65オヤジのスタイルブック

DVD・美術館を手玉にとった男

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、30年間にわたり全米中の美術館をだまし続けた贋作者に迫るドキュメンタリ作品「美術館を手玉にとった男」です。

僕が携わっているアートの世界でも、贋作は多数存在します。しかしながら、その大半は本物と似て非なるものばかりです。中には本物と見間違うものもありますが、逆に本人の署名のもとに描かれていれば相応の価値を持つ場合もあります。ただし、その価格は、本物と比べれば、雲泥の差があります。

今回の映画は、通常の贋作者とは、かなり異なる存在の男です。全米20州46の美術館に展示された100点に及ぶ作品が贋作であったと言うことだけで驚きです。なにせ、豊富な知識と経験を持つ学芸員を手玉にとったわけですから。しかも、そのすべてが無償で。

贋作画家マーク・ランディスは、図録を基に様々な技法を用いて贋作を仕上げていきます。しかも、その材料はウォールマートなどのスーパーで誰もが手に入ることものばかり。その緻密な作業に加えて、彼の画家としての技術に驚きました。

無償による寄贈や彼の静かな奇行ぶりと生活。マーク・ランディス自身がアートであると感じます。今の流行りで言えば、彼の行いすべてが現代アートそのものです。

原題の「ART&CRAFT」が物語るように何より彼自身が自ら芸術家であると認めないところに、真の芸術家の姿を見るようでした。


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