映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、井浦新主演、成田凌共演のバイオレンス青春グラフティー「ニワトリ★スター」です。
知的でクールな存在感を放つ井浦新。僕が好きな俳優の一人です。また、成田凌は、若手俳優としてドラマや映画で活躍、知的で線の細い役柄を演じることが多いと思います。
そんな、二人の競演は、そのイメージを根底から覆すもの。どうしようもないクズのイメージの大人を演じてます。特にタイトル名のキャラクターを楽人を演じた成田凌は、ピンクのモヒカンにタトゥーの入ったクレイジーながら、怒りと怯えが同居する青年を見事に演じてます。
今回の原作者であり、かなた雄一狼の初監督作品で、クラウドファンディングで資金を集め、井浦新との共通の友人による出来上がり、成田凌も楽人役を熱望して実現したそう。キャスティングを観ても二人の人望によるところが多いなと思います。
主演の井浦演じる草太は、目的もなく大阪から上京し薬の売人とバーのアルバイトでその日暮らしの生活を送るダメダメな30男で居候状態の楽人をかわいがる兄貴的な存在です。また、二人の暮らすアパートの住人たちも、普通の生活には縁遠い変態揃いです。
そんな、二人の安穏とした生活が一人の疫病神により、不良たちを仕切るヤクザによって、予測不能の事態に巻き込まれていきます。目を覆いたくなるようなバイオレンスな世界もカラフルなコミックの世界に包み込み、エログロなシーンもどこか滑稽でおもしろいコメディー仕立てのシーンの連続、そして、楽人の過去が明るみになると、衝撃的なラストに加え、ファンタジックな世界が描かれて感動的ですらあります。
今回の作品を観ると、人間って愚かな存在で、世の中をうまく立ち回れない人々の方が、むしろ魅力的で生きることに強い熱を持っている人が多いなと思います。かつては、時代の区切りで、今回のような作品が存在しました。ニワトリ★スターも、そんな時代を代表する作品だと感じます。