65オヤジのスタイルブック

現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展・名古屋市美術館

現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展

何とも意味深で長いタイトルだ。名古屋市美術館で開催中のヤゲオ財団コレクションによる「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展」が開催中です。

最近新たなトレンドになりつつある金曜日の夜にアートを楽しむと言うことで友人を伴って出かけました。現代美術のコレクションでトップクラスにある台湾のヤゲオ財団コレクション73点のコレクションは、アンディーウォーホル、フランシス・ベーコン、マーククイーン、ゲルハルト・リヒターなどの巨匠作品が並ぶ。まさにハードコア(中核)な作品群です。

印象に残ったのはリヒターの初期から現在に至る表現の差異と共通点でした。今回の表紙を飾った作品はリヒターの初期の作品で2012年に抽象画作品として最高額の27億に近い最高落札額を記録した作品とは表面的には極端な差異があってもその表現方法においては共通する点が多く興味をそそった作品でした。アート観賞をファッションとしてとらえるならば、ケイト・モスを題材にしたマーク・クインの黄金のオブジェ作品は新しい観賞者を広げる上でも大いに注目できる作品です。

また、金沢21世紀美術館に並ぶ人気美術館である十和田市現代美術館が所蔵する巨大な女性彫刻のスタンディング・ウーマンで有名なロン・ミュエクのスーパーリアリズム小作品から衣装の精巧さと人物のリアリティを細微に感じ取ることができました。

今回の展覧会で注目される試みは、サザビーズやクリスティズなど国際オークションによる落札額が作品にキャプションで紹介されているところです。一部の美術愛好者には、絵画の価格を知ることなどゲスの極みのように思われているが、一般的にオークションによる高落札が話題となるのだから、この作品が幾らになのかと考えるのはごく自然なことだと思っています。むしろ今までしなかったことのほうが不思議なことだと思います。

美術品を入手することは、美術館から一般家庭まで購入により成立するのですから、今回のように作品の落札額を紹介したことで、特に現代美術のような分かりにくい世界では、価値を価格で見出すことで観る人の評価は千差万別となり、シンプルに芸術を好き嫌いで判断することで興味のひとつになるように思えました。また、日本のバブル期に印象派を中心に多くの作品が高値で落札され日本で所有された歴史と比べ、中国バブルを背景に中国人コレクターが自国の画家の作品を高値で落札していく現状を考えると絵画投資においては、現在の状況の方が戦略的には実に効果的に動いていることが確認できる展覧会でした。

ともあれ、美術市場の中で、元気があるのは現代美術で近代以前の作品と差がないほどに高嶺で落札されている現在、美術を通して様々な感情が生まれ、芸術の幅が広がっていくことを個人的には望んでいます。


ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「【美術鑑賞・イベント】」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事