Cool Japan Academy&ACE KIDS ACADEMY

主として、学習塾「岡村ゼミナール㈱」・日本語教師養成講座「CJA」に関することについて、気ままに書いています。

日本語教師養成講座の開講に当たり、ご挨拶

2019年01月26日 | 日記
日本語教師養成講座の開講に当たり、ご挨拶

皆様のご健勝とご清栄をお慶び致します。

さて、私どもCJA日本語学校は、この4月に、待望の日本語教師養成講座を開講します。

この講座の開講に当たり、取り分け次の事柄を強調したいと思います。

➀我が国は、第二次大戦後の73年にわたり、いくたびもの経済危機や大規模自然災害による痛手を受けつ

つも、それらの危機を、人々の知恵や団結力でもって乗り越え、経済面や文化面・社会生活面などにおい

て、国内的にも国際的にも著しい成長発展をし続けてきました。

その結果、海外から我が国を観光やビジネス目的で訪問してくださる方は、昨年1年間で3,119万人に達

し、他方、海外への旅行者数は1,895万人という、国境線を越える動きが極めて活発になりました。

②しかし、他方では、出産や子育てに費やす諸種の負担を減らす方向での家族観や生活観・人生観の広がり

を原因にして、少子化が進むとともに、生活基盤の向上から高齢化も進み、結局は人口が著しく減少し続

け、2015年の総人口は1億2,709万人だったものの、今後30年間では2,000万人以上も減少することが予想

されています。

とりわけ、ひどい落ち込み方をするのは都市部より地方で3割減が当たり前と見込まれています。

③その結果、高いレベルの経済力や生活水準を維持し向上させるには、少子高齢化の人口減少を補うための

有力な手段として、外国人材の導入強化が不可欠となり、去年10月末の時点で、日本で働く外国人労働者は

146万0463人と、前年よりも18万人余り、率にして14%も増え、6年連続で過去最多を更新するに至っています。

 厚生労働省は「人手不足に悩む企業で外国人を積極的に採用する動きが続いていて、技能実習生の受け入

れや留学生のアルバイトなども増えている」と分析しています。

かくて、海外からの労働者数は、146万人にも達していますが、そこに、外国人材の受け入れを拡大する新

たな制度がことし4月に始まることから、日本で働く外国人労働者は、今後さらに増えるとみられています。

④しかし、急いで多くの労働者を迎え入れる必要から制定された特定技能1号という新制度では、日本語能力

についての障壁がさらに低くなるのではないかという強い懸念があります。

今までも、技能実習生という制度で、日本語能力がほとんどなくても入国出来ていたケースは珍しくはなか

ったのですが、他方で、総数30万人といわれる日本語学校への入学者による、「日本語を学びながら」での

週28時間の稼働枠を使用しての労働力供給が、実質的には、企業現場での人手不足を大いに補ってきました。

ところが、今後は、技能実習制度よりも、就労受け入れ条件が良い特定技能1号という新制度の下で、(多

額の学費が掛かる日本語学校への経由を避けて)直接に労働現場に参入する恐れが強いため、日本語を学び

ながら働く若者が減り、「日本語能力がほとんどない」若者たちばかりが急増する恐れが生じているのです。
 即ち、これまでの「日本語学校」という歯止め部分が、今後は脆弱になっていく恐れが強いのです。

⑤しかし、ここで、考えなければならないことは、日本語を十分には知らず、そのために同じ外国出身のメ

ンバーとばかりでグループを作って暮らすようになれば、余計に日本語を学ぶ機会や日本人との交流機会も

減り続け、日本社会との融和や共存共栄と言った目標とは大きくかけ離れてゆき、その内に日本社会との摩

擦ばかりが目立つこととなり、遂には、外国人労働者の平和的で友好的な受け入れという理想の追求は、とん挫しかねません。

➅ドイツでは、移民者たちとの間での長く厳しかった融和のための試練の後で、融和を効果的なものに変え

るため、移民者に対して、国家が、そのほとんどの経費をかけて、入国時に約600時間ものドイツ語教育を施すようになっています。

 《参考資料》木戸芳子先生の論文:インターネット記事より

ドイツでは、2005 年から施行された「移住法」では、移民は「統合コース」(lntegrationskurs)を受講 しなければならないとされている。

統合コースは、ドイツ語を学習する「言語コース」と、 ドイツの法制度、文化、歴史などを扱う「オリエンテーションコース」から構成されている 。

言語コースは、基礎言語コース(Basissprachkurs)と上構言語コース (Aufbausprachkurs)という段階を踏んで構築され、それぞれ 300 時間があてがわれる。

オリエンテーションコースでは、60 時間の学習が行われる。

合計して 660 時間に及ぶこれらのコー スの受講を通して、「ドイツに居住する外国人の経済的、文化的および社会的生活への統合を促進する」ことが目指されている。

⑦ここにおいて、我が国も又、移民者との融和に苦しんだ後で、漸く悟りを開いたドイツと同じ轍を踏みな

がら、外国人労働者たちへの日本語教育を国家の制度として取り組まざるを得なくなるでしょう。

 この時、再び日本語学校や日本語教師の活用に目を向け、その支援に依存することになるでしょう。

こうした経緯と取り組みが、一日も早く実現することを願っています。

⑧そういった変化に応じて、日本語教師の指導能力レベル強化や増員の必要性が、ますます大きくなりま

す。国内においてのみならず、海外においても同じです。

 海外においても、我が国企業の国際化傾向の長年にわたる強まりから、海外拠点や海外赴任者・その家族

らが増え続け、その影響の経済面のみならず、社会全体への強まりから、我が国への渡航や就労にあこが

れ、望む青年たちや中年社会人たちが激増しつつあり、その渡航や就労の準備として、日本語学習熱が極めて高くなっています。

 これは、東南アジア各国や太平洋諸国においてのみならず、中央アジアやインド、アフリカ諸国において

も同様で、例えば、大分県にある立命館大学のAPUでは、世界90か国もの国々からの3,000人もの留学生で

賑わっていることなどからも明らかです。

その他にも、私が先の20日から23日までの間に訪問したモンゴルの「モンゴルコウセン技術カレッジ」や

モンゴル科学大学、日本語学校等でも、日本での就労を強烈に望む若者たちで溢れかえっていました。

 また、同じ時期に、ミャンマーやカンボジアを訪問された取引銀行の支店長さんが、日本での就労を願う

多くの若者たち向けの日本語教育機関が全く足りないと痛感されつつ帰国されました。

⑨そういうわけで、外国人労働者数は、日増しに増え続け、過去最高の146万人を数えるに至っています。

しかし、今後、外国人受け入れに関する新しい制度の下で、日本語能力に不安な外国人労働者やその家族ら

が、どんどん増えるということになっても、工場や事務所において、日本人職員と同様の重要な業務をこな

してもらうには、日本語能力の向上が必須であり、それによってこそ、彼らも仕事上の遣り甲斐を感じら

れ、日本社会への溶け込みの進度も促進されるでしょう。

⑩ここにおいて、日本語教師の活躍の重要性が際立ってきます。

ところが、日本語教師は、現在非常に不足していて、全国どこの日本語学校さんでも、その確保に非常に苦しんでおられます。

取り分け、日本語学校で常勤講師として3年以上勤務して、日本語学校の設置や維持に不可欠な「教務主

任」は、正に日本語学校間での奪い合い戦争状態という噂でもちきりです。

海外の日本語教育機関数は、約2500校と言われていますが、それらの学校での教員スタッフの割合は、日本

人が、およそ5人に1人の割合でしかなく、他は、現地人で、かつて日本に留学して帰国した教員でしかありません。

また、最近、世界の各地で日本語学校さんが、生徒を日本に送り出すために、どんどん新設されています

が、その教員確保がほとんどできない状態だと聞いています。

そういうわけで、もし、日本語教師の資格を取得できれば、日本国内の職場のみならず世界中の日本後教育機関での就労可能な、非常に恵まれた状態です。

また、この日本語教師の資格は、現在、文化庁内において、教師の指導能力の向上を目指して、国家資格に格上げしようという動きもあるそうです。

⑪こういう人材不足の状況の中ですから、私どもCJA日本語学校・日本語教師養成講座の立ち上げに際して

は、全国の日本語学校の理事長・校長先生たちから、修了生が出れば、必ず当校に送ってほしいとの依頼が絶えません。

もうその数を単純に足し算すれば、80名前後にも達しています。

しかし、監督官庁である文化庁への講座開講の届け出・受理という手続きを完了しなければ、国内の許認可

を得て正式の日本語学校と告示された日本語学校での教師資格とはならないため、その日を心待ちにしてい

たのですが、漸く1月21日にその手続きが完了しましたので、ここにおいて、皆様にお知らせする次第です。

⑫ちなみに、国内に留学生向けの日本語学校は、約750校あるようですが、日本語教師養成講座を開講してい

る日本語学校は、約100校しかなく極めて貴重な存在です。

 日本語教師養成講座を開講している学校が際立って少ないのは、その講師陣容に求められる学歴及び職歴

水準が際立って高いために、人口が多い大都会又はその近隣エリア内でなければ、講座の設置や運営に必要

な人数をなかなか集められないからです。

 また、開講に向けての諸準備にも1年間が必要で、その間に抱えたレベルの高い教師や事務局職員等の人材向けの給与支払いが必要です。

受講生を集める点でも、マーケッテイング・エリア内の人口が少ない場合には、周辺部分をも含めて広範囲

にわたるため、設置準備だけで1年間近い時間が掛かる「通信制コース」などの用意も必要な上に、非常に

複雑で規模の大きい広報手段も併用せざるを得ず、とにかく苦労します。

そういうわけで、日本語教師養成講座の開講や維持においては、ハードルが高く、様々に大きなリスクを伴います。
私どもCJA日本語学校もまた、あたかも命がけとも言うべき厳しさや困難を感じながら、日々決意を新たに

しながら、監督官庁(文化庁・国語科)への開講の最初の「届け出」を行ったのが、昨年8月26日で、その

後、再三の追加資料の提出や修正指示に翻弄されながら、漸く5か月後の本年1月21日に「受理」にまで到達

しました。

この間、もし「受理」に達しなかったら、準備にかけた費用や抱えた10名近いスタッフへの給与支払いなど

が、丸まる大きな負債となって残ってしまうという脅威と不安との戦いでした。

⑬しかし、「受理」にまで至った今、振り返ってみれば、この戦いは、真に人間性ないしは全人間力を試さ

れる過酷な試練であって、その苦難の経験は、今後の人世において無駄にはならないでしょうが、まだまだ

これからも、世間や受講生の皆様、そして文化庁からのご期待に応えるべく、全力を尽くして運営に励まな

ければなりません。

覚悟を新たにしての再出発です。

今後共皆様のご理解とご支援とを宜しくお願い致します。

平成31年1月26日 土曜日
CJA日本語学校・理事長 岡村寛三郎

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