たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

2013年『ラファエロ展』_「聖ゲオルギウスと竜」

2020年05月14日 23時41分02秒 | 美術館めぐり
2013年『ラファエロ展』_「聖家族と仔羊」
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/c/2ef738015cc290356486bd77448a2782



ラファエロ・サンツィオ《聖ゲオルギウスと竜》
1504-05年
油彩/板 30.7×26.8cm
パリ、ルーヴル美術館

「怪物が登場する幻想的な絵を描かせても、ラファエロは優れた才能を発揮した。聖ゲオルギウスは、キリスト教が普及しはじめた頃に、弾圧に抵抗した殉教者で、小アジアの王女を救うために竜を退治した伝説をもつ。体をひねって、今まさに竜を撃とうとしている聖ゲオルギウスのポーズは、この頃、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いていた戦争画《アンギアーリ》(現存せず)のなかの騎馬戦のようすに影響されているという。どことなくおかしみのある竜の姿もフランドル地方(現在のベルギー)の絵画などを参考にしている。」


(『週刊 西洋絵画の巨匠 19 ラファエロ』小学館ウイークリーブック2009年6月16日小学館発行より)



「しかしラファエロは、一介の地方画家で終わりたくはなかった。1504年10月、21歳のとき、ルネサンス文化の中心地フィレンツェへと赴く。

 大富豪メディチ家の支配のもと、芸術の都へと発展したフィレンツェには、当時、ミケランジェロとレオナルド・ダ・ヴィンチという、二人の巨匠が集っていた。この頃、二人はフィレンツェ政庁の壁画を競作しており、ラファエロは両者の画風を学ぶべく、その下絵を熱心に見つめた。

 残された素描や絵画などから推測するに、ミケランジェロの作品からは、主としてダイナミックな人物表現を学んだようだ。それ以上にレオナルドが生み出した「スフマート」と呼ばれる「ぼかし技法」と、群像を三角形にまとめあげる構図には魅せられた。フィレンツェ時代に描かれた聖母子像や貴族の肖像画には、レオナルドからの影響が顕著である。

 むろん、たんにミケランジェロやレオナルドの絵を模倣したのではなく、二人の技法を完全にわがものとしてから、自分らしい画風のなかに生かした。ラファエロにかかると、両巨匠の強烈な個性は消され、だれもが美しいと感じられる絵に変貌した。やがて、彼の作品は「グラーツィア(優美さ)」「レッジャドーリア(流麗さ)」などと評されていく。」



 ラファエロの絵はみるものの心を穏やかにしてくれます。竜さえもラファエロにかかると怖いようにはみえず、むしろ優しい表情でさえあるようにみえます。

 日本にいながら、遠くヨーロッパからやってきてくれた絵画と対話した時間もまた全て二度と戻ることのない夢のひとときでした。

『異人たちのルネサンス』以来、メディチ家ときくとキキちゃんが脳内再生される自分、ヅカオタ。もちろんレオナルド・ダ・ヴィンチときいても・・・。


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