たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

2020年『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』-「聖エミディウスを伴う受胎告知」

2021年06月22日 20時10分18秒 | 美術館めぐり

2020年『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』-「マルタとマリアの家のキリスト」
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/2aa9f9ffa9bb731705f611e3f44ca53c






カルロ・クロヴェッリ
《聖エミディウスを伴う受胎告知》
 11486年
 卵テンペラ・油彩/カンヴァス

会場に入って最初に出会った大きな、美しい絵でした。
「左の橋の上の男は、自治権が認められたことを告げている。聖母マリアの妊娠と自治権が認められたことを同時に祝っている」という音声ガイドの案内でした。

公式HPには、「通常、受胎告知には大天使ガブリエルとマリア以外は登場しません。しかし、ここでは町の模型を持つアスコリ・ピチェーノの守護聖人エミディウスや、人々の営みが描き込まれ、聖なる情景が日常の光景として提示されています。」と紹介されています。

https://artexhibition.jp/london2020/highlight/




月組『桜嵐記』『DreamChaser』宝塚大劇場千穐楽-ライブ配信

2021年06月22日 00時40分02秒 | 宝塚
 2021年6月21日(月)13時~、『桜嵐記』『DreamChaser』宝塚大劇場千穐楽をライブ配信で視聴しました。

 珠城りょうサヨナラショー、終盤に『All for One』の「この地上の何処かに」「明日を信じて」と続き、客席では黄色いペンライトが揺れていました。この状況下で、希望のある歌をもって終わるのかとしんみりなっていたら、サングラスを取り出して、「邪魔だ どけ!」と『BADDY』のテーマソングで終わりました。紅ゆずるさんのサヨナラショーが「ち~ん!」で終わったのに匹敵する、明るく賑やかな幕引き、爽快でした。

 「誰も俺を止められない 悪逆非道
  Don,t stop me,I am BAD!
  I,m BADDY!

  天国なんて行きたくない
  天国なんて
  ばあさんたちの行く場所さ
  冗談じゃねえ」

 自分が認識できたところを断片的に思い出すと、『アーサー王伝説』のテーマソング?『エリザベート』のフィナーレより「闇が広がる」にのせて男役群舞(初演から変わらないのが本当に嬉しい)、銃で撃たれてせり下がっていったのは『グランドホテル』のフェリックス男爵かな、初演では久世星佳さんが演じていた役、『カンパニー』のテーマソング、美園さくらちゃんは『I AM FROM AUSTRIA』より「ブロンド」、たまきちとさくらちゃんのデュエットは『夢現無双』より「同じ星空の下で」、さくらちゃんの鬘の長い巻き毛の先がたまきちの袖のカフスに絡んでしまい、たまきちが笑顔でほどいていた光景も生の舞台ならでは、鳳月杏さんと『幽霊刑事』の幽霊刑事、冷媒刑事コンビの場面を再現、二人がコンビを組めばホームズにも負けないは宙組を意識してのアドリブかな、続いて『月雲の皇子』より、よい国を一緒に作っていこうと誓いあう穴穂皇子と木梨軽皇子の場面を再現、そして『All for One』『BADDY』だったかな。

 退団挨拶、たまきちは花を手に最初に口にした言葉が「本日は月組の千穐楽をご覧いただきありがとうございます」と通常運転のトップスター挨拶に客席からは笑い声が。ものすごくらしいなと思いました。黄色いペンライトが揺れる光景に、「○○シカを思い出しました」っていうのは、「風の谷のナウシカ」でしょうか。さくらちゃんの万感の思いを込めた挨拶が心に響きました。初めてみた宝塚がずんこさん(姿月あさとさん)の退団公演「砂漠の黒薔薇」、「いよいよ故郷の大劇場にお別れをする日がやってきました、この甘き調べに満たされた宝塚が永遠に続いていきますように、キラキラと輝く舞台に立ち続けるには相応の努力が必要なのだということを学びました、悩んだ時にはいつも誰かが手を差し伸べてくれるということを学びました」。そのまま記憶にとめることのできない自分の脳みそがうらめしいですが、こんな内容でした。トップ娘役になってからのさくらちゃんの成長ぶりは爽快でした。高い腰の位置、引き締まったウエストと背筋、美脚に並々ならぬ努力があったであろうことを感じます。
 

『桜嵐記(おうらんき)』作・演出/上田 久美子   

「南北朝の動乱期。京を失い吉野の山中へ逃れた南朝の行く末には滅亡しかないことを知りながら、父の遺志を継ぎ、弟・正時、正儀と力を合わせ戦いに明け暮れる日々を送る楠木正行(まさつら)。度重なる争乱で縁者を失い、復讐だけを心の支えとしてきた後村上天皇の侍女・弁内侍。生きる希望を持たぬ二人が、桜花咲き乱れる春の吉野で束の間の恋を得、生きる喜びを知る。愛する人の為、初めて自らが生きる為の戦いへと臨む正行を待つものは…。
「太平記」や「吉野拾遺」などに伝承の残る南朝の武将・楠木正行の、儚くも鮮烈な命の軌跡を、一閃の光のような弁内侍との恋と共に描く。  死を思いながら生きてきた二人の出会い。」(歌劇団HPより)

 光月るうさん演じる老齢期の正儀が、過去を回想するかたちで最初に南北朝の説明をしてくれるので日本史を忘れていても理解できるようになっていました。『月雲の皇子』『金色の砂漠』と並ぶウエクミワールド、珠城りょうという役者との相性の良さ、芝居の月組と相俟って、人が生きるということの根本を問いかける上田久美子先生の真骨頂と思いました。
 
 この与えられた時と力をなんのために使うのかといった台詞が繰り返し出てきたと思います。楠木正行@珠城りょうさん、「なんのために戦っているのか、その答えをみつけるために戦っている」。敵方の北朝の兵も末端は暮らしを立てるために志願した農民たち、河に投げ出された彼らを助けて村に帰してやるつもりだと手当、弁内侍@美園さくらちゃんが敵方をたすけるなどありえない、公家である自分の言うことを聞けないのかというと刀を渡して、では彼らを斬れるのかと問う。多勢である北朝の高師直の軍勢に勝てるはずがない、争いをやめて和睦するために北朝へ自分をつかわしてほしいと後村上天皇@暁千星さんに嘆願し、後村上天皇は亡き人たちを弔いながら生きたいと願うも、後醍醐天皇@一樹千尋さんら北朝に負けて亡くなった者たちの、求めているのは和睦ではないという声に願いはかなわず。足利尊氏風間柚乃くんが南朝側にやってきて、正行に北朝へ寝返れば酒に金に女と、贅沢な暮らしができるともちかけるも断る。楠木正時@鳳月杏さんの義父、日野俊基@朝霧真さんはすでに北朝に寝返り、正時は妻、百合@海乃美月さんの命を守るために離縁するも百合は自害、「この命、世の流れのために使う」と負けるとわかっている高師直との戦に出陣していく。正時と正儀に自分と行動を共にすることはないと告げるも二人は兄と運命を共にする道を選んで出陣。戦いで討たれた正時は百合の待つ三途の川に先に行くと正行の腕の中で命尽きる。自分も撃たれると誰もいなくなっては困ると三男の正儀を逃がし、手当をして村へ帰した北朝の兵だった農民たちが慕って集まってくると後村上天皇を連れて吉野の山へ行くようにと告げて命果てる。

 プログラムは舞台写真が入る東京宝塚劇場版を買いたいし、脚本が掲載される「ル・サンク」で台詞を確認したくなってしまいましたが、ざっくりとこんな理解であっているでしょうか。

 弁内侍「恋を知り、限りを知り、美しさを知りました」、

 満開の吉野の桜の下での女房たち「桜は散るとわかっていながら何故咲くのか」、

  あいまいですがこんな台詞が沁みました。「限りを知り 命を知れ」と『桜嵐記』に込められたウエクミ先生の想いに触れることができたように感じました。出陣を前に、死と共に生きてきた正行と弁内侍が桜の中で契りを交わす場面が素敵でした。公家装束の正行が弁内侍の肩を抱いてせり下がっていく後ろ姿の美しさ、リアルお雛様と思いました。

 高師直との戦の場面は、老齢期の正儀と弁内侍の回想としてスローモーションで動くという演出、盆周りとせり上がりの使い方にストレスフリーで存分に物語の世界に浸ることができました。出陣していく楠木三兄弟の、精悍で凛々しい美しさは宝塚の男役ならでは。己を犠牲にして人のために生きる誠実な正行、たまきちに似合います。ちょっとお調子者で心優しい三男正儀は月城かなとさんに、妻にやさしくお料理好きな次男正時は鳳月杏さんにとても似合っていました。日本物の着こなしの凛々しいこと、美しいこと。クスノキの音頭を歌っているのはどなたかと気になったら、同時退団の颯希有翔(はやきゆうと)さんとのこと。劇場で観劇したら熱量が凄まじい舞台だろうと思います。東京宝塚劇場の2階てっぺん席、楽しみです。この作品、お金のためにオリンピックやろうとしている国のエライ人たちにみてほしいと心の底から思いました。そういう方々がこういった心を揺さぶられるものを求めることはなさそうですが、今この時たくさんの人にみてほしい名作。NHKが8Kで収録済みのようです。

 高師直の紫門ゆりやさんうますぎ、足利尊氏の風間柚乃くんの芝居力さらにマシマシ、娘役さんが公家の男役にも扮していたり、芝居の月組すみずみまでうまい。

 ショー『DreamChaser』、『サジタリウス』で大劇場デビューした中村暁先生らしいファンタスティックな世界観の作品。むずかしいことはなにもいりません。美しくかっこよく、夢々しい世界。月城かなとさんのソロ、この禍の中でも輝きを失わないでといった歌詞があったのは、中村先生の、今を生きるわたしたちへのメッセージと受け取りました。さくらちゃん率いる娘役さん群舞では、さくらちゃんと海乃美月ちゃんがうなづきあっていました。かっこいいと思う場面も満載。あっという間に終わりました。生で観劇後にプログラムで確認したいです。無事に観劇せねばね。これを見逃すのはあまりにももったいない。

月組『All for One!』より_「明日を信じて」
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/6dfe21239403ae7b9636f08e3ce2e315

2013年月組『月雲の皇子』-オンデマンド配信で視聴(2)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/f7e9226a188bad22dcd803eeec0b6692

月組『I AM FROM AUSTRIA』_美園さくらちゃんのこと
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/55abcf3687342e998e96fd2de65fc1a9

(画像はツィッターから拾いました)





 夏至が終わりました。冬至を目指してまた陽が短くなっていきます。また明るくなる前に眠れるようになるでしょうか・・・。