。
心のうちを表現できない彼の”指”の動きに注目。

風や雨を感じて楽しげに、宙を飛ぶごとく走る姿が本当に気持ちよさそう♪
似た役をソル・ギョングが『オアシス』で演じたけど、チョ・スンウのがいいな。ゴメン;

しまうまは草原にいて、子供を一頭だけ生み育て・・・
完走を目指すマラソンで彼がしまうまと一緒に走る場面は幻想的。

音楽も流れるように綺麗です。
さて、若い人はこの映画をどう感じるのかしら。

ここから結末に触れています。
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お母さんは僕を迷子にさせたでしょう。
手を離したでしょう。
チョウォンは知ってたんだ!

いくつも忘れがたい場面はあるのだけど。

だらしない監督がうっかりチョウォンを走らせてるのを忘れ、その止める手を振り切って、今、約束の100周目を走るところだから。。
流石に心配する監督の腕を無言でむんずと掴んで自分の心臓に当てるチョウォン。
この姿にまぎれもなく20の青年の怒りと尊厳を感じた。

この子たちは周囲の人間に関心を示しません。

監督と彼が一緒に走って満足気に草むらに二人で寝そべった時、チョウォンは監督に飲み物をそっと差し出す。
彼が初めて他人への心遣いを示した瞬間。
彼の指がためらいを表してるけど。

いつか息子を想う気持ちは母親の夢と癒しになってしまっていた。
息子が彼女の全て、生きがいになっていたのだ。
チョウォンのお陰で周りの人々もまた育てられたのだよね。

マラソンを止めようとする母の手を今度はチョウォンが離す時。
それは母からの巣立ちの時。
二人の表情に、暖かい感動がじんわりと胸に広がった。

あんなに練習してできなかった笑顔。
彼の顔が満面の笑みで覆われる。

これで母親も自分の人生を歩めるようになれるだろうか。
チョウォンのことで頭がいっぱいで、母親は夫やチョウォンの弟をかまう余裕をなくし崩壊寸前だった家庭。

でも、最後に男同士の会話が聞こえた。

mara

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★『まめどまめじゃーなる 』
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