路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【政界地獄耳・06.26】:総裁が代わって支持率が上がるほど甘い状況ではない

2024-07-02 07:40:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【政界地獄耳・06.26】:総裁が代わって支持率が上がるほど甘い状況ではない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・06.26】:総裁が代わって支持率が上がるほど甘い状況ではない 

 ★総裁選挙を9月に控えた自民党内紛のお粗末さは、私怨(しえん)や好き嫌いが前面に出て自民党再生の議論ではないことに閉口する。前首相・菅義偉が「首相自身が責任に触れず今日まで来ている。不信感を持っている国民は多い」とし、次期総裁選では新たなリーダーが新たな政策を掲げて臨むべきだとの認識を示したことが号砲になったようで、麻生派や旧茂木派の若手が党内の声をリードするように「こういう状況に至った責任は最終的に誰かが取らなければならない」と首相・岸田文雄責任論を言い出したが、立憲民主党・小沢一郎が「責任は自民党全体にある」と指摘するように、国民は岸田の首相としてのリーダーシップと、政治とカネの責任の所在は別だと認識しているので、まぜっかえす議論に全く反応しない。

岸田首相と菅前首相を巡る政局関係図© (C) スポーツニッポン新聞社

 ★「再選などと軽々しく口にせず、思いとどまって新しい扉を開く橋渡し役を担ってほしい」との声もあったが、これは政調会長代行・田村憲久の「総裁が代わっても支持率が上がるほど甘い状況ではない」が適切な回答だろう。「菅さんはここまでやって初めてひとつの区切りになるというハードルを示して、それが岸田でやりきれなければ、誰ならそれを実現できるし、『責任をもってやりきらせる』とでも言ってくれれば納得するが、あれでは岸田を代えれば解決するに聞こえる」(自民党閣僚経験者)。別のベテラン議員は「国会が閉会したと同時に総裁選挙がスタートしたということだ。今はつまらん情報戦や当てこすりのようなやりとりが続くが、議員たちが地元に帰れば支援者の政治とカネへの不満、生活苦などの声を聞き及べば、党内で争っている場合ではないと気づくはず」とこの状況をたしなめる。

 ★ただ、国会が閉会したことで、この動きは水面下に潜ることになる。岸田降ろしの声が広がる場合、その後に座る新総裁がその任にあらずの場合、自民党の信頼は再び地に落ちるだろう。(K)※敬称略

 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2024年06月26日  07:40:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・06.25】:カオス状態の都知事選 「立候補案件」増やす方法も

2024-07-02 07:40:10 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【政界地獄耳・06.25】:カオス状態の都知事選 「立候補案件」増やす方法も

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・06.25】:カオス状態の都知事選 「立候補案件」増やす方法も 

 ★NNNと読売新聞が今月21日から23日まで行った世論調査のポイントは岸田内閣の支持率は23%と政権発足以来、最低を更新したことだが、興味深いのは次の衆議院選挙後の政権についての問いでは「自民党中心の政権の継続」が46%で、同じ質問をした前回5月の調査より4ポイント上昇、「野党中心の政権に交代」は42%で前回と横ばいという。

 ★前回と今回の調査の間には政治資金規正法改正の出来の悪さを野党は攻め、内閣不信任まで提出している。この調査でも国民も「評価しない」が56%で「評価する」の34%を上回ったが、それが野党の評価にはつながっていない。政治とカネの問題解決は規正法の改正や、小手先の変更よりも政治の集金システムの根本的な変更と、それに伴いカネを出す企業団体側にも透明性を高めた新ルールを見つけ出すしかない。逆に言えば慣例にしがみつき、カネがかかるとしか言わない自民党の考えの古さに対しての批判が大きいと考えられ、その解決策を提案した政党が国民が求める政党に躍り出る可能性がある。

 ★今、都内は都知事選真っ盛りだが、既に話題は都知事選ポスター掲示のカオスや、過激な政見放送に興味や関心が移っている。公職選挙法や都条例にのっとった候補者のみが行使できるポスターや政見放送がおもちゃになっているが、これも政治改革と同じだ。「誰か何とかしろ」と正論を吐き続けていても解決しない。選挙の自由を守るために公権力の介入は避けたい。だが違法でないから合法という屁理屈に国民が不快感を持つのは政治改革と似ている。政治家側の抜け穴探しなのだ。例えば供託金とともに、出馬を準備している候補者を推薦する推薦人署名を求めるなどの立候補要件を増やすことだろう。首長選挙は4年に1回。準備や覚悟には十分だろう。だが現職が出馬するのかしないのか、議会などとの駆け引きができなくなるが、有権者には無用のけん制だ。この際そういう人はやめてもらえばいい。(K)※敬称略 

 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2024年06月25日  07:28:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・07.02】:能登地震から半年 7月からのカレンダー

2024-07-02 07:18:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【社説・07.02】:能登地震から半年 7月からのカレンダー

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・07.02】:能登地震から半年 7月からのカレンダー

 元日の能登半島地震で被害の大きかった石川県能登町宇出津(うしつ)に、7月から始まるカレンダーがあります。毎年7月第1週の週末にある「あばれ祭」が、この港町にとって一年の始まりだからです。地元の小学校では、祭りの翌日にはもう、「祭りまであと○○日」と黒板に書き出されると聞きました。地震の影響で危ぶまれましたが、5、6日の開催に向け、町は活気づいています。

 約350年前の江戸時代、この地域で流行した疫病が京都から迎えた祭神によって鎮まったため、奉灯をかつぎ、地元の八坂神社へ詣でたのが始まりとされます。各町内から出る「キリコ」と呼ばれる高さ7メートルの奉灯40本が練り歩き、2基の神輿(みこし)を川や火の中に投げ込むなど、担ぎ手があばれ回る奇祭でもあります。

 ◆「祭りの宝庫」襲った災害

 闇の中でたかれる大たいまつの炎とキリコの光が乱舞する光景に、ドイツ文学者の故・池内紀さんは著書「祭りの季節」の中で「わが国に残されている祭礼のなかで、宇出津キリコはもっとも火と明かりの威力と美しさを見せつける祭り」と書き残しました。
 
 祭りを取り仕切る宇出津祭礼委員長の新谷俊英さん(70)には迷いもあったといいます。それでも「前を向きたい」と開催に踏み切りました。「能登人(のとじん)にとってキリコ祭りは生活に根付いた文化、先祖から受け継いだ血のようなもの」と新谷さん。近づく祭りを前に「地震で亡くなった人、今も避難している人がいる。例年とは違う意味合いがある」と表情を引き締めました。
 
 能登は「祭りの宝庫」です。とりわけ、夏から秋にかけ、能登半島一円、地域ごとにキリコ祭りが繰り広げられてきました。その数は約200。どの地域でも主役は巨大なキリコ=写真=です。
 
 
 多くは縦長の長方形で、多彩な文字や絵が描かれ神輿を先導します。大きさや豪華さを競い、個性あるキリコはそれぞれの地域の誇りになっています。
 
 しかし、地震の影響で多くの地域で、祭りの中止や縮小を余儀なくされているのも現実です。
 
 能登を代表する景勝地の一つ、見附島のある珠洲市宝立地区も、8月の「宝立七夕キリコまつり」の中止を決めました。能登でも最大級の高さ14メートルある6基のキリコが、打ち上げ花火を合図に、たいまつのたかれた海に入る様が壮観な祭りです。地区は建物倒壊と津波で壊滅的な被害を受け、キリコも1基を残して倉庫ごと津波で流失しました。
 
 発災から半年。災害関連死が増え、石川県内の死者数は300人に達しそうです。輪島、珠洲両市の1800世帯で断水が続き、2次避難を含め2千人以上が避難生活を強いられています。県の統計によると、被害の大きかった能登6市町では、1月から5月までの間に、人口が4千人近く減りました。多くは金沢市や県南部への転出とみられます。

 ◆増やしたい「関係人口」

 宝立地区の見附島観光協会の宮口智美さん(38)は「市外に出る人の気持ちは分かる。中には『珠洲から逃げた』という後ろめたさを感じている人もいると聞く。でも、そうは思ってほしくないし、祭りがやれれば、自然な気持ちで帰ってこられるのではないかと思うと、悔しい」と話します。
 
 祭りが地域コミュニティーの核になってきた能登では、仕事で故郷を離れることを「旅に出る」といい、残る人は「キリコ祭りには帰ってこいや」と声をかける土地柄です。仕事や進学で故郷を離れても、祭りや地域の行事でつながりを維持してきました。
 
 「関係人口」という言葉があります。拠点を別に持ちながら地域づくりに深くかかわり、時にその地域をもう一つの拠点にする人を指します。県はこの増加を復興プランの主要施策に盛り込みました。復興の過程で被災地と結びつきを持つ人を増やせるかどうか。祭りもその契機になるはずです。
 
 金沢大の井出明教授(観光学)は「祭りで地元に戻る人、新たに参加する人はまさに関係人口。限界集落と呼ばれる地域でも、定期的にやってくる人が多ければ『限界』と言えない」と指摘します。
 
 能登のキリコ祭りで先陣を切る「あばれ祭」。新谷さんは「祭りをできない地域の人にも、『復活させるんだ』という希望を与えたい」と力を込めます。7月から始まるカレンダーが、能登復興へのカウントダウンにもなってほしいと願います。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年07月02日  07:18:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・07.01】:「集団的自衛権」容認10年 戦争する国にせぬ覚悟

2024-07-02 07:16:50 | 【国家安全保障戦略・国家防衛戦略・防衛力整備計画・アメリカの戦略文書との整合性】

【社説・07.01】:「集団的自衛権」容認10年 戦争する国にせぬ覚悟

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・07.01】:「集団的自衛権」容認10年 戦争する国にせぬ覚悟 

 2014年7月1日、第2次安倍内閣が「集団的自衛権の行使」の容認を閣議決定してから10年=写真は、安倍晋三首相による閣議決定後の記者会見。
 

 この間、他国同士の戦争への参加を可能にした安全保障関連法の成立が強行され、防衛予算の増額も続く。戦後日本の「平和国家の歩み」を踏み外した起点を、決して忘れるわけにはいかない。

 集団的自衛権は、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、密接な関係にある外国への攻撃を実力で阻止する権利を指す。
 
 政府は、国連憲章で認められた集団的自衛権は有しているが、その行使は「憲法9条のもとで許される実力の行使を超え、許されない」との解釈を堅持してきた。
 
 これは、主に自民党が担ってきた歴代内閣が、国会や政府内での長年の議論を通じて確立し、踏襲してきた憲法解釈である。
 
 この解釈を一内閣の独断で根底から覆したのが安倍内閣だ。1959年の最高裁による砂川判決を根拠に「集団的自衛権の合憲性は砂川判決で担保されている」として憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使容認に踏み切った。

 ◆専守防衛と法秩序壊す

 この解釈変更の問題点を主に二つの観点から批判したい。第一は専守防衛という戦後日本の防衛政策を根幹から変えたことだ。
 
 国内外に多大な犠牲を強いた戦争への反省から、戦後日本は憲法9条で戦争放棄と戦力不保持を誓った。その後、日米安全保障条約で米軍の日本駐留を認め、自衛隊を保有するに至ったが、他国に軍事的脅威を与えない「平和国家の道」を変わらず歩んできた。
 
 攻撃を受けたときに初めて防衛力を用いる専守防衛、他国領域を直接攻撃する敵基地攻撃能力の不保持、国際紛争を助長しないため武器を輸出しない武器禁輸原則、防衛費をおおむね国内総生産(GDP)比1%程度に抑える節度ある防衛力整備などである。
 
 しかし、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定と、行使を法的に可能にする安保法成立が強行された後、戦後日本の防衛政策は根幹から変質していく。
 
 敵基地攻撃能力の保有が容認され、他国領域を直接攻撃できる長距離巡航ミサイルの整備が進む。防衛費も関連予算を含めてGDP比2%に倍増させる方針へと大きくかじを切り、殺傷能力を持つ戦闘機の輸出も解禁された。
 
 集団的自衛権の行使容認が「アリの一穴」となり、9条の平和主義という堤防を決壊させた形だ。
 
 解釈変更がもたらしたもう一つの問題点が憲法秩序の破壊だ。
 
 国権の最高機関であり、唯一の立法府である国会が定め、その後定着した憲法の解釈を、時の政権が都合よく変更できるなら、国民が憲法を通じて権力を律する立憲主義や法秩序は崩壊する。
 
 そもそも、安倍内閣が行使容認の根拠にした砂川判決は駐留米軍に関する判例である。固有の「自衛権」を持つと明示しているが、個別的自衛権を指すことは明白であり、集団的自衛権を巡って争われたものではない。この判決から集団的自衛権の行使容認を導き出すのは牽強(けんきょう)付会が過ぎる。
 
 この閣議決定後、政権は法解釈を恣意(しい)的に変更し続けた。
 
 例えば、東京高検検事長だった黒川弘務氏の定年延長。
 
 検察庁法は検事総長以外の定年を63歳と定めていたが、安倍内閣は法解釈の変更で定年延長を決めた。政権中枢に近いとされた黒川氏を検事総長に就けるため、と指摘された。
 
 後継の菅義偉内閣は政権に批判的な学者を排除するため、法解釈を事実上変更して、日本学術会議が推薦した新会員候補6人の任命を拒否した。
 
 岸田文雄内閣も政府の憲法解釈を事実上変更して、敵基地攻撃能力の保有に踏み切った。
 
 政権の都合で憲法や法律の解釈を変更する頻度が増えたのも、集団的自衛権を巡る閣議決定が法秩序を破壊し、解釈変更のハードルを下げたからにほかならない。

 ◆平和主義により磨きを

 本紙は10年前の7月1日、通常は紙面の中程にある社説を1面に掲載し、行使容認の閣議決定に反対する旨を主張した。本紙の毅然(きぜん)とした姿勢を示すためで、今もこの覚悟に変わりはない。
 
 日本を再び「戦争する国」にしないためには、戦後日本の平和主義と憲法秩序を取り戻さなければなるまい。憲法で誓った平和主義を国家戦略に位置付け、より磨きをかける。戦火がやまない世界を生き抜く唯一の道だと信じる。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年07月01日  07:16:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・06.30】:週のはじめに考える 「彼ら」に映る「私たち」

2024-07-02 07:14:50 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【社説・06.30】:週のはじめに考える 「彼ら」に映る「私たち」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・06.30】:週のはじめに考える 「彼ら」に映る「私たち」 

 もう30年近くも前になるのですが、「ブラジルのある町の町長選に住民がヤギを立候補させた」という海外トピックスを半信半疑で読み、それを題材に短いコラムを書いたことがあります。
 
 確かに、「出馬」とは言うが、「ウマ」「シカ」では首長は務まらない。でも、「クマ」の強権も「キツネ」にだまされるのもごめんだし、「イノシシ」の暴走も怖い。「イヌ」はひたすら選挙民におもねり、「ネコ」は理念や政策をクルクル変えるだろう。そこへ行くと「ヤギ」は自分を犠牲にして働いてくれそう…とか何とか。
 
 そんな古い記事のことを思い出したのは、最近、また、「人間以外の候補」にまつわる話を本紙で読んだからです。

 ◆人間の方が「アバター」に

 米ワイオミング州の州都シャイアンの市長選に、「AI(人工知能)候補」が出馬か、というニュースです。地元メディアなどによれば、市民のビクター・ミラーさんが生成AI「チャットGPT」を自ら改良したプログラムを、自分の愛称とも重ねて「仮想統合市民」を意味するVicと命名、その候補者名で出馬に向けた手続きを進めている、との由。
 
 米グーグルも最近、日本の47都道府県それぞれの地域課題に特化したAIモデルを開発するという自治体向け事業を発表したところで、行政や政治のサポート役だというなら驚きません。でも、ミラーさんは、当選すれば自身は「生身のアバター(分身)」となり、あらゆる政策判断はすべてVicに委ねると明言しているのです。
 
 しかし、そもそも、AIに市長ができるのでしょうか。この際、「AIに市長は務まると思うか」とチャットGPT(無料版)に聞いてみました。回答は-。
 
 <AIが市長を務めることができるかどうかは、多くの要因によります。AIには強みと限界がありますので、それを考慮する必要があります>と前置きした上で、まず「AIの強み」として(1)データ分析能力(2)公正さ(3)効率性-を列挙。逆に、「AIの限界」として<1>感情や倫理の理解<2>柔軟性と創造性-などを挙げた上で<市長の役割を完全に果たすことは現時点では難しい>と結論しました。
 
 妙に殊勝ですが、あえて、回答にあった「強み」「限界」の詳述を基に想像してみると、「AI市長」はこんなイメージか、と。

 ◆働き者で堅物、心はない

 データ分析は大得意((1))で、個人的な利害関係や感情に左右されることなく公平な判断を下せる((2))し、24時間、365日、働ける((3))。ただ、市民の感情に共感する能力が欠けている(<1>)上、予測できない状況に対する柔軟な対応に限界がある(<2>)…。
 
 どうなんでしょうね、こういう市長。「人の気持ちや機微が分からず、臨機応変の対応もできないやつなどごめんだ」という人も、逆に「クールで堅物、おまけに、超の付く働き者なら悪くない」と思う人もあるかもしれません。
 
 ただ、米メディアによれば、Vicについては、チャットGPTを提供する企業が選挙利用はルール違反だとして、ミラーさんのアクセス遮断に動き、州当局も候補適格性を疑問視しています。出馬にまでこぎ着けられるか、先行きはいささか不透明です。
 
 ともかく、ヤギにせよAIにせよ、投票で選ぶ人間の代表を「人間以外」に求めるという発想の根底にあるのは、人間がやる政治への不信でしょう。確かに、選良の方々は事毎(ことごと)に有権者を失望させてくれますが、一方で、サミュエル・スマイルズという人の言うことにも一理ある気はします。
 
 この英国の著述家は、明治時代には翻訳が本邦でもベストセラーとなった『西国立志編』に、ざっとこんなことを書いています。
 
 -国民のレベルとその国の政治のレベルは同等で、一方が優れているのに一方が劣るということはない。立派な国民は立派な政治にしか統治できないし、そうでない国民ならそれなりの政治になる。

 ◆「それなりの政治」の理由

 確かに、私たちが不信を抱く政治とは、そも、私たちが選んだ人間による政治。彼らこそは、私たちの「立派さ」が奈辺にあるかの反映というわけです。
 
 「それなりの政治」はごめんですが、さりとて、すぐ「立派な国民」になるのも至難。だから、どうでしょう、せめて議員や首長を選ぶ時の心がけだけでも少し「立派」にしてみるのは? 「何となく」や「頼まれたから」や「有名だから」や「外見が好みだから」はやめて、候補の政見や資質を厳しく見極めて選ぶ。で、見込み違いだったら冷徹に審判する。それを続けていった結果、もし政治が少し「立派」になるなら、「AI政治家」に出番はないのでは?

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年06月30日  07:16:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2024年06月30日 今日は?】:日本がIWC(国際捕鯨委員会)を脱退 EEZ内で31年ぶりに商業捕鯨を再開

2024-07-02 00:00:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【2024年06月30日 今日は?】:日本がIWC(国際捕鯨委員会)を脱退 EEZ内で31年ぶりに商業捕鯨を再開

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2024年06月30日 今日は?】:日本がIWC(国際捕鯨委員会)を脱退 EEZ内で31年ぶりに商業捕鯨を再開

 ◆6月30日=今日はどんな日

  東海道新幹線内で男が体にガソリンかけ焼身自殺。巻き添えの女性1人が死亡(2015)

事故後、緊急停車した小田原駅は、焦げくさい臭いが漂っていた〔PHOTO〕gettyimage

 

火が燃え移った背広を見せてくれた乗客の男性

               火が燃え移った背広を見せてくれた乗客の男性

 

 ◆出来事

  ▼沖縄県石川市(現うるま市)の小学校に米軍戦闘機が墜落、児童ら17人死亡(1959)▼日本がIWC(国際捕鯨委員会)を脱退し、EEZ内で31年ぶりに商業捕鯨を再開(2018)

宮森小学校米軍機墜落事故
事故後の現場風景

TVウィークリー陸軍病院に入院中の宮森小学生(ジェット機事故)』 米国民政府広報局【0000036813】
宮森小学校ジェット機墜落事故後、米陸軍病院(US Army Hospital)に入院し手当を受ける児童が映し出されています。
こちらから一部、ご覧になれます>TVウィークリー 陸軍病院に入院中の宮森小学生(ジェット機事故)

 ◆誕生日

  ▼田中昌之(51年=元クリスタルキング)▼矢部太郎(77年=カラテカ)▼高見侑里(87年=タレント)▼中尾明慶(88年=俳優)▼夏帆(91年=女優)▼皆川玲奈(91年=TBSアナウンサー)▼葵わかな(98年=女優)

  元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・今日は?】  2024年06月30日  00:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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