65オヤジのスタイルブック

DVD・母と暮せば

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回はキネマ旬報ベスト10作品から吉永小百合、二宮和也共演、山田洋次監督作品の「母と暮せば」です。

 

今回の作品は、戦後70年、松竹が120周年記念作品として総力を挙げた作品だけあって、あまり説明がいらないと思います。

長崎を舞台に原爆投下により二人の息子を失った吉永演じる母と恋人を残し原爆被災により死んだ二宮演じる次男が母の元に幽霊となって現れ、束の間の生活を共にするというファンタジックな作品です。

母を慕い、この世を去った二宮と吉永の親子の会話は、戦争がなけらば普段通り続くであろう日常生活の中でひとこま。そのひとこま、ひとこまを丁寧に描き、ユーモアを交えながら進んでいく景色は叙情的でもあります。

原爆投下により一瞬での死と戦地での戦いによる無念の死。兄弟の異なる死後も描かれる、弟の瞬間の死をインクのボトルが溶け、砂塵となる表現で描き、兄の死は、死神のごとく母につきまとう姿で描くことで、戦争の持つ悲惨さを二つの側面で描いているところや母のキリシタン信仰によるラストの展開も象徴的でした。

戦後70年、いかにして戦争の記憶を残していくか、また観る人の好みもますます多様化しています。キネマ旬報ベスト10に選ばれた作品にも、その要求に応え得る作品が顔を揃えていました。戦後の切り口の中では、一番この作品が、昭和的な雰囲気を持っていて、今観る人に呼応しやすい作品だと思います。


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