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●山口敬之氏について、《相沢真木裁判長はクソ野郎との表現が「直ちに人身攻撃となり、意見や論評の域を逸脱したとは断じられない」と判断》

2024年03月26日 00時00分38秒 | Weblog

[※ 《望月衣塑子のジャーナリスト精神に迫る》…森達也監督『-新聞記者ドキュメント-』(https://i-shimbunkisha.jp/)↑]


こんなことが許されていいのか! ―――――《官邸の忠犬政権の爪牙山口敬之氏の逮捕を潰した最重要キーマン》中村格氏が警察庁長官に…。

―――――― 前川喜平さん《中村の警察庁長官就任は、安倍・菅政権の腐敗を象徴する人事だ》。

―――――― 金子勝さん《権力に近ければ、罪を犯しても逮捕されない…公安警察・検察が安倍政権を支配していることに事の本質がある》。

―――――― 青木理さんは《…本来は一定の距離を保つべき政権と警察・検察が近づき過ぎるのは非常に危うい民主主義国家として極めて不健全な状態と言わざるを得ません》。



(20240314[])
れいわ新選組の大石晃子 (大石あきこ) 衆院議員が山口敬之氏から名誉棄損で訴えられていた一審・東京地裁判決を高裁が取り消した。《22万円の支払いなどを命じた一審判決》を取り消し、当たり前だ。東京高裁 (相沢真木裁判長) が《山口敬之氏が…「クソ野郎」》を認定したようなものだ。ブログ主は、公言しませんが、内心、それ以上の罵りの言葉が使われるべきだと思っています。山口敬之氏による犯罪を握りつぶした、アベ様や元・最低の官房長官近辺の関係者にも。いまも、あの「逮捕潰し」は問い直されなくてもいいのか?、と思い続けています。

   『●あの「逮捕潰し」は問い直されなくてもいいのか? 刑事は刑事、
     民事は民事で済ませていいのか? アノ中村格氏がいまや警察庁長官
    《ジャーナリストの伊藤詩織氏(33)が性被害を受けたと訴えて
     元TBS記者の山口敬之氏(56)に損害賠償を求めた訴訟の
     上告審で、最高裁第一小法廷(山口厚裁判長)は山口氏の上告を
     退けた。山口氏が同意なく性行為に及んだと認定して約332万円の
     賠償を命じた二審・東京高裁判決が確定した。7日付の決定で、
     第一小法廷は憲法違反などの上告理由がないとだけ判断した》

   『●伊藤詩織さんによる民事裁判「私たちが勝利しました」、
     山口敬之氏の高額「反訴」は棄却…なぜ刑事事件で裁けなかった?
   『●山口敬之氏事件…《逮捕寸前までいった事件が、
     このように“ブラックボックス”のなかに押し込められてしまった》
   『●《被害者が司法で守られ》ないような社会でいいのか? 《被害者が
     泣き寝入りして》しまうような社会でいいのか? 中村格警察庁長官殿!
   『●伊藤詩織さんによる民事裁判「私たちが勝利しました」、
     山口敬之氏の高額「反訴」は棄却…なぜ刑事事件で裁けなかった?
   『●山口敬之氏事件…《逮捕寸前までいった事件が、このように
         “ブラックボックス”のなかに押し込められてしまった》
   『●法的措置…《山口氏を“被害者”に仕立て上げて…伊藤さんを毀損
         …性被害サバイバーや社会に「沈黙」を強いる恫喝的攻撃》
   『●伊藤詩織さんの《表明は、この現状に一石を投じ、社会を改善へ

     と向かわせるものになるはずだ》…それが、いま、提訴につながった
   『●「フィクション」「伊藤さんと関係ない」は通用せず。一方、アベ様を
      《サポート》するための《Truth》無き《Team》《Club》は一体何を?
   『●140文字のそのツイートには《どの部分》に『いいね』を押しても
     構わない部分があったのか? まるごと中傷ツイートへの『いいね』
   『●あの「逮捕潰し」は問い直されなくてもいいのか? 刑事は刑事、
     民事は民事で済ませていいのか? アノ中村格氏がいまや警察庁長官
   『●「どんな時もそばにいてくれる友だちがいたから、がんばれました」
     伊藤詩織さん…改めて《ジャーナリストとして歩んでいく》ことを決意
   『●《とりあえず、うっかり「いいね」を押したら即アウト、ではない》…
      杉田水脈衆院議員はどのように言動し、どの様なモノに「いいね」?

 千葉雄高記者による、アサヒコムの記事【「クソ野郎」は名誉毀損になる?ならない? れいわ大石氏が逆転勝訴】(https://www.asahi.com/articles/ASS3F5DBWS3FUTIL01S.html)。《ツイッター(現X)の投稿で名誉を傷つけられたとして、元TBS記者の山口敬之氏が、れいわ新選組の大石晃子衆院議員に損害賠償などを求めた訴訟で、東京高裁(相沢真木裁判長)は13日、大石氏に22万円の賠償などを命じた一審・東京地裁判決を取り消し、山口氏の請求を棄却する判決を言い渡した。一、二審の判断を分けたのは「クソ野郎」という言葉に対する評価だった。高裁はどう判断したのか。》

 ソノ山口敬之氏には《安倍ヨイショ本『総理』(幻冬舎)》なんてのもありました。さて、そもそもの一審・東京地裁判決が酷過ぎた訳です。
 東京新聞の記事【元TBS記者、逆転敗訴 大石議員投稿で賠償認めず】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/315007)。《れいわ新選組共同代表の大石晃子衆院議員にツイッター(現在のX)で「クソ野郎」と投稿され名誉を傷つけられたとして、元TBS記者山口敬之さんが880万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は13日、22万円の支払いなどを命じた一審判決を取り消し、山口さんの請求を棄却した。相沢真木裁判長はクソ野郎との表現が「直ちに人身攻撃となり、意見や論評の域を逸脱したとは断じられない」と判断した》。

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https://www.asahi.com/articles/ASS3F5DBWS3FUTIL01S.html

「クソ野郎」は名誉毀損になる?ならない? れいわ大石氏が逆転勝訴
千葉雄高 2024年3月13日 16時28分

     (東京高裁=東京都千代田区)

 ツイッター(現X)の投稿で名誉を傷つけられたとして、元TBS記者の山口敬之氏が、れいわ新選組の大石晃子衆院議員に損害賠償などを求めた訴訟で、東京高裁(相沢真木裁判長)は13日、大石氏に22万円の賠償などを命じた一審・東京地裁判決を取り消し、山口氏の請求を棄却する判決を言い渡した。一、二審の判断を分けたのは「クソ野郎」という言葉に対する評価だった。高裁はどう判断したのか。


【一審判決】れいわ・大石衆院議員のツイート「人身攻撃」 東京地裁が賠償命じる


 問題になったのは、大石氏が議員になる前の2019年12月に投稿された2件のツイートだ。

 1件目では、山口氏がジャーナリストの女性計画的な強姦(ごうかん)を行った」と投稿。2件目では「1億円超スラップ訴訟を仕掛けた」とし、激しく非難する言葉とともに「クソ野郎」とも書いた。

 一審・東京地裁の判決は、2件のツイートは「重要部分が真実か、そう信じた相当な理由があるなどと認定した。だが、「クソ野郎を含む2件目の投稿は攻撃的かつ激しい侮辱と指摘。人身攻撃に及んでおり、意見・論評の域を超えているとして、大石氏に賠償を命じた。


■高裁「クソ」表現を詳細に検討

 この日の高裁判決も、事実関………
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/315007

元TBS記者、逆転敗訴 大石議員投稿で賠償認めず
2024年3月13日 18時26分 (共同通信)

 れいわ新選組共同代表の大石晃子衆院議員にツイッター(現在のX)で「クソ野郎投稿され名誉を傷つけられたとして、元TBS記者山口敬之さんが880万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は13日、22万円の支払いなどを命じた一審判決取り消し、山口さんの請求を棄却した。相沢真木裁判長はクソ野郎との表現が直ちに人身攻撃となり、意見や論評の域を逸脱したとは断じられない」と判断した。

 一審東京地裁判決は「攻撃的かつ激しい侮辱」だとして名誉毀損の成立を認めたが、相沢裁判長は、表現がいささか品性を欠くとした上で「クソ」という言葉自体が「クソ忙しい」のように強調の意味で使われる場合もあるとした。

 山口さんに性被害を受けたとするジャーナリスト伊藤詩織さん、名誉を傷つけられたとする山口さんが双方に損害賠償を求めた訴訟を巡り、大石議員は一審判決が出た翌日の2019年12月19日に投稿。山口さん側の提訴を伊藤さんへの嫌がらせに当たる1億円超のスラップ訴訟と批判し「クソ野郎」との表現もあった。
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コメント (1)
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●そして、いまや、『妖怪の孫』どころか「妖怪のひ孫」までもが…《安倍晋三がもたらしたのは美しい国か、妖怪が棲む国か?》(長周新聞)

2023年03月28日 00時00分37秒 | Weblog

[※ 2017年2月17日はアベ様のタンカ記念日というトリガー(『報道特集』、2021年06月26日)↑]


(2023年02月07日[火])
そして、いまや、「妖怪の孫」どころかひ孫までもが…。
 スッゲェなぁ、山口2区4区…《…信千代 (信千世のミス?) も東京生まれの東京育ちで、山口県なり2区は故郷といえるほどの生活実態などなにもない…》。《当選するか、しないかは地元有権者の判断次第》(日刊ゲンダイ)、さて、山口2区の皆さんの判断は?

   『●スッゲェなぁ、山口2区、4区…《…信千世も東京生まれの東京育ちで、
       山口県なり2区は故郷といえるほどの生活実態などなにもない…》
   『●岸信夫前防衛相の辞職にともない、後継候補としての信千世氏が「家族
      の意志を受け継ぐ」と表明…どこまで私物化すれば気が済むのか?

 再々度引用。長周新聞の【コラム 狙撃兵】…(信千世のミス?➙) 《岸信介から数えると世襲4代目へのバトンタッチということで、このご時世になんと厚かましいといおうか、いったいいつまで国会議員ポストを特定の一族で私物化するつもりなのだろうか…という思いしかない。選挙区が「地元」といっても、岸信夫もその子息である信千代も東京生まれの東京育ちで、山口県なり2区は故郷といえるほどの生活実態などなにもないもともとこの地をルーツにした世襲政治家一族が握って離さない選挙区というだけなのである。地元の人々にとっては、「信千代? 誰だよそれ」が一般的であり、見たことも話したこともない若造にほかならないが、このまますんなりと30そこらの4代目を担いで岸家の命脈を継承するというのだろうか。同じ山口県民として、選挙区は違えど2区の人たちの心境やいかばかりかと慮る》。

 さて、『妖怪の孫』。
 長周新聞の記事【映画『妖怪の孫』――安倍晋三がもたらしたのは美しい国か、妖怪が棲む国か? 監督・内山雄人】(https://www.chosyu-journal.jp/review/25992)によると、《あれだけ世間を騒がせたモリカケ桜統一教会の問題も、今ではまるでなかったかのような空気をメディアが醸し出すなか、安倍晋三元首相やその背景を改めて検証することで、彼は日本になにをもたらしたのか、今の自民党や岸田政権はどこへ向かおうとしているのかを、ユーモアたっぷりに描いた映画『妖怪の孫』が完成した。制作したのは、菅義偉元首相のドキュメンタリー『パンケーキを毒見する』をつくった内山雄人監督とそのスタッフだ。その時々の実際の映像と、右左関係なく関係者に突撃インタビューした内容をつなぎ、そこに突っ込みを入れるという、マイケル・ムーアを彷彿とさせる手法をとっている。3月17日からの全国公開を前に、2月23日には特別限定上映会「サクラが見る会」が、一日にはマスコミ試写会がおこなわれた。映画『妖怪の孫』はなにを描いているのか――。》

   『●自公お維支持者はカースー独裁《パンケーキ政権を毒見》して…
     「私は選挙に影響する映画をつくりたい」(河村光庸プロデューサー)
   『●《最初はふわふわ膨らんでおいしそうだったのに、だんだんしぼんで、
      中から出てきたものは……? 菅パンケーキ政権の実態に迫った…》




【3月17日公開!『妖怪の孫』公式サイト】
 (https://youkai-mago.com/

 アベ様著『安倍晋三 回顧録』(アノ北村滋氏が監修らしいいです。中央公論新社、2023/2/8)が出版されたそうです。
 昔のつぶやき: 「■昔のブログ: ヨイショ本・礼讃本『安倍晋三の真実』が伝えない、「#選挙妨害を暴力団に発注するアベ様」という事実。キョウソ様ともはやカルトなディストピアの信者様方。「選挙妨害…」について問題にし続けていた山岡俊介さんは謎の事故…。国内はさておき、世界に拡散中(https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/c1777c7973a737c55a9d935e31ca085c)」。
 アノ山口敬之氏には《安倍ヨイショ本『総理』(幻冬舎)》なんてのもありました。
 それよりも、『「安倍晋三」大研究』の方が面白いですよ。

   『●ヨイショ本・礼讃本『安倍晋三の真実』が伝えない、
        「#選挙妨害を暴力団に発注するアベ様」という事実
    《◇武富士事件と同様に記者クラブメディアは沈黙するが…》
    《また、警視庁が、犯歴情報という個人情報を消費者金融の武富士に流し、
     武富士からはお中元お歳暮などが出ていたほか、個人の信用情報を警察に
     流していた事件(いわゆる武富士事件)も、
     山岡氏は積極的に取材していた》
    《しかし、山岡氏自宅電話の盗聴を指示していたとして、武富士の
     武井保雄会長が03年12月2日、電気通信事業法違反容疑で逮捕され、
     形成は一気に逆転した》
    《国会という場で「早く質問しろよ! 」とヤジを飛ばし、挙げ句、
     市民に向かって指を指して「こんな人たちに負けるわけにはいかない」
     などと口走る、あの人が、“悪口を言わない”“意地悪をやろう
     と思ったことがない”って……。》

   『●『「安倍晋三」大研究』(望月衣塑子&特別取材班著)読了
     …《「なぜ安倍さんは〈噓〉をつくのか」という…疑問…》
    「《『安倍三代』…を書き上げた青木理さんは若き日の安倍晋三を
     評して「恐ろしくつまらない男だった」とし…》(p.83)、それが、
     今やニッポン国の首相。」

 財務省の公文書改ざん強制問題について、「2017年2月17日はアベ様のタンカ記念日」…「2023年3月3日は高市早苗元総務相のタンカ記念日」。数多のアベ様案件の一つ、《メディアコントロール》の下、「報道の自由」「知る権利」「権力の監視」を大きく委縮させた問題についての高市早苗元総務相のタンカ…。有耶無耶にしていいのか…(リテラ)《国民の「知る権利」を侵害するかたちでこのまま「真偽不明」で闇に葬られる可能性は高い》。さて、「捏造」でないことが分かった今、高市早苗氏の「タンカ」も、アベ様同様、有耶無耶になってしまうのだろうか…。
 日刊ゲンダイの記事【注目集まる放送法文書の真贋 総務省から怒りの内部告発続出!“安倍政権の膿”噴出の可能性】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/319629)によると、《放送法の政治的公平性の解釈を巡り、安倍政権が総務省に圧力をかけた記録とみられる「内部文書」の真贋に注目が集まっている。省内から入手した文書を基に「個別の番組に圧力をかける目的で法解釈を変えた」と追及する野党に対し、岸田内閣が「文書は捏造」「文書の正確性、正当性に疑義」と主張しているからだ。この政府の態度に、総務省内部から怒りの声が噴出。今後、内部告発が続出する可能性がある》。
 もう一つ、同紙の記事【総務省の内部文書に“クビ”を懸けた高市早苗氏の大誤算…行政文書認定でも「捏造」強調】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/319680)によると、《「捏造でなければ辞職」と威勢よくタンカを切ったものの、どうも旗色がよくない。高市早苗経済安保相にとっては誤算だったのではないか。放送法の政治的公平性の解釈をめぐり、第2次安倍政権が総務省に“圧力”をかけたとされる内部文書が注目を集めていたが、松本総務相が7日午前、「すべて総務省の行政文書であることが確認できた」と明らかにした》。
 さらにもう一つ、【放送法の公平性「番組全体を見て」は麻生太郎氏の04年国会答弁 安倍官邸に解釈“歪曲”疑惑】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/319656)によると、《放送法に基づく政治的公平性は「一つの番組」ではなく、「番組全体」を見て判断する――。麻生氏が国会でこう断言していたにもかかわらず、いつの間にか「一つの番組でも判断し得るケースがある」と変更されたわけで、小西氏が「都合のいい解釈に放送法が私物化されている」と指摘するのも当然なのだ》。

   『●「電波」な「凶器」高市総務相の暴走と
     「報道現場の声」: 「自粛」「忖度」「委縮」…が「内部から」
リンク   『●「2017年2月17日はアベ様のタンカ記念日」…さて、高市早苗氏の
     「タンカ」も、アベ様同様、有耶無耶になってしまうのだろうか、それとも…』
りんく   『●「2023年3月3日は高市早苗元総務相のタンカ記念日」…《「捏造文書
     でなければ大臣も議員も辞職するか」と問われて「結構ですよ」と答弁》』
りんく   『●《あのね、政治を考えるのに「中立」はないの。メディアの役目は「中立
     公正、不偏不党な報道」ではなく「権力の監視」なんです。それ、常識。》』

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https://www.chosyu-journal.jp/review/25992

映画『妖怪の孫』――安倍晋三がもたらしたのは美しい国か、妖怪が棲む国か? 監督・内山雄人
書評・テレビ評 2023年3月6日

 あれだけ世間を騒がせたモリカケ桜統一教会の問題も、今ではまるでなかったかのような空気をメディアが醸し出すなか、安倍晋三元首相やその背景を改めて検証することで、彼は日本になにをもたらしたのか、今の自民党や岸田政権はどこへ向かおうとしているのかを、ユーモアたっぷりに描いた映画『妖怪の孫』が完成した。制作したのは、菅義偉元首相のドキュメンタリー『パンケーキを毒見する』をつくった内山雄人監督とそのスタッフだ。その時々の実際の映像と、右左関係なく関係者に突撃インタビューした内容をつなぎ、そこに突っ込みを入れるという、マイケル・ムーアを彷彿とさせる手法をとっている。3月17日からの全国公開を前に、2月23日には特別限定上映会「サクラが見る会」が、一日にはマスコミ試写会がおこなわれた。映画『妖怪の孫』はなにを描いているのか――。


3月17日から全国上映開始

 映画は冒頭、「安倍さんはなぜ選挙に強いの?」と問いかける。確かに第二次安倍政権は選挙に勝ち続け、憲政史上最長の政権となった。

 一つのカギはメディア戦略で、野党に転落した自民党がもっとも重視した。大手広告代理店と手を組んで「T2」を立ち上げ、どんな話題をとりあげればネット・ユーザーが反応するか、選挙運動にどう反映させるかを研究し、若者対象のネットファンクラブもいち早く立ち上げた。

 そして、安倍政権になってからのメディアトップとの“濃厚接触”、頻繁な会食。「『ニューヨークタイムズ』の社長がオバマ大統領と食事することはありえないメディアの独立を冒すからだ政権と癒着すると読者の信頼を失う」とは、米国のジャーナリストの意見だ。

 安倍政権は選挙前、在京テレビ局に「報道の公正・中立」を申し入れた。日本のメディアの選挙報道量の調査では、衆院選のあった2005年が300時間をこえていたのに対し、同じく衆院選のあった2014年は50時間をこえた程度に激減。それに比例して投票率が、2005年の67・51%から2014年の52・66%(戦後最低)にまで落ち込んだ。メディアが萎縮して選挙報道を減らし、連動して投票率は低下し、自民圧勝が演出されたわけだ。

 安保法制強行採決のとき、ニュースキャスターの降板があいつぎ、高市早苗総務相(当時)の「電波停止」発言まで飛び出した。「報道の自由度ランキング」で日本は世界72位に。

 しかし冷静に見れば、権力者の横暴は世の常。問題は、政権を監視する役割を持つはずのメディアの側があまりにも腰砕けで、政権とズブズブの関係になっていることだ。そもそも『朝日』『読売』『毎日』にせよ、NHKにせよ、日本のメディアは戦時中、天皇制政府の情報局の中枢におり、「鬼畜米英」「一億玉砕」を煽って国民の犠牲を増やした側だ。それが敗戦後、新聞社の解散を免れてその体質を温存したまま、対米従属下の政府広報紙になって今に至る。

 メディアの問題といえば、映画の中に出てくる霞ヶ関の現役官僚たちの覆面座談会には、思わず身を乗り出した。財務省の公文書改ざん問題が論議されるなか、「マスコミにネタを提供しても、新聞社内で通らないんだ。社内で握りつぶされる。ひどいですよ。場合によっては自分が通報されてるんじゃないかという気すらした」「マスコミには二重スパイがいて、マスコミにいろいろ聞かれたことがいつの間にか上司に伝わっていて、身の危険を感じたことがある」。心ある有能な新聞記者たちが大手新聞社を次々に去っていくはずである

 安倍晋三が強いわけではない。「選挙に勝てば正義」という理屈だが、憲政史上最長の政権は、メディアと野党に支えられた砂上の楼閣だ、問題は国民がそれに気づくことなのだ、とのメッセージを受け止めた。


岸信介から続く系譜

     (「昭和の妖怪」と呼ばれた岸信介)

 次に「安倍さんはどんなふうに育ってきたの?」に画面は移る。

 長年安倍晋三を取材してきた年輩のジャーナリスト。机の上にはオフレコの取材メモの山。安倍晋三の生育過程について、いったいなにが明かされるのか。

 「(小さい頃)あの子は強情で、一度いい出したら聞かない子だった」
 「宿題やったの? といったら、やったよというが、ノートを見ると真っ白だった」
 「(両親の愛情不足から)かまってほしいタイプ」
 「中学生になっても乳母のふとんにもぐりこんでいた」
 「(大学生のとき)大学校内をアルファロメオで走っているバカがいると評判になった」
 「勉強はしなかった。卒業できたのは“要領”だといっていた」

 このジャーナリストが示した安倍晋三の本音の政治信条とは、「要領のいい演出家」。みせかけ政治とやってる感。「アベノミクスもやってる感なんだから。成功とか不成功とかは関係ない」。ちょっと軽すぎないか? こうした幼少期からの自分の弱さやコンプレックスを隠して、安倍晋三が目標としたのは誰か?

 父方の祖父は安倍寛で、戦時中は大政翼賛会に抗って出馬し当選した、反骨と平和主義の人として地元では信頼が厚い。しかし彼がめざしたのは、それとはまったく方向性が異なる、「昭和の妖怪」と呼ばれた母方の祖父・岸信介だった。

 岸は戦前、満州国経営の中心人物の一人で、東条内閣の閣僚の一員。戦後はA級戦犯として投獄されるが処刑を免れ、米国に拾われて、出獄からわずか9年で首相に登り詰めるCIAとの癒着もとり沙汰された。やったことは日米安保条約改定で、「米国の戦争に巻き込まれる」と全国的な60年安保反対闘争が巻き起こった。

 「なんでも一番でないと気が済まない安倍晋三さんは、憲法改正をやって岸信介をこえようと思ったんだ」


安倍8年とは何だったか

     (映画『妖怪の孫』の一場面)

 そんな安倍晋三が手を染めたのがモリカケ桜集団的自衛権安保法制統一教会との関係も、安倍政権8年で一気に強まった。

 「もし私や妻がかかわっていたのなら、総理大臣も議員も辞める」といって財務省近畿財務局職員の赤木俊夫氏を自殺に追い込み、「ウソなんかつくわけないじゃないですか」といって虚偽答弁を118回おこなった、安倍晋三元首相。「知りうる立場にあったが、実際には知らなかった」など、かなり無理のある国会答弁の映像が続く。

 これも霞ヶ関の官僚たちの覆面座談会だが、財務省の公文書改ざんについて、「個人的にはものすごくショックだった。総理が平気で嘘をつくのだから。そして赤木さんがあんなことになって…」と語る言葉に無念さがにじむ。

 「国民の公僕として本当に正しいことを直言する、という精神文化はまったく失われた。ポーンと首が飛ぶのだから。それを露骨にやり始めたのが安倍政権」「今の政権の方向性と違うことは一切考えるなと上司からいわれた」

 さらに安倍政権は、それまで歴代政権が認めてこなかった集団的自衛権の行使を、内閣法制局長官をかえ、解釈改憲の閣議決定をして、行使容認に転換させた。これについても「今までの判例や学説をすべてひっくり返すようなものだ。自分の仕事をやるのがバカバカしくなる」「時の総理大臣がルールを無視してテロをやるんだ」と憤懣やる方ない。

 安倍政権8年で、三権分立や法治国家といった国のあり方をぶっ壊してしまった。これに対して霞ヶ関の官僚のなかでも、いかに「いいかげんにしろ!」の思いが渦巻いているか。このあたり、ぜひ本作をみてほしい。

 自民党と統一教会との関係も、「安倍さんが仲いいんだから、つきあわなかったら怒られる」(自民党議員)。統一教会と関係の深い議員が大臣やさまざまな役職に就き、国政に影響を与えてきた。きっかけは2009年、全国で統一教会の霊感商法が摘発され、渋谷区松濤の本部教会へのガサ入れも秒読みになったとき、止めたのが警察官僚出身の亀井静香だった。その後、第二次安倍政権では国家公安委員長に統一教会と親しい議員が次々と就任し、警察の捜査がゆがめられたいまだに統一教会関係議員はおとがめゼロだ

 「政策がゆがめられた」のは、財界との関係でも同じ。自動車業界や化学業界など、自民党への大口献金が多い業界ほど、政策減税の恩恵が大きいことが数字にあらわれているアベノミクスの結果、「賃金は上がらず、トリクルダウンは起こらなかった」(岸田首相)。一人当りGDPで日本は世界27位まで急降下し、先進国から脱落した。


火炎ビン事件の真相も

 では、「安倍さんの選挙区はどうなっているのか?」

 江島潔が下関市長であった時期、多くの公共事業の入札で官製談合が疑われたが、そのなかで安倍晋三ととくに関係の深い業者にかかわる入札といわれたのが、奥山工場ごみ焼却施設建設工事、新環境センター・リサイクルプラザ建設工事、下関市社会教育複合施設(ドリームシップ)整備運営事業の三つだ。映画では当時の本紙の記事を紹介しながら、なにがおこなわれていたのかに迫っていく。

 このうち奥山工場ごみ焼却炉(落札価格110億925万円)とリサイクルプラザ(59億9550万円)は、安倍晋三の出身企業といわれる神戸製鋼を指名した入札で、ドリームシップ(下関市生涯学習プラザ)は安倍晋三の実兄が支社長(当時)をしていた三菱商事中国支社が落札した。

 「私物化は昔からだった」。こうして彼らが利権をあさった結果、首相お膝元の下関は全国トップクラスで人口減少が進む街となった。閑散とした街の姿をカメラが映し出すのを見ながら、郷土を豊かにできない政治家が国を豊かにできるわけがない、と改めて考えさせる。

 1999年の下関市長選で、安倍事務所が推す江島潔に対抗した古賀敬章に対して、「あいつは北朝鮮とつながっている」と誹謗中傷するビラをヤクザに配らせたあげく、その報酬を安倍事務所がケチったことに腹を立てたヤクザが、安倍晋三宅などに火焔瓶を投げ込んだ事件があった。映画では、この問題を国会の場で、山本太郎(当時、自由党)が「民主主義の根底をひっくり返すような、相手候補に対する選挙妨害を発注した」と追及する場面が出てくる。安倍晋三は関与を否定したが、画面には、安倍事務所秘書の直筆の名前「竹田」が記された念書が映し出された。

     (安倍事務所への火炎瓶投げ込み事件の捜査現場
      (2000年6月28日、下関市))


この国に棲みついた妖怪とは

 映画のなかでときどき登場する風刺絵本(マンガに吹き出しがついたもの)。安倍晋三がもたらしたのは「美しい国」ではなく、妖怪が棲みついた国だった。

 「電車に乳母車を押して乗ってくるな!」「近所に保育園を建てるなんて、子どもの声がうるさいじゃないか!」。これは妖怪「不寛容」にとりつかれている人たち。
 「大学に入れないのも、就職が見つからないのも、結局自己責任なのさ」というのは妖怪「慈虚(じこ)責任」で、能力主義から傲慢さが増幅し、自信を失った者はもっと自虐的になる。
 隣に自分勝手な人が住んでいると、「ウチの生活を守るんだ」と勝手にエスカレートしてミサイルなどを次々に購入し、最後には自爆してしまう家族。これは妖怪「セメ・テクール」の影響だ。

 いつから日本人は、周りの人に深い思いやりを持ったり、弱きを助け強気をくじく美風を忘れてしまったのか。この種の妖怪にとりつかれて、気分・感情を蝕まれてはいないか。まったく他人事ではない。

 とはいえ、ラストはいたって真面目。自民党の改憲案は、「憲法は政治権力を縛るもの」という立憲主義を逆転させて、国民を縛るものにかえている。そして、憲法九条の「必要最小限の防衛力」を「必要な防衛力」にかえ、際限のない軍拡に進もうとしている。岸信介や安倍晋三が残したものは、戦争への道だった。最後の場面、監督が自身の幼い娘をひきあいに出しつつ、次世代のために平和な社会を残すのはわれわれ大人の責任ではないかと問いかけて終わる。

 17日より新宿ピカデリーなど全国で上映が始まる。上映時間115分、『妖怪の孫』製作委員会。制作・テレビマンユニオン、配給・スターサンズ。


■ 内山雄人監督インタビュー

 ――なぜ今、この時期に『妖怪の孫』を世に問おうと思ったのか?

     (内山雄人監督)

 内山 この映画の企画自体は安倍さんが亡くなる前から動いていた。しかし、牽引者であったスターサンズのプロデューサー・河村光庸氏が亡くなり、安倍さんも亡くなって、映画自体が頓挫しかかった。

 そうした紆余曲折をへたわけだが、「なぜ今」といわれれば、一つは統一地方選が近いということがある。そこに向けて意識を喚起してもらいたいという思いがあった。同時にこの年明けから、岸田政権が閣議決定を含めてかなり強引に物事を進めていく姿勢を一気に強めた気がしたし、その背景には安倍政権から引き継いでいるものが大きいと感じている。

 そこで、この映画は早くみなさんに知ってもらった方がいい、そして今の軍拡だとかマイナンバーだとか、国民が置いてきぼりをくいながらどんどん進んでいくことへの危機感をなんとか共有できないか、みんなが気づかないといけないんじゃないかという気持ちがあって、このタイミングでの公開になった。

 そして、テレビがこういう発想におよそ至らなくなっているという現実をすごく感じる。安倍さんが亡くなった後、安倍政治の10年の功罪を検証する特番やスペシャルがどんどん出てきておかしくなかったが、それがまったくなかった。国葬のタイミングでやるかと思っていたら、それもなかった。あまりにもそういうことをテレビが避けている。

 ただ僕の今回の作品は、「検証」とか「総括」というニュアンスで受け止められがちだが、僕のアプローチは上から目線で安倍さんに切り込むというのとは違っている。僕はテレビで当時は伝えられなかった、したがってみんなが知らなかった安倍さんの一面をもう一度見つめ直そうという姿勢で臨んでいる。自民党のメディア戦略というのもテレビでは扱えないことだけど、それを表に出すことでテレビの限界ということも知ってほしいし、そこで知らなかった安倍さんに出会えるといいなと思っている。


 ――この映画をつくるうえで心がけたこと、気をつけたことは?

 内山 僕らに対して、「アベガー」みたいに安倍さんを批判するために映画をつくっていると見られることはまったくの誤解なので、まずそこを理解してほしい。

 僕自身はテレビマンとしておもしろいもの、視聴者の興味をひくものを提供したいという思いがある。ただ権力を監視するという姿勢は持っていたい。たとえば現役官僚の座談会で、赤木さんが亡くなって官僚のみなさんはどんな気持ちだったのか、この10年間で官僚組織がどう変わったのかを語っていただいたが、それはびっくりすることでもあるし、ほんとの気持ちを少しは伝えることができたかなと思っている。ああそうだったのか、あのときはこうだったのか、と謎解きみたいなことが一つ一つできたらいいなという思いの方が強いので、「糾弾する!」とか「安倍やめろ!」というようなスタンスはまったくとっていない。

 ただ、「こんな人たちに負けるわけにはいかない」という安倍さんの言葉は、それは一国の総理がいう言葉だろうかという疑問があるからとりあげる。しかし、それを「よくないじゃないか」とは提示せず、見ている人がそれを受け止めて考えてもらえばいいと思っている。


 ――映画のなかで、マンガで書かれた人たち(風刺絵本)を通じて、安倍政治の国民の心への浸透をとり上げている。

 内山 「不寛容」とか「忖度」とか、なにかこの10年の間にわれわれがおかしな空気にとりつかれているような気がして、それが妖怪の魔力の影響だと描いている。身近にこんなことたくさん起きてるなと、風刺として受け止めつつ、「あれ、自分もそうだな」と気づいてもらえたらなと思っている。


 ――今から映画館に足を運ぶ方に一言。

 内山 知らなかった安倍さんに出会えるというつもりでみてもらえたらと思っている。同時に、今の自民党政権の背景というものがわかるし、LGBTの問題とかいろんな問題がつながってきて、今起こっている問題を紐解くヒントが見えてくるのではないか。今の岸田政権の背景が見えてくると思う。


【リンク】映画『妖怪の孫』公式サイト
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●『エルピス』《政権にダメージを与えかねないスクープを自社では報じられず、「後追いならできる」という理由で週刊誌などにネタが…》

2023年01月24日 00時00分32秒 | Weblog

[※ 「自民党と旧統一教会の闇」(週刊金曜日 1386号、2022年07月22日) ↑]


(2023年01月10日[火])
癒着の根幹》…アベ様と統一協会のヅボヅボな関係。その話がほとんどされなくなっている。名称変更問題は? 票の差配問題は?? 数多のアベ様案件と同様に、このまま有耶無耶のままで良いのでしょうか? このまま、ニッポンの「政」がヅボヅボな議員やヅボヅボ党の下駄の雪党の議員らに支配されていていいのだろうか。どんだけニッポンの政を歪めてきたのか。彼らを一掃する以外に、ニッポンが救われる道はあるのだろうか。そんな両党の議員になりたいとか、そんな両党の議員を支援したい、という人たちの気が知れないね。

   『●悍ましい構図…さらには、アベ様が票の差配までするほどズブズブ
       ヅボヅボだった訳ですが、そんな自民党に投票するとはねぇ…
   『●票の差配をするほどズブズブヅボヅボなアベ様という壺の蓋…《壺の蓋が
            吹っ飛んで…中から…熟成された汚物が出てくる、出てくる…》
   『●統一協会事件と教育破壊…《安倍の出身派閥・清話会の指定席》な文科相
      の系譜の酷さ…《下村博文、馳浩、松野博一、…柴山昌彦、萩生田…》
   『●統一協会名称変更問題…《実体が変わらないのに、名称を変えることは
        できない》はずなのに、《あり得ない》ことがなぜ可能になったの?
   『●村上誠一郎議員の発言よりも、統一協会票の差配等々のアベ様案件こそ
      が《国賊》であり、《党員の品位を汚す行為》だと思いますが?(1)
    「リテラ…【岸田はおかしくなっている! 性差別発言や統一教会擁護の
     極右安倍応援団・小川榮太郎をブレーンに 国葬も小川の進言か】」
    《ここで語られている阿部正寿氏は「世界戦略総合研究所」の会長であり、
     安倍元首相と阿部氏が握手する写真も残されているが、小川氏は
     この阿部氏と「1年に何度か会う」仲だというのである》

   『●村上誠一郎議員の発言よりも、統一協会票の差配等々のアベ様案件
      こそが《国賊》であり、《党員の品位を汚す行為》だと思いますが?(2)
   『●新年こそは、まともな国に生まれ変わることを切に願う ――― 素晴ら
      しい国にならなくてもいいので、〝まともな国〟になってほしいだけ

 リテラの記事【統一教会最古参元幹部が安倍晋三と教団の深い関係をテレビで激白! 総理復帰を決意させた「高尾山登山」にも深く関与】(https://lite-ra.com/2022/12/post-6254.html)によると、《しかし、自民党および岸田政権は、癒着の根幹にかかわる安倍元首相と統一教会の関係について調査することすら拒絶したまま。当初は一部メディアでは追及の姿勢を見せていたものの、いつの間にか尻すぼみとなり、いまではまるで終わったことのように扱われている。だが、そんななかにあって、28日放送の『報道1930』(BS-TBS)では、あらためて安倍三代と統一教会の関係について検証。しかも、統一教会の最古参元幹部である阿部正寿氏が、なんと初めてカメラの前で証言をおこなったのだ》。
 この記事の結び近く、《ドラマ『エルピス─希望、あるいは災い─』(フジテレビ系)で描かれていたのとまったく同じ、政権にダメージを与えかねないスクープを自社では報じられず、「後追いならできる」という理由で週刊誌などにネタが持ち込まれるというパターンなのではないのか。安倍元首相銃撃事件に端を発した「統一教会と自民党の関係」という重大事を、このまま闇に葬るなんてことは許されない》。

   『●《権力の横暴とそれに従属するマスコミの報道姿勢への問題意識を燃料に
       書いてきた──。脚本家がそう明言するドラマが、地上波で放送…》
   『●【<土曜訪問>表現の幅、狭めない 冤罪事件から着想 ドラマ「エルピス」
          で脚本 渡辺あやさん(脚本家)】(東京新聞・石原真樹記者)

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https://lite-ra.com/2022/12/post-6254.html

統一教会最古参元幹部が安倍晋三と教団の深い関係をテレビで激白! 総理復帰を決意させた「高尾山登山」にも深く関与
2022.12.29 09:25

     (『報道1930』で証言した統一教会最古参元幹部)

 今年国内で起こった最大の事件は、何と言っても安倍晋三・元首相の銃撃事件、そして銃撃事件をきっかけにし、安倍元首相を中心とする自民党と統一教会の癒着関係が暴かれたことだろう。

 しかし、自民党および岸田政権は、癒着の根幹にかかわる安倍元首相と統一教会の関係について調査することすら拒絶したまま。当初は一部メディアでは追及の姿勢を見せていたものの、いつの間にか尻すぼみとなり、いまではまるで終わったことのように扱われている

 だが、そんななかにあって、28日放送の『報道1930』(BS-TBS)では、あらためて安倍三代と統一教会の関係について検証。しかも、統一教会の最古参元幹部である阿部正寿氏が、なんと初めてカメラの前で証言をおこなったのだ。

 阿部氏は、文鮮明氏が1969年に初めて日本でおこなった合同結婚式参加した「12双」のひとりで、統一教会草創期からの信者。国際勝共連合の事務総長のほか、1970年に岸信介元首相が大会推進委員長を務めた世界反共連盟の世界大会では責任者を務めるなど、日本の統一教会を語る上で外すことのできない最重要人物のひとりだ。

 今回、阿部氏は“統一教会による多額の献金で苦しむ信者たちのためにインタビューに応じた”とし、実権を握る韓国本部が日本の教団に多額の献金を求めていることに対して怒りを見せ、「日本人をコケにしている。私は許せない」「日本の超党派で調査団を韓国に派遣すべき。献金の実態を調査すべき」と提言。文鮮明氏についても「教祖として尊敬はしている」としながらも「心の中ではこの人は相当反日だと思っていました」と語った。

 しかし、今回成功した阿部氏の独占インタビューでもっとも注目すべき点は、安倍元首相と統一教会の接点について語られた部分だ。

 というのも今回、阿部氏は、いかに統一教会が安倍元首相とのパイプを重要視していたのか、さらに阿部氏が安倍元首相を再び総理に返り咲かせるために尽力したかを、赤裸々に語ったからだ。

 統一教会が安倍晋三氏に接近した理由。それは「安倍晋太郎と文鮮明に約束があったから」だと阿部氏は言う。

「安倍総理のお父さんの安倍晋太郎さんとうちの久保木(修己・統一教会初代)会長は仲良かったんです。文先生は安倍晋太郎さんに言った。あなたがもし自民党総裁、首相になったら、まずは韓国に来たときは、大統領官邸に行くんじゃなくて、文先生の自宅がある漢南洞に挨拶に行きなさい。それと日韓トンネルを応援しなさい。約束したんです」

 統一教会初代会長と仲を深め、総理になったら日韓トンネルを支援するなどといった約束を文鮮明教祖と交わしたという晋太郎氏。だが、晋太郎氏は総理大臣の座に就くことなく病死。そこで、約束の遂行のために後継者である晋三氏を応援したというのだ。阿部氏はこう語る。

「安倍晋三個人は全然知らないんだから。でも、文先生と約束した安倍晋太郎の息子だったら、その使命は残っているはずだから、絶対に(総裁を)安倍晋三にすべきである」


■安倍晋三に総理復帰を決意させた「高尾山登山」にも統一教会関係者がこぞって…

 阿部氏は文鮮明氏に信者の獲得を命じられイギリスやイスラエルで布教活動をおこない、日本に戻ってきたのは2010年だったという。そう、まさに安倍晋三氏が下野していたときだった。

 絶対に安倍晋三を総裁・総理にしなければならない。そこで阿部氏は、自身が会長を務める統一教会系の政策シンクタンク「世界戦略総合研究所」で安倍元首相を招いて講演会を開催したほか、「気落ちする安倍元首相を励ますため」に高尾山の登山を企画したという。

 この阿部氏が企画したと言う「高尾山の登山」というのは、2012年4月30日におこなわれたものだ。「安倍元首相にもっとも近いジャーナリストのひとり」と呼ばれてきた元TBS記者の山口敬之氏は、安倍ヨイショ本『総理』(幻冬舎)のなかで、この2012年4月の高尾山登山を〈重要な変化を与えたイベント〉〈5カ月後の総裁選に向けて一つの転機となった〉と記している。

 しかし、山口氏はこの登山について、企画したのは第二次安倍政権で首相補佐官と内閣広報官を務めた長谷川榮一氏であり、〈フェイスブック上で、「安倍元総理と一緒に登りませんか」と一般国民に呼びかけた〉と記述。〈フェイスブックの呼びかけを見てやってきた300人はいようかという登山者が、安倍の周りで大きな塊を作った〉〈安倍に掛けられる声はどれも温かった〉〈安倍と昭恵は、満面の笑みで記念撮影の求めに応じ、握手をし、言葉を交わした〉としている。

 だが、この安倍元首相に総理復帰を決意させた高尾山登山について、阿部氏はこう語ったのだ。

私たちが若者たちを300人ぐらい集めてですね、『安倍先生、もう一度立ってください私たちは応援しますよ。そのときね、安倍さんは『自分は日本国民に迷惑をかけたから、それはできないんだ』と言ったんだけど、いや、そんなことなくて、やっぱり安倍先生あなたしかいないんですよね。(安倍氏は)自分を支えてくれる人がすごいいるんだったら、自分ももっとやっていいと思えて、もう一度ね、選挙出て、それで彼は立ったんだ」

 よほど思い出深いのか、ときに声を震わせ、涙ぐみながらこのエピソードを語る阿部氏。つまり、阿部氏の主張では、安倍元首相を励ますために駆けつけた300人というのは、文鮮明との約束を遂行させるために是が非でも安倍氏を総理に返り咲かせようとしていた統一教会の力によって集められた、というのである。

 実際、この日の登山には統一教会系の人脈が参加していたことが確認されている。たとえば、「世界戦略総合研究所」の事務局次長である小林幸司氏や筆頭理事の加藤幸彦氏も参加。小林氏はその後、2013年〜2016年の「桜を見る会」に4回連続で招待されている人物だ。さらに、安倍応援団のひとりである小川榮太郎氏も参加していたが、小川氏と阿部氏は「1年に何度か会う」仲であることを小川氏自身が認めている。また、高尾山がある八王子の統一教会とのズブズブの関係が明らかになっている萩生田光一氏も、安倍元首相一行と下山後に合流したことをブログに写真付きで記している。

 小川氏は「高尾山登山は私が仕切ったもの」と主張しているが、誰が仕切ったのかどうかは別として、少なくともこの登山に統一教会系人脈が流れていたことは事実だ。さらにいえば、安倍元首相を励ますための登山には、前述した長谷川榮一氏や首相秘書官を務めた今井尚哉氏、内閣情報官や国家安全保障局長を歴任した北村滋氏といった第二次安倍政権を支えた官邸中枢の人物がかかわっていた。もし、本当に阿部氏が300人もの若者を集めたのが事実であれば、その後の側近たちは皆、安倍氏と統一教会の関係や、その関係の重要性を理解していたことになるだろう。


■自民党本部と統一教会の深い関係を追及するスクープが潰されたとの情報も…

 このように、安倍元首相と統一教会の関係を追及する上で重要な証言が飛び出した、今回の『報道1930』。自民党と統一教会の関係を清算する上で、安倍元首相と統一教会がいかに関係を結んできたのかという事実の解明は欠かせないものだ。そして、継続した取材がいかに重要か、今回の『報道1930』は示したともいえる。追及すべき人物や事柄はまだまだある。追及をつづけることで、新たな証言を得て事実を明らかにすることはできるからだ。

 だが、残念ながらどうやら大手メディアは相当、及び腰になっているようだ。

 というのも、27日に配信されたYouTube番組「Arc Times The News」では、ゲスト出演していた有田芳生氏が「ある新聞社が、自民党本部にかなり統一教会が入り込んでいたというスクープを記者が書こうとしたら、ストップがかかったというのですよ」と発言。有田氏は「1月1日に大スクープで出るんじゃないか」と期待を寄せていたが、司会を務める元朝日新聞記者・尾形聡彦氏は「僕が聞いている範囲では逆ベクトル」と言い、このままスクープが潰されてしまうのではないかという見方を示していた。

 有田氏は「そこ(新聞)で出なかったら(別媒体で)必ず出る」とも述べていたが、これは先日最終回を迎えたドラマ『エルピス─希望、あるいは災い─』(フジテレビ系)で描かれていたのとまったく同じ、政権にダメージを与えかねないスクープを自社では報じられず、「後追いならできる」という理由で週刊誌などにネタが持ち込まれるというパターンなのではないのか

 安倍元首相銃撃事件に端を発した「統一教会と自民党の関係」という重大事を、このまま闇に葬るなんてことは許されない。統一教会の問題点をメディアが放置し、安倍元首相のビデオメッセージ問題もスルーしたことで「空白の30年」は生まれたとされているが、来年こそメディアは「追及すること、報道すること」でその責任をとってほしい

(編集部)
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●《「世界で最も影響力のある100人」(TIME100)…伊藤詩織さんと…大坂なおみ選手》、一方、杉田水脈議員がまたしても暴言

2020年10月10日 00時00分31秒 | Weblog

[※《自助》大好きオジサン・元最低の官房長官と学商 (日刊ゲンダイ 2020年9月7日 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/278353)↑]



小田健司氏による、AERAのインタビュー記事【「政治は希望であってほしい」 親安倍派からバッシング受け続けた伊藤詩織さんの新政権への思い】(https://dot.asahi.com/aera/2020091800086.html)。
リテラの記事【伊藤詩織さんが「TIME」誌の100人に…一方で菅首相が山口敬之氏への資金援助を親密企業「ぐるなび」会長に依頼していた疑惑】(https://lite-ra.com/2020/09/post-5646.html)。

 《性暴力被害を訴えた伊藤詩織さんの事件で、準強姦容疑で告訴された元TBS記者に逮捕状は出たが、執行されず官邸によるもみ消しが疑われた。執行されなかった経緯は安倍政権が残した疑惑の一つになっている。伊藤さんは、安倍政権の「負の遺産」を引き継ぐ菅新政権をどう見ているのか》。
 《本日、アメリカの「TIME」誌が、毎年恒例となっている「世界で最も影響力のある100人」(TIME100)を発表し、日本からはジャーナリストの伊藤詩織さんとテニスの大坂なおみ選手が選ばれた》。

 これもアベ様案件、かつ、元・最低の官房長官が裏で暗躍…金子勝さんの言葉が再び蘇る。《権力に近ければ、罪を犯しても逮捕されない…公安警察・検察が安倍政権を支配していることに事の本質》…コレも《継承》される。《伊藤詩織さんの告発によって、性暴力被害者を取り巻く環境がいかに過酷であるか、警察・司法がいかに異常な状態にあるかということにスポットが当たるようになったが、同時に、これは権力によって性犯罪の加害者の逮捕が取り消されたのではないかという法治国家の根幹を揺るがす重大事でもある。そして、国際的にも注目されるこの問題への関与が濃厚な人物が、またも総理大臣の座に就いてしまったという現実……。》

   『●金子勝さん《権力に近ければ、罪を犯しても逮捕されない…
     公安警察・検察が安倍政権を支配していることに事の本質が》
    「金子さんは、《公安警察・検察が安倍政権を支配していることに
     事の本質がある》と言います。《権力に近ければ、罪を犯しても
     逮捕されない…、特捜部は数々の政治案件を見逃してきた
     …秋元逮捕は検察捜査に客観的基準がないことをかえって露呈させた。
     公正なルールがなければ、産業も経済もまともに機能しない》とも。
      一方、青木理さんは《…本来は一定の距離を保つべき政権と警察・
     検察が近づき過ぎるのは非常に危うい
     民主主義国家として極めて不健全な状態と言わざるを得ません》」
    《伊藤詩織さんの性暴力被害を
     めぐっては、加害者の山口敬之元TBS記者が北村に泣きつき、
     警視庁の中村格刑事部長(当時)が逮捕状執行を止めた
     と報じられている。権力に近ければ、罪を犯しても逮捕されない
     その異常さはBBCなど海外メディアに報じられた》

 東京新聞の記事【共産田村氏「怒り抑えられない」 社民は議員辞職求める】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/57804)によると、《共産党の田村智子政策委員長は25日の記者会見で、性暴力被害に関する自民党の杉田水脈衆院議員による「女性はいくらでもうそをつけますから」との発言を強く非難した。「怒りを抑えられない被害者が泣き寝入りせずに相談できるようにする動きを妨害する、許し難い発言だ」と述べた。杉田氏が過去、性暴力被害者らへの差別的な発言を繰り返してきたと指摘。「何ら反省がない」と強調した。社民党の吉田忠智幹事長も談話で、杉田氏が2018年にLGBTなど性的少数者を「生産性がない」と指摘した経緯に触れ「国会議員としてふさわしくない自ら進退を決するべきだ」と議員辞職を求めた》。
 そしてまたしても、お約束な例の杉田水脈衆院議員の暴言・暴走。比例代表(名簿1位)ですから、無《責任政党》に責任…そして、無《責任政党》に投票した方々、その結果がこの有様です。
 「息吐く様にウソをつく」アベ様について、「アベ様はいくらでもうそをつけますから」の間違いでは?

   『●伊藤詩織さんによる民事裁判「私たちが勝利しました」、
     山口敬之氏の高額「反訴」は棄却…なぜ刑事事件で裁けなかった?
   『●山口敬之氏事件…《逮捕寸前までいった事件が、このように
         “ブラックボックス”のなかに押し込められてしまった》
   『●法的措置…《山口氏を“被害者”に仕立て上げて…伊藤さんを毀損
         …性被害サバイバーや社会に「沈黙」を強いる恫喝的攻撃》
   『●伊藤詩織さんの《表明は、この現状に一石を投じ、社会を改善へ

     と向かわせるものになるはずだ》…それが、いま、提訴につながった
   『●「フィクション」「伊藤さんと関係ない」は通用せず。一方、アベ様を
      《サポート》するための《Truth》無き《Team》《Club》は一体何を?
   『●杉田水脈衆院議員、《一体、だれがこんな人物を国会議員にしたのか》
     (日刊ゲンダイ)…悪夢のような無《責任政党》やその総裁らの無責任

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https://dot.asahi.com/aera/2020091800086.html

「政治は希望であってほしい」 親安倍派からバッシング受け続けた伊藤詩織さんの新政権への思い
2020.9.22 08:00 AERA

     (伊藤詩織さん(31)/ジャーナリスト。元TBS記者を準強姦容疑で
      告訴し、逮捕状が出たが執行されず官邸によるもみ消しが疑われた。
      元記者は否定。執行されなかった経緯は安倍政権が残した
      疑惑の一つに(撮影/編集部・小田健司

     (AERA (アエラ) 2020年 9/28 増大号【表紙: 齋藤飛鳥・山下美月・
      梅澤美波 (乃木坂46)】 [雑誌])

 性暴力被害を訴えた伊藤詩織さんの事件で、準強姦容疑で告訴された元TBS記者に逮捕状は出たが、執行されず官邸によるもみ消しが疑われた。執行されなかった経緯は安倍政権が残した疑惑の一つになっている。伊藤さんは、安倍政権の「負の遺産」を引き継ぐ菅新政権をどう見ているのか。AERA 2020年9月28日号の記事を紹介する。

*  *  *

──菅義偉氏が路線を継承するという安倍政権下では、数々の疑惑がありました。伊藤さんの周辺でも、官邸の関与が疑われる案件が起きました。

 2015年に元TBS記者から性被害に遭い告訴しました。逮捕状が出たのですが、結果的に執行はされませんでした。刑事は不起訴となり、民事は一審で勝訴しましたが被告が控訴して係争中です。逮捕状については、なぜ執行されなかったのか説明を求めてきましたが、いまだに原因は分かりません。

──当時警視庁刑事部長だった中村格・警察庁次長が執行を止めたと報じられています。中村氏は菅氏の元秘書官で、告訴した男性は安倍総理と非常に近い記者でもありました。

 官邸の関与については私の方からは何とも言いようがありません。ただ、突然、刑事部長の判断で執行が止まったという話は、誰に尋ねても「聞いたことがない」と言います。「なぜわざわざ刑事部長が?」という疑問もあります。説明は今でもしてほしいと考えています。このようなことは個人として経験した問題ですが、今後他の人にも同じことが起きるのでは、と心配しています。


■分断が生むバッシング

──事件は政治的な色みも帯びて、伊藤さんは“親安倍派”と言われる人たちから強いバッシングを浴びました。なぜだと考えましたか。

 18年に事件を扱ったドキュメンタリー番組が英国のBBCで放送されました。大きな反響があったのですが、日本で受けたような批判は出ませんでした。ここまで受け止められ方が違う理由は、日本国内での政治的な分断にひも付いているのかなと感じています。「こんな訴えを起こすなんて伊藤詩織は朝鮮人だ」というデマまで流されましたどこの国の人間かは事件に関係ないのに、そのようなデマが出たこと自体が不可解に感じました。

──分断を生んだ安倍政権を引き継ぐ菅氏は、日頃の会見でも質疑がかみ合いませんでした。事件を通じて権力とメディアとの関係をどう考えましたか。

 メディアの役割は権力の番犬」だと思いますが、日本の記者会見を見ているとどういう姿勢で彼らが番犬としての役割を果たしているのか、と疑問に思うこともあります。日本の「報道の自由度」のランキングが低いのも、こうしたことに根ざしているのだと思います。

──ご自身の事件とは関係なく、今回の総裁選ではどのような点に注目されていましたか。

 政治は人々の希望であってほしいと願っています。コロナ禍では多くの方々が大変な状況に追い込まれていますが、ぜひ迅速で的確な対応をしてもらい、国民ひとりひとりが政治に希望を感じられるような政権運営をお願いしたいと思っています。

(聞き手/編集部・小田健司

※AERA 2020年9月28日号
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https://lite-ra.com/2020/09/post-5646.html

伊藤詩織さんが「TIME」誌の100人に…一方で菅首相が山口敬之氏への資金援助を親密企業「ぐるなび」会長に依頼していた疑惑
2020.09.23 09:05

     (首相官邸HPより)

 本日、アメリカの「TIME」誌が、毎年恒例となっている「世界で最も影響力のある100人」(TIME100)を発表し、日本からはジャーナリストの伊藤詩織さんとテニスの大坂なおみ選手が選ばれた。

 周知のとおり、伊藤さんは2017年に「安倍首相にもっとも近いジャーナリスト」と呼ばれていた元TBS記者・山口敬之氏からの性暴力を告発、民事訴訟では一審の東京地裁で山口氏に全面勝訴(山口氏は東京高裁に控訴)。同時に、伊藤さんは世界的な「#MeToo」運動の流れのなかで海外メディアの取材にも応じ、抑圧や沈黙を強いられがちな性暴力被害について声をあげつづけてきた。

 そして、今回の「TIME100」への選出──。「TIME」では伊藤さんの紹介文を上野千鶴子・東京大学名誉教授が執筆し、「性的暴力を勇気をもって告発したことで、日本人女性の人生を一変させた。政権に近い被告人は刑事訴追を免れたが、伊藤さんは12月に民事訴訟を勝ち取った」などと綴っている。

 だが、この栄えある選出とともにいま一度、確認することが必要なのは、この山口氏の性暴力を隠蔽しようと逮捕状のもみ消しを命じた人物が、あろうことか現首相である菅義偉氏だとみられていることだろう。

 あらためて振り返ると、伊藤さんからの相談を受けて、当初、捜査を担当していた高輪署の捜査員は山口氏の逮捕状をとり、2015年6月8日、山口氏を逮捕すべく複数の捜査員が成田空港で山口氏の帰国を待ち構えていた。ところが、この逮捕直前に上層部からストップがかかった。そして、この逮捕取りやめを指示したのが、第二次安倍政権発足時に菅官房長官の秘書官を務め、報道に圧力をかけるなどの実働部隊として暗躍し“菅氏の懐刀”と呼ばれてきた当時の中村格・警視庁刑事部長(現・警察庁次長)だった。事実、中村氏は「週刊新潮」(新潮社)の直撃に対し、自ら「逮捕は必要ないと私が決裁した」と認めているのだ。

 結果的に事件は2015年8月に書類送検され、山口氏は翌2016年7月22日付けで嫌疑不十分で不起訴処分に。逮捕寸前まで行った事件が、菅氏の子飼いである中村氏の逮捕取りやめ指示によって“ブラックボックス”のなかに押し込められてしまったのである。

 しかし、菅氏と山口氏の接点は、これだけではない。山口氏はある企業から「毎月42万円の顧問料」や「交通費その他の経費」を受け取っていたのだが、じつは、その企業の会長と菅首相が親しい関係にあり、山口氏への資金援助を依頼したのも菅首相ではないかとみられているのだ


■山口氏がTBSを辞めた後に、菅氏が”山口にカネを払ってやってくれないか”と

 この問題を最初に報じたのは、「週刊新潮」2019年7月18日号。同誌によれば、山口氏に「顧問料月額42万円」等を支払っていたのは、東京都の「NKB」という電車の中吊りなどを扱う交通広告の広告代理店だ。

 そして、この広告代理店の会長というのが、「ぐるなび」の創業者で現会長の滝久雄氏。「ぐるなび」といえば「GoToイート」事業を受託している1社だが、先週発売の「週刊文春」(文藝春秋)が「菅義偉「親密企業」が〈469億〉GoToイート受注」と題して報道したように、じつは菅氏が初当選した1996年から2012年にかけて、「NKB」や同社の子会社は菅氏の政治団体に多額の寄付をおこなってきたのだ。

 「週刊文春」でも菅首相と滝会長の関係について「菅氏が困った時に頼るのが滝氏」と語られているが、問題は山口氏への顧問料だ。前出「週刊新潮」によると、山口氏がTBSを退社したあとの2016年11月に「NKB」の子会社と顧問契約を結んだといい、広告代理店関係者がこんな証言をおこなっている。

「この滝会長と菅さんが仲良しなんです。山口がTBSを辞めた後に、菅さんが”山口にカネを払ってやってくれないか”と滝会長に依頼したそうです。具体的には月42万円で、実際に払っているのは横浜にあるNKBの子会社。本体の方が業績がよくないので、そうなったということですが、子会社の経営陣は不満を抱えていたようです。“会社と何の関係もない山口に、ちゃんとした人を一人雇える額をなんで払わなきゃいけないのか”と」

 さらに、この関係者は、山口氏は滝会長の子会社に一度も出社したことがなく、「週刊新潮」が2017年5月に伊藤詩織さんへの準強姦疑惑の告発記事を出すと支払いを止めたことから、山口氏との顧問契約は「どうしても断れない特別な案件だったからと考えるのが自然」とも述べている。

 一方、「週刊新潮」は滝会長への“山口氏支援の依頼”にかんして菅氏を直撃しているが、言葉少なに関与を否定するだけで、それ以上は言えない」などと、事実上、説明を拒絶したという。

 山口氏に逮捕状が出され、捜査員がいまかいまかと待ち構えるという局面まで進んだにもかかわらず、菅首相の片腕の警察官僚が直前で逮捕取りやめを指示したという事実。そして、山口氏がTBSを退社すると、初当選のころからの昵懇の関係にある企業が山口氏の資金援助をおこなっていたという事実──。これらを突き合わせれば、菅首相もまた山口氏と深い関係にあったことがよくわかる。


■菅首相と山口敬之氏のただならぬ関係 安倍首相の返り咲きも2人の連携プレーだった

 実際、山口氏はTBS時代から“安倍の太鼓持ち”と呼ばれるほど安倍首相と個人的に親しい関係を築いてきたが、その一方で山口氏は安倍首相の右腕である菅氏ともかなり前から運命共同体とも言えるような関係になっていた。

 山口氏のデビュー作である“安倍ヨイショ本”『総理』幻冬舎)では、当初、安倍氏が出馬を迷っていた2012年自民党総裁選をめぐって、菅との直接的やりとりをしていたことを自慢げに記している。

 同書によると、山口氏は安倍と代々木のレストランで食事をし、その席で「出馬見送り」の話を聞かされるのだが、山口氏はそのあと〈すぐに菅に電話を掛けた〉のだという。この電話を受けて、菅が安倍の私邸へ向かい、出馬するよう説得。安倍は心変わりして総裁選に出馬し、総裁に返り咲いたというわけだ。山口氏は安倍が総裁に決まったあと、菅とこんな会話をかわしたことを明かしている。

〈決選投票で総裁の座を射止めた直後、自民党本部4階で私と遭遇した菅は、満面の笑みで握手を求めてきた。
「○○だけは誤算だったな。あとはパーフェクトだったでしょ?」
不適な笑みの最後に、こう付け加えた。
「あの夜の山口君の電話がなければ、今日という日はなかった。ありがとう」〉(『総理』より)

 いわば、山口氏は菅氏をして「山口君がいなければ安倍総裁はなかった」と言わしめた存在なのだ。そして、この“第二次安倍政権誕生の陰の立役者”が性暴力事件で逮捕されそうになった直前、その菅氏の右腕と言われた警察官僚が逮捕を止めた──。これを偶然だと片付けられるだろうか。

 さらに、この件をめぐっては、「週刊新潮」に告発記事の第一弾を出された直後、山口氏が“官邸のアイヒマン”の異名を持つ北村滋・内閣情報官(当時)とおぼしき北村さまへメールを送り、記事を巡る対応を相談していたことも判明している。ちなみに、菅内閣発足でおこなわれた官邸人事では、今井尚哉首相秘書官が内閣官房参与へと“事実上の退任”となった一方で、国家安全保障局長まで登り詰めた北村氏はそのまま再任となっている。

 伊藤詩織さんの告発によって、性暴力被害者を取り巻く環境がいかに過酷であるか、警察・司法がいかに異常な状態にあるかということにスポットが当たるようになったが、同時に、これは権力によって性犯罪の加害者の逮捕が取り消されたのではないかという法治国家の根幹を揺るがす重大事でもある。そして、国際的にも注目されるこの問題への関与が濃厚な人物が、またも総理大臣の座に就いてしまったという現実……。この深刻な事実は、絶対にこのまま放置してはならない。

(編集部)
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●《カタストロフィーが来ないよう「おかしいことはおかしい」》と《国民とメディアに制限をかけるというフリーハンドの権限を得た》アベ様に

2020年04月02日 00時00分28秒 | Weblog

[※ 「こんな人たち」 報道特集(2017年7月8日)↑]



 レイバーネットの記事【底割れ安倍政権に立ち向かう言葉を探せ/高村薫さん、青木理さん】(http://www.labornetjp.org/news/2020/0317hayasi)。

 《「モリカケサクラ政治の〝底割れ〟と社会の〝劣化〟」。森友学園加計学園桜を見る会と、安倍晋三首相が深く関与しているとしか思えない疑獄がもたらす政治腐敗は底が抜けている。…作家の高村薫さん、ジャーナリストの青木理さんの話に聴き入った。森友学園問題を考える会主催》。

 日刊ゲンダイのコラム【古賀茂明 あれから5年 今こそ I am not ABE/安倍政権に分断されマスコミが自壊…そして深刻な副作用】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/270931)によると、《3月18日、森友学園事件で、公文書改ざんを強要され、後に自死した近畿財務局元職員の遺書と手記が公表され、改ざんの真相が詳細に明らかになった。安倍政権を揺るがす事態だ。しかし、多くの新聞・テレビの扱いは抑制的で、その後1週間でコロナ騒ぎの陰に埋もれつつある。…その裏にあるのが、強圧的かつ狡猾な安倍政権のマスコミ支配術だ。安倍総理は、各社トップと頻繁に会食する。俺は、おまえたちをしっかり監視してるぞトップに警告し、「トップは抑えたぞと現場の記者たちに伝えるためだ。だから会合を隠すことはない。現場の記者は、官邸から注文を付けられると、戦っても無駄と考え政権のポチになる》。

   『●デンデン王国「裸の王様」の御妃は「私人」?  
      …「少なくとも、森友学園との関係で「私人」は通用しない」
   『●《改ざんを命じられたときも相当抵抗…。やっているのは犯罪。
               自分の信念や理に反して悔しかっただろう》
   『●《近畿財務局元職員の妻が…佐川宣寿氏と国を相手に…大阪地裁に提訴》
        …《前代未聞の改ざんなのに、最高責任者の麻生太郎財務相》は?
   『●近畿財務局元職員のご遺族が提訴…《刑事罰どころか出世していた
     財務省の“改ざん指示”幹部官僚たち》や行政府の長、財務相の冷酷非道
   『●パワハラにより森友公文書改ざんという犯罪を強要…真の犯罪者
     《なんとも無責任な態度》な行政府の長や財務相、財務省幹部官僚達
   『●森友公文書改ざんという犯罪を強要…泥棒(アベ様や財務相)が縄を
      綯う(まともな再調査する)訳がない…第三者性のある新たな調査を
   『●アベ様や財務相はトップに居座り続け、財務省幹部官僚達は栄転
     …《内輪のあやふやな再調査ではなく、第三者性のある新たな調査》が必要
   『●私人の「桜を見る会」、《政府の自粛呼びかけの最中であること》だけ
      《が原因ではない》…森友問題、アベ昭恵様が〝タマ〟を込めた結果…
   『●《昭恵夫人が発案し立ち上げた事業の資金提供者》であるが故に
     《「桜を見る会」に招待されていたマルチ企業》48ホールディングス社長

 《強圧的かつ狡猾な安倍政権のマスコミ支配術》=アベ様の政で〝唯一上手くいった〟《メディアコントロール》。そして、いまや、〝戒厳令緊急事態宣言という凶器、《国民とメディアに制限をかけるというフリーハンドの権限を得た》アベ様。COVID19のドサクサに紛れて、壊憲を口にするアベ様。「国民主権の縮小、戦争放棄の放棄、基本的人権の制限」、さらに、「緊急事態条項」の導入をもくろむアベ様…恐怖でしかない。

   『●「森羅万象すべて担当」「私が国家」なアベ様が全能感に自己陶酔
      したいがための〝戒厳令〟緊急事態宣言という凶器を渡していいの?

 (古賀茂明氏)《日本の官僚機構、そして国民の倫理観まで崩壊させる安倍政権のマスコミ支配術は恐ろしい》。でも、時間無制限・更問い可で総理会見は開かれるべきだ。記者の質問が尽きるまで、質疑をやってもらいましょう。ママに叱られる門限か何かがあるのか知らないが、《帰宅》しか《予定》がないんでしょ、アベ様には。第一、土曜日に開催する〝重要〟な総理会見の後に、《予定》なんて入れないでよ

 《カタストロフィーが来ないようおかしいことはおかしい」》と《国民とメディアに制限をかけるというフリーハンドの権限を得た》アベ様に、いまこそ、はっきりと言わねば。《口調の強さで国語力の乏しさを覆い隠す安倍首相とは異なり、時に言いよどみながら言葉を選び抜くしんどい作業を逃げずに続ける表現者の姿勢》が必要。

   『●新聞労連・南彰中央執行委員長による声明【オープンな
     首相記者会見を求める】…「質問をする機会はすべての取材者に…」
   『●《賢くもなく笑えない嘘つきが今、日本の総理大臣…大嘘こいたのだ。
         耳を疑った…世界中に向けて堂々と、とうとうと嘘をついている!》
   『●緊急事態条項? ご冗談を。こんないい加減なことしかできない
        独裁政権にさらに凶暴な武器を与えるなんて危険極まりない

    「「北海道の鈴木直道知事が非常事態宣言を…」…アベ様ら無為無策
     無能な政権は壊憲して、
     「国民主権の縮小、戦争放棄の放棄、基本的人権の制限」、さらに、
     「緊急事態条項」の導入を…という内心がミエミエでウンザリします」

   『●①内閣記者会が支える《台本劇》《台本営発表》、そして、愚者に
       さらなる凶器《緊急事態宣言》《緊急事態条項》を与える愚かさ
    「内閣記者会官邸記者クラブ)が支える《台本劇》《台本営発表》に
     よって、独裁者に愚かな凶器《緊急事態宣言》《緊急事態条項》を
     与えるなどもっての外だ」
    「愚者で、かつ、独裁者に凶器を与えてはいけない」
    「戒厳令。独裁者気取りで、自身に酔いしれてアベ様が御命じになる…」

   『●《使い方誤れば「猛毒」》…アベ様が「猛毒」「凶器」を「正しく使う」
                   はずがないでしょ! 《戒厳令のような事態》に…
    「アベ様のNHKをはじめ、《メディアコントロール》なニッポンで、
     《報道統制がおこなえるようになる》ことでアベ様の好き勝手な報道
     ばかりが…恐怖でしかない。《戦時下に言論や報道を統制して
     大本営発表を垂れ流したのと同じように、政権批判はバラエティ番組で
     あっても許さない》…『1984』。《国民とメディアに制限をかける
     というフリーハンドの権限を得た安倍首相》、得意満面でしょうね」

   『●➀《吉田調書…取り消しという虚報扱い…メディアとジャーナリズムの
     将来に禍根》(青木理さん)…アベ様による「報道統制」が可能になった今
   『●記者会が仕切り役を取り戻し、《総理会見では更問い(追加質問)が
       できないので、結局、総理の言いっ放しになってしまう》ことの改善を
    「阿部岳さんらが《「おかしいでしょう!」「これが記者会見と
     呼べますか」などと怒号が飛ぶ事態》《「まだあります!」》
     …とてもよかった。改善の一歩。でも、アベ様が、緊急事態宣言という
     凶器を振り回し、報道統制でもされたら…もっと問うてほしかった。
     アベ様の回答に、さらに問う機会が欲しい。《重ねて聞く
     「更問(さらと)」もなく、丁々発止とほど遠い》《総理会見では
     更問い(追加質問)ができないので、結局、総理の言いっ放しになって
     しまう》。こんな当たり前のこともできない、アベ様や最低の官房長官の
     会見って、いったい何? 《だからこそいま必要なのは、今回、
     記者たちが会見延長に追い込んだように、この対応が他国と比べて
     いかに酷いものなのか、国民を馬鹿にしきった態度なのだということを、
     メディアが伝えて正させることなのだ》」

   『●アベ様の緊急事態宣言で私権が制限され、報道は統制される…
     《ヒトラーのナチス・ドイツ…ワイマール憲法48条の緊急措置を利用した》
    「アベ様による《メディアコントロール》に加えて、報道統制という悪夢。
     《国民とメディアに制限をかけるというフリーハンドの権限を得た
     アベ様。緊急事態宣言により、《報道統制がおこなえるようになる
     ことで、アベ様の好き勝手な報道ばかりが…「茶色の朝」になる訳だ。
     恐怖でしかない」

   『●《〈「大幅に時間を超えて対応」した構図を演出…〉…14日の会見も
        批判のガス抜きのため官邸がより巧妙にコントロールしていた》
   『●政治判断の《根拠》は? 《国家のリーダーとして、権力を預かる
      者はその責任と、権力行使の影響を、十分に自覚しなければならない》

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http://www.labornetjp.org/news/2020/0317hayasi

底割れ安倍政権に立ち向かう言葉を探せ/高村薫さん、青木理さん

底割れ安倍政権に立ち向かう言葉を探せ~高村薫さん、青木理さん
林田英明

 すべてを言い表している集会タイトルである。「モリカケサクラ政治の〝底割れ〟と社会の〝劣化〟」。森友学園加計学園桜を見る会と、安倍晋三首相が深く関与しているとしか思えない疑獄がもたらす政治腐敗は底が抜けている。2月22日、大阪府豊中市立芸術センター中ホールには定員500人を超える参加者であふれ、作家の高村薫さん、ジャーナリストの青木理さんの話に聴き入った。森友学園問題を考える会主催。


●「声が届かなくなった」慨嘆

 司会は「新聞うずみ火」の矢野宏さん。いつもの軽妙な語りで2人から日本社会の矛盾点を次々と引き出していく。

 高村さんの第一声は「声が届かなくなった」との慨嘆である。以前は漠然とながら自分は平均的な思考の持ち主だと思っていたのに、気がつくと少数派になっていたという驚きだ。21世紀に入っての小泉政権から、その思いは強くなっている。安倍政権に至って、それは決定的なのだろう、こう表現する。「私自身の言葉が宙に浮く着地する場所がない」。以前なら社会の反応が強く得られたが、今や「モリカケ」問題にしても世の中の半数はそれがどうしたと空転する。この現実を冷静に眺める必要を高村さんは痛感する。非難や攻撃に終わるだけでは解決しない。価値観の違いを腹に収め、無視するのではなく受け止めたうえで疑問を発し続ける意義をとつとつと説く。

 青木さんは、大勢の前で話すのは苦手と言いながら言葉は流れるように止まらない。いびつなナショナリズムが強まったのが森友問題と捉え、安倍政権の本質であるネポティズム縁故主義)をヤリ玉に挙げた。2000年代の日朝首脳会談時には韓国にいた青木さんは、拉致被害者の一部が帰国した事実を「日本外交の一つの大きな成果」と評価する。ところが「被害者全員が帰らなければダメだ」といきり立つ世論を背景に、対話路線が国賊扱いされ圧力一辺倒になっていく過程で一気に階段を駆け上がっていったのが安倍首相だと青木さんは見る。ところがどうだ。第2次以降の安倍政権7年間で動きは1ミリでもあったか。逆に青木さんが懸念するのは、戦後それまであった日本人のアジアに対する贖罪意識拉致問題発覚で被害者逆転し、鬱屈した差別主義自国礼賛主義が噴き出した点である。それは北朝鮮にとどまらず嫌韓嫌中へと一気に加速し、青木さんは怖さを覚える。キャスターとして冷静に韓国を語ろうとしても「韓国擁護が許せない」と過熱する視聴者も少なくなく青木さんは今やネット社会では反日極左に分類されていると苦笑した。「ネトウヨの連中」と口を滑らせると抗議が来るので局から「ネトウヨの皆さん」と言うように求められているといって会場の爆笑を呼んだが、単純に笑うわけにはいかない気もした。


●「法治」の崩壊は独裁へ向かう

 集会の3日前に森友学園を巡る補助金詐欺事件の判決が大阪地裁であり、前学園理事長の籠池泰典被告と妻諄子被告に有罪判決が下された。だが、事の本質小学校建設を巡る不透明な国有地取引それは何ら解明されていない。小学校の名誉校長に一時就いていた安倍首相の妻昭恵氏の関与はどうだったのか。「気持ち悪さだけ残った」と高村さんは言う。

 森友問題を取材していない青木さんは印象論として断りつつ、国有地売却に関連して学園との取引に関する交渉記録が廃棄されたり決裁文書が改ざんされたりした実態を「政治主導で根腐れ」と表現した。黒川弘務・東京高検検事長の〝定年延長〟を1月31日に閣議決定し、つじつまが合わなくなる法解釈を変える露骨なトップ人事介入も含め「法治」の崩壊を青木さんは強く警告する。そして、官僚機構が修復不可能になって後悔する日がくるだろうと予見する。

 高村さんも呼応した。「新聞を読んで目が点になった」と黒川氏の人事にあきれつつも、常識と非常識が逆転した世の中今は阻止する力がなく絶望的な状況の中に私たちは立っている」と率直に語った。

 青木さんは同意を示したうえで、検察イコール正義という図式にも疑問を呈する。カジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐる汚職事件秋元司衆院議員は昨年末逮捕されたが、建設会社からの金銭授受疑惑甘利明衆院議員は経済再生担当相を辞任するだけで4年前に逃げ切っている。それ以上の言及はなかったが、青木さんには恣意的な判断を感じるのだろう。人間というものは不完全な生き物ゆえ、権力という悪を互いに牽制し合う三権分立の意義を再確認するのも危機感の裏返しである。このまま行政府の長立法も司法も完全に手に入れれば独裁だ。


●「警察は権力好きの奇妙な組織」

 矢部さんが警察人事についても話題に上せた。中村格(いたる)氏である。山口敬之氏の伊藤詩織さんに対する準強姦容疑の逮捕状を握りつぶしたとされる当時の警視庁刑事部長。1月の人事で警察庁次長に昇進、トップの警察庁長官も目前である。菅義偉官房長官の秘書官も経験している人物だ。山口氏は元TBSの報道記者で『総理』といった著書もある安倍首相に極めて近いジャーナリストである。どうせ読むなら一部始終をつづった伊藤さんの『ブラックボックス』のほうが山口、中村両氏を知るうえで非常に興味深く、真実に近いように私は思う。

 高村さんは一度だけ警察庁に入ったことがある。当時の刑事局長に会って「権力大好きの、とても奇妙な組織」だと悟った。上意下達だから、自分の頭で考え、判断しないように感じたのだろうか、エリート意識が透けて見え安倍政権に重用されることを喜んでいるように映った。だから「与えられる権力を使うことに特化している彼らに正義を期待するのは無理」と言い切る。現場で汗をかく市民警察官と、警察幹部は乖離した存在なのかもしれないと、高村さんの感想を聞いて思った。

 青木さんは1990年代に警察を取材しているが、『日本の公安警察』などの著書もあるように内部を暴いたために〝追放されたと軽く笑う。同じジャーナリストを名乗っていても山口氏とは全く違う道を歩んでいる。警察は機動隊も有する30万人近い組織であり、逮捕もできる「暴力装置」の側面を青木さんは押さえつつ、それよりも怖いのは全国津々浦々張り巡らされた情報網だと言う。だからこそ、そこに政治が手を突っ込むのは危険だと繰り返すのだった。


●「おかしいことはおかしい」と

 メディアの状況はどうなのだろう。高村さんは、政権の応援団と、それに反対するメディアの両翼とも言葉が社会に届いていないと見る。新聞も読まず、人の話も聞かない、国会にも無関心な層は言葉を聞き流す。だが、日本がこのまま安泰であるはずはなく、想起される経済破綻が訪れれば「いやが応でも納得する言葉を探しに行く。そこまで行かないと言葉を取り戻せない」と先を見つめる。絶望の果てに光を求めようとしているのだろうか。

 青木さんは、メディア批判をすれば自分に降りかかることを理解したうえで、それでも「大事にしているのは国益です」と言い切るメディアの人間にはあきれ果てる。社会益や公益なら理解できるが、国益を持ち出せばメディアは死ぬと考える。「調査・情報収集」目的で海上自衛隊の護衛艦が2月に中東に派遣された際、PKO(国連平和維持活動)を初めて派遣するに当たっての大議論など全くの昔話で〝スムーズに進んだ。青木さんは「半ばイヤミ、半ば本気」と言いながら安倍首相の続投を願う。アベノミクス少子化男女不平等など数々の失敗の責任を取らないまま退場する理不尽に怒りが収まらないようだ。「半分ぐらいケツを拭いてから消えてくれ」と少々下品な表現を用いた。

 2人は「カタストロフィー大惨事)」を危惧している。到来すれば社会的に弱い層へシワ寄せが行くことが目に見えている。いま生きている世代は戦争や大震災を体験しているだけに切実だ。『サンデー毎日』でそれぞれ連載を持つ2人の時評は、この日の話同様、時にニヒリズムに襲われながら、しかしカタストロフィーが来ないようおかしいことはおかしいと述べる点で一貫している。口調の強さで国語力の乏しさを覆い隠す安倍首相とは異なり、時に言いよどみながら言葉を選び抜くしんどい作業を逃げずに続ける表現者の姿勢は、聞く者に勇気を与えてくれる。

Last modified on 2020-03-17 20:07:23
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●山口敬之氏事件…《逮捕寸前までいった事件が、このように“ブラックボックス”のなかに押し込められてしまった》

2019年12月20日 00時00分53秒 | Weblog

[※ 《望月衣塑子のジャーナリスト精神に迫る》…森達也監督『-新聞記者ドキュメント-』(https://i-shimbunkisha.jp/)↑]



リテラの記事【「詩織さん全面勝訴」で証明された警察・検察のおかしさ! やはり御用記者・山口敬之と安倍政権の関係が逮捕、立件を潰していた】(https://lite-ra.com/2019/12/post-5150.html)。

 《だが、繰り返すがこれは当然の判決だ。そもそも、タクシー運転手やベルボーイという第三者による証言のほか、詩織さんを抱えて引きずる山口氏の姿が映った防犯カメラ映像も証拠として提出されている》。

   『●伊藤詩織さんによる民事裁判「私たちが勝利しました」、
     山口敬之氏の高額「反訴」は棄却…なぜ刑事事件で裁けなかった?

 山口敬之氏事件について、氏は控訴するとのことですから、伊藤詩織さんは高裁での闘いに勝ち続けることと、引き続き、多くの方がそれを支援する。別途、民事訴訟の場では困難な、北村滋氏や中村格氏らが一体何をヤリ、なぜソレをヤッタのかを解明すること。伊藤詩織さんご本人というよりも、支援者の皆さんや国会議員、ジャーナリズムの役割ではないかと思います。リテラなどでは過去にも報じられている、重大な問題です。絶対に解明されるべき。

 昨日に引き続き、前川喜平さんのツイート。

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https://twitter.com/brahmslover/status/1207501771725099008
前川喜平(右傾化を深く憂慮する一市民)@brahmslover
山口敬之の事件「刑事と民事で判断が分かれた」のではない。裁判所は刑事で判断していない判断したのは検察だ。「検察と裁判所で判断が分かれた」のだ。検察はなぜ起訴しなかったのか検察審査会はなぜ不起訴相当としたのか山口とアベ夫妻との関係がどう関係しているのか。追及すべきはそこだ。
午後0:23 2019年12月19日

https://twitter.com/brahmslover/status/1207548319678861313
前川喜平(右傾化を深く憂慮する一市民)@brahmslover
山口敬之の事件は、検察・警察が腐っているという、国政上の重大事件だ。山口敬之を国会に証人喚問して、「北村さま」に何を頼んだのか、吐かせるべきだ
午後3:28 · 2019年12月19日
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 前川さんは「検察と裁判所で判断が分かれた」「山口とアベ夫妻との関係がどう関係しているのか。追及すべきはそこだ」「検察・警察が腐っているという、国政上の重大事件だ」と仰っており…本当にそう思います。


 日刊ゲンダイの記事【伊藤詩織さん全面勝訴 “アベ友”山口敬之氏の呆れた言い分】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/266488)。《「一つのピリオドはつけられた気持ちです」――。ジャーナリストの伊藤詩織さん(30)が、元TBS記者山口敬之氏(53)から性的暴行を受けたとして、慰謝料など1100万円の損害賠償を求めた民事訴訟は18日、詩織さん側の“完全勝利”に終わった…■卑劣手口に新証言…つまり、裁判所が認めたように、2人の間で「合意があった」とは考えにくい状況だったのだ…これまで表舞台に出てこなかったクセに「敗訴をメディアのせいにする始末だった。アベ友元記者の言い分は果たして世界に通用するのか》。

 日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/これも”保護”される上級国民案件】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201912190000061.html)。《★ジャーナリスト・伊藤詩織が、元TBSワシントン支局長・山口敬之から性暴力被害にあったとして、慰謝料など1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が東京地裁であり、裁判長は330万円の支払いを命じたが、思えばこの事件も首相や副総理とじっこんの記者が官邸に泣きついたところから始まった。山口には逮捕状が出ていたが官房長官・菅義偉の秘書官を長く務めた当時の警視庁刑事部長中村格の決裁で「逮捕不要とし逮捕直前に中止となった…★伊藤の勝訴に多くの人が官邸や警察の忖度(そんたく)と違い、司法はまだ正義を保っているのではないかと期待したろうが、刑事訴訟では負け民事訴訟で勝ったという構図だ。ただこの間、伊藤に対してさまざまな誹謗(ひぼう)中傷がネットで躍った。極め付きは係争中の山口の弁護士がそれを行っていたなど政権やそれを支持する人たちによる攻撃という劣勢とハンディキャップの中、伊藤は戦ったことになる。また右派言論陣が山口擁護を繰り広げたことも記憶に新しい…桜を見る会と同様、首相や官邸に近しい人、私人と言い張る首相夫人の交友ならば超法規が適用され、反社だろうがマルチまがいの経営者だろうが“保護”されるという構造にメスが入るか否かの入り口にある事案だったのではないか。女性への性被害を闇に葬ることなど簡単だと政権が言うならば、山口の逮捕状を握りつぶさせた価値観との闘いが始まる覚悟をすべきだろう》。
 《刑事訴訟では負け》たのではない。先の前川さんのツイート、《裁判所は刑事で判断していない判断したのは検察だ。「検察と裁判所で判断が分かれた」のだ。検察はなぜ起訴しなかったのか検察審査会はなぜ不起訴相当としたのか》。なぜ犯罪者が刑事事件で裁かれなかったのか? 《女性への性被害を闇に葬》ろうとしたのか? どのように??

 なぜ刑事事件で裁けなかったのか…北村滋氏や中村格氏らは何をやったのか? なぜ?? さらに加えれば、内調。《内調がフェイクニュースをでっち上げてマスコミにリークし、ネットにばらまく──。…映画『新聞記者』のなかの絵空事のような国家による謀略が、実際におこなわれていたのである》。
 それらの点について突っ込んた報道、特にテレビでは、なぜになされないのか? 「検察・警察が腐っているという、国政上の重大事件」としても報じてほしい。主に報道に向けてだと思いますが、下記の記者会見で、伊藤さん自身も「I need your help!」と訴えておられます。リテラの主張《求められるのは逮捕状取り消し、捜査圧力問題の再検証だ》に同意します。

 日本外国特派員協会での伊藤さんの記者会見について、すいません、以下に貼らせていただきます。警察の酷さにも唖然とさせられます…。また、山口敬之氏の同所での記者会見についても貼り付けさせていただきます。(外国人記者発言)《「上級国民」扱い》の氏自身、および、弁護士の酷い言い分をご確認ください。醜悪な弁護士の言い分を、隣で山口氏はどんな思いで聞いていたのだろう…。ちなみに、この酷い会見には、ジャーナリストとして伊藤さん自身も出席しておられます。その上で、本人を目の前に平気で「嘘つきの常習犯」呼ばわりをできる山口氏の神経が分からない…。



【性暴力被害訴訟で勝訴 ジャーナリストの伊藤詩織氏が外国特派員協会で会見(2019年12月19日)】
 (https://www.youtube.com/watch?v=NiMbFDb1BAQ



【【ライブ】元TBS記者 山口敬之氏が会見(日本外国特派員協会より)】
 (https://www.youtube.com/watch?v=lvVGCJ-0BJM


   『●「森友、加計、準強姦事件の3つ…
      諸悪の根源である“主犯”は目の前にいるのだ」=アベ様御夫妻
    《安倍首相と近しい関係といわれる元TBSワシントン支局長の
     山口敬之氏に「レイプされた」と会見で訴えた詩織さんの
     「準強姦事件」も“本質”は同じ。事件を握り潰したと報じられたのは、
     菅官房長官の秘書官だった警視庁の中村格刑事部長(当時)。
     現在は共謀罪を担当することになる警察庁組織犯罪対策部長だ。
     犯罪を平気でもみ消す、と批判されている人権軽視の警察官僚が、
     犯罪を恣意的につくり出しかねないと懸念されている悪法の責任者
     就いているなんて、これぞ悪夢だ

   『●ニッポンのマスコミも完全に破壊…鬼畜なアベ様広報官犯罪、
                  司法の「Black Box」に踏み込めず
   『●『総理』著者・山口敬之氏…犯罪もみ消しを忖度してもらえるほどの、
                   「ただの番記者」どころか腹心の友
   『●TBS「ドラマ部門が勇気ある行動を起こしたということなのかもしれない」…
                          その「放送された意義」
   『●アベ様独裁下の《黙って見過ごすわけにはいかない
      日本の問題》があまりに多すぎる…躾けられてはいけない
    「山口敬之氏が反訴したそうだ。神経を疑う。最「低」裁を頂点とした司法も
     頼れず…。警察や検察がアベ様に忖度したように、司法も、今回も正しく
     「司法判断」することなく、何時もの「政治判断」だろうか。絶望的な国」

   『●日本のマスコミは準強姦事件についてなぜ騒がないのか?
         …「日本の国会やメディアは…関心がないようだ」
   『●《安倍首相と昵懇の元TBS記者・山口敬之氏からの
     性暴力》犯罪の裏で《官邸の関与》…最低の官房長官らは何を?

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https://lite-ra.com/2019/12/post-5150.html

「詩織さん全面勝訴」で証明された警察・検察のおかしさ! やはり御用記者・山口敬之と安倍政権の関係が逮捕、立件を潰していた
2019.12.18 07:45

     (性被害を訴えた伊藤詩織さんの著書『Black Box』(文藝春秋))

 

 至極当然の判決が出た。ジャーナリストの伊藤詩織さんが、安倍首相と昵懇の元TBS記者・山口敬之氏から意識がないなかで性行為を強要されたとして1100万円の損害賠償を求めた民事訴訟で、本日、東京地裁は「酩酊状態にあって意識のない原告に対し、合意のないまま本件行為に及んだ事実、意識を回復して性行為を拒絶したあとも体を押さえつけて性行為を継続しようとした事実を認めることができる」と認定し、山口氏に330万円の支払いを命じた。

 判決詳報を報じた「弁護士ドットコムニュース」の記事によると、裁判所は、山口氏と伊藤さんが会食した2015年4月3日、2軒目に訪れた寿司屋を出た時点で伊藤さんが「強度の酩酊状態にあった」と認定したほか、翌日に伊藤さんが産婦人科でアフターピルの処方を受けたこと、数日後に友人に相談し、その後原宿警察署に相談に訪れていることなどをもって「今回の性行為が伊藤さんの意思に反して行われたものであると裏付けるもの」と結論づけたという。

 一方、裁判所は山口氏の供述について「重要な部分において不合理な変遷が見られる」と指摘。たとえば、山口氏は2015年4月18日に伊藤さんに送ったメールで〈あなたは唐突にトイレに立って、戻ってきて私の寝ていたベッドに入ってきました〉と記述していたのに、裁判では「伊藤さんに呼ばれたために山口さんが窓側のベッドから伊藤さんの寝ている入口側のベッドに移動した」と証言していたとし、こうした点から、判決では山口氏の供述について「信用性には重大な疑念がある」と述べ、対する伊藤さんの供述は「相対的に信用性が高い」と認めた。

 さらに、山口氏は伊藤さんが性行為に同意していたと主張して、伊藤さんが『Black Box』(文藝春秋)を出版するなど被害を訴えたことによって名誉やプライバシーが傷つけられたとして、伊藤さんに1億3000万円の損害賠償を求める反訴を起こしていたが、これについても東京地裁は「伊藤さんが性犯罪の被害者をめぐる状況を改善しようと被害を公表した行為には、公共性や公益目的があり、内容は真実だと認められる」とし、山口氏の訴えを退けた。

 つまり、意識がないなかで性暴力をふるわれ、意識を戻して拒絶したにもかかわらず山口氏がやめずに継続しようとしたという伊藤さんの訴えが認定され、一方、告発を封じ込めようとするような山口氏側のスラップ訴訟も退けられるという、“全面勝訴”の判決といえる結果となったのだ。

 だが、繰り返すがこれは当然の判決だ。そもそも、タクシー運転手やベルボーイという第三者による証言のほか、詩織さんを抱えて引きずる山口氏の姿が映った防犯カメラ映像も証拠として提出されている。実際、裁判所も〈ホテルに到着し、山口さんに引きずられるようにして降車した〉ことや〈ホテルの部屋に向かう間、足元がふらついていて、山口さんに支えられる状態だった〉ことを事実として認めているのだ(前述・「弁護士ドットコム」より)。

 だが、こうした当然の判決が出たことによってあらためて問い直さざるを得ないのは、なぜここまで証拠が揃った事件に対し急に逮捕が取り消され、さらには嫌疑不十分で不起訴となったのか、という問題だ。

 あらためて振り返ると、伊藤さんからの相談を受けて、当初捜査を担当していた高輪署の捜査員は山口氏の逮捕状をとり、2015年6月8日、山口氏を逮捕すべく複数の捜査員が成田空港で山口氏の帰国を待ち構えていた。ところが、この逮捕直前に上層部からストップがかかった。そして、この逮捕取りやめを指示したのが“菅義偉官房長官の子飼い”である当時の中村格・警視庁刑事部長(現・警察庁官房長)だった。「週刊新潮」(新潮社)の直撃に対し、中村氏自らが「逮捕は必要ないと私が決裁したと認めているのだ。つまり、官邸中枢と近い警察官僚の指示により、山口氏は逮捕をまぬがれたのである。

 しかも、山口氏の逮捕が取りやめになったあと、不可解にもこの高輪署の捜査員は担当から外されてしまった。結果的に事件は2015年8月26日に書類送検されたが、山口氏は翌年7月22日付けで嫌疑不十分で不起訴処分に。逮捕寸前までいった事件が、このように“ブラックボックス”のなかに押し込められてしまったのだ


■山口敬之が内調トップに相談メール、内調は詩織さん中傷のチャート図を作成

 このあまりに不自然な逮捕取りやめと不起訴処分には、当然、官邸の関与が疑われてきた。実際、「週刊新潮」が伊藤さんの問題で山口氏に問い合わせした際、山口氏はその対応を内閣調査室のトップで“官邸のアイヒマン”との異名を持つ北村滋内閣情報官(現・国家安全保障局長)に相談していた可能性まで指摘されている。というのも、山口氏は「週刊新潮」の取材メールに対し、誤ってこんな文書を送信しているのだ。

〈北村さま、週刊新潮より質問状が来ました。
 伊藤の件です。取り急ぎ転送します。
 山口敬之〉

 「Fw:」(転送)すべきところを「Re:」してしまうあたり、山口氏が相当焦っていたことが伺えるが、一方、北村氏率いる内調は、“伊藤さんの背後に民進党人脈がいる”というフェイク情報を流しバッシングを扇動していたという衝撃的な事実まで判明した。

 じつは伊藤さんが検察審査会に不服申し立てをして司法記者クラブで記者会見をおこなった直後から、ネット上では「詩織さんは民進党の回し者」なる風評が飛び交っていた。さらに半日も経たないうちに伊藤さんと伊藤さんの弁護士と民進党の山尾志桜里議員の関係をこじつけ、伊藤さんを「民進党関係者」だとするフェイクチャート図の画像がネット上に出回ったのだ。

 だが、これについて「週刊新潮」は内調が流したものであると報道。記事では〈本誌が山口氏の問題を取り上げ、それから詩織さんが記者会見をする5月29日より少し前のこと。政治部のある記者は、知り合いの内調職員から右下の図を受け取った〉としてチャート図を紹介している。正確には、このチャート図自体は伊藤さんの会見写真が入っているため、会見後に作成されたものと考えられるのだが、内調が“こじつけの関係”を記した類似のペーパーを政治部記者に渡していたのはたしかだ。というのも、本サイトのもとにも会見前と会見後に「内調が伊藤詩織さんに対するカウンター情報をふれまわっている」という情報が届いていたからだ。つまり、内調は事前に関係を解説した資料を配布し、会見後、さらにそれを写真入りのチャート図に更新して配布したのかもしれない。さらに、本サイトの調査では、内調が情報を直接2ちゃんねるに投下した可能性すらうかがわれた。

 内調がフェイクニュースをでっち上げてマスコミにリークし、ネットにばらまく──。今夏に公開された映画『新聞記者』でも、この一件をモデルにしたと思われるシーンが登場するが、映画のなかの絵空事のような国家による謀略が、実際におこなわれていたのである

 なぜ、TBS記者の事件に、官邸の息がかかった警視庁刑事部長や内閣調査室がここまで動き回るのか。それは言うまでもなく、山口氏が「安倍首相にもっとも近いジャーナリスト」のひとりだからだ。


■山口敬之と安倍首相の特別な関係! ヨイショ本出版の裏で「起訴なし」の検察情報入手か

 そもそも、山口氏はTBS時代から“安倍の太鼓持ち”と呼ばれるほど安倍首相と個人的に親しい関係を築いてきた。安倍首相は国会で山口氏について「取材対象として知っている(だけの関係)」などと言ってごまかしたが、山口氏の結婚披露宴に安倍首相が出席していたことを「FLASH」(光文社)が写真付きで報じている。しかも、山口氏の単行本デビュー作となったのは、2016年6月9日に発売された安倍総理礼賛本『総理』(幻冬舎)だった。

 しかし、この『総理』をめぐっても疑惑が出ている。山口氏はFacebookで“不起訴処分は2016年7月に関係者に伝えられ、その結論を得て本格的な記者活動を開始した”などと述べているが、山口氏が『総理』を出版したのは、前述したとおり2016年6月9日。つまり、山口氏は不起訴より1カ月も早く記者活動を開始していたのだ。

 そして、この事実について、作家の中村文則氏は毎日新聞2017年7月1日付愛知版で、こう疑義を呈した。

〈そもそも、首相の写真が大きく表紙に使われており、写真の使用許可が必要なので、少なくとも首相周辺は確実にこの出版を知っているしかも選挙直前。首相を礼賛する本が選挙前に出て、もしその著者が強かんで起訴されたとなれば、目前の選挙に影響が出る。〉
〈でも、山口氏の「総理」という本が16年6月9日に刊行されているのは事実で、これは奇妙なのだ。なぜなら、このとき彼はまだ書類送検中だから。
 しかもその(『総理』発売日の)13日後は、参議院選挙の公示日だった。だからこの「総理」という本は、選挙を意識した出版で、首相と山口氏の関係を考えれば、応援も兼ねていたはず。そんなデリケートな本を、なぜ山口氏は、書類送検中で、自分が起訴されるかもしれない状態で刊行することができたのか。〉

 つまり、山口氏はなんらかのルートを使って起訴がないことを事前に把握していたのではないかと中村文則氏は分析したのだが、山口氏と中村格氏、内閣情報調査室トップだった北村前情報官との関係を考えると、裏で官邸が動き、首相のお友だちである山口氏にいち早く不起訴を知らせていた(あるいは不起訴になるようにもっていった可能性は十分考えられるものだ。

 事件自体に数々の証拠が揃っていながら、なぜ不起訴となったのか。しかも、伊藤さんの不服申し立てに対し検察審査会は2017年9月に「不起訴相当」と議決。ネット上では「検察審査会の判断が出たのだから山口氏は無罪」とする擁護意見が溢れることになってしまった。


■山口敬之は“性的マイノリティ認めるなら痴漢の権利も保障せよ”の小川榮太郎と会見

 だが、この検察審査会の議決についても、さまざまな疑問がある。まず、議決の理由は〈不起訴処分の裁定を覆すに足りる事由がない〉という、理由になっていない理由が記されているだけ。さらにどのような証拠をもって審査されたかもわからず、その上、補助弁護人も付いていなかったのだ。このことについて、元検事である郷原信郎弁護士は「補助弁護人が選任されていないということは、“法的に起訴すべきだった”という方向において、専門家の意見は反映されていないことを意味しています」と答えている(「週刊新潮」2017年10月5日号/新潮社)。

 しかも、検察審査会では安倍政権絡みの事件での不起訴に対する不服申し立てについては、同様の「不起訴相当」の議決がつづいている。かなり悪質だった甘利明・元経済再生相の現金授受問題でも、証拠隠滅のためハードディスクをドリルで破壊した小渕優子・元経産相の政治資金事件でも「不起訴相当」という議決だったからだ。

 このように、証拠が揃い、逮捕一歩手前までいったというのに、官邸周辺の人物が暗躍するなかで事件は闇に葬られようとしてきた。しかし、伊藤さんはネット上でひどい誹謗中傷に見舞われながらも、ブラックボックスを「オープン」にするため、民事裁判をおこなった。そして、ようやくその主張が民事司法によって認められたのだ。

 その道のりを想像するだけで胸が苦しくなるが、しかし、加害者の山口氏はさっそく会見を開き、控訴することを発表した。しかも、会見には同じく幻冬舎から安倍首相礼賛本を出版した小川榮太郎氏を同席させた。小川氏といえば、自民党・杉田水脈衆院議員の“性的マイノリティには生産性がない”という差別言説を“性的マイノリティを認めるなら痴漢の触る権利も保障せよ”なるヘイトの上塗りで擁護し、さらに伊藤さんバッシングを繰り広げている人物だ。そのような人物を呼び寄せて会見を開くというのが、山口氏が何をバックにしてきたかを物語っている。

 しかし、ここまではっきりと伊藤さんの主張が認められたことを考えれば、求められるのは逮捕状取り消し、捜査圧力問題の再検証だ。これは伊藤さんひとりの問題ではない。この問題に黙ることは、権力に近い人物だというだけで逮捕が取り消されてしまうという、法治国家とは言えない状態を是としてしまうことになるからだ。今回の判決を受けて、ひとりでも多くの人がいま一度その意味の大きさ、重さを考えてほしいと願う。

(編集部)
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●《安倍首相と昵懇の元TBS記者・山口敬之氏からの性暴力》犯罪の裏で《官邸の関与》…最低の官房長官らは何を?

2019年08月23日 00時00分09秒 | Weblog

[●『新聞記者』(望月衣塑子著)…《ひとつずつ真実を認めさせて、さらに裏を取っていくこと―――》↑]



リテラの記事【菅官房長官が“山口敬之氏への資金援助”を企業に要請の報道が! 詩織さん事件で逮捕を止めた警察官僚も菅の右腕だったが…】(https://lite-ra.com/2019/07/post-4829.html)。

 《当日には傍聴しようと長蛇の列ができたほど、社会的に大きな注目を浴びるこの裁判。山口氏は詩織さんに対して、1億3000万円の損害賠償を求める反訴を起こしており、併合して審理が行われている…性暴力を訴えた女性に対して、逆に1億3000万円もの損害賠償を請求するということ自体信じがたいが、そんななか、この裁判をめぐって新たにとんでもない疑惑が浮上した》。

 そりゃ、当然の権利でしょうが、「反訴」ねぇ…額もスゴイな。世界に恥をさらす判決が出ないことを祈るばかりだ。
 《TBS時代から“安倍の太鼓持ち”と呼ばれるほど、安倍首相と個人的に親しい関係を築いてきた》《安倍首相と昵懇の元TBS記者・山口敬之氏からの性暴力》の犯罪の裏で《官邸の関与》…最低の官房長官らは一体何を? 《菅官房長官の秘書官をつとめるなど懐刀”“菅の片腕》《菅義偉官房長官の子飼い》氏や、《“官邸のアイヒマン”の異名を持つ》方は、一体何をやっていたのか?

 ここ最近で最も驚いた記事タイトル、アサヒコムの記事【レイプされて…周りは「社会勉強になったと思ったら?」】(https://www.asahi.com/articles/ASM7Y2GH2M7YUHVA002.html?iref=comtop_8_02)。
 絶句…ニッポンは一体どんな《社会》なのか…。

   『●「森友、加計、準強姦事件の3つ…
      諸悪の根源である“主犯”は目の前にいるのだ」=アベ様御夫妻
    《安倍首相と近しい関係といわれる元TBSワシントン支局長の
     山口敬之氏に「レイプされた」と会見で訴えた詩織さんの
     「準強姦事件」も“本質”は同じ。事件を握り潰したと報じられたのは、
     菅官房長官の秘書官だった警視庁の中村格刑事部長(当時)。
     現在は共謀罪を担当することになる警察庁組織犯罪対策部長だ。
     犯罪を平気でもみ消す、と批判されている人権軽視の警察官僚が、
     犯罪を恣意的につくり出しかねないと懸念されている悪法の責任者
     就いているなんて、これぞ悪夢だ

   『●アベ様独裁下の《黙って見過ごすわけにはいかない
      日本の問題》があまりに多すぎる…躾けられてはいけない
    「山口敬之氏が反訴したそうだ。神経を疑う。最「低」裁を頂点とした司法も
     頼れず…。警察や検察がアベ様に忖度したように、司法も、今回も正しく
     「司法判断」することなく、何時もの「政治判断」だろうか。絶望的な国」

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https://lite-ra.com/2019/07/post-4829.html

菅官房長官が“山口敬之氏への資金援助”を企業に要請の報道が! 詩織さん事件で逮捕を止めた警察官僚も菅の右腕だったが…
2019.07.10 10:06

     (菅官房長官が口利きで山口氏を支援の疑惑…(菅義偉HP))

 ジャーナリスト・伊藤詩織さんが、安倍首相と昵懇の元TBS記者・山口敬之氏からの性暴力で精神的苦痛を受けたとして、1100万円の損害賠償を求めた民事訴訟で、7月8日、東京地裁に詩織さんと山口氏が出廷し、本人尋問が行われた。

 当日には傍聴しようと長蛇の列ができたほど、社会的に大きな注目を浴びるこの裁判。山口氏は詩織さんに対して、1億3000万円の損害賠償を求める反訴を起こしており、併合して審理が行われている。

 報道によれば、8日の口頭弁論のなかで、伊藤さんは「やめて、痛いと伝えてもやめてくれなかった」と証言、あらためて意思に反して性暴力被害を受けたと訴えた。一方の山口氏側は、性行為は合意のうえだったとして「就職相談を受けていたTBSを辞めたことへの逆恨み」「売名をはかった悪質な虚妄」などと主張。1億3000万円の損害賠償は、詩織さんの告発によってテレビ出演や会社の顧問料などがなくなった損失と、今後、名誉を回復して元の収入に戻るための時間から算出したという。

 性暴力を訴えた女性に対して、逆に1億3000万円もの損害賠償を請求するということ自体信じがたいが、そんななか、この裁判をめぐって新たにとんでもない疑惑が浮上した。

 というのも、山口氏はある企業から「毎月42万円の顧問料」や「交通費その他の経費」を受け取っていたのだが、実は、その企業の会長と菅義偉官房長官は親しい関係にあり、山口氏への資金援助を依頼したのも菅官房長官ではないかというのだ。

 本日の発売の「週刊新潮」(新潮社)が報じている。「週刊新潮」によれば、山口氏に「顧問料月額42万円」等を支払っていたのは、東京都のNKBという電車の中吊りなどを扱う交通広告の広告代理店。その会長である滝久雄氏が、長年、菅官房長官と懇意にしており、山口氏がTBSを退社した2016年の11月から、NKBの子会社と顧問契約を結んだという。

 記事には、「この滝会長と菅さんが仲良しなんです。山口がTBSを辞めた後に、菅さんが“山口にカネを払ってやってくれないか”と滝会長に依頼したそうです」との広告代理店関係者のコメントが掲載されている。さらに、この関係者は、山口氏は滝会長の子会社に一度も出社したことがなく、「週刊新潮」が2017年5月に準強姦疑惑の告発記事を出すと支払いを止めたことから、山口氏との顧問契約は「どうしても断れない特別な案件だったからと考えるのが自然」とも述べている。

 一方、「週刊新潮」は滝会長への“山口氏支援の依頼”に関して、菅官房長官を直撃しているが、言葉少なに関与を否定するだけで、「それ以上は言えない」などと、事実上、説明を拒絶したという。

 しかし、菅官房長官の名前は、山口氏が詩織さんの事件で逮捕される直前、警察庁の上層部がストップをかけたとされる問題でも、浮上していた。

 念のため振り返っておくが、この件をめぐっては、詩織さんからの相談を受けて当初、捜査を担当していた高輪署の捜査員が、逮捕状を持って成田空港で山口氏の帰国を待ち構えていた。ところがこの逮捕直前に上層部からストップがかかった。そして、この逮捕取りやめを指示したのが“菅義偉官房長官の子飼い”である当時の中村格警視庁刑事部長(現・警察庁官房長)だった。


■詩織さん事件で山口氏の逮捕を止めた中村格刑事部長は菅官房長官の元秘書

 中村氏は、第二次安倍政権発足時に菅官房長官の秘書官をつとめるなど懐刀”“菅の片腕といわれる警察官僚。山口氏の逮捕を取りやめるよう指示したことについて、本人が「週刊新潮」の直撃に対し、「私が決裁した」と認めている。

 詩織さんの著書『Black Box』(文芸春秋)には、詩織さんが直接、中村氏への取材を二度試みたくだりが出てくるのだが、それによれば、中村氏は一切の説明をせずに逃げたのだという。

〈出勤途中の中村氏に対し、「お話をさせて下さい」と声をかけようとしたところ、彼はすごい勢いで逃げた。人生で警察を追いかけることがあるとは思わなかった。
 私はただ、答えが欲しいのだ。中村氏にはぜひ、「私のした判断は間違いではなかった。なぜなら……」ときちんと説明して頂きたい。なぜ元警視庁刑事部長の立場で、当時の自分の判断について説明ができず、質問から逃げるばかりなのだろうか?〉(『Black Box』)

 いずれにしても、この件では、一度は山口氏に逮捕状がだされ、捜査員が今か今かと待ち構えるという局面まで進んだ。にもかかわらず、菅官房長官の片腕の警察官僚が直前で逮捕取りやめを指示したのだ。

 もし、菅官房長官が知り合いの企業経営者に山口氏への資金援助を要請するくらい山口氏と関係が深かったとすれば、この不可解な捜査中止も納得がいく。

 山口氏は8日の法廷で、逮捕中止について「仮に逮捕状が出ていれば、自分は被疑者なので知る手段がない。もみ消しはできない」と述べたという(朝日新聞デジタル7月8日)。

 だが、菅官房長官が資金援助要請まではしていなかったとしても、山口氏が、安倍官邸、そして菅官房長官と尋常ならざる関係を築いてきたのは事実だ。


■山口氏の著書『総理』に出てくる菅官房長官との運命共同体的エピソード

 そもそも、山口氏はTBS時代から“安倍の太鼓持ち”と呼ばれるほど、安倍首相と個人的に親しい関係を築いてきた。安倍首相は国会で山口氏について「取材対象として知っている(だけの関係)」などと言ってごまかしたが、山口氏の結婚披露宴に安倍首相が出席していたことを「FLASH」(光文社)が写真付きで報じている。

 そして、山口氏は、安倍首相の右腕である菅官房長官ともかなり前から“運命共同体”とも言えるような関係になっていた。山口氏のデビュー作である“安倍ヨイショ本”『総理』(幻冬舎)では、当初、安倍氏が出馬を迷っていた2012年自民党総裁選を巡って、菅との直接的やりとりをしていたことを自慢げに記している。

 同書によると、山口氏は安倍と代々木のレストランで食事をし、その席で「出馬見送り」の話を聞かされるのだが、山口氏はそのあと〈すぐに菅に電話を掛けた〉のだという。この電話を受けて、菅が安倍の私邸へ向かい、出馬するよう説得。安倍は心変わりして総裁選に出馬し、総裁に返り咲いたというわけだ。山口氏は安倍が総裁に決まったあと、菅とこんな会話をかわしたことを明かしている。

〈決選投票で総裁の座を射止めた直後、自民党本部4階で私と遭遇した菅は、満面の笑みで握手を求めてきた。
「○○だけは誤算だったな。あとはパーフェクトだったでしょ?」
 不適な笑みの最後に、こう付け加えた。
「あの夜の山口君の電話がなければ、今日という日はなかった。ありがとう」〉(『総理』)

 いわば、山口氏は菅官房長官をして「山口君がいなければ安倍総裁はなかった」と言わしめる存在なのだ。そして、この“第二次安倍政権誕生の陰の立役者”が性暴力事件で逮捕されそうになった直前、その菅官房長官の右腕といわれた警察官僚が逮捕を止めた。これは偶然なのか

 さらに、この件をめぐっては、「週刊新潮」に告発記事の第一弾を出された直後、山口氏が“官邸のアイヒマン”の異名を持つ北村滋内閣情報官とおぼしき「北村さま」へメールを送り、記事を巡る対応を相談していたことも判明している。

 今回、「週刊新潮」が報じた“菅官房長官が口利きで山口氏を支援していた”との疑惑報道によって、またひとつ、この問題をめぐる“官邸の関与”の状況証拠が増えたことになる。年内に結審するという裁判の行方はもちろん、引き続き、疑惑の真相究明を求めていきたい。

(編集部)
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●加害者性を否定し、さらには、被害者性についても「暴言を浴びせ…「自己責任」と言い放つ」残酷さ

2018年08月28日 00時00分32秒 | Weblog

[※ 『NNNドキュメント’17記憶の澱』(2017年12月3日(日))↑]



リテラにる、敗戦の日に関連したテレビ番組についての記事【綾瀬はるかが戦時下の性犯罪をレポート! 兵士たちによる性暴力、国が中絶手術を強制…現在も続く性被害女性への偏見】(http://lite-ra.com/2018/08/post-4193.html)。

 《TBSの『NEWS23』では、放送時間を拡大して、今年も特別企画「綾瀬はるか「戦争」を聞く」を放送。今年のテーマは、「戦争と性犯罪」》。

 《記憶の澱》…暗澹とした気持ちになる。【記憶の澱NNNドキュメント’17】でも取り上げられていた、被害者性について。加害者性を否定し、さらには、被害者性についても《暴言を浴びせ…「自己責任」と言い放つ》残酷さ…さらには、《なぜ、このような中絶手術がおこなわれたのか。じつはここに国による方針があった》…唖然とするしかない。

   『●「日本の恥と呼ぶべき存在」
   『●「竹やりで…」「特攻艇・震洋」「人間機雷・伏龍」…
      「最も戦争に接近した八月」に「愚かな戦争に学ぶ」
   『●加害者性と被害者性の両面…
     米兵に《「ゴーホーム」と言ったが、「ご両親が待ってるよ」と付け加えた》
    《息子は元米兵。4回のイラク戦争派遣の合間に、名護市辺野古の
     キャンプ・シュワブに駐留した。そのゲート前で、米国在住の
     長島志津子さん(67)は1カ月間、戦争の愚かさを訴え続けた。
     「政治家にだまされないで」。息子の後遺症という被害者性と、
     歓迎されないまま沖縄に駐留した加害者性と》

   『●加害者性と被害者性…「私たち一人一人が被害者となり、
              加害者となり得る戦争。戦争はどこかで今も…」
    「【記憶の澱/NNNドキュメント’17】…。
     《先の大戦の記憶を、今だからこそ「語り、残したい」という人々がいます。
     性暴力、捕虜の殺害、民間人の殺害、性の接待―。
     心の奥底にまるで「」のようにこびりついた記憶には「被害」と「加害」、
     その両方が存在しました。日本人女性が性暴力を受ける現場を
     目の当たりにした人にも、大陸を侵攻した元日本兵にも、
     性の接待をせざるを得なかった満洲開拓団の人々にも。
     戦争がもたらすものとは―。人々の記憶から、反戦を訴えます》」

   『●高畑勲監督「「人を殺したくない」という気持ちこそ」…
         日本の「侵略戦争」と「加害責任」を問うテーマは…
   『●【NNNドキュメント/南京事件Ⅱ ―歴史修正を検証せよ―】…
                    「消し去られた事実の重み…現代に警鐘」
   『●【南京事件Ⅱ―歴史修正を検証せよ】…
      「「公文書」がいかに重要な意味を持つかを、社会に毅然と示した」

 《日本が戦時性暴力の加害者であることを真摯に受け止めることもなく、被害を訴える女性たちに「金目的だ」などと暴言を浴びせ、一方で性暴力を受けた女性たちに「自己責任」と言い放つ。これは、女性に対する性暴力が「女性の人権」の問題であるという認識がないことの証左だ》。《女性の尊厳を踏みにじる言葉と地続きのものであると同時に、いまなお日本に蔓延している女性の権利に対する意識のなさを浮き彫りにしている。実際、性被害を訴える女性に対し、この国では副総理までもが「…」などと性犯罪を正当化する意見がごく当然の見方であるかのように次々と飛び出すという状況がつづいている》。
 社会が病んでいるニッポン。アベ様の政治は腐敗し、警察・検察も機能せず、司法も独立性を失って政治判断を乱発して、司法判断を放棄。アベ様に手なずけられ、頼みのジャーナリズムも堕落し、マスコミに権力の監視》《権力のチェック機能》《番犬ウォッチ・ドッグジャーナリズムなどあるいは調査報道など望むべくもない。

   『●「森友、加計、準強姦事件の3つ…諸悪の根源である
           “主犯”は目の前にいるのだ」=アベ様御夫妻
   『●人治主義国家ニッポンの人事考査: 証拠隠滅で国税庁長官、
                    犯罪揉消しで警察庁組織犯罪対策部長…
   『●アベ様に犯罪をもみ消してもらえる「報道」者、
        かたや、「卑劣な報復=身辺調査」を噂される新聞記者…
   『●ニッポンの司法は完全に破壊…事件の密室性だけでなく、
                     捜査も検察審査会も「Black Box」
   『●ニッポンのマスコミも完全に破壊…鬼畜なアベ様広報官犯罪、
                       司法の「Black Box」に踏み込めず
   『●『総理』著者・山口敬之氏…犯罪もみ消しを忖度してもらえるほどの、
                           「ただの番記者」どころか腹心の友
   『●TBS「ドラマ部門が勇気ある行動を
       ということなのかもしれない」…その「放送された意義」
   『●日本のマスコミは準強姦事件についてなぜ騒がないのか?…
                「日本の国会やメディアは…関心がないようだ」

   『●「膿」で出来上がった政権、政党に絆創膏を貼っても
           「使い捨て…汚くなったらゴミ箱」(室井佑月さん)
   『●斎藤貴男さん「家柄だけのボンボン爺さんのチョイ悪ぶりっ子ほど
                       みっともないものはない。恥を知ろう…」
   『●「膿」で出来上がった政権、政党… 
      ウルトラ差別主義者=麻生太郎財務相の「責任」は有耶無耶に?
   『●「謝罪会見の場に、被害女性を散々おとしめた麻生氏の
        姿はなかった」…ウルトラ差別者の責任は有耶無耶?
   『●青木理さん「特定のメディア組織に属してはいても、
      記者が本来奉仕すべきは、広い意味での読者や視聴者」
   『●アベ様は「「愛国者」ではなく「愛僕者」…
      彼が「国難」と言う時は「僕難」…愛僕者に付ける薬」無し
    《財務次官のセクハラ問題で、女性記者が次官との会話を録音した
     データを週刊新潮に渡したことについて、自民党の衆院議員が
     「ある意味犯罪だと失言したり、「#Me Too」のボードを掲げて
     抗議した野党の女性議員に対して、別の自民党議員が
     セクハラとは縁遠い方々とツイッターに書き込んだり口を開けば、
     下劣さを露呈するばかりなのに、彼らはそうなることにさえ気が付かない。
     知性のなさは目を覆いたくなるほどです。政権が崩れる時というのは、
     こうしてあらゆる形で愚劣ぶりがほとばしり出てしまうのでしょう》

   『●「3本の矢」「女性活躍」「1億総活躍」「働き方改革」
          「人づくり革命」…そんなものを有難がってる…
    《「女性活躍」は、財務省の福田淳一前事務次官のセクハラに対して、
     麻生副総理は「(女性記者に)はめられた」とセカンドレイプのごとき
     発言を繰り返し、安倍首相本人は口をつぐんだままだ

   『●花角英世新潟県新知事…「柳瀬氏同様、安倍政権下で
       出世してきた元官僚」…女性差別発言隠蔽は体質の体現
    「リテラの記事【横田一「ニッポン抑圧と腐敗の現場」38/新潟県知事選
     “女性差別発言”問題で花角候補を直撃! 隣にいたのに
     「よく覚えていない」と“柳瀬元首相秘書官”状態】…
     《「セクハラ被害者の訴えより加害者と疑われた部下を守る
     (麻生)財務大臣。『女性知事は必要ない』と与党候補を支援する
     演説で公言した商工会長。『男性の育児は子どもに迷惑』と明言したり、
     『3人産んだほうがいい』と公言する自民党議員たち。
     もう、たくさんだ。変えましょう、社会を」》」

   『●ヘイトさへも隠蔽、自民党はヘイト政治屋だらけ…
      自民党壊憲草案「基本的人権の制限」に向けて着実に

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http://lite-ra.com/2018/08/post-4193.html

綾瀬はるかが戦時下の性犯罪をレポート! 兵士たちによる性暴力、国が中絶手術を強制…現在も続く性被害女性への偏見
2018.08.16

     (TBS公式HPより)

 昨日は73回目の終戦の日を迎えたが、民放キー局では終戦の特番はひとつも放送されることはなかった。そんななか、TBSの『NEWS23』では、放送時間を拡大して、今年も特別企画「綾瀬はるか「戦争」を聞く」を放送。今年のテーマは、「戦争と性犯罪」だ。

 今回、綾瀬が話を聞いたのは、10歳のときに敗戦を満州で迎えたという鈴木政子さん(83歳)。敗戦後、満州に侵攻したソ連兵によって収容所に連行されたが、そこではソ連兵たちによる女性たちへの性暴力が待っていた。政子さんの母・ツ子(つね)さんは、手記にこう書き綴っているという。

   〈夜ひるなしに女を連れに来る。若い者、年寄りに関係はない〉
   〈「お母さんお母さん」と泣き叫ぶ。「助けて、助けて」と呼べど叫べど
    誰も手出しができない〉
   〈まるで犬・猫どころか、石ころ同然である〉

 そして、10歳の政子さんも、そうした現場を目の当たりにしている。「『嫌だ』と言った、子ども2人いるお母さんが目の前でね、犯されたの。それをみんなが見てるんです」(政子さん)。ソ連兵は女性を何人か連れ出しては「5人くらいで輪姦」し、女性たちは「1回に5〜6人相手」にさせられた。病気や出血多量で多くの人がそこで亡くなったという。

 この証言に綾瀬も衝撃を受けたのか、「鈴木さんの目の前でですか?」「子どもたちの前で?」と繰り返すように尋ね、悲痛な表情を浮かべたが、こうして性暴力を受けた女性たちには、さらなる悲劇が待っていた。

 政子さんには満州で知り合った「ゆう子さん」という17歳の少女がいた。姉妹のように仲良くなったが、このゆう子さんもまたソ連兵の強姦被害に遭っていた。そして、政子さんの家族とともに命からがら収容所を抜け出し、引き揚げ船で帰国の途に着いたときに、ゆう子さんは妊娠7カ月となっていた。

 同じように妊娠していた女性のなかには、引き揚げ船から海へ身を投げる者もいた。だが、ゆう子さんは生きることを選び、船は博多港に着いた。しかし、ゆう子さんは福岡県筑紫郡二日市町にあった「二日市保養所」に連れて行かれる。この「二日市保養所」では、当時の日本では違法だった中絶手術が強制的におこなわれていたのだ。

 現在の母体保護法でも、中絶手術ができるのは妊娠22週未満まで。妊娠7カ月での中絶手術は母体のリスクがあまりにも高すぎる上、麻酔薬がなく、女性たちは麻酔なしで痛みに耐えなければならなかった。さらに、当時の手術にかかわった医師や看護師の証言によると、妊娠後期の場合、中絶ではなく出産をして、出てきた赤子の首を絞めたり、頭にメスを刺すなどして絶命させていたのだという。

 なぜ、このような中絶手術がおこなわれたのか。じつはここに国による方針があった。

 当時、堕胎にかかわった岩崎正・九州大学産婦人科教室元医局長は、「日経メディカル」1987年8月10日号に「国が命じた妊娠中絶」と題した手記を寄稿。そこには、敗戦直後に産婦人科の助教授が厚生省に緊急召集され、こう指示を受けたと書かれている。

   〈異民族の血に汚された児の出産のみならず家庭の崩壊を考えると、
    これら女性たちの入国に際しては、これを厳しくチェックして、
    水際でくい止める必要がある〉
   〈極秘裏に中絶すべし

 『NEWS23』では、二日市保養所で500人とも言われる女性たちが中絶手術を受けたと伝えたが、この岩崎氏の手記によると、国立福岡療養所と国立佐賀療養所でおこなわれた中絶手術も〈1000件を下らない〉という

 このように「外地」で性暴力を受けて妊娠した女性たちは、当時「不正妊娠」と呼ばれ、記録されている。強姦に遭った被害者であるにもかかわらず、女性たちは“正しくない妊娠をした者”として扱われ、意思とは関係なく国の指示によって中絶をさせられたのである


■女性たちをソ連兵に差し出し性接待をさせた日本人男性

 さらに番組では、政子さんの証言のほかに、岐阜県旧黒川村から満州に渡った「黒川開拓団」で起こった問題も紹介された。それは、敗戦後にソ連兵や現地の人びとから襲撃を受けるようになった際、「開拓団の男たち」はソ連兵に治安を守ってもらうことと引き換えに、女性を差し出して「性接待」をおこなわせていた、というものだ。このとき、男たちは女にこう言っては性暴力を正当化した。「減るもんやないし」「ロシアの人と付き合えて良かったやないか」。

 満州での性暴力、そして“身内”のはずの男たちに人身御供として差し出され、強姦の被害に遭わされた女性たち。戦時下において、女性たちはこうして性の暴力に晒されてきたのだ。

 無論、それは日本人女性だけの話ではない。『NEWS23』では、星浩キャスターが「今回、非常につらい経験を語ってくれた女性の方々を、私はその勇気に敬意を表したい」とした上で、「一方で日本はアジア・太平洋で多大な被害を与えたという加害者でもある」「我々の責任は加害者ということの歴史に目を向けること」と言及したが、日本は戦時性暴力の加害者でもあるからだ

 言わずもがな、戦時中、日本軍兵士は戦地で強姦を繰り返し、さらには朝鮮人、台湾人、中国人、フィリピン人、インドネシア人など、多くの国の女性たちを人身売買や脅迫、甘言を囁いて騙すなどして「慰安所」に入れた。しかも、こうした「性奴隷制度」と呼ぶべき慰安所の設置には軍が関与しているのである。

 だが、こうした問題に対し、日本はいまだに「戦争中だから仕方がなかった」だの「あれは戦時中の売春婦だ」だの「強制連行ではない」だのと混ぜ返しつづけている。これは、治安のために強姦させられた黒川開拓団の女性に男性が吐き捨てた「減るもんやないし」という女性の尊厳を踏みにじる言葉と地続きのものであると同時に、いまなお日本に蔓延している女性の権利に対する意識のなさを浮き彫りにしている。実際、性被害を訴える女性に対し、この国では副総理までもが「はめられた」と言い出したり、「酒を一緒に飲んだら合意も同然」「服装が悪い」「本当は悪い気はしなかったのではないか」などと性犯罪を正当化する意見がごく当然の見方であるかのように次々と飛び出すという状況がつづいている。

 日本が戦時性暴力の加害者であることを真摯に受け止めることもなく、被害を訴える女性たちに「金目的だ」などと暴言を浴びせ、一方で性暴力を受けた女性たちに「自己責任」と言い放つ。これは、女性に対する性暴力が「女性の人権」の問題であるという認識がないことの証左だ。

 戦地で日本兵が追い込まれた過酷な状況や本土空襲の苛烈さといったテーマと比べると、日本の女性たちが受けた性被害にかんする報道は少ない。そして、多くの被害女性たちに沈黙を強いてきたのは、この国の性暴力に対する偏見や、被害者に「恥」の意識を擦り込ませる社会からの視線だ。これを現在にもつづく問題として捉えると同時に、日本軍「慰安婦」問題を筆頭に、あらゆる性暴力を「女性の人権」の問題として考える。日本に求められているのは、そうした姿勢であるはずだ。

(編集部)
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●日本のマスコミは準強姦事件についてなぜ騒がないのか?…「日本の国会やメディアは…関心がないようだ」

2018年03月08日 00時00分32秒 | Weblog

[※ 報道特集(2017年7月8日)↑]



【政界地獄耳/準強姦裁判なぜ無関心】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201802280000292.html)。

 《★国会では山口が首相・安倍晋三と近いと自著で記していることから、「準強姦事件逮捕状執行停止問題を検証する会」が超党派で発足。しかし与党議員は参加せず野党の男性議員の参加も少ない…欧米メディアは積極的にこの事件を取り上げるが、日本のメディアは散発的な報道が多い。国会でも質問されているが、ほとんど記事化されていない》。

   『●「森友、加計、準強姦事件の3つ…諸悪の根源である
           “主犯”は目の前にいるのだ」=アベ様御夫妻
    《安倍首相と近しい関係といわれる元TBSワシントン支局長の
     山口敬之氏に「レイプされた」と会見で訴えた詩織さんの
     「準強姦事件」も“本質”は同じ。事件を握り潰したと報じられたのは、
     菅官房長官の秘書官だった警視庁の中村格刑事部長(当時)。
     現在は共謀罪を担当することになる警察庁組織犯罪対策部長だ。
     犯罪を平気でもみ消す、と批判されている人権軽視の警察官僚が、
     犯罪を恣意的につくり出しかねないと懸念されている悪法の責任者
     就いているなんて、これぞ悪夢だ

   『●アベ様に犯罪をもみ消してもらえる「報道」者、
        かたや、「卑劣な報復=身辺調査」を噂される新聞記者…
   『●本来国会を去るべき、「戦争ゲームに興じる子ども」
        「病的な嘘つき」がアジアやニッポン「国民の脅威」
   『●自衛隊PKO日報問題…「森友捜査ツブシ」選挙の
       ドサクサに紛れて人治主義国家ニッポンの人事考査が再び
   『●「そんな当たり前のこと」が通用しない最低の官房長官記者会見… 
                「ここは質問に答える場所じゃない…」?
   『●ニッポンの司法は完全に破壊…事件の密室性だけでなく、
                 捜査も検察審査会も「Black Box」
     「日本のマスコミは、なぜ詩織さん事件について騒がないのか?

   『●ニッポンのマスコミも完全に破壊…鬼畜なアベ様広報官犯罪、
                  司法の「Black Box」に踏み込めず
   『●『総理』著者・山口敬之氏…犯罪もみ消しを忖度してもらえるほどの、
                   「ただの番記者」どころか腹心の友
   『●TBS「ドラマ部門が勇気ある行動を起こしたということなのかもしれない」…
                          その「放送された意義」

 『総理』著者・山口敬之氏…「ただの番記者」どころか腹心の友。司法までがアベ様に忖度し、事件をもみ消し。異常な自称・法治国家。
 日本のマスコミは準強姦事件についてなぜ騒がないのか? 《つまり日本の国会やメディアは、一部を除き、関心がないようだ》。このままで本当にいいのか? 《反吐がでる》様な輩やその周辺に集まってくるクズ連中までが湧き出てくるような始末。

 リテラの「反吐の出る」記事【はすみとしこが詩織さんを「枕営業」とイラスト攻撃! 元ネタは山口敬之のトンデモ弁明、杉田水脈ら安倍チル議員も同調】(http://lite-ra.com/2018/02/post-3830.html)によると、《ところが、ここにきて、そうした性被害に対する社会的取り組みをせせら笑う動きがまたぞろ出てきている。…反吐がでる。こんなクソのようなイラストが「表現」だとしたら、はすみには最大の軽蔑を込めた攻撃的罵倒を「表現」として返したいが、そうして炎上させることこそが彼女の思惑なのだろう。…むき出しの悪意に吐き気をもよおすが、…このイラストには、たんにはすみによる誹謗中傷の表現というだけでない重要な事実があるということだ。それは、このデマはすべて山口氏が「Hanada」(飛鳥新社)17年12月号で展開したシナリオを下敷きにしているということだ。…はすみとしこの差別イラストを百田尚樹杉田水脈長尾敬が支持》

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https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201802280000292.html

政界地獄耳
2018年2月28日10時0分
準強姦裁判なぜ無関心

 ★15年4月のことだった。就職の相談で元TBS政治部記者でワシントン支局長だった山口敬之と会食したジャーナリスト・伊藤詩織が、その晩、ホテルで準強姦(ごうかん)などの被害を受けたと訴えている事件は、民事で争われている。ただ伊藤が警察に相談するも、警察は逮捕状の行使を中止。2度の不起訴処分となった。山口は「法に触れることはしていない」としているが、伊藤は納得せず手記「Black Box」を出版。日本の性暴力被害について問題提起している。

 ★国会では山口が首相・安倍晋三と近いと自著で記していることから、「準強姦事件逮捕状執行停止問題を検証する会」が超党派で発足。しかし与党議員は参加せず、野党の男性議員の参加も少ない。しかし欧米ではセクハラやパワハラなど性被害を泣き寝入りしないという機運が高まり、性犯罪の被害の事実を暴露する「#Me Too(私も)」運動が活発化。欧米メディアは積極的にこの事件を取り上げるが、日本のメディアは散発的な報道が多い。国会でも質問されているが、ほとんど記事化されていない

 ★不思議なのはTBSだ。事件当時は山口が社員だったにもかかわらず、沈黙を保ったまま。同社労組からの発言もない。民放労連新聞労連も積極的な対応をしているとは言えない。新聞社の社会部に託したいと思うものの、社会部はこの問題より、警察や検察への取材がしにくくなると考えるのか、山口や伊藤のいずれかを擁護するわけでもなく、扱わない。つまり日本の国会やメディアは、一部を除き、関心がないようだ

 ★今でも国会、地方議会では、ヤジや失言という形で差別的発言が横行している。韓国では26日、文在寅大統領が「#Me Too」運動について積極的な支持を表明し、「政府レベルの手段を総動員し、社会の至るところに根を下ろしたジェンダー暴力を根絶しなければならない」とした。日本のメディアは、このニュースも扱わないのだろうか。(K)※敬称略
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●『総理』著者・山口敬之氏…犯罪もみ消しを忖度してもらえるほどの、「ただの番記者」どころか腹心の友

2018年02月18日 00時00分12秒 | Weblog

[※ 自公選挙公約「子育て…」小躍りするアベ様…日刊ゲンダイ(2017年12月19日)↑]



日刊ゲンダイの記事【国会で色をなし否定 安倍首相と“元TBS記者”の本当の関係】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/222341)。

 《しかし、山口氏の著書「総理」を読めば、2人が“特別な関係”なのは明白だ。著書には、山口氏が安倍首相と〈時には山に登ったりゴルフに興じたりした〉と書いてある。他にも、富ケ谷の首相邸で雑談したり、電話でやりとりした様子が克明に描かれている。表紙に掲載された安倍首相の写真は、関係者でなければ立ち入ることができない執務室でのひとコマだとみられている…ただの番記者どころか腹心の友だ…■スパコン詐欺にも…野党は“アベ友”疑惑を徹底追及すべきだ

 「腹心の友」「アベ友」の疑惑だらけではないか。それでも与党・癒党支持者がアベ様政権を支えているのだから、開いた口が塞がらない。
 スパコン詐欺にも関与を囁かれ、著書『総理』を著した山口敬之氏…犯罪もみ消しを忖度してもらえるほどの、《ただの番記者どころか腹心の友》だったことは明白。この国は、本当に法治国家なのか?

   『●「森友、加計、準強姦事件の3つ…諸悪の根源である
           “主犯”は目の前にいるのだ」=アベ様御夫妻
    《安倍首相と近しい関係といわれる元TBSワシントン支局長の
     山口敬之氏に「レイプされた」と会見で訴えた詩織さんの
     「準強姦事件」も“本質”は同じ。事件を握り潰したと報じられたのは、
     菅官房長官の秘書官だった警視庁の中村格刑事部長(当時)。
     現在は共謀罪を担当することになる警察庁組織犯罪対策部長だ。
     犯罪を平気でもみ消す、と批判されている人権軽視の警察官僚が、
     犯罪を恣意的につくり出しかねないと懸念されている悪法の責任者
     就いているなんて、これぞ悪夢だ

   『●アベ様に犯罪をもみ消してもらえる「報道」者、
        かたや、「卑劣な報復=身辺調査」を噂される新聞記者…
   『●本来国会を去るべき、「戦争ゲームに興じる子ども」
        「病的な嘘つき」がアジアやニッポン「国民の脅威」
   『●自衛隊PKO日報問題…「森友捜査ツブシ」選挙の
       ドサクサに紛れて人治主義国家ニッポンの人事考査が再び
   『●「そんな当たり前のこと」が通用しない最低の官房長官記者会見… 
                       「ここは質問に答える場所じゃない…」?
    《このような海外の鋭い報道と比較すると、あらためて国内の異常ぶりが
     浮き彫りになる。とくに、安倍政権に対してメディアがいかに従順
     あるかは、菅義偉官房長官による定例記者会見を見れば一目瞭然だ。
     予定調和の質疑応答と、ただルーティンをこなす感情の見えない
     記者たち──そんな会見に単身で乗り込み、場の空気を見事に
     ぶち壊し、菅官房長官を苛立たせているのが、ご存じ東京新聞の
     社会部記者・望月衣塑子氏だ》
    《たった一人で闘う前川さんや詩織さんの勇気を、
     黙って見ているだけでいいのか
    《前川さんや詩織さんがたった一人でも闘おうとし、社会的に抹殺される
     かもしれないリスクと背中合わせで疑惑を告発している。
     2人の勇気をだまって見ているだけでいいのか。遠くで応援している
     だけでいいのか。私にできることは何なのか──考え続けているなかで、
     目の前に浮かんできたのは安倍首相であり、菅官房長官だった

   『●ニッポンの司法は完全に破壊…事件の密室性だけでなく、
                     捜査も検察審査会も「Black Box」
    「「大竹まこと ゴールデンラジオ!」のスペシャルウィークの3日目の
     ゲストは伊藤詩織さん。
      胸が締め付けられた…日本の司法は完全に破壊されている。
     こんなことが許される社会で良いのか! 国会でもようやく取り上げられ
     始めた。一方、
     「日本のマスコミは、なぜ詩織さん事件について騒がないのか?」」

   『●ニッポンのマスコミも完全に破壊…鬼畜なアベ様広報官犯罪、
                       司法の「Black Box」に踏み込めず
   『●《これはもう、まさに、私は総理大臣首相も
      国会議員も辞めるということははっきりと申し上げておきたい》

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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/222341

国会で色をなし否定 安倍首相と“元TBS記者”の本当の関係
2018年2月2日

     (ムキになって否定しているが…(右上は山口氏の著書「総理」、
      右下はペジー社代表・斉藤氏)/(C)日刊ゲンダイ)

 よほど触れられたくないのだろう。30日の衆院予算委で希望の党の柚木道義議員が、安倍首相ベッタリのTBS元記者・山口敬之氏の準強姦“逮捕もみ消し”問題を追及。山口氏との関係を問われると、安倍首相は顔を歪めながら「週刊誌報道を基に質問するな」と牽制し、「私の番記者だったから取材を受けたことはある。それ以上でも以下でもない」と、ムキになって親密関係を否定していた。

 しかし、山口氏の著書「総理」を読めば、2人が“特別な関係”なのは明白だ。著書には、山口氏が安倍首相と〈時には山に登ったりゴルフに興じたりした〉と書いてある。他にも、富ケ谷の首相邸で雑談したり、電話でやりとりした様子が克明に描かれている。表紙に掲載された安倍首相の写真は、関係者でなければ立ち入ることができない執務室でのひとコマだとみられている。

 昨年2月の日米首脳会談時に安倍首相とトランプ米大統領がゴルフをした際には、山口氏は出演したワイドショーで、安倍首相から「ゴルフの調子が良かった」と連絡があったエピソードをうれしそうに紹介していた。

 果たして、一国の首相がただの“番記者”に、わざわざ米国から日本にゴルフの結果を電話するだろうか。これでは、「ただの番記者」どころか“腹心の友”だ。

 野党が、国会で安倍に山口氏との“関係”を問いただすのは当然のことだ。

 山口氏は準強姦疑惑について、検察審査会から「不起訴相当」の議決が出たとはいえ、捜査機関による“逮捕もみ消し疑惑”がくすぶっている。


■スパコン詐欺にも…

 さらに、数億円の補助金を詐取したスパコン開発会社「ペジーコンピューティング」の顧問を務めていた。

 政治評論家の山口朝雄氏はこう言う。

   「2件とも、山口氏が安倍首相と近い関係にあったからこそ持ち上がった
    重大疑惑です。国民は、安倍首相に近いから山口氏は逮捕されず、
    顧問をしている会社が巨額の補助金をもらえたのではないか、
    と疑っている。野党の質問に対し、首相が丁寧に答えるのは当たり前です。
    なのに、ほとんど関係がなかったかのように答弁するのは、
    山口氏を出来る限り遠ざけ、火の粉が降りかかるのを防ぎたいからでしょう。
    しかし、安倍首相の不自然な答弁は逆効果。色をなして否定する姿は、
    本当は親密にもかかわらず、無理に事実を隠していることを物語っている
    ようにしか見えません」

 野党は“アベ友”疑惑を徹底追及すべきだ
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●《これはもう、まさに、私は総理大臣首相も国会議員も辞めるということははっきりと申し上げておきたい》

2018年01月15日 00時00分34秒 | Weblog

[※ 自公選挙公約「子育て…」小躍りするアベ様日刊ゲンダイ(2017年12月19日)↑]



リテラの昨年末の二つの記事【年末特別企画 リテラの2017年振り返り/今年も虚言を吐きつづけた! 安倍首相の真っ赤な嘘&インチキ発言ワースト10】(http://lite-ra.com/2017/12/post-3703.html)、
【年末特別企画 リテラの2017年振り返り/お前は絶対君主か! 安倍首相の国民軽視、独裁者体質丸出し発言集】(http://lite-ra.com/2017/12/post-3704.html)。

 《モリカケにはじまり、共謀罪強行採決、北朝鮮問題、大義なき解散……と国民を完全に舐めきった態度に終始し、嘘の低レベルさ、アホさにも磨きがかかった》。
 《それは主権者の存在を無視し、民主主義を否定する、「独裁者」の態度が透けて見える》。

   『●「森友、加計、準強姦事件の3つ…諸悪の根源である
             “主犯”は目の前にいるのだ」=アベ様御夫妻
   『●与党自公によるデタラメな《行う必要のない政策》の
          羅列に加えて、国費160億円削減で弱い者イジメ
   『●アベ様は、「部下たちに『知りません。記憶がありません』
             と言わせて、ひたすら逃げ続けるしかない」?
   『●憲法25条「健康で文化的な最低限度の生活」が保障されない、
                        血も涙も無い「国費…160億円削減」
   『●「改憲自体が目的…首相・安倍晋三が改憲を断行した
                  という記念碑的目標」…《愚劣なことだ》

 人治主義国家・アベ様王国のDictator息吐く様に噓垂れ流し、不正の数々、平成の治安維持法戦争法、デタラメな《行う必要のない政策》の羅列…極めつけは《議会制民主主義はもう機能していない》独裁政治下で、壊憲「国民主権の縮小、戦争放棄の放棄、基本的人権の制限」、そして、緊急事態条項の創設…。(前川喜平さん)《どう見ても李下に冠を正しているところまでは間違いない。本当に李(すもも)をとっているかもしれない》《規制緩和ではない。特権の付与です》《これが逃げ切れるなら私は日本の民主主義を疑う》。ニッポンは、言葉で言い表せないほど壊れてしまっている。
 《大嘘10 「私や妻が(認可や国有地払い下げに)関係していたということになれば、これはもう、まさに、私は総理大臣首相も国会議員も辞めるということははっきりと申し上げておきたい」》…いつ実行されるんだろう?

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http://lite-ra.com/2017/12/post-3703.html

年末特別企画 リテラの2017年振り返り
今年も虚言を吐きつづけた! 安倍首相の真っ赤な嘘&インチキ発言ワースト10
2017.12.31

     (首相官邸HPより)

 年末恒例となった、安倍首相による「大嘘」振り返り企画をお届けする季節が今年もやってきた。昨年は「なぜここまで平気で嘘をつけるのか?」と題して安倍首相の姿勢に疑問を投げかけたが、今年はその余地もなし。モリカケにはじまり、共謀罪強行採決、北朝鮮問題、大義なき解散……と国民を完全に舐めきった態度に終始し、嘘の低レベルさ、アホさにも磨きがかかった。
 しかも、モリカケ疑惑は終わった話ではない。新年でリセットさせないためにも、今年の真っ赤な嘘&インチキ発言をいま一度、確認していこう。


大嘘1 「(加計学園の獣医学部新設計画を知ったのは)1月の20日の特区諮問会議」
7月24日、衆院予算委員会の閉会中審査

 それは度肝を抜かれる嘘だった。突然、何を思ったのか安倍首相は、今年1月20日の特区事業者決定まで加計学園の獣医学部新設計画を知らなかったと強弁しはじめ、「私は知り得る立場にはあったわけでございますが、しかし、そのことについての具体的な説明は私にはなかったわけでございまして」などと述べたのだ。
 完璧すぎる虚偽答弁だ。なぜなら、安倍首相はこの答弁の約4カ月前の国会では「関係者はみんな知っているんですよ!」とキレまくった上、6月にも「構造改革特区で申請された」ときに承知したと明かした上で「国家戦略特区に申請をすれば私の知り得るところになる」と答弁。しかも、社民党の福島瑞穂議員の質問主意書に対しても、答弁書で“構造改革特区の説明資料に加計学園が候補となっていると記載されていた”と回答、閣議決定している。それをすべてなかったことにしようとは、インチキをはるか通り越して、もはや「ご乱心」と呼ぶべきだろう。


大嘘2 「この問題の本質は、岩盤規制にどのように穴をあけていくかだ」
6月5日、衆院決算行政監視委員会

 こういう台詞をバカのひとつ覚えと言うのだろう。この時期にはすでに「総理のご意向」と書かれた文書が明らかになり、さらに前川喜平・前文部科学事務次官が、安倍首相の側近である和泉洋人首相補佐官から「総理の代わりに言う」として対応を早くしろと迫られていたことを証言するなど「加計ありき」の実態が明らかになりつつあったが、安倍首相は頑として「岩盤規制」の一点張り。その上、“獣医学部新設は民主党が検討したものを安倍政権が引き継いだだけ”とまで言い出した。民主党政権下で始まった高校無償化や子ども手当は引き継がず廃止したくせに、である。
 あらためて言うまでもなく、問題になっているのは「加計学園のために安倍首相は自分がスタートさせた国家戦略特区を使って獣医学部新設を押し進めたのではないか?」ということ、そして「岩盤規制に開けたその穴はなんで加計しか通れない仕掛けなの?」ということだ。安倍首相はいまだにそれに対して明確な回答をできていない。挙げ句、デタラメを上塗りするように、以下のような大嘘をついているのだ。


大嘘3 「(国家戦略特区の)議事はすべて公開しています」
6月19日、記者会見冒頭発言ほか

 こう主張しては国家戦略特区の決定プロセスの透明性に胸を張ってきた安倍首相だが、8月になって、国家戦略特区ワーキンググループ(WG)が2016年6月に愛媛県と今治市からヒアリングをおこなった際、加計学園の幹部3名が同席していたにもかかわらず公開されている議事要旨にそのことが伏せられていた事実が発覚。さらに、発言内容を一部削除することで発言主旨を真逆に書き換えるという議事録の改竄までおこなわれていたことも明らかになった。「すべて公開」などされていなかったのだ。
 だが、安倍首相が事実をねじ曲げ正当性を主張してきた例は、これだけにかぎらない。たとえば、選挙中にもしつこく繰り返した「朝日新聞は加戸守行・前愛媛県知事や八田達夫・WG座長の報道をしていない!」という主張がそれだ。実際には朝日は加戸証言も八田証言も記事にしてきたが、「報道が歪められている」というお得意の“印象操作”で問題をすり替えようという下心が見え見えだ。
 また、安倍首相は同じように「国会審議すべてを見られた方々は納得されたという方も多かったのではないか」とも言いつづけているが、どうしたら「プロセスに一点の曇りもない」だの「(加計の獣医学部計画は)1月20日に知った」だのと明らかな大嘘を吐いておいて誰が納得できるのか。国民を舐めすぎである。


大嘘4 「この解散は国難突破解散だ」
9月25日、記者会見冒頭発言

 で、モリカケ問題の国会追及に耐えきれなくなった安倍首相が、民進党のゴタゴタと北朝鮮問題を助け船にして打って出たのが、国会の冒頭解散という「大義なき解散」だった。そして、自己保身のために解散権を濫用するという民主主義を破壊する暴挙にもかかわらず、安倍首相は会見で「国難突破」などというインチキも甚だしい恐怖を煽るような戦中ワードをキャッチコピーにもち出したのだ。
 しかも、失笑せざるを得なかったのは、「国難」の中身だろう。安倍首相は北朝鮮問題だけでなく、何十年も前から叫ばれてきた「少子高齢化」までいまさら「国難」と認定。幼児・高等教育の無償化を謳ったが、選挙後に蓋を開けてみたら自民党の検討案はその売り文句に遠く及ばない内容であることが判明している。その上、早期解消が求められている待機児童についても、「今後ゼロになるかについて、断定的にゼロになるとは言えない」(11月28日衆院予算委)と言い出す始末。解散時にさんざん匂わせていた「12月に米朝軍事衝突」という説といい、「国難」はどこに行ったのだろう。


大嘘5 解散前「国民のみなさまに説明しながら選挙する」 →
       選挙中「街頭演説で説明するよりも国会で説明したい」 →
         選挙後「国会において丁寧な説明を積み重ねて参りました」
9月25日記者会見→10月9日『NEWS23』(TBS)→11月20日衆院本会議

 ここまでわかりやすい嘘に、説明はいらないだろう。しかも、安倍首相が選挙中の遊説でモリカケ問題の説明をしたことは一度もなし。ようするに、ハナから「丁寧に説明」する気などさらさらなかった、ということだ。
 その上、選挙が終わると文科省の大学設置・学校法人審議会は加計学園獣医学部の新設を認める結論の答申をした。選挙のスケジュール自体がこの設置審の認可を認める答申前にと調整されたという情報もあり、つまり選挙さえ「加計ありき」で進められた可能性もあるのである。


大嘘6 「TOC条約を締結できなければ、東京オリンピック・パラリンピックを開けないと言っても過言ではない」
1月23日、衆院本会議

 今年、安倍政権が禁断の暴挙である「中間報告」によって強行採決で成立してしまった共謀罪。「21世紀の治安維持法」でしかない危険極まりない法案を通すために安倍首相がついた嘘が、この「共謀罪を成立させないと国際的組織犯罪防止(TOC)条約に加盟できない、TOC条約を締結できなければ五輪は開けない」という論法だった。
 だが、TOC条約と共謀罪はまったく別の話だ。多くの識者が言及しているように、共謀罪を新設せずとも現行法の制度のなかでTOC条約を締結させることはできるし、TOC条約は組織的な経済犯罪を防止するマフィア対策なのに、共謀罪はそのような中身にはなっていない上、テロ対策にさえなっていない。だいたい、オリンピックが本当に国民の人権を制限しなければならなければ開催できないような代物なら、さっさと開催を返上するべきなのだ。
 しかし、法案成立に躍起になる安倍首相は、書簡で共謀罪法案を「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と指摘した国連特別報告者であるジョセフ・ケナタッチ氏を攻撃するため、「アントニオ・グテーレス氏国連事務総長も『人権理事会の特別報告者は、国連とは別の個人の資格で活動しており、その主張は必ずしも国連の総意を反映するものではない』旨、述べていました」などと国会で主張。だが、このグテーレス事務総長の発言内容は、安倍政権によってかなり都合よく歪曲されたものだったのだ(詳しくは既報参照)
 国連事務総長の発言までねじ曲げる総理大臣……。「国賊」とはこの人のことだろう。


大嘘7 「『そもそも』を辞書で調べたら『基本的に』という意味もある」
4月19日、衆院法務委員会

 穴があったら入りたくなるような、恥ずかしすぎる嘘である。発端は、安倍首相が1月に過去の共謀罪法案との違いとして「今回は“そもそも”犯罪を犯すことを目的としている集団でなければならない」と述べたことだ。ところが、その後に「性質を一変させた場合」と取り締まり対象の拡大を突然言い出した。この答弁の矛盾を山尾志桜里議員にただされると、安倍首相は自信満々に上記のハッタリをかましたのだ。
 しかし後に、「そもそも」の意味を「基本的に」と記している辞書など存在しないことが明らかにされると、政府は「大辞林」(三省堂)に「(物事の)どだい」という意味があり、「どだい」には「基本」の意味があると主張。違う言葉をあいだに挟んで意味が同じになるならほとんど全部の言葉が同じ意味になるが、恐ろしいことにこのトンデモ解釈は閣議決定されてしまった。しかも、さらっと「首相が自ら辞書を引いて意味を調べたものではない」と嘘を修正したかたちで。
 あまりに馬鹿馬鹿しい嘘だが、この「そもそも」問題は、「訂正でんでん」発言などとは違い、法案の根幹にかかわる重要な部分。こんなインチキかつ杜撰な主張の末に共謀罪を成立させたことは、憲政史上でも汚点中の汚点と言っていいだろう。


大嘘8 「我が国に北朝鮮がミサイルを発射」
「我が国を飛び越えるミサイル発射という暴挙は、これまでにない深刻かつ重大な脅威」
8月29日、記者会見

 この日の北朝鮮の弾道ミサイル発射では、早朝から全国瞬時警報システム「Jアラート」と緊急情報ネットワークシステム「エムネット」が発動し、国民にかつてない恐怖感を与えた。そして、安倍首相の会見でのこの一言も、さらなる恐怖を煽った。
 だが、上空を通過したミサイルを「我が国に発射」というのは明らかに言い過ぎであり、「かつてない脅威」というのも事実ではない。北朝鮮は日本全域を射程にしたミサイルを10年以上前から開発しており、この件で脅威が高まったわけではないからだ。その上、日本上空を越えてミサイルが発射されたのも過去に2回あり、1998年には今回と同様、事前予告がなかった。
 しかも、この日のミサイルが北海道上空を通過した時間はJアラートによるアナウンスからわずか約4分後で、避難のしようもない。Jアラートは役立たずであるばかりか、時間帯によっては大パニックを起こしかねない。ようは危機を煽って北朝鮮のミサイルを政治利用しようという魂胆しか感じられないものだ。
 こうした煽動は来年も繰り返されていくことは必至だが、いちばん怖いのは、トランプ大統領と一緒になって北朝鮮を無用に刺激し、国民には恐怖を植え付けようとする安倍首相の存在だとあらためて言っておきたい。


大嘘9 「(山口敬之氏のことは)取材対象として知っている」
11日30日、参院予算委員会

 ようやく国会で取り上げられるようになった、元TBS記者・山口敬之氏によるレイプ疑惑。この日は福島瑞穂議員がついに安倍首相に対してはじめて山口氏の問題を追及し、「『総理』という本を書いたジャーナリストをご存知ですか、面識はあるでしょうか」と質問した。そして、その答弁は上記のものだった。
 よくもまあ、ヌケヌケと言ったものだ。山口氏と安倍首相の関係が「取材者と被取材者」というようなものでないことは、それこそ山口氏の著書『総理』(幻冬舎)を読めば明らか。執務室での写真をジャーナリストに使わせることも異例だし、山口氏が安倍氏の自宅や外遊先のホテルの客室にもしょっちゅう出入りするシーン、第一次政権崩壊後の2008年から安倍や昭恵夫人と定期的に登山をしていたエピソード、さらには、内閣人事案や消費税をめぐってメッセンジャー的な役割まで果たしていたことを、山口氏自らが自慢げに語っているからだ。それを「取材対象として知っている」とは開いた口が塞がらない。
 しかし、この山口氏のレイプ疑惑は、山口氏の逮捕状もみ消しに官邸の関与が疑われるという、法治国家の根幹を揺るがす大問題だ。山口氏をめぐっては、氏と昵懇だったペジーコンピューティング社長の齊藤元章氏が助成金詐欺事件で逮捕された一件とあわせて、徹底した真相究明がおこなわれなくてはならない。


大嘘10 「私や妻が(認可や国有地払い下げに)関係していたということになれば、これはもう、まさに、私は総理大臣首相も国会議員も辞めるということははっきりと申し上げておきたい」
「(獣医学部新設で)私がもし働きかけて決めているとあれば、責任を取る」
2月17日衆院予算委員会/3月13日参院予算委員会


 今年のいちばんの安倍首相による大嘘は、森友・加計問題それぞれで見得を切ったこの発言だろう。「妻が(国有地払い下げに)関係していた」ことは、総理夫人付き職員だった谷査恵子氏の口利きFAXや、財務省が不当な値引きを主導していたことを示す音声データからも明らかだ。そして加計問題も、官邸による異様な「加計ありき」が数々の証言・証拠によって証明されている。そして来春4月には、まさに「総理のご意向」どおりに獣医学部が新設されるのである。
 これだけ「詰んだ」状態では、過去の政権ならいまごろはもう倒れているはずだ。それが、安倍政権はどっこい年を越そうとしている。その背景には、誠意も正義もなく平気で国民に嘘をつく総理の存在と、もうひとつは忖度しかできない腰抜けメディアの存在がある。だからこそ、何度でも執拗に指摘しつづけなければならない。「総理は稀代の大嘘つきだ!」と。


 ──安倍首相の嘘とデタラメはまだまだあるのだが、今回は10本に厳選した。しかし、安倍首相の思い出しておきたい発言は、嘘・デタラメ以外にもある。追ってお伝えするので、そちらも楽しみにしていただきたい。

(編集部)
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http://lite-ra.com/2017/12/post-3704.html

年末特別企画 リテラの2017年振り返り
お前は絶対君主か! 安倍首相の国民軽視、独裁者体質丸出し発言集
2017.12.31

     (首相官邸HP)

 本サイトでは先立って「安倍首相の真っ赤な嘘&インチキ発言ワースト10」をお送りしたが、安倍首相の問題発言はまだまだある。なかでも目についたのは、「あなた、何様のつもり?」とツッコみたくなる上から目線、いや、もはや“絶対君主”気取りの発言の数々だ。それは主権者の存在を無視し、民主主義を否定する、「独裁者」の態度が透けて見える。
 そんな独裁者気質を丸出しにした安倍首相の今年の発言を、以下にピックアップしていこう。


◎「我が軍」発言の反省なし
「警戒監視や情報収集に当たる部隊は、私の目であり耳であります」
「諸君のなかから最高指揮官たる内閣総理大臣の片腕となって、その重要な意思決定を支える人材が出てきてくれる日を楽しみにしています」
3月19日、防衛大学校卒業式での訓示

 自衛隊は「私の目であり耳」「片腕になれ」──。しかも、この訓示で安倍首相は6回も自分は「最高指揮官」であると繰り返した上、「最前線の現場にあって指揮をとる諸君と、最高指揮官である私との意思疎通の円滑さ、紐帯の強さが、我が国の安全に直結する。日本の国益につながっています」とも述べた。
 自衛隊員に向かって恥ずかしげもなく「私とのつながりの強さ」が安全の基準だと断言し、「私の目であり耳」「片腕」などとのたまう。「国民の」ではなく「私の」と言明しているのがポイントで、これこそまさに、安倍晋三が自衛隊を私兵として見ていることの証明だろう。そして、この口ぶりは戦前の「軍人勅諭」そっくりだ。
 悲願の2020年までの改憲に向け、安倍首相はこれまでこだわってきた9条への「国防軍」明記と2項削除案から、1・2項を残して3項に自衛隊を明記する「加憲」案にシフトした。だが、訓示からわかるのは、安倍首相にとって自衛隊は「我が軍」であることに変わらない、ということだ。
 だいたい、安倍首相の「加憲」案は9条に手を加えることに対する国民の抵抗感を下げる一方で、2項の平和主義を骨抜きにするのが目的であることは明々白々。そうして改憲をしてしまえば、事実上、2項が空文化したことで自衛隊の活動には歯止めがきかなくなり、「我が軍」化は現実となるだろう。安倍首相の一見「ソフト」に見せかけた「加憲」案に、騙されてはいけない。


◎国家戦略特区は「俺ありき」だった!
「速やかに全国展開を目指したい」
「地域に関係なく、2校でも3校でも、意欲のあるところにはどんどん認めていく」
6月24日、神戸「正論」懇話会での講演

 この発言が報じられた際、多くの人が「は?」と首を傾げたことだろう。獣医学部新設を加計学園1校に限定したのは、文科省でもなければ日本獣医師会でもない。新設条件に「広域的に」「限り」という文言を萩生田光一副官房長官が書き加えたことによって、京都産業大学が必然的に振るい落とされた。つまり、官邸のゴリ押しで加計の1校に決まったのだ。
 にもかかわらず、安倍首相はこの講演で「1校に限定して特区を認めた中途半端な妥協が、結果として国民的な疑念を招く一因となった」などと発言。「中途半端な妥協」も何も、獣医師を管轄する農水省が「獣医師確保が困難になることは想定しにくい」と報告していたように、需給の観点からも新たに獣医学部を新設することに国民から疑義が呈されているのだ。しかし、そんな声を安倍首相はまるで無視。「そんなに加計加計言うなら全国展開してやるよ!」と逆ギレして見せたのだ。
 まったく冗談じゃない。実際、日本テレビが獣医師養成課程のある全国16の大学に実施したアンケート結果では、この安倍首相の発言に対して「コンビニ出店を目指す社長のような発言」「獣医学教育や獣医師の役割を全く理解していない発言」という意見が寄せられたという。あまりに当然の意見だ。
 しかも、この発言が恐ろしいのは、「データも実態調査もいらん! 俺が決めたら特区で何でもやれるんだ!」というワンマン社長さながらの「俺ありき」の実態を自ら暴露したこと。安倍首相はこの国のことを自分が好き勝手できる会社のようなものだと考えているから、こんな言葉が出てきたのだろう。そして、だからこそ加計問題は起こったのだ。


◎日本はすでに「トランプ・ファースト」
「(武器装備購入は)米国の経済や雇用にも貢献するもの」
2月15日、参院本会議

 トランプ米大統領が出した入国禁止令に対して世界中が非難の声をあげるなかでおこなわれた日米首脳会談で、「米国が偉大な国になっていくことを歓迎したい」と宣った安倍首相。そして、トランプに言われるがまま防衛装備品の購入を決め、挙げ句、上記のように高らかにアメリカ・ファーストを国会で強調。セーフティネットである社会保障費を削減し国民に身を切ることを強要する一方で、「武器を買ってアメリカの経済に貢献しよう!」と言い出したのだ。
 “国民の生活よりトランプが第一”というこの男の姿勢は、対北朝鮮でも鮮明になった。「北朝鮮に対する圧力を最大限まで高めていくことで完全一致」「日米が100%ともにあることを力強く確認」などというトランプと一体化した安倍首相の発言は北朝鮮を無駄に刺激するだけで、むしろ衝突をけしかけるものでしかない。だが、それも安倍首相にとっては当然の選択だった。こうやって今年、北朝鮮問題を煽りに煽ったことで政権浮揚を果たし、安倍政権はもち堪えたのだから。つまり、保身のために国民を危機に晒したのだ。
 北朝鮮を挑発しつつアメリカの軍事装備を売りつけるトランプに尻尾を振り、国民の生活と安全を差し出す安倍首相──これこそが、政権が喜ばしいことのように喧伝する「日米同盟の強化」の実態である。


◎恐怖政治さながらの国民分断
「こんな人たちに負けるわけにはいかない」
7月1日、都議選の秋葉原駅前街頭演説で

 ここまで直接的に市民を愚弄した総理大臣がいただろうか。加計学園問題の追及では閣僚席から仕切りにヤジを飛ばして質疑を邪魔していた当人が、そうした思い上がった首相の姿勢に異を唱える市民を「こんな人たち」呼ばわり。自分に対する批判に耳を傾け自省するでもなく、市民を「敵」として排除したのである。
 実際、衆院選の最終日に同じ場所でおこなわれた街宣には“安倍信者”が日の丸をはためかせ、政権を批判するプラカードを持った人たちに対して「朝鮮人!」などというヘイトスピーチまで飛び出すグロテスクな“極右集会”と化した。そして、安倍首相は直後に出演した自民党のネット番組で「熱気がすごかった。いろんな意味で『負けるな』というみなさんの気持ちだと思う」「何に『負けるな』とはいま私言いにくいですが」などと述べた。
 支持者は「味方」、批判する市民は「敵」。この分断と排除の発言を、このままでは近い将来、「あれが恐怖政治のはじまりだった」と振り返る日がくるかもしれない。


 いかがだっただろうか。いずれも自分は絶対的な存在なのだと信じて止まない思い上がりも甚だしい発言ばかりで、大きな問題になるに十分な、あるいはクビが飛んでも当然の発言も並んでいる。
 にもかかわらず、これらのなかにはテレビのニュースで取り上げられることもなかったものさえある。そうして、いまもこの男は総理の座に居座っているのだ。
 しかも、安倍首相が今年吐いた言葉は、嘘・インチキ発言や、こうした独裁者気取りの発言だけではなく、ネトウヨさながらの驚愕発言も連発してきた。それについては、追ってお届けしよう。

(編集部)
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