65オヤジのスタイルブック

ハマスホイとデンマーク絵画 東京都美術館


東京アート巡りパート2今回は、東京都美術館で開催中のハマスホイとデンマーク絵画です。あまり彼の存在が頭の中になかった僕ですが、今回の東京都美術館のレストランランチが良かったのとポスターの作品がとても印象に残ったので鑑賞することにしました。
 
ハマスホイの存在は、アートファンでもあまり知られていないと思います。北欧デザインは知名度があっても、デンマーク絵画自体にヨーロッパの美術史に足跡を残す存在ではないからだと思いますが、だからこそ、今回の展覧会は、未知なるものに足を運び新しい発見が得られたらと望みを抱きながら鑑賞しました。
 
ハマスホイは、2008年に日本初公開され20万人を動員したそうです。今回は、40点近いハマスホイの作品が展示される大掛かりな展覧会で、さらにデンマークの名画を多数展示されていました。彼の作品を語るうえで、よく言われるのは北欧のフェルメールと称される構図の類似点ですが、色数を極力減らし、柔らかで静謐な描写から個人的にはフェルメールと似て非なるものだと感じました。美術雑誌では、その点を誇張し、フェルメールと比較することでハマスホイの作品の認知度を上げようとしていますが、このことは、画家自身にとって弊害ではないかと感じました。
 
日本での熱狂的なフェルメールブーム、これは若冲にも相通じるものがあるのですが、こうした比較は画家自身の評価を狭めてしまい正しく評価できない状況を作り、美術ファンの間口を狭めてしまうと感じています。あえて言えば偏狭的な美術ブームを後押ししてほしくないのです。
 
今回の会場を観てとても安堵したのは、おそらくは北欧好きな若い世代の女性が鑑賞していて、明らかにフェルメールファンが少ないように感じたことです。彼女たちの新しい感性が、日本には必要でハマスホイと言う画家のイメージを聞いてみたいと思いました。
 
ともあれ、今回の展覧会は僕にとっては新しい発見が多くありました。僕の親しい女性ファンは、ゾクゾクする怖さを感じると言ってましたが、北欧のどんよりとした空や装飾を的なものを配した薄暗い部屋などそうした空気感を怖さとして捉えてるんだなと思いました。僕は、そういたイメージをはないのですが、部屋の中に静かにたたずむ女性には、もの悲しさを感じるのですが、それが決して不幸なイメージではなく、どこか女性の日常的な生き方を感じました。ハマスホイの絵画は、観る人の想像力をじわりじわりと駆り立てていく不思議な魅力がありました。
 
他にもデンマークの気候風土や生活が反映された、庶民をテーマにした作品は数多くあり、アメリカ東部の田舎町を描き続けたワイエスのような静謐な世界の中に人々の生きるエナルギーを感じる作品が数多くありました。
 
最後に、先ほどの美術雑誌を通じて批判的なことを述べましたが、ハマスホイを知る上で末尾に的を得た言葉がありました。「ハマスホイは、日本の茶室にも通じる、何もないことの美を追求した芸術家。。。。ものがあふれた時代に、何もないことへの安らぎを求めたのかもしれません」ハマスホイにとって、モデルとなった愛すべき妻と過ごす空間こそが、彼にとっての唯一無二の安らぎではないかと僕は思います。
 


 


 
 

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「【美術鑑賞・イベント】」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事