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華氏451 '66 イギリス・アメリカ

2015-08-01 | SF
日本人の読書量が減っているらしい。
そうした傾向は前からのようで、「時間がない」というのがいちばんの理由だそうだが、情報機器に目をやることには十分な時間があるようだ。

―― 人は昔、本を読んでいた時代があった ――
近未来、書物といわれるものは、いまわしいものとして扱われている。
本の売買、所持も禁止。
家に隠し持ってなどいたら、消防士たちが駆けつけ、放水ならぬ、ため込んだ本に放火させられてしまうのだ。
大量に所蔵していようものなら、家もろとも焼かれてしまう。

本を読むとろくなことはない、と彼らは言う。
間違った知識を埋め込まれ、創られた話に惑わされてしまう、と。
だからといって、本を愛する者たちがいなくなってしまうなんてことはない。
世間の目から離れ、彼らは世捨て人のような暮らしをしていた。
本を持つことは危険なため、彼らはその敬愛する書物の内容を丸暗記していくのである。

現在、我々は目まぐるしい情報量におどらされているが、人の噂がそうであるように、信ぴょう性の乏しいものは、ある期間を過ぎれば忘れられていく。
話題性に敏感である一方、消費も激しい世の中だ。
書物がなくなるということはありえないだろうが、近年読まれなくなってきているということは、残念だが確かなことである。
話題に挙がるものは一時的に読まれるが、心に残るものがすべてとは限らない。
丸暗記とまではいかないが、いくつかのフレーズを記憶したいほどの作品がどれほどあるだろう。

華氏451とは、紙が自然発火する温度だそうである。


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