写真を始めると、とりあえずなんでも撮りたくなる。
そのうち自分の方向性が見えてくるのだが・・・
私も風景を中心に撮影していたが、スポーツを撮ったことがなかった。
そのとき、地元会津の柳津町にジャパン・女子・プロレスがやってくることを知った。
スポーツを撮れるし、女子だし。
一粒で二度おいしい感じがしたのだ。
さっそっく会津坂下町のスポーツ店まで行ってチケットを買った。
リングサイドの一番良い席だったが、たいした金額ではなかった。
やはり女子は男子に比べると知名度的にも、いまひとつらしいことが金額からもわかる。
ジャパン・女子・プロレス(当時)という団体はキューティー鈴木というスター選手を
抱えていた団体で、当然撮影の際狙う第一候補だ。
プロレスというのは特別なイベントでもない限りは、同じ団体の中で戦う。
相撲で言うならば、同じ部屋の力士同士で試合をするわけだ。
同じ釜の飯を食べてるわけだから、試合以外では普通に会話するし、一緒に
食事したりもするわけだ。
ビートたけしのネタに、バーに行ったら馬場とブッチャーが一緒に酒飲んでた、
というのがあるが、彼らは恨みで試合をしているわけではなく、全日本プロレスが
高額のギャラでブッチャーを呼んで、スポーツ興業として試合をしているわけだある。
だから、試合が終わったら一緒に酒を飲んでいても不思議ではないわけだ。
しかし、いつも身内同士で試合をやっていると、なれ合いになってしまう。
「これ以上やると、ケガするかもな・・・」
とかね。
それに有名選手が多数いる団体ならいいけど、知らない選手と知らない選手が
試合をしても、見ている我々がいまいち気持ちが入らないんだよね。
そこで考え出されたのがヒーロー・ヒロインと悪役(ヒール)。
日本人は好きでしょ?
勧善懲悪の「この印籠が目にはいらぬか~」てな、やつ。
そうすれば、
「だれだかわかんないけど、正義の味方がんばれ」
って、なるもんね。
でもさあ、「悪役やりたい人、手を挙げて!」と言われて手を挙げる人、いる?
いないよね。
みんな、アントニオ猪木とかビューティー・ペアとかに憧れてプロレスの
世界に入ったんだからさ。
では、どうするのかといえば、ダンプ松本女氏によれば、入団の面接で容姿とか
判断されて、
「あなたはヒールやりなさい」
と、言われるのだそうだ。
そのとき、ほとんどの女の子は泣くそうだ。
そうだよね。
憧れてやっと入ったプロレスの世界なのに観客から、
「引っ込め!死ね!」
とか言われるんだもん。
でも、好きなプロレスを続けるために仕方なく引き受けるんだよ。
ダンプ松本女氏が電話で
「お母さんごめんね、悪役になっちゃった」
って泣いた話しをしたとき、こっちも涙がでたよ。
なんて酷なことするんだ、ってね。
柳津町で撮影したヒール側の選手。
顔には毒々しいペイントがしてあるが、目がとてもやさしい。
彼女が自ら好んで反則をしたり、罵声を浴びせたりするようにはとても思えない。
好きなプロレスを続けるために、泣く泣くイヤな仕事を引き受けて
いるのかと思うと、とても心が痛む。
おまけ
キューティー鈴木が500円でサインをして売ってました。
弱小団体にとっては貴重な収入源です。
私もミーハー気分でサインをしてもらいました。
その時握手してもらったのですが、普通の女の子の指でした。
歯は欠けてましたが・・・
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