世の中、現代アートがなんとなくブームです。瀬戸内国際芸術祭や愛知トリエンナーレの成功により現代アートは、急速的に支持されています。
ひとつには、村上隆や奈良美智、古くは岡本太郎や草間弥生などのスターの誕生が一因しているように思います。しかしながら、アーティストの作品がどのようにして認識され、支持されているかは、きわめて曖昧に感じます。
もし、現代アートが一時のブームで終わってしまったなら、アート界には悲劇であり、かつてのアートバブルになってしまったなら、現代アートの未来は暗いです。
先日京都を訪れました。目的は、現代アートの世界に足を踏み入れた娘の個展を観賞することでした。現代美術ギャラリーKUNST ARZTを主宰する美術家の岡本光博氏の口添いで、今回の個展「カタチをつむ」前田真喜展が実現しました。
今回の個展のテーマである「カタチをつむ」は、日常にある素材を通して、本来ある様々なカタチから、新しいカタチをつくるもので、現代アートの領域としては、身近で日常的な感覚です。
たとえば上段の作品は、立体である折り紙をの制作の過程で平面のカタチで図案化したものです。また、下段の作品は、手袋を人の手に替えて手話を表現しています。全体の観れば、その作品が何を意味しているかわかってくると思います。
このように、現代アートは、作者の意図するものを、観る者のインスピレーションを使って想像することで、作品とのコミュニケーションが図られるものです。
どんな、ジャンルの芸術でも、第一印象は重要で、直感的に楽しみ、そして作品や作家と対話することで、本来見えなかったものが見えてくる。それがアートの楽しみ方でもあります。
その意味でも、様々な領域を持つ現代アートの世界は、新しい世代にはファッションや音楽と同じように楽しめるアイコンのひとつと言えます。