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●《歴史に名前》? 憲法99条無視な違憲な壊憲…《この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ》はずのアベ様が…

2019年05月15日 00時00分59秒 | Weblog


東京新聞の社説【首相の改憲発言 日程ありきは許されぬ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019050802000179.html)。

 《安倍晋三首相が二〇二〇年の改正憲法施行に再び意欲を示した。自民党総裁としての発言だが、改憲の必要性よりも在任中の実現を優先させる意図ではないか。日程ありきの改憲論議は許されない》。

   『●宮崎駿監督は「憲法解釈を変えた偉大な男として
        歴史に名前を残したいのだと思うが、愚劣なことだ」と批判
   『●アベ様は、「政治への強い志も知の蓄積の
      気配すらも見られなかった」(青木理さん)…原点回帰な9条壊憲
   『●壊憲「国民主権の縮小、戦争放棄の放棄、基本的人権の制限」、
                   そして、緊急事態条項を絶対に許してはダメ
   『●「改憲自体が目的…首相・安倍晋三が改憲を
       断行したという記念碑的目標」…《愚劣なことだ》
   『●憲法99条無視で、違法に「#選挙妨害を
      暴力団に発注するアベ様」が9条壊憲を口にする資格はあるのか?
   『●首相の立場で国会で堂々と壊憲を主張…
      それを恥知らずな元防衛相が歯の浮く様な気持ちの悪いおべっか質問

 憲法99条無視な違憲な壊憲…《この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ》はずのアベ様が壊憲。宮崎駿監督は「憲法解釈を変えた偉大な男として歴史に名前を残したいのだと思うが、愚劣なことだ」と批判。アベ様の汚名の歴史に、壊憲という愚行が新たな一頁に。

 日刊ゲンダイのコラム【ここがおかしい 小林節が斬る!…】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/253319)によると、《自民党の改憲4項目について…4.教育の充実は、現行憲法の26条1項(教育を受ける権利の保障)で十分で、具体的な事は法律で決めればいい(つまり、改憲を要する事ではない)。 3.参院選挙区合区の解消…。2.緊急事態条項…。1.9条に『自衛隊』と明記…》とある。
 また、同様に、琉球新報の【<社説>安倍首相の改憲姿勢 憲法軽視の弊害もたらす】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-914456.html)によると、《安倍晋三首相は3日に公開したビデオメッセージで、憲法9条への自衛隊明記を軸とした改憲に意欲を示し、2020年施行の目標も堅持していると明言した。しかし、国民の中に改憲を求める声は高まっていない。改憲自体が目的になった政権と与党自民党の、乱暴な手続きや発言が目に付くだけだ。自民党は18年3月に(1)9条への自衛隊明記(2)緊急事態条項の新設(3)参院選「合区」解消(4)教育無償化・充実強化―の改憲4項目をまとめた》。
 この壊憲4項目の先には、「ト」な自民党壊憲草案の「新たな三原則」…国民主権の縮小」「戦争放棄の放棄」「基本的人権の制限へと。くわえて、「緊急事態条項」の新設という狂気・凶器。自公お維を支える「1/4と2/4」の皆さん、早く目覚めて下さい。

 マガジン9の記事【こちら編集部/誰がために憲法はある(芳地隆之)】(https://maga9.jp/190508-5/)によると、《「元号が変わり、現行憲法最後の憲法記念日になるかもしれない日に、憲法に関する映画が一本も上映されない国で、僕は映画にかかわり続けることはできない」 去る5月3日、川越スカラ座で映画『誰がために憲法はある』が上映され、その後に監督の井上淳一さん、製作の馬奈木厳太郎(まなき・いずたろう)さんによる舞台挨拶がありました。冒頭はその際の井上監督の言葉です。本作品については、一人芝居『憲法くん』の原作者である松元ヒロさんへのインタビュー「この人に聞きたい」を読んでいただければと思います。ここでは、映画全体の語り手である女優、渡辺美佐子さんが東京・麻布の小学生だったころ、通学路で顔を合わせ、ほのかな恋心を抱いていた水永龍男君のことを》。
 さらに、《弁護士として、4200人超と最大規模の原告団を擁する福島原発訴訟に携わる馬奈木さんは、観客との質疑応答のなかで、憲法前文にある「再び戦争の惨禍が起こるのことのないやう」の部分についてこう述べました。「私たちが蒙る最も大きな惨禍が戦争であるともいえる。日常生活では大文字の『憲法』を考えるのは難しくても、普段の暮らしのなかで大切にしたいこと、いわば小文字の『憲法』なら考えられるのではないか」》。

   『●川内原発再稼働: 東京電力原発人災の教訓は活かされず、
                 そして、福井地裁判決をかみしめることも無く
    《酪農家の自殺は、福島県ではよく知られた悲劇です。全国ニュースにも
     なりました。弁護団事務局長の馬奈木厳太郎(まなぎいずたろう)弁護士は
     昨年秋、鹿児島県の地元紙記者から取材を受けたとき、
     この話を記者が知らないのに驚きました。この記者だけか、それとも…。
     これがキャラバンを始めるきっかけになりました》

   『●「あれだけの事故を起こして被害を出して、
      だれか1人でも責任とってやめたか。申し訳ないと謝罪したか」
    《福島第一原発事故から5年。あの時、父親を自死により失った樽川和也さんが
     語るドキュメンタリー映画「大地を受け継ぐ」…。制作者らが映画に込めた
     思いとは――。井上淳一監督、企画した馬奈木厳太郎弁護士、
     出演した白井聡・京都精華大専任講師(政治学)…》

   『●「それは風評でなくて現実だ」: 東電核発電人災の
      「大地を受け継い」だ人々の葛藤、引き裂かれた心
    《福島で農業を営む人々はどんな暮らしをしているのか?
     井上淳一監督の『大地を受け継ぐ』はその一面を明らかにしてくれる。
     といっても、これは十数人の学生たちがある農家の母と息子に話を
     聴くだけのドキュメンタリーである。が、その話がとてもいい》

   『●『憲法くん』の誇りとは? 《私は六六年間、
       戦争という名前で他国の人々を殺したことがない。それが誇り》
    《映画「(た)がために憲法はある」(井上淳一監督)の全国順次公開…》
    《井上淳一監督(53)は故・若松孝二に師事し、若松プロの青春群像を
     描いた「止められるか、俺たちを」の脚本を書いた硬骨漢。「このまま安倍1強の
     政治状況が続けば、改憲は現実のものとなり、もしかすると今年の
     憲法記念日は、現行憲法で最後になるかもしれない…映画界にはまったく
     といっていいほど危機感がない。この映画は、そんな映画界への挑戦状
     
でもあります。憲法に込められた理想がいかに大切か、今こそ、
     ひとりでも多くの人にこの映画を見て欲しい」と語る》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019050802000179.html

【社説】
首相の改憲発言 日程ありきは許されぬ
2019年5月8日

 安倍晋三首相が二〇二〇年の改正憲法施行に再び意欲を示した。自民党総裁としての発言だが、改憲の必要性よりも在任中の実現を優先させる意図ではないか。日程ありきの改憲論議は許されない

 令和最初の憲法記念日。首相は改憲派が主催する「公開憲法フォーラム」にビデオでメッセージを寄せた。日本国憲法施行七十年の節目に当たる二年前の同じフォーラムで「二〇二〇年を、新しい憲法が施行される年にしたい」と言及したことに触れ、「今もその気持ちに変わりはない」と述べ、自ら改憲実現の先頭に立つ決意を重ねて示した。

 憲法に改正条項がある以上、改憲論議自体は否定しない。法律の改正では対応できず、もし改憲がどうしても必要な状況になれば、幅広い合意により、改正に踏み込むこともあり得るだろう。

 しかし、二〇年までに改正憲法を施行しなければ対応できないような差し迫った政治課題が今、あるのだろうか。あるいは、国民の側から改憲を求める声が大きく湧き上がっている状況だろうか

 首相は改憲を必要とする理由に「憲法に自衛隊を明記し、違憲論争に終止符を打つ」ことを挙げたが、「多くの国民は自衛隊を違憲と思っていない」(北側一雄公明党憲法調査会長)のが実態だ。

 共同通信による憲法に関する世論調査では九条改憲の必要が「ある」が45%、「ない」は47%と二分されている。自衛隊違憲論を理由とした改憲論には無理がある。

 また首相は「貧困の連鎖を断ち切るため、教育はすべての子どもたちに真に開かれたものとしなければならない」ことを憲法に位置付ける必要性を強調したが、これも憲法というよりは、法律や政策対応の問題ではないのか。

 改憲が必要な状況でないにもかかわらず、二〇年という期限を無理やり設定して論議を強引に進めるのであれば、改憲を必要とする切迫性よりも、二一年秋までの党総裁任期中の改憲実現を狙ったと指摘されてもやむを得まい。

 改憲は幅広い国民的な合意が前提だ。与党だけや一部の野党を取り込んだだけで強引に進めることがあってはならない。

 首相は「この国の未来像について真正面から議論を行うべき時に来ている」とも語ったが、首相らへの忖度(そんたく)の有無が問題となった森友加計問題統計不正など、未来像に影を落とす問題が残されたままだ。改憲論議に先だって国会で解明、議論すべきではないか。
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コメント
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●『憲法くん』の誇りとは? 《私は六六年間、戦争という名前で他国の人々を殺したことがない。それが誇り》

2019年05月05日 00時00分19秒 | Weblog


マガジン9のインタビュー記事【この人に聞きたい/松本ヒロさんに聞いた:負けたらギャグで返す。笑っていれば希望がわく。『憲法くん』は元気です】(https://maga9.jp/190417-5/)。
東京新聞の竹島勇記者による記事【初恋の少年に誓った不戦 渡辺美佐子 映画「誰がために憲法はある」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2019042102000200.html
日刊ゲンダイの記事【「誰がために憲法はある」は危機感なき映画界への挑戦状】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/252520)。

 《政治ネタや社会的発言がタブーとされる日本の芸能界において、一貫して反権力の気炎をあげ続けているお笑い芸人の松本ヒロさん。憲法の大切さをわかりやすくおもしろく伝えるために、「日本国憲法」を人間に見立てた一人芝居『憲法くん』を創作、20年以上演じ続けてきました。その『憲法くん』を、今年87歳になる名優・渡辺美佐子さんが演じた映画『誰がために憲法はある』がまもなく公開されます。映画公開を機に松本ヒロさんに『憲法くん』に込めた思いを伺いました》。
 《映画はそのドキュメントを挟みこむように、渡辺演じる一人語り「憲法くん」(作・松本ヒロ)で構成される》。
 《ドキュメンタリー映画「誰がために憲法はある」…これは、芸人・松本ヒロが舞台で演じ続けている日本国憲法を擬人化したひとり語り「憲法くん」を基にした作品》。

 アベ様に壊されゆく『憲法くん』の誇りとは? 《憲法くんが『私のことを自虐的とか言う人がいる。でも私は六六年間、戦争という名前で他国の人々を殺したことがない。それが誇りです。私をどうするか、皆さんに託しましたよ』と締めくくると満場の拍手に包まれた》。アベ様らに壊憲なんて許していいのでしょうか?
 『憲法くん』に関連した映画『誰がために憲法はある』が公開されるそうだ。

   『●「ぼくらは差別が見えていない」 『週刊金曜日』
             (2014年5月9日、990号)

    「■⑩『週刊金曜日』(2014年5月9日、990号) / 松本ヒロさん
     【写日記その30】、「ドキュメンタリー映画『ザ・思いやり予算』…
     バクレーさんが「ヒロさん、ギャラなんですが……」
     「大丈夫、『予算』がないんでしょ? 私の『思いやり』!」。
     さすが「憲法くん
     (http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/9cf92a972ac07b0d0538d9f8b4167b3a)」

   『●「放射能と学校給食③」『週刊金曜日』
        (2013年6月7日、946号)についてのつぶやき

    「■『週刊金曜日』(2013年6月7日、946号) / 松本ヒロ
     【写日記 その10】、「日本国憲法を擬人化した『憲法くん』と
     言うネタで全国を飛び廻っているお笑い芸人」「憲法くん
     『私のことを自虐的とか言う人がいる。でも私は六六年間、
     戦争という名前で他国の人々を殺したことがない。それが誇りです
     私をどうするか、皆さんに託しましたよ』と締めくくると
     満場の拍手に包まれた」」

   『●松元ヒロさん「憲法くん」は語る
    「「だけど丸投げで頼むわけじゃない。
     頼まれたから何でもできると思って
     戦争なんか始めちゃダメだよ。そのために、
     憲法にしっかりと9条を書いてこれをわたす。
     この憲法に書いてあることをしっかり守って、
     頼まれごとをやってくれ、と」……
     松本ヒロさんの「憲法くん」は語る。
     アベ様をはじめとした自公議員、翼賛野党の
     壊憲派には理解できまい」

   『●死にゆく平和憲法: 伊藤真さんの憲法の
       『あなたこそ たからもの』と松本ヒロさんの「憲法くん」
    「いま憲法は瀕死の状態。アベ様により壊憲のトドメを刺されようとしていて、
     平和憲法は死に絶えようとしています。自公議員、翼賛野党の壊憲派
     それを支えていますし、彼らに投票した人達も同罪です。万死に値します」

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https://maga9.jp/190417-5/

この人に聞きたい
松元ヒロさんに聞いた:負けたらギャグで返す。笑っていれば希望がわく。『憲法くん』は元気です
By マガジン9編集部  2019年4月17日

政治ネタや社会的発言がタブーとされる日本の芸能界において、一貫して反権力の気炎をあげ続けているお笑い芸人の松元ヒロさん。憲法の大切さをわかりやすくおもしろく伝えるために、「日本国憲法」を人間に見立てた一人芝居『憲法くん』を創作、20年以上演じ続けてきました。その『憲法くん』を、今年87歳になる名優・渡辺美佐子さんが演じた映画『誰がために憲法はある』がまもなく公開されます。映画公開を機に松元ヒロさんに『憲法くん』に込めた思いを伺いました。

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憲法を人間に見立てて語る

――一人芝居『憲法くん』では、松元さん自身が憲法になりきって「私の体は、前文と103の条文を細胞にしてできています」「国民主権、基本的人権、平和主義の3つの考え方を理想として掲げています」と自己紹介し、「私がリストラされてもいいのでしょうか」と、問いかけています。これは憲法施行50年めにあたる1997年の憲法記念日のイベントで、憲法をわかりやすく伝えるにはどうしたらいいかという話から生まれたそうですね。

松元 そうなんです。憲法というと堅苦しい話になっちゃうから、そこをなんとかコントでおもしろくわかりやすく伝えられないかと、学者の先生たちと台本を考えました。そこで憲法を擬人化したらおもしろいんじゃないかと思いついて、猛勉強しました。
 お恥ずかしいことに、それまで憲法のことをよく知らなかったんですね。ただ法律の親玉くらいに思っていたんです。でも、そうじゃないんですね。一般の法律は人のものを盗んだら懲役何年とか、僕たちを縛るもの。それに対して憲法は僕たち主権者が国を縛るもの、つまり権力を持つ人たちへの命令書だということを知りました。

――『憲法くん』が、憲法前文を朗々と暗唱するシーンが圧巻です。

松元 僕、憲法の前文がすごく好きなんです。最初の頃はただ必死に憶えて間違えないように言うだけだったんですが、何度も繰り返しているうちにだんだん体に入ってきて、ふっと絵が見えるようになりました。
 たしかに英語を訳したようなぎこちない言い回しもあるのですが、繰り返し声に出して朗読していると、人権とか権利とか堅苦しい言葉の中にも、愛とか平和とか平等とか、国を超えてみんなが大切にしている美しいものが込められていることがわかって、語っている自分の心も清められるような気持ちになれる。それが人に伝わるんですね。

――『憲法くん』は1997年の初演以来、ずっとヒロさんの持ちネタで、他の人がやることはなかったのですね。

松元 はい、もう22年続けてますから、僕にとっては古典のようなものです。ずっと一人芝居でやってきたのですが、2016年に講談社から絵本『憲法くん』として出版していただいて、それがもう10刷です。絵本作家の武田美穂さんがかわいらしい絵を描いてくださって、子どもからお母さん、お父さんまで読んでくださっています。そうしたらあちこちから「紙芝居にしたい」とか、「読み聞かせしたい」とか、声がかかるようになってどんどん広まった。僕一人の舞台では、見てくれる人の数も知れていますから、こうして絵本になってたくさんの人に知ってもらえるなんて、ありがたいことです。

映画になった『憲法くん』

――それが今回は映画になったわけですね。井上淳一監督から『誰がために憲法はある』の話がきたとき、どう思いましたか?

松元 2、3年前でしたか、井上さんから『憲法くん』を映画にしたいとお話をいただいて、「それはもう喜んで」って、思わずこうした(髪を整えるしぐさ)んですけど、僕が出るわけじゃなかったんですよね(笑)。そりゃそうですよ、僕の顔がスクリーンいっぱいになったら、たまげますよ。で、お話をよく聞くと、なんとあの渡辺美佐子さんが『憲法くん』を演じてくださるという。びっくりしました。

――実際に映画をごらんになって、渡辺さんの『憲法くん』はいかがでしたか?

松元 いやあ、やっぱり戦争を体験した人が語ると違うなあと思いました。一言一言に説得力があって、情景が目に浮かんでくるんです「私というのは、戦争が終わったとあとこんなに恐ろしくて悲しいことは二度とあってはならない、という思いから生まれた理想だったのではありませんか」という台詞も、当時を知っている渡辺さんが語ると真実味があって、ひしひしと伝わる。やっぱり体験者の言葉の重みは違いますね。
 僕は舞台でやるときには背景はなにもなく、語りだけでやると決めているんですが、絵本では絵がまず目に入ってきますよね。たとえば「戦争が終わったあと、こんなに恐ろしくて……」という文の背景に、焼け跡に女の子がぽつんと座っている絵を、武田さんが描いてくださったんですが、一目見てわかりますよね。ああ、こういうことがあったから憲法ができたんだ、と。だから絵本にしてよかったと思いますし、今回の映画では、渡辺さんの語りの背景に原爆投下の映像が映って、すごくわかりやすい。憲法の大切さが、より多くの人伝わるし、僕も渡辺さんの『憲法くん』にパワーをもらって、これからもがんばろうと元気になりました。

――映画『誰がために憲法はある』は、『憲法くん』を演じた渡辺美佐子さんが、33年間続けてきた原爆朗読劇『夏の雲は忘れない』の上演活動を紹介する後半へと続きます。

松元 あの朗読劇もすばらしいですよね。映画には日色ともゑさんとか山口果林さんとか、もうあこがれの女優さんたちがたくさん出てきて、どきどきしました。映像には映っていませんでしたが、学生たちが女優さんたちといっしょに舞台に立って朗読したり、上演後の交流会で感想を語り会ったりしたというのも、いいですね。「僕たちも次の世代に伝えていきます」とかいう子もいて、彼らに希望を託したいです。『夏の雲は忘れない』の公演は今年で終わるそうですが、映画の中に残すことができてよかったと思います。

媚びずに、信念をもって一人ひとりに語りかける

――戦争体験者がいなくなり、平和の大切さを今後どうやって若い世代に伝えていくかは、大きな課題です。なにかいい方法はありませんか?

松元 僕のお客さんも中高年が多いのですが、僕はあえて若い人に向けてとは、考えないようにしているんです。というのも、お笑い芸人として駆け出しの頃にこんなことがありました。その頃は、「若い人にウケたい」「どうしたらキャーッと笑ってもらえるか」って、必死だったんでしょうね。あるとき、ライブが終わって若いあんちゃんが楽屋にやってきて「なんでおれらに合わせたんだ、おれらは兄さんに引っ張っていってもらいたかったのに」って言われたんです。ショックでしたね。そうか、ウケを狙ってはやりのギャグを言ってみたり、若い人に媚びたりしてても、そんなのは見透かされている、言いたいことが伝わらない。そうでなく「平和は大事なんだ、ついてこい」って、堂々と言えばいいんだと、気づかされました。

――日本では政治や社会への風刺ネタはウケないとよく言われます。とくに若い世代には敬遠されるのでは?

松元 それねえ、年齢じゃないんですよ。僕のライブで笑ってくれるおじいちゃん、おばあちゃんの家族は、子どもも孫もみんな笑ってくれる。笑わない人の家族はみんな笑わない。テレビ見て、安倍さん、すごいって親が言えば、子どももそんなものかと思う自民党、おかしいぞとだれかが言えば、そばにいる家族にも伝わる家庭環境なんですよ
 自民党本部に勤めている人の中にも僕のファンがいます。「ヒロさんは私が毎日接している自民党の先生たちのことを、ぼろくそに言ってくれるからすっきりする」(笑)。その人もまた労働者の一人なんですね。ファンの中には自民党議員の奥さんもいるし、創価学会員の人もいます。だから年齢や国や所属集団でくくって決めつけるのでなく一人ひとりに信念を持って語りかけようと思っています。

――『憲法くん』は井上ひさしさん、永六輔さん、立川談志さんら、多くの文化人にも絶賛されています。そうした応援があって二十数年間続けてこられたともいえますね。

松元 そうなんです。皆さんのおかげです。もうだいぶ前のことですが、作家の澤地久枝さんの講演の前座を務めたことがありました。当時皇太子家の愛子さんがまだ3歳だったころで、僕は舞台で「3歳でなんの業績もないのに、なんで“さま”をつけるのか、おかしいじゃないか」ってやったんですね。そうしたら澤地さんが飛んできて「あなたすばらしい」って、感激してくれた。で、「あなた、どこかから、言いがかりをつけられたことない?」って聞かれて、僕が「いいえ、ありません」というと「そうね、あなたには信念があるから、だれも文句をつけられません」と。手をぎゅっと握られて、「信念がある」って言われて、僕はパワーをもらいました。それから僕は怖くなくなった。そうだ、正しいと思ったことは、堂々と胸を張って最後まで言い続けようと、気持ちが決まったんです。

笑っていれば、希望がわく。勝ち馬に乗らない。

――たしかに言い続けることが大事ですが、世の中はなかなか変わりません。自民党政権はびくともしないし、何をやってもだめという閉塞感が漂っています。

松元 確かに僕らは少数派です。選挙で負けると、ああ、もうだめだって、自分を否定されたような気持ちになりますよね。でも僕は絶望しない。「世の中バカなやつが多いんだね、僕みたいな利口なやつは貴重なんだ」とか、もうなんでもいいから、負けたらそれをギャグにして笑い飛ばす。笑っていれば希望がわいて、元気になれる。勝ち馬に乗ろうと、信念を曲げて大勢についても、それはほんとの勝ちじゃないですよ

――井上監督は「今年は現行憲法最後の憲法記念日になるかもしれない。今こそ憲法の原点を見つめ直したい」と、この映画を作ったとおっしゃいます。ヒロさんも改憲への危機感は感じていらっしゃいますか?

松元 『憲法くん』はおかげさまで、あちこちからお声がかかり全国を飛び回っていますが、最近は特に切羽詰まった声を聞きますね。
 先日呼んでくださった名古屋の主催者のかたは「今の憲法が変わる前にぜひやってもらいたい」って、おしゃるんですよ。その人に言わせると、「国民投票になったら負ける」と。国民投票はコマーシャルやり放題で、お金をたくさん持っているほうが有利だから、朝から晩までがんがん「改憲賛成!」と流れるわけでしょう。しかも、今のテレビニュースは、政権がやっていることをそのまま流すだけ。「おかしいよね」とか、「とんでもないことですよ」とか、一言も言わないから、見ている人は「世の中そんなもんだ」と思ってしまいますよ。
 『憲法くん』は、まだまだリタイアできません。リストラされないよう、皆さんも応援してください。

(取材・構成/田端薫 取材写真/マガジン9編集部)



[https://youtu.be/Dft-BL7dYhs]
誰がために憲法はある
2019年4月27日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開
公式ウェブサイト
http://www.tagatame-kenpou.com/

松元ヒロ(まつもと・ひろ) 1952年鹿児島生まれ。法政大学法学部政治学科卒業後、パントマイマーに。コミックバンド「笑パーティー」のメンバーとしてコントの世界に進出。1985年「お笑いスター誕生!!」で優勝。1988年、コント集団「ザ・ニュースペーパー」の結成に参加。村山富市元首相を演じ注目を集める。1988年に独立。政治風刺やパントマイムのソロライブで全国を飛び回っている。1997年に『憲法くん』初演、2016年絵本『憲法くん』(絵・武田美穂/講談社刊)を出版。
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2019042102000200.html

【放送芸能】
初恋の少年に誓った不戦 渡辺美佐子 映画「誰がために憲法はある」
2019年4月21日 朝刊

 女優の渡辺美佐子(86)は長年、平和や護憲への思いを地道に発信し続けている。平成から令和に変わる今年、そんな大ベテランも節目を迎えている。今月二十七日には映画「(た)がために憲法はある」(井上淳一監督)の全国順次公開を控える一方、仲間の女優たちと続けてきた原爆体験記の朗読劇は今夏で幕を引くことになった。「最近、平和が脅かされつつある」と強く感じるという渡辺。女優魂が警鐘を鳴らす。 (竹島勇

 今年で三十五年目となる朗読劇や、今回の映画に導いてくれたのは「初恋の少年」と渡辺は明かす。朗読劇はメンバーの高齢化でやむを得ず今夏限りで終える。だから、少年に誓った不戦の思いを映画に込めた。

 少年は第二次大戦末期に通っていた東京都内の国民学校の同級生だった。異性と口をきく時代ではなく、少年が急に転校してそれきりになった。時は流れ、女優として第一線で活躍していた一九八〇年、テレビ番組の「ご対面コーナー」の出演依頼に「少年と会いたい」と応えた。そして収録当日。現れたのは年老いた少年の両親だった。少年は疎開先の広島市で原爆の犠牲になったという。「息子を覚えていてくれてありがとうございます」。二人に渡辺は言葉を失った。

     (女優仲間との朗読劇「夏の雲は忘れない-」に
      出演する渡辺(左から4人目))

 「何かしなくては」。八五年から広島と長崎の原爆を体験した子どもたちの手記をもとにした朗読劇「この子たちの夏」に名を連ねた。二〇〇八年からは女優十八人で、新たに朗読劇「夏の雲は忘れない 1945・ヒロシマ ナガサキ」に取り組んできた。

 「水をください」「おかあちゃん、助けて」。映画は、広島の中学校での朗読劇の模様を収めた。公演後の交流会で中学生が「平和の大切さを伝えていく」と話すと、渡辺ら出演者がうれしそうにうなずく。渡辺は広島市内の初恋の少年ら犠牲者の名が刻まれた慰霊碑にぬかずく…。

     (映画で「憲法くん」として語りかける渡辺)

 映画はそのドキュメントを挟みこむように、渡辺演じる一人語り「憲法くん」(作・松元ヒロ)で構成される。「こんにちは 憲法くんです へんなうわさを耳にしたんですけどほんとうですか わたしがリストラされるかもしれないというはなし 憲法くんがいなくなってもいいということなのでしょうか」。ほほえみながら護憲を訴える。

 近年の防衛予算の増大など日本の平和に不安を抱いている渡辺は静かに語る。「私は空襲の恐怖と飢えを体験し、幼い同級生も亡くした。戦争は普段の暮らしを奪う」「憲法くんは(現憲法下では)日本は戦争で人を殺さず、殺されてもいない、という。良いことよね」

 映画「誰がために憲法はある」は東京・ポレポレ東中野ほかで順次公開される。「後世に残る映画で平和への思いを若い世代に伝えたい」と願いを込める。


◆舞台・映画・テレビ、幅広く

 渡辺は1932年東京生まれ。高校卒業後、俳優座養成所へ入所。同期に愛川欽也がいた。53年「ひめゆりの塔」(今井正監督)で映画デビュー。58年「果(はて)しなき欲望」(今村昌平監督)で注目を集めた。

 テレビドラマでは庶民的な役でおなじみとなった。TBS系「ムー」(77年)、その続編「ムー一族」(78~79年)で老舗の足袋店のおかみ役を演じた。NHK連続テレビ小説「おしん」、TBS系「渡る世間は鬼ばかり」シリーズなどにも出演。2009年のNHK「お買い物~老夫婦の東京珍道中」では夫役の久米明(95)とともに、放送文化基金賞演技賞を受賞した。

 舞台でも本領を発揮し続ける。代表作は、旅回り一座の女座長を演じた1982年初演の井上ひさし作の一人芝居「化粧」(後に「化粧 二幕」)。2010年までに海外公演を含め、648回演じた。

 渡辺は「新劇出身の私は『化粧-』で大衆演劇や歌舞伎などに触れて、幅が広がり女優として生まれ変わった」と振り返る。10月には87歳になるが、健康には自信がある。「俳優に定年はない」と意欲は衰えない。

 見納めとなる朗読劇「夏の雲は忘れない-」の一般向け巡演は6月24日、東京都中央区の日本橋公会堂からスタート。8月末まで広島、四国、関東など各地で上演する。出演者は公演ごとに異なる。「夏の会」=(電)090・8004・1985。

2010年、座・高円寺で上演された一人芝居「化粧 二幕」のファイナル公演から=撮影・谷古宇正彦


◆下の世代、どう受け継ぐか

<劇作家、演出家の坂手洋二(57)の話> 昨年上演した「サイパンの約束」など、(主宰劇団の)「燐光群(りんこうぐん)」公演に客演してもらっている。彼女は新劇出身ですが、映画やテレビドラマでも活躍したスター。主役を張る方だけど、飾らないユーモラスなところも魅力。「サイパンの-」では、日本統治下のサイパンで少女時代を過ごした主人公役でしたが、ある種の官能性も表現できる貴重な女優。彼女だからこそ朗読劇や今回の映画で思いが広く伝わる。朗読劇の終了は残念でしょう。渡辺さんたちの思いを私たち下の世代がどう受け止め表現していくか、大きな課題です。
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/252520

「誰がために憲法はある」は危機感なき映画界への挑戦状
2019/04/24 06:00

     ((C)「誰がために憲法はある」製作運動体)

 4月27日から東京・ポレポレ東中野ほか全国で順次公開されるドキュメンタリー映画「誰がために憲法はある」が注目を集めている。

 これは、芸人・松元ヒロが舞台で演じ続けている日本国憲法を擬人化したひとり語り「憲法くん」を基にした作品。

 演じるのは、ベテラン女優の渡辺美佐子(86)。

 この短編を挟んで、初恋の人を疎開先の広島の原爆で亡くした渡辺が続けている慰霊の旅と原爆朗読劇のドキュメントが描かれる。

 朗読劇は渡辺が中心となって同世代の女優たちと33年間続けてきたもので、今年が最終公演。未来に託す戦争の記憶と女優たちの平和への思いが語られる。

 井上淳一監督(53)は故・若松孝二に師事し、若松プロの青春群像を描いた「止められるか、俺たちを」の脚本を書いた硬骨漢。

 「このまま安倍1強の政治状況が続けば、改憲は現実のものとなり、もしかすると今年の憲法記念日は、現行憲法で最後になるかもしれない。演劇界は俳優や演出家、制作者が中心となって2015年から、毎月19日に、改憲反対の駅前スタンディング運動を展開しているというのに、映画界にはまったくといっていいほど危機感がない。この映画は、そんな映画界への挑戦状でもあります。憲法に込められた理想がいかに大切か、今こそ、ひとりでも多くの人にこの映画を見て欲しい」と語る。
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●「こりゃ違憲!」『週刊金曜日』(2012年11月23日、921号)についてのつぶやき

2012年11月26日 00時00分47秒 | Weblog


週刊金曜日』(2012年11月23日、921号)、「こりゃ違憲! 解散、総選挙へ」についてのつぶやきから、AS@ActSludge

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『週刊金曜日』(2012年11月23日、921号) / 金曜日に到着! 「こりゃ違憲! 解散、総選挙へ」。小谷洋之氏「「太陽の党」と「減税日本」の合流は〝破断〟も 「南京大虐殺なかった」同盟」。粟野仁雄氏「月末から始まる試験焼却も緊迫 受け入れ反対住民4人が逮捕」

『週刊金曜日』(2012年11月23日、921号)/田中優子氏「風速計 東京に日本のガンディーを」、「・・・「ああ、もう石原都政ではないのだ」という実感が湧いた。汚らしい差別の言葉が詰まった壺が目の前から消えたことのさわやかさ。・・宇都宮さんの「副」として・・・上原君子さんに」

『週刊金曜日』(2012年11月23日、921号)/渡辺治氏「大連立政治か、新自由主義政治の終焉か」。横田一さん「第三極は「野合グループ」と「政策一致グループ」に二分化」。佐高信さん「抵抗人名録21 宇都宮健児」。緊急インタビュー「・・・宇都宮健児弁護士 人に優しい都政を目指す」

『週刊金曜日』(2012年11月23日、921号) / 足立正生氏「「法螺吹きと詐欺師」と呼ばれた盟友 若松孝二が逝った」。山口正紀さん「〈警察・検察の犯罪〉問う報道を 布川事件国賠提訴」。岩本太郎氏「マスメディア報道をびしびし批判する『東京新聞』土田さん」、土田修さん

『週刊金曜日』(2012年11月23日、921号) / 平井康嗣編集長後記「・・・思想教育に介入する。…強力な発信者の猜疑心・・・今、日本には猜疑心が蔓延・・・。橋下市長は「バカ」(発言の多い)石原前都知事を「強いリーダー」と評したが、「バカ前知事には何の業績があるのか。・・」
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●若松孝二監督、亡くなる

2012年10月25日 00時00分34秒 | Weblog


若松孝二監督の死を悼む東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2012101902000155.html)。

 先日、「水のないプール」「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」「キャタピラー」などを撮られた若松孝二監督が亡くなられました。交通事故でのあっけない死、若松監督らしいのかも知れません。

   『●『創(2010年7月号)』読了

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2012101902000155.html

作品の根底、国家への怒り 若松孝二さん死去
2012年10月19日 朝刊

 十七日に死去した映画監督の若松孝二さんは、「甘い罠(わな)」(1963年)など六〇年代から七〇年代のピンク映画をはじめ、エロスや暴力を扱った作品を発表してきたが、根底にあるのは国家への怒り。「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」(2008年)など、既存の体制や価値観に抵抗する人間を描き、近年は欧州などで若松作品を再評価する動きも出ていた。 (小田克也)

 若松監督は一九六五年、団地の主婦の性を描いた「壁の中の秘事(ひめごと)」をベルリン国際映画祭に出品。日本の新聞から「国辱映画」と酷評され、この騒動をきっかけに若松プロダクションを設立。七六年には大島渚監督の「愛のコリーダ」も製作している。
 六〇年代から七〇年代、全共闘世代を中心に、その先鋭的な作風が支持された。八〇年代以降は、内田裕也主演の「水のないプール」(82年)など一般映画へとかじを切っていく。

      ■

 左翼でも右翼でもなく、その作品群からは巨大な国家と対峙(たいじ)する個としての人間が浮かび上がる。例えば「実録・連合赤軍~」と「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」(2012年)。主張は正反対だが、いずれも国を変えようと情熱を傾ける若者が主役だ。
 高校を中退し、職を転々とした。工場の従業員が転落死しても補償されない現実などに触れ、憤りを覚えた。それが人生の原点。監督を志したのは、警察に逮捕されたときの扱われ方に怒り、映画の中でなら警察と対決できると考えたからという。
 一九六三年、ピンク映画「甘い罠」で監督デビューするが、当時は松竹など大手の撮影所がしっかりしている上、日活ロマンポルノが世間に定着する以前のことで、「ピンクの巨匠」は孤立を余儀なくされた。映画評論家の村山匡一郎さんは「商業映画のメーンストリームから離れたところにいたため異端視され、反体制の意識が助長された面もあるのでは」とみる。
 製作、配給、宣伝と外部委託と分業化が進む映画界にあって若松プロは、配給宣伝を自社で行う。監督自ら舞台あいさつに立ち、「次も撮りたいので」と、役者のサイン入りパンフレットを売り込んだりする。「映画界の興行システムに対抗し、自力で切り開こうとする意識がうかがえた」と村山さん。ミニシアター「シネマスコーレ」(名古屋市)の運営に携わってきたのも、自主映画の発表の場を大事にしたいとの思いからだろう。

      ■

 近年は「実録・連合赤軍~」が評判に。また、戦争で人生を狂わされた夫婦を描くキャタピラー」(2010年)に主演した寺島しのぶは、ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞した。
 今年は「海燕ホテル・ブルー」と「11・25自決の日~」を公開。七十代後半で年間二本は日本の監督として異例の多さで、勢いを取り戻した感があった。
 一方、海外でも、フランスのアントワーヌ・バロー監督が若松監督に迫る短編ドキュメンタリー「火の家」(10年の作品、11月4日から横浜市のシネマ・ジャック&ベティで上映)を撮るなど再評価の動きが広まりつつあった。
 「映画を武器に思いを伝えていく」。「千年の愉楽」を出品した九月のベネチア国際映画祭で、こう意気込みを見せていた若松監督。その直後の惜しまれる死となった。
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●『創(2011年3月号)』読了

2011年08月05日 00時14分10秒 | Weblog


『創』(2011年3月号)、2月に読了。

 いつもながらの石原慎太郎都知事のご発言。news eye(pp.70-71)。「今どき珍しいレベルの差別発言/石原都知事のゲイ差別発言にマツコ・デラックスが反論」。「・・・この人のこういう発言がなぜ放置されたままなのか不思議でしかたない。条例改正をめぐるマンガ家に対する蔑視発言もひどかったが、ゲイ差別発言も相当なものだ」。「同性愛を遺伝のせいとし、「どこか足りない」って、これは差別反対運動が盛んな頃なら抗議殺到の発言である」。「・・・表現者と思えないお粗末さで、議論を広げようもない。・・・中村うさぎがこう書いている。/《たぶん、心があり得ないほど鈍磨しているうえに、他人の言葉を理解する論理的思考もできないんだと思う。要するに、ボケジジイよ。/ああいうジジイには、何を言っても無駄。言葉が通じないんだもの》」。

 これもnews eye(pp.72-73)。渡部真氏「いま総務省会見で何が起きているのか!?/会見めぐりフリーランスと総務省記者クラブが対立」。畠山理仁さんらフリーランス記者の記者会見解放運動。
 news eye(pp.74-75)。優れたドキュメンタリー番組「光と影 ~光市母子殺害事件 弁護団の300日」の斎藤潤一さんと武野勝彦さんが、私には理解不能であるが、戸塚ヨットスクールに関するドキュメンタリーを作ったらしい。
 佐高信さん、「ニッポン文化低国を撃つ!/筆刀両断!/浅薄な歴史観と情けなさ 菅直人&市川房枝」(pp.76-77)。「ここで菅は明らかに「除名」をする社会党を批判しているが、いま菅が小沢一郎にやろうとしていることは、それ以上の無理筋である」。

 鈴木邦男さん、「言論の覚悟/表現者の告発」(pp.78-81)。これまた私は理解できないが、「・・・今年は若松孝二監督が三島由紀夫の映画を撮る。・・・。/・・・でも若松監督は右も左も超えている」。

 篠田博之さん「ジャーナリスト黒木昭雄を自殺に追いやったものは何か」(pp.90-98)。

 長岡義幸さん「東京国際アニメフェアをめぐる攻防戦/まだ終わっていないぞ! 都条例改定問題のその後」(pp。108-115)。作家センセが聞いてあきれる、例の「非実在青少年」問題。東京国際アニメフェアに不参加のマンガ家や出版社に向かって、石原センセは「吠え面かくのは向こうだ」とのたまったとか。でも、大赤字の見込みとなり、吠え面と大恥をかいたのは都知事の方でしたとさっ

 少し誤解もあったかな? ネット上の情報によると、無駄使い体質など阿久根市政そのものにも大問題があった模様。そうでなければ、(関わり方は他の方法があったとは思いますが)仙波敏郎さん大河原宗平さんが係りを持つはずがない。
 今西憲之さん「落選会見でもマスコミ批判/阿久根市・竹原前市長とマスコミとの激烈攻防戦」(pp.122-129)。

 「永六輔[放送タレント]×矢崎泰久[元『話の特集』編集長]のぢぢ放談/第20回 スポーツなんて知らない!」(pp.130-137)。今月のベストなお言葉、「 ・・・AKB・・・。/矢崎 どう、オタクのアイドルは?/ ひとことで言えば、ひどい(笑)。やっぱり素人だよね。なんで、あんな子たちががお金を取れるのか、不思議でならない。・・・。/矢崎 身体も出来ていない、踊りもなってない。歌がうまいってわけでもない。/ 要するに「かわいい」でまとめちゃう。「すばらしい」とか「すごい」っていう賛辞じゃないんだよね」。読書の楽しみには共感。「矢崎 ・・・最近は電子書籍が騒がれているけど、あんなのは最低だと思うよ。あたかも出版界の救世主のように言われるのは大間違い。出版社は自滅する可能性もあるし、読む側にしても、あんなので読書の楽しさが満たされるなんてオレは思わないね」。

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●『創(2010年7月号)』読了

2010年10月06日 05時02分52秒 | Weblog

『創』(2010年7月号)、7月に読了。

 「三井環[元大阪高検公安部長]の逆襲/2002年口封じ逮捕の日を「ザ・スクープSP」で再現!」(p.10)。
 「激しい抗議で一時は上映中止かと言われながらアカデミー賞映画「ザ・コーヴ」いよいよ公開!」(p.11)。

 綿井健陽「映画界の徹底研究/2つのドキュメンタリー映画が問いかけるもの」(pp.68-71)。「ベトナム戦争を描いた映画『ハーツ・アンド・マインド』やビルマのビデオジャーナリストが命がけで撮影した『ビルマVJ』が提起しているものとは・・・・・・」。
 若松孝二監督、「「キャタピラー」/正義の戦争はないということを伝えたい」(pp.84-87)。「・・・国家が映画のことに口出しするんじゃないと言いたい」。
 高橋伴明監督「「BOX袴田事件 命とは」/出発点は「人間は間違えるものだ」という確信だった」(pp.88-91)。熊本典道さん。
 袴田秀子さん「袴田巌死刑囚の姉が弟の無実と映画について語る」(pp.92-93)。

 佐高信さん「タレント文化人筆刀両断/覚悟のない芸人 島田紳助」(pp.98-99)。「・・・後藤組の組長だった後藤忠政が・・・。/「本来、慈善事業やボランティアなんてものは、人知れずやるもんじゃないのか。ああいうふうに自分の『善意を見せびらかすやつのことを、チンピラにもなれない小物、〝小チンピラ〟って言うんだよ」/・・・〝小チンピラ〟をのさばらせるのに手を貸した田原にこそ聞かせるべきかもしれない」。

 鈴木邦男さん「言論の覚悟/30年前の読書術」(pp.100-103)。「読書術」のトーク、斎藤貴男さんや森達也さん。

 森達也さん「極私的メディア論/第52回 広瀬健一からの問題集」(pp.108-111)。地下鉄サリン事件。「・・・彼を処刑することの意味は何だろうと。/『死刑』(朝日出版社)を上梓・・・」。「「A3」書籍化のための作業を続けている」。麻原氏について、「この秋には麻原処刑との噂がある。心神喪失の状態にあることを理由に、刑事訴訟法第479条「死刑執行の停止」を持ちだしてもむなしい。そんな正論が通るのなら、とっくに治療が施されているはずだ」。

 長岡義幸さん「いよいよ6月都議会が最大の山場に/マンガ性表現規制強化の都条例改定めぐる攻防」(pp.116-123)。「非実在青少年」なる陳腐な概念と、それを支持する元作家先生の都知事

 「永六輔[放送タレント]×矢崎泰久[元『話の特集』編集長]のぢぢ放談/第13回 沖縄なん知らない!」(pp.130-137)。「明らかになった鳩山首相の沖縄に対する無理解」、「本土への複雑な思いの背景に「琉球処分」」、「本土とは異なる独自の文化の発信基地」、「対立構造を煽るマスメディアの無責任」。

 大川豊さん「月刊「壊(こわす)」/第85回 私を記者会見に連れてって」(pp.142-145)。オープン化された亀井郵政金融担当大臣の記者会見に出席。グラミン銀行。
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●『靖国/上映中止をめぐる大議論』読了(1/3)

2009年04月06日 07時55分17秒 | Weblog

『靖国/上映中止をめぐる大議論』、1月に読了。森達也・鈴木邦男・宮台真司・他著。創出版。20086月刊。

 綿井健陽・野中章弘・是枝裕和・李纓・筑紫哲也・原壽雄・広川隆一・若松孝二・原一男・佐野史郎・上野千鶴子さんらが参画。篠田博之さんも当然。

 李纓監督の『靖国』上映中止事件。「自粛の連鎖」(pp.8-9) の発端は「週刊新潮」記事。篠田さんは、「同誌の動きが気になったのは前例があるからだ」。

 是枝監督は、文科省の補助のあった同映画に対して「・・・税金の使われ方に対して政治家がチェックするのは当然だと書かれていましたが、そのチェックの権利があるとすれば、それは間違いなく私たちであって、権力ではない・・・」。
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