人生論:「生涯発展途上」を目指して

消化器内科医になった起業家・弁護士・会計士、岡本武士による人生論や新たな視点の提供、身の回りの出来事に対するコメント等。

地方病院の実情

2006-08-09 00:05:52 | 出来事
先週は久しぶりに入院などというものをしてみました。しかも、栃木県宇都宮市で。問診・触診なしに「熱中症だな!」と言われましたが、食中毒だったと思います。無理やり点滴を4本打ってきました。

地方病院に入院することはもちろんのこと、訪れるのも初めてでした。とても辛い経験ではありましたが、同時にとても勉強になりました。

まずは緊急外来で診てくださった先生ですが、「これから52時間勤務だ」と仰ってました。明らかに40代後半ぐらいなのに。いくら労働基準法があてはまらないとしても、これはひどすぎるし、患者としても心配ですよね。顔も見ずに診断したくなるのもわかります。ちなみに私の最大連続勤務時間は60時間程度だったと思いますが、能率どころか世界がぼんやり白かっただけで目がほとんど見えませんでした(怖かったです)。

そして看護師もとても不安そうに点滴の針を入れてました。というか、「わかんないなぁ」といいながら適当に腕を刺されました。案の定血管にまっすぐ入らず、結局手の甲(ここは痛いんです)でやり直しになりました。今でも腕が青いというか、黄色いというか、まあ内出血の修復中です。

失敗するのはよくありますし、東京にある某一流私立大学付属病院(これでは普通にわかってしましますね)で麻酔してもらったときも同じことが起きました。麻酔と点滴では針の太さなど違うんでしょうが、まあ、医療従事者も大変だということです。地方での問題は、不安でも実践で覚えるしかなくて、指導してもらえないということでしょうか。回りの人も忙しすぎるので。もちろん、不安を声に出してしまっては絶対ダメですよね。上記東京の病院では自信持って失敗してました(これはこれで困りますが・・・)。

病室は6人部屋。平均年齢は私を入れても80才程度だったかもしれません。うるさくても意外と寝れるものだな、と思いながら起きてみて時計を見ると15分しか経ってないということが何回もありました。懐中電灯でチェックに来られると必ず目が覚めます。看護師が着ているということなので、みんな甘えたくてしょうがなくて文句を言い出します。すると余計目が覚めてしまいます。

技術的には意外と進んでいました。はじめて授業で学んだ機材を使うことになったり(パルスオキシメータなど)、見れたりして良い経験でしたし、点滴しながら歩き回るとどんな感じなのかも体感できました。これは慣れで、結構しっかり固定されているので棒が倒れなければ大体大丈夫なんですよね。

車椅子に乗せられて運ばれましたが、これも意外と斬新な経験でした。恥ずかしいかなと思っていたら、痛みでそれどころではなかったし、ちょっとの距離でも歩くより全然楽でした。歩けるならいらないのかな?と思っていたのですが、一歩一歩が辛いときにはまさに助け舟となります。

地方病院には医療従事者が足りないというのを肌で感じることができたので、自分が行かなかったとしても医療政策面、待遇面などのさまざまな提案を該当機関にできるようになりたいと一層感じる2日間でした。