引き続き大学ネタ。
昨日、文科省から「平成19年度学校法人の財務情報等の公開状況に関する調査結果について」が発表されました。
結果を見るまでもなく、財務情報等の一般公開を行っている法人は92.3%と、かなりの高率になっています。その理由は、2004年に私立学校法の一部が改正され、それまでは「決算書を作成しなさい」という規定だけだったのですが、情報公開に関する条文(§47-2)が追加されたからです。もっとも、条文ではどんなふうに情報を一般公開するかは規定されていませんので、この点については各法人の工夫ということになります。
調査でも公開方法別のデータを収集していますが、それによれば、ホームページに記載が70.9%でもっとも多く、次いで広報誌等の刊行物が64.5%、学内掲示板等が16.6%となっています(複数回答ありです)。全法人に対する割合で見ると、それまで広報誌等の刊行物で公開していた割合が一番多かったのですが、平成19年度調査ではホームページでの公開が逆転しました。
情報公開を促進するというのは世の流れですし、広範なステークホルダーを「意識」すれば、学校法人でも決算情報のみならず事業報告を開示することは当然といえるでしょう。
しかし注意しなければならないことは、決算書類が会計基準で定められた形式に則っているということ、そしてその情報が学校法人のものであることです。
まず、会計基準で定められた形式については、それ自体はまったく悪いわけではありません。ただそこで示された情報をステークホルダーが読み取れるかという問題があります。
次に、学校法人の情報ということは、その法人が大学を1つしか経営していないのであれば法人の決算と大学の決算はほぼ等しくなるでしょう。しかし、大学を2つとか、大学と高校を経営しているという場合には、それらすべてが「連結」されますので、法人としてうまくいっているのかはわかっても、セグメント別にはどうなのかは、わかりにくくなります。
調査でも、その点について調べており、「一般公開に当たっての工夫等」という項を設けています。それによれば、①財務状況に関する全般的な解説をしている(57.5%)、②各科目の平易な説明をしている(27.2%)、③経年推移の状況が分かる資料となっている(42.5%)、④財務比率等を用いた財務分析をしている(33.8%)、⑤グラフや図表を活用するなど見やすい資料となっている(32.8%)、⑥設置校毎の財務状況が分かる資料となっている(9.4%)となっています。これらのうち、①から⑤は上記第1の注意点、⑥は第2の注意点に関する工夫です。
これらのデータ(割合)をどう判断するかはいろいろな見方があるでしょうが、情報公開していてもわかりにくくっちゃ見る気もしないですよね。そして見る気もしなくなるような情報では、『本当は出したくないんだけど法律で決められているから、しぶしぶ出してるな。』という印象を持たれてしまいます。そういった場合、『あえて専門家にしかわからない状態で公開しているのには何かウラがあるんじゃないか』と思われてしまうかもしれません。
昨年、ある学会で、ある国立大学法人のファイナンシャルレポート(年次報告書)をいただきましたが、『ここまでやるのか』と思うと同時に、『ステークホルダー別に必要な情報が開示されているなぁ』と妙に感心した記憶があります。
会計情報の公開というのは、ありのままの情報を過不足なく公開すること(精細性)はもちろんですが、それに加えてステークホルダーにわかってもらう工夫(概括性)も必要です。公開すればいいという時代ではないわけですね。
というわけで、勤務先の情報を見てみると・・・。うーん。(苦笑)
昨日、文科省から「平成19年度学校法人の財務情報等の公開状況に関する調査結果について」が発表されました。
結果を見るまでもなく、財務情報等の一般公開を行っている法人は92.3%と、かなりの高率になっています。その理由は、2004年に私立学校法の一部が改正され、それまでは「決算書を作成しなさい」という規定だけだったのですが、情報公開に関する条文(§47-2)が追加されたからです。もっとも、条文ではどんなふうに情報を一般公開するかは規定されていませんので、この点については各法人の工夫ということになります。
調査でも公開方法別のデータを収集していますが、それによれば、ホームページに記載が70.9%でもっとも多く、次いで広報誌等の刊行物が64.5%、学内掲示板等が16.6%となっています(複数回答ありです)。全法人に対する割合で見ると、それまで広報誌等の刊行物で公開していた割合が一番多かったのですが、平成19年度調査ではホームページでの公開が逆転しました。
情報公開を促進するというのは世の流れですし、広範なステークホルダーを「意識」すれば、学校法人でも決算情報のみならず事業報告を開示することは当然といえるでしょう。
しかし注意しなければならないことは、決算書類が会計基準で定められた形式に則っているということ、そしてその情報が学校法人のものであることです。
まず、会計基準で定められた形式については、それ自体はまったく悪いわけではありません。ただそこで示された情報をステークホルダーが読み取れるかという問題があります。
次に、学校法人の情報ということは、その法人が大学を1つしか経営していないのであれば法人の決算と大学の決算はほぼ等しくなるでしょう。しかし、大学を2つとか、大学と高校を経営しているという場合には、それらすべてが「連結」されますので、法人としてうまくいっているのかはわかっても、セグメント別にはどうなのかは、わかりにくくなります。
調査でも、その点について調べており、「一般公開に当たっての工夫等」という項を設けています。それによれば、①財務状況に関する全般的な解説をしている(57.5%)、②各科目の平易な説明をしている(27.2%)、③経年推移の状況が分かる資料となっている(42.5%)、④財務比率等を用いた財務分析をしている(33.8%)、⑤グラフや図表を活用するなど見やすい資料となっている(32.8%)、⑥設置校毎の財務状況が分かる資料となっている(9.4%)となっています。これらのうち、①から⑤は上記第1の注意点、⑥は第2の注意点に関する工夫です。
これらのデータ(割合)をどう判断するかはいろいろな見方があるでしょうが、情報公開していてもわかりにくくっちゃ見る気もしないですよね。そして見る気もしなくなるような情報では、『本当は出したくないんだけど法律で決められているから、しぶしぶ出してるな。』という印象を持たれてしまいます。そういった場合、『あえて専門家にしかわからない状態で公開しているのには何かウラがあるんじゃないか』と思われてしまうかもしれません。
昨年、ある学会で、ある国立大学法人のファイナンシャルレポート(年次報告書)をいただきましたが、『ここまでやるのか』と思うと同時に、『ステークホルダー別に必要な情報が開示されているなぁ』と妙に感心した記憶があります。
会計情報の公開というのは、ありのままの情報を過不足なく公開すること(精細性)はもちろんですが、それに加えてステークホルダーにわかってもらう工夫(概括性)も必要です。公開すればいいという時代ではないわけですね。
というわけで、勤務先の情報を見てみると・・・。うーん。(苦笑)