65オヤジのスタイルブック

DVDキューティー&ボクサー

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、日本の現代美術の先駆者とその妻を描いたドキュメント「キューティー&ボクサー」です。

 

空前の現代美術ブームと言える現在の日本。今やこの種の展覧会では、多くの若者で会場がにぎわっています。今回の作品は、アカデミー賞のドキュメント部門にノミネートされた作品で、岡本太郎氏も絶賛した篠原有司男とその妻乃り子の40年にわたる結婚生活を振りかえる作品です。

現在81歳になる有司男と59歳の乃り子。日本で初めてモヒカンになった男。ボクシングペインティングによるアクションペインティングやダンボールアートなど1960年代に日本で注目を浴びた彼も、40年に及ぶニューヨークのアートライフは決して裕福ではなく工房と自宅の家賃を払うのもままならない生活。そんな中で、精力的に作品に取り組むエキセントリックでエキサイティングな姿は圧巻です。また、乃り子の静かな愛と情熱で現実の生活を乗り切って行く姿は爽快です。

作品の中に流れる、現在から過去にわたる数々の映像記録の中にある前衛芸術家として生きる有司男の姿に、本来あるべき芸術家としての姿を感じ取れました。

画商も含め、日本とアメリカの美術市場はかなり異なります。たとえ才能に恵まれていてもアメリカにおいても、アーティストが受け入れられるか否かは、その時代の市場性にも左右されることは共通するところだなと感じます。ゆえに国際的に活躍する前衛芸術家のひとりである彼とて例外でなく、自らの芸術への信念を貫ぬいた有司男と共感し、影響を受けながら妻として、また教え子として生涯を共にする乃り子の愛の在り様には賛美を贈りたいと思います。


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