映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、夢の国フロリダのディズニーランドの隣の安モーテルで繰り広げられる管理人と住人たちとの生活を追った社会派ドラマ。「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」です。
監督は、インディペンデント映画の世界で注目のショーン・ベイカー。今回の作品は35ミリフィルムで撮られています。僕は観てないのですが、2015年の「タンジェリン」では、全編iphoneで撮影されサンダンス映画祭で話題となっています。機会があれば、ぜひ鑑賞してみたいなと思っています。今回の作品も、35ミリのフィルムのアナログの温かみとカラフルさが表現されてました。
今回の作品は、夢の国フロリダのディズニーランドの隣にある安モーテルに住むシングルマザーのヘイリーとムーニーの母娘が主人公です。ちなみに母娘を演じたブリア・ヴィネイトは監督はインスタグラムで見つけ出し、娘役のブルックリン・キンバリー・プリンスは、3歳で女優デビューの天才子役だそうで、この母娘の演技が秀逸です。ほかにも管理人役にプラトーンで知られる異色のバイプレヤー、ウイレム・デフォーが出演してます。
無職のヘイリーやモーテルの住人仲間は、マイノリティーや失業者で家賃を払うので精いっぱいの生活を送っていますがフロリダの青い空のように陽気に暮らしています。そこに住む子供たちは、学校に通うのもままならず、いたずら好きのムーニーを中心に小さな世界の中で遊びまわっています。そんな日常がずっと続くのですが、子役の生き生きとした演技と子供たちのいたずらに手を焼きながらも、温かく見守ってます。そうした日常を切り取りながら、アメリカ社会の抱える問題もちゃん目に見えない部分で流していて、とても深い作品だと思いました。
特にヘイリーの自由奔放で、子供に対して放任的な態度には、日本では考えられない無責任さに思えるかもしれませんが、昨今日本で頻発している幼児や児童虐待の実態を知るにつけ、この映画には生活は破たんし、ハチャメチャなシングルマザーでも、決して子供には手を出さず、一緒に過ごす時には溢れ出るほどの愛情を娘に注ぎます。その愛は、ラストで、二人の深い絆となって表出します。
お金がなくても、その日暮らしの生活を送っていても、子供と共に生きる姿はフロリダの青空のように爽快で暖かく、ディズニーランドの外で繰り広げれる子供たちの陽気な姿は、中の恵まれた子供たちよりも、豊かな想像力と感性にあふれていました。