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●《「ちょっと待って」とか「やっぱりこれは変だ」などの声を、もう少し多くの人が発していたならば、こんな状況にはなっていなかった》

2022年02月12日 00時00分50秒 | Weblog

[※↑ 映画『テレビで会えない芸人』(tv-aenai-geinin.jp)]


(20220206[])
小峰健二記者による、アサヒコムの記事【松元ヒロ、村本大輔、放送禁止歌…彼らをテレビから消したものの正体】(https://www.asahi.com/articles/ASQ1X62VXQ1VUCVL01B.html?iref=pc_ss_date_article)。

 《テレビでは、放送できないネタがあるらしいまことしやかにそう言われているしかし、本当だろうか。刺激的なタイトルで29日に公開された映画「テレビで会えない芸人」と、テレビのタブーに切り込んだと伝説的に語られ、先ごろDVDとして発売された森達也監督のドキュメンタリー集から浮かび上がるのは何か――。》


【映画『テレビで会えない芸人』予告編】
http://tv-aenai-geinin.jp/trailer.php
tv-aenai-geinin.jp

 《“時の人”の滝川クリステルが「おもてなし」とスピーチする映像が繰り返し流れる。それを“表なし”なら“裏ばかり”じゃないかと痛烈に皮肉ったのはお笑い芸人の松元ヒロだった。権力といちゃつかないホンモノの反骨芸人である》(佐高信さん)。

   『●《“表なし”なら“裏ばかり”じゃないかと痛烈に皮肉ったのは
     お笑い芸人の松元ヒロだった。権力といちゃつかないホンモノの反骨芸人》

 ブログ主の好きなのは、断然、『憲法くん』。

   『●松元ヒロさん「憲法くん」は語る
   『●「パレスチナ」 『週刊金曜日』
         (2014年9月5日号、1006号)についてのつぶやき

    「■⑧『週刊金曜日』(2014年9月5日号、1006号) / 
     【佐高信の新・政経外科第11回/笑いが殺される日を前に】、
     「「安倍晋三の敵は松元ヒロ」……安倍は「違う」ことが
     嫌いな人で、友達がいません……安倍と同じ考えのコピーの
     ような〝友だち〟はいても、
     異なる考えをもった友だちをもつ幅やゆとりはないという、
     ヒロさんの指摘に私も共感します」」

   『●「ぼくらは差別が見えていない」 『週刊金曜日』
                  (2014年5月9日、990号)

    「《松元ヒロさん【写日記その30】、「ドキュメンタリー映画
     『ザ・思いやり予算』…バクレーさんが
     「「ヒロさん、ギャラなんですが……」
     「大丈夫、『予算』がないんでしょ? 私の『思いやり』!」》。
     さすが「憲法くん」」

   『●「放射能と学校給食③」『週刊金曜日』
        (2013年6月7日、946号)についてのつぶやき

   『●『憲法くん』の誇りとは? 《私は六六年間、戦争という名前で
                他国の人々を殺したことがない。それが誇り》
    「東京新聞の竹島勇記者による記事【初恋の少年に誓った不戦 
     渡辺美佐子 映画「誰がために憲法はある」】」
    《「誰がために憲法はある」は危機感なき映画界への挑戦状
     ドキュメンタリー映画「誰がために憲法はある」が注目を集めている。
     これは、芸人・松元ヒロが舞台で演じ続けている日本国憲法を擬人化
     したひとり語り「憲法くん」を基にした作品。
     演じるのは、ベテラン女優の渡辺美佐子(86)。
     この短編を挟んで、初恋の人を疎開先の広島の原爆で亡くした渡辺が
     続けている慰霊の旅と原爆朗読劇のドキュメントが描かれる。
     朗読劇は渡辺が中心となって同世代の女優たちと33年間続けてきた
     もので、今年が最終公演。未来に託す戦争の記憶と女優たちの平和への
     思いが語られる。井上淳一監督(53)…》

   『●《歴史に名前》? 憲法99条無視な違憲な壊憲…《この憲法を
             尊重し擁護する義務を負ふ》はずのアベ様が…
    「マガジン9の記事【こちら編集部/誰がために憲法はある(芳地隆之)】
     …《映画『誰がために憲法はある』が上映され、その後に監督の
     井上淳一さん、製作の馬奈木厳太郎(まなき・いずたろう)さんによる
     舞台挨拶がありました。…一人芝居『憲法くん』の原作者である
     松元ヒロさん…。ここでは、映画全体の語り手である女優、
     渡辺美佐子さんが東京・麻布の小学生だったころ、通学路で顔を
     合わせ、ほのかな恋心を抱いていた水永龍男君のことを》」

   『●《戦争という名前で他国の人々を殺したことがない》
     『憲法くん』の《未来はわれわれ主権者に託されている》
    《「変なうわさを耳にしました。本当でしょうか。私がリストラされる
     かもしれないという話」。女優の渡辺美佐子さん(86)が演じる
     「憲法くん」が静かに語りかける。沖縄市のシアタードーナツで
     上映中のドキュメンタリー映画「誰がために憲法はある」の一場面だ
     …憲法くんの未来はわれわれ主権者に託されている
     無関心ではいられない》

   『●憲法の日に違憲に壊憲したいと言う…松元ヒロさん「私たちがこう言えば
        いいじゃないですか。『憲法に合わなかったら、政府を”変える“』」
   『●「憲法くん」…《「変なうわさを耳にしました。本当でしょうか。
     私がリストラされるかもしれないという話」。…無関心ではいられない》

 『同調圧力メディア』(森達也著)《「みんなが右に向かって歩いているのに、どうしてあなたは左に行こうとするのだ」――同調圧力。法や明文化されたルールではない。自主規制だ。全体で動くことを強要される。あるいは自ら強要されることを求めてしまう。特に日本人はこの傾向が強い。だから放送禁止歌のような意味不明なシステムが実体化して、原発安全神話のような虚構が何十年も存続する。「ちょっと待って」とか「やっぱりこれは変だ」などの声を、もう少し多くの人が発していたならば、こんな状況にはなっていなかったはずだ》。

   『●2016年、17年の「報道の自由度ランキング」、
       2年連続72位なニッポン…「社会と政治も三流」

 『放送禁止歌』(森達也著)。「ヨイトマケの歌…放送局の自主規制」。

   『●『こころをさなき世界のために』読了
    《オウムの構造もこれに近い…中国に侵略した日本軍兵士が…
     ヒトラーの周辺が、彼の意志を勝手に忖度する…巨大な楼閣
     …放送禁止歌に構造は似ています》
    「(一つの国会で)《小渕内閣で、有事ガイドラインに国旗国歌法
     住民基本台帳法通信傍受法が立て続けに成立》、
     《セキュリティー社会への標榜というこの方向》。斎藤貴男さんの
     危機感と共通。最近読んだ野中氏に関する本によると、
     国旗国歌法以外はほとんど官僚主導で、政治家は中身を
     よく理解していずに、拙速に成立。(ナチスドイツでの)
     「自由意思による巨大な規制の楼閣」》

   『●『A2』読了
    「岡林信康。「…全共闘…。《お祭り騒ぎ」をテレビで見ながら、
     「若者たちの時代」が到来することを夢想したわれわれが直面した
     ものは、紛争処理後の徹底した管理強化教育と、それによって
     押し殺された…無気力な同世代の群れであった。政治的な関心を
     示すだけで教師からにらまれ、反抗には隠微な制裁が加えられた。
     …「勇者たち」の多くは、彼らが憎み、破壊しようとしたはずの
     制度の中にしっかりと組み込まれ、歯車として生き続けていた。
     当時の武勇伝を得々と語るものたちと出会うことがある。
     が、命がけで闘おうとした本物の闘士たちは、けして語らないのだ
     と思う。自らの敗北がもたらした荒廃を、歯ぎしりしながら
     見つめているのではないだろうか。岡林信康自身も「手紙」を封印し、
     もう歌うことはないという》。高田渡、なぎら健壱、「イムジン河」」

   『●放送禁止歌
   『●放送禁止歌と自己規制: 「ヨイトマケの唄」
   『●「政権批判」だったら歌うなとでも? 
      「アベ様のNHK」は「放送禁止歌」にでもしますか?
    《この「都合のいい大義名分」を、集団的自衛権行使容認のための
     憲法解釈変更に重ね合わせて聴いた視聴者らがネットで反応した。
     曲名を「平和(ピース)と極右(ハイライト)」と読み替えたり、
     「裸の王様」を安倍晋三首相への揶揄(やゆ)と受けとめたり――》

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https://www.asahi.com/articles/ASQ1X62VXQ1VUCVL01B.html?iref=pc_ss_date_article

松元ヒロ、村本大輔、放送禁止歌…彼らをテレビから消したものの正体
小峰健二 2022年1月31日 17時00分

 テレビでは、放送できないネタがあるらしいまことしやかにそう言われているしかし、本当だろうか。刺激的なタイトルで29日に公開された映画「テレビで会えない芸人」と、テレビのタブーに切り込んだと伝説的に語られ、先ごろDVDとして発売された森達也監督のドキュメンタリー集から浮かび上がるのは何か――。

 「鹿児島のテレビ局が私のことをドキュメンタリーで撮りたいと追っかけているんです。でも私のやっている内容、ほとんど放送できないものばかりですよ

 舞台でスポットライトを浴びる白髪の男性が、そう自虐的にネタにすると、会場はドッと笑いに包まれた。芸人・松元ヒロに密着したテレビドキュメンタリーの映画版「テレビで会えない芸人」のひとコマだ。舞台で松元は「第3次」安倍改造内閣を「大惨事と言っていた」などと風刺しては、笑いを誘っていく。

     (ライブ公演の舞台に立つ松元ヒロさん。
      「テレビで会えない芸人」から (C)2021 鹿児島テレビ放送

 松元は、かつてテレビで人気を博した芸人である。

 社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」では多数の番組にも出演していたが、一人で活動するピン芸人になった1990年代末にその姿が見られなくなった、と映画は伝える。一方で現在、年に120本ある独演会ライブは満席続きだという。この映画は、なぜテレビが人気者を手放したのかを考察し、自己批評するドキュメンタリーとなっている。


「放送できない」人気芸人

 松元にカメラを向ける最初のきっかけは、周囲に「テレビではできないネタばかりやる芸人がいる」と言われたことだった、と鹿児島テレビの四元良隆監督は振り返る。それから15年後。鹿児島で開かれた公演の打ち上げで松元と初対面した際に「テレビ局の人には出せないと言われるんです」と聞かされた。

 四元はそれらの言葉に刺激され、制作を決意したという。そもそも松元は、ライブのチケットが入手困難と言われる人気者だ。

 「普通は話題の人や場所にカメラを向けるテレビ自身が出せないと言ってしまうものは何なのか。そこにチャレンジしたい気持ちがあった」

 一方で四元の後輩で、共同監………。
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●《“表なし”なら“裏ばかり”じゃないかと痛烈に皮肉ったのはお笑い芸人の松元ヒロだった。権力といちゃつかないホンモノの反骨芸人》

2022年01月29日 00時00分29秒 | Weblog

[※↑ 映画『テレビで会えない芸人』(tv-aenai-geinin.jp)]


(20220125[])
長野辰次氏による、サイゾーのコラム【深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.669/“無自覚な自主規制”進むテレビの在り方を問うドキュメント『テレビで会えない芸人』】(https://www.cyzo.com/2022/01/post_300748_entry.html)。


【映画『テレビで会えない芸人』予告編】
http://tv-aenai-geinin.jp/trailer.php
tv-aenai-geinin.jp

 《ライブチケットはすぐに完売、会場をいつも爆笑の渦に巻き込む人気お笑い芸人がいる。だが、彼の姿を今のテレビでは見ることがない。鹿児島テレビが制作したドキュメンタリー映画『テレビで会えない芸人』は、そんなひとりの芸人を2年以上にわたって取材撮影したものだ。カメラは芸人の素顔だけでなく、テレビから彼が姿を消すことになった理由も浮かび上がらせている。テレビに出なくなった芸人の名前は、松元ヒロ。1983年にコミックバンド「笑パーティー」を結成し、『お笑いスター誕生!!』(日本テレビ系)ではダウンタウンらを抑えて優勝している。89年には社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」を立ち上げた。時事ネタを扱う「ザ・ニュースペーパー」はテレビにも引っ張りだこだったが、設立メンバーのひとりだった松元は98年に「ザ・ニュースペーパー」から独立。ソロ公演では以前に増して鋭く政治問題に斬り込むが、テレビで彼のネタを見る機会はなくなってしまった》。

 佐高信さん《“時の人”の滝川クリステルが「おもてなし」とスピーチする映像が繰り返し流れる。それを“表なし”なら“裏ばかり”じゃないかと痛烈に皮肉ったのはお笑い芸人の松元ヒロだった。権力といちゃつかないホンモノの反骨芸人である》。
 ブログ主の好きなのは、断然、『憲法くん』だな。

   『●松元ヒロさん「憲法くん」は語る
   『●「パレスチナ」 『週刊金曜日』
         (2014年9月5日号、1006号)についてのつぶやき

    「■⑧『週刊金曜日』(2014年9月5日号、1006号) / 
     【佐高信の新・政経外科第11回/笑いが殺される日を前に】、
     「「安倍晋三の敵は松元ヒロ」……安倍は「違う」ことが
     嫌いな人で、友達がいません……安倍と同じ考えのコピーの
     ような〝友だち〟はいても、
     異なる考えをもった友だちをもつ幅やゆとりはないという、
     ヒロさんの指摘に私も共感します」」

   『●「ぼくらは差別が見えていない」 『週刊金曜日』
             (2014年5月9日、990号)

    「《松元ヒロさん【写日記その30】、「ドキュメンタリー映画
     『ザ・思いやり予算』…バクレーさんが
     「「ヒロさん、ギャラなんですが……」
     「大丈夫、『予算』がないんでしょ? 私の『思いやり』!」》。
     さすが「憲法くん」」

   『●「放射能と学校給食③」『週刊金曜日』
        (2013年6月7日、946号)についてのつぶやき

   『●『憲法くん』の誇りとは? 《私は六六年間、戦争という名前で
                他国の人々を殺したことがない。それが誇り》
    「東京新聞の竹島勇記者による記事【初恋の少年に誓った不戦 
     渡辺美佐子 映画「誰がために憲法はある」】」
    《「誰がために憲法はある」は危機感なき映画界への挑戦状
     ドキュメンタリー映画「誰がために憲法はある」が注目を集めている。
     これは、芸人・松元ヒロが舞台で演じ続けている日本国憲法を擬人化
     したひとり語り「憲法くん」を基にした作品。
     演じるのは、ベテラン女優の渡辺美佐子(86)。
     この短編を挟んで、初恋の人を疎開先の広島の原爆で亡くした渡辺が
     続けている慰霊の旅と原爆朗読劇のドキュメントが描かれる。
     朗読劇は渡辺が中心となって同世代の女優たちと33年間続けてきた
     もので、今年が最終公演。未来に託す戦争の記憶と女優たちの平和への
     思いが語られる。井上淳一監督(53)…》

   『●《歴史に名前》? 憲法99条無視な違憲な壊憲…《この憲法を
             尊重し擁護する義務を負ふ》はずのアベ様が…
    「マガジン9の記事【こちら編集部/誰がために憲法はある(芳地隆之)】
     …《映画『誰がために憲法はある』が上映され、その後に監督の
     井上淳一さん、製作の馬奈木厳太郎(まなき・いずたろう)さんによる
     舞台挨拶がありました。…一人芝居『憲法くん』の原作者である
     松元ヒロさん…。ここでは、映画全体の語り手である女優、
     渡辺美佐子さんが東京・麻布の小学生だったころ、通学路で顔を
     合わせ、ほのかな恋心を抱いていた水永龍男君のことを》」

   『●《戦争という名前で他国の人々を殺したことがない》
     『憲法くん』の《未来はわれわれ主権者に託されている》
    《「変なうわさを耳にしました。本当でしょうか。私がリストラされる
     かもしれないという話」。女優の渡辺美佐子さん(86)が演じる
     「憲法くん」が静かに語りかける。沖縄市のシアタードーナツで
     上映中のドキュメンタリー映画「誰がために憲法はある」の一場面だ
     …憲法くんの未来はわれわれ主権者に託されている
     無関心ではいられない》

   『●憲法の日に違憲に壊憲したいと言う…松元ヒロさん「私たちがこう言えば
        いいじゃないですか。『憲法に合わなかったら、政府を”変える“』」
   『●「憲法くん」…《「変なうわさを耳にしました。本当でしょうか。
     私がリストラされるかもしれないという話」。…無関心ではいられない》

 デモクラシータイムスの映像【松元ヒロが出ないテレビの裏を掘る 町山智浩さん 池田香代子の世界を変える100人の働き人 61人目 2022.01.13.】(https://www.youtube.com/watch?v=mQYQ_ueQET4)によると、《スタンダップ・コメディアン、松元ヒロを追ったドキュメンタリー映画「テレビで会えない芸人」をめぐって、今、映画やテレビが政治や社会を批判的に描くことがなぜこれほど困難なのか、カリフォルニア在住の町山智浩さんにアメリカの現状と対比しながら、日本の風刺芸とジャーナリズムの問題を深く掘り下げました》。


https://www.youtube.com/watch?v=mQYQ_ueQET4

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https://www.cyzo.com/2022/01/post_300748_entry.html

深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.669
“無自覚な自主規制”進むテレビの在り方を問うドキュメント『テレビで会えない芸人』
2022/01/13 18:00
文=長野辰次(ながの・たつじ)

      (コント集団「ザ・ニュースペーパー」を離れ、
       現在はソロ活動している松元ヒロ)

 ライブチケットはすぐに完売、会場をいつも爆笑の渦に巻き込む人気お笑い芸人がいる。だが、彼の姿を今のテレビでは見ることがない。

 鹿児島テレビが制作したドキュメンタリー映画『テレビで会えない芸人』は、そんなひとりの芸人を2年以上にわたって取材撮影したものだ。カメラは芸人の素顔だけでなく、テレビから彼が姿を消すことになった理由も浮かび上がらせている。

 テレビに出なくなった芸人の名前は、松元ヒロ。1983年にコミックバンド「笑パーティー」を結成し、『お笑いスター誕生!!』(日本テレビ系)ではダウンタウンらを抑えて優勝している。89年には社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」を立ち上げた。時事ネタを扱う「ザ・ニュースペーパー」はテレビにも引っ張りだこだったが、設立メンバーのひとりだった松元は98年に「ザ・ニュースペーパー」から独立。ソロ公演では以前に増して鋭く政治問題に斬り込むが、テレビで彼のネタを見る機会はなくなってしまった。

 本作は、FNSドキュメンタリー大賞グランプリや日本民間放送連盟賞最優秀賞など多くの賞に選ばれたドキュメンタリー番組の劇場版。鹿児島テレビの四元良隆プロデューサーと牧祐樹ディレクターが共に松元ヒロを取材し、劇場版では共同監督としてクレジットされている。また、ドキュメンタリー好きとして見逃せないのは、『ヤクザと憲法』(15)や『さよならテレビ』(19)でテレビ界に波紋を呼んだ東海テレビ阿武野勝彦プロデューサーが制作に協力していることだ。

 東海テレビの一連のドキュメンタリー作品と同様に、『テレビで会えない芸人』も現代のテレビ局が抱える問題点をクローズアップしていく。松元ヒロがテレビに出なくなったのはなぜか? 序盤、鹿児島テレビの副調整室のモニターに松元が映し出される。そこに流れるのは、制作局長や制作部長ら現場責任者たちの声だ。

「今のテレビは気軽に見られるものが好まれる」
「やっぱり際どいネタを扱っているからでしょう」
「クレームとかトラブルとか、まぁ予防線は張っておきたいという……」

 テレビ局側が松元ヒロを敬遠するようになったのか、それとも松元がテレビから離れていったのか。その真相をカメラは探っていくことになる。


渋谷の交差点、松元ヒロとカメラは違うものを見ていた

      (妻の俊子さんとはパントマイム教室で出会い、
       26歳のときに結婚した)

「安倍総理が何と言ったか知っていますか? 『私が国家だ』と。コカインよりも危ないですよ」

 社会問題を軽妙な笑いに変え、満席の会場を沸かせる松元ヒロ。分厚いネタ帳を手に、稽古場で熱心にリハーサルを重ねる松元をカメラは追い続ける。自宅では、妻・俊子さんと漫才のようなコミカルなやりとりを見せる。終始、穏やかな表情をカメラに見せる松元だった。彼自身は別にテレビ取材そのものを嫌っているわけではないらしい。

 だが、インタビュアーが「(番組で)使っていいところ、悪いところがあると思います?」と問い掛けると、松元は「それを考えながら、テレビに出るのが嫌なんです」と答える。人当たりのよい松元だが、芸人としてのきっちりとした信念があることがうかがえる。

 松元が稽古の合間や公演前の控え室で食べるおにぎりとおかずは、俊子さんがいつも作ってくれるものだ。松元の売れない芸人時代を、俊子さんは働きながら支えてきた。舞台公演で稼ぐようになった松元だが、今も俊子さんには頭が上がらない。

 もうひとり、松元の生き方を大きく変えたのが息子の大地さんだ。「ザ・ニュースペーパー」で人気を得て、テレビにたびたび出ていた松元だが、ある時期から大地さんは父親が出ている番組を見なくなってしまった。

「どうせ、同じことをやってるだけだし」

 ひとり息子の言葉が、松元の胸に突き刺さった。松元は「ザ・ニュースペーパー」を辞め、ソロ活動を始める。ようやく売れっ子になった松元の決断に、俊子さんは反対しなかった。

 松元ヒロの人柄がよくわかるシーンが、冒頭にある。渋谷駅前のスクランブル交差点、大学時代の失敗談をカメラマンに向かってにこやかに語っていた松元だが、白杖を手にした女性がいることに気づき、明るく声を掛ける。白杖の女性は安心して松元の肩に手を載せ、交差点を渡り、電車へと乗車する。

 この場面、松元を取材していたカメラマンとインタビュアーは松元しか視界に入っておらず、松元が声を掛けるまで白杖の女性には気づかずにいた。渋谷のスクランブル交差点は、今の日本を象徴する場所だ。同じ場所にいながら、松元とテレビ局の取材クルーの目にはまったく異なるものが映っていたことになる。取材クルーは取材対象である松元だけを追っていたのに対し、松元は人混みの中にいた白杖の女性にいち早く気づき、自然な形で肩を貸すことができた。

 台本のある劇映画では、決して生まれない1シーンだ。松元の芸人としてというよりも、人間性が現れた瞬間だった


作品への向き合い方に違いがあった2人の監督

     (鹿児島テレビの副調整室。松元ヒロはテレビに出ないのか、
      それとも出せないのか?)

 本作を企画した経緯を、四元良隆監督はこう語る。

四元「15年ほど前、鹿児島生まれの音楽家・吉俣良さんを取材した際に『鹿児島出身で、すごく面白い芸人がいるけど、テレビではやれないネタばかりなんだよ』と教えてもらったんです。それが松元ヒロさんでした。テレビ局に勤めている自分としては、すごく気になったわけです。実際にヒロさんに直接お会いしたのは2019年2月でした。鹿児島での公演はすごく面白かった。でも、面白い人にカメラを向けるのがテレビなのに、なぜテレビはヒロさんを映さないのか疑問に思ったんです。公演を終えたヒロさんとお酒を一緒に飲む機会があり、ヒロさんが上機嫌だったこともあり『カメラを向けてもいいですか』と尋ねたところ、『いいですよ』と快諾してもらいました。すぐに局の了解を取り付け、3月から取材を始めたんです。ヒロさんは本当に取材するとは思っていなかったみたいですね(笑)」

 四元監督は1971年生まれ、牧祐樹監督は1983年生まれ。両監督はひと回り年齢が異なる。牧監督はそれまで地元の情報番組などを担当することが多く、『テレビで会えない芸人』は初めてのドキュメンタリー作品だった。取材当初、2人の間には作品への向き合い方に違いがあったという。

「四元から、東海テレビが制作した『ヤクザと憲法』などのドキュメンタリー作品を勧められて観たところ、『こんな題材もドキュメンタリーになるのか』という驚きがあり、いろんなドキュメンタリーをそれから観るようになったんです。そんな折に四元から『テレビに出ない芸人』を一緒に取材しようと誘われました。面白い企画だなとは思ったんですが、テレビに出ないというのが松元ヒロさんのポリシーなら、そのポリシーを曲げさせることにはならないかと気になりました。でも、四元と一緒に、また自分ひとりでも取材を進めていくうちに、いろんなことに気づかされました。それまではニュースを見ていても、自分はただの情報としか感じていなかったんですが、ヒロさんは決して他人事として考えない。社会の捉え方が、自分とはまるで違うことを思い知らされたんです」

 松元や彼の周囲を取材していくうちに、牧監督は新人のドキュメンタリー監督としていろんなことを吸収していく。牧監督の率直さが、本作の取材を進めていく原動力にもなったようだ。

「残念なことに本編からはカットしたんですが、ヒロさんが20年以上にわたって演じている演目『憲法くん』を題材にした映画『誰がために憲法はある』(19)を撮った井上淳一監督にも取材しました。井上監督は今のテレビの状況を『無自覚な自主規制がはびこっているよね』と語ったんです。その言葉にドキッとしました。テレビ側の人間が自分たちから表現を規制することで、テレビは豊さを失ってしまっていたそして、そのことに気づいていないことがいちばん怖いことだなと思えたんです」

 ドミニカへの移民問題を扱ったドキュメンタリー作品などを手掛けてきた四元監督は、鹿児島テレビの下の世代がドキュメンタリー制作に興味を持つことを待ち望んでいた。四元監督の思惑に、牧監督はうまくハマった格好となった。


6人目のドリフ」と呼ばれた伝説のコメディアン

     (鹿児島のシンボル・桜島を見上げる松元。
      公演だけでなく、別の目的もあった)

 売れない若手時代はテレビに出ることを強く望んでいた松元ヒロだが、今はテレビに出なくても食べていけることに幸せを感じている。作品の中盤、ナイーブな芸人の心情を理解する上で重要な人物が登場する。松元と同世代のベテランコメディアンである、すわ親治だ。すわは「ザ・ドリフターズ」の付き人を長年務め、ブルース・リーの物真似で超人気番組『8時だョ!全員集合』(TBS系)にたびたび出演していた。「6人目のドリフ」とも言われたが、正式なメンバーにはなることなく『8時だョ!全員集合』は放送を終えた。

 松元ヒロとすわ親治は、共に鹿児島出身で、鹿児島実業高校の同級生だった。松元がドリフを離れたすわを「ザ・ニュースペーパー」に誘い、「ザ・ニュースペーパー」は黄金期を築いた。苦労を共にした同郷人同士が酒を飲み交わし、本音を語り合う。2人の会話から、真相が見えてくる。人気を得た「ザ・ニュースペーパー」はテレビに出るようになったが、政治家の実名の言い換えをテレビ局側から求められるようになったスポンサーへの配慮だった権力者に噛みつく「ザ・ニュースペーパー」の牙が抜かれていくのを、松元は黙っていられなかったすわも同じ考えだった。2人は同時に「ザ・ニュースペーパー」を辞めることになる。

 2人が飲む焼酎の瓶のラベルには、「不屈不撓」と書かれている。「不屈不撓」は鹿児島実業の校訓だ。売れっ子芸人としてテレビに出続けることよりも、自分の信念を貫くことを2人は選んだ。いかにも薩摩っ子らしい一本気な性格ではないか。明治政府を辞めて、野に下った西郷隆盛のようでもある。

 鹿児島テレビが制作した初の劇場映画となる『テレビで会えない芸人』に、東海テレビの阿武野勝彦氏をプロデューサーとして招いたのは四元監督だった。ドキュメンタリー作品の授賞式などの場で顔を合わせていたことから交流が始まり、四元監督は企画や構成などで悩むと阿武野プロデューサーに助言をもらうという関係性を築いていた。

四元「いろんなところから『テレビで会えない芸人』は評価をいただき、劇場公開しようという声が出たんです。その際にも阿武野さんには相談に乗ってもらい、ドキュメンタリー作品を大切に扱う東京の映画配給会社『東風』を紹介してもらいました。名古屋にある東海テレビのプロデューサーが、鹿児島テレビの作品にプロデューサーとしてクレジットされるなんて異例のことですよね(笑)。『テレビで会えない芸人』はテレビ放送した30分版、60分版、そして81分の劇場版があるんですが、どの作品も阿武野さんの存在が大きかった。阿武野さんの著書『さよならテレビ』(平凡社新書)にも書かれていましたが、『これからはドキュメンタリーに恩返ししていきたい』という考えを阿武野さんは持っているのではないでしょうか」

 牧監督が語ったように、「無自覚な自主規制」はキー局だけでなく、名古屋や鹿児島のローカル局にも及ぶようになってきている。テレビ離れが進む今、スポンサーを失うようなトラブルは避けたい。また、取材対象者を気遣うあまり、深く踏み込まずに取材を済ませたライトな番組が増えてきているスポンサー、取材先、視聴者からクレームが来ないことを上層部は喜び、若いテレビマンたちはそんな番組づくりを踏襲していくことになる


テレビが忘れてしまったお笑いの本来の力

     (「テレビに出ている芸人はサラリーマン芸人」と立川談志は語った)

 ひとりのお笑い芸人の生き方を追うことで、『テレビで会えない芸人』は今のテレビの在り方を問い掛ける作品となった。メディアリテラシーをテーマにしているという点では、東海テレビの『さよならテレビ』とも共通するが、『さよならテレビ』が非常にシニカルな作風だったのに対し、『テレビで会えない芸人』は見終わった後に温かみを感じさせる作品となっている。松元ヒロという芸人のパーソナリティーが、作品全体に大きく影響している。

 松元ヒロが公演前に必ず行く理髪店がある。そこは作家の永六輔が通っていた店だ。松元が演じる『憲法くん』を、永は高く評価していた。永の直筆色紙が、理髪店には飾ってある。

「生きているということは 誰かに借りをつくること
 生きてゆくということは その借りを返してゆくこと」

 この言葉に励まされ、松元はひとり、舞台へと上がる。

 誰にも迷惑を掛けずに生きようとすれば、世界はどんどん狭くなっていく一方だ。息苦しさも増していく。誰かに借りをつくったのなら、いつか別の誰かにその借りを返せばいい。世界はそうして広がっていく。テレビで会えない芸人を追ったドキュメンタリーは、テレビが忘れていた、誰にも忖度しない本来のお笑いを思い出させてくれる。そして、その笑いの中には社会の風通しをよくする力が備わっている。


テレビで会えない芸人
監督/四元良隆、牧祐樹 プロデューサー/阿武野勝彦
撮影/鈴木哉雄 音楽/吉俣良
出演/松元ヒロ
配給/東風 1月14日(金)より鹿児島ミッテ10、ガーデンズシネマにて先行公開、1月29日(土)よりポレポレ東中野、大阪・第七藝術劇場、京都シネマほか全国順次公開
©2021鹿児島テレビ放送
tv-aenai-geinin.jp


長野辰次
フリーライター。著書に『バックステージヒーローズ』『パンドラ映画館 美女と楽園』など。共著に『世界のカルト監督列伝』『仰天カルト・ムービー100 PART2』ほか。
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●《「スガ総理」…内閣支持率の下落が止まらない。その要因はコロナ対策の度重なる不手際と、国民に我慢を強いながら五輪開催に…》

2021年07月23日 00時00分30秒 | Weblog

[※歴代自民党内閣は「国民のために働」いていなかった!? 縁故主義・政権の私物化もアベ様から《継承》 (日刊ゲンダイ 2020年10月14日)↑]


(20210718[])
立尾良二記者による、東京新聞の記事【「スガ総理」ですが何か… 「ザ・ニュースペーパー」山本天心 コロナ、五輪、支持率 本物以上に本音がチラリ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/116824?rct=tag_movie)。

 《内閣支持率の下落が止まらないその要因はコロナ対策の度重なる不手際と、国民に我慢を強いながら五輪開催に突き進む矛盾に尽きる。ならば、社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」で「スガ総理」を演じる山本天心(58)に、“本人”が置かれた立場や心境をどう表現しているのか直撃した。(立尾良二)》。

   『●『東京番外地』読了
    《…劇団「ザ・ニュースペーパー」…の風刺コント「さる高貴なご一家」を
     この広場で、さらに天皇家の目前でやってもらい、その様子を撮影する》

   『●再稼働・輸出問題に続いて、
     東京電力原発人災下の五輪招致騒動: 「あろうことか」、の連続
    《木内さんが安倍晋三首相を紹介した。「ザ・ニュースペーパー」の
     ものまねコントにホールは爆笑の連続。
     懐かしい小泉純一郎氏も駆けつけた》

   『●ご冗談を橋下さん:「泣き落とし」の一環、
     「やめたらアカン」…なんて許されない、すっぱり政界引退を
    「また、同記事によると、「コント集団「ザ・ニュースペーパー」の
     2人が登場。橋下徹大阪市長(大阪維新の会代表)と小泉純一郎
     元首相に扮して、コントを披露した。 「二重行政、二ついらないん
     ですよ。通天閣の隣にもう一つ通天閣あったらどうですか、小泉さん」
     「それうれしいねえ。なんか楽しいねえ。ツインタワーみたいで」
     軽妙なやりとりに参加者から大きな笑いが起きた。橋下氏は住民投票で
     都構想案が否決された場合、政界を引退すると表明している。橋下氏に
     扮した福本ヒデさんが「みなさんに頑張っていただいて、私に二度と
     橋下さんの役をやらせないで下さい」と呼びかけると、
     会場がどっと沸いた」。
     是非、「憲法くん」の意見も聞いてみたいものです」

   『●『憲法くん』の誇りとは? 《私は六六年間、戦争という名前で
              他国の人々を殺したことがない。それが誇り》


 カネカネカネの金(カネ)色の五つの輪は《スガ政権の祭典だからスガさんの生命維持装置》。
 東京の第5波の危険な増加傾向、ざっくり、2週間で倍増のペース。先週土曜は950人…来週は2000人前後か? それでも バカの祭典パソナ五輪を強行する無為無策無能な政権。最早、殺人オリンピック
 7月17日(土)の東京新聞の記事【<新型コロナ・17日>東京都で新たに1410人感染 4日連続の1000人超え】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/117361)によると、《東京都は17日、新型コロナウイルスの感染者が新たに1410人、死者が2人報告されたと発表した。前の週の同じ曜日に比べて増えたのは28日連続となった。都内の累計の患者数は18万8108人で、このうち現在入院している重症患者は59人となった。新規感染者数(1週間平均)は、17日時点で対前週比140.5%となった》。
 そして、試合も始まり、開会式前夜の22日(木) …【<新型コロナ・22日>東京都で新たに1979人の感染確認 33日連続で前週の同じ曜日を上回る】。2000人間近…。

   『●無観客開催にすり替え…緊急事態宣言の最中、五輪貴族やその取り巻き
         連中による醜悪な〝バカの祭典〟〝パソナの祭典〟をやる気?
   『●《大会経費の赤字の尻拭いを背負わされるのは国民だ》 ―――
     どこまでも醜悪なバカの祭典、パソナ五輪。一体どちらが《反日的》か?
   『●《人々を苦しめているのは…満足に給付や補償をせずに自粛を強制
        する政権》(町山智浩さん)…一体どちらがバカで、《反日的》か?

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/116824?rct=tag_movie

「スガ総理」ですが何か… 「ザ・ニュースペーパー」山本天心 コロナ、五輪、支持率 本物以上に本音がチラリ
2021年7月15日 07時28分

 内閣支持率の下落が止まらないその要因はコロナ対策の度重なる不手際と、国民に我慢を強いながら五輪開催に突き進む矛盾に尽きる。ならば、社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」で「スガ総理」を演じる山本天心(58)に、“本人”が置かれた立場や心境をどう表現しているのか直撃した。 (立尾良二)


 七月五日、東京・有楽町で催された自主公演。観客を前に、スガ総理に扮(ふん)した山本が一喝した。「皆さん、来ていただいたのはうれしいが、私、何度も言いましたよね。不要不急の外出は控えろと」。ドッカーンと笑いがはじけた。

 ザ・ニュースペーパーもコロナ禍で定期公演や地方巡業、寄席出演がほとんどなくなった。久しぶりの大舞台に山本は「僕らのホームグラウンドは舞台。この閉塞(へいそく)的で息苦しい時代を、笑い飛ばして発散したい。それがわれわれの使命であり仕事。笑って免疫力を上げましょう」と言う。

 そんな山本がスガ総理に“変身”してインタビューに応じた。

 東京は四度目の緊急事態宣言に入った。首相の声色で「四度目ともなると、国民に緊張感がなくなるのは分かっていた。だからもう緊急じゃないので、『緊急辞退宣言』にしようと思った。五度目はそうしますよ」と悪びれない。支持率も落ちた。「NHKや読売新聞が私を忖度(そんたく)しないのか、見放されたと思いましたね」と肩を落とす。

 迫る五輪開幕。「人類がコロナに打ち勝った証しとして絶対やりますよ。こんな状況でなぜやるのか、説明責任を果たしてないと言われるが、何回も私、説明しましたよね。安全安心なオリンピックを開催すると。何度も何度も、しっかり、明確に、分かりやすく、はぐらかしてきているじゃないですか

 「しかも専門家の皆さんにもちゃんと耳を傾けていますよ。耳を傾けているだけで、話を聞くなんてひと言も言ってませんよ。五輪はやれば絶対盛り上がる。リスクが逆に特効薬になるんですリスク、リスクリ、クスリ…。反対から読めば薬なんです」

 ここまで五輪にこだわる理由を「スガ政権の祭典だからスガさんの生命維持装置なんです。五輪がぽしゃったらスガ政権も終わっちゃいます」と言いつつ、「全責任は小池(百合子)都知事にあるんですよ。なぜ私ばかり前面に立つんでしょうか」と“本音”も。

 東京都議選で、首相は「自公で過半数」との約束を果たせなかった。「総理は自民党総裁なのに、どこからも選挙応援に呼ばれなかった。来たら迷惑と言われた。まさに党内は一枚岩です。寂しい」と嘆く。

 小池都知事について「入院して支持率を上げた。うらやましい限りですよ。総選挙で私が使おうとした策略だったのに先を越された。これ、トップシークレットですよ」。さらに秋までにある衆院選の“秘策”を明かす。

 「意表を突いて五輪開催中に解散しようかと。野党は準備していないから大騒ぎですよ。そして解散二、三週間前に、全国民に特別給付金を配布いたします。これは効きますよ。賄賂ではない。ちゃんとした給付金だから、いわば公的賄賂です。二十〜三十万円も配れば、ああ自民はありがてえなあとなる」とニヤリ。「皆さん、ダマされちゃだめですよ」と付け加えた。

 山本に戻って「菅さんの最大の弱点は言葉、表現が下手なことです。小池都知事は言葉がうまい。ダイバーシティーとか、ステイホームとか。ちょっと気が利いている」と指摘する。

 その対策として「誰かとコンビを組むこと」と提言。「感染症対策分科会の尾身(茂)会長とよく会見するでしょ。私、それを見ながら思うんです。『最近は本当に首相らしくなってきた。貫禄が出てきたね…、隣の尾身さんが』と。だから尾身さんと組むか、私と組んで『Wスガ』はいかが。突っ込みどころ満載の会見になって支持率上昇!」と笑う。

 ここで再びスガ総理に登場してもらおう。酒類提供が感染者増加の主因なのか。「その科学的エビデンスを調べるより、私の前任者が配ったアベノマスクの飛沫(ひまつ)が漏れ漏れだったことを科学的に証明されたら、まずいですよ。あれ、税金を二百五十億円も投入したんだから」とおびえる。しかし、そこは自民党。「偽装、隠蔽(いんぺい)、改ざん、賄賂、横領は伝統芸なんです先輩が作り上げたものは、ちゃんと踏襲して、美しい日本を守っていくそれが自民党らしさではないでしょうか」と胸を張った。

 最後に西村康稔経済再生担当相の問題発言について「飲食業、酒販売業の皆さんにおわびしたい。コロナ終息宣言を出した暁には、総理官邸で国民総出のビールかけを催します。お酒の消費量も上がります。西村大臣の顔に思い切りビールを浴びせてください」と締めくくった。


<やまもと・てんしん> 1962年、愛媛県生まれ。ミュージカル活動の後、88年「ザ・ニュースペーパー」の結成メンバーとして参加。一時期、独立してコントグループを立ち上げるが復帰。ダンスやパントマイムを駆使している。ほかに持ちネタは猪瀬ナオキなど。

 ◇

 「スガ総理」の激白を動画(撮影、編集・甲斐毅)でもお楽しみください。



https://youtu.be/9Wru8oYsMJ8


◆スガりたい? キーパーソン

 山本が舞台で扮するスガ総理以外のあの人たちから一言。


<田原ソウイチロウ> ここからどう日本を立て直すか、経済にかかっている。いかにアクセルとブレーキをバランス良く使い分けるかだが、スガ政権はジジイが多い。アクセルとブレーキを間違えて踏むから気を付けて。


<河野タロウ> 総理に謝りたい。ワクチン配布は最初から足りないと分かっていました。ただ総理の支持率が下がっているのを見るとワクワクしてきた。投球練習で肩を温めた方がいいかなと。ワクチンは冷やしておりますよ。


<レンホウ> アベさんからスガさんへ、誰のおかげで長期政権を続かせてもらっているとお思いでしょうか。私たち野党がだらしないからです。次の選挙では身を引き締めて勝ちにいきます。


◆生スガを見たいなら

 ◆ザ・ニュースペーパーの公演予定 8月28日14時と17時30分、東京・亀戸文化センター▽9月17日14時と18時、練馬文化センター▽18日14時と18時、大手町・日経ホール▽19日14時と17時30分、横浜・神奈川県民ホール。問い合わせは東京労音チケットセンター(電)047・365・9960、日経ホール公演のみ(電)03・5227・4227まで。詳しくは公式ホームページ(t-np.jp)。

 ◆メンバー福本ヒデの「超入門☆美術お笑いトーク」 10月2日11時と15時、美術アカデミー&スクール(東京都千代田区)まで(https://shop.art-a-school.info/?pid=161333043参照)。

     (福本ヒデのパロディー画「水を差す女」)
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●『憲法くん』の誇りとは? 《私は六六年間、戦争という名前で他国の人々を殺したことがない。それが誇り》

2019年05月05日 00時00分19秒 | Weblog


マガジン9のインタビュー記事【この人に聞きたい/松本ヒロさんに聞いた:負けたらギャグで返す。笑っていれば希望がわく。『憲法くん』は元気です】(https://maga9.jp/190417-5/)。
東京新聞の竹島勇記者による記事【初恋の少年に誓った不戦 渡辺美佐子 映画「誰がために憲法はある」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2019042102000200.html
日刊ゲンダイの記事【「誰がために憲法はある」は危機感なき映画界への挑戦状】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/252520)。

 《政治ネタや社会的発言がタブーとされる日本の芸能界において、一貫して反権力の気炎をあげ続けているお笑い芸人の松本ヒロさん。憲法の大切さをわかりやすくおもしろく伝えるために、「日本国憲法」を人間に見立てた一人芝居『憲法くん』を創作、20年以上演じ続けてきました。その『憲法くん』を、今年87歳になる名優・渡辺美佐子さんが演じた映画『誰がために憲法はある』がまもなく公開されます。映画公開を機に松本ヒロさんに『憲法くん』に込めた思いを伺いました》。
 《映画はそのドキュメントを挟みこむように、渡辺演じる一人語り「憲法くん」(作・松本ヒロ)で構成される》。
 《ドキュメンタリー映画「誰がために憲法はある」…これは、芸人・松本ヒロが舞台で演じ続けている日本国憲法を擬人化したひとり語り「憲法くん」を基にした作品》。

 アベ様に壊されゆく『憲法くん』の誇りとは? 《憲法くんが『私のことを自虐的とか言う人がいる。でも私は六六年間、戦争という名前で他国の人々を殺したことがない。それが誇りです。私をどうするか、皆さんに託しましたよ』と締めくくると満場の拍手に包まれた》。アベ様らに壊憲なんて許していいのでしょうか?
 『憲法くん』に関連した映画『誰がために憲法はある』が公開されるそうだ。

   『●「ぼくらは差別が見えていない」 『週刊金曜日』
             (2014年5月9日、990号)

    「■⑩『週刊金曜日』(2014年5月9日、990号) / 松本ヒロさん
     【写日記その30】、「ドキュメンタリー映画『ザ・思いやり予算』…
     バクレーさんが「ヒロさん、ギャラなんですが……」
     「大丈夫、『予算』がないんでしょ? 私の『思いやり』!」。
     さすが「憲法くん
     (http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/9cf92a972ac07b0d0538d9f8b4167b3a)」

   『●「放射能と学校給食③」『週刊金曜日』
        (2013年6月7日、946号)についてのつぶやき

    「■『週刊金曜日』(2013年6月7日、946号) / 松本ヒロ
     【写日記 その10】、「日本国憲法を擬人化した『憲法くん』と
     言うネタで全国を飛び廻っているお笑い芸人」「憲法くん
     『私のことを自虐的とか言う人がいる。でも私は六六年間、
     戦争という名前で他国の人々を殺したことがない。それが誇りです
     私をどうするか、皆さんに託しましたよ』と締めくくると
     満場の拍手に包まれた」」

   『●松元ヒロさん「憲法くん」は語る
    「「だけど丸投げで頼むわけじゃない。
     頼まれたから何でもできると思って
     戦争なんか始めちゃダメだよ。そのために、
     憲法にしっかりと9条を書いてこれをわたす。
     この憲法に書いてあることをしっかり守って、
     頼まれごとをやってくれ、と」……
     松本ヒロさんの「憲法くん」は語る。
     アベ様をはじめとした自公議員、翼賛野党の
     壊憲派には理解できまい」

   『●死にゆく平和憲法: 伊藤真さんの憲法の
       『あなたこそ たからもの』と松本ヒロさんの「憲法くん」
    「いま憲法は瀕死の状態。アベ様により壊憲のトドメを刺されようとしていて、
     平和憲法は死に絶えようとしています。自公議員、翼賛野党の壊憲派
     それを支えていますし、彼らに投票した人達も同罪です。万死に値します」

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https://maga9.jp/190417-5/

この人に聞きたい
松元ヒロさんに聞いた:負けたらギャグで返す。笑っていれば希望がわく。『憲法くん』は元気です
By マガジン9編集部  2019年4月17日

政治ネタや社会的発言がタブーとされる日本の芸能界において、一貫して反権力の気炎をあげ続けているお笑い芸人の松元ヒロさん。憲法の大切さをわかりやすくおもしろく伝えるために、「日本国憲法」を人間に見立てた一人芝居『憲法くん』を創作、20年以上演じ続けてきました。その『憲法くん』を、今年87歳になる名優・渡辺美佐子さんが演じた映画『誰がために憲法はある』がまもなく公開されます。映画公開を機に松元ヒロさんに『憲法くん』に込めた思いを伺いました。

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憲法を人間に見立てて語る

――一人芝居『憲法くん』では、松元さん自身が憲法になりきって「私の体は、前文と103の条文を細胞にしてできています」「国民主権、基本的人権、平和主義の3つの考え方を理想として掲げています」と自己紹介し、「私がリストラされてもいいのでしょうか」と、問いかけています。これは憲法施行50年めにあたる1997年の憲法記念日のイベントで、憲法をわかりやすく伝えるにはどうしたらいいかという話から生まれたそうですね。

松元 そうなんです。憲法というと堅苦しい話になっちゃうから、そこをなんとかコントでおもしろくわかりやすく伝えられないかと、学者の先生たちと台本を考えました。そこで憲法を擬人化したらおもしろいんじゃないかと思いついて、猛勉強しました。
 お恥ずかしいことに、それまで憲法のことをよく知らなかったんですね。ただ法律の親玉くらいに思っていたんです。でも、そうじゃないんですね。一般の法律は人のものを盗んだら懲役何年とか、僕たちを縛るもの。それに対して憲法は僕たち主権者が国を縛るもの、つまり権力を持つ人たちへの命令書だということを知りました。

――『憲法くん』が、憲法前文を朗々と暗唱するシーンが圧巻です。

松元 僕、憲法の前文がすごく好きなんです。最初の頃はただ必死に憶えて間違えないように言うだけだったんですが、何度も繰り返しているうちにだんだん体に入ってきて、ふっと絵が見えるようになりました。
 たしかに英語を訳したようなぎこちない言い回しもあるのですが、繰り返し声に出して朗読していると、人権とか権利とか堅苦しい言葉の中にも、愛とか平和とか平等とか、国を超えてみんなが大切にしている美しいものが込められていることがわかって、語っている自分の心も清められるような気持ちになれる。それが人に伝わるんですね。

――『憲法くん』は1997年の初演以来、ずっとヒロさんの持ちネタで、他の人がやることはなかったのですね。

松元 はい、もう22年続けてますから、僕にとっては古典のようなものです。ずっと一人芝居でやってきたのですが、2016年に講談社から絵本『憲法くん』として出版していただいて、それがもう10刷です。絵本作家の武田美穂さんがかわいらしい絵を描いてくださって、子どもからお母さん、お父さんまで読んでくださっています。そうしたらあちこちから「紙芝居にしたい」とか、「読み聞かせしたい」とか、声がかかるようになってどんどん広まった。僕一人の舞台では、見てくれる人の数も知れていますから、こうして絵本になってたくさんの人に知ってもらえるなんて、ありがたいことです。

映画になった『憲法くん』

――それが今回は映画になったわけですね。井上淳一監督から『誰がために憲法はある』の話がきたとき、どう思いましたか?

松元 2、3年前でしたか、井上さんから『憲法くん』を映画にしたいとお話をいただいて、「それはもう喜んで」って、思わずこうした(髪を整えるしぐさ)んですけど、僕が出るわけじゃなかったんですよね(笑)。そりゃそうですよ、僕の顔がスクリーンいっぱいになったら、たまげますよ。で、お話をよく聞くと、なんとあの渡辺美佐子さんが『憲法くん』を演じてくださるという。びっくりしました。

――実際に映画をごらんになって、渡辺さんの『憲法くん』はいかがでしたか?

松元 いやあ、やっぱり戦争を体験した人が語ると違うなあと思いました。一言一言に説得力があって、情景が目に浮かんでくるんです「私というのは、戦争が終わったとあとこんなに恐ろしくて悲しいことは二度とあってはならない、という思いから生まれた理想だったのではありませんか」という台詞も、当時を知っている渡辺さんが語ると真実味があって、ひしひしと伝わる。やっぱり体験者の言葉の重みは違いますね。
 僕は舞台でやるときには背景はなにもなく、語りだけでやると決めているんですが、絵本では絵がまず目に入ってきますよね。たとえば「戦争が終わったあと、こんなに恐ろしくて……」という文の背景に、焼け跡に女の子がぽつんと座っている絵を、武田さんが描いてくださったんですが、一目見てわかりますよね。ああ、こういうことがあったから憲法ができたんだ、と。だから絵本にしてよかったと思いますし、今回の映画では、渡辺さんの語りの背景に原爆投下の映像が映って、すごくわかりやすい。憲法の大切さが、より多くの人伝わるし、僕も渡辺さんの『憲法くん』にパワーをもらって、これからもがんばろうと元気になりました。

――映画『誰がために憲法はある』は、『憲法くん』を演じた渡辺美佐子さんが、33年間続けてきた原爆朗読劇『夏の雲は忘れない』の上演活動を紹介する後半へと続きます。

松元 あの朗読劇もすばらしいですよね。映画には日色ともゑさんとか山口果林さんとか、もうあこがれの女優さんたちがたくさん出てきて、どきどきしました。映像には映っていませんでしたが、学生たちが女優さんたちといっしょに舞台に立って朗読したり、上演後の交流会で感想を語り会ったりしたというのも、いいですね。「僕たちも次の世代に伝えていきます」とかいう子もいて、彼らに希望を託したいです。『夏の雲は忘れない』の公演は今年で終わるそうですが、映画の中に残すことができてよかったと思います。

媚びずに、信念をもって一人ひとりに語りかける

――戦争体験者がいなくなり、平和の大切さを今後どうやって若い世代に伝えていくかは、大きな課題です。なにかいい方法はありませんか?

松元 僕のお客さんも中高年が多いのですが、僕はあえて若い人に向けてとは、考えないようにしているんです。というのも、お笑い芸人として駆け出しの頃にこんなことがありました。その頃は、「若い人にウケたい」「どうしたらキャーッと笑ってもらえるか」って、必死だったんでしょうね。あるとき、ライブが終わって若いあんちゃんが楽屋にやってきて「なんでおれらに合わせたんだ、おれらは兄さんに引っ張っていってもらいたかったのに」って言われたんです。ショックでしたね。そうか、ウケを狙ってはやりのギャグを言ってみたり、若い人に媚びたりしてても、そんなのは見透かされている、言いたいことが伝わらない。そうでなく「平和は大事なんだ、ついてこい」って、堂々と言えばいいんだと、気づかされました。

――日本では政治や社会への風刺ネタはウケないとよく言われます。とくに若い世代には敬遠されるのでは?

松元 それねえ、年齢じゃないんですよ。僕のライブで笑ってくれるおじいちゃん、おばあちゃんの家族は、子どもも孫もみんな笑ってくれる。笑わない人の家族はみんな笑わない。テレビ見て、安倍さん、すごいって親が言えば、子どももそんなものかと思う自民党、おかしいぞとだれかが言えば、そばにいる家族にも伝わる家庭環境なんですよ
 自民党本部に勤めている人の中にも僕のファンがいます。「ヒロさんは私が毎日接している自民党の先生たちのことを、ぼろくそに言ってくれるからすっきりする」(笑)。その人もまた労働者の一人なんですね。ファンの中には自民党議員の奥さんもいるし、創価学会員の人もいます。だから年齢や国や所属集団でくくって決めつけるのでなく一人ひとりに信念を持って語りかけようと思っています。

――『憲法くん』は井上ひさしさん、永六輔さん、立川談志さんら、多くの文化人にも絶賛されています。そうした応援があって二十数年間続けてこられたともいえますね。

松元 そうなんです。皆さんのおかげです。もうだいぶ前のことですが、作家の澤地久枝さんの講演の前座を務めたことがありました。当時皇太子家の愛子さんがまだ3歳だったころで、僕は舞台で「3歳でなんの業績もないのに、なんで“さま”をつけるのか、おかしいじゃないか」ってやったんですね。そうしたら澤地さんが飛んできて「あなたすばらしい」って、感激してくれた。で、「あなた、どこかから、言いがかりをつけられたことない?」って聞かれて、僕が「いいえ、ありません」というと「そうね、あなたには信念があるから、だれも文句をつけられません」と。手をぎゅっと握られて、「信念がある」って言われて、僕はパワーをもらいました。それから僕は怖くなくなった。そうだ、正しいと思ったことは、堂々と胸を張って最後まで言い続けようと、気持ちが決まったんです。

笑っていれば、希望がわく。勝ち馬に乗らない。

――たしかに言い続けることが大事ですが、世の中はなかなか変わりません。自民党政権はびくともしないし、何をやってもだめという閉塞感が漂っています。

松元 確かに僕らは少数派です。選挙で負けると、ああ、もうだめだって、自分を否定されたような気持ちになりますよね。でも僕は絶望しない。「世の中バカなやつが多いんだね、僕みたいな利口なやつは貴重なんだ」とか、もうなんでもいいから、負けたらそれをギャグにして笑い飛ばす。笑っていれば希望がわいて、元気になれる。勝ち馬に乗ろうと、信念を曲げて大勢についても、それはほんとの勝ちじゃないですよ

――井上監督は「今年は現行憲法最後の憲法記念日になるかもしれない。今こそ憲法の原点を見つめ直したい」と、この映画を作ったとおっしゃいます。ヒロさんも改憲への危機感は感じていらっしゃいますか?

松元 『憲法くん』はおかげさまで、あちこちからお声がかかり全国を飛び回っていますが、最近は特に切羽詰まった声を聞きますね。
 先日呼んでくださった名古屋の主催者のかたは「今の憲法が変わる前にぜひやってもらいたい」って、おしゃるんですよ。その人に言わせると、「国民投票になったら負ける」と。国民投票はコマーシャルやり放題で、お金をたくさん持っているほうが有利だから、朝から晩までがんがん「改憲賛成!」と流れるわけでしょう。しかも、今のテレビニュースは、政権がやっていることをそのまま流すだけ。「おかしいよね」とか、「とんでもないことですよ」とか、一言も言わないから、見ている人は「世の中そんなもんだ」と思ってしまいますよ。
 『憲法くん』は、まだまだリタイアできません。リストラされないよう、皆さんも応援してください。

(取材・構成/田端薫 取材写真/マガジン9編集部)



[https://youtu.be/Dft-BL7dYhs]
誰がために憲法はある
2019年4月27日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開
公式ウェブサイト
http://www.tagatame-kenpou.com/

松元ヒロ(まつもと・ひろ) 1952年鹿児島生まれ。法政大学法学部政治学科卒業後、パントマイマーに。コミックバンド「笑パーティー」のメンバーとしてコントの世界に進出。1985年「お笑いスター誕生!!」で優勝。1988年、コント集団「ザ・ニュースペーパー」の結成に参加。村山富市元首相を演じ注目を集める。1988年に独立。政治風刺やパントマイムのソロライブで全国を飛び回っている。1997年に『憲法くん』初演、2016年絵本『憲法くん』(絵・武田美穂/講談社刊)を出版。
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2019042102000200.html

【放送芸能】
初恋の少年に誓った不戦 渡辺美佐子 映画「誰がために憲法はある」
2019年4月21日 朝刊

 女優の渡辺美佐子(86)は長年、平和や護憲への思いを地道に発信し続けている。平成から令和に変わる今年、そんな大ベテランも節目を迎えている。今月二十七日には映画「(た)がために憲法はある」(井上淳一監督)の全国順次公開を控える一方、仲間の女優たちと続けてきた原爆体験記の朗読劇は今夏で幕を引くことになった。「最近、平和が脅かされつつある」と強く感じるという渡辺。女優魂が警鐘を鳴らす。 (竹島勇

 今年で三十五年目となる朗読劇や、今回の映画に導いてくれたのは「初恋の少年」と渡辺は明かす。朗読劇はメンバーの高齢化でやむを得ず今夏限りで終える。だから、少年に誓った不戦の思いを映画に込めた。

 少年は第二次大戦末期に通っていた東京都内の国民学校の同級生だった。異性と口をきく時代ではなく、少年が急に転校してそれきりになった。時は流れ、女優として第一線で活躍していた一九八〇年、テレビ番組の「ご対面コーナー」の出演依頼に「少年と会いたい」と応えた。そして収録当日。現れたのは年老いた少年の両親だった。少年は疎開先の広島市で原爆の犠牲になったという。「息子を覚えていてくれてありがとうございます」。二人に渡辺は言葉を失った。

     (女優仲間との朗読劇「夏の雲は忘れない-」に
      出演する渡辺(左から4人目))

 「何かしなくては」。八五年から広島と長崎の原爆を体験した子どもたちの手記をもとにした朗読劇「この子たちの夏」に名を連ねた。二〇〇八年からは女優十八人で、新たに朗読劇「夏の雲は忘れない 1945・ヒロシマ ナガサキ」に取り組んできた。

 「水をください」「おかあちゃん、助けて」。映画は、広島の中学校での朗読劇の模様を収めた。公演後の交流会で中学生が「平和の大切さを伝えていく」と話すと、渡辺ら出演者がうれしそうにうなずく。渡辺は広島市内の初恋の少年ら犠牲者の名が刻まれた慰霊碑にぬかずく…。

     (映画で「憲法くん」として語りかける渡辺)

 映画はそのドキュメントを挟みこむように、渡辺演じる一人語り「憲法くん」(作・松元ヒロ)で構成される。「こんにちは 憲法くんです へんなうわさを耳にしたんですけどほんとうですか わたしがリストラされるかもしれないというはなし 憲法くんがいなくなってもいいということなのでしょうか」。ほほえみながら護憲を訴える。

 近年の防衛予算の増大など日本の平和に不安を抱いている渡辺は静かに語る。「私は空襲の恐怖と飢えを体験し、幼い同級生も亡くした。戦争は普段の暮らしを奪う」「憲法くんは(現憲法下では)日本は戦争で人を殺さず、殺されてもいない、という。良いことよね」

 映画「誰がために憲法はある」は東京・ポレポレ東中野ほかで順次公開される。「後世に残る映画で平和への思いを若い世代に伝えたい」と願いを込める。


◆舞台・映画・テレビ、幅広く

 渡辺は1932年東京生まれ。高校卒業後、俳優座養成所へ入所。同期に愛川欽也がいた。53年「ひめゆりの塔」(今井正監督)で映画デビュー。58年「果(はて)しなき欲望」(今村昌平監督)で注目を集めた。

 テレビドラマでは庶民的な役でおなじみとなった。TBS系「ムー」(77年)、その続編「ムー一族」(78~79年)で老舗の足袋店のおかみ役を演じた。NHK連続テレビ小説「おしん」、TBS系「渡る世間は鬼ばかり」シリーズなどにも出演。2009年のNHK「お買い物~老夫婦の東京珍道中」では夫役の久米明(95)とともに、放送文化基金賞演技賞を受賞した。

 舞台でも本領を発揮し続ける。代表作は、旅回り一座の女座長を演じた1982年初演の井上ひさし作の一人芝居「化粧」(後に「化粧 二幕」)。2010年までに海外公演を含め、648回演じた。

 渡辺は「新劇出身の私は『化粧-』で大衆演劇や歌舞伎などに触れて、幅が広がり女優として生まれ変わった」と振り返る。10月には87歳になるが、健康には自信がある。「俳優に定年はない」と意欲は衰えない。

 見納めとなる朗読劇「夏の雲は忘れない-」の一般向け巡演は6月24日、東京都中央区の日本橋公会堂からスタート。8月末まで広島、四国、関東など各地で上演する。出演者は公演ごとに異なる。「夏の会」=(電)090・8004・1985。

2010年、座・高円寺で上演された一人芝居「化粧 二幕」のファイナル公演から=撮影・谷古宇正彦


◆下の世代、どう受け継ぐか

<劇作家、演出家の坂手洋二(57)の話> 昨年上演した「サイパンの約束」など、(主宰劇団の)「燐光群(りんこうぐん)」公演に客演してもらっている。彼女は新劇出身ですが、映画やテレビドラマでも活躍したスター。主役を張る方だけど、飾らないユーモラスなところも魅力。「サイパンの-」では、日本統治下のサイパンで少女時代を過ごした主人公役でしたが、ある種の官能性も表現できる貴重な女優。彼女だからこそ朗読劇や今回の映画で思いが広く伝わる。朗読劇の終了は残念でしょう。渡辺さんたちの思いを私たち下の世代がどう受け止め表現していくか、大きな課題です。
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/252520

「誰がために憲法はある」は危機感なき映画界への挑戦状
2019/04/24 06:00

     ((C)「誰がために憲法はある」製作運動体)

 4月27日から東京・ポレポレ東中野ほか全国で順次公開されるドキュメンタリー映画「誰がために憲法はある」が注目を集めている。

 これは、芸人・松元ヒロが舞台で演じ続けている日本国憲法を擬人化したひとり語り「憲法くん」を基にした作品。

 演じるのは、ベテラン女優の渡辺美佐子(86)。

 この短編を挟んで、初恋の人を疎開先の広島の原爆で亡くした渡辺が続けている慰霊の旅と原爆朗読劇のドキュメントが描かれる。

 朗読劇は渡辺が中心となって同世代の女優たちと33年間続けてきたもので、今年が最終公演。未来に託す戦争の記憶と女優たちの平和への思いが語られる。

 井上淳一監督(53)は故・若松孝二に師事し、若松プロの青春群像を描いた「止められるか、俺たちを」の脚本を書いた硬骨漢。

 「このまま安倍1強の政治状況が続けば、改憲は現実のものとなり、もしかすると今年の憲法記念日は、現行憲法で最後になるかもしれない。演劇界は俳優や演出家、制作者が中心となって2015年から、毎月19日に、改憲反対の駅前スタンディング運動を展開しているというのに、映画界にはまったくといっていいほど危機感がない。この映画は、そんな映画界への挑戦状でもあります。憲法に込められた理想がいかに大切か、今こそ、ひとりでも多くの人にこの映画を見て欲しい」と語る。
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●ご冗談を橋下さん:「泣き落とし」の一環、「やめたらアカン」・・なんて許されない、すっぱり政界引退を

2015年05月18日 00時00分04秒 | Weblog


nikkan-gendaiの記事【都構想に世論は反対鮮明…橋下市長「負けたら引退」が現実に】(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/159714)。

 「住民投票で都構想が「否決」されれば、かねて「政界引退」を公言してきた橋下徹・大阪市長(45)。政界の“改憲パートナー”を失えば、安倍首相の悲願である憲法改正スケジュールも狂いだす・・・・・・「住民に支持されなかったら政治家の能力がないということだ。早々と政治家をやめないとダメだ」・・・・・・大阪市民はその1票が安倍政権の暴走を止める“切り札”にもなることを自覚すべきだ」。
 さっさと辞めていただきましょう! 「オオカミが来たぞ~」ではいけません。どんな結果が出るか楽しみです。

   『●思い込みの激しい老人: 大阪元〝ト〟知事に
                 「歴史に関しての無知」だってさ!

   『●「証拠が出てくれば反省しなければならない」のだから
                             反省してください

   『●無節操の図: 橋下元大阪〝ト〟知事も十分に〝ト〟、
                   そして自民党も同じ穴のムジナ

   『●「誤解」だったの?? 弁護士らしからぬ言動で、身から出た錆
   『●「自己責任」を叫ばれた人の立場
   『●掲げてもいない脱原発の看板を下ろす:
          今に始まったことではないし、驚きもしないが・・・

   『●タヌキ(関西電力)とキツネ(橋下徹氏)の汚れたケンカ
   『●『最後に思わずYESと言わせる最強の交渉術』を
               持つ人達は反省してくれるでしょうか?

   『●「俺様王国」ニッポン、「俺様王国」大阪「ト」を
             造りたい強権的政治手法好きな二人


 asahi.comの記事【「お笑い100万票」風吹くか 大阪都構想、芸人も論戦】(http://www.asahi.com/articles/ASH5G15R6H5FPTIL02V.html?iref=comtop_6_01)によると、 橋下徹元「ト」知事のオトモダチ「辛坊治郎さん・・・・・・「二重行政の有無」を問われ・・・・・・ヨットで太平洋横断中に遭難した「自虐ネタ」に触れ、「バブル期、ヨットハーバーを市と府がつくった。二つも要りますか?」」・・・・・・だそうです。
 それが「ト」構想で解決するの? そんなこと、「ト」構想でなくても解決するし!

   『●「自己責任」を叫ばれた人の立場
   『●「自己責任」バッシングと
     映画『ファルージャ イラク戦争日本人人質事件・・・そして』


 また、同記事によると、「コント集団「ザ・ニュースペーパー」の2人が登場。橋下徹大阪市長(大阪維新の会代表)と小泉純一郎元首相に扮して、コントを披露した。 「二重行政、二ついらないんですよ。通天閣の隣にもう一つ通天閣あったらどうですか、小泉さん」 「それうれしいねえ。なんか楽しいねえ。ツインタワーみたいで」 軽妙なやりとりに参加者から大きな笑いが起きた。橋下氏は住民投票で都構想案が否決された場合、政界を引退すると表明している。橋下氏に扮した福本ヒデさんが「みなさんに頑張っていただいて、私に二度と橋下さんの役をやらせないで下さい」と呼びかけると、会場がどっと沸いた」。
 是非、「憲法くん」の意見も聞いてみたいものです。

   『●「ぼくらは差別が見えていない」 『週刊金曜日』
                     (2014年5月9日、990号)

   『●「放射能と学校給食③」『週刊金曜日』
        (2013年6月7日、946号)についてのつぶやき

   『●松元ヒロさん「憲法くん」は語る

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http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/159714

都構想に世論は反対鮮明…橋下市長「負けたら引退」が現実に
2015年5月13日

     (橋下市長と安倍首相(C)日刊ゲンダイ)

 いよいよ、政界引退のカウントダウンが始まった。大阪市民を対象にした大手メディアの世論調査の結果が出揃い、いわゆる「大阪都構想」については軒並み「反対」が「賛成」を大きく上回った。17日の住民投票で都構想が「否決」されれば、かねて「政界引退」を公言してきた橋下徹・大阪市長(45)。政界の“改憲パートナー”を失えば、安倍首相の悲願である憲法改正スケジュールも狂いだす。


■高齢者と子育てママが反発

   「住民に支持されなかったら政治家の能力がない
    ということだ。早々と政治家をやめないとダメ

 橋下市長は9日放送のテレビ番組でも、そう大見えを切ったが、その2日後「都構想に反対多数」の世論調査が出ることを予想していたのだろうか。

 朝日の調査では反対が43%と賛成33%を10ポイント引き離し、共同も反対47%。読売にいたっては反対50%で、賛成34%を大幅に上回った。朝日に「反対」と答えた人の理由は「住民サービスがよくならないから」(27%)に続き、「橋下市長の政策だから」が25%に上っていた。大阪ダブル首長選の頃の飛ぶ鳥を落とす勢いは今や昔。橋下市長も大阪市民にすっかり嫌われたものである

   「市内での運動量は都構想推進派の橋下維新側が
    はるかに反対派を上回っています。昨年12月の
    住民投票実施決定前から、都構想のメリットを猛アピール。
    告示後は4.5億円もかけて、テレビCMをバンバン流し、
    賛成ムードをあおってきました。対する自民は党本部が
    都構想反対に消極的で、公明は学会本部と一枚岩
    と言えず、民主は統一地方選で壊滅。反対派が
    本格的に動きだしたのは告示直前と、完全に
    出遅れていたのです」(大阪市在住のジャーナリスト・
    吉富有治氏)

 それでも「反対」が大勢なのは「70歳以上の高齢者と20、30代の女性が反対派の味方に付いたから」と、吉富氏はこう分析する。

   「橋下市政下では70歳以上が対象の『敬老パス』の
    有料化など高齢者福祉が切り捨てられた。
    老人に厳しいイメージに加え、反対派は
    『都構想で子育て支援は低下する』と訴えています。
    例えば現在は大阪市在住なら、どの行政区の
    保育所にも子供を預けられますが、
    都構想で5つの『特別区』に再編されると、
    『区民』の託児が最優先。結果的に待機児童が増える
    といった具合です。こうした指摘に
    橋下氏は“デマだ”と叫ぶだけで、満足に反証できていない
    生活に直結するデメリットを実感する住民は確実に増えています」

 もちろん、「2万%出馬はない」と口にしながら、平然と大阪府知事選に出馬した男の言葉だ。「政界引退宣言も、どうせ「泣き落とし」の一環。「やめたらアカン」と言ってくれる有権者を取り込む作戦だろうが、本当に橋下市長が敗れて引退すれば、安倍政権の改憲戦略にも影を落とす。

   「来年夏の参院選後に憲法改正に向けた国民投票の
    手続きを始めたい安倍政権にとって、
    改憲に積極的な橋下氏の存在は大きい。次の参院選でも
    自公両党で改憲の発議に必要な3分の2議席を
    得られなかった場合、維新に手を伸ばし、
    『改憲連合』を組むのが公然のシナリオ。
    その見返りに自民が都構想実現の関連法案に
    協力するという“密約”もあるといわれてきましたが、
    安倍首相と近い橋下氏が政界を退けば、維新内は
    民主との野党共闘をもくろむ『旧結いの党』の勢力が
    強まる。首相の改憲シナリオも元の木阿弥です」(政界関係者)

 大阪市民はその1票が安倍政権の暴走を止める“切り札”にもなることを自覚すべきだ
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●再稼働・輸出問題に続いて、東京電力原発人災下の五輪招致騒動: 「あろうことか」、の連続

2013年09月08日 00時00分56秒 | Weblog


「ジャーナリスト・金平茂紀 変えてはいけないもの」の記事【筑紫さんの死から6年目の誕生日に】(http://www.taji-so.com/kaeteha/?c=20130621182404)、ちょっと時機を逸していますけれども。レイバーネット日本http://www.labornetjp.org/)の記事【もう一度力を合わせて~「さようなら原発講演会」に2050】(http://www.labornetjp.org/news/2013/0901hokoku)。nikkansports.comの記事【汚染水対処、五輪控え政府主導演出か】(http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20130903-1183563.html)。gendai.netの記事【ア然…五輪招致トップ「汚染水は安全」書簡の中身】(http://gendai.net/news/view/110558)。東京新聞の記事【「想定外、もう許さない」 東電汚染水 福島の警察信じ告発】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013090402000123.html)と、社説【原発汚染水問題 危機意識がまだ足りぬ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013090402000146.html)、コラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013090402000107.html)。最後に、asahi.comの【天声人語】(http://www.asahi.com/paper/column.html?ref=com_top_tenjin)。

 記事の羅列で、すいません。「あろうこうとか」、の連続。

 東京電力原発人災にはケチり、一方、五輪をカネで買うという。世界とフクシマは危機意識を持ち、首都東京や日本政府、原子力ムラは「東京安全です」「2020年には汚染水問題は解決しています」と「科学的」に安全を喧伝。3.11以前の「安全神話」に逆戻り。「東京安全です」「2020年には汚染水問題は解決しています」・・・こういった発言を福島の被災者や避難者の人達はどう思っているのだろう・・・?

   『●原発への「日本の回帰「理解できぬ」」
   『●「汚染水ダダ漏れは東電のケチが原因」とはどういうことなのか?
   『●放射能汚染で「太平洋は終わり」との声が出るほどの重大事故だというのに、この国は・・・・・・
   『●「もはや犯罪というしかない」 ~東京電力汚染水流出大事故と再稼働・輸出という犯罪~
   『●終わらない原発人災の影響: 「震災さえ」ではなく 「原発さえなければ・・・」

 【もう一度力を合わせて~「さようなら原発講演会」に2050】の記事に、何とか希望を見出したい。

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http://www.taji-so.com/kaeteha/?c=20130621182404

#23 筑紫さんの死から6年目の誕生日に
2013/06/23

死から6年目の誕生日に

6月23日、沖縄慰霊の日が誕生日だった筑紫さんは
この日はお祝いできないんだよな、と 
生前よく笑いながら言っていたことを思い出す
生きていれば 今日で78歳を迎えていた
「ニュース23のDNA」だと 遺言のように 
最後の「多事争論」で言い残していったことばは
今、見事なほどに裏切られ、忘却され
かつその状態が放置されている
去る者は 日日に疎し、か?
なかでも耐えがたいのは、ウォッチドッグの役割の喪失
強い権力に擦り寄り、プードルと化した仲間たちを眺め、
引き攣った笑いを顔面に張り付けながら 生きていく
からだをはってたたかうものは もはや絶滅寸前だ(けれども まだいる)
忘却とイナーシアが支配する世界
ほら、僕らはもう原発過酷事故がまるで収束したかのように忘れている
ほら、僕らは大震災の被災地がまるで復興したかのように
「絆」とか「ひとつ」とか言って カラオケを歌っている
むかしの通りにやればいいんだよ
経済成長なくして日本は立ち行かない、と
株価をみて、まるでわが身の一大事であるかのように 一喜一憂している
彼ら彼女らは、ほんとうは何もわかっていない
底堅い動きだの、透明感のみえない展開だの
まるでバクチを打っているかのような出来事にうつつを抜かし、
あろうことか 原発を輸出だとさ
僕ら日本人は、広島、長崎に原爆を見舞われようと
第五福竜丸が水爆実験に巻き込まれようと
福島第一原発で未曽有のメルトダウンが起きようと
忘れるのだ  忘れるのだ
経済成長なくして日本はない、と
うち棄てられているのは誰か

誕生祝いはもう言えません。
ただ
僕らはあなたたち死者とともに生きていきます。
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http://www.labornetjp.org/news/2013/0901hokoku

もう一度力を合わせて~「さようなら原発講演会」に2050

9月1日、「さようなら原発講演会」が東京・千代田区の日比谷公会堂で開かれ、定員を超える人々が座席を埋めつくした。(主催・「さようなら原発」一千万署名市民の会)。福島第一原発の止まらない汚染水漏れに、東電も国も何ら有効な対策を打てない深刻な事態が続いている。焼けつくような暑さのなか、予定の午前11時を待たずして整理券が配られはじめ、12時過ぎには早くも入場が開始された。

もう一度 力を合わせて

午後1時、木内みどりさんが司会を務めて開会。呼びかけ人の鎌田慧さんが登壇した。「関東大震災から90年が経った。当時は戒厳令下で大杉栄伊藤野枝ら社会主義者が虐殺され、戦争に向かっていった。外には軍備拡張、内には弾圧体制。今の安倍政権の動きと重なっている。脱原発運動は命を守る運動だ。この秋からもう一度力を合わせてがんばっていきましょう」。

チンドン太鼓とクラリネット、チューバ、ギターなどを融合させた独特の音楽で観客を魅了したのは「ジンタらムータ」。アジアから南米の街頭音楽に脱原発のメッセージを織り交ぜて力強い演奏を披露した。

いわき市議会議員の佐藤和良さんは、「再び関東大震災が起これば、首都圏こそ原発災害の現地になる」と警告し、原発関連死を約1400人と告発。仮設住民の厳しい実態を伝えた。また参院選後に汚染水漏れを公表した東電の態度を、「はじめから出来レース」と糾弾。国と東電の責任を問うために「被害者は絶対にあきらめない。みなさんとつないだ手を離さない」と力を込めた。

新しいモラルに希望を

大江健三郎さんは、小説家のいとうせいこうさんの作品が芥川賞を逃した経緯について話した。死者の声を代弁するヒューマニズム、センチメンタリズムが選考委員に批判されたが、それがなぜいけないのか。むしろそれが文学行為だと反論した。また、作家の故井上ひさしさんと評論家・加藤周一さんとのエピソードにも、時間を割いた。井上さんが旅先で色紙サインの依頼を自分に譲ったこと。そこに書かれた言葉に、ウイットを加えた大江さんの思い出話に、会場は沸いた。

加藤さんとのフランスでの出来事に触れ、原発の是非をめぐる同国の市井の論争を紹介。「日本人は60年間平和憲法を守ってきた。『原発ゼロ』で日本人の新しいモラルが問われる。それに希望を持とう」と、まとめた。木内さんが安倍晋三首相を紹介した。「ザ・ニュースペーパー」のものまねコントにホールは爆笑の連続。懐かしい小泉純一郎氏も駆けつけた。

原子力から抜け出そう

京都大学の小出裕章さんは、スライドを使って原発事故の汚染実態を告発。「戦争が終わった後、国土は荒廃しても人々はそれを再建した。しかし原子力災害は違う」。「他者を犠牲にして成り立つ、原子力的なものすべてから抜け出すこと」。 憲法前文が投影されたスクリーンを差しながら「憲法は素晴らしい。人生は、命は一度きりだ」と語ると、大きな共感の拍手が起きた。

作家の澤地久枝さんは「こんなに猛暑が続くのに停電しないじゃないですか。未来の子供たちのために、原発は止めるべき」だと語った。

評論家の内橋克人さんは、これまでの運動を振り返った。私たちはかつて「福島から学ばない人間を国会に送るなと心から訴えたところがまったく逆のことが起きた。「有権者はいったい何を考えているのか。民主党政権時代のヒアリングを、民意を一顧だにしない現政権の手法にだまされず、新しい安全神話を見破らなければならない」。内橋さんの言葉からは、抑えきれない憤りがにじみ出ている

はじめの一歩から声をかけて

集会の最後に落合恵子さんが発言した。「銀座でショッピングを楽しむ人をつかまえて聞かせたい」と切り出した。全国を講演でまわりながらも、まだまだ真実を知らない人が多いという。この会場にいれば心地いい。でもしばらくは、政治は変わらない。福島の70代の女性は「こんな無念の思いのまま死ねるものか」と口にした。あきらめない。ここにいない人にこそ、声をかけたい。

非暴力主義を貫いた落合さんが、「武闘派になろうか」と口にする。「私は外に出てノックをし続ける。あいつを変えてやる」。焦りやもどかしさが、そして変革への強い意志が伝わってくる。「東京五輪に使う金を福島に注ぎ込め」――この呼びかけに、参加者は渾身の拍手で応えた。

「つながろうフクシマ!くりかえすな原発震災」をサブタイトルに掲げた4時間にも及ぶ長丁場。2050人の聴衆は、最後まで集中力と一体感を維持して集会を成功させた。1千万人をめざす署名は現在、830万筆超に達している。(Y)
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http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20130903-1183563.html

汚染水対処、五輪控え政府主導演出か

 政府は3日、東京電力福島第1原発の汚染水漏えいに対処するための基本方針を公表し、国費の投入を決めた。「政府一丸で解決に当たる」(安倍晋三首相)と政府主導を強調するが、東電任せの汚染水処理が後手に回って破綻し、国民負担を迫られたのが実態だ。目新しい対策はなく、2020年の夏季五輪の開催地決定を控え、国際社会の懸念を意識した政治的パフォーマンスの色合いが濃い。

 ▽戦犯

 「(五輪の選考に落ちたら)われわれが戦犯になってしまう」。8月末、東電を所管する経済産業省は危機感を募らせた。

 第1原発で止まらない汚染水の漏えいを、海外メディアも大きく報道。五輪開催地を決める9月7日(日本時間8日)の国際オリンピック委員会(IOC)総会への影響が現実味を帯び始める。あるIOC幹部は「(漏えいを)非常に重大と受け止める委員もいる」と明かす。

 政府は「五輪とは関係ない」(菅義偉官房長官)と平静を装うが、招致に失敗すれば、批判の矛先は政府に向かいかねない。関係省庁幹部は「とにかく今週中は悪い話はするなというのが官邸の意向だ」と、対策を急きょ取りまとめた背景を説明する。

 ▽つけ

 基本方針では、原子炉建屋の周囲の地中を凍らせて壁をつくる凍土遮水壁に320億円程度の国費を投じる。資金面で東電を後押しすることで、完成は当初予定の15年度から14年度に前倒しできる想定だ。汚染水から放射性物質を取り除く浄化設備の増強も含め、総額は470億円程度となった。

 ただこれらの対策の実現は数年先で、目先の漏えいを食い止める決定打にはほど遠い。国際的な環境保護団体グリーンピース・ジャパンは、基本方針は抜本対策には不十分で、タンクからの漏えい防止の具体案もないとして「巨額の税金を垂れ流しするものだ」と批判する。

 鋼板の接合部をボルトで締める「フランジ型」タンクは以前から危険性が指摘されていたが、低コストで工期も短い。東電は増設を重ね、300基を超えたころ、汚染水漏れが相次いで発覚した。

 4月には地下貯水槽からの漏えいが見つかっており、巨額の赤字に苦しむ東電による作業の限界が明らかになりつつあったが、安倍政権は数十年かかるとされる廃炉工程の前倒しなど「遠い未来」の議論に傾注。与党自民党からも「危機感が薄い」(塩崎恭久元官房長官)と批判が上がっていた。

 ▽お祭り騒ぎ

 「今、東京はオリンピックだ、何だ、とお祭り騒ぎと聞く。(五輪より)国の威信にかけて、事故を収束しなければいけなかった」。

 3日午後、福島県相馬市の相馬双葉漁業協同組合の高橋通さん(58)は、汚染水対策を説明する経産省の担当者に迫った。

 相馬双葉漁協は8月、汚染水問題の深刻化を受け、9月以降の試験操業を見送った。県南部のいわき地区の漁協も、9月に予定した事故後初の試験操業を断念した。

 「国は危機感がなく、もっと前から対策をしてほしかった」(相馬双葉漁協の佐藤弘行組合長)。五輪招致の旗印に掲げる被災地の復興は遠のきつつある。(共同)

 [2013年9月3日21時2分]
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http://gendai.net/news/view/110558

ア然…五輪招致トップ「汚染水は安全」書簡の中身
2013年09月04日 23:39 更新

 東京五輪招致委員会の竹田恒和理事長(65)が、IOCの委員らに宛てた「みっともない手紙」(外国メディア関係者)をAP通信にスッパ抜かれてしまった。

 APが入手した竹田理事長の手紙は先月27日付で、現地時間2日、ロンドン発の記事で内容を詳細に報じた。見出しは〈東京招致のリーダーはIOC委員に福島は大丈夫と保証する〉。竹田理事長は汚染水漏れの懸念を打ち消すのに必死で、IOC委員に手紙を送りつけたのだ。

 APの記事によると、手紙の内容は一方的な“安全宣言”ばかりだ。

   〈東京の生活これまでと変わったこともなく、安全なまま。
    空気も水も影響を受けていない〉

   〈皆さんも、福島原発の状況をニュースで見たかもしれませんが、
    もう一度、言わせて欲しい。東京全く影響を受けていない、と〉

   〈東京の空気と水は毎日計測されており、何か問題があるという
    根拠は全くない。それは日本政府によっても確認されている〉

 そして竹田氏は手紙の最後をこう締めくくっている。

   〈世界中が政治的にも経済的にも不安定な中、東京極めて安全。
    地震や津波から復興するうえで、五輪招致を国の魂を
    高揚させるチャンスにしたい〉

 手紙を読んだIOC委員たちは、竹田氏が泣きすがる姿を想像したのではないか。

 竹田氏はAPの電話取材にも応じ、どんな根拠があるのか「東京の放射能濃度はニューヨークやロンドンと同レベルだ」とまで言ってのけた。

 いくら東京の安全性を強調したいとはいえ、ちょっとやりすぎじゃないのか。

   「開催地決定の最終投票直前に、実際に票を投じるIOC委員に
    汚染水漏れに関する手紙を送りつけるのは逆効果でしょう。
    寝た子を起こすような話で、汚染水漏れの恐ろしさを想起させる
    だけです」(前出の外国メディア関係者)

 AP通信は世界各国の約5000のテレビ・ラジオ局、約1700の新聞社と契約し、記事を配信している。竹田理事長は世界中に赤っ恥をかいてしまったか。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013090402000123.html

想定外、もう許さない」 東電汚染水 福島の警察信じ告発
2013年9月4日 朝刊

 「汚染水対策の失敗はまさに『想定内』。今度こそ『想定外』の言い訳は許されない」。東京電力福島第一原発の汚染水問題で、福島県民による福島原発告訴団が三日、広瀬直己社長ら東電幹部を公害犯罪処罰法違反容疑で福島県警に告発した。県民たちは真相解明の役割を、同じく原発事故の被害者でもある地元の警察官たちに託した。

 代理人の河合弘之弁護士は東京都内で会見し「安全よりお金を優先して原発事故を起こした東電の体質や構造は、事故後もまったく変わっていない」と批判した。

 告訴団は昨年六月、原発事故をめぐり東電幹部らを業務上過失致死傷容疑で福島地検に告訴。検察当局の捜査に、東電幹部たちは「大津波は想定外だった」と過失を否定し、告訴団が求めている家宅捜索もいまだに行われていない。

 告発の理由を、河合弁護士は「被害を受けた人と暮らしている県警なら、被害者に寄り添った捜査をしてくれると思った」と話す。

 告訴団は告発に合わせ、汚染水対策に関する東電の内部文書を公表した。文書には、東電が事故の三カ月後の時点で、原発地下に遮水壁を造るのが「最も有効」と位置付けながら、費用や着工時期を公表しない方針が書かれていた

 団長を務める武藤類子さん(60)は「抜本的な対策を取らないと大量な汚染水が出ることは、東電にとって想定内だったはず。文書はそれを示す証拠だ。これまでのずさんな汚染水対策を見ると、私たち被災者の犠牲はなんだったのかと思う」と憤る。

 東電広報部は三日、本紙の取材に対し、告訴団が入手した文書が「社内に存在する」と認めた。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013090402000146.html

【社説】
原発汚染水問題 危機意識がまだ足りぬ
2013年9月4日

 政府が、東京電力福島第一原発の汚染水対策への関与を強める方針を決めた。遅きに失した感はあるが、政府も東電も、この問題は国の緊急事態だとの危機意識を持ち、対策に全力を挙げるべきだ。

 「汚染水問題は、東電任せにせず、政府が前面に立って解決に当たる。廃炉が実施できるかには世界中が注視している」。安倍晋三首相はきのう、政府の原子力災害対策本部でこう語った、という。

 その決意は多とするが、安倍内閣がこの問題を甘く見て、本腰を入れるのが遅れたのなら、民主党前政権と同罪だ。

 東電の汚染水対策はこれまでも度々「後手後手」「場当たり的」との指摘を受けてきた。

 八月には約三百トンもの高濃度汚染水がタンクから漏出したことが発覚し、原子力規制委員会は国際的な原子力事故評価尺度による評価を上から五番目のレベル3(重大な異常事象)に引き上げた。

 東電の当事者能力に疑問符を付けざるを得ない現状を考えれば、政府はもっと早く汚染水対策に力を入れるべきではなかったか。

 安倍内閣がこの時期に国の関与強化を決めたのは、二〇二〇年夏季五輪開催都市決定を控え、東京招致への影響を抑えようとの思惑が働いたのかもしれない。

 東京招致委員会の竹田恒和理事長は、開催都市決定の投票権を持つ国際オリンピック委員会(IOC)委員に「東京全く(汚染水の)影響を受けていない」などと訴える手紙を送った、という。

 東京五輪への影響があろうがなかろうが、汚染水問題は一刻も早く収拾すべき問題だ。東京が安全ならいいものでもない。福島第一原発周辺は国土が失われたと同然だ。その回復には、国を挙げ、最優先で取り組むべきだろう。

 首相は海外に原発を売り込むよりも先に、汚染水問題の深刻さを自覚すべきだった。災害に強い国土づくりは大切だが、公共事業をばらまくくらいなら、汚染水対策に振り向けるべきではないか。

 今年は八月から九月にかけ、東日本大震災以降、自粛傾向にあった海外視察に、多くの国会議員が出掛けるという。

 切迫した事情があるのならまだしも、原発事故や汚染水の現状、いまだ避難生活を強いられている被災者の辛苦を、自分の目で確かめるのが先ではないのか

 それを国会での論戦に生かし、政府に対策を迫る。そんな基本的な仕事もできないのなら、国会議員として存在価値もない。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013090402000107.html

【コラム】
筆洗
2013年9月4日

 <母と子は/存在の岸辺に/佇(たたず)んでいた/現代の業が/滝のように/水俣の海に流れ込むのを/見つめていた/そしてそれが/自分自身に流れ込み/わが子に流れ込んだことをさとった/わが子は/現代の業苦に/焼けて苦しむ小さないのちだった>▼熊本県水俣市の水俣病資料館の館長を務めた坂本直充さんの詩集『光り海』から引いた。父はチッソの社員。ようやく立てるようになったのは六歳の時だ。自分も患者では…。疑問を抱きながら、差別を恐れ水俣病を引き受ける勇気がなかったという▼大卒後、市職員になり、二〇一一年に資料館長に。震える手を見た来館者に「館長も患者ですか」と何度も問われた。もう逃げてはいけない。水俣病と向き合い、認定申請することを決めた▼<人は高度成長と呼んだ/人は繁栄と呼んだ/もっとほしい/もっといいものを/もっとうまいものを/もっともっとのために/資源を掘りつくし/資源を使い尽くし/限りない欲望の道を/疾走していた/繁栄のために/少女は死んだ>▼水俣に何を学んだのか。福島第一原発は「収束宣言」を嘲笑するように放射能汚染水を垂れ流す。五輪招致の妨げになってはならぬと、レベル3を前に見えないふりを決め込んだ政府は、世界中から批判を浴びた▼きょう四日は、公害の原点である足尾鉱毒事件を告発した田中正造の没後百年。
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http://www.asahi.com/paper/column.html?ref=com_top_tenjin

2013年9月4日(水)付
天声人語

 時の流れに色あせてしまう偉人もいれば、いよいよ輝きを増す傑物もいる。田中正造は後者である。公害の原点とされる栃木県・足尾銅山の鉱毒事件で民衆の先頭に立ち闘った。〈真の文明は山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし〉という至言を残して没し、きょうで100年になる▼明治の半ば、鉱毒は清流を死の川に変え、山や田畑を枯らした。しかし銅は国の経済を支える産品で、政府は人を救うより富国強兵を優先した。そのさまは昭和の水俣病、今の原発にも重なってくる▼衆院議員だった正造は議会で質問を繰り返す。運動を組織し、死罪を覚悟で天皇に直訴した。官権に抗し、幾多の妨害を受けつつ人々を引っ張った。不撓不屈(ふとうふくつ)の四文字が、これほど似合う人はまれだ▼正造を高く買っていた勝海舟が、冗談ながら、この者は末は総理大臣だという証文を、閻魔(えんま)様や地蔵様あてに書いたという逸話が残る。原発事故のあと正造が総理だったら、困っている人、弱い立場の人を、何をおいても助けるに違いない現実の総理は、早々と収束宣言を出し(民主)経済のためには再稼働が必要と唱え(自民)、なお15万人にのぼる避難者は忘れられがちだ。事故処理より外国への原発セールスに熱心というのでは、ことの順番が違う▼冒頭の「真の文明は」の後には、こうした文が続いている。〈……今文明は虚偽虚飾なり、私(し)慾(よく)なり、露骨的強盗なり〉。1世紀が流れて、古びないのがやりきれない。
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●『東京番外地』読了

2010年11月21日 01時07分43秒 | Weblog


『東京番外地』、11月に読了。森達也著、新潮文庫。2009年8月発行。解説は重松清氏。

 第一弾「葛飾区小菅一丁目」から第十四弾「府中市多磨町四丁目」、および、番外編「千葉県浦安市舞浜一丁目」まで「」東京ルポルタージュ。「東京近郊のスポットを無目的に歩きながら、思い出したり触発されたこと、あるいは場の記憶に感応したことなどを随筆風に綴るという書籍の企画」(p.15)。

 下山定則氏の殺人。昭和史最大の謎。『下山事件シモヤマ・ケース)』(pp.10-11)。
 『放送禁止歌』(p.12、96、220)。『職業欄はエスパー』(p.13)。『』(p.14、66、284)。

 大道寺将司さん(p.21)。

 植草一秀氏と監視カメラ(p.43)。「・・・こんな理由で尾行されてはたまらない。・・・明らかな悪意・・・」。推定無罪原則のあまりの軽視。

 精神保健福祉法、少年法の改正(p.95)。「ところが実際のところは、少年事件増えてもいないし凶悪化もしていない。・・・事件の低年齢化も全く根拠がなく、統計はむしろ高齢化を示している。/ところが多くの人はこれを知らない。なぜならメディアが不安や危機ばかりを煽る。・・・その方が視聴率や部数が上がるからだ。つまり身も蓋もない市場原理の帰結。/同様に、精神障害者による事件も、実態とイメージとは大きなギャップがある」。

 「第六弾 「微笑む家族」が暮らす一一五万㎡の森/千代田区千代田一番地」(p.109)。「天皇版・電波少年」という企画趣旨。「・・・劇団「ザ・ニュースペーパー」・・・の風刺コント「さる高貴なご一家」をこの広場で、さらに天皇家の目前でやってもらい、その様子を撮影する・・・」〝危険〟で〝過激〟なドキュメンタリー。フジテレビが中止勧告。
 「NHKが・・・放送直前に強引に改編し、その背景には自民党政治家による圧力があったと報道して大騒ぎになり、さらに朝日とNHKとの泥仕合にまで発展」した、中川氏・安倍氏による番組改竄強制事件。
 「・・・自民党は憲法草案を決定した。・・・「日本国憲法を遵守して」と発言した今上天皇は、どんな思いで読んだのだろうか」。

 「立川反戦ビラ撒き事件」(p.124)。
 「狭山事件」(p.126)。無罪推定原則の著しい衰退(p.130)、「簡単に蔑(ないがしろ)にされては困る」。

 「Suica」(p.140)は誰何(すいか)。

 『あしたのジョー』と存在しない泪橋(p.149)。

 岡林信康さんの「山谷ブルース」(p.152)。佐藤満夫・山岡強一氏のドキュメンタリー映画『山谷 やられたらやりかえせ』。「監督二人が殺された映画など、他にはちょっと思いつかない」。

 「郵政民営化是か非か式の二者択一が焦点・・・単純化や簡略化には大きな副作用がある(小泉チルドレンを筆頭に、国会議員の質がとても低下した)」(pp.163-164)。

 杉原千畝さん(p.175)。

 ドキュメンタリー映画『フォッグ・オブ・ウォー』(p.184)。東京大空襲を実施した戦争屋ルメイに日本政府から勲一等旭日大綬章を授与、という唖然とするお話。「渡す側も渡される側も、記憶中枢に重大な欠陥があるとしか思えない」。東京大空襲「春季慰霊大法要」に興味なさげな石原都知事と(毎年靖国参拝の)小泉元首相も。大村益次郎と靖国神社。
 
小泉純一郎元首相の靖国参拝に際してのノーテンキな発言。〝井戸〟の水を濁らせてばかり。「・・・小泉首相の二つの論拠は、「公約」と「心の問題」。・・・公約にあげるならそれはもう心の問題じゃない。心の問題と言い張るならば、それは公約になどすべきじゃない。とても単純なこと。・・・それは何よりも、・・・自民党の総裁選の際の公約だ。つまり国民一般は、彼とそんな約束をした覚えはない。この国には自民党員と自民党の議員だけが住んでいるわけじゃない」(p.263)。

 『いのちの食べ方』(p.223、231)。鎌田慧さん『ドキュメント屠場』(p.231)。

 
ジョージ・オーウェル(p.246)。

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