岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

つがる市木造地区にも風力発電施設が… / 6月18日東奥日報「弥生跡地」観察会取材記事(13)

2010-07-04 04:16:42 | Weblog
(今日の写真は「ベンセ湿原」である。先月、ベンセ湿原に行って来た。これは6月6日に撮ったものだ。
 「ノハナショウブ」はまだ本格的に咲いてはいなかったが濃い橙黄色の「ニッコウキスゲ」や淡黄色の「センダイハギ」はすでに咲いて、素晴らしい花園を形成していた。ここはただ美しい「花園」だけではない。
 この湿原地帯は、日本における「南限の海岸低層湿原」と「中間層湿原(苔状が幾層も重なってできた湿原)」であり、学術上は非常に貴重なものなのである。面積は約23haある。そのような理由からだろうか、1983年に、「日本自然百選」に指定されている。
 ここに、120mもの高さがある風力発電所を建設しようとする計画があるのだ。)

◇◇ つがる市木造地区にも風力発電施設が…(?)◇◇

 実は、7月1日にHP管理者葛西さんから、次のメールと一緒にPDFファイルが送られてきた。

 …今朝の朝刊の折り込みで、つがる市木造出来島地域の風力発電の環境アセスの縦覧について案内がありました。
 なぜ「案」なのか、よく仕組みが分かりませんが、岩木山の時の参考になればと思い、文量しだいになるのでしょうが、写しの取得についても交渉・検討されてはどうかと思いました。
 ベンセ沼が近いだけに、野鳥の会の方々も含めて、協議いただければ幸いです。…
 そのPDFファイルには… 
[風力発電施設建設に伴う「環境影響評価書案」の縦覧について
以下のとおり、環境影響評価書案の縦覧を実施しますので、お知らせいたします。
○事業者名 株式会社新エネルギー技術研究所
○事巣の名称 (仮称)木造風力発電所
○実施区域 つがる市木造出来島規子森大沼176-1
○縦覧期間 平成22年7月1日(木)~7月30日(金)
○縦覧場所 ごしょつがる農業協同組合木造総合支所
お間い合わせ先
株式会社新エネルギー技術研究所 〒101-0047東京都千代田区内神田二丁目16番8号
TEL:03-5289-0709 (9:00~17:00)担当:上原 ]とあった。

 これを見ると、風力発電所設置計画に関わる「環境影響評価(アセスメント)」の実施区域は「つがる市木造出来島規子森大沼176-1」である。恐らく、向こう3年間、この場所で「風力」に関わる様々なデータ収集が行われるのだろう。すでに、そのための「鉄塔や風力計などの設備」は出来ているのではないだろうか。
 風光明媚、貴重な湿原のある「つがる市木造出来島」地区に「風力発電施設」が出来て、本当にいいものなのであろうか。つがる市市民は今こそ、熟考するべき時である。
 おそらく、「つがる市木造出来島」地区に数十基もの「風車」が建っても、それを異物と捉えないで「風車の回るのどかな田園風景」と感ずる人もいるに違いない。
 …だが、その前に、どうして、この場所に「発電用の風車」が必要なのかを考えて欲しいのである。
 そして、この場所を眺めることの出来る人たちがみんなで、「風力発電所」は「co2を排出しない」し、「再生可能なエネルギーの確保が可能」というメリットと「地球温暖化対策の一助」であるということだけで、優先的に「建造」されていいものなのかを考えて欲しいのだ。
 この会社「株式会社新エネルギー技術研究所」は「岩木山山麓の鰺ヶ沢」地区にも「風力発電所」を設置しようとしている。そして、「風力発電」のメリットを主張する。
 だが、稼働後の健康問題としての「風車病」のこと、「風任せ、出力不安定、落雷、強風、風の乱れ、利用出来る風の強さに制限」などという「風力発電の特性」や、「建設時の自然破壊」、「生態系への影響(バードストライクなどを含む)」、「稼働率の問題」、「メインテナンスの問題」、「原風景としての景観破壊」「閉鎖的抑圧感」などについては、一切触れない。
 また、数十基もの「風力発電所」が建てられて、その後に「必要がなくなった時」、その残骸はどのように処理されるのか、そして、その補償もないのである。
 ベンセ湿原の周囲に「風力発電所」が建設されると「ベンセ湿原」という風景の破壊だけでなく、貴重な海岸低層「湿原」そのものの破壊も進むはずである。

◇◇ 6月18日付東奥日報紙 「弥生跡地」観察会同行取材記事掲載(13) ◇◇

(承前)…「4. スキー場、ゴンドラ、リフト、ゲレンデの改変」は紛れもない「自然破壊」である。

 鰺ヶ沢スキー場も青森県も最初は「そうではない」と言い張っていた冬季アジア競技大会用に開設された「拡張ゲレンデ」は、この他に「観客用」のスペースまで設けたので、破壊域はますます広がったのである。そして、ここのゲレンデは「大会」後、「ゲレンデの改変」という自然破壊まで行ったのである。

 鰺ヶ沢スキー場拡張ゲレンデ部分における自然改変(無許可)工事は次に述べるようなものであった。
 …本会では「…鰺ヶ沢スキー場拡張計画に対しての意義意見書」の趣旨にのっとり、2000年冬から開業した「拡張部分」についての現地調査を定期的かつ継続的に実施してきた。これまでの調査で確認したことは以下のことである。
① 事業者の環境アセスメントでは「ザリガニのいるような沢は無い」と記載されている。私たちが報道関係者とともにその生息を確認したが、事業者・行政では確認作業はしたものの生息していないとしたニホンザリガニの生息。ただし、ザリガニがいた沢の下流部が伐採され、堰堤の建設された場所から上流約200m間ではまったく確認できない。
②緑化工の確認「工期中、節目節目で、その都度確認してきた。緑化工についてもきちんと確認した。」とあるがその後の確認では緑化は遅々として進んでいない。一方でこの部分に外来種植物や里植物が進出している。
③ 伐採木の搬出期限を工事終了後3年以内(2003年7月まで)としながらも2004年になってもそのまま残置されている。 

 特に次の項目④は大きな問題(自然公園法・森林法に抵触する違反・違法の自然破壊行為)である。
 これまで、鯵ヶ沢スキー場の既存のコースについては「抜根はしない」と説明しておきながら、いつの間にかコース上のほとんどで抜根がされ、その上滑走の障害となる雪面に突出している岩石の破砕と除去が行われてきた。これらは工事中に「極力最小限にとどめること」と指導されていることであり、それ以後はしてはならないことである。しかし、既存のゲレンデ同様あり得ることだろうと考えて注視してきた。(明日に続く)