見出し画像

65オヤジのスタイルブック

床の間芸術から会場芸術への展開・古川美術館

古川美術館と爲三郎記念館で現在開催中の企画展「芸術寸法・床の間芸術から会場芸術への展開」が10月5日まで開催中です。

床の間芸術と会場芸術と言う言葉。実は近代日本画壇で展開された芸術です。床の間は、言わずと知れた日本家屋においての客間や茶室の空間の中で展開する、掛軸や花器、香炉等を含むプライベートな芸術と言えます。会場芸術は大型作品が並ぶ展覧会で会場を意識したことから大衆芸術として批判され、床の間芸術と会場芸術は互いに相反する芸術スタイルです。

古川美術館の1階では、会場芸術の提唱者として青龍社を創設した川端龍子の作品に、その孫である岡信孝や東海出身の市野亨に長男の市野龍起や水島裕など所属画家の大作が並びます。

青龍社は、龍子の死により解散するまでに横山操、福田豊四郎、加山又造などの日本画家を輩出し、日本画壇の歴史に一石を投じました。それは、細緻な技法を旨とした当時の主流であった床の間芸術とは一線を画した自由な表現で展開され、単なる作品の寸法を超える表現の違いがあります。

しかしながら、床の間芸術の中にも今までにない筆致をあみだした画家がおり、その代表が朦朧体を表現で有名な巨匠・横山大観です。彼は、日本伝統的な床の間芸術の世界にこだわりながら新しい表現に挑戦した画家でした。

今回のタイトルにある芸術寸法は、床の間芸術と会場芸術の違いを作品の大小、空間の違いを超えて芸術表現としての尺度を現し近代日本画の原点を感じさせた展覧会となっています。

爲三郎記念館からの庭の眺め、掛軸や花器、香炉、茶道具など多彩な作品が日常的な空間として巧みに展示されています。日本の伝統美を十二分に味わえる展示といえます。


ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「【美術鑑賞・イベント】」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事