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●《行動は自粛しても批判は自粛しちゃだめだ。緊急事態宣言の発令を歓迎している場合じゃない。ひるまず「マジか!」を続けよう》

2020年04月15日 00時00分42秒 | Weblog

[『学校が教えないほんとうの政治の話』(斎藤美奈子著、ちくまプリマ―新書257)↑]



琉球新報のコラム【<金口木舌>「総合調整」のその先】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1104201.html)。
大変に申し訳ありません。ツイッター(https://twitter.com/Only1Yori/status/1248371724539715586)から文字起こしさせていただきます。斎藤美奈子さんの、東京新聞のコラム【本音のコラム/マジか! の効用】。

 《行列の中で話していると警察官が飛んでくる。「わたしたちがたがひにデマかなにかを喋(しゃべ)り合つてゐるんぢやないかと疑つてかかつてるんでせうね」…▼「天皇のため」「お国のため」を掲げ、異論を許さず、表だって反対しづらい大きな目標達成への同調を強いる力が支配した。それを過去の過ちで済ませることができるだろうか》。
 《行動は自粛しても批判は自粛しちゃだめだ緊急事態宣言の発令を歓迎している場合じゃないひるまずマジか!を続けよう》。

   『●《国民が信用しない政府》《調査しない政府》など《……ない政府》
     (鈴木耕さん)…そんな独裁者が〝戒厳令〟という凶器を振り回す…
   『●《耳目を引く策を打ち出し、手なずけたマスメディアやSNSを駆使して
       「世論」を作り出せば、愚策も「英断」となり、支持率は上がる》…
   『●2020年4月6日朝のニュース【首相、初の緊急事態宣言発令へ】
     …ついに、無能無為無策、不作為なアベ様が凶器を振り回す時が来た…
   『●経済対策による感染症拡大対策…小池晃さん「補償なき緊急事態宣言では、
          いくら休みたくても、働きに出るしかない市民がたくさんいる」
   『●《悪魔》はアベノマスク2枚だけを残して…アベ様「最悪の事態に
       なった場合、私は責任をとればいいというものではありません」
   『●《なぞかけ名人…お題を出すとこんな内容が返ってきた。「布マスク」
     とかけまして「森友学園や桜を見る会」と解きます。その心は「…」》

 狂気な凶器を振り回す…。《従来の外出自粛とそう変わらない。ただ首相は、NHKなど指定公共機関に「総合調整」や「指示」ができるようになる民放に対しても放送内容を指示する可能性が指摘されたことは、感染への危機感が高まる中であまり意識されていないのではないか。…「宣言で自粛以上のことはできない。一つできるのはNHKへの指示だ野党も国民も問題意識がない」…感染症は怖いが言論統制も恐ろしい》。私権を制限し、自粛を促すが、支給・補償はしない。そして、報道統制
 《口封じ》だけでなく、アベ様の山積する犯罪や劇薬な宣言に伴う私権の制限や報道統制から目をそらさせるための〝目隠し〟にもアベノマスクは使われるのかも…。

 斎藤美奈子さんは、《行動は自粛しても批判は自粛しちゃだめだ緊急事態宣言の発令を歓迎している場合じゃないひるまずマジか!を続けよう》と。

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https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1104201.html

<金口木舌>「総合調整」のその先
2020年4月9日 06:00
新型コロナウイルス 言論統制 緊急事態宣言 金口木舌

 行列の中で話していると警察官が飛んでくる。「わたしたちがたがひにデマかなにかを喋(しゃべ)り合つてゐるんぢやないかと疑つてかかつてるんでせうね」

▼劇作家の井上ひさしさんの戯曲「きらめく星座」は、そんな大戦前夜の空気を描いた。国家総動員法の下、「一億一心」を合言葉に言論が統制されつつある時代でもあった

天皇のため」「お国のためを掲げ異論を許さず表だって反対しづらい大きな目標達成への同調を強いる力が支配した。それを過去の過ちで済ませることができるだろうか

▼新型コロナウイルス感染症のまん延防止で安倍晋三首相は緊急事態宣言を出した。欧州のような厳格な外出制限はできず、従来の外出自粛とそう変わらない。ただ首相は、NHKなど指定公共機関に「総合調整」や「指示」ができるようになる

▼宣言の根拠となる特措法改正の国会審議で、民放に対しても放送内容を指示する可能性が指摘されたことは、感染への危機感が高まる中であまり意識されていないのではないか。武田徹専修大教授(メディア社会学)は「宣言で自粛以上のことはできない。一つできるのはNHKへの指示だ野党も国民も問題意識がない」と憂慮する

▼10年前のきょう亡くなった井上さんをしのぶ「吉里吉里忌」も新型コロナウイルスで中止となった。感染症は怖いが言論統制も恐ろしい
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https://twitter.com/Only1Yori/status/1248371724539715586

本音のコラム
マジか! の効用
斎藤美奈子


 このところ、日本中から連日「マジか!」の声が聞こえてくる。

 「新型コロナウィルス感染症対策として、和牛商品券をを配ります」

 マジか! お肉券より日本銀行券だろ。

 「全世帯に2枚ずつ布マスクを配布します

 マジか! あんたはアベノマスクかい。

 こうした声に対し、いまは国難なんだから政府の批判や牽制は控えろという人たちがいる。

 それ、話が逆だから。

 第一に私たちは主権者だ。口を出すのは当たり前である。第二にこんな時だからこそ知恵を結集する必要がある。おかしな策に対してはマジか!といってやったほうがいいのである

 現に「マジか!」の連呼で和牛商品券案は立ち消えた。布マスク二枚案は決行の由だが、現物支給じゃ人は納得しないと高官は気づいただろう。

 「自粛を要請するなら補償とセットだろ」コールはさすがの政府も重い腰を一応上げた。無策な政府に仕事をさせるには市民の批判と外部のプロの提案が必須。黙っていたらどうなることか。

 「マジか!」な局面はまだ続く。検査のハードルは相変わらず高い。三十万円給付の内実はトホホだし、三十九兆円の財政支出も中身は不透明。行動は自粛しても批判は自粛しちゃだめだ緊急事態宣言の発令を歓迎している場合じゃないひるまずマジか!を続けよう。(文芸評論家)
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●『憲法くん』の誇りとは? 《私は六六年間、戦争という名前で他国の人々を殺したことがない。それが誇り》

2019年05月05日 00時00分19秒 | Weblog


マガジン9のインタビュー記事【この人に聞きたい/松本ヒロさんに聞いた:負けたらギャグで返す。笑っていれば希望がわく。『憲法くん』は元気です】(https://maga9.jp/190417-5/)。
東京新聞の竹島勇記者による記事【初恋の少年に誓った不戦 渡辺美佐子 映画「誰がために憲法はある」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2019042102000200.html
日刊ゲンダイの記事【「誰がために憲法はある」は危機感なき映画界への挑戦状】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/252520)。

 《政治ネタや社会的発言がタブーとされる日本の芸能界において、一貫して反権力の気炎をあげ続けているお笑い芸人の松本ヒロさん。憲法の大切さをわかりやすくおもしろく伝えるために、「日本国憲法」を人間に見立てた一人芝居『憲法くん』を創作、20年以上演じ続けてきました。その『憲法くん』を、今年87歳になる名優・渡辺美佐子さんが演じた映画『誰がために憲法はある』がまもなく公開されます。映画公開を機に松本ヒロさんに『憲法くん』に込めた思いを伺いました》。
 《映画はそのドキュメントを挟みこむように、渡辺演じる一人語り「憲法くん」(作・松本ヒロ)で構成される》。
 《ドキュメンタリー映画「誰がために憲法はある」…これは、芸人・松本ヒロが舞台で演じ続けている日本国憲法を擬人化したひとり語り「憲法くん」を基にした作品》。

 アベ様に壊されゆく『憲法くん』の誇りとは? 《憲法くんが『私のことを自虐的とか言う人がいる。でも私は六六年間、戦争という名前で他国の人々を殺したことがない。それが誇りです。私をどうするか、皆さんに託しましたよ』と締めくくると満場の拍手に包まれた》。アベ様らに壊憲なんて許していいのでしょうか?
 『憲法くん』に関連した映画『誰がために憲法はある』が公開されるそうだ。

   『●「ぼくらは差別が見えていない」 『週刊金曜日』
             (2014年5月9日、990号)

    「■⑩『週刊金曜日』(2014年5月9日、990号) / 松本ヒロさん
     【写日記その30】、「ドキュメンタリー映画『ザ・思いやり予算』…
     バクレーさんが「ヒロさん、ギャラなんですが……」
     「大丈夫、『予算』がないんでしょ? 私の『思いやり』!」。
     さすが「憲法くん
     (http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/9cf92a972ac07b0d0538d9f8b4167b3a)」

   『●「放射能と学校給食③」『週刊金曜日』
        (2013年6月7日、946号)についてのつぶやき

    「■『週刊金曜日』(2013年6月7日、946号) / 松本ヒロ
     【写日記 その10】、「日本国憲法を擬人化した『憲法くん』と
     言うネタで全国を飛び廻っているお笑い芸人」「憲法くん
     『私のことを自虐的とか言う人がいる。でも私は六六年間、
     戦争という名前で他国の人々を殺したことがない。それが誇りです
     私をどうするか、皆さんに託しましたよ』と締めくくると
     満場の拍手に包まれた」」

   『●松元ヒロさん「憲法くん」は語る
    「「だけど丸投げで頼むわけじゃない。
     頼まれたから何でもできると思って
     戦争なんか始めちゃダメだよ。そのために、
     憲法にしっかりと9条を書いてこれをわたす。
     この憲法に書いてあることをしっかり守って、
     頼まれごとをやってくれ、と」……
     松本ヒロさんの「憲法くん」は語る。
     アベ様をはじめとした自公議員、翼賛野党の
     壊憲派には理解できまい」

   『●死にゆく平和憲法: 伊藤真さんの憲法の
       『あなたこそ たからもの』と松本ヒロさんの「憲法くん」
    「いま憲法は瀕死の状態。アベ様により壊憲のトドメを刺されようとしていて、
     平和憲法は死に絶えようとしています。自公議員、翼賛野党の壊憲派
     それを支えていますし、彼らに投票した人達も同罪です。万死に値します」

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https://maga9.jp/190417-5/

この人に聞きたい
松元ヒロさんに聞いた:負けたらギャグで返す。笑っていれば希望がわく。『憲法くん』は元気です
By マガジン9編集部  2019年4月17日

政治ネタや社会的発言がタブーとされる日本の芸能界において、一貫して反権力の気炎をあげ続けているお笑い芸人の松元ヒロさん。憲法の大切さをわかりやすくおもしろく伝えるために、「日本国憲法」を人間に見立てた一人芝居『憲法くん』を創作、20年以上演じ続けてきました。その『憲法くん』を、今年87歳になる名優・渡辺美佐子さんが演じた映画『誰がために憲法はある』がまもなく公開されます。映画公開を機に松元ヒロさんに『憲法くん』に込めた思いを伺いました。

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憲法を人間に見立てて語る

――一人芝居『憲法くん』では、松元さん自身が憲法になりきって「私の体は、前文と103の条文を細胞にしてできています」「国民主権、基本的人権、平和主義の3つの考え方を理想として掲げています」と自己紹介し、「私がリストラされてもいいのでしょうか」と、問いかけています。これは憲法施行50年めにあたる1997年の憲法記念日のイベントで、憲法をわかりやすく伝えるにはどうしたらいいかという話から生まれたそうですね。

松元 そうなんです。憲法というと堅苦しい話になっちゃうから、そこをなんとかコントでおもしろくわかりやすく伝えられないかと、学者の先生たちと台本を考えました。そこで憲法を擬人化したらおもしろいんじゃないかと思いついて、猛勉強しました。
 お恥ずかしいことに、それまで憲法のことをよく知らなかったんですね。ただ法律の親玉くらいに思っていたんです。でも、そうじゃないんですね。一般の法律は人のものを盗んだら懲役何年とか、僕たちを縛るもの。それに対して憲法は僕たち主権者が国を縛るもの、つまり権力を持つ人たちへの命令書だということを知りました。

――『憲法くん』が、憲法前文を朗々と暗唱するシーンが圧巻です。

松元 僕、憲法の前文がすごく好きなんです。最初の頃はただ必死に憶えて間違えないように言うだけだったんですが、何度も繰り返しているうちにだんだん体に入ってきて、ふっと絵が見えるようになりました。
 たしかに英語を訳したようなぎこちない言い回しもあるのですが、繰り返し声に出して朗読していると、人権とか権利とか堅苦しい言葉の中にも、愛とか平和とか平等とか、国を超えてみんなが大切にしている美しいものが込められていることがわかって、語っている自分の心も清められるような気持ちになれる。それが人に伝わるんですね。

――『憲法くん』は1997年の初演以来、ずっとヒロさんの持ちネタで、他の人がやることはなかったのですね。

松元 はい、もう22年続けてますから、僕にとっては古典のようなものです。ずっと一人芝居でやってきたのですが、2016年に講談社から絵本『憲法くん』として出版していただいて、それがもう10刷です。絵本作家の武田美穂さんがかわいらしい絵を描いてくださって、子どもからお母さん、お父さんまで読んでくださっています。そうしたらあちこちから「紙芝居にしたい」とか、「読み聞かせしたい」とか、声がかかるようになってどんどん広まった。僕一人の舞台では、見てくれる人の数も知れていますから、こうして絵本になってたくさんの人に知ってもらえるなんて、ありがたいことです。

映画になった『憲法くん』

――それが今回は映画になったわけですね。井上淳一監督から『誰がために憲法はある』の話がきたとき、どう思いましたか?

松元 2、3年前でしたか、井上さんから『憲法くん』を映画にしたいとお話をいただいて、「それはもう喜んで」って、思わずこうした(髪を整えるしぐさ)んですけど、僕が出るわけじゃなかったんですよね(笑)。そりゃそうですよ、僕の顔がスクリーンいっぱいになったら、たまげますよ。で、お話をよく聞くと、なんとあの渡辺美佐子さんが『憲法くん』を演じてくださるという。びっくりしました。

――実際に映画をごらんになって、渡辺さんの『憲法くん』はいかがでしたか?

松元 いやあ、やっぱり戦争を体験した人が語ると違うなあと思いました。一言一言に説得力があって、情景が目に浮かんでくるんです「私というのは、戦争が終わったとあとこんなに恐ろしくて悲しいことは二度とあってはならない、という思いから生まれた理想だったのではありませんか」という台詞も、当時を知っている渡辺さんが語ると真実味があって、ひしひしと伝わる。やっぱり体験者の言葉の重みは違いますね。
 僕は舞台でやるときには背景はなにもなく、語りだけでやると決めているんですが、絵本では絵がまず目に入ってきますよね。たとえば「戦争が終わったあと、こんなに恐ろしくて……」という文の背景に、焼け跡に女の子がぽつんと座っている絵を、武田さんが描いてくださったんですが、一目見てわかりますよね。ああ、こういうことがあったから憲法ができたんだ、と。だから絵本にしてよかったと思いますし、今回の映画では、渡辺さんの語りの背景に原爆投下の映像が映って、すごくわかりやすい。憲法の大切さが、より多くの人伝わるし、僕も渡辺さんの『憲法くん』にパワーをもらって、これからもがんばろうと元気になりました。

――映画『誰がために憲法はある』は、『憲法くん』を演じた渡辺美佐子さんが、33年間続けてきた原爆朗読劇『夏の雲は忘れない』の上演活動を紹介する後半へと続きます。

松元 あの朗読劇もすばらしいですよね。映画には日色ともゑさんとか山口果林さんとか、もうあこがれの女優さんたちがたくさん出てきて、どきどきしました。映像には映っていませんでしたが、学生たちが女優さんたちといっしょに舞台に立って朗読したり、上演後の交流会で感想を語り会ったりしたというのも、いいですね。「僕たちも次の世代に伝えていきます」とかいう子もいて、彼らに希望を託したいです。『夏の雲は忘れない』の公演は今年で終わるそうですが、映画の中に残すことができてよかったと思います。

媚びずに、信念をもって一人ひとりに語りかける

――戦争体験者がいなくなり、平和の大切さを今後どうやって若い世代に伝えていくかは、大きな課題です。なにかいい方法はありませんか?

松元 僕のお客さんも中高年が多いのですが、僕はあえて若い人に向けてとは、考えないようにしているんです。というのも、お笑い芸人として駆け出しの頃にこんなことがありました。その頃は、「若い人にウケたい」「どうしたらキャーッと笑ってもらえるか」って、必死だったんでしょうね。あるとき、ライブが終わって若いあんちゃんが楽屋にやってきて「なんでおれらに合わせたんだ、おれらは兄さんに引っ張っていってもらいたかったのに」って言われたんです。ショックでしたね。そうか、ウケを狙ってはやりのギャグを言ってみたり、若い人に媚びたりしてても、そんなのは見透かされている、言いたいことが伝わらない。そうでなく「平和は大事なんだ、ついてこい」って、堂々と言えばいいんだと、気づかされました。

――日本では政治や社会への風刺ネタはウケないとよく言われます。とくに若い世代には敬遠されるのでは?

松元 それねえ、年齢じゃないんですよ。僕のライブで笑ってくれるおじいちゃん、おばあちゃんの家族は、子どもも孫もみんな笑ってくれる。笑わない人の家族はみんな笑わない。テレビ見て、安倍さん、すごいって親が言えば、子どももそんなものかと思う自民党、おかしいぞとだれかが言えば、そばにいる家族にも伝わる家庭環境なんですよ
 自民党本部に勤めている人の中にも僕のファンがいます。「ヒロさんは私が毎日接している自民党の先生たちのことを、ぼろくそに言ってくれるからすっきりする」(笑)。その人もまた労働者の一人なんですね。ファンの中には自民党議員の奥さんもいるし、創価学会員の人もいます。だから年齢や国や所属集団でくくって決めつけるのでなく一人ひとりに信念を持って語りかけようと思っています。

――『憲法くん』は井上ひさしさん、永六輔さん、立川談志さんら、多くの文化人にも絶賛されています。そうした応援があって二十数年間続けてこられたともいえますね。

松元 そうなんです。皆さんのおかげです。もうだいぶ前のことですが、作家の澤地久枝さんの講演の前座を務めたことがありました。当時皇太子家の愛子さんがまだ3歳だったころで、僕は舞台で「3歳でなんの業績もないのに、なんで“さま”をつけるのか、おかしいじゃないか」ってやったんですね。そうしたら澤地さんが飛んできて「あなたすばらしい」って、感激してくれた。で、「あなた、どこかから、言いがかりをつけられたことない?」って聞かれて、僕が「いいえ、ありません」というと「そうね、あなたには信念があるから、だれも文句をつけられません」と。手をぎゅっと握られて、「信念がある」って言われて、僕はパワーをもらいました。それから僕は怖くなくなった。そうだ、正しいと思ったことは、堂々と胸を張って最後まで言い続けようと、気持ちが決まったんです。

笑っていれば、希望がわく。勝ち馬に乗らない。

――たしかに言い続けることが大事ですが、世の中はなかなか変わりません。自民党政権はびくともしないし、何をやってもだめという閉塞感が漂っています。

松元 確かに僕らは少数派です。選挙で負けると、ああ、もうだめだって、自分を否定されたような気持ちになりますよね。でも僕は絶望しない。「世の中バカなやつが多いんだね、僕みたいな利口なやつは貴重なんだ」とか、もうなんでもいいから、負けたらそれをギャグにして笑い飛ばす。笑っていれば希望がわいて、元気になれる。勝ち馬に乗ろうと、信念を曲げて大勢についても、それはほんとの勝ちじゃないですよ

――井上監督は「今年は現行憲法最後の憲法記念日になるかもしれない。今こそ憲法の原点を見つめ直したい」と、この映画を作ったとおっしゃいます。ヒロさんも改憲への危機感は感じていらっしゃいますか?

松元 『憲法くん』はおかげさまで、あちこちからお声がかかり全国を飛び回っていますが、最近は特に切羽詰まった声を聞きますね。
 先日呼んでくださった名古屋の主催者のかたは「今の憲法が変わる前にぜひやってもらいたい」って、おしゃるんですよ。その人に言わせると、「国民投票になったら負ける」と。国民投票はコマーシャルやり放題で、お金をたくさん持っているほうが有利だから、朝から晩までがんがん「改憲賛成!」と流れるわけでしょう。しかも、今のテレビニュースは、政権がやっていることをそのまま流すだけ。「おかしいよね」とか、「とんでもないことですよ」とか、一言も言わないから、見ている人は「世の中そんなもんだ」と思ってしまいますよ。
 『憲法くん』は、まだまだリタイアできません。リストラされないよう、皆さんも応援してください。

(取材・構成/田端薫 取材写真/マガジン9編集部)



[https://youtu.be/Dft-BL7dYhs]
誰がために憲法はある
2019年4月27日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開
公式ウェブサイト
http://www.tagatame-kenpou.com/

松元ヒロ(まつもと・ひろ) 1952年鹿児島生まれ。法政大学法学部政治学科卒業後、パントマイマーに。コミックバンド「笑パーティー」のメンバーとしてコントの世界に進出。1985年「お笑いスター誕生!!」で優勝。1988年、コント集団「ザ・ニュースペーパー」の結成に参加。村山富市元首相を演じ注目を集める。1988年に独立。政治風刺やパントマイムのソロライブで全国を飛び回っている。1997年に『憲法くん』初演、2016年絵本『憲法くん』(絵・武田美穂/講談社刊)を出版。
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2019042102000200.html

【放送芸能】
初恋の少年に誓った不戦 渡辺美佐子 映画「誰がために憲法はある」
2019年4月21日 朝刊

 女優の渡辺美佐子(86)は長年、平和や護憲への思いを地道に発信し続けている。平成から令和に変わる今年、そんな大ベテランも節目を迎えている。今月二十七日には映画「(た)がために憲法はある」(井上淳一監督)の全国順次公開を控える一方、仲間の女優たちと続けてきた原爆体験記の朗読劇は今夏で幕を引くことになった。「最近、平和が脅かされつつある」と強く感じるという渡辺。女優魂が警鐘を鳴らす。 (竹島勇

 今年で三十五年目となる朗読劇や、今回の映画に導いてくれたのは「初恋の少年」と渡辺は明かす。朗読劇はメンバーの高齢化でやむを得ず今夏限りで終える。だから、少年に誓った不戦の思いを映画に込めた。

 少年は第二次大戦末期に通っていた東京都内の国民学校の同級生だった。異性と口をきく時代ではなく、少年が急に転校してそれきりになった。時は流れ、女優として第一線で活躍していた一九八〇年、テレビ番組の「ご対面コーナー」の出演依頼に「少年と会いたい」と応えた。そして収録当日。現れたのは年老いた少年の両親だった。少年は疎開先の広島市で原爆の犠牲になったという。「息子を覚えていてくれてありがとうございます」。二人に渡辺は言葉を失った。

     (女優仲間との朗読劇「夏の雲は忘れない-」に
      出演する渡辺(左から4人目))

 「何かしなくては」。八五年から広島と長崎の原爆を体験した子どもたちの手記をもとにした朗読劇「この子たちの夏」に名を連ねた。二〇〇八年からは女優十八人で、新たに朗読劇「夏の雲は忘れない 1945・ヒロシマ ナガサキ」に取り組んできた。

 「水をください」「おかあちゃん、助けて」。映画は、広島の中学校での朗読劇の模様を収めた。公演後の交流会で中学生が「平和の大切さを伝えていく」と話すと、渡辺ら出演者がうれしそうにうなずく。渡辺は広島市内の初恋の少年ら犠牲者の名が刻まれた慰霊碑にぬかずく…。

     (映画で「憲法くん」として語りかける渡辺)

 映画はそのドキュメントを挟みこむように、渡辺演じる一人語り「憲法くん」(作・松元ヒロ)で構成される。「こんにちは 憲法くんです へんなうわさを耳にしたんですけどほんとうですか わたしがリストラされるかもしれないというはなし 憲法くんがいなくなってもいいということなのでしょうか」。ほほえみながら護憲を訴える。

 近年の防衛予算の増大など日本の平和に不安を抱いている渡辺は静かに語る。「私は空襲の恐怖と飢えを体験し、幼い同級生も亡くした。戦争は普段の暮らしを奪う」「憲法くんは(現憲法下では)日本は戦争で人を殺さず、殺されてもいない、という。良いことよね」

 映画「誰がために憲法はある」は東京・ポレポレ東中野ほかで順次公開される。「後世に残る映画で平和への思いを若い世代に伝えたい」と願いを込める。


◆舞台・映画・テレビ、幅広く

 渡辺は1932年東京生まれ。高校卒業後、俳優座養成所へ入所。同期に愛川欽也がいた。53年「ひめゆりの塔」(今井正監督)で映画デビュー。58年「果(はて)しなき欲望」(今村昌平監督)で注目を集めた。

 テレビドラマでは庶民的な役でおなじみとなった。TBS系「ムー」(77年)、その続編「ムー一族」(78~79年)で老舗の足袋店のおかみ役を演じた。NHK連続テレビ小説「おしん」、TBS系「渡る世間は鬼ばかり」シリーズなどにも出演。2009年のNHK「お買い物~老夫婦の東京珍道中」では夫役の久米明(95)とともに、放送文化基金賞演技賞を受賞した。

 舞台でも本領を発揮し続ける。代表作は、旅回り一座の女座長を演じた1982年初演の井上ひさし作の一人芝居「化粧」(後に「化粧 二幕」)。2010年までに海外公演を含め、648回演じた。

 渡辺は「新劇出身の私は『化粧-』で大衆演劇や歌舞伎などに触れて、幅が広がり女優として生まれ変わった」と振り返る。10月には87歳になるが、健康には自信がある。「俳優に定年はない」と意欲は衰えない。

 見納めとなる朗読劇「夏の雲は忘れない-」の一般向け巡演は6月24日、東京都中央区の日本橋公会堂からスタート。8月末まで広島、四国、関東など各地で上演する。出演者は公演ごとに異なる。「夏の会」=(電)090・8004・1985。

2010年、座・高円寺で上演された一人芝居「化粧 二幕」のファイナル公演から=撮影・谷古宇正彦


◆下の世代、どう受け継ぐか

<劇作家、演出家の坂手洋二(57)の話> 昨年上演した「サイパンの約束」など、(主宰劇団の)「燐光群(りんこうぐん)」公演に客演してもらっている。彼女は新劇出身ですが、映画やテレビドラマでも活躍したスター。主役を張る方だけど、飾らないユーモラスなところも魅力。「サイパンの-」では、日本統治下のサイパンで少女時代を過ごした主人公役でしたが、ある種の官能性も表現できる貴重な女優。彼女だからこそ朗読劇や今回の映画で思いが広く伝わる。朗読劇の終了は残念でしょう。渡辺さんたちの思いを私たち下の世代がどう受け止め表現していくか、大きな課題です。
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/252520

「誰がために憲法はある」は危機感なき映画界への挑戦状
2019/04/24 06:00

     ((C)「誰がために憲法はある」製作運動体)

 4月27日から東京・ポレポレ東中野ほか全国で順次公開されるドキュメンタリー映画「誰がために憲法はある」が注目を集めている。

 これは、芸人・松元ヒロが舞台で演じ続けている日本国憲法を擬人化したひとり語り「憲法くん」を基にした作品。

 演じるのは、ベテラン女優の渡辺美佐子(86)。

 この短編を挟んで、初恋の人を疎開先の広島の原爆で亡くした渡辺が続けている慰霊の旅と原爆朗読劇のドキュメントが描かれる。

 朗読劇は渡辺が中心となって同世代の女優たちと33年間続けてきたもので、今年が最終公演。未来に託す戦争の記憶と女優たちの平和への思いが語られる。

 井上淳一監督(53)は故・若松孝二に師事し、若松プロの青春群像を描いた「止められるか、俺たちを」の脚本を書いた硬骨漢。

 「このまま安倍1強の政治状況が続けば、改憲は現実のものとなり、もしかすると今年の憲法記念日は、現行憲法で最後になるかもしれない。演劇界は俳優や演出家、制作者が中心となって2015年から、毎月19日に、改憲反対の駅前スタンディング運動を展開しているというのに、映画界にはまったくといっていいほど危機感がない。この映画は、そんな映画界への挑戦状でもあります。憲法に込められた理想がいかに大切か、今こそ、ひとりでも多くの人にこの映画を見て欲しい」と語る。
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●「私を選んだのは普通の国民だ。私を怪物と呼ぶならば、選んだ選挙民が悪い」…「権力集中」なニッポン

2016年10月19日 00時00分04秒 | Weblog


沖縄タイムスのコラム【[大弦小弦]本物のヒトラーがタイムスリップし…】(http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/65030)と、
東京新聞のコラム 『筆洗』(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016100802000180.html)。

 《そんな際どいドイツ映画「帰ってきたヒトラー」を見た…▼自分には差別や偏見が一切ないというのは幻想だ。誰にでも内面に「怪物」が潜む。映画の中でヒトラーは言う。「私を選んだのは普通の国民だ。私を怪物と呼ぶならば、選んだ選挙民が悪い」》。
 《サントス大統領はその困難さを、こう語った。「…平和をつくることの方が、戦争を始めるよりずっと困難なのだ」▼その困難さを裏付けるように、国民投票で和平は拒否された。しかし、ロンドニョ最高司令官のひと言に、救われる思いがした。「我々は平和を求め続ける。武器ではなく言葉だけを使う」と誓ったのだ》。

 《「私を選んだのは普通の国民だ。私を怪物と呼ぶならば、選んだ選挙民が悪い」》…「権力集中」なニッポンの国王様・独裁者を選んだのは誰? 《選んだ選挙民が悪い》、与党や「癒(着)」党に投票した選挙民が悪い。

   『●争点は「壊憲」: 「ト」な自民党改憲草案は
      「国民主権の縮小、戦争放棄の放棄、基本的人権の制限」
   『●「ト」な自民党壊憲草案の「新たな三原則」…
      「国民主権の縮小」「戦争放棄の放棄」「基本的人権の制限」
   『●壊憲…「緊急事態という口実で、憲法が破壊される恐れが…
                  ヒトラーは非常事態を乱用して独裁を築いた」
   『●壊憲反対の不断の声を:  
     「戦後の歴史の岐路かもしれません。不断の努力こそ求められます」

 《平和をつくることの方が、戦争を始めるよりずっと困難》だというのに、番犬様と一緒になって、ヨソん家で鉄砲を振りまわして火に油を注ごうという、どこぞの国、哀し過ぎる。平和憲法を持つ国が、《我々は平和を求め続ける。武器ではなく言葉だけを使う》ことをなぜ誓えないのだろう。

   『●「あとの祭り」: 「駆けつけ警護」は『任務遂行型』の武器使用
                     =違憲な自己防衛を越える武器使用
   『●「5月0日」?…内閣法制局は安保関連法案の審査を 
          いつ決裁したのか? そもそも審査したのか??
   『●稲田朋美氏はアベ様一押しの「未来の総理」だそうです。
             あ~、カンベンシテクダサイ、オネガイデスカラ…
   『●「あれはまさに安倍政権のグロテスクさが濃縮され
             露わになった瞬間」…「茹でガエル」ニッポン

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http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/65030

[大弦小弦]本物のヒトラーがタイムスリップし…
2016年10月4日 07:00 磯野直 映画

 本物のヒトラーがタイムスリップし、21世紀によみがえる。約600万人のユダヤ人を虐殺した反省から歴史教育、周辺国との和解、難民受け入れに尽くすドイツに。そんな際どいドイツ映画「帰ってきたヒトラー」を見た

▼人々は当初、彼を物まね芸人として笑う。過激なスローガンを反復する演説が、インターネットとテレビでやすやすと人々の心をつかみ、スターになる内容だ

▼歴史の教訓から、ドイツはナチスのプロパガンダ映画の上映を法律で禁じている。その一つ、「意志の勝利」を大学の授業で見たことがある

▼数万人の一糸乱れぬ行進で、ある種の「美」が演出され、ヒトラーが演説する。執拗(しつよう)な繰り返し。ぼーっと見ていると思考力を失い、高揚感すら生む。そんな中で居眠りした私に、恩師は「受け入れているのと同じではないか」と問うた

▼「帰ってきた-」は終盤、ドキュメンタリーを挿入。俳優がヒトラーの格好で町に出て、道行く人と台本なしで対面する。人々の口からは外国人排斥人種差別…。不満の端々ににじむ、強力な指導者を求める世相をあぶり出した

自分には差別や偏見が一切ないというのは幻想だ誰にでも内面に怪物が潜む。映画の中でヒトラーは言う。「私を選んだのは普通の国民だ。私を怪物と呼ぶならば、選んだ選挙民が悪い」(磯野直
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016100802000180.html

筆洗
2016年10月8日

 作家の井上ひさしさんは、十年前に出された『子どもにつたえる日本国憲法』で、九条のこころを、こう書き表した▼<どんなもめごとも/筋道をたどってよく考えて/ことばの力をつくせば/かならずしずまると信じる…/よく考えぬかれたことばこそ/私たちのほんとうの力なのだ>。果たして、井上さんのこの言葉は、どれほど現実の世界に響くものだろうか▼そんなことを考えさせられるのは、コロンビアの内戦だ。半世紀に及ぶ戦いで二十二万もの命が奪われ、憎悪が世代を超えて増幅した。言葉より、暴力がものを言う世界だ▼コロンビア革命軍のロンドニョ最高司令官と和平交渉を進めたサントス大統領はその困難さを、こう語った。「三世代にわたる内戦が、我々から他の人に共感する力を奪った。そういう人々に、許すことを説かねばならない。平和をつくることの方が、戦争を始めるよりずっと困難なのだ」▼その困難さを裏付けるように、国民投票で和平は拒否された。しかし、ロンドニョ最高司令官のひと言に、救われる思いがした。「我々は平和を求め続ける。武器ではなく言葉だけを使う」と誓ったのだ▼ノーベル平和賞が、サントス大統領に贈られることになった。国民投票の結果からすれば、驚きの授賞だが、そこには、<ことばこそ私たちのほんとうの力>との思いが込められているのだろう。
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●「原理原則の無い国」、「死の商人」に堕した国、原発輸出したい哀しい国・ニッポン

2015年12月14日 00時00分43秒 | Weblog


東京新聞の記事【山田洋次監督 故井上ひさしさんの構想実現 映画「母と暮せば」12日公開】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2015121002000135.html)。

 《長崎市民に合唱してもらった「鎮魂歌」のエンドロールにつながる終盤は、平和への願いが込められている。ラスト、ある少女だけ亡霊の姿に気付き、無邪気に笑顔を見せる。「(犠牲者には)せめてあの世で幸せであってほしい。彼女が大人になった時にすてきな世界であってほしい》。

   『●原爆投下と東京電力原発人災と「積極的平和主義」と:
                 すぐに忘れる国、考えようとしない国
    「憲法違反を犯しつつ壊憲する愚かな「原理原則の無い国」です、
     「死の商人」に堕した国。3.11からわずか数年、原発を再稼働し、
     原発輸出したいそうです。9割方の人が「もう原発は嫌だと誓った」
     はずなのに。自公議員や翼賛野党議員、原子力「ムラ寄生」委員会
     などなど、「こんな単純な物語を忘れるどころか、
     「原発人災で死者はいない」「そりゃ風評被害
     「核兵器やるんならやってやろうか」の物語にねじ曲げたい臭いも
     残念だが存在する」。それが主流派のごとく振る舞うこの国が哀しい」


   『●教育破壊: 「「ボンクラ」「嘘つき」」につける薬なし、
             そして、「戦争絶滅受合法案」の制定を!
    《「山田洋次監督はベルリンで安倍首相に危機感を表明
     「現代の日本では、戦争を知っている世代と知らない世代に
     大きなギャップがあり、総理大臣をはじめ日本の指導者たちは
     戦後に生まれています。残酷な、ひどい、悲劇的な戦争を
     2度としてはいけないという教訓をしっかり学んで生きている
     のだろうか? それが今の世代が抱えている問題ではないか
     と僕ら旧世代は心配でなりません」」》。

 「山田洋次監督は…安倍首相に危機感を表明」……それなのに、自公支持者・投票者の気が知れない。危機感の無さは救いようがない。各種世論調査での自公支持者、そして無関心派・「眠り猫」派、絶望的な気分になる。「経営者団体を含むノーベル平和賞「国民対話カルテット」は「武器より対話を」 …ニッポンの経団連は?」、「経団連は、「プルトニウムをつくる装置」再稼働を後押し。そして、国家戦略としての「武器輸出」を推進!」、「核発電所は『プルトニウムをつくる装置』…プルトニウムの蓄積・核兵器転用=世界は「それも」怖れている」。
 内橋克人さんは、「集団的自衛権の先に待っているのは、核兵器を持って抑止力にしようという政策原発はプルトニウムをつくる装置』でもあり、原発を止めることは日本の核武装に待ったをかけることだ」と訴えました(『●原子力「ムラ寄生」員会ではなく、「風船爆弾」が語ることにこそ真実はある ~川内原発再稼働問題~』)。
 アベ様はまだ政権の座に居ます。「原理原則の無い国」、「死の商人」に堕した国、原発輸出したい哀しい国・ニッポン。

   『●上関原発反対! ~祝い島島民の会blog~
   『●消費税増税にもろ手を上げて
       賛成するマスコミを信頼できるのか?
   『●「『平成の治安維持法』をつくった総理」の
       非常に危険な思い入れ、それに手を貸す責任
   『●「安倍政権への怒りと原発再稼働反対への思い」を
                 語る吉永小百合さんを支持します

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2015121002000135.html

【放送芸能】
山田洋次監督 故井上ひさしさんの構想実現 映画「母と暮せば」12日公開
2015年12月10日 朝刊

 戦争体験者である巨匠・山田洋次監督(84)が戦後70年の節目に、平和への願いを作品に託した。劇作家の故井上ひさしさんの遺志を継ぎ「生涯で一番大事な作品をつくろう」と臨んだ映画「母と暮せば」が、12日に公開される。長崎で被爆死した息子の亡霊と母親が織りなす、悲しくも心温まる優しい物語だ。 (高木梨恵)

 広島の原爆で亡くなった父親の亡霊と娘による二人劇「父と暮せば」を残した井上さん。生前、長崎を舞台に構想していた「母と暮せば」の企画を、劇団こまつ座の社長、三女の麻也さんが監督に持ち込んだ。「母と息子の話にし、息子は長崎医科大生…」。その場でひらめき、実現の可能性を強く感じたという監督。「ふと降りてきたものは大事。苦しんで生み出すのよりもね。僕の映画はいつもそう」と笑う。若くして戦死した詩人竹内浩三を息子のモデルに「次男だから名は浩二にしよう」と、監督らしいおちゃめな発想で世界観を広げていった。

 八月九日、大学で講義を受けていた浩二(二宮和也)は原爆で亡くなった。三年たち、息子の死が受け入れられない母伸子(吉永小百合)を浩二の恋人だった町子(黒木華)が世話し続けてくれていた。ある日、浩二が亡霊として現れる。

 コンピューターグラフィックス(CG)を驚くほど多用。レコードが宙を浮き、影絵の楽団が突如演奏しだす。「当時の長崎の街もCGだから再現できた。今の時代だからできた作品」。長崎の空と海の色味は、太陽光の角度を計算して入念に指示。山田監督の演出の厳しさは、相手が最新技術でも健在だ。

 冒頭、インクの瓶がとろっと溶け、爆音とともに画面が暗転。原爆の恐怖を一瞬で表現した。「ならば人間はどうなったかということ。あれが浩二の見た最後の映像。人類の歴史に残る原爆という大事件を語り伝え、あの罪深い爆発を二度と起こしてはならない」

 長崎市民に合唱してもらった「鎮魂歌」のエンドロールにつながる終盤は、平和への願いが込められている。ラスト、ある少女だけ亡霊の姿に気付き、無邪気に笑顔を見せる。「(犠牲者には)せめてあの世で幸せであってほしい。彼女が大人になった時にすてきな世界であってほしい」

<やまだ・ようじ> 1931年9月13日、大阪府生まれ。幼少期を満州で過ごし、終戦を迎える。東大法学部卒。61年「二階の他人」で監督デビュー。69年に「男はつらいよ」シリーズを開始。最新作「家族はつらいよ」が来年3月12日に公開予定。
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●原爆投下と東京電力原発人災と「積極的平和主義」と: すぐに忘れる国、考えようとしない国

2014年08月07日 00時00分46秒 | Weblog


東京新聞のコラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2014080602000114.html)。

 「「人間はもう死んでいるのに気が付かないでノコノコ歩いていっている」「人間は原爆を発明し、神でなければしてはならないことをしてしまった」・・・・・・核の存在から逃れられぬのにノコノコ歩く人類全体に記憶の太鼓と笛で目を覚まさせるのが、原爆の地獄を知る日本人の役割だろうが、最近ではその日本人が過去の記憶、教訓を忘れていないか。集団的自衛権に限らない▼誤った戦争をした。負けた。原爆などで大勢が死んだ。もう戦争は嫌だと誓った。こんな単純な物語を忘れるどころか、「侵略ではない」「やるんならやってやろうか」の物語にねじ曲げたいにおいも残念だが存在する」・・・・・・戦後60年余り、すぐに忘れる国、考えようとしない国ですね。

 憲法違反を犯しつつ壊憲する愚かな「原理原則の無い国」です、「死の商人」に堕した国。3.11からわずか数年、原発を再稼働し、原発輸出したいそうです。9割方の人が「もう原発は嫌だと誓った」はずなのに。自公議員や翼賛野党議員、原子力「ムラ寄生」委員会などなど、「こんな単純な物語を忘れるどころか、「原発人災で死者はいない
そりゃ風評被害核兵器やるんならやってやろうか」の物語にねじ曲げたいにおいも残念だが存在する」。それが主流派のごとく振る舞うこの国が哀しい。

   『●「積極的平和主義」を愛する公明党の愚:
          「軍隊は人を守らない」し、「戦争で得たものは憲法だけ」だ
   『●他人を「非戦闘地域」や戦場に行かせるのならば・・・、 
                    平和憲法を放棄し、壊憲するのならば・・・
   『●戦争屋による憲法違反の「集団的自衛権」閣議決定・・・
                「やめろと言わないのは“許した”のと同意」
   『●憲法違反を犯しつつ壊憲する愚な・・・・・・「原理原則の無い国」「悪魔の島」
   『●「積極的平和主義」という愚:
       『軍隊は人を守らない』『戦争で得たものは憲法だけ』
   『●「騙されることの責任」とハンナ・アーレント氏「考えないことの罪」

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2014080602000114.html

【コラム】
筆洗
2014年8月6日

 「人間はもう死んでいるのに気が付かないでノコノコ歩いていっている」「人間は原爆を発明し、神でなければしてはならないことをしてしまった」▼二〇一一年の東日本大震災以降、別役実さんの「象」(初演一九六二年)など原爆をテーマにした演劇の再演が増えている気がする▼原発事故と原爆の影が一直線につながるのか。冒頭に引いたのは昨年再演された三好十郎の「冒した者」(初演五二年)。また、八月六日午前八時十五分がめぐってきた。せりふを借りれば、「気が付かないでノコノコ歩いて」六十九年▼核の存在から逃れられぬのにノコノコ歩く人類全体に記憶の太鼓と笛で目を覚まさせるのが、原爆の地獄を知る日本人の役割だろうが、最近ではその日本人が過去の記憶、教訓を忘れていないか。集団的自衛権に限らない▼誤った戦争をした。負けた。原爆などで大勢が死んだもう戦争は嫌だと誓ったこんな単純な物語を忘れるどころか、「侵略ではない」「やるんならやってやろうか」の物語にねじ曲げたいにおいも残念だが存在する▼「話をいじっちゃいけんて! 前の世代が語ってくれた話をあとの世代にそっくりそのまま伝える、これがうちらのやり方なんじゃけえ」。原爆で生き残った女性の苦悩を描いた、「父と暮せば」(井上ひさしさん)。広島弁の「いじっちゃいけんて」をかみしめる。
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●再稼働・輸出問題に続いて、東京電力原発人災下の五輪招致騒動: 「あろうことか」、の連続

2013年09月08日 00時00分56秒 | Weblog


「ジャーナリスト・金平茂紀 変えてはいけないもの」の記事【筑紫さんの死から6年目の誕生日に】(http://www.taji-so.com/kaeteha/?c=20130621182404)、ちょっと時機を逸していますけれども。レイバーネット日本http://www.labornetjp.org/)の記事【もう一度力を合わせて~「さようなら原発講演会」に2050】(http://www.labornetjp.org/news/2013/0901hokoku)。nikkansports.comの記事【汚染水対処、五輪控え政府主導演出か】(http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20130903-1183563.html)。gendai.netの記事【ア然…五輪招致トップ「汚染水は安全」書簡の中身】(http://gendai.net/news/view/110558)。東京新聞の記事【「想定外、もう許さない」 東電汚染水 福島の警察信じ告発】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013090402000123.html)と、社説【原発汚染水問題 危機意識がまだ足りぬ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013090402000146.html)、コラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013090402000107.html)。最後に、asahi.comの【天声人語】(http://www.asahi.com/paper/column.html?ref=com_top_tenjin)。

 記事の羅列で、すいません。「あろうこうとか」、の連続。

 東京電力原発人災にはケチり、一方、五輪をカネで買うという。世界とフクシマは危機意識を持ち、首都東京や日本政府、原子力ムラは「東京安全です」「2020年には汚染水問題は解決しています」と「科学的」に安全を喧伝。3.11以前の「安全神話」に逆戻り。「東京安全です」「2020年には汚染水問題は解決しています」・・・こういった発言を福島の被災者や避難者の人達はどう思っているのだろう・・・?

   『●原発への「日本の回帰「理解できぬ」」
   『●「汚染水ダダ漏れは東電のケチが原因」とはどういうことなのか?
   『●放射能汚染で「太平洋は終わり」との声が出るほどの重大事故だというのに、この国は・・・・・・
   『●「もはや犯罪というしかない」 ~東京電力汚染水流出大事故と再稼働・輸出という犯罪~
   『●終わらない原発人災の影響: 「震災さえ」ではなく 「原発さえなければ・・・」

 【もう一度力を合わせて~「さようなら原発講演会」に2050】の記事に、何とか希望を見出したい。

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http://www.taji-so.com/kaeteha/?c=20130621182404

#23 筑紫さんの死から6年目の誕生日に
2013/06/23

死から6年目の誕生日に

6月23日、沖縄慰霊の日が誕生日だった筑紫さんは
この日はお祝いできないんだよな、と 
生前よく笑いながら言っていたことを思い出す
生きていれば 今日で78歳を迎えていた
「ニュース23のDNA」だと 遺言のように 
最後の「多事争論」で言い残していったことばは
今、見事なほどに裏切られ、忘却され
かつその状態が放置されている
去る者は 日日に疎し、か?
なかでも耐えがたいのは、ウォッチドッグの役割の喪失
強い権力に擦り寄り、プードルと化した仲間たちを眺め、
引き攣った笑いを顔面に張り付けながら 生きていく
からだをはってたたかうものは もはや絶滅寸前だ(けれども まだいる)
忘却とイナーシアが支配する世界
ほら、僕らはもう原発過酷事故がまるで収束したかのように忘れている
ほら、僕らは大震災の被災地がまるで復興したかのように
「絆」とか「ひとつ」とか言って カラオケを歌っている
むかしの通りにやればいいんだよ
経済成長なくして日本は立ち行かない、と
株価をみて、まるでわが身の一大事であるかのように 一喜一憂している
彼ら彼女らは、ほんとうは何もわかっていない
底堅い動きだの、透明感のみえない展開だの
まるでバクチを打っているかのような出来事にうつつを抜かし、
あろうことか 原発を輸出だとさ
僕ら日本人は、広島、長崎に原爆を見舞われようと
第五福竜丸が水爆実験に巻き込まれようと
福島第一原発で未曽有のメルトダウンが起きようと
忘れるのだ  忘れるのだ
経済成長なくして日本はない、と
うち棄てられているのは誰か

誕生祝いはもう言えません。
ただ
僕らはあなたたち死者とともに生きていきます。
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http://www.labornetjp.org/news/2013/0901hokoku

もう一度力を合わせて~「さようなら原発講演会」に2050

9月1日、「さようなら原発講演会」が東京・千代田区の日比谷公会堂で開かれ、定員を超える人々が座席を埋めつくした。(主催・「さようなら原発」一千万署名市民の会)。福島第一原発の止まらない汚染水漏れに、東電も国も何ら有効な対策を打てない深刻な事態が続いている。焼けつくような暑さのなか、予定の午前11時を待たずして整理券が配られはじめ、12時過ぎには早くも入場が開始された。

もう一度 力を合わせて

午後1時、木内みどりさんが司会を務めて開会。呼びかけ人の鎌田慧さんが登壇した。「関東大震災から90年が経った。当時は戒厳令下で大杉栄伊藤野枝ら社会主義者が虐殺され、戦争に向かっていった。外には軍備拡張、内には弾圧体制。今の安倍政権の動きと重なっている。脱原発運動は命を守る運動だ。この秋からもう一度力を合わせてがんばっていきましょう」。

チンドン太鼓とクラリネット、チューバ、ギターなどを融合させた独特の音楽で観客を魅了したのは「ジンタらムータ」。アジアから南米の街頭音楽に脱原発のメッセージを織り交ぜて力強い演奏を披露した。

いわき市議会議員の佐藤和良さんは、「再び関東大震災が起これば、首都圏こそ原発災害の現地になる」と警告し、原発関連死を約1400人と告発。仮設住民の厳しい実態を伝えた。また参院選後に汚染水漏れを公表した東電の態度を、「はじめから出来レース」と糾弾。国と東電の責任を問うために「被害者は絶対にあきらめない。みなさんとつないだ手を離さない」と力を込めた。

新しいモラルに希望を

大江健三郎さんは、小説家のいとうせいこうさんの作品が芥川賞を逃した経緯について話した。死者の声を代弁するヒューマニズム、センチメンタリズムが選考委員に批判されたが、それがなぜいけないのか。むしろそれが文学行為だと反論した。また、作家の故井上ひさしさんと評論家・加藤周一さんとのエピソードにも、時間を割いた。井上さんが旅先で色紙サインの依頼を自分に譲ったこと。そこに書かれた言葉に、ウイットを加えた大江さんの思い出話に、会場は沸いた。

加藤さんとのフランスでの出来事に触れ、原発の是非をめぐる同国の市井の論争を紹介。「日本人は60年間平和憲法を守ってきた。『原発ゼロ』で日本人の新しいモラルが問われる。それに希望を持とう」と、まとめた。木内さんが安倍晋三首相を紹介した。「ザ・ニュースペーパー」のものまねコントにホールは爆笑の連続。懐かしい小泉純一郎氏も駆けつけた。

原子力から抜け出そう

京都大学の小出裕章さんは、スライドを使って原発事故の汚染実態を告発。「戦争が終わった後、国土は荒廃しても人々はそれを再建した。しかし原子力災害は違う」。「他者を犠牲にして成り立つ、原子力的なものすべてから抜け出すこと」。 憲法前文が投影されたスクリーンを差しながら「憲法は素晴らしい。人生は、命は一度きりだ」と語ると、大きな共感の拍手が起きた。

作家の澤地久枝さんは「こんなに猛暑が続くのに停電しないじゃないですか。未来の子供たちのために、原発は止めるべき」だと語った。

評論家の内橋克人さんは、これまでの運動を振り返った。私たちはかつて「福島から学ばない人間を国会に送るなと心から訴えたところがまったく逆のことが起きた。「有権者はいったい何を考えているのか。民主党政権時代のヒアリングを、民意を一顧だにしない現政権の手法にだまされず、新しい安全神話を見破らなければならない」。内橋さんの言葉からは、抑えきれない憤りがにじみ出ている

はじめの一歩から声をかけて

集会の最後に落合恵子さんが発言した。「銀座でショッピングを楽しむ人をつかまえて聞かせたい」と切り出した。全国を講演でまわりながらも、まだまだ真実を知らない人が多いという。この会場にいれば心地いい。でもしばらくは、政治は変わらない。福島の70代の女性は「こんな無念の思いのまま死ねるものか」と口にした。あきらめない。ここにいない人にこそ、声をかけたい。

非暴力主義を貫いた落合さんが、「武闘派になろうか」と口にする。「私は外に出てノックをし続ける。あいつを変えてやる」。焦りやもどかしさが、そして変革への強い意志が伝わってくる。「東京五輪に使う金を福島に注ぎ込め」――この呼びかけに、参加者は渾身の拍手で応えた。

「つながろうフクシマ!くりかえすな原発震災」をサブタイトルに掲げた4時間にも及ぶ長丁場。2050人の聴衆は、最後まで集中力と一体感を維持して集会を成功させた。1千万人をめざす署名は現在、830万筆超に達している。(Y)
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http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20130903-1183563.html

汚染水対処、五輪控え政府主導演出か

 政府は3日、東京電力福島第1原発の汚染水漏えいに対処するための基本方針を公表し、国費の投入を決めた。「政府一丸で解決に当たる」(安倍晋三首相)と政府主導を強調するが、東電任せの汚染水処理が後手に回って破綻し、国民負担を迫られたのが実態だ。目新しい対策はなく、2020年の夏季五輪の開催地決定を控え、国際社会の懸念を意識した政治的パフォーマンスの色合いが濃い。

 ▽戦犯

 「(五輪の選考に落ちたら)われわれが戦犯になってしまう」。8月末、東電を所管する経済産業省は危機感を募らせた。

 第1原発で止まらない汚染水の漏えいを、海外メディアも大きく報道。五輪開催地を決める9月7日(日本時間8日)の国際オリンピック委員会(IOC)総会への影響が現実味を帯び始める。あるIOC幹部は「(漏えいを)非常に重大と受け止める委員もいる」と明かす。

 政府は「五輪とは関係ない」(菅義偉官房長官)と平静を装うが、招致に失敗すれば、批判の矛先は政府に向かいかねない。関係省庁幹部は「とにかく今週中は悪い話はするなというのが官邸の意向だ」と、対策を急きょ取りまとめた背景を説明する。

 ▽つけ

 基本方針では、原子炉建屋の周囲の地中を凍らせて壁をつくる凍土遮水壁に320億円程度の国費を投じる。資金面で東電を後押しすることで、完成は当初予定の15年度から14年度に前倒しできる想定だ。汚染水から放射性物質を取り除く浄化設備の増強も含め、総額は470億円程度となった。

 ただこれらの対策の実現は数年先で、目先の漏えいを食い止める決定打にはほど遠い。国際的な環境保護団体グリーンピース・ジャパンは、基本方針は抜本対策には不十分で、タンクからの漏えい防止の具体案もないとして「巨額の税金を垂れ流しするものだ」と批判する。

 鋼板の接合部をボルトで締める「フランジ型」タンクは以前から危険性が指摘されていたが、低コストで工期も短い。東電は増設を重ね、300基を超えたころ、汚染水漏れが相次いで発覚した。

 4月には地下貯水槽からの漏えいが見つかっており、巨額の赤字に苦しむ東電による作業の限界が明らかになりつつあったが、安倍政権は数十年かかるとされる廃炉工程の前倒しなど「遠い未来」の議論に傾注。与党自民党からも「危機感が薄い」(塩崎恭久元官房長官)と批判が上がっていた。

 ▽お祭り騒ぎ

 「今、東京はオリンピックだ、何だ、とお祭り騒ぎと聞く。(五輪より)国の威信にかけて、事故を収束しなければいけなかった」。

 3日午後、福島県相馬市の相馬双葉漁業協同組合の高橋通さん(58)は、汚染水対策を説明する経産省の担当者に迫った。

 相馬双葉漁協は8月、汚染水問題の深刻化を受け、9月以降の試験操業を見送った。県南部のいわき地区の漁協も、9月に予定した事故後初の試験操業を断念した。

 「国は危機感がなく、もっと前から対策をしてほしかった」(相馬双葉漁協の佐藤弘行組合長)。五輪招致の旗印に掲げる被災地の復興は遠のきつつある。(共同)

 [2013年9月3日21時2分]
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http://gendai.net/news/view/110558

ア然…五輪招致トップ「汚染水は安全」書簡の中身
2013年09月04日 23:39 更新

 東京五輪招致委員会の竹田恒和理事長(65)が、IOCの委員らに宛てた「みっともない手紙」(外国メディア関係者)をAP通信にスッパ抜かれてしまった。

 APが入手した竹田理事長の手紙は先月27日付で、現地時間2日、ロンドン発の記事で内容を詳細に報じた。見出しは〈東京招致のリーダーはIOC委員に福島は大丈夫と保証する〉。竹田理事長は汚染水漏れの懸念を打ち消すのに必死で、IOC委員に手紙を送りつけたのだ。

 APの記事によると、手紙の内容は一方的な“安全宣言”ばかりだ。

   〈東京の生活これまでと変わったこともなく、安全なまま。
    空気も水も影響を受けていない〉

   〈皆さんも、福島原発の状況をニュースで見たかもしれませんが、
    もう一度、言わせて欲しい。東京全く影響を受けていない、と〉

   〈東京の空気と水は毎日計測されており、何か問題があるという
    根拠は全くない。それは日本政府によっても確認されている〉

 そして竹田氏は手紙の最後をこう締めくくっている。

   〈世界中が政治的にも経済的にも不安定な中、東京極めて安全。
    地震や津波から復興するうえで、五輪招致を国の魂を
    高揚させるチャンスにしたい〉

 手紙を読んだIOC委員たちは、竹田氏が泣きすがる姿を想像したのではないか。

 竹田氏はAPの電話取材にも応じ、どんな根拠があるのか「東京の放射能濃度はニューヨークやロンドンと同レベルだ」とまで言ってのけた。

 いくら東京の安全性を強調したいとはいえ、ちょっとやりすぎじゃないのか。

   「開催地決定の最終投票直前に、実際に票を投じるIOC委員に
    汚染水漏れに関する手紙を送りつけるのは逆効果でしょう。
    寝た子を起こすような話で、汚染水漏れの恐ろしさを想起させる
    だけです」(前出の外国メディア関係者)

 AP通信は世界各国の約5000のテレビ・ラジオ局、約1700の新聞社と契約し、記事を配信している。竹田理事長は世界中に赤っ恥をかいてしまったか。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013090402000123.html

想定外、もう許さない」 東電汚染水 福島の警察信じ告発
2013年9月4日 朝刊

 「汚染水対策の失敗はまさに『想定内』。今度こそ『想定外』の言い訳は許されない」。東京電力福島第一原発の汚染水問題で、福島県民による福島原発告訴団が三日、広瀬直己社長ら東電幹部を公害犯罪処罰法違反容疑で福島県警に告発した。県民たちは真相解明の役割を、同じく原発事故の被害者でもある地元の警察官たちに託した。

 代理人の河合弘之弁護士は東京都内で会見し「安全よりお金を優先して原発事故を起こした東電の体質や構造は、事故後もまったく変わっていない」と批判した。

 告訴団は昨年六月、原発事故をめぐり東電幹部らを業務上過失致死傷容疑で福島地検に告訴。検察当局の捜査に、東電幹部たちは「大津波は想定外だった」と過失を否定し、告訴団が求めている家宅捜索もいまだに行われていない。

 告発の理由を、河合弁護士は「被害を受けた人と暮らしている県警なら、被害者に寄り添った捜査をしてくれると思った」と話す。

 告訴団は告発に合わせ、汚染水対策に関する東電の内部文書を公表した。文書には、東電が事故の三カ月後の時点で、原発地下に遮水壁を造るのが「最も有効」と位置付けながら、費用や着工時期を公表しない方針が書かれていた

 団長を務める武藤類子さん(60)は「抜本的な対策を取らないと大量な汚染水が出ることは、東電にとって想定内だったはず。文書はそれを示す証拠だ。これまでのずさんな汚染水対策を見ると、私たち被災者の犠牲はなんだったのかと思う」と憤る。

 東電広報部は三日、本紙の取材に対し、告訴団が入手した文書が「社内に存在する」と認めた。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013090402000146.html

【社説】
原発汚染水問題 危機意識がまだ足りぬ
2013年9月4日

 政府が、東京電力福島第一原発の汚染水対策への関与を強める方針を決めた。遅きに失した感はあるが、政府も東電も、この問題は国の緊急事態だとの危機意識を持ち、対策に全力を挙げるべきだ。

 「汚染水問題は、東電任せにせず、政府が前面に立って解決に当たる。廃炉が実施できるかには世界中が注視している」。安倍晋三首相はきのう、政府の原子力災害対策本部でこう語った、という。

 その決意は多とするが、安倍内閣がこの問題を甘く見て、本腰を入れるのが遅れたのなら、民主党前政権と同罪だ。

 東電の汚染水対策はこれまでも度々「後手後手」「場当たり的」との指摘を受けてきた。

 八月には約三百トンもの高濃度汚染水がタンクから漏出したことが発覚し、原子力規制委員会は国際的な原子力事故評価尺度による評価を上から五番目のレベル3(重大な異常事象)に引き上げた。

 東電の当事者能力に疑問符を付けざるを得ない現状を考えれば、政府はもっと早く汚染水対策に力を入れるべきではなかったか。

 安倍内閣がこの時期に国の関与強化を決めたのは、二〇二〇年夏季五輪開催都市決定を控え、東京招致への影響を抑えようとの思惑が働いたのかもしれない。

 東京招致委員会の竹田恒和理事長は、開催都市決定の投票権を持つ国際オリンピック委員会(IOC)委員に「東京全く(汚染水の)影響を受けていない」などと訴える手紙を送った、という。

 東京五輪への影響があろうがなかろうが、汚染水問題は一刻も早く収拾すべき問題だ。東京が安全ならいいものでもない。福島第一原発周辺は国土が失われたと同然だ。その回復には、国を挙げ、最優先で取り組むべきだろう。

 首相は海外に原発を売り込むよりも先に、汚染水問題の深刻さを自覚すべきだった。災害に強い国土づくりは大切だが、公共事業をばらまくくらいなら、汚染水対策に振り向けるべきではないか。

 今年は八月から九月にかけ、東日本大震災以降、自粛傾向にあった海外視察に、多くの国会議員が出掛けるという。

 切迫した事情があるのならまだしも、原発事故や汚染水の現状、いまだ避難生活を強いられている被災者の辛苦を、自分の目で確かめるのが先ではないのか

 それを国会での論戦に生かし、政府に対策を迫る。そんな基本的な仕事もできないのなら、国会議員として存在価値もない。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013090402000107.html

【コラム】
筆洗
2013年9月4日

 <母と子は/存在の岸辺に/佇(たたず)んでいた/現代の業が/滝のように/水俣の海に流れ込むのを/見つめていた/そしてそれが/自分自身に流れ込み/わが子に流れ込んだことをさとった/わが子は/現代の業苦に/焼けて苦しむ小さないのちだった>▼熊本県水俣市の水俣病資料館の館長を務めた坂本直充さんの詩集『光り海』から引いた。父はチッソの社員。ようやく立てるようになったのは六歳の時だ。自分も患者では…。疑問を抱きながら、差別を恐れ水俣病を引き受ける勇気がなかったという▼大卒後、市職員になり、二〇一一年に資料館長に。震える手を見た来館者に「館長も患者ですか」と何度も問われた。もう逃げてはいけない。水俣病と向き合い、認定申請することを決めた▼<人は高度成長と呼んだ/人は繁栄と呼んだ/もっとほしい/もっといいものを/もっとうまいものを/もっともっとのために/資源を掘りつくし/資源を使い尽くし/限りない欲望の道を/疾走していた/繁栄のために/少女は死んだ>▼水俣に何を学んだのか。福島第一原発は「収束宣言」を嘲笑するように放射能汚染水を垂れ流す。五輪招致の妨げになってはならぬと、レベル3を前に見えないふりを決め込んだ政府は、世界中から批判を浴びた▼きょう四日は、公害の原点である足尾鉱毒事件を告発した田中正造の没後百年。
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http://www.asahi.com/paper/column.html?ref=com_top_tenjin

2013年9月4日(水)付
天声人語

 時の流れに色あせてしまう偉人もいれば、いよいよ輝きを増す傑物もいる。田中正造は後者である。公害の原点とされる栃木県・足尾銅山の鉱毒事件で民衆の先頭に立ち闘った。〈真の文明は山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし〉という至言を残して没し、きょうで100年になる▼明治の半ば、鉱毒は清流を死の川に変え、山や田畑を枯らした。しかし銅は国の経済を支える産品で、政府は人を救うより富国強兵を優先した。そのさまは昭和の水俣病、今の原発にも重なってくる▼衆院議員だった正造は議会で質問を繰り返す。運動を組織し、死罪を覚悟で天皇に直訴した。官権に抗し、幾多の妨害を受けつつ人々を引っ張った。不撓不屈(ふとうふくつ)の四文字が、これほど似合う人はまれだ▼正造を高く買っていた勝海舟が、冗談ながら、この者は末は総理大臣だという証文を、閻魔(えんま)様や地蔵様あてに書いたという逸話が残る。原発事故のあと正造が総理だったら、困っている人、弱い立場の人を、何をおいても助けるに違いない現実の総理は、早々と収束宣言を出し(民主)経済のためには再稼働が必要と唱え(自民)、なお15万人にのぼる避難者は忘れられがちだ。事故処理より外国への原発セールスに熱心というのでは、ことの順番が違う▼冒頭の「真の文明は」の後には、こうした文が続いている。〈……今文明は虚偽虚飾なり、私(し)慾(よく)なり、露骨的強盗なり〉。1世紀が流れて、古びないのがやりきれない。
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●「核と人類は共存し得ない」

2013年08月16日 00時00分51秒 | Weblog


東京新聞のコラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013080502000107.html)と社説【原発被災者 支援法に魂を入れよ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013080502000132.html)。asahi.comの社説【広島・長崎と福島―凶暴な原子の力、直視を】(http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup、8月6日)。

 「核=原子力」である。「原発=原爆」である。「爆心から八百五十メートル余の旧制広島一中の校舎で被爆した児玉光雄さん(80)は静かに語る・・・・・・体験を次代に継承する育成講座の講師も務める児玉さんは命ある限り訴える。「核と人類は共存し得ない」」、とブログ主も思う。

   『●小出裕章さん、核=原子力は「違憲」という視点
   『●「原子力」と「核」、言葉は違えど「原発=原爆」である
   『●「原子力」は「核」へのポテンシャル
   『●3.11後にヒロシマで原発推進・輸出を語れるその神経・・・・・・

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013080502000107.html

【コラム】
筆洗
2013年8月5日

 「放射線がいかに人間の体を痛めつけるか。それを伝えるために生かされていると思っているんです」。爆心から八百五十メートル余の旧制広島一中の校舎で被爆した児玉光雄さん(80)は静かに語る▼還暦の時からがんの手術を十九回も受けた。直腸、胃、甲状腺、十六回にわたる皮膚がん…。至近距離で被爆した人に見られる「重複がん」と呼ばれる症状だ▼あの日朝、通学した同期生約三百人のうち、生き延びたのは二十人足らず。倒壊した校舎から奇跡的に脱出した児玉さんも四〇度を超える高熱や歯茎からの出血、下痢に苦しみ、頭髪が抜け落ちた。生き残った仲間も多くが若くしてがんで亡くなり、今も健在なのは二人だけになった▼五年前、放射線影響研究所で染色体を調べる機会があった。画像を見ると、切断された一部が修復されずに、別の染色体につながってしまう転座という異常が起きていることが分かった▼数値から推定すると、児玉さんが浴びた放射線量は四・六グレイ。二人に一人が亡くなる半致死量のガンマ線四グレイを超えていた血液をつくる幹細胞が傷つけられたので治らないと専門家に言われ、「腰が抜けそうになるほど落ち込んだ」という▼積極的に被爆体験を語るようになったのはこの後だ。体験を次代に継承する育成講座の講師も務める児玉さんは命ある限り訴える。「核と人類は共存し得ない
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013080502000132.html

【社説】
原発被災者 支援法に魂を入れよ
2013年8月5日

 原発被災者への支援が一向に始まらない。「子ども・被災者支援法」は成立から一年以上がたつのに、方策の前提になる被ばく線量基準の検討は手付かずだ。法を動かす責任体制を整えてほしい。

 原発事故で被害を受けている人々に「避難する権利」を認める支援法は、事故に対する国の責任を明らかにした、日本版の「チェルノブイリ法」とも呼ばれる。

 放射線量が「一定の基準」を上回れば、避難指示区域でない地域の住民や、自ら避難した人も医療や生活支援の対象に含まれる。とくに妊婦や子どもには配慮して、被災者には頼みの綱だ。

 しかし、昨年六月に成立してからも、担当する復興庁は基本方針を決めるための「一定基準」を定められないでいる。

 法制化を求めた市民団体は、線量の目安として、国が定める一般の年間の被ばく限度「一ミリシーベルト」を主張する。対象範囲を広げれば、財源の問題も出てくるだろう。どう線引きしても批判は起きるのかもしれない。

 しかし、忘れてもらいたくないのは、この法律が当時は野党だった自民党も含めて、衆参両院すべての党会派の議員が賛成して作られたことだ。

 長期にわたる低線量被ばくが人の体にどう影響を与えるのか。実証するデータは乏しいが、深刻な影響を及ぼすと警鐘を鳴らしている学者も少なくない。線量の基準を科学が決められないのなら、将来に禍根を残さないよう、より被災者に寄り添う形で政治が決断する局面もあるのではないか。

 被災者のニーズを反映させるという法の趣旨も踏まえ、公聴会も早く開かれるべきだ。

 予算の流用も問題になった復興庁は今春、被災者との窓口になっていた幹部がツイッターに法を骨抜きにするような暴言を書き込んでいたことが発覚した。支援法の取り組みに消極的だった組織の問題が、思いがけず暴露されたようなものだった。支援法を担当する常設の部署がないのはおかしい。長くかかる支援に見合うだけの体制で臨んでほしい。

 福島県は、十五万人を超える人が県内外に避難する。ストレスの多い生活から、病気や子どもへの虐待が増え、震災関連死は千四百人を超えた。過去に例のない震災は刻々と新たな犠牲者を増やしている。

 支援の手を差し伸べなくてはならない全国に離散した被災者の願いに一日も早く応えるために
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http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup、8月6日】

2013年8月6日(火)付
広島・長崎と福島―凶暴な原子の力、直視を

 核兵器と原発は長年、切り離して扱われることが多かった。それは正しかったのだろうか

 68年前の広島、長崎の原爆被害に続き、福島でも核エネルギーによる途方もない被害を生じさせてしまった

 核が抱える想像を絶するリスクに正面から向き合うことが、もはや待ったなしの時代だ。


■「核の飢餓」の恐れ

 核兵器の非人道性に焦点を当てて禁止につなげよう――。今年4月、ジュネーブで開かれた核不拡散条約(NPT)準備委員会に提出された「核兵器の人道的影響に関する共同声明」は、外交交渉での原点回帰の動きを示すものだ。

 非人道性を憎み、化学兵器や生物兵器だけでなく、クラスター爆弾や対人地雷も禁止条約ができているのに、核兵器が禁止されていないのは道理に合わないのではないか。国際NGOの力強い主張が近年、多くの政府に浸透し、外交の表舞台でも共有されるようになってきた。

 80カ国が賛同した「共同声明」は、核兵器が使用された場合の制御不能な破壊力、無差別な惨害の非人道性を指摘する。

 パウエル元米国務長官が朝日新聞の取材に「極めてむごい兵器で、軍事的には無用」と発言するなど、かつて核保有国で安全保障政策を担った重鎮が次々と核廃絶論を公言している。保有国は「共同声明」に賛同していないが、核はますます「使えない兵器」と化している。

 「共同声明」は、核戦争が国境を越えて環境を破壊し、次世代から健康、食料、水などを奪うとも主張する。

 米ロの全面核戦争では、舞い上がったすすや粉じんで「核の冬」が訪れるとされてきた。

 アラン・ロボック米ラトガーズ大教授(環境科学)らの最新研究は、インドとパキスタンがそれぞれの保有量の約半分の広島型原爆50発を使う地域核戦争(世界の核兵器爆発力の0・03%)が起きると、すす・粉じんによる気温低下やオゾン層の破壊による紫外線増加で、世界は「核の飢餓」に直面する恐れがあると指摘する。

 私たちはいまも、核戦争による破滅の縁にいるのである。


■核拡散の60年

 原子力にはそもそも核兵器への悪用、つまり核拡散のリスクがある。

 60年前、アイゼンハワー米大統領が国連総会で「平和のための原子力」演説をしたことが原発利用拡大のきっかけとなった。大統領は核物質と核技術の国際管理を提案し、軍事から民生利用への転換を促した。

 演説のあと、国際原子力機関(IAEA)とNPTが生まれた。しかし、国際管理は実現せず、拡散が進んだ。米ロ英仏中に加え、インドとパキスタン、北朝鮮が核実験。イスラエルも核保有が確実視され、イランの開発疑惑も続いている。

 今後、途上国での原発急増が予想されるが、核兵器用の高濃縮ウランやプルトニウムを入手する隠れみのになりかねない。

 原発経由の核拡散リスクをどう考えるべきか。

 オーストリアはNPT準備委員会で、原発事故や核テロ、核拡散を懸念し、「和利用という権利を使わない選択をした」と表明した。破滅リスクを避ける脱原発政策は傾聴に値する


■原発政策見直せ

 日本政府は米国の「核の傘」への影響を考慮して「共同声明」には賛同しなかった。将来の賛同には含みを残した。

 だが、核の非人道性を確認するだけでなく、核リスク脱却と逆行する原子力政策の転換にもっと力をこめる必要がある。

 安倍政権は原発輸出に前のめりだが、核拡散だけでなく被曝(ひばく)・環境汚染のリスク、放射性廃棄物問題の輸出になりかねない。NPTに背を向けるインドと原子力協定を結べば、NPT空洞化を進めることになる。

 日本の余剰プルトニウム保有への世界の厳しい目に対しても、自覚が足りない。安倍政権は明確な削減計画を示さないまま、使用済み燃料からプルトニウムを取り出す事業の継続を表明している。倒錯した政策は一刻も早く放棄すべきだ。

 むしろ、リスクを増幅するような甘い核拡散防止体制の改革を主導することこそ、世界が日本に期待するところだろう。

 今後、「共同声明」の趣旨を世界の基調にしていくには、発想の切り替えが不可欠である。

 広島原爆がテーマの戯曲「父と暮(くら)せば」を書いた井上ひさしは生前、「遅ればせながら『心の被爆者』になろうと思う」と被爆者の手記を読みあさった。

 より多くの日本人が被爆地の惨禍をもっと思い起こし、福島の被災者の苦境もきちんと知る。ヒバクによる健康被害の不安や恐怖などを共有し、「心のヒバクシャ」となって、人類と核の間に横たわる矛盾を内外に発信していくべきではないか。

 私たちはいま、非核時代へ世界を向けられるかどうかの岐路に立っている。
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●『創(2010年8月号)』読了

2010年10月09日 10時25分35秒 | Weblog

『創』(2010年8月号)、8月に読了。

 「映画「ザ・コーヴ」上映中止騒動の全経緯/鈴木邦男さん突入の騒然現場写真」(pp.14-16)。「・・・市民が、持っていたスケッチブックに「恥ずべきは上映妨害」と書いて掲げている」。「・・・「君たちのやっているのは弱い者いじめの営業妨害じゃないか」と講議団に抗議」した鈴木邦男さん。

 特集/映画「ザ・コーヴ」上映中止騒動。
 
篠田博之編集長「上映中止騒動の全経緯とそこで問われたもの」(pp.26-31)。「・・・一般に想定される「抗議行動」の範疇を超えている・・・。/・・・「主権回復を目指す会」と「在日特権を許さない市民の会(在特会)」・・・」。
 
森達也綿井健陽・坂野正人・鈴木邦男野中章弘さん「上映会で議論された上映中止と「自粛の連鎖」」(pp.32-37)。
 田原総一郎・崔洋一・石坂啓さん「映画館主と表現者たちの上映中止をめぐる議論」(pp.38-45)。
 綿井健陽さん「和歌山県太地町の人たちは映画をどう考えているのか?」(pp.46-50)。「表現の自由」とは一体何なのか。「・・・撮影した側と撮影された側の間の関係性において、フェアに呼応して相互理解を得られる言葉なのだろうか。表現する手段や機会を普段は保証されない人たちを尊重することで初めて対等に成立する権利だと思う」。

 上杉隆・神保哲生・高田昌幸氏「記者会見の開放をいかにして進めるべきか/崩壊しつつある記者クラブ制度と大手マスコミの特権」(pp.52-63)。

 長岡義幸さん「否決はされたものの秋には再浮上/「非実在青少年」と条例改定をめぐる攻防の行方」(pp.76-83)。「・・・石原都知事は・・・。/・・・規制強化反対を訴えたマンガ家や読者らに悪罵を投げつけた」。

 佐高信さん「タレント文化人筆刀両断!/「いいやつ」と「どうでもいいやつ」村上春樹」(pp.84-85)。

 森達也さん「極私的メディア論/第53回 プロパガンダ展で見たプロパガンダ」(pp.94-97)。「・・・つまりこの展示の最後は、イランがいかに危険な国であるかを訴える(まさしく)政治的プロパガンダとして終わっていた。・・・展示にはイラク戦争が無い。・・・中東戦争もないし、イスラエル・パレスチナ問題もない。/要するにイスラエル国家にとって都合の悪い戦争や虐殺が、すべて削除されている。/「・・・・・・露骨ですよねえ」/プロパガンダの危険性を訴える展示で、・・・臆面もないほど見事なプロパガンダが行われていた」。

 林眞須美さん「大阪拘置所で綴った近況と心情/死刑確定後も無実への思いは変わらない」(pp.102-107)。免田栄さん、赤堀政夫さんの死刑台からの生還。

 矢崎泰久さん「ワープロ打ちのその文面を見て次々と疑問が湧いてきた/井上ひさしが残した謎の『遺言公正証書』」(pp.108-115)。「・・・『文藝春秋』は・・・表紙に特記し、電車の中吊り広告にもデカデカと発表している。こんなインチキも珍しい。・・・ユリ夫人が書いた「手記」を大々的にうたうのならともかく、井上ひさし本人が書いたかのように欺いたことは、どんな理由にせよ許されることではない。死者に対しても冒涜に他ならないと思う。羊頭狗肉とはまさにこのことだろう」。「・・・小泉首相に頼まれて道路公団民営化の委員になり、当時からしきりに権力にスリ寄っていた全共闘くずれの猪瀬直樹が、日本ペンクラブの最重要委員会の委員長に任命されるなんてまさしく噴飯ものではないか。・・・/日本ペンクラブに絶望した私たち(本多勝一鎌田慧佐高信北村肇)5人は脱会届を提出し、会報に抗議文を掲載するよう求めた。井上会長の後任・阿刀田高会長はそれすら無視した」。

 「永六輔[放送タレント]×矢崎泰久[元『話の特集』編集長]のぢぢ放談/第14回 菅直人なん知らない!」(pp.128-135)。「「市民運動家」という言葉の違和感」、「市民感覚が問われる沖縄問題への対応」、「「市民感覚」と「庶民感覚」」、「顔つきが変わったのは政治屋になったせい?」。

 大川豊さん「月刊「壊(こわす)」/第86回 参院選と菅一発内閣」(pp.144-147)。福岡県大木町の「おおき循環センター/くるるん」
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●『創(2010年6月号)』読了

2010年10月05日 04時55分30秒 | Weblog
 
『創』(2010年6月号)、7月に読了。

 「元大阪高検公安部長三井環の「検察との闘い」/2月26日シンポジウム会場にあふれた熱気」(pp.10-11)。安田好弘さん。
 里中満智子さん、ちばてつやさんら。「性表現の条例改正を押しとめた漫画家の気迫/3月15日、漫画家らが緊急会見開催」(pp.12-13)。「非実在青少年」なる陳腐な概念と、それを支持する元作家先生の都知事
 「第2の「靖国」騒動か? 「ザ・コーヴ」上映中止騒動/6月公開は実現が危ぶまれる事態に」(pp.14-15)。「ビルマVJ消された革命」による隠し撮り。

 長岡義幸さん「マンガはどこへ行く/マンガの性表現規制を狙った都条例改定めぐる攻防」(pp.64-71)。

 佐高信さん「タレント文化人筆刀両断/〝強者に弱く弱者に強い 石原慎太郎」(pp.72-73)。新党について、「・・・背後霊のように出しゃばる中曽根康弘渡邊恒雄を含めて、年寄りの冷や水以外の何物でもない」。「責任を部下に押し付ける石原の陰険さ」について、新井将敬氏の選挙ポスター差別シール事件。それについて、「・・・行動右翼の野村秋介は、「日本人の面汚しだ」と石原に抗議した」。「そんな石原を田原総一郎は、・・・と持ちあげているのだから、どうしようもない」。

 鈴木邦男さん「言論の覚悟/40年目の「よど号」」(pp.74-77)。シンポジウム「あれから40年。よど号問題を語ろう」。青木理さん。

 井筒和幸監督インタビュー「「ヒーローショー」/若者がスクリーンで無謀なことをするのが映画じゃないか」(pp.86-89)。

 森達也綿井健陽・想田和弘さん「2年前の映画「靖国」とよく似た展開に・・・/上映中止が懸念されるドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」を論じる!」(pp.90-102)。「「盗撮」という手法が問題なのか?」、「肖像権を侵してでも撮るべき場合も・・・」。是枝裕和さん。

 今西憲之さん「郵便不正事件の法廷で何が暴かれたのか/村木厚労省元局長の裁判で明らかにされた検察の杜撰」(pp.120-127)。「「フタをする」という検察の常套手段」、「廃棄された「取り調べメモ」」、「検察が持ち出したサインのない供述調書」。

 「永六輔[放送タレント]×矢崎泰久[元『話の特集』編集長]のぢぢ放談/第12回清潔なん知らない!」(pp.128-135)。井上ひさし氏やばばこういち氏の他界。
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