あいりのCinema cafe

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マイ・ブルーベリー・ナイツ

2008-04-05 06:25:05 | ヨーロッパ映画/イギリス・フランス (2

07051703

監 督 ウォン・カーウァイ
脚 本 ローレンス・ブロック ウォン・カーウァイ
出 演 ノラ・ジョーンズ(エリザベス)
            ジュード・ロウ(ジェレミー)
            デイヴィッド・ストラザーン(アーニー)
            レイチェル・ワイズ(スー・リン)
            ナタリー・ポートマン(レスリー)


2007年 フランス=香港映画


あなたに近づくための5、603マイルの旅


>>監督は『恋する惑星』『2046』で眩暈がするほど美しく濃密な愛を描いてきたウォン・カーウァイ。前作『2046』で「時間」(『欲望の翼』もまた)をテーマにした監督が、今回選んだテーマは「距離」。独特のスタイリッシュな映像、夢うつつの雰囲気はそのままにアメリカを舞台に新たな愛の側面を描く、監督初の英語映画。


・・と、公式ページにはそう紹介されている。


ここでの「距離」は人と人との親密さの距離でもあるという。


物語の発端が「鍵!」と、『恋する惑星』を下敷きに、爽快感溢れるアメリカ的なロードムービーになっている。
監督の初めての英語映画は初心に戻ってのデビューというのが面白い。

英語圏デビュー作はハリウッド(アメリカ?)映画の王道をゆくものでした。
カーウァイ監督もアン・リー監督の海外成功で、心中穏やかでないものがあるでしょうね。


製作国は香港、フランスなんですね。
カーウァイ監督にはやはり、もっともっとフランス映画っぽい作品を期待したいです。


ジェレミーは商売柄、たくさんの人の人生(鍵)を見てきた。


(預かった)鍵を捨てると、開かない扉ができるんだ。
そんな決断をどうして僕ができる?


確かに、それは難しい。
考えさせられる台詞だ。


映像もブルーがかった色彩も相変わらず美しいのだけれど、ウォン・カーウァイっぽさが弱いなと思ったら、脚本がきちんとあって製作された映画らしい。
なるほど、監督の即興的な話運びのうちに、パズルが合わさり収束するような危うい意外性はない。


ノラ・ジョーンズ演じるエリザベスが失恋して、デリで働くジェレミーに慰められ心を残しながらも傷心を癒す旅に出る。
そう言えば『恋する惑星』でも、監督はヒロインに映画初主演の歌手のフェイ・ウォンを起用している。
故意か偶然か。笑


映画中、『恋する惑星』や一連の監督の映画お馴染みの名前や物たちが見え隠れ。
ニヤリとする楽しみはある。
レスリーやスー・リン(花様年華』『2046』のスー・リンチェン)、警官姿(思わず笑ったわ^^)、店のショーケース、女ギャンブラー等等。


でも、私はやっぱり、「夢のカリフォルニア」などの音楽といい、香港の雑多な街中に起こる不思議な奇跡のような愛らしく天真爛漫な恋の物語のほうが好きですが。
私には新鮮で斬新、目からウロコでしたから。笑


ニューヨーカーなら、そうでなくともアメリカ大陸横断は夢なんだろうと思う。
エリザベスは働きながらの旅の途中、様々な土地で様々な人たちに会う。
皆、愛においてなんらかの「喪失」を味わっている。


エリザベスが旅に出た時から、私にはラストは推測できてしまうのだけれど、(笑)いくつかの街で出会う人たちの傷つき、また、立ち直っていく姿をじっくり味わった。

あの二枚目のジュード・ロウがなりふりかまわぬ(モテると思うけどなあ、汗)気のいい働き者のマスターかな?を生き生き演じていて意外でした。
『スモーク』のオギーみたいに情のあるマスター、いそうでいないところに夢があります。


ジュード・ロウの面差しの目元など、レスリー・チャンを思い出させて感傷的になる。


特筆すべきはスー・リンを演じたレイチェル・ワイズ。
強くて、男性を惹きつけずにおかない、なまめかしさが色白の肌や目つきに表れていましたねえ。


愛が重すぎて・・
彼女が街を去らなかったのはやはり、彼を憎んではいなかったから。
気になって置いてはいけなかったんでしょうね。

愛していても、どうにもならない二人の複雑な関係・心理はやるせない。

このワンストーリーだけでも1本の映画になりそう。


愛するにも「距離」は必要なのだと・・気づかされる。


ナタリー・ポートマンは大人の女性になっていて驚きました。
気品もあって、スポーツカーがお似合いでカッコいい。


彼女は颯爽と、一匹狼のギャンブラーとして彼女の新しい人生を歩む。


ここから結末に触れています。
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エリザベスからの葉書を読む嬉しそうなジェレミー。
300日と字幕が出たところで、彼女は帰るんだな!と思いました。笑
『恋する』のフェイが1年後に恋しい人のもとに戻りましたからね。


甘い甘いキスもロマンチックだけど、ラストにはしゃれた台詞や、もうひとひねり欲しかったかな。
ここは『恋する』ファンとしてはつい期待してしまいますよね。笑
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数年後はジェレミーが赤ん坊をおぶって妻のためにブルーベリー・パイを焼いているとか。
エリザベスは二人目を妊娠中。爆