岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

草花や樹木の花の遅咲きは自然が鳴らすひそやかな警鐘か(その3)

2007-10-19 06:00:28 | Weblog
(今日の写真は「雪のない時に見るスキー場ゲレンデ」だ。
 これは、「拡張部分」を上部から見た写真だ。周りと両サイドに見える緑の樹木はブナである。このブナ林内には「ヒバ」も生えている。その「ヒバ」も伐られてしまった。太いものの「年論」を数えたら270~280あった。…ということは280年間もこの地に生きづいていた「ヒバ」ということなのである。
 このゲレンデ下部には大きな岩を抱くように13本のブナが生えていた。私たちは、それを「岩抱き13本ブナ」と愛称して、慈しんだ。それは「鰺ヶ沢スキー場拡張反対運動」の「象徴・シンボル」であった。しかし、それゆえに、「鰺ヶ沢スキー場」は真っ先にそれを「伐採」してしまった。…もし、この「岩抱き13本ブナ」が残されていたら、「すばらしい観光スポット」になっていただろう。
 …ブナの原生林内に造られた遊歩道を、森林浴をしながらたどる。きらきらとブナの葉が緑に輝き迎えてくれる。アカハラやヒガラ、ヤマガラが合唱つきで歓迎してくれる。そんな場所に「岩抱き13本ブナ」が生えていた。あの巨大なホテルから小一時間の距離のところにこの「岩抱き13本ブナ」は生えていた。)


   ☆ 草花や樹木の花の遅咲きは自然が鳴らすひそやかな警鐘か(その3)☆
(承前)

 昨日と今日の写真で見るような「自然の破壊」が、岩木山のみならず、世界中で起こっている。まずは、赤道直下の熱帯雨林が、先進国や発展途上国の「材木資源」として伐採されることを挙げることが出来る。日本もこれには大いに荷担している。
 または、多国籍企業による単一植物栽培のための「園地・農地」として伐採される。これにも日本は手を貸している。
 「棄農」と「耕地の荒廃」、「後継者を育てない」などを進め、食糧の自給率を30%台にしていこうとしている日本の農政は、日本の国民に「地産地消」という選択肢を与えない。
 国民は「有無を言えない」まま、外国の「食糧・食料」に依存することになっている。この事実が「望む・望まない」に関わらず、外国の「農地拡大」という政策を後押しして「森林の伐採」に拍車をかけているのだ。
 生産者の顔が見えない「食料・食糧」を「安全・安心」という「ベール」で包み、それを鵜呑みにして食べるほどに「素直」なことが、日本人の本性や「美徳」なのか。これは、全くの「能天気(脳天気・能転気)」なことだろう。
 この国民の「能天気」ぶりを知っていて、政府・農水省は、「自給出来ない」農業を推進して、日本の農業を「潰そう」としている。
 一方で、「ミートホープ」や「白い恋人」という名前の菓子を売っていた会社、「赤福」という名前の餅を売っていた会社なども、この「能天気」に乗っかって「不正とウソ」を繰り返していた。
 「食べる」ことや「食べる」ものが「命」に直結していることを、もっと「びしっ」と自覚する国民にならなければならい時期に来ていることは否めない。

 熱帯雨林や原生林から追われた原住民たちが「焼き畑農業」のために、火をつけて森林消失を助長する。これにも間接的だが先進国である日本などが荷担していることである。
 熱帯雨林は世界の気候を左右する。それは海流の異変を生み出して、巨大台風の発生や熱波気象や局地的な大雨・豪雨、それによる土石流の発生を引き起こしている。加えて、北極海の温暖化、氷の融解や海面の上昇という自然の変異を生み出している。
 工場や自動車がはき出す種々の煙や「排気ガス」は空気中のCO2を増加させ、オゾン層を破壊している。これがまた「温室効果」を際だたせて、地球規模の「温暖化」に拍車をかけているのだ。あの中国でさえ党大会で「発展のひずみ」としての「自然破壊」に歯止めをかけるという政策が採られたという。

 話しが「遅咲き」の「原因・理由」の方にいき過ぎて、さらに「農業政策」や「食料問題」にまで行ってしまった。「遅咲き」という本題に戻そう。

 さて…16日付け朝日新聞「天声人語」には…
 『兵庫県の但馬地方で農業を営む奥義雄さん(72)から、今年はキンモクセイの花が遅かったと便りをもらった。…いつもなら9月19日ごろから甘い香りが漂うのに、今年は気配がなかった。あきらめかけた10月3日にやっと匂(にお)ってきた。ここ35年で、これほど遅いのは初めてという。「酷暑の影響でしょうか。自然の歯車がおかしい」と案じておられた。
 (中略)9月の残暑も記録的だった。暑さだけではない。雨無しの日が長く続き、降れば滝のように叩(たた)きつける。そんな、「渇水か豪雨か」の二極化も著しい。自然の歯車の、もろもろの変調の背後に、地球温暖化の不気味な進行が見え隠れしている。
 その温暖化が、米国の前副大統領アル・ゴア氏へのノーベル平和賞で、くっきり輪郭を現してきた。…世界に「今すぐの行動」を求めた鐘の音でもあろう。
 (中略)温暖化に対し、私たちに「上農」の聡明(そうめい)さはなかったようだ。せめては「中農」の愚直さで向き合わないと、地球は危うい。下農にはなるな――キンモクセイの遅咲きは、自然の鳴らす、ひそやかな鐘とも聞こえる。』とあった。(この稿は明日に続く。)