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映画 だましだまされアート界:贋作を巡る物語

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先日、Netflixでアート関連の面白いドキュメンタリー映画を視聴しましたのでご紹介します。

タイトルは「だましだまされアート界:贋作を巡る物語」アメリカで165年の歴史を持つ最も古い老舗画廊ノードラー商会で起きた贋作詐欺事件の顛末を関係者の証言を通して描いたドキュメンタリー作品です。

事の顛末を簡単に説明するとロングアイランドの女性画商のロサレスがアメリカ抽象絵画の巨匠マーク・ロスコ、ジャクソン・ポロック、ロバート・マザーウエルなどの絵画をノードラー画廊に持ち込んだことに端を発します。画廊主の女性アン・フリードマンは、1994年から2011年までに販売したが、実は中国系画家のペイ=シェイ・キアンが制作し、ロサレスとその恋人のスペインの画商ホセが共謀して行ったことがわかり、ノードラー画廊とフリードマンを相手に訴訟にまで発展した事件です。

世界中では贋作事件は数多くありますが、今回の事件は、他の贋作事件とは意味合いが異なります。現在では科学的鑑定が真贋の大きな根拠となっていますが、アン・フリードマンは元より美術鑑定人の真贋が自らの目を信じている点。そして、抽象絵画という歴史が浅く真贋の論証が曖昧である点です。

アン・フリードマンと鑑定人が騙される最大の要因が、鑑定の根拠の一つである来歴。ロサレスとホセは、来歴を偽装し、さもありげな嘘のストーリーをでっち上げるのですが、それを信じてしまったフリードマンと関係者が滑稽に思えます。そこには、自身のキャリアによる信じ込みがあったのです。

アン・フリードマンは、あくまでも被害者だと主張していますが、三件の訴訟が示談、和解となっています。彼女が共犯者であったかは闇の中です。ノードラー画廊は、この事件を機に閉店していますが、晩年の老舗画廊は、ハマー財団が経営権を持ち売上を小遣いの道具にされていました。結局は金に目がくらんだ連中の体のいいビジネスにでしかなかったのでしょう。

結局、逮捕され刑に服したのは名もなき女画商?ロサレスのみ。贋作師のペイは、中国に逃亡し、ホセは健康上の理由でスペインに。アメリカには引き渡されず、アンは現在も美術商として現役。事件の真相は闇の中に葬り去れました。

おそらく20世紀初頭以前の美術品の鑑定は、いわゆる美術鑑定人による真贋は難しくなってくると思います。これからは、科学的鑑定が主流となってくると思いますが、新しく発見された絵画の真贋は100%とは言えなくなると思います。それこそ信じるか信じないかは、あなた次第なんてことになってくるんではないかと思ってます。

だましだまされアート界: 贋作をめぐる物語 | Netflix


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