アブリコのCinema散策

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オペラ座の怪人 2004年 アメリカ・イギリス

2011-06-07 | ミュージカル
ミュージカル映画は、はっきりいって苦手である。
故に、本作品に関しても、観るまでに相当な時間がかかってしまった。
舞台のミュージカルについては、以前“食わず嫌い”なところがあったのだが、後学のため(?)と思い、ついでに人のススメもあって観てみれば、「素晴らしい」の一言であった。
ところがこれが映画版となると、スクリーンに押し込められてしまう圧迫感と、一つ一つがカメラによって処理されてしまい、全体を見通せないもどかしさに加え、ミュージカルなのにそうでないような、どうも半端な感じがしてしまうのが個人的に残念なのである。

〈オペラ座の怪人〉ことファントムは、一種のストーカー的要素を含んだ人物であるように見えるが、それはどうも違うようだ。
彼はクリスティーヌを愛するがために自ら身を引き、最後には彼女の幸せを願ってやるのだった。
まぁ、よくよく考えれば、クリスティーヌも良女とは言い難いかも。
もし幼なじみの青年貴族であるラウルがいなかったら、それこそ情が愛に変わって、美女と野獣のカップルにだってなっていた可能性もあったかもしれない。
でも彼女だって、やっぱりねーってな選択をしちゃうのだった。
選ぶとなれば、やはり容姿と金なのかクリスティーヌよ。
彼は君の“エンジェル・オヴ・ミュージック”ではなかったのか?
あぁ、これこそファントムにとって、超現実的な悲劇ではないか。

クリスティーヌから淡いキスをもらうと、彼は彼女を解き放す。
もう何も求めない。
これで十分だ。
さぁ、奴のもとへ行くがいい。
幸せになるんだクリスティーヌ!
さぁ、早く!

年老いたラウルが亡き妻の墓前に向かう。
“良き母、良き妻であった”と記されたクリスティーヌの墓石に、深紅のカーネーションが一輪、そっと置かれていた。
ファントム、おまえなのか・・・