【神宮外苑再開発】:伊藤忠商事に続いて三井不動産も声明を発表 一部報道への反論も
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【神宮外苑再開発】:伊藤忠商事に続いて三井不動産も声明を発表 一部報道への反論も
東京都知事選(7日投開票)で、議論テーマの1つになっている明治神宮外苑再開発をめぐり、事業者の1つ、三井不動産は5日、同再開発に対する考え方などをまとめた声明を発表した。
同開発は三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事を事業者として進められているが、7月に入って事業者による詳細な説明の発信が相次いで始まっている。1日には、事業者側が「神宮外苑地区まちづくり計画説明動画」と題した新たな動画をプロジェクトサイトで公開。3日には伊藤忠商事が「神宮外苑再開発について」と題した長文の声明を公表した。
今回の三井不動産も、伊藤忠商事と同様に、意義や経緯、伐採への批判が根強い樹木への対応などや、新ラグビー場の入札をめぐる一部報道への反論などがつづられている。全文は次の通り。
神宮外苑のイチョウ並木(2024年6月撮影)
◆ ◆ ◆
「神宮外苑地区まちづくり」の取り組みについて
「神宮外苑地区まちづくり」を推進する当社、明治神宮、日本スポーツ振興センター(以下、JSC)、伊藤忠商事の4社コンソーシアムは本年7月1日、本まちづくりに関する説明動画をPJサイト内に公開いたしましたが、代表施行者である当社としても、改めて本取り組みについてみなさまに正しくご理解いただくべく、開発意義や情報発信を含めた当社の考えについてご説明させていただきます。
1.開発意義
本まちづくりは、明治神宮全体そして都心の環境維持に寄与するための、社会的意義の大きい事業です。
神宮外苑には、今のままでは、次の世代にバトンタッチできない不都合な真実が存在します。今ある神宮外苑の歴史ある風景に、昔から想いを馳せる人々が数多くいらっしゃることは重々承知しています。しかし、今を生きる我々が、今やらなければならない責任を全うし、100年先の未来の子供たちへバトンをつなぎ、受け継いでいく使命があると考えています。
本まちづくりは、現在の位置での神宮球場の建て替えやリニューアルが困難であることなど、様々な制約があります。神宮外苑が抱える課題を解決し、どのようにして次の100年に向けて魅力ある神宮外苑を作っていくか、そして神宮内苑も含め、都心に残された緑を次の世代にどうやって繋ぐのか、神宮外苑に関わる多くの関係者とともに、議論を重ねてまいりました。
本まちづくりの意義は次の通りと考えています。
・大規模スポーツ施設の競技の継続および老朽化への対応、バリアフリー化、歩車分離(秩父宮ラグビー場は築76年、神宮球場は築97年)
・4列のいちょう並木のビスタ景などの景観及び風致の保全、広場等のオープンスペースの拡充
・地区内の回遊性の向上
・広域避難場所としての防災性の向上等
また、明治神宮の外苑のみならず内苑の森も将来にわたりサステナブルに守っていくことも目的のひとつです。内苑・外苑の所有者である明治神宮は外苑にある神宮球場の収益を中心に内苑、外苑の環境維持に充ててこられました。宗教法人であるため、公的資金の受け入れには厳しい制約があり、明治神宮単独の財源で神宮球場の建て替え等を行っていくことには限界があることから、本計画においては、補助金等の公的資金に頼ることなく民間資本で推進していけるよう、明治神宮が所有する土地の一部を当社が借地します。事業者である当社は、今までの街づくりの実績に裏打ちされたノウハウを注ぎ込み、オフィスビルやホテル等の高層建物を含む複合的な開発をおこなうことで収益を得る計画であり、これを原資に明治神宮へ借地料を支払います。借地料の一部は前払いし、神宮球場の建替資金の一部に充当され、期間中の借地料は内苑の森、外苑の緑を守るための維持費等に充当される計画となっています。
2.本まちづくりにおける「みどり」の取り扱いについて
4列のいちょう並木については、本まちづくりの最重要事項のひとつとして確実に保全いたします。保全については、これまでも十分配慮した計画としておりましたが、万全を期すために、根系調査の結果や樹木医の見解を踏まえ、さらなる対策として野球場のセットバックを検討しており、今後の環境影響評価審議会で報告のうえ、プロジェクトサイトでも順次公表予定です。
現在ある樹木については、複数の樹木医など専門家の意見も聞きながら樹木の状態などを詳しく調査し、既存樹木の一本一本を大切に扱いできる限り多くの樹木を保存します。
各施設の整備にあたって支障となり、その場では保存できない樹木は原則移植を行います。ただし、施設に近接して植えられた樹木や樹勢が弱い樹木など、樹木医の意見などを踏まえて移植が難しい生育状況であると判断された樹木については伐採を予定しております。やむを得ず伐採することとなった樹木は、環境に配慮しながら適切な利活用を行なってまいります。
また緑地計画においては、新たに樹木を植え、開発後のみどりの割合は約25%から約30%に、地区内における樹高3m以上の高木本数は既存の1904本から1998本に増加する見込みであり、神宮外苑の豊かな自然環境の保全に努めます。
3.これまでの経緯、および情報発信について
本まちづくりは、2018年11月に東京都が「東京2020大会後の神宮外苑地区のまちづくり指針」を策定、2022年3月都市計画決定、2023年2月施行認可を受け同年3月より第2球場解体工事に着手中です。現在、2023年9末に東京都からの要請を受けて当初計画を見直し、既存樹木の更なる保全に向けて検討・精査しているところであり、今後整い次第、環境影響評価の手続きを経て移植・伐採に着手する予定です。
上記の手続きは、これまで行政等と協議を重ねながら適切なプロセスを経たものと考えています。しかしながら、事業に反対のご意見もあること、一部の方からは理解や共感を得られていないことについては承知しており、事業者として真摯に受け止めております。
そのような状況を踏まえ、2023年4月に本まちづくりに関する情報発信のためのプロジェクトサイトを開設しており、その後も計画概要に関する動画を公開、質問受付ページを開設し順次回答しています。
また、近隣の方々を対象に、これまでに手続き上定められた説明会6回に加えて任意の説明会を3回開催いたしました。そして本年7月1日、開発の意義や将来像、みどりへの対応や4列のいちょう並木の保全等、将来のまちのあり姿に関する説明動画をPJサイトにて公表いたしました。
今後も開発の意義と将来像をわかりやすくお示しし、本計画への正しい理解と共感が得られるよう引き続き努めてまいります。
「神宮外苑地区まちづくり」プロジェクトサイトhttps://www.jingugaienmachidukuri.jp/
4.その他
一部週刊誌において、本内容に関連して「新ラグビー場の整備事業を破格の安値で落札」といった表現が見受けられますが、当社としては著しい事実誤認であると考えています。
神宮外苑地区に存在する秩父宮ラグビー場については、JSCが運営事業者の選定を行い、当社を含むグループが運営事業者として選定されています。
係る入札の事業者選定方法は、「技術評価点」と、JSCが支払う負担金額の「価格評価点」を総合評価
する方式で行なわれています。入札金額とは選定者が事業者に支払う金額のことを指し、金額が低いほど高い評価を得られるというものであり、当社グループが、JSCが支払う金額を極力抑える内容で提案したことが評価された点のひとつであります。
当社は「共生・共存・共創により新たな価値を創出する、そのための挑戦を続ける」という「&マーク」の理念に基づき、まちづくりを通じた社会課題解決に努めています。そして、「人々に感動を与え」「人々のくらしを豊かにし」「持続可能な社会を実現」するといった社会的価値の創出と経済的価値の創出を車の両輪ととらえ、今後とも社会貢献に努めてまいります。(原文まま)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・産業・企業・三井不動産・明治神宮外苑再開発をめぐり、事業者の1つ、三井不動産は5日、同再開発に対する考え方などをまとめた声明を発表】 2024年07月06日 09:41:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。