あいりのCinema cafe

只今gooブログにお引っ越し(工事中)

ダンス・オブ・ドリーム 愛君如夢

2007-09-20 21:19:47 | 香港映画 (57)

Phc150b

監督:アンドリュー・ラウ
出演:アンディ・ラウ(ラウ )呉君如 サンドラ・ン(カム)
      アニタ・ムイ(ティナ)
     エディソン・チャン(ティナの弟)
     ゴードン・ラム(ラウの相棒)


20001年、香港 


これ、アンディ・ラウが立ち上げ、一度はつぶれて再興した「天幕チーム」の映画なんですねえ。


「インファナル・アフェア」シリーズの監督・主演コンビ、アンドリュー・ラウとアンディ・ラウが贈るコメディ。
もう若くはない女性(カム)はホテルのウエイトレスとして、平凡で地味な毎日を送っている。
が、ある日、ホテルで踊るハンサムなダンス教師と、そのダンスに魅せられ、彼女もなけなしの貯金をはたいて、ラウのダンス教室に通い、夢を追いはじめる・・


アンドリュー・ラウ監督のコメディって珍しいような気がしますがどうなんでしょうね。
日本でも公開されるような気配だったのに、忘れてしまっていた1本。(汗)
着想は日本の「Shall we Dance?」なんでしょうけど、また、一味違った作品になっています。
これがね~、香港映画ファンにはなかなかこたえられない面白さなんですよ~。


俺たちは何を売る?
夢さ!


夢をかなえるにはパトロンがいる。
パトロンさえいれば夢は叶う。


ラウは夢のためにはお金が必要だと考えている。
そのためにはヨイショもすれば、口先三寸の商売上手。^^


流石、ちゃんと!香港ティスト(パロディ、内輪ネタありで、笑)入ってますしね。
アンディ・ラウさんって、一番苦手なものがダンスと言ってた時期がありました。
努力の人はそれを克服しました。笑


俳優さんは表現力が抜群なので、うまくなりますよね。
ピンクの練習着のアニタ・ムイとのダンスの場面はアニタの胸のときめきが表れていて素晴らしい。


アニタ・ムイとアンディもプライベートでは仲良しでしたね。
アニタは男装も似合って、中性的な、魅力溢れるプロフェッショナルな女優さん。
素敵です。
ホテル富豪で仕事一途、黒づくめで、険しかったティナの顔にも笑顔が蘇ります。


サンドラ・ンは元々コメディセンス抜群で、この映画でも、人柄のいい可愛いさが自然に滲み出ています。
持って生まれた明るさは周囲の人々をも明るくする。
好きだな。彼女。


『インファナル』でトニーを撃ち、アンディに殺されたもうひとりのマフィア潜入を演じたラウの相棒。いいヤツ。
この人がジャッキー・チュンの物真似なんかして、これが結構似てたりと、流石、香港俳優。
達者やのう。。


教室のバーベキューパーティはミュージカル。笑
サンドラ・ンはチャウ・シンチーのつもりかな?アハハ


映画の原題はサンドラの名前にかけてあるのかしら。。
みんなほんとに楽しんで演じてる感じがあっていいです。


さて、お楽しみのネタ明かしをするので、知りたくない方はここから先は読まないでくださいね。




ジャッキー・チュンの物真似のあとに出てきたのが・・
唖然・・爆笑・・涙でした。^^


アンデイ・ラウが!あのレスリーが2000年のコンサートでした女装?の物真似をするんですよ。

山口百恵の「さようならの向こう側」

歌い方も似せて、同じようなスカートはいて!!!
まとめた長い髪には割り箸を^^刺してたような。


レスリーは日本の「塗り」のおを刺していたように見えましたけど。爆
ラウはわざわざ、口の周りのヒゲを青くして・・
失礼ながら、この珍妙な格好が、みょ~~~~~~~にレスリーに似てる。


アニタも素で笑ってますよね。
「キャ~、哥哥~~~!!」笑


アニタとレスリーは親友か兄妹のように仲がよかったからしいから。


このあとわずか数年で、ふたりが旅立ってしまうと、誰が想像したでしょう。
ふたりは奇しくも2003年の4月と12月に亡くなっているんですね。


夢はお金で叶えるものではない。
大切な人は案外身近にいるのだ。




一見の価値ありの映画です


傷だらけの男たち 傷城

2007-07-12 20:42:49 | 香港映画 (57)

Kizu

監督 アンドリュー・ラウ
出演 トニー・レオン (ヘイ)金城武 (ポン)
    シュー・ジンレイ(スクツァン)
    チャップマン・トー  スー・チー
2006年、香港

  

傷ついた二人に
愛を呼び戻した、殺人事件。

  

生きることが、痛みだった。


この痛みに、生きていた。


>>かつては上司と部下の関係だったベテラン刑事のヘイ(トニー・レオン)とポン(金城武)。だがボンは恋人の自殺で、生活が一転。彼は刑事を辞職し、酒浸りの私立探偵に成り下がっていた。それとは逆にヘイは、億万長者のチャウの娘・スクツァン(シュー・ジンレイ)と結婚し、幸せの絶頂にいた。しかし、そんなある日チャウが、彼の豪邸で何者かに惨殺される。父の死に不審を抱くスクツァンはポンに事件の捜査協力を仰ぐのだが、血塗られた事件の裏には驚くべき因果関係と真実が隠されていた…。


原題は「傷城」で傷ついた街の意味だ。物語は2003年のクリスマスイブから始まる。この年はSARS(重症急性呼吸器症候群)が猛威を振るい、レスリー・チャンが自殺するなど香港全体が沈んでいて、そんな街の再生を願う意図があった。(ラウ監督)


こういう背景のなかで、映画が作られているのも興味深いです。
*
*
*


以下、核心に触れずには感想を書けないので、映画未見の方は読まないようお願いします。


全てはマカオから始まった。


冒頭の部分から物語はスピーディーで、香港の街も生活感いっぱいというより、美しく洗練された風景を楽しめます。


今回も(笑)私は集中力を欠いて、全部を理解できませんでした。


ヘイとボンたち刑事が車で、猟奇的犯罪者を追う途中に見かけた炎上する車にポンの恋人の自殺原因となった彼が乗っていた。
この三角関係の末に堕胎し自殺するポンの彼女のお話はもう少し説明があれば、ポンの傷の痛みももっと理解できたかなと思う。


また、刑事ヘイを追う第三の男は何者だったのか、他の方のブログを見て知りました。
冒頭、ポンたちが追いかけていた、あの女性への猟奇的犯罪を犯した男だったのですね。
背の高さが違うように思ったけど。


画面に気をとられ、台詞ひとつ読み落としたかもしれない。


テンポよくもいいけれど、物語を味わい理解する余裕はほしい。


この事件は複雑で奥が深い。


ミステリーでも、この映画は最初に犯人がわかっていて、その謎解きの面白さが見所です。
ヘイのあの狂気をはらんだ執拗な残虐さには理由があった。
彼は復讐することにしか生きる意味を見出せなかったのだ。


ヘイは金銭欲から殺人を犯したのか、いったい何が目的なのか。
次の彼の行動が予測できず、背筋がゾッとするような恐怖を感じさせた演出はいい。


ポンとの友情?友情なのかすら怪しく思える。


ヘイは妻が神経質になっていると言い聞かせ、労わるそぶりを見せ、睡眠薬を飲ませている。


細工を施して、妻を徐々に精神病にしたてあげる?
バーグマンの『ガス燈』、そういう恐ろしい古い映画があったのを思い出し、不気味さが募る。


トニー・レオンの仮面をかぶったような冷静な悪役の顔は不気味で、この人のこういう役も珍しい。
ラウ・チンワンと共演して、悪徳刑事を演じた『ロンゲストナイト~暗花~』がこれに近かったかな。
『ロンゲスト』は二度見るには勇気のいる凄まじい映画ですが。^^


トニーと金城武の顔合わせも珍しい。
金城武は酔いどれ探偵が似合うようになったんですね。
ふたりが一緒だったのは『恋する惑星』以来で、あの時は金城武は少年のような役柄だった。


チャップマン・トーが息の詰まるような暗い物語のひとつの癒しに見える。
シュー・ジンレイという女優さんを私は知らない。
一度見ただけでは魅力がわからず、少し地味に感じた。


ポンは自殺した彼女の相手を探し出し、怪我を負った男の世話をする。
彼は憎しみを捨てた。


けれど、憎しみを捨てるにはヘイの傷はあまりにも深く、復讐そのものが彼の生きる全てだった。
最早、戻ることはできない。


このふたりの対比が印象的。


スクツァンはヘイの一家を惨殺したチャウの実の娘ではなく、養女だった。
ヘイがそれを知った時、時既に遅く、夫の犯行だと勘付いたらしいスクツァンを始末する手配は進んでいた。


この時のヘイの凍りついた顔が目に焼きつく。


私を一度でも愛してくれた?
もちろん・・・


ヘイは最後に気づく。
スクツァンを愛していた。
でも、遅過ぎた。


すべてを失った者しか
傷の痛みは分からない。


お前変わったな。
警官だった頃は世界を変えようとしてた。
結局変わったのは
世界じゃなくて俺だった。


人は変わることができる。
若い男はようやくかすかな光を見つけ、もうひとりの男にはもう明日はやっては来ない。


シナリオも細部に凝った作品らしいけれど、(かなり見落とした模様;)終わってしまえば短く感じた。
あと、ひとひねりでもほしい感じは残ったけれど。


ここでも、悪と善は表裏一体というテーマが繰り返されているように思う。


ヘイの一生はいったい何だったのだろう。。


あの時、家族とともに、ヘイの心もまた死んでしまったのかもしれない。


ジェイ・チョウを探して Hidden Track

2006-12-16 19:07:54 | 香港映画 (57)

308

監督/脚本 オーブリー・ラム
出演 ショーン・ユー ダニエル・ウー
     ポポ デビット・ウー
     イーソン・チャン ジェイ・チョウ
2003年、香港

>>恋人との思い出の曲が収録されている500枚しか製造されていないCDだった。CDの最後の曲が終わってから7分間後にしか聞くことができない、いわゆるシークレットボーナストラックである。
思い出のCDを探す女が、その過程でさまざまな音楽フリークたちと出会い、大切なものの存在に気づいていく物語を描いたラブストーリー作品。

私はジェイ・チョウの曲はほとんど聴いたことがなく、この映画もアイドル映画かなと思っていた。
ところが、ポポは『恋する惑星』のフェイ・ウォンみたいで、
思いがけずしゃれた可愛い映画だった。

ポポは失恋して、武漢から姉のいる香港にやって来る。

CDを探しているの。
彼との思い出が消えてゆくような気がして・・

CD探しの途中、様々な音楽好きな男性に会うことになる。
犬好きなCD店の店長(ショーン・ユー)、プレイボーイ(デビット・ウー)、新世代音楽の教祖風青年、(イーソン・チャン)マザコン警官(ダニエル・ウー)、ゲイ青年。

香港、台湾の若手オンパレードなのが楽しい♪

さえない髭と眼鏡のCD店店長がショーン・ユーだとは気づかなかった。
主役の彼を見るのは初めて。やはり演技も達者なものである。

ポポがどんどん綺麗になっていくのが面白い。

母と同じくテレサ・テンの好きな、母親べったりの警官がダニエル・ウーなのが笑える。
初デイトも母親同伴。
ハンサムできりりとしているのに、ポポはがっくり。

デビット・ウーは『烈火戦車』のバイクレーサー、懐かしいです。
変わってないなあ。

長年飼っていたペットを亡くして、落ち込んでいたショーンもようよう立ち直り眼鏡を外し、髭も剃りさっぱりした。

全編を通してジェイ・チョウの歌声がふんだんに聴けます。
玩具のようなフンタジックな色彩も綺麗。

彼女は大切な人を見つけることができるのだろうか。

ここから結末に触れています。

≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒

飼えなくなった人から、ペット犬の引き取りに忙しい店長。^^

CDが見つからないの。
会いたいと思った。

俺にかい?
みんな去って行くのに。カメでさえ・・

あなたを探していたの。

恋は終わり、そして、始まりの予感♪

ポポは今や、姉の家のやっかい者ではなく、見違えるような魅力的な可愛いウエイトレス姿(スチュワーデスではない^^)である。

ここは刺激と夢の街、香港。
武漢の彼は遠くなりにけり。。

失恋から味覚をなくした男として、ジェイ・チョウが最後にちょい出演。


サウンド・オブ・カラー ~地下鉄の恋~

2006-12-12 09:03:41 | 香港映画 (57)

Snetcinema

監督/脚本 ジョー・マ
原作 ジミー 絵本「地下鉄」
出演 トニー・レオン(ホー)ミリアム・ヨン(チョン・ホイヤー)
     チャン・チェン(ジョンチャン)ドン・ジェ(トンレン)
       ラム・シュー グイ・ルンメイ ファン・ジーウェイ

2003年/香港

>>優しくて、心あたたまるラブ・ファンタジー。
香港と、上海。二人のいたずら天使が、ふれあうことのなかった男女を結びつけ、クリスマスに小さな恋を成就させる、優しさと愛があふれる物語。

原作は台湾の大人気絵本作家"ジミー”の「地下鐵」。
☆巨匠ウォン・カーウァイがジミーの「地下鐵」に惚れ込んで映画化を熱望し、自社プロデュースした。

ウォン・カーウァイは映画製作にはタッチしていないと思う。
映画は退廃とは縁のない明るい系です。^^

ジミーの絵本を元にした映画には女性監督の『恋の風景』とうい悲しい映画がある。
本作は絵本を元に撮った映画らしく、クリスマスにふさわしい温かな作品となっております。

苦しい時に、いかに希望を見出すか。

ラム・シュは、優しい娘想いのお父さん。

万年青年のトニー・レオン、変わりませんねえ。顔を見ただけで、心がほっこりします。

お話は香港と上海のふたつの、少し雰囲気の違うお話が同時に進行する。

子供の頃に視力を失ったチョンは地下鉄で、杖を貸してほしいと言う若い男性(これが、なんと天使)に出会う。
そこから、インチキ臭い「お見合い相手周旋所」を経営するホーと知り合う。

ある朝、ホーは目覚めると視力を失ったことに気づく。
落ち込み、周囲に八つ当たりするホーをしっかり者のチョンは外に連れ出します。
へっぴり腰で傘を杖に歩くトニー・レオンがおかしい。
相変わらず、役者やわぁ~。

チョンはホーの杖となり、ふたりの心は通いはじめます。
目が見えなくなって、ホーは心の目が見え始めた。
健常者のままでいたら、ホーの眼にはホイヤーは入らなかったかもしれない。

一方、台北。
2年間の片思いの恋(お相手はなんと!『藍色夏恋』のグイ・ルンメイ!)が終わったジョンチャンが書いたカードは天使の手で上海のトンレンに送られる。

片思いは人の気持ちを苦しくする。
君と手をつなぎたいんだ。

彼女の返事を読んで、ジョンチャンは会ったこともないトンレンに会いに上海に行く。
彼女も失恋を経験したばかり。

貴方の気持ちがわかるわ。

いつもとは違う平凡なサラリーマン役のチャン・チェン、無口で不器用そうな優しい青年ぶりがいい感じです。
この人、こういう役のほうが魅力的かも。
ドン・ジェもしっとりと女らしい。
コメディタッチの香港物語よりも、上海の物語のほうが好みかな。

トンレンを待つジョンチャンが寒そうで、上海という街への郷愁を感じる。

あるはずのない「地下鉄」の46番の駅を探して、孤独だったふたりの心は序所に近づいていく。
そこでも、ひっそり奇跡が起きている。

これは終点、それとも出発点?

ごたごたした(そこが魅力なのだけど)香港も、上海も色彩は夢の国か、毛糸の編み物のように暖かくて美しい。
まるで別の街のようです。

映画としては五つ星作品ではないかもしれないけど、日本公開してもバチは当たらないと思う。
なんで~?

ホーのつく美しい嘘。
クリスマスの夜には奇跡が起きる。

駅では人々が行き交っている。
あなたには出口で、待っていてくれる人がいますか。

*

*


ウィンター・ソング 如果・愛

2006-11-23 08:29:25 | 香港映画 (57)

Ai3

監督 ピーター・チャン
撮影 ピーター・パウ クリストファー・ドイル
作曲 ピーター・カム レオン・コー
出演 金城武(リン・ジェントン)ジョウ・シュン(スン・ナー)
     ジャッキー・チュン(ニエ・ウェン)チ・ジニ(天使)
     エリック・ツァン サンドラ・ン
2005年、香港

>>かつて恋人同士だった2人の男女が、10年の歳月を経て、ミュージカル映画で再会した。まるで彼らのことを語るような劇中の物語に、激しく心を揺り動かされる姿を切なく描く。

久々の香港映画、それもピーター・チャン監督作!しかも、ジャッキー・チュンが出演ということで楽しみに見に行きました。
あまり人が入っていないのが残念。

ピーター・チャン監督と言えば、香港映画に勢いのあった頃、あの『月夜の願い』『ラヴソング』 『君さえいれば 金枝玉葉』と心に残る楽しい名作を残してくれました。
しばらく音沙汰を聞かなかくて、さびしかったものです。

雪の降る夜、上海の街を走るバスの中で天使はつぶやいた。
「人はみな人生の主役。他人の人生なのに主役と錯覚する人がいるが、大抵は脇役かワンカット出演しかできない。
カットされることもある。わたしはカットされたシーンを戻すためにここに来た」。

ん?この台詞に何かしら暖かなものを感じた。
天使がまた韓国の俳優なのですね。
香港映画の枠を飛び越えた意欲作のようだ。

映画は男女ふたりと男ひとりの物語がミュージカルのサーカスの劇中劇と交錯してすすむ。

ミュージカルの傘の花が開く場面などは『雨に歩けば』を思い出させたり、古きアメリカの雰囲気が上海のモダンさに溶け合って、不思議な世界が出現する。

ミュージカル場面と現実の物語、この切り替えとバランスは難しいと思う。

なぜか、古いフランス映画、『天井桟敷の人々』を思い出す。
スン・ナーの強さがギャランスに似ているからか。

北京で、リン・ジェントンは監督を志すも挫折、
でも、同じく女優になる夢を持つスン・ナーと、貧しくも愛し合っていた。
その幸せは永遠に続いたか。否。

彼女の夢のために彼は捨てられてしまう。(捨てられるという言いかたはおかしいが、そんな風に見える;)
しかも、スンはあっさりとリンの友人の助監督について行き、これはリンを深く傷つけたと思う。

10年後、スター俳優になったリンは女優スンと共演する。
ある目的を持って。

野心から近づいた関係なのだろうが、スンの長年のパートナー、ニエ・ウェンが監督である。

『10年間、毎日この場面を夢で繰り返し見ていた。眠れなくなった。夢の中でまた君を失うのが怖かった・・・』

リンはスンを、昔、二人で暮らした倉庫に連れて行く。

そこに置かれたテープレコーダーに録音されたリンの声は切ない。
何年も彼女を待ち、悲しみ、すすり泣く。

彼にとっては「ただひとつの愛だった」。

ウェンは監督としての行き詰まりと、スンが去るのではないかと不安に思う。

スンは野心家で、過去を振り返らない。
彼女が一番したたかに見えるが、彼女にとって愛は打算だけなのか。

彼女にとってもリンは愛しい人だった。
でも、彼女は選んだのだ。愛より夢を、まだ見ぬ外の世界を。

外の世界は美しい?

ジョウ・シュンは『中国の小さなお針子』でも、因習に囚われない自由な少女を演じた。

ジャッキー・チュンは北京語は多分吹き替えだと思うが、
美しい歌声を聞かせてくれ、ずば抜けた演技で、怖いくらいに複雑なニエ・ウェンの心の葛藤を見せてくれる。

作曲のレオン・コーはジャッキーのあのミュージカル「雪狼湖」を手がけた人なのですね。
なるほど~。
映画を見終わった日はジャッキーの歌声が耳に残った。笑

正直、金城武という人を私はこれまであまり注目していなかったが、30歳を過ぎ、少年と大人の男性が同居した風情が魅力的です。
華があり、目が美しい。

友情出演で、エリック・ツァン、サンドラ・ンの顔が見えるのも嬉しい。

危うい三角関係の劇中劇を見ながら、結末はどうなるのか見当もつかない。

ここから結末に触れています。

*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

白銀の空中ブランコの場面は何かが起こる予感。

自ら落ちたウェンは本当に死んだのかと思ったけれど、スンの瞳から落ちる真珠のような涙。
スンもまた、ウェンを愛してる?

やはり、ピーター・チャン 監督の映画に悲しすぎる結末は似合わない。

ひとり、ラーメンを食べるジャッキーが若々しく『欲望の翼』の気弱な若者を思い出して嬉しくもある。

リンはスンに復讐しようとしたが本当の自分の気持ちに気づく。憎んではいなかった。

天使のお陰で、スンはどこかに置き忘れた心の一部を取り戻したのかもしれない。

スンはニエ・ウェンとの、二人三脚の女優生活の未来について考えている。
ふたりはこの先もこうして続いていくのだろうか。切ないね。

「カットされたシーンを戻すためにここに来た」
天使はそれぞれの引き裂かれた心を繋ぐために来た?
たとえ、元には戻らなくても。

10年・・・若い愛は思い出となった。
「おわりにしなければ・・」リンの心にもくぎりがついたのだろう。

「北京を忘れないで」

リンはスンに言い残す。
純粋だったあの頃を・・

白い雪のなか、香港に戻るリンの顔はどこか穏やかであった。