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●違憲な土地規制法 ――― 密告社会、《軍隊に監視される社会でいいのか?》、《戦争に市民を協力させるという構造》を許していいのか?

2021年08月02日 00時00分38秒 | Weblog

/ (2021年07月18日[日])
海渡雄一さんによる、レイバーネットの記事【三上智恵さんの「沖縄スパイ戦史」が明らかにする土地規制法の危険性/海渡雄一】(http://www.labornetjp.org/news/2021/0623kaido)。

 《三上さんが、この本を書かれた思いが、沖縄スパイ戦は沖縄だから起きたことではなく、戦争に市民を協力させるという構造が作られたら、いつでもどこでもそういうことが起きるのだという警告のために書かれたのだということがわかりました。…●沖縄スパイ戦を沖縄差別の視点だけで語ることは、貴重な教訓を見落とすことにつながる …●「沖縄スパイ戦史」を土地規制法廃止のための武器に》。

 《軍隊に監視される社会でいいのか?》。《戦争に市民を協力させるという構造》を許していいのか? 
 海渡雄一さん《基地や原発の監視活動や抗議活動をする隣人・知人や活動協力者の個人情報を密告せざるを得なくなります。これは地域や市民活動を分断するものであり、市民活動の著しい萎縮につながります。土地規制法は、沖縄スパイ戦の時のこのような構造を現代の基地周辺地域などによみがえらせることでしょう。いったんこのようマシーンが作動を始めたら、最後には、住民同士が密告し合い、多くの犠牲者を再び産み出す危険性があります。土地規制法は、憲法が絶対的なものとして保障している思想・良心の自由を侵害するものなのです》《三上さんの「沖縄スパイ戦史」は、土地規制法がもたらす監視と密告の社会の末に、私たちを待っている人間不信の未来の地獄絵図を過去の歴史の中から肌身に感じられるような精度でよみがえらせました》。

   『●軍隊は住民を守らない: 《情報保全隊…住民の調査・
       監視のほか、島嶼戦争の際の対スパイ戦任務も想定》…
    《……以上のように、「情報保全隊」の防諜は、
     《「戦前の憲兵政治の再来だ」、「一般市民の活動を監視している
     と批判》され、また、《沖縄でも沖縄弁護士会や
     沖縄平和運動センターなどの団体や個人が監視され、戦前の憲兵隊や
     特高警察を想起させるとの批判》が出ている。《市民集会や自衛隊、
     米軍に批判的な団体・個人の活動を監視》していた訳だ。
     《憲法で保障された表現の自由思想・良心の自由
     侵害するような活動は許されない》のに…。》

   『●《陸上自衛隊と米海兵隊が、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブに、
          陸自の離島防衛部隊「水陸機動団」を常駐させる…極秘合意》
    《同訓練場返還地の米軍廃棄物問題などを調査しているチョウ類研究者の
     宮城秋乃さんは「仮にヘリパッドとして使うのであれば、
     高江の負担はより重くなる」と訴えた》

   『●《官邸の意に沿わない記者を排除…
     明らかに記者の質問の権利を制限し、国民の『知る権利』を狭める…》
    「琉球新報の【<社説>基地にドローン規制 沖縄を狙った報道弾圧だ】…
     によると、《政府方針が盛り込まれれば、自衛隊基地や米軍基地への
     取材が大きく制限される。国民の知る権利を著しく侵害する方針に、
     新聞協会が反対を示したことは当然といえる》…そうです。
     どこまでも《卑(ミーン)》なアベ様ら」

   『●《国民投票法に条件付き賛成で…支持者が増》≪「支持者減」…
     立憲を掲げて、しかも、このコロナ禍で、あのトンデモ壊憲に手を貸すかね?
   『●立法府の自公お維議員による土地規制法案 ――― 《何のための国会か》
        《内閣委員のお一人お一人が問われている》(馬奈木厳太郎弁護士)

    《さらに、法案を先取りするような事件も沖縄では起こった。
     米軍北部訓練場の返還跡地である「やんばるの森」に米軍の廃棄物が
     残っている
ことを指摘、その廃棄物を米軍基地ゲート前に並べるという
     抗議活動をおこなったチョウ類研究者の宮城秋乃さんに対し、沖縄県警が
     威力業務妨害の疑いで家宅捜索に入ったからだ》

   『●土地規制法案の先取り ―― 宮城秋乃さんの家宅捜索という見せしめ
       …《見せしめの過剰捜査…人権侵害行為》が頻発すること、必至
   『●<金口木舌>《土地利用規制法やデジタル関連法などが国会でバタバタ
     と成立…いずれも国民を監視し思想・良心の自由を奪いかねない法律》
    「《本当にこのままでよいのか》? 《国中が混乱する中、
     土地利用規制法デジタル関連法などが国会でバタバタと成立した。
     熟議とは程遠い数の力で ▼いずれも国民を監視し思想・良心の自由を
     奪いかねない法律だ》。
      《国民はその危うさを実感しているだろうか》? 法治主義を嘯き、
     《法を盾に権力者は国民を押さえ付ける》。立憲主義を蔑ろにし、
     違憲に壊憲するくせに。自公お維に投票した責任取ってください。」

 土地規制法案の先取り ―― 宮城秋乃さんの家宅捜索という見せしめ…《見せしめの過剰捜査…人権侵害行為》が頻発すること、必至。《杉田水脈議員が辺野古の基地反対運動の人たちの弁当のごみが米軍基地に入ったらどうするかという事例を出したように、こんなレベルの屁理屈でも調査監視の対象になってしまうというお粗末さを露呈》…あぁぁ…。
 《監視社会当たり前になる社会、戦前のような恐ろしい国に私たちをいざなう法律が、ついに参議院本会議で可決、成立してしまった。「重要土地等調査規制法」。大事な国防施設を守るため、という名目で無制限に市民の監視を可能にする、こんな稀代の悪法止められない私たちの市民力のなさに改めて暗たんたる気持ちになる》。最低の官房長官を含めた第二次アベ様政権により、《メディアコントロール》は完成し、《私たちの市民力》はズタズタに。三上智恵さんの結びの言葉、《法は成立しても、せめて悪用された時に瞬時に声を上げて世論で監視し、実行させない市民力を、私たちは今からでも磨いておかねばならない》。

   『●軍隊は住民を守らない: 《情報保全隊…住民の調査・
       監視のほか、島嶼戦争の際の対スパイ戦任務も想定》…
    《……以上のように、「情報保全隊」の防諜は、
     《「戦前の憲兵政治の再来だ」、「一般市民の活動を監視している
     と批判》され、また、《沖縄でも沖縄弁護士会や
     沖縄平和運動センターなどの団体や個人が監視され、戦前の憲兵隊や
     特高警察を想起させるとの批判》が出ている。《市民集会や自衛隊、
     米軍に批判的な団体・個人の活動を監視》していた訳だ。
     《憲法で保障された表現の自由思想・良心の自由
     侵害するような活動は許されない》のに…。》

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http://www.labornetjp.org/news/2021/0623kaido

三上智恵さんの「沖縄スパイ戦史」が明らかにする土地規制法の危険性

三上智恵さんの「沖縄スパイ戦史」が明らかにする土地規制法の危険性
海渡雄一


●はじめに

 先の国会で成立してしまった土地規制法について、6月21日に、週刊金曜日の記事にする目 的で、三上智恵さんと対談しました。半分が土地規制法の話、残りは三上さんが映画にされ、本にもされた「沖縄スパイ戦」の話をしました。七月初旬発売の週刊金曜日に掲載されると思います。

 私は、この対談のために三上さんの書かれた集英社新書『沖縄スパイ戦』をあらためて読みなおしました。

 三上さんが、この本を書かれた思いが、沖縄スパイ戦は沖縄だから起きたことではなく、戦争に市民を協力させるという構造が作られたら、いつでもどこでもそういうことが起きるのだという警告のために書かれたのだということがわかりました。


●護郷隊やスパイ虐殺者の人となりをなぜここまで掘り下げるのか

 この本を読むと、護郷隊の二人の隊長やスパイを殺害した指揮者の生い立ちが詳しく調べられ、その人物像が愛情をこめて描かれていることに驚かれる方も多いと思います。戦後も沖縄に通い、慰霊を続けた人たちのことを克明に記録しています。

 これまで、沖縄スパイ戦は鬼畜のような日本軍が、沖縄方言しか話せない人々を虐殺していったという、いわば沖縄差別の文脈で語られてきたと思います。

 この問題には、確かに沖縄差別の一面があることは明らかです。日本軍にとって、沖縄の人々は日本民族の一員でありながら、半面では琉球民族という別の民族でもあり、琉球には外国経験が多い人々がいたという事情があるのも事実です。

 しかし、そこを強調しすぎると、そんなことは日本本土では起きなかったし、今後も本土 では、日本軍が日本国民をスパイに仕立て上げて殺すようなことは起きないという認識にとどめ置かれてしまいます

 だからこそ、三上さんは、隊長たちが護郷隊の少年隊員たちを愛し、その命を一人でも救おうとしたことを丹念に記録しています。


●結局刺客を送り込まれていたヨネさん

 また、みずから何人かのスパイを虐殺した竹下少尉が、スパイリストに入れられていた秘密戦の民間協力者でもあった米子さんたちを「ヨネちゃんとスミちゃんを殺すな。殺すなら俺が許さない」と周囲に厳命して、彼女たちを救おうとしたというエピソードは映画「沖縄スパイ戦」のハイライトともいえるシーンでした。

 しかし、この本の中ではさらにその先の冷厳な真実が明らかにされています。映画で言えば「ネタバレ」かもしれませんが、公刊された本に書かれていることですのでここに書いておきます。三上さんが映画を撮り終えたあとの四回目に米子さんと会った時のことです。衝撃的です。

「『兵隊たちがね、五、六人が夜中に家に上がり込んできたんですよ。いるか! どこに寝てるか! と囁いてる声が聞こえて。私も母も、真っ暗闇の中、必死で蚊帳をくぐって裏口から転がり出て、危機一髪。裏の畑の中に身を隠して』

 えっ、結局海軍は殺しに来たんですね? 武下少尉が止めてくれたんでは…

 『いや、やがてやられよったですね。銃を持って来ていましたね。もう.怖い』

 これまで、会う度に米子さんの口から語られたのは、水兵たちとの束の間の交流、武下少尉に食糧を届けた話。やがてスパイリストに挙げられたという信じがたい展開と恐怖と、それでも武下少尉が二人の女性を守ろうとしてくれたことを知り、戦後に救われた思いをした話。それがパターンだった。しかしこの日初めて聞いたのは、結局、刺客が彼女のもとに送り込まれていたという残酷な結末だった。」(507-8ページ)

 これだけ、三上さんに心を許した米子さんも、四回目に話す決断を付けられるまで、このような悲しい結末は話さなかったのです。スパイ戦の真実を明らかにするという作業がいかに困難な作業であるかがわかります。言葉を換えれば、スパイ戦に関することの真実を明らかにするためには、関係者の多くが鬼籍に入りながら、秘密を抱えた幾人かの人々が、お元気で、傑出したジャーナリストであり、民俗学者でもある三上さんがこぼれ落ちる貴重な言葉の端々を記録できたという歴史のタイミングが必要だったことがわかります。

 永遠に歴史の闇に埋もれていたかもしれない貴重な記憶を本にとどめたこの「沖縄スパイ戦史」は、まさに三上さんの血のにじむような努力と歴史的なタイミングが重なることで、決して私たちが忘れてはならない戦争の真実の姿を明らかにした瞠目すべき奇跡の書であるといえるでしょう。(写真右=筆者)


●沖縄スパイ戦を沖縄差別の視点だけで語ることは、貴重な教訓を見落とすことにつながる

 本書の「終わりにかえて」で、三上さんは次のように述べています。本書の最も大切なメッセージであり、特定秘密保護法共謀罪デジタル監視法土地規制法の制定後の日本に暮らす市民にとって最も伝えたかったメッセージは、この部分ではないかと思います。

 「沖縄のスパイ虐殺といえば「沖縄方言を使った」ためという、文化の違いや差別に原因を求める解説が必ずついて回るが、この視点だけを提示するのは、全体の理解を妨げる危険もあると思っている。差別の問題だけで括ろうとすると、秘密戦の構造も、今後も監視社会の成れの果てとして私たちを襲う可能性のある恐ろしい前例だという点も、逆に見えにくくなる。「国内遊撃戦の参考」五十八条に見る通り、「変節者があれば断固たる処置を取りその影響を局限する」という軍の方針は他府県の住民に対しても沖縄戦同様に徹底されていたのだ。

 もちろん、沖縄に対する歴史的な差別は根深く沖縄戦に影を落とし、それが悲劇を増大させたことも見過ごしてはならない。しかし沖縄県民が差別され、その命が軽く見られていたから起きた悲劇だとだけ解釈されると、一番大事な教訓を見誤ってしまうだろう。つまりそれは、「沖縄はいざ知らず、本土に住む私たちはそう簡単に自国の軍隊に殺されたりはしない」という誤解を生むことになる。それはさらにこういう勘違いにつながる。「もしも今後、隣の国と何か物騒な展開になったとしても、沖縄にいる米軍や自衛隊が何とかする、だろう。少なくとも本土に影響が出る前に収めるはず。本土にいる国民のことは、いくらなんでも守るでしょう」と。

 今、南西諸島に続々と攻撃能力を持った自衛隊の新基地が作られていき、また戦場にされたらたまらないと島々から必死のSOSが発せられている。それなのに、日本中で平和や人権について活発な市民活動を展開しているような意識の高い人々も含め、無関心を装い黙殺している人が圧倒的に多いことからも、この「自分たちは大丈夫(沖縄に何かあったとしても)」という深刻な勘違いはかなり浸透していると私は疑っている(724ページ)。


●加害の側の人々の苦しみや後悔など人間的葛藤を知ることの大切さ

「特に、三人の虐殺者たち。今帰仁村の人々を何人も殺め、戦死扱いになったままひっそりと戦後を過ごしたであろう海軍の渡辺大尉や、米軍将校を血祭りにあげ大暴れし、投降する住民が許せず刃にかけた井澤曹長、住民虐殺に手を染めながらも、ヨネちゃんとスミちゃんだけは殺すなと言った武下少尉。いずれも罪もない沖縄県民を殺害しているのだから好感を持って調べはじめたわけでは到底ないが、しかし一人ひとりの個人史がわかってくると、やはり見え方は変わってくる。」(734ページ)

「たとえどんな残酷な出来事を起こして、その罪の重さは変わらないとしても、加害の側の人々の苦しみや後悔など人間的葛藤を知ったりした時に、また家族や関係者が向き合い続ける状況に接した時に、あらためてその出来事を捉えなおそうとするものである。赦しはしなくても、人は、悪の権化というレッテルをはがしてその人聞を見たり、前後の状況を知ろうとしたり、自分だったら、と考えてみる余地も生まれてくる。そうなって初めて、この不幸な事象が意味を持ってくる。私はここにかすかな希望のようなものを感じている。戦後七五年も経ち『鬼のような日本軍が沖縄の住民を苦しめた』という大枠の中からいくつもの事象が個別に紐解かれ、なぜ加害が発生したのか、その構図も明らかにされていく。」(735-6ページ)


●負の歴史こそが、本物の、騙されない強い未来を引き寄せてくる力に繋がる

「ある不幸な事象が、怒りや怨みやレッテル貼りから少し距離をおくことができるようになった時に初めて、そこに未来を救う大事な種が落ちていることに気づくのかもしれない。そしてその呪縛を解くカギは、結局は関係者がどう向き合ったか、悲しみや痛みを抱えてどう生きたかという人間の心が作り出す小さな波紋に過ぎないのかもしれない。でも私はこの本を書き進めながら、その人間の心が発する小さな波動をいくつも受け取ることができた。沖縄戦の裏側にある陰惨な事実を掘り起こしながらも、なぜか執筆期間を通して全く心が荒むことがなかったのは、大変な時代を生きた人たちの心の波動も、それを引き受けて今を生きようとする人たちの心の震えも、本当の光を見ようとしているように感じられ、その方向に私の心まで整えてくれたからだ。言い方を変えれば、負の歴史こそが、本物の、騙されない強い未来を引き寄せてくる力に繋がるということを、この人たちが私に信じさせてくれたのだ。」(736-7ページ)

 本当にそのとおりです。三上さんの本は、悲しい歴史を記した本ではあるけれども、その登場人物には人間的な魅力が輝き、明るさに満ちている不思議な本です。


●「沖縄スパイ戦史」を土地規制法廃止のための武器に

 土地規制法8条は「重要施設」周辺や国境離島の土地・建物の所有者や利用者の利用状況を調査するために、「利用者その他の関係者」に情報提供を義務付けています。「関係者」は従わなければ処罰されます。ですから、基地や原発の監視活動や抗議活動をする隣人・知人や活動協力者の個人情報を密告せざるを得なくなります。これは地域や市民活動を分断するものであり、市民活動の著しい萎縮につながります。

 土地規制法は、沖縄スパイ戦の時のこのような構造を現代の基地周辺地域などによみがえらせることでしょう。いったんこのようマシーンが作動を始めたら、最後には、住民同士が密告し合い、多くの犠牲者を再び産み出す危険性があります。土地規制法は、憲法が絶対的なものとして保障している思想・良心の自由を侵害するものなのです。

 三上さんの「沖縄スパイ戦史」は、土地規制法がもたらす監視と密告の社会の末に、私たちを待っている人間不信の未来の地獄絵図を過去の歴史の中から肌身に感じられるような精度でよみがえらせました。

 沖縄県北谷町議会(亀谷長久議長)は18日の定例会で、「土地規制法」の廃止を求める意見書を賛成多数(賛成12反対6)で可決しました。意見書では、土地規制法は「基地周辺で暮らす住民のみならず、その土地の利用者をも調査・監視できるような内容」と批判し、「北谷町のみならず沖縄全土が注視対象区域とも言われ、個人情報が入手されることなども懸念され悪法とのそしりは免れない」と危機感を示しています。また、「基地周辺住民、県民全ての私権、財産権すら脅かされ、負担感は増すばかりで本来守られるべき国民は置き去りにされ本末転倒だ」として、土地規制法の廃止を求めています。

 土地規制法の成立に危惧を持ち、日本を戦争をする国にさせたくないとお考えの方々は、ぜひとも、この『沖縄スパイ戦史』を読んでほしい、そしてともに土地規制法廃止の闘いに立ち上がってほしいと思います。

 まずは各地の自治体で廃止決議を上げましょう。政府による政令や閣議決定の行方を厳しく監視し意見を述べていきましょう。各地の野党共闘は選挙後の重要施策に土地規制法の廃止を盛り込むように取り組みましょう。

Created by staff01. Last modified on 2021-06-23 13:09:39
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●遺骨の混ざった土砂が辺野古破壊の(出来もしない)新基地建設に使用か? カースーオジサンらはヒトデナシなことをやろうとしている

2021年05月03日 00時00分18秒 | Weblog

[※ 辺野古は破壊「損」 【米軍飛行場の移設先として工事が進む沖縄県名護市の海岸】(東京新聞 2020年4月3日)↑]


(2021年04月11日[日])
【<金口木舌>南部の地に眠る遺骨と不穏な風】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1299416.html)。

 《糸満市米須に終戦後「真和志ハイスクール」という学校があった。糸満高校の分校で、校長は翁長雄志前県知事の父・助静(じょせい)氏。米軍の指示で米須に集められた真和志村民が遺骨を集め、「魂魄(こんぱく)の塔」を建てた》。

   『●《この期に及んで、まだ傍観者》?
     《憲法を維持するための「不断の努力」を怠った…加害者側に立つ人間》
   『●《玉城知事が対話を求めた直後にこれを拒否…》
     アベ様には《(他者の痛みに寄り添う)沖縄のチムグクル》は届かず
    「沖縄タイムスのコラム【[大弦小弦]自衛官の集団参拝】…によると、
     《▼夜が明け、魂魄(こんぱく)の塔では…に出会った。
     「愛国団体」を掲げるが、司令官ではなく名もなき犠牲者を弔う
     この塔に手を合わせていた。「自衛隊は日本軍の過ちを
     謝罪していない」と厳しい ▼スパイ視による住民虐殺、持久戦による
     犠牲拡大。「歴史を認識しないまま自衛隊が沖縄に寄り添うことは
     できない侵略と受け取られても仕方がない」と憂う▼琉球弧で
     自衛隊基地の新設が進む。宮古島では住民が不安視した弾薬庫の
     存在を隠していた。与那国島の住民も、知らない間に弾薬庫と
     同居させられていた。沖縄戦は、軍隊は住民を守らない、という事実を
     私たちに教えている。改めて問う。自衛隊は日本軍の後継者なのか、
     違うのか。(阿部岳)》」
    「社説[全戦没者追悼式]チムグクル内外に発信 …「慰霊の日」の
     23日、県内各地で慰霊祭が執り行われた。戦後74年。時折、
     強い風雨が吹き付ける中、参列者は鎮魂の祈りと平和への思いを
     新たにした。糸満市米須の「魂魄(こんぱく)の塔」。沖縄戦後、
     野ざらしにされた遺骨を収集し初めて建立された慰霊碑である。親族が
     どこで戦死したかわからない遺族らが手を合わせる場所だ」

 「沖縄中のいたるところから遺骨は見つかる」とのコメントを頂いた。だから、南部の遺骨交じりの土砂を辺野古破壊に使ってもよいという主旨らしい。逆じゃないのか、遺骨をきちんと回収できるまでは、沖縄の土砂を使うべきではないのではないか。ましてや、戦争のための米軍の新基地のために使うなど以ての外。《人柱》など悍ましい。
 単なる破壊「損」な辺野古破壊と《人柱》…カースーオジサンらはヒトデナシなことをやろうとしている。

   『●《埋め立てに使う土砂を、沖縄戦の激戦地だった沖縄本島南部から
      採取することが新たに盛り込まれた…「戦没者に対する冒とくです」》
   『●《戦争で亡くなった人の血や肉が染みこんだ土や石を、新たな軍事基地
      建設に使用するのは人間のやることじゃない》…《人柱》でいいのか?
   『●《人柱》…《「助けてぃくみそーれー!」…この言葉が1945年、
     島中の至る所で地中に滲み込むほどに叫ばれていた》(三上智恵さん)
   『●《そんなふうに静かに始める抵抗にこそ、人々を変える力がある
     のかもしれない》(北原みのりさん)――― 辺野古破壊と《人柱》
   『●今月で《25年…国策に翻弄され続けた四半世紀》…米軍普天間
     飛行場は返還されず、一方、辺野古は破壊され続け、単なる破壊「損」

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https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1299416.html

<金口木舌>南部の地に眠る遺骨と不穏な風
2021年4月7日 05:00
金口木舌 糸満市 沖縄戦 遺骨

 糸満市米須に終戦後「真和志ハイスクール」という学校があった。糸満高校の分校で、校長は翁長雄志前県知事の父・助静(じょせい)氏。米軍の指示で米須に集められた真和志村民が遺骨を集め、「魂魄(こんぱく)の塔」を建てた

▼村民の戦後はここから始まった。金城和信(わしん)真和志村長が呼び掛けた遺骨収集には、ハイスクールの生徒も加わった。塔の近くでは今も遺骨が見つかる。この地は沖縄戦の犠牲者の血が染み込み、遺骨が埋もる地である

犠牲者の眠りを乱すつもりなのか。糸満や八重瀬の採掘場から、名護市辺野古への埋め立てに使う土砂の搬出が問題になっている。骨が混ざった土砂が新基地建設に使われようとしている

▼各市町村議会では、南部の土砂を埋め立てに使わないよう意見書の決議が相次ぐ。しかし糸満市と豊見城市の市議会では否決されたいずれも激戦地だったのに

▼「遺骨が眠る土を新基地建設に使うのは人道的に許せない」。トマト農家の金城博俊さん(43)=豊見城市=は3日から豊見城市役所前で座り込みをしている。市議会に再度採決を要望、可決を求める署名も募る

▼「和魂(にぎたま)と なりてしづもる おくつきの み床の上を 渡る潮風」。助静氏の歌で、魂魄の塔にある。犠牲者が穏やかに眠る地に吹く、優しい潮風を詠んでいる。今、この地に不穏な風が吹いている。金城さんの座り込みは、8日まで続く。
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●《戦争体験の継承はどうして必要》? 大矢英代さん《二度と同じ手段で国家に殺されないように、生活を奪われないように、知恵をつけること》

2020年08月14日 00時00分48秒 | Weblog


永田健記者による、西日本新聞のコラム【時代ななめ読み/「戦争体験」というバトン】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/625471/)。
志真秀弘氏による、レイバーネットの書評【〔週刊 本の発見〕三上智恵『証言 沖縄スパイ戦史』/過ちの記録こそ次の過ちを防ぐ地図になる】(http://www.labornetjp.org/news/2020/hon165

 《ジャーナリストの大矢英代(はなよ)さんが今年2月「沖縄『戦争マラリア』 強制疎開死3600人の真相に迫る」(あけび書房)を出版した。悲劇の裏に隠された軍隊の非人間性に切り込んだ労作で、優れた国際報道を顕彰する賞も受賞した。千葉県出身、1987年生まれの大矢さんはなぜ、この問題に取り組んだのか》。
 《映画『沖縄スパイ戦史』(2018年、三上智恵大矢英代共同監督)は埋もれていたこのもう一つの沖縄戦を証言によって描き、大きな衝撃をあたえた。本書は、これに新たな少年兵の証言、軍が全国に遊撃隊を展開しようとしていたことを明かす証言、さらにその後判明した住民虐殺の真相なども加わり、読むものの魂を揺さぶる》。

   『●「戦争マラリア」…いま再び自衛隊配備で先島諸島住民を分断し、
                「戦争や軍隊の本質」の記憶を蘇らせる…

 「戦争や軍隊の本質」の記憶。沖縄での番犬様の居座りや、嬉々として沖縄を差し出すアベ様や最低の官房長官ら。一方、島嶼部では自衛隊が〝防波堤〟や〝標的〟に。《軍隊は人を守らない大田昌秀さん)》、《軍隊は住民を守らない》《基地を置くから戦争が起こる島袋文子さん)》、《軍隊は同じことをするし、住民も協力するし、軍隊は住民をまた殺すことになる三上智恵さん)》…。
 《戦争体験の継承はどうして必要》なのか? 大矢英代さんは、《二度と同じ手段で国家に殺されないように、生活を奪われないように、知恵をつけること》。《「負の歴史こそが、本物の、騙されない強い未来を引き寄せてくれる力につながるということを、この人たちが私に信じさせてくれた」と著者三上智恵は書いている》。

   『●『沖縄スパイ戦史』(三上智恵・大矢英代共同監督): 
           「「スパイリスト」…歪んだ論理が生み出す殺人」
   『●三上智恵・大矢英代監督映画『沖縄スパイ戦史』…
       「戦争というシステムに巻き込まれていった人たちの姿」

   『●「改めて身に迫るのは、軍隊というものが持つ
      狂気性」(高野孟さん)と、いまも続く沖縄での不条理の連鎖
    《マガジン9連載コラム「沖縄〈辺野古・高江〉撮影日誌」でおなじみの
     三上智恵さんが、大矢英代さんとの共同監督で制作した
     映画『沖縄スパイ戦史』が7月下旬からいよいよ公開…
     「軍隊は住民を守らない」…「戦争や軍隊の本質を伝えたい」》。

   『●『沖縄スパイ戦史』と《記憶の澱》…
     「護郷隊…中高生の年頃の少年たち…スパイと疑われた仲間の処刑…」

    《▼日本軍第32軍の周辺で起きた本島中南部の激戦を「表の沖縄戦」と
     すれば、映画が描くのは北部の少年ゲリラ兵部隊護郷隊」や八重山
     戦争マラリアなどの「裏の沖縄戦」。綿密な取材による証言と資料映像で、
     6月23日以降も続いた遊撃戦の実相をつづる》

   『●自衛隊配備・ミサイル基地建設…『沖縄スパイ戦史』「自衛隊
              …昔と同じく住民を顧みない軍隊の本質」暴露
    「レイバーネット…のコラム【<木下昌明の映画の部屋 243回> 三上智恵
     大矢英代監督『沖縄スパイ戦史』/住民500人を死に追いやった犯罪】」

   『●沖縄デマによる市民の分断: 『沖縄スパイ戦史』の両監督…
               「反基地運動は中国のスパイ」デマも同根
   『●大矢英代さん「私たちは、過去の歴史からしか学べません…
               私たちが何を学ぶのかが今、問われている」①
   『●大矢英代さん「私たちは、過去の歴史からしか学べません…
               私たちが何を学ぶのかが今、問われている」②
   『●『沖縄スパイ戦史』: 「それまで『先生』と島の人たちに
           慕われていた山下が抜刀した」…「軍隊の本性」
   『●2019年度文化庁映画賞《文化記録映画部門の優秀賞》を受賞
               …三上智恵・大矢英代監督『沖縄スパイ戦史』
   『●《「遊撃戦遂行の為特に住民の懐柔利用は重要なる一手段にして
     我が手足の如く之を活用する」…住民同士を監視させ…批判している…》
   『●《「慰霊の日」を迎えた。…鉄血勤皇隊やひめゆり学徒隊の悲劇が
     伝わる一方、護郷隊の過酷な運命は長年ほとんど知られていなかった》

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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/625471/

時代ななめ読み
「戦争体験」というバトン
2020/7/12 11:00
西日本新聞 オピニオン面 永田健


 「戦争マラリア」という言葉をご存じだろうか。

 先の大戦で沖縄戦中、八重山諸島波照間島石垣島などの住民が日本軍の命令でマラリアの蔓延(まんえん)する地域に移動させられ、感染して死亡した惨事のことだ。米軍上陸のなかった八重山諸島で、どれほど必要性があったかも不明な強制疎開により、人口の1割強に当たる3千人超がマラリアで亡くなったとされる。

 現在コロナ禍に見舞われている私たちなら「感染症で10人に1人が死ぬ」という状況のすさまじさが少しは想像できるだろうか。例えるなら東京で100万人が死ぬようなものなのだ。

 ジャーナリストの大矢英代(はなよ)さんが今年2月「沖縄『戦争マラリア』 強制疎開死3600人の真相に迫る」(あけび書房)を出版した。悲劇の裏に隠された軍隊の非人間性に切り込んだ労作で、優れた国際報道を顕彰する賞も受賞した。千葉県出身、1987年生まれの大矢さんはなぜ、この問題に取り組んだのか。

   ◇    ◇

 大矢さんは2009年、大学のインターンシップ(就業体験)で八重山の新聞社に行き、初めてこの問題の存在を知った。波照間島に移住して住民の家に下宿し、8カ月間農作業を手伝いながら戦争マラリアの体験談を集めた。その後も沖縄のテレビ局に就職するなどして、断続的にほぼ10年にわたり取材を続けた。

 現在、米カリフォルニア州を拠点に活動する大矢さんにメールで話を聞いた。

 -なぜこの問題を?

 「こんな重大な歴史をどうして22歳になるまで知らなかったのか、自分の無知を恥じました。学校で誰も教えてくれなかったのなら自分で調べたい。それがスタートでした」

 「実際に取材してみると、簡単に証言してくれる人はいませんでした。思い出したくもない体験なので、当たり前ですよね。家の前でチャイムが押せず30分ぐらいうろうろしたり…」

 「『自分が生きているこの時間は、体験者にとって最後の時かも知れない』という危機感がありました。今聞いて映像に残しておかないと遅れになってしまう。そんな思いでした」

   ◇    ◇

 私も記者として戦争体験者に話を聞くことがある。長年自問自答していることを大矢さんにも聞いた。

 -そもそも、戦争体験の継承はどうして必要なのでしょうか?

 「二度と同じ手段でだまされないように。これ以外にないと思います」

 「戦争の歴史は、国家と住民の関係性、軍隊の構造的暴力性、そして命令や集団に従う住民の弱さといった、いつの時代にも当てはまる普遍的問題を伝えています。負の歴史を学ぶことは、二度と同じ手段で国家に殺されないように、生活を奪われないように、知恵をつけることです

 「取材するたび、バトンを受け取る気持ちがします。相手から受け取ったバトンを持って、一生懸命走って書いて)、ゴール社会に伝える。私の記事や作品を見た人がまた誰かにバトンを渡す。そのリレーが続いていくことが継承なのかなと思っています」

 大矢さんが取材した住民のうち、すでに3人が亡くなり、3人が証言するのが困難になったという。

 日本の夏は、バトンの重みを感じる季節である。

 (特別論説委員・永田健
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http://www.labornetjp.org/news/2020/hon165

赤白抜き〔週刊 本の発見〕三上智恵『証言 沖縄スパイ戦史』

毎木曜掲載・第165回(2020/7/16)
過ちの記録こそ次の過ちを防ぐ地図になる
証言 沖縄スパイ戦史』(三上智恵、集英社新書、2020年2月刊、1700円)評者:志真秀弘

 1945年3月26日、米軍は慶良間諸島に、さらに4月1日沖縄本島に上陸し、陸軍第32軍との間で凄惨な地上戦が繰り返される。その結果民間人を含む20万人余りが亡くなり、6月23日牛島満司令官の自決によって沖縄を「本土決戦の捨て石」とする作戦は実際上終わる。が、本島北部にはすでに前年9月、スパイ養成を目的とする陸軍中野学校出身者が大本営より配属されていた。第32軍壊滅後も米軍を撹乱するために、徴兵前の15歳から17歳の地元の少年たちを主力に遊撃隊を組織する任務がかれらに与えられた。第一護郷隊(正式名称は第三遊撃隊、村上治夫隊長)は今帰仁村、名護町などの出身者610名、第二護郷隊(第四遊撃隊、岩波壽隊長)は国頭村、大宜味村などの出身者388名からなった。

 映画『沖縄スパイ戦史』(2018年、三上智恵大矢英代共同監督)は埋もれていたこのもう一つの沖縄戦を証言によって描き、大きな衝撃をあたえた。

 本書は、これに新たな少年兵の証言、軍が全国に遊撃隊を展開しようとしていたことを明かす証言、さらにその後判明した住民虐殺の真相なども加わり、読むものの魂を揺さぶる。

 本書は「少年ゲリラ兵たち」の証言から始まる。

 彼ら21人の証言のどれからも戦場となった村の空気、そこで生活する人たちの呼吸、そして一人ひとりの戦後の人生が伝わってくる。

     (*映画『沖縄スパイ戦史』より)

 たとえば1929年生まれの「リョーコー二等兵」こと端慶山良光(ずけやま・よしみつ)さんの証言。戦場で頬に手榴弾の破片を受け傷病兵になる。同じ傷病兵の友人は足手纏いになるからと軍医が射殺する。彼も逃げる途中殺して置いていくと仲間に言われるが、半死半生で生まれた村にたどり着く。が、村に帰ったあと戦争PTSDを発症。村内で暴れ回るために座敷牢に閉じ込められるなど「兵隊幽霊」と呼ばれ苦しむ。が、五十歳を超えてキリスト教の洗礼を受け、信仰に助けられPTSDを克服する。いま彼は一人で暮らす。「沖縄戦のこと忘れたら、また地獄がきますよって。僕は…桜の木を七十歳から植えはじめたんですよ。緋寒桜七十本あまり、…英霊ですね、沖縄戦でなくなった若い人たちの。…これを見てみんなに沖縄戦思い出してもらって。」が、かれに国による補償は何もない。護郷隊は秘密組織だから兵歴とみなさないという「理屈」のようだ。

 当時22、3歳だった村上、そして岩波二人の隊長への敬愛の念を隊員たちは異口同音に語っている。二人とも隊員には暴力を振るわず、生き延びることを指示した。それがゲリラ部隊の基本とも言えるが、それは二人がマニュアル通りに努めたというのとは違う。隊員の誰にとってもかれらは優しく、そして人格者であった。が、同時に戦闘のプロつまり敵を殺すプロだった。その両面が彼らにはあった。

 戦後、村上は沖縄へ家族共々慰霊のために毎年のように足を運んだ。そして最後は車椅子に乗って参列し、「もうわんわん、子供のようにね、顔を崩して」人前も構わず泣きじゃくったという。かれが抱えた戦場の闇はそれほど深かったのだろうと著者は書いている。村上は勇猛なゲリラ隊長であって、91人もの部下を死なせた末に生き延びた。その罪を抱えてかれも戦後を生きなければならなかった。そこに浮かび上がるのは沖縄戦の、ひいては戦争そのものの罪深さだ。

 後半の「スパイ虐殺の証言」「虐殺者たちの肖像」の二つの章が、複雑極まりない過程を丹念に捉えて明らかにしているのも、沖縄の地上戦が強いた戦場犯罪の構造と言える。だからこそこれらのことは、不問に付していいことでは決してない。

 「負の歴史こそが、本物の、騙されない強い未来を引き寄せてくれる力につながるということを、この人たちが私に信じさせてくれた」と著者三上智恵は書いている。

 著者の執念がこの本の力を産んだ。本書こそ2020年ベストワンと言い切っておきたい。一人でも多くの人がぜひとも本書を手にとってほしい。

*「週刊 本の発見」は毎週木曜日に掲載します。筆者は、大西赤人・渡辺照子・志真秀弘・菊池恵介・佐々木有美・根岸恵子、ほかです。
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●《「遊撃戦遂行の為特に住民の懐柔利用は重要なる一手段にして我が手足の如く之を活用する」…住民同士を監視させ…批判している…》

2020年06月23日 00時00分32秒 | Weblog

[※ 『沖縄スパイ戦史』(三上智恵大矢英代共同監督) (LOFT)↑]



三上智恵さんご自身のツイートで知りました。【週刊エコノミスト Online ワイドインタビュー問答有用/沖縄の「秘密戦」を記録=三上智恵 映画監督、ジャーナリスト/797】(https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20200623/se1/00m/020/004000c)。COVID19の関係で、本屋にほとんど行けていない……まだ、未購入。

 《第二次世界大戦末期の沖縄戦をテーマにしたドキュメンタリー映画「沖縄スパイ戦史」(2018年)を監督した三上智恵さん。同名の『証言 沖縄スパイ戦史』(集英社新書)をこのほど出版した》。


 

 《「遊撃隊戦闘教令(案)」はこう書いています。「遊撃戦遂行の為特に住民の懐柔利用は重要なる一手段にして我が手足の如く之を活用する」……。住民同士を監視させ、日本軍を批判している人はいないか、外国語が上手な人は誰かなどを探し、スパイとして密告させました》…いま、そうだとまでは言いません。でも、アベ様らが目指しているのは、そんな社会でしょうし、超監視・超管理したくて仕方ない雰囲気はふんぷんとします。

 《三上 私は二度と沖縄を戦場にしないためにという思いでやっているので…》。本当に賛成です。沖縄だけではありませんが、どこの親が子や孫が戦争すること、殺し合うことに、賛意を示すでしょうか。
 映画の共同監督の大矢英代さんは、かつて、「戦争のためにカメラを回しません。戦争のためにペンを持ちません。戦争のために輪転機を回しません」と仰っています。「私たちは、過去の歴史からしか学べません…私たちが何を学ぶのかが今、問われている」とも。アベ様の政で〝唯一上手くいっている〟《メディアコントロール》の下、愚かな社会へと堕ちないように(もう既に堕落しきっていますが…)、いま、やるべきことは明確です。

   『●加害者性と被害者性…「私たち一人一人が被害者となり、
              加害者となり得る戦争。戦争はどこかで今も…」
    「【記憶の澱/NNNドキュメント’17】…。
     《先の大戦の記憶を、今だからこそ「語り、残したい」という人々がいます。
     …心の奥底にまるで「」のようにこびりついた記憶には「被害」と「加害」、
     その両方が存在しました》」

   『●「戦争のためにカメラを回しません。
      戦争のためにペンを持ちません。戦争のために輪転機を回しません」
   『●『沖縄スパイ戦史』(三上智恵・大矢英代共同監督): 
           「「スパイリスト」…歪んだ論理が生み出す殺人」
   『●三上智恵・大矢英代監督映画『沖縄スパイ戦史』…
       「戦争というシステムに巻き込まれていった人たちの姿」

   『●中山きくさん「戦争は体験してからでは遅い」、
       城山三郎さん「平和の有難さは失ってみないとわからない」

   『●「改めて身に迫るのは、軍隊というものが持つ
      狂気性」(高野孟さん)と、いまも続く沖縄での不条理の連鎖
    《マガジン9連載コラム「沖縄〈辺野古・高江〉撮影日誌」でおなじみの
     三上智恵さんが、大矢英代さんとの共同監督で制作した
     映画『沖縄スパイ戦史』が7月下旬からいよいよ公開…
     「軍隊は住民を守らない」…「戦争や軍隊の本質を伝えたい」》。

   『●「安倍政権が旗をふる「極右プロパガンダ映画」が 
      世界中に発信されるという恥ずかしい事態が現実に」!?
   『●『沖縄スパイ戦史』と《記憶の澱》…
     「護郷隊…中高生の年頃の少年たち…スパイと疑われた仲間の処刑…」

    《▼日本軍第32軍の周辺で起きた本島中南部の激戦を「表の沖縄戦」と
     すれば、映画が描くのは北部の少年ゲリラ兵部隊護郷隊」や八重山
     戦争マラリアなどの「裏の沖縄戦」。綿密な取材による証言と資料映像で、
     6月23日以降も続いた遊撃戦の実相をつづる》

   『●自衛隊配備・ミサイル基地建設…『沖縄スパイ戦史』「自衛隊
              …昔と同じく住民を顧みない軍隊の本質」暴露
    「レイバーネット…のコラム【<木下昌明の映画の部屋 243回> 三上智恵
     大矢英代監督『沖縄スパイ戦史』/住民500人を死に追いやった犯罪】」

   『●沖縄デマによる市民の分断: 『沖縄スパイ戦史』の両監督…
               「反基地運動は中国のスパイ」デマも同根
   『●大矢英代さん「私たちは、過去の歴史からしか学べません…
               私たちが何を学ぶのかが今、問われている」①
   『●大矢英代さん「私たちは、過去の歴史からしか学べません…
               私たちが何を学ぶのかが今、問われている」②
   『●『沖縄スパイ戦史』: 「それまで『先生』と島の人たちに
           慕われていた山下が抜刀した」…「軍隊の本性」
   『●与那国島や石垣島、《沖縄は名護市辺野古だけでなく、
         宮古島もまた国防のために政府に翻弄されている》
   『●沖縄イジメ…《この74年間、沖縄戦以来、陸兵が軍服を
          着て宮古島を闊歩する姿など誰も見たことはない》
   『●《戦争が廊下の奥に立つてゐた》…《そんな時代にしては
          ならない》はずが、癒党お維や与党議員ときたら
   『●2019年度文化庁映画賞《文化記録映画部門の優秀賞》を受賞
               …三上智恵・大矢英代監督『沖縄スパイ戦史』

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https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20200623/se1/00m/020/004000c

週刊エコノミスト Onlineワイドインタビュー問答有用
沖縄の「秘密戦」を記録=三上智恵 映画監督、ジャーナリスト/797
2020年6月15日

     (「たくさんの人におじいちゃんたちと会ってほしかったので、
       話し声が聞こえてくるように書きました」 撮影=佐々木龍)

 第二次世界大戦末期の沖縄戦をテーマにしたドキュメンタリー映画「沖縄スパイ戦史」(2018年)を監督した三上智恵さん。同名の『証言 沖縄スパイ戦史』(集英社新書)をこのほど出版した。

(聞き手=井上志津・ライター)(問答有用)


「つらい記憶のふたを開けた責任がある」

「軍隊が勝つための作戦と住民を守るための作戦は一致しないのが戦争の構図」

── 750ページ余に及ぶ『証言 沖縄スパイ戦史』には映画には盛り込まれなかった新たな証言も数多く収録されています。いつごろから本にまとめようと思いましたか。

三上 映画「沖縄スパイ戦史」の撮影中から本にしたいと思っていました。沖縄戦は沖縄守備軍・牛島満司令官の自決で1945年6月23日に終わり、民間人を含む20万人以上が犠牲になりましたが、映画はその後も北部で続けられた「秘密戦」の実態を描いたものです。映画には時間の制約があり、証言者一人ひとりを追うことはできないため、集団の記録として構成しましたが、皆さんのライフストーリーを聞き取った者の責任として、絶対に本として書き残さなければいけないと思いました。


── 映画に出ていない人の証言もありますね。

三上 本に掲載した証言者31人のうち10人は映画に登場していません。追加取材も重ね、第1章の元「護郷隊(ごきょうたい)」のおじいちゃんたちの証言だけでも300ページ以上になりました。執筆期間も、最初は3カ月の予定が1年半かかりました。


「秘密戦」とはスパイを使って敵の情報を入手したり、身内から情報が漏れる=スパイが出ることを防いだりする、正規軍がやらない「裏の戦争」のことだ。映画は秘密戦や遊撃戦と呼ばれるゲリラ戦の中で、主に日本軍が沖縄の住民に対して行ったスパイ視や虐殺に目を向けた。

「スパイリスト」工作

    (米軍が沖縄北部の山中で押収した日本軍の「秘密戦に関する書類」
    (映画「沖縄スパイ戦史」から)(C)2018「沖縄スパイ戦史」製作委員会)


── 映画「沖縄スパイ戦史」を作ることになったきっかけは?

三上 1作目の「標的の村」(2013年)と、続く「戦場(いくさば)ぬ止(とぅどぅ)み」(15年)は辺野古新基地高江ヘリパッドの建設に抵抗する人々を記録しました。3作目「標的の島 風(かじ)かたか」(17年)では、それに加えて15年から与那国、宮古、石垣島など南西諸島に自衛隊の新しい基地計画が進んでいく状況を描きました。攻撃能力を備えた自衛隊の配備は、今や沖縄だけではなく日本列島全体が対中国戦略の米軍の防波堤にされていることを意味します。なのに、映画を見た人の反応の多くは「沖縄は大変ね」というものだったんです。とかく自衛隊というと合憲だ、違憲だとイデオロギーの話に矮小(わいしょう)化されてしまう面もあり、この「鈍感の壁」をもどかしく感じていました。

 そんな時、自衛隊の情報機関が反対派住民の情報を収集し、リスト化していると聞いたのです。それって沖縄戦の「スパイリスト」の再来じゃないかと愕然(がくぜん)としました。でも、その話を周りにしても反応が薄い。知られていないんですね。それで4作目のテーマは沖縄戦にしよう、戦争の仕組みを知らせようと決め、「風かたか」の公開後、すぐに動き出しました。


 米軍の沖縄上陸が迫っていた44年晩夏、42人の青年将校らが沖縄各地に潜伏した。軍事諜報(ちょうほう)員の養成機関「陸軍中野学校」の出身者たちだった。任務は本土決戦までの時間稼ぎのため、沖縄の守備軍が壊滅してもゲリラ戦を展開すること。14~17歳の少年たち約1000人をゲリラ部隊「護郷隊」に召集し、敵の食糧庫や弾薬庫の夜襲や、特殊兵器を使った爆破などをさせたほか、マラリアで恐れられた西表島への波照間島民の強制移住、地域の有力者による住民監視組織の結成など、さまざまな秘密工作を行った。


── この工作の一つが「スパイリスト」ですね。

三上 44年1月作成の「遊撃隊戦闘教令(案)」や米軍が押収した日本軍の「秘密戦に関する書類」を見ると、秘密工作はみなマニュアル通りに行われていたことが分かります。「遊撃隊戦闘教令(案)」はこう書いています。「遊撃戦遂行の為特に住民の懐柔利用は重要なる一手段にして我が手足の如く之を活用する」……。住民同士を監視させ、日本軍を批判している人はいないか、外国語が上手な人は誰かなどを探し、スパイとして密告させました恐怖と疑心暗鬼の中、スパイと疑われて虐殺された住民は、数百人とも1000人ともいわれています


── スパイリストによる住民虐殺については、番組制作のため09年にすでに取材していたものの、公開を保留にしたそうですね。

三上 当時は関係者が健在だったからです。小さな村ですから、誰の密告で誰が殺されたか、分かっているんですよ。大事なのは関係者の罪を問うことではなく、軍隊が勝つための作戦と、住民を守るための作戦は一致しないという戦争の構図を示すこと。多角的に描かないと、「沖縄の少年兵や住民が虐殺に関わっていた」などとセンセーショナルな部分だけが内地のメディアに取り上げられるのもいけないと思いました。


加害者になる心の動き

── リストには18歳の少女も載っていました。その中本米子さんは映画にも登場しますが、本書では映画で語らなかった告白をしているのが衝撃的です。

三上 映画完成後にお会いした時に、急に語り始めたんですよ。撮影中は隠していたのではなく、つらい記憶だから封印していたのだと思います。私のある質問をきっかけに、記憶のふたが急に開いてしまったようでした。私は残酷なことをしているのではないかと、動揺したのを覚えています。


── 本土決戦に向け、岐阜で少年兵を訓練していた中野学校関係者も初めて登場しています。

三上 現在98歳の野原正孝さんです。公開後、岐阜新聞を通じて連絡が取れました。「住民は兵器の一つで消耗品だった」と言い切り、「ゲリラの教官だったことは誰にも話してこなかったから、話せてよかった」とも言ってくれました。ただ、出版後、野原さんから手紙が来たんです。「あの当時、国のため、天皇陛下のために尽くしたことに後悔はありません。でも、あなたのような広い知見を持って、このような本にまとめられた歴史としてみた時に、一抹のわびしさを感じます」と書いてありました。

 野原さんは今も自分が中野学校の一員だった誇りを持っているんです。今回、米子さんの告白からも分かりましたが、もちろん戦争は悪であっても、自分の青春時代を全部否定的にとらえたくはないですよね。楽しかった時間もたくさんあったはず。でも、「あの時代は大変だった」以外の話は、これまで耳を傾ける人がいなかったし、あまり話さないまま来たのかもしれません。

 野原さんは中野学校の面白い裏話もたくさんしてくれました。だから、できればもう一回、劇映画などにして野原さんが喜ぶものを作りたいなと思っているのですが……。


── 「虐殺者」の面だけではない将校たちの人間性も描いています。

三上 護郷隊の隊長は戦後、戦死した全ての部下の家を回り、仏壇に手を合わせました。慰霊祭にも死ぬまで出席しました。これまで私は住民側の目線でずっと取材をしてきましたが、彼らに課せられた任務を知るにつれて、狂ったシステムの中で加害者になる人の心の動きが理解できるようになりました。初めて兵士の立場で考えられるようになったと思います。


── 証言を世に出すことで取材相手を傷つけてしまうのではないかという葛藤は?

三上 それは常に苦しんでいます。でも、誰も傷つけたくないのなら、ジャーナリストなんかやるべきじゃない。取材相手には「三上さんの作品でひどい目にあったけど、三上さんは憎めなかったな」と思ってもらえるように、その後も通い続けるようにしています。


── 12歳の時に家族旅行で初めて沖縄を訪れたのですね。

三上 強烈なカルチャーショックを受けました。家のような形のお墓も、本土とは異なる言語も不思議でしたし、南部戦跡や平和祈念資料館には沖縄の思いが詰まっているのを感じました。旧満州(現中国東北部)から引き揚げた経験を持つ祖母の話を聞いて育ったからか、もともと戦争には興味のある子どもでしたが、以来、沖縄のことが頭から離れなくなりました。大学では宮古島に通ってシャーマニズムを研究しました。ユタ(巫女)さんから「あんたの背後には草の冠に白装束を着けたおばあがたくさんいる」と言われたことが何度もあるんですよ。


「自分のこと」だから

     (元第二護郷隊員の瑞慶山良光(ずけやまよしみつ)さん、
      宮城清助(きよすけ)さん、仲泊栄吉さん(右から)と
      三上さん(今年2月撮影) 三上智恵さん提供)


── 草の冠?

三上 草冠は祭祀(さいし)をつかさどり、神女と呼ばれる女性たちが身に着けるものです。だから、ひょっとして神に仕えながら島を守る役割の人たちから、島を守るよう使命を与えられているのかなと思っています。

 三上さんは毎日放送(大阪市)でアナウンサーをしていたが、95年に開局した琉球朝日放送(QAB)へ開局と同時に転職。QABではキャスターを務めながら、ディレクターとしても「海にすわる~辺野古600日の闘い」(06年)、「英霊か犬死か~沖縄から問う靖国裁判」(11年)など多くのドキュメンタリー番組を制作した。


── 当時1歳だった息子さんを連れて沖縄に移住したのですね。

三上 航空会社に勤める父がその前に沖縄に転勤していて、両親が夜も息子を見てくれたので、思う存分仕事ができ、楽しくて仕方がなかったです。夫とはそれ以来、別居婚になりましたが。


── 95年には米兵による少女暴行事件が起きました。

三上 彼女を忘れた日はありません。彼女は二度と同じような犠牲者を出したくないという一心で事件を公にしたのに、普天間飛行場の返還が発表された時、私たちは「県民の怒りが普天間を動かした」と報道してしまいました。辺野古が面する大浦湾に米軍基地を作る計画は60年代からあり、それをこの機を利用して日本に作らせるというカラクリに気づいてなかったのです。

 それが悔しくて、古い基地を返す代わりに新しい基地を日本の税金で作らせるという欺瞞(ぎまん)を伝えなければと、がむしゃらに走ってきました。沖縄の人から今も時々、「内地から来たのに沖縄のことをやってくれてありがとう」と言われますが、私は自分のことだからやっている感じなんですよ。


── QABの番組「標的の村~国に訴えられた沖縄・高江の住民たち」が映画化された後、QABを退職したのはなぜですか。

三上 QABでは19年間、ニュース番組でキャスターを務めてきましたが、局からは管理職として裏方に回るよう言われていたんです。私は現場の方が向いていると反論し続けましたが、限界でした。直接言われたことはないですが、キャスターの主張が「反基地」すぎるのも問題だったと思います。何のあてもなく、どうしようと思っていたら、「標的の村」を応援してくれた人たちが「お金を集めるから取材を続けて」と言ってくれ、2作目につながりました。


── 今後も映画監督を?

三上 私は二度と沖縄を戦場にしないためにという思いでやっているので、映画にはこだわりません。人の人生を活字で再構成する楽しさを知ったので、沖縄戦をテーマに、また本を書きたいかな。

 この本は証言者の話し声が聞こえてくるようでしょう。たくさんの人に証言者のおじいちゃんたちに会ってほしくて、黒砂糖とお茶を出して仏壇の前で話してくれる様子をそのまま表現するよう心がけました。この本は分厚いので、1ページ目から読まなくてもいいですよ(笑)。たまたまその日、開いたページに出てくる人の証言を読んでほしい。その人と出会ってもらえたらうれしいです。



 ●プロフィール●

みかみ・ちえ

 1964年東京都生まれ。87年成城大学文芸学部を卒業し、アナウンサー職で毎日放送入社。95年琉球朝日放送(QAB)開局と同時に入社。2003年沖縄国際大学大学院修士課程修了。キャスターを務めながらドキュメンタリーを制作。初監督映画「標的の村」(13年)でキネマ旬報文化映画部門1位など数々の賞を受賞。14年独立。「戦場ぬ止み」(15年)など次々と手がける。著書に『戦場ぬ止み 辺野古・高江からの祈り』(大月書店)など。沖縄県読谷村在住。
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●阿部岳さん《私にも誰にも、きっと大小の刃が潜んでいる。植松被告という鏡に映っているのは今の日本社会の姿ではないか》

2020年01月25日 00時00分07秒 | Weblog

[※ 「こんな人たち」 報道特集(2017年7月8日)↑]



阿部岳さんによる、沖縄タイムスのコラム【[大弦小弦]植松被告という鏡】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/521072)。

 《人ごとでない記者の省察は、自らの内面にも及ぶ。長男に障がいがなければ、と願ったのは差別の表れだったと告白する ▼事件自体も特殊な例ではないと言う。植松被告自身、役に立つかどうかで人の価値を判断する社会の病弊に縛られていた》。

   『●「容疑者の“弱者を排除すべし”という主張は現在の
         日本社会において決して特殊なものではない」

 2016年のリテラの記事【障がい者抹殺思想は相模原事件の容疑者だけじゃない! 石原慎太郎も「安楽死」発言、ネットでは「障がい者不要論」が跋扈】(http://lite-ra.com/2016/07/post-2449.html)、《容疑者の“弱者を排除すべし”という主張は現在の日本社会において決して特殊なものではない。…教育行政にかかわる人物が公然と「金のかかる障がい児は産むべきではない」という見解を開陳するなどおぞましいが、それを容認してしまう空気がいまの日本社会にはある石原慎太郎は、都知事に就任したばかりの1999年9月に障がい者施設を訪れ、こんな発言をした。…絶望的な気持ちにさせられる事態》。
 …こういった「世界観」や「個人・民族間の平等,民主主義,議会主義,人道主義,国際平和を否認」する深層心理はアベ様ら多くの自公議員や癒着党の議員に共通するもの。沖縄イジメが典型で、「本土」マスコミもそれに悪乗りする始末。

   『●アベ様参院選公約「子育て…」: 「3歳児、おなかすいて
           盗んだ」…アベ様のニッポン、病んでいないか?
   『●「取締役レベルで決定した確信犯的」ヘイト企画・
     「差別ビジネス」のツケ…これで幕引きでいいのですか?
   『●デマ言説やデマ本、ヘイト企画、「差別ビジネス」が幅を
          利かすニッポンの出版や報道の世界でいいのか?
   『●山口敬之氏事件…《逮捕寸前までいった事件が、このように
       “ブラックボックス”のなかに押し込められてしまった》
   『●「自衛隊派遣によって治安はかえって悪化する」と言明している
            中村哲さんの言葉をアベ様らは理解しているのか?
   『●仲井真弘多元知事の云う《えたいの知れない集団》って? 
     《中国マネーに群がった…沖縄の保守系議員たち》のことですか?
   『●【<金口木舌>島人のこころ】《沖縄出身の脚本家、
     上原正三さん…沖縄に対する日本本土の差別、無理解が創作活動の原点に》
   『●《民主主義などの「価値観」を共有する国々の仲間だと
     胸を張れるのか。このまま、うやむやにしていい話ではない》
   『●麻生太郎氏…《誰も誤解など生じていない。間違っているのに
      誤解と言い張っているだけで謝罪にも訂正にもなっていない》

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https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/521072

[大弦小弦]植松被告という鏡
2020年1月13日 09:53

 拘置所の面会室で、植松聖被告は淡々と告げた。「息子さんは2歳のころ、安楽死させるべきでした」。福岡市の放送局、RKB毎日放送の神戸金史(かんべかねぶみ)記者(53)は長男が自閉症だと伝えた上で面会と取材を重ねていた

相模原市の知的障がい者施設を襲い、入所者ら45人を殺傷した罪に問われる植松被告。長男へのむきだしの敵意に、神戸記者は「心の中をやすりで削られているような気がした」と語る

▼それでも向き合い続けた取材はテレビドキュメンタリー「イントレランスの時代」になり、昨年12月に北部九州で放送された。人ごとでない記者の省察は、自らの内面にも及ぶ。長男に障がいがなければ、と願ったのは差別の表れだったと告白する

▼事件自体も特殊な例ではないと言う。植松被告自身、役に立つかどうかで人の価値を判断する社会の病弊に縛られていた。神戸記者に自分を「存在価値がない」と言い、事件で「少しは役に立つ人間になった」と屈折した心情を明かした

▼差別の刃(やいば)は心の外に出すと人をあやめる。関東大震災の朝鮮人虐殺沖縄戦住民虐殺が教える。一方、心の中にしまっても自らを傷つける

▼私にも誰にも、きっと 植松被告という鏡に映っているのは今の日本社会の姿ではないか。始まった公判は誰にとっても人ごとではない。(阿部岳
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●軍隊は住民を守らない: 《情報保全隊…住民の調査・監視のほか、島嶼戦争の際の対スパイ戦任務も想定》…

2019年07月21日 00時00分34秒 | Weblog

[※ 『沖縄スパイ戦史』(三上智恵大矢英代共同監督) (LOFT)↑]



琉球新報のコラム【<金口木舌>75年前、隠された惨劇】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-950062.html)と、
【<社説>自衛隊の情報保全隊 国民に活動内容の説明を】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-950055.html)。

 《▼軍国主義の下で情報は統制され、「女性と子どもも潔く死んだ」と美化されて報じられた。権力が隠そうとしたのは南洋戦の実態だけではない軍隊は住民を守らないという正体も覆い隠された》。
 《宮古島市与那国町への陸上自衛隊の配備で、自衛隊の秘密情報を守るために編成された防衛相直轄の部隊「情報保全隊」が配置されていた。防衛省は住民らに説明していない。隠蔽体質がまたも露呈したとのそしりは免れない…情報公開請求で保全隊の情報を入手した軍事評論家の小西誠氏は部隊について、住民の調査・監視のほか、島嶼戦争の際の対スパイ戦任務も想定されると指摘》。

   『●「世紀の大悪法 特定秘密保護法案」
      『週刊金曜日』(11月15日、968号)についてのつぶやき
    「三宅勝久さん【「広報」を通さないと刑務所送り!? 元情報保全隊長
     法廷で漏らした記者監視という任務】、「「働きかけ」を監視」
     「記者も調査対象に」「あらゆる官庁が情報収集」。こんな法案が通ってしまうと
     …(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/a38306f4b58e0871400154b303996c38)」

 wikipediaの「情報保全隊」のページ(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%83%85%E5%A0%B1%E4%BF%9D%E5%85%A8%E9%9A%8A)を見てみると……:

 《情報保全隊(じょうほうほぜんたい)とは、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊のそれぞれに置かれていた、情報保全業務のために必要な資料及び情報の収集整理及び配布を行うことを任務とする防衛大臣直轄部隊。「情報保全」は「Intelligence Security」、「Counter-Intelligence」の和訳とされており、防諜を意味する》
 《それまで、各自衛隊には「調査隊」という部隊が置かれていた。…2009年7月31日をもって廃止となり、翌8月1日付で防衛大臣直轄の自衛隊情報保全隊が発足(事実上の改組)した》
 《市民活動監視問題
 《日本共産党による批判…この内部資料は、本来任務たる「自衛隊に対する外部からの働き掛け等から部隊等を保全するために必要な資料及び情報の収集整理等」(内部統制)のためであるとして隊が行っていた情報収集(日本共産党、社会民主党、ジャーナリストなど報道関係者や、市民や聖職者による自衛隊イラク派遣反対の活動や反戦運動、また集会などの調査)を示すものであり、活動日時・場所・内容、活動に携わった団体の名称や活動の規模、活動団体の代表の氏名などについての調査結果、及びそれらの活動が自衛隊関係者または国民世論への影響や活動の今後の見通しの分析などが中心となっていた。
 共産党によれば共産党系を「P」、社民党系を「S」、民主党及び連合系を「GL」、新左翼系を「NL」、その他の市民運動を「CV」、個人その他を「その他」と分類し、その活動を記録するほか、活動内容の種類によっては、反自衛隊活動と分類し、適宜、自衛隊活動の正当性を強調する内容の脚注が付けられていた。
 公明党は調査対象にされていなかったことから、調査対象とされた団体・個人から「戦前の憲兵政治の再来だ」、「一般市民の活動を監視している」と批判される結果となった。調査の対象には消費税や年金の問題、あるいは春闘関連の集会、団体には地方議会までも含まれている、「自衛隊、防衛問題とは無関係でないか」とその正当性を問う批判も出ている》
 《社民党党首の福島瑞穂と同党議員の保坂展人は6月8日に市ヶ谷の防衛省を訪問し、防衛事務次官の守屋武昌に市民活動監視は不当・不法として抗議を行った。その際に守屋がキャンプ・シュワブでの基地移設反対運動についても、海自の情報保全隊が事後の情報収集を行っていると言及したと保坂は自身のブログで報告している。ただし、守屋は其の後の記者団との非公式会見ではこの事を否定しており、各社の報道は両論併記となった》

……以上のように、「情報保全隊」の防諜は、《「戦前の憲兵政治の再来だ」、「一般市民の活動を監視している」と批判》され、また、《沖縄でも沖縄弁護士会や沖縄平和運動センターなどの団体や個人が監視され、戦前の憲兵隊や特高警察を想起させるとの批判》が出ている。《市民集会や自衛隊、米軍に批判的な団体・個人の活動を監視》していた訳だ。《憲法で保障された表現の自由思想・良心の自由侵害するような活動許されない》のに…。

   『●「防波堤」としての全ての「日本全土がアメリカの「風かたか」」
                …米中の「新たな戦争の「防波堤」に」(その1)
   『●「防波堤」としての全ての「日本全土がアメリカの「風かたか」」
                …米中の「新たな戦争の「防波堤」に」(その2)
   『●米中戦争の「防波堤」:  
     与那国駐屯地による「活性化」? 「島民との融和」か分断か?
   『●「武力によって平和を創造することはできない」…
       「真の平和をつくっていく…「憲法宣言」を採択」
   『●「戦争マラリア」…いま再び自衛隊配備で先島諸島住民を分断し、
                      「戦争や軍隊の本質」の記憶を蘇らせる…
   『●沖縄デマによる市民の分断: 『沖縄スパイ戦史』の両監督
               …「反基地運動は中国のスパイ」デマも同根
    《 “戦争に備える軍隊”は、本当に人々を守るのか。…沖縄戦における
     少年ゲリラ兵、軍が住民を強制移住させた「戦争マラリア」の問題、
     本土から送り込まれた陸軍中野学校出身者の暗躍、そして、
     軍統制下での秘密保持と相互監視のもとで起きた住民虐殺の真相に迫る》

   『●「武力によって平和を創造することはできない」…
         「真の平和をつくっていく…「憲法宣言」を採択」
   『●現在進行形の「身代わり」: 「反省と不戦の誓いを…
             沖縄を二度と、身代わりにしてはならない」
   『●与那国島や石垣島、《沖縄は名護市辺野古だけでなく、
          宮古島もまた国防のために政府に翻弄されている》
   『●虚偽説明…《宮古島では、島民の基地負担は
      ますます重くなっている。政府がやってるのはいじめそのもの》
    「《いじめそのもの》。《石嶺香織さん(38)は「防衛省は、住民に事実を
     明らかにして説明する義務がある。『住民を守る』と言いながら、
     実際は安心できない生活環境を押し付けている沖縄戦の記憶から
     弾薬庫が真っ先に攻撃されるのは明らか再び島が標的にされる」と訴える》」

   『●石垣島陸上自衛隊ミサイル部隊配備:  
       《菩提樹》を切り倒すのか? ささやかな願いさえも打ち砕くのか?
   『●沖縄イジメ…《この74年間、沖縄戦以来、
      陸兵が軍服を着て宮古島を闊歩する姿など誰も見たことはない》


 「情報保全隊」は《情報保全業務》を担うが、《戦前の憲兵政治の再来》という批判もある。
 コラム<金口木舌>は《軍国主義の下で情報は統制され…美化されて報じられた。権力が隠そうとしたのは南洋戦の実態だけではない軍隊は住民を守らないという正体も覆い隠された》。
 いま南西諸島に自衛隊が配備されている…。《中国の海洋進出への対抗策というが、住民の安心をないがしろにして、地域の平和を守るといえるの? また、《“戦争に備える軍隊”は、本当に人々を守るのか》?

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https://ryukyushimpo.jp/column/entry-950062.html

<金口木舌>75年前、隠された惨劇
2019年7月8日 06:00
タピオカ テニアン 太平洋戦争

 那覇市や福岡市で同じ行列を見かけた。目的はタピオカ入りの甘いドリンク。全国で流行している。もちもちとした食感のタピオカの原材料はキャッサバ。沖縄や熱帯気候の地域で栽培される

▼30年間日本が委任統治した旧南洋群島のサイパン、テニアンなどでも移民した県人が生産していた。パラオにはタピオカ工場もあった。海の幸も含め自然の恵みは豊富で、移民者から南洋は楽園と呼ばれた

▼1944年、戦火が襲い、地獄に変えた。太平洋戦争が起きる3年前、南洋の県人は5万3千人を超え、現地住民の数を上回った。南洋戦の一般邦人死者数は約8千~1万人、このうち県人は約6千人とみられる

▼南洋から本土への引き揚げ船は次々に撃沈された。住民は味方と信じた日本軍から(ごう)を追い出され、食料を奪われた。米軍から辱めを受けるともすり込まれ、住民は崖から飛び降り、家族を手にかけた

▼南洋の組織的戦闘は7月7日に終結した。証言に触れるたびに、がくぜんとする。その後の1年間、同じ惨劇が沖縄や周辺の海で繰り返されたからだ。テニアンからは広島、長崎に原爆を投下する米軍機が飛び立った

軍国主義の下で情報は統制され、「女性と子どもも潔く死んだ」と美化されて報じられた。権力が隠そうとしたのは南洋戦の実態だけではない軍隊は住民を守らないという正体も覆い隠された
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https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-950055.html

<社説>自衛隊の情報保全隊 国民に活動内容の説明を
2019年7月8日 06:01

 宮古島市与那国町への陸上自衛隊の配備で、自衛隊の秘密情報を守るために編成された防衛相直轄の部隊「情報保全隊」が配置されていた。防衛省は住民らに説明していない。隠蔽(いんぺい)体質がまたも露呈したとのそしりは免れない。

 防衛省は3月、宮古島に新たに陸自駐屯地を開設、約380人の警備部隊を先行配備した。鹿児島県奄美大島にも駐屯地を開設し警備部隊と地対空地対艦ミサイル部隊を配備している。与那国島では2016年に約160人の陸自沿岸監視部隊が発足した。

 これらの部隊の配備に伴い宮古島と与那国で情報保全隊が発足していた。規模は数人程度という。奄美でも発足した。建設中の石垣駐屯地にも配置される可能性がある。だがこうした事実を防衛省は明らかにしてこなかった。地元からは不安や批判の声が出ている。無理からぬことだ。

 情報公開請求で保全隊の情報を入手した軍事評論家の小西誠氏は部隊について、住民の調査・監視のほか、島嶼(とうしょ)戦争の際の対スパイ戦任務も想定されると指摘している。

 情報保全隊は、従来は陸海空3自衛隊にそれぞれ編成されていたが、09年8月に統合された。自衛隊への攻撃に対する事前の情報収集や自衛隊員が外部の不審者と接触していないかといった調査を行うが、自衛隊のイラク派遣反対の活動をした団体や個人を監視していたことが07年に発覚し、大きな問題となった。

 イラク派遣反対活動の監視では16年、東北地方の住民が国に損害賠償などを求めた訴訟で、公表していない本名や勤務先の情報収集はプライバシー侵害で違法だと認めた判決が確定した。

 情報保全隊は那覇を拠点に県内でも活動している。防衛省は離島への配置について「内部管理が任務の部隊で、北海道から沖縄まで配置されている。与那国や宮古島が特別なわけではない」と話した。そうであればなぜ事前に地元に説明しなかったのか

 宮古島駐屯地では、住民に説明がないまま迫撃砲弾や中距離多目的誘導弾などの弾薬が保管されていた。与那国では弾薬保管の「火薬庫」を「貯蔵庫」と説明していた。基地問題や防衛政策に関する防衛省説明への不信や疑念は枚挙にいとまがない。今回も都合の悪い情報を隠していたのではとみられても仕方がない。

 情報保全隊は過去に各地で市民集会や自衛隊、米軍に批判的な団体・個人の活動を監視していたことが報告された。沖縄でも沖縄弁護士会や沖縄平和運動センターなどの団体や個人が監視され、戦前の憲兵隊や特高警察を想起させるとの批判が出ていた。

 憲法で保障された表現の自由思想・良心の自由侵害するような活動許されない。今回の配置を含めて、情報保全隊の活動内容をきちんと説明し、県民、国民の十分な理解を得ることは防衛省の最低限の義務である。
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●《玉城知事が対話を求めた直後にこれを拒否…》アベ様には《(他者の痛みに寄り添う)沖縄のチムグクル》は届かず

2019年06月25日 00時00分19秒 | Weblog

【電子号外】有権者4分の1超確実 県民投票 知事、日米通知へ (琉球新報 2019年2月24日)↑]



沖縄タイムス【社説[全戦没者追悼式]チムグクル内外に発信】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/436493)と、
琉球タイムス【<社説>知事の平和宣言 沖縄の心を内外へ発信を】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-941828.html)。

 《玉城知事の平和宣言で特徴的だったのは、結びをウチナーグチと英語で発信したことである。「先祖から受け継いだ、平和を愛し、(他者の痛みに寄り添う沖縄のチムグクルを子や孫に伝えなければなりません」との趣旨で、戦争のない安心して暮らせる世界を構築していこうと呼び掛けた。多様性と寛容性にあふれた社会の実現についても全身全霊で取り組むことを誓った》。
 《梅雨が明けぬまま迎えた戦後74年の沖縄全戦没者追悼式で、玉城デニー知事が初の平和宣言に臨んだ。うちなーぐちと英語を交え、平和を願う沖縄の心チムグクル)を外へアピールしようとする思いがにじむ内容だった。…安倍首相は…昨年とほぼ同じ文言だが、民意と向き合わない決意表明は空疎にしか響かない。一つ一つ結果を出すというなら、沖縄の声を受け止めてまずは辺野古の工事を止め、民主主義国の宰相にふさわしい政治判断を取り戻すべきである》。

   『●「まん延する差別」な、「御持て成し」どころでない
        「うらあり」だったニッポン…「病んだ空気」が蔓延
    《▼差別や偏見は人を傷つける。日本が誇る「おもてなし」を台無しにし、
     観光にも大きなダメージを与えかねないチムグクル(思いやりの心)と
     歓待の文化を磨き、沖縄から見本を示したい

   『●「戦争屋のアベ様」やアノ木原稔氏のココロには
       響かない女性の訴え…「基地を造ったら沖縄が戦場になる」
   『●目を逸らす本土…「米国側からみた心温まる
      ヒューマン・ストーリーだけではなく、そこに暮らす人々」に…
   『●「空疎で虚飾に満ち」た弔辞を代読する
      最低の官房長官に怒声…「翁長氏の遺志に応える唯一の道」とは?

 沖縄「慰霊の日」…《玉城知事が対話を求めた直後にこれを拒否する安倍首相の姿勢は平和宣言を軽んじているとしか思えない。実際、会場でも、見送りの空港でも知事と首相が対話する場面は一度もなかった異様というほかない》。
 《(他者の痛みに寄り添う沖縄のチムグクル》《平和を願う沖縄の心チムグクル)》はアベ様には届かず。

   『●沖縄デマによる市民の分断: 『沖縄スパイ戦史』の両監督
                …「反基地運動は中国のスパイ」デマも同根
    《県民の約4分の1が死亡した沖縄戦。6月23日の慰霊の日に行われた
     沖縄全戦没者追悼式で、翁長雄志知事は「辺野古に新基地を造らせない
     という私の決意は県民とともにあり、みじんも揺らぐことはない」と力を込めた。
       一方、安倍首相は基地負担軽減に全力を尽くすと述べた。嘘だ
     政権に辺野古新米軍基地の建設強行を止める気配は微塵もない。石垣島、
     宮古島、与那国島への大規模な自衛隊とミサイル基地の配備も推し進めて
     おり、石垣市では中山義隆市長が7月18日に陸自配備受け入れの方針を
     正式に表明した。
       安倍政権の建前は防衛強化だ。過去最大、約5兆3000億円の来年度
     予算を要求する防衛省の長・小野寺五典防衛相は、沖縄全戦没者追悼式の
     直後に「我が国の平和と安全は自衛隊が担っている」との訓示を出した。
       しかし、戦争に備える軍隊本当に人々を守るのか。》

 それにしても、玉城デニー県知事が、未だに「」へ発信せねばならぬ状況とは、呆れるしかない…。アベ様や最低の官房長官らの沖縄でのやりたい放題と、「本土」の無関心。

   『●与那国島や石垣島、《沖縄は名護市辺野古だけでなく、
        宮古島もまた国防のために政府に翻弄されている》
   『●沖縄イジメ…《この74年間、沖縄戦以来、
     陸兵が軍服を着て宮古島を闊歩する姿など誰も見たことはない》

 沖縄タイムスのコラム【[大弦小弦]自衛官の集団参拝】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/436506)によると、《▼夜が明け、魂魄(こんぱく)の塔では…に出会った。「愛国団体」を掲げるが、司令官ではなく名もなき犠牲者を弔うこの塔に手を合わせていた。「自衛隊は日本軍の過ちを謝罪していない」と厳しい ▼スパイ視による住民虐殺、持久戦による犠牲拡大。「歴史を認識しないまま自衛隊が沖縄に寄り添うことはできない侵略と受け取られても仕方がない」と憂う▼琉球弧で自衛隊基地の新設が進む。宮古島では住民が不安視した弾薬庫の存在を隠していた。与那国島の住民も、知らない間に弾薬庫と同居させられていた。沖縄戦は、軍隊は住民を守らない、という事実を私たちに教えている。改めて問う。自衛隊は日本軍の後継者なのか、違うのか。(阿部岳)》
 日本軍から解き放たれ、今度は、米軍と一体化。《沖縄戦は、軍隊は住民を守らない、という事実》からすれば、自衛隊は、特に沖縄の市民を《守ろ》うとしているか? 市民は分断されゆき、自衛隊と米軍が相まって、《アメリカが中国の軍事的脅威に対抗》するための〝防波堤〟としての役割を押し付けてはいないか。

   『●「日米地位協定が米軍に“特権”を与えているからだ。
      「半分主権国家」…編集者で作家の矢部宏治氏」
   『●日米地位協定では《受け入れ側》ニッポンの 
      《国内法を米軍に適用している》のか? 沖縄はニッポンでは?
   『●番犬様との地位協定…《何のたがもはめず、 
       米軍のやりたい放題を許している》ニッポン、主権は何処に?
   『●安仁屋眞昭さん《沖縄では民意よりも米軍が優先。
       沖縄の戦後は終わっていない》…何度事故・事件が起きようとも
   『●<金口木舌>《よほど国策ごり押しの現場を
      見せたくないらしい。それこそ基地隠蔽》、辺野古破壊隠蔽

 最後に、琉球新報のコラム【<金口木舌>月桃の花咲く頃に】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-941510.html)によると、《海勢頭豊さんが作詞作曲し、映画「GAMA 月桃の花」の主題歌にもなった曲の一節だ。慰霊の月になると、自然と口ずさむ ▼映画のモデルになった県内最高齢の沖縄戦の語り部、安里要江(としえ)さん(98)が先月、体調不良を理由に活動を終えた。「命ある限り語るのが私の使命だった」と約40年、沖縄戦で夫と2人の子どもら親族11人を失った体験を県内外で語り、戦争の悲惨さを訴えた…▼戦争体験者の生の声を聞ける時間は限られている。一言一言を胸に刻み、次代につなぐことが大切だ。22日の真壁区の慰霊祭では、優しい「月桃の花」が戦没者のみ霊を慰めた。今日は「慰霊の日」。深い祈りの中で、改めて平和な世を誓いたい》。
 《戦争の悲惨さを訴えてきた》方々にあまりに失礼な話が続いている。

   『●《戦争が廊下の奥に立つてゐた》…
     《そんな時代にしてはならない》はずが、癒党お維や与党議員ときたら
    《県内最高齢の沖縄戦の語り部で、映画「GAMA 月桃の花」のモデルにも
     なった安里要江(としえ)さん(98)…「命ある限り語るのが私の使命だった。
     二度と悲惨な戦争が起きないよう、みなさんも後世に伝えていってほしい
     と話し、若い世代にバトンを託した》
    「《これまで約40年間にわたって戦争の悲惨さを訴えてきた》方にあまりに
     失礼な話が続いている。修学旅行で訪れた大阪府の中学生には伝わっても、
     いい大人が戦争ごっことはね。こんな国会議員がいるとはねぇ、
     呆れかえります。まぁ。(アノお維から除名された、議員辞職勧告された元)
     お維議員ですものね。ましてや、行政府の長や副総理・財務相、
     最低の官房長官らがアンナ人達ばかりですものね」

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https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/436493

社説[全戦没者追悼式]チムグクル内外に発信
2019年6月24日 05:00

 「慰霊の日」の23日、県内各地で慰霊祭が執り行われた。戦後74年。時折、強い風雨が吹き付ける中、参列者は鎮魂の祈りと平和への思いを新たにした。

 糸満市米須の「魂魄(こんぱく)の塔」。沖縄戦後、野ざらしにされた遺骨を収集し初めて建立された慰霊碑である。親族がどこで戦死したかわからない遺族らが手を合わせる場所だ。

 早朝から多くの家族連れが参拝した。宜野湾市の知念康子さん(81)は車いすを娘に押してもらいながら孫7人を含む11人で訪れた。父親が南部で死亡した。「子ども4人を残して悔しかっただろう。基地があるとまたやられる」と過重な基地負担と沖縄戦を重ね合わせた。

 今年新たに判明した42人の氏名が刻まれ、戦没者の総数が24万1566人となった「平和の礎」。

 刻銘板に刻まれた親族を確認すると、ごちそうやお茶、線香を手向けた。泡盛で名前を清め、いとおしそうになぞるお年寄りの姿も。

 南城市の宮城和子さん(76)は義理の両親が南部で犠牲になった。夫が3年前に亡くなったため、次男とその孫4人で傘を差しながらやって来た。「いつまでも平和が続き、子や孫たちを見守ってください」と祈った。

 戦争体験者が年々減少し、沖縄戦の風化が叫ばれる。

 そんな中で、2人のお年寄りは子や孫の世代と魂魄の塔や平和の礎をいっしょに訪ねることで苛烈な沖縄戦や戦後の苦難の歴史体験を伝えようとしているようにみえた

    ■    ■

 糸満市摩文仁の平和祈念公園では、沖縄全戦没者追悼式が営まれた。

 玉城デニー知事が就任後、初めて平和宣言をした。

 辺野古新基地建設問題では、2月の県民投票を取り上げた。圧倒的多数の県民が辺野古埋め立てに反対していることが明確に示されたにもかかわらず、工事を強行する政府を「民意を尊重せず、地方自治をも蔑(ないがし)ろにする」と批判。翁長雄志前知事と同じように、辺野古移設断念を強く求めた。

 玉城知事の平和宣言で特徴的だったのは、結びをウチナーグチと英語で発信したことである。「先祖から受け継いだ、平和を愛し、(他者の痛みに寄り添う沖縄のチムグクルを子や孫に伝えなければなりません」との趣旨で、戦争のない安心して暮らせる世界を構築していこうと呼び掛けた。

 多様性と寛容性にあふれた社会の実現についても全身全霊で取り組むことを誓った。

    ■    ■

 玉城知事は辺野古新基地建設問題で「対話によってこの問題を解決していく」と平和宣言で述べた。

 しかし、安倍晋三首相は追悼式後の記者会見で、米軍普天間飛行場の「一日も早い全面返還に向けて全力で取り組みたい」と、新基地建設を進める考えを変えなかった。

 玉城知事が対話を求めた直後にこれを拒否する安倍首相の姿勢は平和宣言を軽んじているとしか思えない。実際、会場でも、見送りの空港でも知事と首相が対話する場面は一度もなかった

 異様というほかない
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https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-941828.html

<社説>知事の平和宣言 沖縄の心を内外へ発信を
2019年6月24日 06:01

 梅雨が明けぬまま迎えた戦後74年の沖縄全戦没者追悼式で、玉城デニー知事が初の平和宣言に臨んだ。うちなーぐちと英語を交え、平和を願う沖縄の心チムグクル外へアピールしようとする思いがにじむ内容だった。

 県などが主催する同追悼式は1952年に始まった。知事による平和宣言の最初は、戦没者の三十三回忌の年だった77年の平良幸市知事だ。以降、玉城氏を含め計7人の知事が宣言を読み上げた。

 歴代の知事は宣言で、住民の4人に1人が犠牲となった沖縄戦の悲惨さに触れ、不戦を誓い、世界の恒久平和実現に向けた決意を示してきた。そして保守系、革新系などの政治的立場を超え、いずれも基地問題の解決を訴えてきたことの意味を考えたい。

 広大な米軍基地は言うまでもなく、沖縄戦に起因する。だが敗戦から74年、さらに施政権が米国から日本に返還され47年がたっても、国土面積の0・6%の沖縄に在日米軍専用施設面積の7割が集中している。戦没者を追悼する場で、今も沖縄県知事は外国軍駐留の重圧とそこから派生する多くの問題に言及せざるを得ないこの現実は極めて異常なことなのである。

 玉城知事は宣言で、普天間飛行場の名護市辺野古移設の是非を問う2月の県民投票に触れ「圧倒的多数の県民が辺野古埋め立てに反対していることが明確に示された」と述べた。その言葉を会場の大きな拍手と指笛が包んだ。

 辺野古埋め立てへの反対が7割を超えた県民投票や、玉城氏が過去最多の得票数を得た昨年秋の知事選をはじめ辺野古移設が争点となった一連の選挙で県内の有権者は幾度も反対の民意を示した。

 選挙結果を無視して移設工事を強行している政府に対し玉城知事は宣言で「民意を尊重せず、地方自治をないがしろにするものと批判し、普天間の早期の危険性除去や辺野古移設断念を求めた。だが式典に出席した安倍晋三首相はこれらに直接触れなかった。

 安倍首相は「沖縄は永きにわたり米軍基地の集中による大きな負担を担っている。この現状は何としても変えていかなければならない」「基地負担の軽減に向けて一つ一つ確実に結果を出していく決意だ」「できることは全て行うなどと語った。

 昨年とほぼ同じ文言だが、民意と向き合わない決意表明は空疎にしか響かない。一つ一つ結果を出すというなら、沖縄の声を受け止めてまずは辺野古の工事を止め、民主主義国の宰相にふさわしい政治判断を取り戻すべきである。

 知事は政府との対話を重視する姿勢を示し、「多様性と寛容性にあふれる平和な社会を実現」など、随所に「玉城カラー」を打ち出した。今月からは全国を行脚して辺野古の問題などを訴える取り組みも始めている。沖縄からの平和メッセージ発信の新たな取り組みを意義あるものにしたい。
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●『沖縄スパイ戦史』: 「それまで『先生』と島の人たちに慕われていた山下が抜刀した」…「軍隊の本性」

2018年12月15日 00時00分59秒 | Weblog

[※ 『沖縄スパイ戦史』(三上智恵大矢英代共同監督) (LOFT)↑]

 
(『沖縄スパイ戦史』劇場予告編)

http://www.spy-senshi.com
https://youtu.be/Tsk9ggz-BoY



週刊朝日の朝山実氏の記事【島民の3分の1が死亡…封印された沖縄「秘密戦」の実態】(https://dot.asahi.com/wa/2018082200061.html)。

 《太平洋戦争末期、軍の命令でマラリアの島に送られ、住民の3分の1が亡くなった波照間島の話を知っていますか? 先月末ミニシアターで公開されたドキュメンタリー映画「沖縄スパイ戦史」が立ち見が出るほどの反響だ》。

 《軍隊というものが持つ狂気性》、《軍隊の本性》。それを繰り返そうとしているニッポン。

   『●加害者性と被害者性…「私たち一人一人が被害者となり、
              加害者となり得る戦争。戦争はどこかで今も…」
    「【記憶の澱/NNNドキュメント’17】…。
     《先の大戦の記憶を、今だからこそ「語り、残したい」という人々がいます。
     …心の奥底にまるで「」のようにこびりついた記憶には「被害」と「加害」、
     その両方が存在しました》」

   『●「戦争のためにカメラを回しません。
      戦争のためにペンを持ちません。戦争のために輪転機を回しません」
   『●『沖縄スパイ戦史』(三上智恵・大矢英代共同監督): 
           「「スパイリスト」…歪んだ論理が生み出す殺人」
   『●三上智恵・大矢英代監督映画『沖縄スパイ戦史』…
       「戦争というシステムに巻き込まれていった人たちの姿」

   『●中山きくさん「戦争は体験してからでは遅い」、
       城山三郎さん「平和の有難さは失ってみないとわからない」

   『●「改めて身に迫るのは、軍隊というものが持つ
      狂気性」(高野孟さん)と、いまも続く沖縄での不条理の連鎖
    《マガジン9連載コラム「沖縄〈辺野古・高江〉撮影日誌」でおなじみの
     三上智恵さんが、大矢英代さんとの共同監督で制作した
     映画『沖縄スパイ戦史』が7月下旬からいよいよ公開…
     「軍隊は住民を守らない」…「戦争や軍隊の本質を伝えたい」》。

   『●「安倍政権が旗をふる「極右プロパガンダ映画」が 
      世界中に発信されるという恥ずかしい事態が現実に」!?
   『●『沖縄スパイ戦史』と《記憶の澱》…
     「護郷隊…中高生の年頃の少年たち…スパイと疑われた仲間の処刑…」

    《▼日本軍第32軍の周辺で起きた本島中南部の激戦を「表の沖縄戦」と
     すれば、映画が描くのは北部の少年ゲリラ兵部隊護郷隊」や八重山
     戦争マラリアなどの「裏の沖縄戦」。綿密な取材による証言と資料映像で、
     6月23日以降も続いた遊撃戦の実相をつづる》

   『●自衛隊配備・ミサイル基地建設…『沖縄スパイ戦史』「自衛隊
               …昔と同じく住民を顧みない軍隊の本質」暴露
    「レイバーネット…のコラム【<木下昌明の映画の部屋 243回> 三上智恵
     大矢英代監督『沖縄スパイ戦史』/住民500人を死に追いやった犯罪】」

   『●沖縄デマによる市民の分断: 『沖縄スパイ戦史』の両監督…
                    「反基地運動は中国のスパイ」デマも同根
   『●大矢英代さん「私たちは、過去の歴史からしか学べません…
                  私たちが何を学ぶのかが今、問われている」①
   『●大矢英代さん「私たちは、過去の歴史からしか学べません…
                  私たちが何を学ぶのかが今、問われている」②

 2018年9月沖縄県知事選挙で、万が一、玉城デニーさんが敗れ、「#バリタカ日本会議系自公お維沖縄県知事」候補者が勝てば、辺野古は破壊「損」となり、普天間移設どころか、死した「美ら海」に新たな巨大基地が新設され、恒久化する…玉城さんは勝利したものの、アベ様や最低の官房長官らは「沖縄市民の民意」完全に無視。「森」は殺され、「美ら海」も殺され、基地から出撃した番犬様らは「人」を…。そして、番犬様は格好の攻撃のターゲット。出撃基地として「人殺し」「侵略」の恨みを買い、基地周辺も攻撃に巻き込まれる。「本土」のアベ様や最低の官房長官らのおかげで、「加害者性」と「被害者性」を強いられる沖縄の人々。「本土」の民は、見てみぬふり。
 《軍隊は人を守らない大田昌秀さん)》《軍隊は住民を守らない》《基地を置くから戦争が起こる島袋文子さん)》《軍隊は同じことをするし、住民も協力するし、軍隊は住民をまた殺すことになる三上智恵さん)》…。「本土」の民や、沖縄の自公お維支持者は、何を過剰に番犬様やその基地に期待しているのか?

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https://dot.asahi.com/wa/2018082200061.html

島民の3分の1が死亡…封印された沖縄「秘密戦」の実態
朝山実 2018.8.24 07:00週刊朝日

     (米軍に投降した少年兵(ドキュメンタリー映画「沖縄スパイ戦史」から。
      映画は東京・ポレポレ東中野、大阪・第七藝術劇場、
      名古屋シネマテークなど順次公開中)

     (陸軍中野学校が作成した文書(ドキュメンタリー映画
      「沖縄スパイ戦史」から))

     (「護郷隊」の記念写真(ドキュメンタリー映画「沖縄スパイ戦史」から))

     (大矢英代監督)

 太平洋戦争末期、軍の命令でマラリアの島に送られ、住民の3分の1が亡くなった波照間島の話を知っていますか? 先月末ミニシアターで公開されたドキュメンタリー映画「沖縄スパイ戦史」が立ち見が出るほどの反響だ。長期にわたる綿密な取材で貴重な証言を掘り起こし、封印されてきた沖縄「秘密戦」の実態を明らかにしていく。

     (【写真】陸軍中野学校が作成した文書)


*  *  *

 監督したのは三上智恵大矢英代の女性ふたり。

 スパイの養成機関だった「陸軍中野学校」出身者が米軍上陸を想定し、離島も含めた沖縄の各地に配置された。映画は、彼らが及ぼした戦争の痕跡を追うものだ。

 1944年秋、本土決戦をも視野に入れた「大本営」は、沖縄で徴兵年齢の17歳に達しない、14~16歳の少年約千人を召集し「護郷隊」と名づけた。割り当てられた銃は170センチ。「銃が(身長より)高い」と16歳で入隊した瑞慶山良光さんが映画の中で語る。ある日学校に行くと志願を求められた

 短期育成に当たったのは、陸軍中野学校を出たばかりの若い将校たちだ。少年をも兵員としなければならないほど日本軍は追い込まれていたとともに、「こんな子供たちが」と敵の油断を誘う効果もあった。

 闇に紛れての攻撃や爆弾を背負い戦車隊に突っ込むなど、その存在は米軍を驚愕させたといわれる。160人が戦死した

 撤退戦の中、足手まといとなった傷病兵が軍医や同郷の仲間によって「射殺される現場を見た」など、戦後70余年を経て得られた元少年兵の証言から、表に出てこなかった戦争の現実が浮き彫りになってくる。

 当時15歳だった玉城秀昭さんは、一度米軍の捕虜になってから家族を捜しに来た男性がスパイだとののしられ、殺されかけた現場にいたという。

 大矢さんが言う。

「聞き手は三上さんですが、読谷村で目撃者を探していくうちに、たまたま訪ねていった家で、質問がスパイの話になったとたん、顔つきが変わった」

 三上さんが「今考えればスパイじゃないという彼の言い分は正しいわけですよね」と尋ねると、玉城さんは「あの時代、敵と通じたら大変」「感覚が全然違う。僕も(スパイは)殺しに行くよ、当たり前」と体を震わせた。

 長い間「住民虐殺」が明るみに出ることがなかったのは、スパイ摘発に住民が関与し、戦後もそこで暮らさねばならなかった事情が絡みあっているのだろう。ある「スパイリスト」には、軍の施設で勤労奉仕していた少女の名前まで挙がっていたという。

「施設の配置を敵に知られることを恐れた口封じのためだったみたいですが、軍隊は誰を守ろうとしていたのか」(大矢さん)

 ふたりの監督の丁寧な聞き取りの積み重ねから、戦後も沈黙を強いてきたものの正体があぶりだされていく。後半では、さらに驚くべき出来事が伝えられる。

 地上戦のなかった八重山諸島で3600人余りの命が、日本軍の強制移住によって失われた。島の住民たちは「戦争マラリア」と呼ぶ。

「わたしが『戦争マラリア』のことを知ったのは学生だった9年前」と大矢さん。

 最も被害が大きかった波照間島では、住民の3分の1にあたる約500人が亡くなった。当時マラリアの発生地帯だった西表島に、軍が強制移住を命じた。食糧難と医療も不十分なままに次々と発病。遺体の埋葬も追いつかず「浜一面が遺体だらけ」になったという。

 当時13歳、カメラの前で語る浦仲孝子さんは、家族11人のうち妹と彼女だけが生き残った。父親をみとるくだりは衝撃的だ。

「なんでそんなことになったのか。誰でも知りたいと思いますよね」と大矢さん。

 米軍は平坦(へいたん)な土地が多い波照間島を占領、飛行場を造るだろう。戦闘が起きれば、住民は足手まといとなるだけでなく、機密情報が漏れる恐れがある。強制移住は住民保護と称し軍の監視下に置こうとしたのだと考えられている。

 同時に、島には2千頭余りの牛馬や豚がいた。米軍に渡れば食料となると食肉処理を命じ、肉は島のカツオ工場で薫製にされ、日本軍が持ち出したという。

 映画にも登場する川満彰さん(沖縄県名護市教育委員会文化課市史編さん係嘱託職員)は、著書『陸軍中野学校と沖縄戦』(吉川弘文館)の中で、強制疎開は「住民の証言を見ると、石垣島に駐屯していた約一万人の日本兵の食糧を確保するため、黒島と波照間島の豊富な食糧を奪うことが目的だった、という真相が見え隠れする」として、「米軍上陸の可能性」をも疑問視する兵隊の証言も挙げている。

 もちろん何の反対もなく住民が移住したわけではない。大矢さんが言う。

「疎開の命令が出たのは45年2月ごろ。マラリアを怖がり、反対する人も出た。すると、それまで『先生』と島の人たちに慕われていた山下が抜刀したんです

 山下とは「山下虎雄」の偽名を使い、前年暮れに青年学校に赴任してきた臨時教員。じつは陸軍中野学校出身の軍曹で、昼間は「かっこいい先生」として子供たちから好かれていた青年だったが、夜になると島を巡って調査をしていた

「結局、軍刀を前にしたら誰も反対できない。家族を失ったオバアやオジイに話を聞くと、憎んでいる人はものすごく憎んでいる。でも一方で、『やさしい人だったよ』という人もいる」

 山下が残していった軍刀を戦後、こっそり廃棄したと証言する人が登場する。思いだしたくもないという顔つきで、「首をはねた」といううわさを口にする。

 山下虎雄とは一体何者だったのか? ある日、豹変(ひょうへん)した男をめぐる証言の数々はミステリー色さえ感じさせるものだ。

 山下だけではない。八重山諸島の各島に1人ないし2人の「偽名」兵士が送り込まれていた。24歳の山下もそのひとりだった。

「わたしが取材を始めたのが、当時の山下とほぼ同年齢。やさしい先生の顔と、豹変した後の顔。自分がその立場にいたら、と山下のことを何度も考えました」

 学校で教わったという人たちを取材する中で、印象深い証言があったという。

「島にアダンという実があるんですが、山下がやってきたばかりのころ校庭に実を集め『どれだけあるかわかるか』と聞かれ、『たくさんで、わからない』というと、この小さな四角の中に何個あるかを数え、この何倍の広さか計算したらいいと教えられ、頭のいい人だと思ったと言うんです」

 その山下先生が後に、その子の家を訪れ「ここは島の南端にある。米軍が上陸すれば一番にやられるんだぞ」と怒鳴り、子供の眼前で父親をぶん殴ったという。

「その人はオジイチャンになっても昨日のことのように語るんですよね。子供の目として見た豹変ぶりを」

 軍隊の本性をさらしたということなのだろうが、大矢さんは、若者にそのように二つの顔をもたせた戦争」「軍隊というものに問題意識を持ち、この映画を撮ったという。(朝山実)

※週刊朝日  2018年8月31日号
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●沖縄デマによる市民の分断: 『沖縄スパイ戦史』の両監督…「反基地運動は中国のスパイ」デマも同根

2018年09月27日 00時00分43秒 | Weblog

[※ 『沖縄スパイ戦史』(三上智恵大矢英代共同監督) (LOFT)↑]



リテラの記事【『沖縄スパイ戦史三上智恵監督・大矢英代監督インタビュー/「反基地運動は中国のスパイ」デマも同根だ!『沖縄スパイ戦史』監督が語った”スパイ”という名の分断】(http://lite-ra.com/2018/07/post-4150.html)。

 《“戦争に備える軍隊”は、本当に人々を守るのか。…沖縄戦における少年ゲリラ兵、軍が住民を強制移住させた「戦争マラリア」の問題、本土から送り込まれた陸軍中野学校出身者の暗躍、そして、軍統制下での秘密保持と相互監視のもとで起きた住民虐殺の真相に迫る》。

(『沖縄スパイ戦史』劇場予告編)

http://www.spy-senshi.com
https://youtu.be/Tsk9ggz-BoY

 《スパイに仕立てられた少年兵を仲間に銃殺させたり》…。《記憶の澱》…《軍隊というものが持つ狂気性》。
 そして、現代の、アベ様の《我が軍》も、自衛隊の配備やミサイル基地建設など、《昔と同じく住民を顧みない軍隊の本質》を発揮しようてしてはいないか? 「戦争マラリア」…《ゆるやかな集団自決を住民に強制》。(木下昌明さん)《大矢は、波照間島の住民約500人を死に追いやった犯罪を追及している。…米軍は現れず、彼も姿を消した。スパイだったのだ。…今日、沖縄南西諸島自衛隊が配備され、ミサイル基地が建設されつつある。三上と大矢は、自衛隊が当時の法規を踏襲し、昔と同じく住民を顧みない軍隊の本質を暴いている》。

   『●百田尚樹氏、沖縄の地で「デマを並べ、
      沖縄への米軍基地集中を正当化」…態度・人間性・思考のお粗末さ
   『●「アベ様広報」…安田浩一さん「現地の人に話を聞く、
         裏取りするという取材の基本ができていない…デマ」
   『●東京MXテレビ「沖縄デマ」宣伝…
     「目的がデマの拡散による沖縄の反基地運動への不信あおりにあった」
    「【海鳴りの島から 沖縄・ヤンバルより… 目取真俊東京MXテレビ
     「ニュース女子」の虚偽報道に対する抗議の記者会見。】…
     《殴られた女性はカヌーメンバーでもあるので、二日後に怪我の様子を見た。
     顔に青黒いあざができて痛ましかった。番組の視聴者の大半は
     そういうことを知らないだろう。「反対派の暴力などとよく番組で扱えたものだ
     こういうメンバーをそろえること自体番組の目的がデマの拡散による
     沖縄の反基地運動への不信あおりにあったことを示している》」

   『●確信犯…「ジャーナリストが極右的言動で
      活躍しはじめたことのほうが、より事態の深刻さを物語っている」
   『●放送法「四条の規律を撤廃することは、
     自由の拡大ではなく、自由縮小」…報道へのアベ様の不当な政治介入
   『●「亡命」させられた辛淑玉さんは
      「一時帰国するにも勇気がいる…」とは、一体ニッポンはどんな国なのか?

    「〝罰〟を受けるべきは、一体どちらなのか? ヘイト屋・デマ屋の醜さ、
     醜態、醜悪さ…《態度・人間性・思考のお粗末さ》、どうにかならないものか」
    《番組「ニュース女子」は辛さんと沖縄の基地反対運動へのデマを並べていた》

 また、いまも止まず。病んだ沖縄デマ、沖縄ヘイトによる市民の分断。ニッポンの保守を自称する人達は、番犬様の在日米軍特権には沈黙し、アベ様の「我が軍」が沖縄や島嶼の人々を「防波堤」代わりにしても、何にも感じないらしい。『沖縄スパイ戦史』の両監督は《「反基地運動は中国のスパイ」デマも同根!…”スパイ”という名の分断》であることを指摘。

   『●加害者性と被害者性…「私たち一人一人が被害者となり、
              加害者となり得る戦争。戦争はどこかで今も…」
    「【記憶の澱/NNNドキュメント’17】…。
     《先の大戦の記憶を、今だからこそ「語り、残したい」という人々がいます。
     …心の奥底にまるで「」のようにこびりついた記憶には「被害」と「加害」、
     その両方が存在しました》」

   『●「戦争のためにカメラを回しません。
      戦争のためにペンを持ちません。戦争のために輪転機を回しません」
   『●『沖縄スパイ戦史』(三上智恵・大矢英代共同監督): 
           「「スパイリスト」…歪んだ論理が生み出す殺人」
   『●三上智恵・大矢英代監督映画『沖縄スパイ戦史』…
       「戦争というシステムに巻き込まれていった人たちの姿」

   『●中山きくさん「戦争は体験してからでは遅い」、
       城山三郎さん「平和の有難さは失ってみないとわからない」

   『●「改めて身に迫るのは、軍隊というものが持つ
      狂気性」(高野孟さん)と、いまも続く沖縄での不条理の連鎖
    《マガジン9連載コラム「沖縄〈辺野古・高江〉撮影日誌」でおなじみの
     三上智恵さんが、大矢英代さんとの共同監督で制作した
     映画『沖縄スパイ戦史』が7月下旬からいよいよ公開…
     「軍隊は住民を守らない」…「戦争や軍隊の本質を伝えたい」》。

   『●「安倍政権が旗をふる「極右プロパガンダ映画」が 
      世界中に発信されるという恥ずかしい事態が現実に」!?
   『●『沖縄スパイ戦史』と《記憶の澱》…
     「護郷隊…中高生の年頃の少年たち…スパイと疑われた仲間の処刑…」

    《▼日本軍第32軍の周辺で起きた本島中南部の激戦を「表の沖縄戦」と
     すれば、映画が描くのは北部の少年ゲリラ兵部隊護郷隊」や八重山
     戦争マラリアなどの「裏の沖縄戦」。綿密な取材による証言と資料映像で、
     6月23日以降も続いた遊撃戦の実相をつづる》

   『●自衛隊配備・ミサイル基地建設…
     『沖縄スパイ戦史』「自衛隊…昔と同じく住民を顧みない軍隊の本質」暴露


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http://lite-ra.com/2018/07/post-4150.html

沖縄スパイ戦史三上智恵監督・大矢英代監督インタビュー
「反基地運動は中国のスパイ」デマも同根だ!『沖縄スパイ戦史』監督が語った”スパイ”という名の分断
2018.07.27

     (7月28日より東京でも公開されるドキュメンタリー映画
      『沖縄スパイ戦史』を監督した大矢英代氏(左)と三上智恵氏(右))

 県民の約4分の1が死亡した沖縄戦。6月23日の慰霊の日に行われた沖縄全戦没者追悼式で、翁長雄志知事は「辺野古に新基地を造らせないという私の決意は県民とともにあり、みじんも揺らぐことはない」と力を込めた。
 一方、安倍首相は基地負担軽減に全力を尽くす」と述べた。嘘だ。政権に辺野古新米軍基地の建設強行を止める気配は微塵もない。石垣島、宮古島、与那国島への大規模な自衛隊とミサイル基地の配備も推し進めており、石垣市では中山義隆市長が7月18日に陸自配備受け入れの方針を正式に表明した。
 安倍政権の建前は防衛強化」だ。過去最大、約5兆3000億円の来年度予算を要求する防衛省の長・小野寺五典防衛相は、沖縄全戦没者追悼式の直後に「我が国の平和と安全は自衛隊が担っている」との訓示を出した。
 しかし、“戦争に備える軍隊本当に人々を守るのか
 7月公開のドキュメンタリー映画『沖縄スパイ戦史』は、過去と現在の双方からこの問題をえぐった。沖縄米軍基地や自衛隊ミサイル基地配備問題などを追い続ける三上智恵監督と、三上監督の琉球朝日放送時代の後輩にあたる大矢英代監督、ふたりの女性ジャーナリストによる共作だ。
 両監督の丹念な取材で一次証言や資料を集めた本作は、沖縄戦における少年ゲリラ兵軍が住民を強制移住させた戦争マラリアの問題、本土から送り込まれた陸軍中野学校出身者の暗躍、そして、軍統制下での秘密保持と相互監視のもとで起きた住民虐殺の真相に迫る。
 共通するキーワードは、表題にあるとおり「スパイ」。周知の通り、昨今では新基地や自衛隊配備に反対する人々が、右派やネット右翼から「工作員」「回し者」と攻撃され、テレビや新聞などのマスメディアまでもが沖縄をめぐるデマに加担している。両監督はそうした安倍政権下の状況をどう見ているのか、自衛隊の問題にも踏み込んで話を伺った。ぜひ、最後まで読んでもらいたい。

********************

──これまで『標的の村』や『戦場ぬ止み』『標的の島 風かたか』で、高江のヘリパッドや辺野古新基地の建設、先島諸島の自衛隊・ミサイル基地配備の問題を描いた三上監督が、今作では大矢監督とともに沖縄戦を扱いました。なぜいま沖縄戦、それも「スパイ」をテーマに選んだのでしょう。

三上 みなさんそれを聞きますよね(笑)。三作の映画をつくってみて、まだこれではダメだと思ったからです。辺野古や高江の問題は、沖縄が大変だということではない。もう日本自体が壊れていて、民主主義も国民主権も三権分立も手放そうとしている。そのことの警鐘としてやってきました。
 だけれども、その危機感はほとんど浸透していない。たとえば一作前の『標的の島 風かたか』は、具体的に始まっていく宮古・石垣の自衛隊による要塞化が日本の運命をどう変えていくかということを打ち出したのに、ほとんど後追いもされませんでした。だから、基地建設反対運動や沖縄や離島の文化というのを絡めてドキュメンタリーとしていく手法は、もう甘いんだなって思ったというのがひとつ。
 もうひとつは、日本人は「次の戦争はピカっと光って終わりの核戦争だ。いまどき白兵戦をやるわけがない」と決めつける人が多いですけど、いま、世界中で戦われている戦争って、実際には核戦争じゃないですよね。テロであり、ゲリラであり、スパイによる秘密戦なんです。秘密戦というのは恐ろしい世界で、言わば、敵兵の顔も見ずに、弾に当たる前に殺される人が出る。そうしたいま起きている、起ころうとしている恐怖を知ってもらうために、私たちが放送局時代から取材してきた沖縄戦に何を学ぶべきかと考えて、この題材を選びました。

大矢 実は当初のタイトル候補は「沖縄裏戦史」だったんですよ。でも「裏」というよりかは、全編を通して「スパイ」の話なんですね。陸軍中野学校という本土でスパイや秘密戦、ゲリラ戦などの教育を受けた青年将校が沖縄に赴任し、10代の少年たちを集めてゲリラ兵にした「護郷隊」。私が学生時代から取材してきた戦争マラリアの問題もそうです。たとえば、波照間島の住民は日本軍によって悪性マラリアの蔓延する西表島に強制移住させられ、島民の3分の1が命を落としましたが、実は、その前に中野学校出身者が学校の先生として偽名で赴任してきて、住民の生活を秘密裏に監視していました。強制移住は住民を守るためではなく食料確保や情報を漏洩させたくない軍の都合だった。
 つまり「スパイを防止するという名目で住民のスパイをしていたのです。人々を守るためじゃなくて、日本の国体を守るためですよね。軍が住民に住民を監視・密告をさせて作成したスパイ容疑者リスト」の存在と、疑心暗鬼になった住民同しによる虐殺も、背景には機密を保持するという軍の論理がありました。


■「沖縄にスパイが入ってる」というデマがもつ本当の恐ろしさ

──住民たちを疑心暗鬼にさせて「あいつはスパイらしい」みたいな流れをつくることは安倍政権もやっています。一例をあげると、公安調査庁は報告書のなかで、中国の大学やシンクタンクが沖縄独立を求める団体の関係者との交流を深めているとして〈日本国内の分断を図る狙いが潜んでいる〉などと言いふらしています。他にも、基地新設に反対する人たちや翁長知事に対して「スパイ」とか「回し者」みたいな誹謗デマが飛んでいる。たとえば昨年、作家の百田尚樹氏が〈テント村の中には、漢和辞典も。日本語を勉強している人たちなのかも〉とツイートして、あたかも高江に「中国のスパイ」が紛れ込んでいるかのようにほのめかしていました。


三上 えっ、そんなことを言っていたんですか……。低俗すぎて論外ですが、たしかに「沖縄にスパイが入ってる」というようなデマはいま、再燃しています。しかし、そういう話が流布されていくと、本当に、自分たちの所属している社会が根から腐っていく。
 「スパイ」という言葉の怖さがわかっていないんでしょう。それはジェームズ・ボンドの「スパイ」ではなくて、戦争のときは命取りになる言葉。いや、戦争の前から「スパイ」とされて、いじめ殺されたりということが日本中であった。だからこそ、魔女狩りみたいな危険な集団心理として肝に命じておかなくちゃいけないはずなのに……。

──でも、百田氏の言うような話は現状、かなり流通してしまっています。たとえば「基地反対派は金をもらっている」というネトウヨのデマを本当に信じてしまっている人は少なくないです。

大矢
 もちろんネットの恐ろしさはわかります。私が琉球朝日放送に入局したときから、それこそ“沖縄バッシング”と言われるものは始まっていました。日々のニュースのなかで、普天間基地がつくられる前にはもともと村があって、住民の生活があって、それを米軍が接収したのだというニュースを伝えても、「普天間基地」とgoogleで検索したら、「普天間基地の真実」とか「普天間基地の嘘」みたいな話がたくさんでてくるじゃないですか。
 私は伝える側ですが、受け取る側から見たら、普天間の歴史をもっと知りたいなと思っても、ネットで調べたら事実とはまったく違う嘘にたどり着いちゃうわけですよね。そういう恐ろしさをネットは常にはらんでいると思うし、結局はリテラシーを身につけないと状況は変わらない。
 ただ、一方で、映画を作るようになってからは、正直、あんまりネット右翼と言われている人たちの声は、もう無視してもいいんじゃないかと思うようになってきていて(笑)。


■沖縄デマに乗っかれば、自分が加害者であることに向き合わなくていい

     ((C)2018『沖縄スパイ戦史』製作委員会)

──ネトウヨのバッシングはあまり意識しないということですか。

大矢 はい。だって単なる卑怯じゃないですか。こっちが実名で顔までだしてつくっているものに対して、どこの誰かもわからない、ネットがなければ存在すら証明できない人たちが書き込むわけですよね。それって、対等な関係にならない。だからあんまり、ネットでこんなバッシングが……というのは気にしていないし、相手にしなければいいんじゃないか。そうも思うんですよ。
 もちろん、そうした言説がなぜこれほどまでに出てきているのかということについては、社会の闇の部分としてもっと取材しないといけないですが。誰かを攻撃することで安心している、あなたのなかのその気持ちはなんなんですか? そう問いたいですね。

三上 「あいつらは中国のスパイなんだってよ」みたいなデマって、『沖縄スパイ戦史』の「スパイ」にも共通しますが、ものすごく無責任にアドレナリンが出る話なんですよ。それで知ったような気になる。実際、「翁長知事の娘は中国に留学し、中国共産党の幹部と結婚した」というような有名なフェイクに多くの人が飛びついた。念のため言っておきますが、翁長知事の娘さんは中国に留学どころか一度も中国に行ったことがないですからね。
 しかし「翁長はスパイ」と思いたい人は、「娘が中国人と結婚しているらしい」なる話をフェイクだろうとなんだろうと拡散する。いいね!されることが生きている実感になっちゃっている。そんな病んだ社会がありますよね。「辺野古で反対している人たちはお金もらっているんだぜ」みたいなデマもそう。こういうことさえ言っていれば、自分たちは辺野古の人たちに同情することもないし実は加害者だということに向き合う必要もないから。
 沖縄のことを考えたくもないし、政治的な感覚も本当は0点なんだけど、それをどこか恥ずかしいと思ってるからこそ、そこは悟られたくない。どっちかと言えば、楽してかっこはつけたい。そういう人が群れを成してデマやバッシングに向かう。負の連鎖ですよね。


■世の中に政治的じゃないものなんてありますか?

──そうしたデマとはまた違った角度のバッシングとして、基地反対や日本軍の戦争犯罪を批判すると「政治的なプロパガンダだ!」みたいな言いがかりも飛んできます。『沖縄スパイ戦史』では、石垣島への自衛隊配備を容認する中山氏が当選した石垣市長選のシーンも出てきますね。選挙も入れようというのは最初から考えていたんですか。


三上 もちろんです。ひょっとして、いま現在の選挙を入れると後から古びてみえるとか、そういう違和感を感じましたか?

──いえ、そうではなくて、「政治的な映画だ!」みたいなことを言い出す連中が出てくるのではないかと……。

大矢 うーん、想定はしていましたね。最初は、石垣市長選をどういう風に扱うかは結構悩んでいて。本編を終えたエンドロールのところに入れるというプランもあったのですが、するとまったく違う印象になりますから。まあ、中山市長が映画をみたら怒るだろうなとは承知の上でつくってますけどね(笑)。
 でも、現在とつなげなければ意味がないなぜ、2018年のいま、この映画をつくっているのか。目の前で起こっている石垣の市長選があって、自衛隊基地をどうするの?というところは撮らなければいけない。そう思っていました。
 だいたい「政治的だ!」というバッシングがあると言いますけど、世の中に政治的じゃないものなんてありますかね?

三上 というか「政治的だ!っていうバッシング自体、実は政治的でしょう。

大矢 そうそう。八重山の選挙に限っていえば、右とか左とか、そういう問題じゃなくて命の問題なんです。自衛隊基地を置くことで、どういう風に自分たちの生活が脅かされていくのかどういう風に作戦に加担させられていくのか。映画で過去を掘り下げたように、戦争では「軍の秘密を握る住民」とされて、住民も子どもたちの生活も一変してしまったから

三上 生活や命が脅かされると心配することを「政治的だ!」とか「プロパガンダだ!」と責めて楽しいですか。自分はこの島にずっと住み続けていくし、そこは先祖の土地だし、未来の子どもたちも守りたい、そういう思いを持つは自然でしょう。あなたがこの島にいたら心配しませんか。右往左往しませんか。自衛隊基地についてのいろんな意見を聞いて、迷ったり、怖くなったりしませんか。
 メディアの問題にも通じますが、「政治的中立」みたいな無重力の場所が仮にあったとして、自分はそこを探してそこに立って、公平に世の中にあるすべてのことを見渡すことができる、なんて考えているとしたらかなり傲慢ですよ。そんな人間がいるはずがない。あなた自身が偏っていないというのならば、その意味のない自信はどこからくるのでしょうか。


旧日本軍と自衛隊が同質であるかどうかは重要な問題

     ((C)2018『沖縄スパイ戦史』製作委員会)

──映画をみれば、自衛隊についてもいやが応にも考えざるをえないです。

大矢 自衛隊のことについて目をつむり、耳を塞ぐのは、罪悪感をとりはらいたいがための自己暗示でしかないと思っています。

三上 たとえば、先の戦争で散々なことをした旧日本軍と自衛隊が同質であるかどうかはとても重要な問題なのですが、みんなそこを検証せずに「まさか同じなわけないじゃないか」と思っている。
 この映画をみて、何が同じで何が変わったのか、考えてみてほしい。少なくとも、旧日本軍が何をやったのかということが知られてなさすぎるし、もっと多くの人の目で検証しないと信用できないはず。だからこそ、私たちは『沖縄スパイ戦史』のようなドキュメンタリーをつくっているんです。

(取材・構成/編集部)


■『沖縄スパイ戦史』
7月21日(土)より那覇・桜坂劇場にて先行公開中、7月28日(土)より東京・ポレポレ東中野にて公開。ほか、全国順次公開(公式サイトhttp://www.spy-senshi.com)。

未曾有の犠牲を出した沖縄戦の裏には、知られざる「秘密戦」があった。本土から沖縄へ送り込まれた、諜報員を養成する陸軍中野学校の出身者。ある者は年端もない1000人もの子どもたちをゲリラ兵にし、スパイ活動をさせた。ある者は教師になりすまして村に潜入し、悪性マラリア地帯の離島へ住民を閉じ込める軍命を実行した。18歳の少女までもがスパイリストなるものに載せられた。軍の監視と密告で疑心暗鬼になる住民たち。そして発生した「スパイ虐殺」。当時を知る証言者たちが、三上智恵・大矢英代両監督の取材で口をひらく。はたして軍隊は住民の命を守るのか、それとも──。沖縄で進められている自衛隊とミサイル基地配備の現実。映画が映すのは、過去の話ではない
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●森達也さん『国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要』

2013年11月15日 00時00分44秒 | Weblog


『森達也リアル共同幻想論』の記事【【第70回】国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要】(http://diamond.jp/articles/-/43483)。

 「「うそをつく人たち」にとって都合の「いい内容」」の特定秘密保護法案森達也さんは「国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要」、と仰っています。なぜなら、

    「川口順子外務大臣は「事実関係として密約はない」と発言し、
     福田康夫官房長官が「密約は一切ない」と記者の質問に答え、
     次の官房長官である安倍晋三はまったくそうした密約はなかった」と
     記者会見で主張した。つまり国民に嘘をつき続けた。そしてそれが明らかに
     なった。政治家としては致命的な失態だ。でもこの国では、なぜかこれが
     問題視されない。西山と女性事務官が国家から起訴された裁判においても、
     起訴理由は「国家機密の漏洩行為」であるのに、自民党は機密などない
     と主張し続けた。機密がないのなら、2人はなぜ起訴されて有罪と
     されたのだろう。子どもにだってこの矛盾はわかる。でもメディアは
     それ以上の追及をしなかった。なぜなら国民が関心を示さないからだ。
     国民の多くはこのとき、知る権利や政府の背信行為の究明よりも
     週刊新潮や女性誌などが報道する2人の不倫行為を叩くことに
     夢中になっていた

そういう国やマスコミの性質、国民性だからでしょうか。森さんは、最後に「そんな国で秘密保護法がもうすぐ成立する。どんな状態になるのだろう。機密を理由にやりたい放題。とてもとても楽しみだ」・・・・・・。

   『●特定秘密保護法案: 「うそをつく人たちが作」る猛毒を
                     「いい内容に仕上がっている」認識とは!?

    「「一般の市民はどの情報を聞き出したり漏らしたりしたことが違反に当たるかを
     知らされないまま逮捕、起訴され、裁判でも何が秘密かが明らかにならないまま、
     有罪判決を受ける恐れが現実のものとな」り、「それ招く萎縮効果は絶大」で、
     「このままでは濫用の暴走が避けられない」ような猛毒が、「いい内容」だ
     そうです。それは、「うそをつく人たち」にとって都合の「いい内容」でしょう」。

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http://diamond.jp/articles/-/43483

森達也リアル共同幻想論
【第70回】 2013年10月28日

国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要



映画『フェアゲーム』が暴くもの

 2010年に公開されたアメリカ映画『フェア・ゲーム』は、CIAで諜報活動に従事していた女性工作員ヴァレリー・プレイムの回顧録をベースにしている。つまり実話。ペンシルベニア州立大学を卒業後にCIAにスカウトされたプレイムは、CIAが作った架空の会社の社員として、主に大量破壊兵器の調査などの任務を行っていた。夫であるジョゼフ・ウィルソンは元外交官で、イラク大使代理、国家安全保障会議(NSC)のアフリカ担当部長などを歴任している。
 2001年、イラクがアフリカのニジェールからウランを秘密裏に輸入したとする「ニジェール疑惑」が浮上した。しかし証拠はほとんどない。アメリカ政府から調査を命じられたウィルソンはニジェールに飛び、綿密な調査を重ねたうえで、疑惑を完全に否定する報告書を作成した。しかしブッシュ政権はこの報告書を握り潰した。同時期に妻であるプレイムはイラクの科学者たちに秘密裏に接触し、やはり大量破壊兵器など存在しないと確信するが、CIAのこのレポートも結局は政権から黙殺される。
 最終的に2003年1月28日の一般教書演説でブッシュは、ニジェールからウランを輸入したことなどを根拠として語りながら、イラクが核開発を行っていると主張した。こうしてイラク侵攻は開始され、苦悩したウィルソンは同年7月6日付けのニューヨーク・タイムズに、イラクの核開発についての情報が歪曲されていると寄稿して国民に訴えた。しかしこの1週間後、ブッシュ政権は「政府を告発したウィルソンの妻はCIAエージェントである」とメディアにリークし、ウィルソンが現在の任務に就いていることは不適切だと報じさせた。明らかな報復だ。
 ……まだ観ていない人のために、これ以上は書かないほうがいいだろう。この映画が企画された段階で、米軍はまだイラクに駐留していた。でもハリウッドの映画製作者たちはそんなことに頓着しない。当たり前のように映画を作る。しかも肩肘は張っていない。だって徹底してエンターテインメントなのだ。ところが登場人物はすべて実名だ。主人公の2人だけではなく、ブッシュもラムズフェルドチェイニーもすべて実名で登場する。
 イラク戦争の映画は他にも『グリーンゾーン』や『リダクテッド』、『華氏911』、『ハートロッカー』などたくさんある。そのほとんどはブッシュ政権への批判を前提にしている。批判性をしっかりと前面に打ち出しながら、娯楽映画として完成させている。
 試写会場で『フェア・ゲーム』を観ながら、僕はもう一つのアメリカ映画を思い出していた。



http://diamond.jp/articles/-/43483?page=2


アメリカほど自己中心的で傲慢な国はないけれど……

 1976年に作られた『大統領の陰謀』は、ワシントン・ポスト社会部の記者であるボブ・ウッドワードとカール・バーンスタインが主人公だ。
 実際に2人がスクープした「ウオーターゲート事件」(ニクソン政権による非合法な盗聴工作)をテーマに描いたこの映画も、登場人物はすべて実名だ。ウッドワードとバーンスタインは、この前年にベトナム戦争の極秘報告書である「ペンタゴン・ペーパーズ」の全文コピーをニューヨーク・タイムズに渡したダニエル・エルズバーグや、これを受け取って記事にしたニール・シーハンと共に、今もアメリカでは国家的な英雄だ(ただしここに名前を挙げた全員が事件当時には、政府から「国旗に泥を塗った」とか「国家の敵」などと糾弾されている)。
 アメリカ人が大好きなフレーズ「God Bless America」が示すように、アメリカほど自己中心的で傲慢な国はない。しかも腕力は世界一だ。だから力に任せて物事を解決しようとする。独善的な正義に酔いやすい。とにかく欠点だらけの国だ。
 でも情報公開とジャーナリズムの精神においては、アメリカは世界でもトップクラスの国だ。ここだけは信頼できる。
 だからこそアメリカのメディアは、徹底して政府の不正や背信行為を追及する。結果として自浄作用が強い。行きすぎることは確かに多いが、イラク戦争が示すように、行きっぱなしになることはほとんどない。メディアも自分たちの過ちを認め、何をどう間違えたかを徹底して検証し、さらに提示する。さらには(ここが一番すごいのだけど)、これを娯楽にしてしまう。国民レベルで共有する。アメリカの先住民虐殺の歴史とイラク侵攻を併せながらメタファーにして海兵隊を徹底的に批判する『アバター』を観たときは、その娯楽性とメッセージの融合の見事さに圧倒された。


沖縄密約事件の西山記者は英雄になるどころか日本中から批判された

 翻って日本はどうか。政府による情報の隠ぺいと国民への背信行為として真先に思いつくのは、1971年(ペンタゴン・ペーパーズがスクープされた年だ)に起きた沖縄密約事件だ。でもこのとき、メディアは当時の佐藤栄作政権への追及を途中でやめた。だから密約はないものとされてきた。ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズの記者たちは英雄となったけれど、密約を暴いた毎日新聞の西山太吉記者は日本中から批判されながら退職し、さらに国家公務員法違反(機密漏えい教唆)で有罪とされた
 これを題材にした映画作品はない。ただし小説はある。山崎豊子が2009年に発表した『運命の人』。実名は登場しない西山太吉は弓成亮太とされている。毎日新聞社は毎朝新聞社。内閣総理大臣である佐藤栄作は佐橋栄作。福田赳夫大蔵大臣は福出武夫。後に総理大臣になる田中角栄は田淵角造。大平正芳は小平正良



http://diamond.jp/articles/-/43483?page=3

 名前を引用しながら力が抜ける。まるでダジャレのレベルだ。ただし小説版『運命の人』については、発表時はまだ密約の存在を政府が認めていなかったから、実名を回避することはある程度は仕方がない。でもその後に民主党政権が密約の存在を認めてから、『運命の人』をベースにしたドラマをTBSが放送した。もしも僕がこの作品の演出を任されたのならば、まずは山崎豊子に実名に変えてよいかと交渉する。山崎が首を縦に振らないのなら、ノンフィクションとして書かれた密約─外務省機密漏洩事件澤地久枝)をベースにすればよい。それこそ脚本家の腕のみせどころだ。百歩譲って個人の名前が無理だとしても、弓成が所属していた毎朝新聞社は毎日新聞社に戻す。他にも週刊ジャーナル(実際は朝日ジャーナル)や週刊潮流(週刊新潮)や読日新聞(書くのもうんざりだけれど読売新聞)など、実名を隠すことでほとんど漫画になってしまっているでも結局TBSは、この名前のままドラマを制作した
 日本では1982年に公開されたアメリカ映画『アトミック・カフェ(The Atomic Cafe)』は、冷戦期にアメリカ国内で放送されたニュース映像や政府提供の広報番組、軍が兵士の教育や啓蒙用に制作したフィルム、当時のドラマやラジオ音声などにより構成されている。作品のために撮り下ろした素材は一切ない。つまりアーカイブ・ドキュメンタリーだ。
 放射能で被曝するかもしれないからサングラスは必需品。念のため傷には絆創膏を貼っておきましょう。ピカッと光ったらさっと机の下に隠れる。アメリカ良いとこ一度はおいで。共産圏に水爆を落としてすっきりさわやか!


なぜ日本ではこんな映画が制作できないのか

 ……この時代に制作された映像を眺めながら、いかに当時のアメリカが核兵器や放射能に対して無知であったかを実感する。国民だけではない。政治家も軍の上層部も、核兵器を規格外の爆弾くらいにしか捉えていなかった。つまり概念だ。だからこそアメリカでは、戦争を終わらせるためには広島・長崎への原爆投下は正当だったと主張する人が、今も一定数いる。おそらくそのほとんどは、この時代に教育を受けた世代だろう。
 とても重要な映画だ。でもこの映画は日本では制作できない。断言することは嫌いだけど、これは断言できる。なぜなら政府や防衛省が映画への映像提供を許可しない。
 アメリカは違う。使用目的が何であれ、国民の税金で制作されたものであれば最終的には国民に帰属するとの意識が明確にある(当たり前だ)。だから隠さない。沖縄密約問題の際にも、2000年にアメリカ公文書館は密約を裏付ける文書を公開したが、その後も日本政府は「密約は存在しない」と言い続けた。その2年後に今度はアメリカ国家安全保障会議(NSCが、「日本政府がアメリカに対して、密約問題については公にならないように同一歩調をとることを要求してきている」と記述された文書を公開したが、その後も日本政府の姿勢は変わらなかった。具体的に書けば、川口順子外務大臣は「事実関係として密約はない」と発言し、福田康夫官房長官が「密約は一切ない」と記者の質問に答え、次の官房長官である安倍晋三は「まったくそうした密約はなかった」と記者会見で主張した



http://diamond.jp/articles/-/43483?page=4

 つまり国民に嘘をつき続けた。そしてそれが明らかになった。政治家としては致命的な失態だ。でもこの国では、なぜかこれが問題視されない。西山と女性事務官が国家から起訴された裁判においても、起訴理由は「国家機密の漏洩行為」であるのに、自民党は機密などないと主張し続けた機密がないのなら、2人はなぜ起訴されて有罪とされたのだろう。子どもにだってこの矛盾はわかる。でもメディアはそれ以上の追及をしなかったなぜなら国民が関心を示さないからだ。国民の多くはこのとき、知る権利や政府の背信行為の究明よりも、週刊新潮や女性誌などが報道する2人の不倫行為を叩くことに夢中になっていた
 その後に密約の存在を認めた民主党は大きく失墜し、ずっと国民を欺き続けた自民党は今や飛ぶ鳥を落とす勢いだ。
 だから思う。この国では秘密保護法など制定してはならないというか必要ないそんな法制度などなくても、いくらでも秘密は作れる。暴かれることもめったにない
 最初に秘密(機密)保護法という言葉を発した政治家は、西山事件で一時は追い詰められた佐藤栄作。国会で社会党議員が西山からリークされた情報に沿って質問し、毎日新聞が密約の存在をスクープして他紙もこれを追いかけかけたとき、参議院予算委員会で佐藤栄作首相は、「国家の秘密はあるのであり、機密保護法制定はぜひ必要だ。この事件の関連でいうのではないが、かねての持論である」と主張した。
 これを受ける形で秘密保護法の議論は自民党内において続けられ、何度かの試行錯誤を経て1985年には衆議院に議員立法として法案が提出されている。しかしこのときは、日本社会党・公明党・民社党・日本共産党・社会民主連合など当時の野党が強硬に反対し、法案は通常国会の閉会に伴って廃案となっている。
 でもそんな野党はもうほとんどいないメディアが大好きな言葉である「ねじれ」も解消された(これで法案はさくさく通る。でもならば、何のための二院制なのだろう)。有事の際には沖縄に核兵器を持ち込むことを認める密約文書をアメリカと交わしていた佐藤栄作は、表向きの非核三原則を理由にノーベル平和賞を授与された。その佐藤の宿願である秘密保護法が、やっとこの秋に成立する。


http://diamond.jp/articles/-/43483?page=5


密約の存在には触れないまま判決は出された

 密約のもう片方の当事者であるアメリカでは、前述したように密約の存在を示す文書は既に機密解除され、アメリカ国立公文書記録管理局にて公文書として閲覧可能であるが、自民党政権は2010年まで文書の存在を否定し続けて来た。2005年4月に西山は「密約の存在を知りながら違法に起訴された」として国家賠償請求訴訟を提起したが、2007年3月に東京地方裁判所は密約の存在にはまったく触れないまま、「損害賠償請求の20年の除斥期間を過ぎ、請求の権利がない」として訴えを棄却した。原告側は「2000年の米公文書公開で初めて密約が立証されて提訴可能になったのだから、それ以前の除斥期間で請求権消滅は不当」として控訴したが、高裁も密約の有無については触れないまま一審判決を支持して控訴を棄却した。さらに2008年9月、最高裁第三小法廷(藤田宙靖裁判長)は原告の上告を棄却し、一審・二審の判決が確定した。つまり司法が行政の都合と思惑を忖度している。司法権の独立などどこにもない。
 ペンタゴン・ペーパーズやウオーターゲート事件のときにアメリカ政府は記事差し止めを求めて提訴したが、最終的に司法は「政府は説明責任を果たしていない」としてこれを却下した。今さらではあるけれど、まったく同じ時期に起きた2つの事件の扱われかたは、何かの間違いじゃないかと思いたくなるほどに違う。


*   *   *


 今回は秘密保護法を考えるうえで、安倍政権が参考にしているというアメリカ国家安全保障会議(NSC)を保持するアメリカと日本を比較してみた。もう一度書くが、アメリカは問題だらけの国だ。粗野で臆病なのに自信過剰で腕力ばかりが強い。でもジャーナリズムと言論の自由と情報公開については筋を通す。最後の一線は絶対に譲らない。
 ポスト911が典型だが、アメリカも日本と同様に集団化しやすい国だ(ただしその理由とメカニズムは日本とまったく違う)。でもアメリカは復元する。ジャーナリズムと国民の知る権利への意識があるからだ。日本は復元しない。行ったら行きっぱなしなのだ。
 そんな国で秘密保護法がもうすぐ成立する。どんな状態になるのだろう。機密を理由にやりたい放題。とてもとても楽しみだ。
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●情けないオトナ達: コドモへの『はだしのゲン』閲覧制限事件

2013年08月28日 00時00分06秒 | Weblog


東京新聞の社説【はだしのゲン 彼に平和を教わった】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013082102000169.html)と記事【下村文科相、閲覧制限を容認 はだしのゲン「配慮必要」】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013082101001388.html)、そして、琉球新報の社説【はだしのゲン 目隠しをして何になろう】(http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-211401-storytopic-11.html)。さらに、東京新聞の記事【「はだしのゲン」の衝撃 米少女を漫画家に】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013082390135946.html)。最後に、東京新聞コラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013082502000112.html)。

 きっかけは高知市の一人の在特会関係者の陳情だったらしい。議会は否決したのに、松江市教育委員会がその陳情の意味合いを過剰に忖度し、コドモ達の目に触れにくくしたわけだ。
 原爆や戦争の描写がコドモには過激だ、との主張のようで、在特会関係者や自公の議員というオトナの気持ちが十分に忖度されているようだ。でも、実際の原爆や戦争はこの漫画以下の残酷さや過激さだったのだろうか? このオトナ達はそう感じ、このオトナ達の原爆や戦争に対する感覚をコドモに「教育」し、原爆や戦争のある世の中を推奨したいようだ。しかも、そのオトナ達は安全地帯に居て、コドモにそういった世界に喜んで飛び込んでいけるように「教育」したいのだろう。
 実際にはこの漫画以上、漫画をはるかに超える残酷さや悲惨さ、過激さであり、オトナはコドモにそれを伝え、戦争や原爆の無い世の中を伝えたいと思うのが普通ではないのか。
 漫画以下だ、漫画のようなことはないよ、だから、お国のために頑張ろうね、とコドモに「教育」したいという情けないオトナ達。その情けないオトナの典型が文科相だったとは、唖然。「誤った解釈」とは一体どんな解釈なのだろうか?

   『●「原子力」と「核」、言葉は違えど「原発=原爆」である
   『●「はだしのゲン」中沢啓治さん、亡くなる
   『●『はだしのゲン』中沢啓治さんの新たな遺稿が見つかる
   『●「国家と教育」『週刊金曜日』(2013年3月22日、936号)についてのつぶやき

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013082102000169.html

【社説】
はだしのゲン 彼に平和を教わった
2013年8月21日

 原爆の焦土をたくましく生き抜く少年を描いた漫画「はだしのゲン」。世界中の子どもたちが彼に平和を学んでいる。それを図書館で自由に読めないようにした大人。ちょっと情けなくないか。
 「はだしのゲン」は、英語、ロシア語、クロアチア語など世界約二十カ国語に翻訳されている。
 書物を出すのに政府の許可が必要なイランでも、ことし五月にペルシャ語訳が出版された。
 原爆を投下した米国でも、全米約三千の図書館に所蔵され、韓国では全十巻三万セットを売り上げるベストセラーになっている。
 一九七三年に連載がスタートし、八五年に完結した。誕生から、ことし四十年になる。
 「はだしのゲン」は、漫画やアニメが日本文化の代表として、世界でもてはやされる以前から学級文庫に並んでいた
 今月五日、広島原爆忌の前夜には、市民グループの手によって、原爆ドームの足元を流れる元安川の川面に、作者の中沢啓治さんとゲンの姿が映し出された。
 なぜゲンが選ばれ、読み継がれているのだろうか。
 単行本一巻目の表紙には、青麦を握り締めてほほ笑むゲンの横顔が描かれている。踏まれても踏まれても、たくましく穂を実らせる、青麦は成長のシンボルだ。
 <私は「はだしのゲン」を読んで、原子爆弾が投下された日の広島のことを知った気になっていました。しかし、(被爆体験者の)お二人の話を聞いて、たくさんのことが分かりました>
 愛媛県の少女が地元紙に寄せた投書の一節だ。
 松江市教委が問題視したような残虐とも思える描写も確かにある。しかし、子どもたちは、それも踏まえて物語を貫く平和への願いや希望を感じ取り、自分の頭で考えながら、ゲンと一緒にたくましく成長を遂げている。
 表現の自由図書館の自由宣言をわざわざ持ち出すまでもない。
 大人たちがやるべきなのは、目隠しをすることではない。子どもたちに機会を与え、ともに考えたり、話し合ったりしながら、その成長を見守ることではないか。
 昨年末に亡くなった中沢さんは「これからも読みつがれていって、何かを感じてほしい。それだけが、わたしの願いです」と、「わたしの遺書」の末尾に書いた。子どもたちよ、もっとゲンに触れ、そして自分で感じてほしい。
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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013082101001388.html

下村文科相、閲覧制限を容認 はだしのゲン「配慮必要」
2013年8月21日 21時22分

 松江市教育委員会が市立小中学校に漫画「はだしのゲン」の閲覧制限を求めた問題について、下村博文文部科学相は21日の記者会見で「市教委の判断は違法ではなく問題ない。子どもの発達段階に応じた教育的配慮は必要だと思う」と述べ、理解を示した。閲覧制限には表現の自由を制限するとの批判的な意見があり、議論を呼びそうだ。
 下村氏は過激な描写と指摘されている部分を自らも確認したことを明らかにし「小中学生が必ずしも正しく理解できない描写だ、と考える人もいるかもしれない」と指摘。
 また「誤った解釈をしないように、教員と一緒に学習しようとの考えだと聞いている」と語った。

(共同)
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http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-211401-storytopic-11.html

社説
はだしのゲン 目隠しをして何になろう
2013年8月22日

 原爆を題材にした漫画「はだしのゲン」を、島根県松江市の教育委員会が市内全小中学校の図書室で許可なく閲覧できないようにし、批判を浴びている。書棚から撤去したため、子供たちは自由に手に取ることすらできない
 原爆や戦争のむごたらしさから子供たちを目隠しして何になろう実相を学ぶ貴重な機会を子供たちから奪ってはならない。市教委は直ちに制限を撤回すべきだ。
 「はだしのゲン」は、作者の故中沢啓治さんが自らの被爆体験を基に、原爆の惨状と戦後の苦難を鮮烈に描いた名作だ。
 中沢さんも当初は被爆体験を隠していた。だが戦後21年で死去した母を火葬した際、「あるはずの骨が無く、灰しか残らなかった。原爆はおふくろの骨まで奪った」。その怒りが創作の原動力となった。
 1973年から12年間描き継がれ、学校や図書館に置かれるようになる。英語・ロシア語・ペルシャ語など20カ国語に翻訳され、世界にも広まった。作品の価値の高さゆえであろう。国境や世代を超えて読み継がれた名作を、当の、唯一の被爆国の子供たちが読めないとは、不条理そのものだ
 閲覧制限はある男性が松江市教委に送った陳情書がきっかけだ。日本軍が中国人の女性を殺す場面などを例に挙げて「偏ったイデオロギー」と非難し、学校からの撤去を求めている。同じ男性が高知でも同様の陳情書を送っており、各地に広げる狙いを持っているのは明らかだ。
 一部の人々からの抗議のメールや電話を受け、公的機関が当初の姿勢を撤回するのは、沖縄県が旧32軍壕の説明板から「慰安婦」「住民虐殺」の文言を削除した際の姿と、うり二つである
 ある考え方が気に入らないからといって作品そのものを閉め出すのは、ナチスの焚書(ふんしょ)と同質の行為ではないか。これを許せば、軍部に恐れをなし、徐々に自由な言論が奪われた戦前の繰り返しとなりかねない。
 「はだしのゲン」は鳥取市立中央図書館も閲覧制限していたことが分かっている。日の丸掲揚・君が代斉唱の強要に注意を促す教科書について、各地の教育委員会が不採択を求めたことも想起される。
 この国の表現の自由、知る権利は危険な水域に入ったのではないか。言論封殺の進行はぜひとも食い止めなければならない。
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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013082390135946.html

「はだしのゲン」の衝撃 米少女を漫画家に
2013年8月23日 13時59分

 漫画「はだしのゲン」を小学生時代に読み、原爆のすさまじさに衝撃を受けた体験を米国の女性漫画家が描いた短編作品が和訳され、インターネット上で紹介されて話題になっている。作者がモデルの主人公は心を揺さぶられ、漫画家を志すきっかけになった。和訳したのは、小中学校にはだしのゲンの閲覧制限を求めた松江市教委の対応に疑問を感じた日本人編集者。二人の「合作」がこの問題に警鐘を鳴らしている。 (上野実輝彦)

 作者はニューヨーク在住のレイナ・テルゲマイヤーさん(36)。作品は二〇〇二年に発表し、自身のホームページで公開している「Beginnings(きっかけ)」。父に勧められ、英訳版のはだしのゲンを読んだ体験を描いた。原爆の脅威に直面し、少女の心の揺れを表現。動揺する娘に母がかけた言葉が人生の道しるべになったことや、漫画の持つ力にひきつけられた心情もにじませている。
 テルゲマイヤーさんは本紙の取材に、小学生でゲンに触れた意義を「幅広い問題意識を持ち、周囲にもっと目を向けられるようになった。ショッキングな表現もあるが、読んで良かった」と強調。松江市教委が暴力的な描写を閲覧制限の理由にしたことに「現代の子どもはゲームなどで、もっと暴力的な表現に触れている。(閲覧制限より)現実の暴力が引き起こす問題を理解させる方が重要だ」と疑問を投げかけた。
 和訳した東京都のフリー編集者の男性(45)は「子どもが本と出会う機会を失わせたのに、重大な行為をしている自覚がない松江市教委が腹立たしい」と思い、ゲンに関する情報を集め始めて作品を見つけた。
 「多くの人の目に留めたい」と、本人に和訳して公開したいと連絡したところ、快諾を得て自身のブログに最近掲載した。
 男性は「原爆の背景を知らない米国の少女が、素直な気持ちでゲンを読んで感じたことを知ってもらえれば」と語る。
 男性のブログのアドレスはhttp://lafs.hatenablog.com/
 ブログ名の一部である「編集といえば出版編集」でキーワード検索しても見つかる。

 <レイナ・テルゲマイヤー> 1977年、米国サンフランシスコ生まれ。9歳ごろから漫画を描き始め、99年にニューヨークの美術専門学校に入学。2000年からインターネット上で短編作品の発表を始める。小学生の時、歯のけがが原因でいじめを受けた経験を描いた「Smile」(10年)が、米国で最も権威ある漫画賞とされる「アイズナー賞」で部門別の最優秀賞を受賞。好きな漫画家の1人に「はだしのゲン」作者の中沢啓治氏を挙げている。

◆漫画のあらすじ
 9歳の時、父に「読むといいよ」と言われ、はだしのゲンを渡された。「日本に原爆が落ちたと聞いても、ピンとこなかった」が、読んでいくうちに感情移入。広島への原爆投下の場面まで進むと、自国の米国による攻撃で多くの人が死んだことに混乱し、泣きながら両親に「何で米国が日本に?」「私もそんな目に遭う?」「二度と起きちゃダメ」とまくしたてた。「もう人生めちゃめちゃ」と嘆く娘に、母は成長を感じたのか、優しく「逆に、あなたの人生が始まったのね」と背中を押した。主人公は母の言葉の意味を理解できなかったが、それからの人生で「いっぱい考えさせられた」と回想している。

(東京新聞)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013082502000112.html

【コラム】
筆洗
2013年8月25日

 昨年亡くなった中沢啓治さんには「はだしのゲン」の続編を描く構想があった。目の病気で実現できなかったが、広島平和記念資料館の展示室で下書き原稿を見ることができる(九月一日まで)▼敗戦から十四年後、ゲンは絵の修業のために上京する。理髪店で被爆のことを話すと、店主から「原爆を受けた者に近づくと放射能がうつる」と罵倒される。東京大空襲で親を失った子どもに同情し、財布を盗まれる場面もある▼絵が描かれているのは一ページだけ。鉛筆でこま割りやせりふを指定する粗いスケッチだが、波乱に富む新生活を予感させる。続編では被爆者差別を描こうとしたそうだ▼累計部数一千万部超。二十カ国で翻訳されているこの漫画が、松江市の小中学校の図書館で自由に読めなくなった。旧日本軍の暴虐さを描いた一部の描写が過激とされた▼校長四十九人のうち、制限が必要と答えたのは五人。結果的に政治的圧力に屈する形になった市教委の判断は理解に苦しむ。週刊少年ジャンプで連載中、人気が下位に沈んでも、編集長が子どもに読ませたいと判断し連載は続いたどちらが教育的だろうか麻生太郎外相(当時)の肝いりで核拡散防止条約の国際会議に政府代表団が英語版「はだしのゲン」を配布したことも。下村博文文部科学相は閲覧制限を認めた。大の漫画好きの麻生さんの考えが聞きたい。
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