あいりのCinema cafe

只今gooブログにお引っ越し(工事中)

アンナ・マデリーナ ANNA MAGDALOENA 安娜瑪徳蓮娜

2006-06-27 07:41:46 | 香港映画 (57)

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監督: ハイ・チョンマン 
製作: クローディア・チャン 
         大里洋吉 
脚本: アイヴィ・ホー 
撮影: ピーター・パウ 
音楽: チュー・ツァンヘイ 
出演: アーロン・クォック(モッヤン)金城武(ガーフ) 
         ケリー・チャン (モク・マンイー)
     レスリー・チャン(出版社の編集長) 
     アニタ・ユン(出版社の編集員) 
     ジャッキー・チュン(警官)
     エリック・ツァン(アパートの管理人)
     レオ・クー(誰だったのか謎) 
1998年、日本/香港  神戸アサヒシネマにて

君に恋を伝えよう

>>物静かなガーフは、ピアノ調律師。
ある日、小説家を名乗るモッヤン(遊牧人)が転がり込み、二人は奇妙な共同生活をはじめる。
やがて、上の階にマンイーが越してくる。
ガーフは彼女に一目惚れしてしまうが、内気なために告白もできない。
だが、彼がもたもたしている間に、天真爛漫で調子のいいモッヤンは彼女に急接近してゆく。

これはあまり映画出演のないアーロン目当てで劇場で見た映画です。笑
手っ取り早く言えば、ラブ・トライアングルなお話です。
私としてはこの映画にハテナの部分もあります。

金城武は嫌いではないのだけど、どうも・・これは個人的意見なのでスイマセン。
ケリー・チャンは少し変わった役どころなので、適役かもしれません。

それから、途中、急に映画がファンタジーに変わって漫画みたいで面食らうのだけど、まあこれも「伝わらなかった想い」という意味があるのでよしとしましょうか。笑
そうか、この映画はコメディでしたか。

でも、音楽の使い方も抜群によくて、お話も映像も丁寧につくってあっていい映画だと思います。
あの有名な「ラバーズ・コンチェルト」がバッハの書いたメヌエットだって知りませんでした。
無学です。恥

アーロン・クォクはやはりいいです。憎めない得な役どころですしね。
なあ~んにも考えてなさそうで、それでも、不思議にどこか哀愁があります。

自分に正直、悪く言えば、快楽主義、自己中心主義。

オレンジ(箱にサン○ストと書いてあった 笑)の入ってたダンボール一つ持って人生をさまよう姿には、
この人といても幸せにはなれないとわかっていても、女性はほっておけなくて惹かれそうです。

人懐っこい犬か、でっかいテディベアか、暖かい毛布みたいなモッヤン。
ないと、冬は寒い。
夢中になれば辛いのに、女の性ですかねえ。

その点、モッヤンはガーフとなら同居しても悲劇にはなりません。当たり前か。^^

ガーフは目の前で見せつけられて熱まで出して可哀相に。

それから、豪華なカメオ出演的な俳優人が脇をしっかり固めていますね。
ジャッキーチュンまで!この辺り遊び心満点なのは香港映画の本領発揮。
この頃は香港映画の隆盛期でしたから。

レスリー登場には驚いて、声のみ出演かと思ったけど。
レスリー若い!子持ちの役です。
女性みたいに?小うるさい編集長。あはは

アニタとのちょい出演が映画の主題を語ってるのですね。
想いをグっと胸にしまうアニタの姿にホロッとしちゃいました。

「恋愛小説はマヌケなものです」(これ、悲しい場面なのに、笑ってしまった)

夜更けの香港のバスに、もの思わしげに独り乗るアニタ。
夜の香港の派手なイルミネーションはよけい、人の孤独を浮き上がらせます。

「なぜ、告白しなかった。好きなのに言わないのは馬鹿げてる」
「生き方が違うんだ」

「それぞれ生き方が見つかってよかったな」 このモッヤンの台詞には嫉妬と捨て鉢な気分を感じます。

相手を想うからこそ、告白しない愛というのもあるのですね。

ここから結末に触れています。

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ああ、人生って残酷。
そう思ったのはモッヤンがガーフの部屋を出たとおもったら、マンイーの部屋に引っ越した場面。
ガーフも知ってたんだ。
ちょっと悲劇です。

世の中は運の強さだ。
モク・マンイーを見つけるもの。
死ぬまで見つけられないもの。
それが人生だ。

モッヤンの後ろ姿を見ていてふと思いました。
彼は一生モク・マンイーを探して彷徨い、マンイーを見つけられない人なのかもしれません。

「二都物語」:

チャールズ・ディケンズ(クリスマス・キャロルで有名かな)の原作。
パリ・ロンドンとふたつの都が舞台ということで「二都物語」。
フランス革命が時代背景です。

想う人の夫に成りすまし!、身代わりに処刑される男。
”究極の愛”ですね。


転校生 DVD

2006-06-17 07:21:05 | 邦画 (69)

Ten50_1

監督:大林宣彦 リンク
原作:山中恒『おれがあいつであいつがおれで』
出演:尾美としのり(斉藤一夫)小林聡美(斉藤一美)
    佐藤允(一夫の父)樹木希林(一夫の母)
        宍戸錠(一美の父)入江若葉(一美の母)
        志穂美悦子(大野光子)
1982年、日本

>>広島県・尾道市。
斉藤一夫は8ミリ好きの中学三年生で、悪友たちと女子更衣室をのぞいたり悪ガキぶりを発揮するごく普通の少年である。
そんな彼のクラスにある日、斉藤一美という、ちょっとキュートな少女が転校して来た。
ある事件から、ありえないことに!二人の心と体が入れ替わってしまう。
男の子の体になってしまった一美は泣き出すが、とりあえず、お互いの家族、友人の中で生活することにした。

感想を書くために、いくつかブログやホームページを拝見したところ、皆さんこの映画を絶賛していて、改めて名作であることを痛感しました。
男女の体が入れ替わるというコメディを予想していたのだけれど、それだけでは終わっていません。

本作は大林監督の「尾道三部作」の一作目だそうです。
一夫は大林監督の少年時代の投影なんでしょうね。

あとの二本『時をかける少女』は見たのに記憶は薄れているし、『さびしんぼう』はよかったけれど、『転校生』はこの二本とは別格な感じがします。

私は20の学生の頃、志賀直哉に傾倒して(笑)、わざわざ尾道まで友と二人で出かけました。
志賀直哉が『暗夜航路』を執筆したという家を見てきました。
何考えてたんだろう私?若気の至りかもしれません。笑

当然、映画のプロローグのセピア色の尾道には胸が高鳴りました。
ああ、あの坂の途中の無数の横に入る小道。あんなだった!

冒頭から(全編を通じて)流れるシューマンがのトロイメライが古いオルゴールを聞くようです。
実のところはこの映画、制作費が少なくてオリジナル曲が作れず、クラシック曲の使用とあいなったらしいです。

でも、そのほうが効果ありだったと思います。

画面が白黒からカラーに変わる瞬間は体がゾクリとする演出です。

尾道は坂と、お寺の町です。
一夫と一美が見下ろす尾道水道はあの通りに穏やに輝いています。
今も、当時と少しも変わっていないでしょう。

一夫と一美は思春期真っ只中の中学生、ある日、体が入れ替わったら?そりゃあ大変。
とまどうどころか、一美が嫌悪感を持つのも当然。

誰も事の次第を理解してくれず、彼らはお互いの家族と共に生活。
一夫が能天気なわりに、一美はかざりっけもない男の子の家で、男の子として暮らすのはむつかしい。

でも、次第に彼らは「他人として」親たちの愛情に触れ、それまでは気づかなかったであろうそれぞれの家族の愛情に気づいてもいきます。
一夫の一家団欒の家庭の暖かさがいいですね。

斉藤一夫ってのはな、そんな、やたらベチャベチャ泣かないんだからな。もっとシャンとしろよ。

一美はね、もっと、おしとやかでチャーミングなのよ。

これが男女反対に口から出る台詞だから可笑しい。
一美の命令で食べるのも控え、パックなんてして複雑な表情の一美(中身一夫)の表情が傑作。

尾美としのりさんは文句なしの名おかまちゃん演技です!笑

中身は一夫を演じた小林聡美さん(17歳!)の活き活きと勇ましい男の子ぶりが新鮮でした!
小林さんは今も魅力的だけど、この頃はピッチピチで輝いてます。
とっても可愛くて、脱ぎっぷりも潔よし!

少女も大人になってしまうのですねえ。なんか惜しい。。汗

この頃の小林さんは『さびしんぼう』の藤田弓子さんに似てませんか?

以前から、小林聡美さんには好感を持っていたけど、『かもめ食堂』のサチエはつくづく、「中身は一夫の一美」の延長なんだなあという気がしました。

ここから結末に触れています。

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一美「私、このまま一生、一夫ちゃんの体でいるとしたら、それでいいと思うの。だって・・」

「だって・・」の台詞の後には「だって、同性になっちゃったら、一夫ちゃんを愛せなくなる」が続くと思われ。笑
男女の体、性の違いを二人が身を持って知ることで、(特に一夫)理解と労わりが生まれた。
そこから、男女の愛情も芽生えたのですね。

死ぬなんて言うなよ。どうしても死にたいんなら、そん時は一緒にだ!

無事に元に戻った二人。

「私、一夫ちゃん大好き。この世の中のだれよりも一夫ちゃんが好き」
「俺だって一美が大好きだ~」

一美の存在が強烈だったから、彼女、彼?がいなくなった気さえします。

一番綺麗な白いワンピースを着て、懸命に一夫の乗るトラックを追いかけ、声を限りに叫ぶ少女一美。

愛おしい。

思いの他、寂しさがこみ上げてしまう場面です。

「さよなら、あたし!」「さよなら、あたし!」「さよなら、あたし!」
「さよなら、俺」

ひと夏の思い出よ、さよなら。

あたしだった大好きなあなた、さよなら。

それから、夏のありえない経験は二人を大人にしました。
二人がお別れしたのは二度と戻ることはできない、彼らの子供時代なのかもしれません。

一美の姿は白黒の8ミリ映像の中で、小さく小さくなって。
やがて諦めて、少女は踵をかえし、また、元気にスキップして歩いて行きます。

なんの屈託もないであろう、輝くような明日に向かって。

<映画「転校生」の挿入曲>

●「アンダンテ・カンタービレ」チャイコフスキー(演奏:ジョー・クァルテット)●「トロイメライ」シューマン●「天国と地獄 序曲」オッフェンバッハ●「タイスの瞑想曲」マスネー●「G線上のアリア」バッハ

次回は尾道のここを訪ねてみようかな。笑

御袖天満宮

Misode02


マイ・ボス マイ・ヒーロー 頭師父一体

2006-06-08 07:39:12 | 韓国映画

Sw4escalator   

[英 語 題] My Boss, My Hero
[ジャンル] コメディー,アクション
[監    督] ユン・ジェギュン [第1作]
[撮    影] ファン・チョリョン
[出    演] チョン・ジュノ(ケ・ドゥシク 明洞(ミョンドン)派の親分)
           チョン・ウンイン(キム・サンドゥ ミョンドン派の副親分)
           チョン・ウンテク(テガリ) ミョンドン派の副親分
           オ・スンウン(イ・ユンジュ 3年1組 ドゥシクの同級生)
           ソン・ソンミ (イ・ジソン 英語の先生)
           パク・チュンギュ(チョ・ボンパル 3年1組担任)
           カン・ソンピル(ヤン・ドンパル 3年1組 不良のボス) 
           コ・ミョンファン(パバリマン 変態男)
           イ・デハク(ホリス 3年1組 おかまちゃん)
2001年、韓国

結末は明かしていませんが、内容を語り過ぎているので、未見のかたは斜め読みでお願いします。m(__)m

頭目(親分)と, 師匠(恩師)と, 父は,ひとりだ。頭師父一体!

噂に聞いていた『マイ・ボス マイ・ヒーロー 』を見ました。
確かに面白い。日本でも長瀬智也主演でドラマになるらしく。
映画のほうは二作目も公開されたようで、見たいです。

粗筋:ヨンドン派の親分ケ・ドゥシクは,副親分サンドゥとテガリの助けで明洞(ミョンドン)一帯を掌握し,組織内で 高く位置づけられる日も近い。
だが,彼は組織の会議で無知さを露出してしまい,(近頃は組織幹部も大卒が多い;)

ボスは高校の卒業状を取れば明洞を任せると宣言する。

ケ・ドゥシクは腕っ節は強いが学がなくて、これまた、学なしでは同類の手下テガリにまで馬鹿にされる始末、
偽造戸籍まで作り!?28歳の年齢を20と偽って(無理あり!^^)高校に通うくハメに。笑

「インターネット?何だ、それはうちのシマか?」 沈没;;

ドゥシクにとっては出世がかかっているので、(生活かかってるもんね~)高校ではヤクザな身分をひた隠し、年下の悪童にいじめられても卒業証書のためには我慢、我慢(笑)の毎日。
手下の剣道の使い手、サンドゥ(チョン・ウンイン)リンクのおとぼけと、頭突きのテガリ(頭という意味)のボケっぷりがたまりません。
特に、自称大卒のサンドゥ、(純愛路線まっしぐらのサンドゥが最高です。

初めはドゥシクも、その筋の親分っぽかったのに、髪型をボサボサ若者風にし、リュックを背負って、だんだん高校生に(トウのたった)見えてくるのが可愛いかったり。
男女共学だし~、本人もまんざらでない~♪

触るんじゃない、プリクラを。「オマエなんかの手が出せる人じゃない」
なんて、テガリにいばって、嬉々として女子高生とプリクラ撮ったり(それを定期入れに入れてるところが親分とは思えまっしぇん)。 あはは

このチョン・ジュノという俳優さん、『黒水仙』リンクで妙な日本人悪役やってました。
でも、芸達者でコメディセンス抜群、見違えましたよ。

この映画が公開された頃は『チング』(韓国の黒社会で対立する男の友情物語)旋風が吹き荒れた時期で、これを意識した場面がいっぱいなのも楽しめます。

『チング』は私的には期待し過ぎたかなあ映画でした。汗

「何がチング!(友よ)だ。おまえはチャン・ドンゴンか!?」 あはは

ドゥシクのモットーは「頭目、師匠、父はひとりだ。頭師父一体!」
これ、ドゥシクの勘違いの覚え込みのようです。笑
「三歩下がって師の影を踏まず」・・韓国でも昔は(今も?)そうだったんですね。

素直なドゥシクは恩師に手を上げるなんて許せない。

ここはちと感動ものです。

ドゥシクは根が優しくて、(単純で)情に厚く、いい人なんですねえ。ボスも彼が可愛い。笑

学校はクラブ経営(あのぉ~、クラブと言っても、クラブ活動ではなく、ナイトクラブのほうでしゅ)とは違う・・

けど、ヤクザ(失礼;)にだって正義はある。
見過ごせないことは絶対に見過ごせない!

慣れない純愛の場面などにクスクス笑っているうちに、映画は『チング』の向こうを張ったか、怒涛の社会派ドラマへと展開~~~。
俄然、面白くなってきます!

「サンドゥ、サンチュン校は俺が貰った!」ちょっと痺れますです。

ドゥシクとは敵対する、学校を裏で操る暴力団一派の親分との雨の中の一騎打ちは見ごたえがあります。

流石、韓国映画。ここだけトーンが違います!

「まるで映画みたいだ」 爆

さて、ドゥシクは首尾よく高校の卒業証書を手に入れられるか否か?
そして~、そして~。

この映画は一見の価値ありです!

最後の最後に楽しいオチもありますよ♪


『かもめ食堂』原作、読了

2006-06-01 08:43:24 | 本と雑誌

Suomikahvila

上の写真は撮影に使われたCafeだそうです。

まだ、原作未読のかたはお楽しみが半減すると思われるので、読まれないようお願いします。

映画もいいけど、やっぱり本はいいものです。笑

群さんの他の本も読んだけど、女性の目から見て生活に密着したお話が多いのね。

『かもめ』の原作を読んで、3人がなぜ、フィンランドに行くことになったかがよく分かり、納得できました。

サチエと父親の関係がいいです。

この父親にしてこの自立した娘ありで。人生は修行だ___

映画のほうが原作をふくらませてあって面白いと思います。

フィンランドの景色と雰囲気も楽しめますしね。

特に、マサコは原作ではそれほどキャラクターは際立ってません。

映画では不思議系、お笑いを一手に担当してましたけど。

群さん、小林聡美、もたいまさこさんは実生活でもよく行動をともにしているらしいです。

そうそう、主役の3人の年齢が30代、40代、50代なんですよ。これ、面白いなと思いました。

マサコはだから、人生の建て直しを計るにはサチエ、ミドリほど時間がないので、フィンランドでゆっくりしてられないって考える。

「すみません。

ご迷惑でしょうけど、また来ることにしちゃいました」

原作の最後は爽やかです。

「今日も一日、よろしくお願いします!」

リンクかもめ食堂・本