アブリコのCinema散策

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イカとクジラ 2005年 アメリカ

2008-07-01 | ドラマ
離婚原因はたいていの国で“性格の不一致”がトップらしいが、細かくいえば、やはりどちらかに非がある場合が多いようである。

主婦で作家のジョーンは、4年前から浮気をしていた。
それを理由に、夫から三行半を押し付けられる。
新進気鋭の彼女は立派に自立している。
同業者の夫よりも、はるかに名が売れている。
それもあってか、彼女はちっとも悪びれた様子がない。
二人の息子にも謝ることをしない。
だが子どもたちには、母親としての愛情を十分に注いできた。
だから彼らも、彼女を咎めることをしない。

家族愛を非常に重んじるアメリカも、そこに亀裂が生じれば、親であっても個人としての生活を尊重したりする。
「子どもたちのために別れない」という母親は、ここでは圧倒的に少数だろう。

長男のウォルトは、自分は父親似だと言う。
両親が別れても、父親と過ごす方が多い。(弟のフランクは、“まだ”母親寄り。)
しかし、彼が訳あってセラピーを受けた際、思い出として出てくるのは母親と一緒に出掛けたことだった。
そこに父親はいないのである。

『イカとクジラの格闘』は母との思い出。
それを見上げるウォルトの心境やいかに。
それにしてもこの構図、インパクトでかっ!(笑)