たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

2013年月組『月雲の皇子』-オンデマンド配信で視聴(2)

2021年01月13日 22時46分31秒 | 日記
2013年月組『月雲の皇子』-オンデマンド配信で視聴
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/e548f91ea3954360e015b42663ce5a8e

 オンデマンド配信の視聴期限が終わるので、休日に文字起こし。ラストシーンを書き留めておきたかったのですが、そこに至るまでの経過も書き留めずにはいられなくなり、長くなってしまいました。8年前の舞台の映像、上級生となって今の月組を支えている方々がけっこういらっしゃり、老け役をやっても違和感なく安定しているところはさすが芝居の月組。ラストシーンで対決するたまきち(珠城りょうさん)とちなつさん(鳳月杏さん)の色気のある美しさとかっこよさ、8年前でこれはすごいと思います。汗も美しい。今はこんな激しい殺陣のある演出できないんだなあと・・・。

 名前がむずかしいので劇団のHPに掲載されたキャスト表をみながら視聴。

 雲と蜘蛛をかけているところが面白い。

 「晴れた晩に蜘蛛が糸を出しながら空を飛ぶ姿を「つきぐも」と呼ぶ、月の光で糸が光って綺麗だから月の光の女神さまのところにいくのかもしれない。(蜘蛛族の少年ティコの台詞)」

 少年の日、大和朝廷が敵対する蜘蛛族を征伐するところを見学にいった異父兄弟が、母を亡くした女の子の赤ちゃんをかくまい宮殿に連れて帰るところが物語の始まり。この赤ちゃんが兄弟と同じ母に衣通姫(そとおりひめ)として育てられました。
(木梨軽皇子(きなしかるのみこ)の少年時代を千海華蘭ちゃんが演じているの、ツボのひとつ)

🌹成長した兄弟が蜘蛛族と戦い勝利する場面

穴穂皇子(あなほのみこ)「兄上、また夢を?」

木梨軽皇子(きなしかるのみこ)「花がきれいだ」

穴穂皇子(あなほのみこ)
「兄上、わたしは兄上を助けてこの美しい島を強い国にします。それがわたしの夢、必ずお力になります」

木梨軽皇子(きなしかるのみこ)
「夢か」
「咲いては散りゆくもの、人も花もすべてはめぐりめぐる季節の美しい夢のままに めぐりあったすべてが消えゆくいのちならばいつくしんで生きよう 世界のいのちすべて♪」

🌹神に仕える身となった衣通姫(そとおりひめ)が9年ぶりに里帰りし、兄弟妹の三人で幼い日に学んだ学塾をたずねる場面。(三人が学んだ博徳(はかとこ)【史部を束ねる渡来人】を輝月ゆうまさんが演じているのもツボ。まだ若かったはずなのに、専科の夏美ようさんと並んで違和感のない老け役の見事さよ)

木梨軽皇子(きなしかるのみこ)
(歴史書を読みながら)「おかしい、これらの記録で土蜘蛛討伐にふれているものはひとつもない」

穴穂皇子(あなほのみこ)
「後世に残るべき記録と本当の過去はべつものですよ。王家に対立する勢力は存在しなかったことにする方がいい。できれば殺戮もなかったことにする方が体裁がいい」

木梨軽皇子(きなしかるのみこ)
「だがそれは偽りではないか」

穴穂皇子(あなほのみこ)
「でもそれが伝えるべき正しい歴史なんだ、大和にとって」
「大和以外の国がありえたのは都合が悪いですから、事実は時として正しい歴史ではない、だから修正する」
「記録的事実はまつりごとの役に立つ。海の向こうの国々ではその時々の政権が国家公認の歴史書を編纂するそうです。立派な歴史書をもつことは国造りの条件なんですよ。」
「兄上がこの国を治める時が来たらわたしが指揮してまとめさせましょう。大和の歴史書を」

木梨軽皇子(きなしかるのみこ)
「わたしはまことの物語を遺したい。みながどのように生きたか、何を楽しみ何をよろこんだか、わたしたちが死んだあとも誠の姿で心が遺るような」
「この世には二種類の人間がいる。歌を詠むものと言葉を弄するもの。先生の口癖だった。ふひとめたちがやっていることは言葉を弄することだ」

🌹蜘蛛族の少年ティコを助けた木梨軽皇子(きなしかるのみこ)と弓で討った穴穂皇子(あなほのみこ)のすれ違い。

穴穂皇子(あなほのみこ)
「兄上、あなたのやさしさは国をほろぼしかねない。やさしさをお捨てください」
「自分の定めから逃げているだけです」

 兄とわかり会えないことに苦しむ穴穂皇子(あなほのみこ)に身狭村主青(むさのすぐりあお)【王家の参謀を務める渡来人】が自分はお前の父だと名乗り、「そなたでなければこの国は導けぬ」「この世に存在してはならぬ土蜘蛛とかわりませぬ、そのことを受け入れられぬのであれば己の命をこの世でもっとも正しきものにかえてごらんなさい、王位をとりなさい」と讒言。兄と弟は美しく成長した衣通姫(そとおりひめ)をめぐってさらにすれ違っていきます。

 允恭(いんぎょう)天皇が亡くなると王位を継ぐ儀式の場で穴穂皇子(あなほのみこ)は、身狭村主青(むさのすぐりあお)の、木梨軽皇子(きなしかるのみこ)と衣通姫(そとおりひめ)が契りを結んだという讒言を「真実である」と嘘の証言をしてしまいます。島流しを命ぜられた衣通姫(そとおりひめ)をかばって木梨軽皇子(きなしかるのみこ)は伊予へ流刑となります。穴穂皇子(あなほのみこ)は王位につき、衣通姫(そとおりひめ)を妻とするのでした。

穴穂皇子(あなほのみこ)
「わたしは偽りの言葉を弄した」

博徳(はかとこ)【史部を束ねる渡来人】
「この世界では勝ったものが真実。勝者の語る言葉のみが歴史として残る。のちの世に名も残せる命がある、消え果てぬには常に勝者のそばにあることをわたしは流浪の果てに学んだ、そして今はあなたが勝者のようだ」

 流刑となった木梨軽皇子(きなしかるのみこ)は蜘蛛族を率いて、負けると知りながら大和朝廷への戦いに挑んでいきます。穴穂皇子(あなほのみこ)も「苦しい」、「なにもかも失ってしまった、衣通姫(そとおりひめ)も。だからああやって戦い続けている」、兄と弟の争いをとめたい二人の母は、衣通姫(そとおりひめ)に、木梨軽皇子(きなしかるのみこ)の元へ赴き、戦いをやめるよう話してほしいと頼みます、それが唯一の手立てだと。衣通姫(そとおりひめ)もまた母の娘。

🌹蜘蛛族を率いる木梨軽皇子(きなしかるのみこ)と大和朝廷の強大な軍を率いて伊予討伐しようとする穴穂皇子(あなほのみこ)との一騎打ち、ラストシーン。

穴穂皇子(あなほのみこ)
「おかわりになられた」

木梨軽皇子(きなしかるのみこ)
「お前も変わった」

穴穂皇子(あなほのみこ)
「もういくさの最中に歌はもうお詠みにならぬか」

木梨軽皇子(きなしかるのみこ)
「詠まぬ」

穴穂皇子(あなほのみこ)
「つきぐもの皇子、我らは同類のようだ」

木梨軽皇子(きなしかるのみこ)
「違う」

 衣通姫(そとおりひめ)が蜘蛛族をかばって命を落としたことを知らされると満身創痍の木梨軽皇子(きなしかるのみこ)はさらに戦いを挑んでいきます。
(ウエクミ先生がたまきちとちなつさんの力を信じたという盆の上のこの場面、ひとつひとつの言葉に息をのみます)

穴穂皇子(あなほのみこ)
「ふたりの志はひとつではなかったのか、わたしたちの故郷を、民を守ることではなかったのか」
「ともに夢みたのは安寧の世ではなかったか」

木梨軽皇子(きなしかるのみこ)
「言葉はむなしい」

穴穂皇子(あなほのみこ)
「一人の娘を哀れんだのではなかったか」

木梨軽皇子(きなしかるのみこ)
「弟よ、問うべきことは刃で問え!わたしはもう言葉では語らぬ」

ボロボロになりながら、なお穴穂に挑んでいく木梨はついに穴穂に切られます。

穴穂皇子(あなほのみこ)
「これがわたしたちの答えか。」

穴穂の腕の中で志がひとつだったころの歌を歌う木梨。

木梨軽皇子(きなしかるのみこ)
「歌でしか言えぬ思いがある。あの娘を守れなかった」「泣くな、穴穂よ」

穴穂皇子(あなほのみこ)
「泣いてなど・・・」

木梨は穴穂の腕の中で息絶えます。
死後、穴穂皇子(あなほのみこ)は、木梨を逆賊として歴史書に残そうとする博徳(はかとこ)【史部を束ねる渡来人】にこう命じます。

「きなしかるのみことそとおりひめみこは伊予の海でともに自ら死んだ。月の輝く晩、二人は一艘の小舟にのって沖へ漕ぎ出し、二人はどこまでも共に行き、二度とこの世界の岸には戻らなかった」
「二人の物語を綴れ、わたしの語ったように、まつりごとのためではなく」

博徳(はかとこ)
「なんのための偽りを?」
「穴穂殿、この国をいい国にしましょうな」

 月が静かにやさしく人間たちを照らしている美しい舞台、月組ならでは。月というモチーフは使い勝手がいいですね。咲妃みゆちゃん演じる衣通姫(そとおりひめ)の木梨への「あなたをお慕いしています」という言葉も宝塚ならではの美しい響き。ゆうみちゃんの可愛らしさ、ヒロイン力もすでにすごかった。

 たまきちのプレ退団公演で相手役?をつとめるちなつさん、日曜日にライブ配信予定のバウホール公演にも出演、瀬奈じゅんさんがたまきちに「ちなつが月組に戻ってきてよかったね」って声かけたっていうちなつさんとの対談での話、『I AM FROM AUSTRIA』を観た時二人がリスペクトし合っているのがわかったって。ライブ配信、見逃すわけにはいかないかな。









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