出光美術館で開催中の風神雷神図屏風展に行ってきました。
相当の混雑が予想されると思い、一人時間差攻撃に出ました。
夕方が空いているというメルマガ情報を基に、4:30頃を目途に、いざ出陣。
案の定、楽勝。5時を過ぎると仕事帰りの人達で、また混みはじめます。
俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一、三者の作品をじっくり拝見。
以下は私見です。
今迄は三者同時に見比べる機会がなかったので、それぞれに素晴らしい物、
優劣を付け難いものと思っていました。
しかし、宗達のを見た後、光琳、抱一と続けて見ると、
愕然とするものがあります。
光琳は宗達を丁寧に重ねて模写しています。
しかし、絵を描いたときの作者の目線が全然違います。
屏風や掛け軸は、日本家屋に置くもの。床や畳の上に直におきます。
従って見る方もその目線で見ます。上から見下ろす,
下から仰ぎ見るという見方ではない筈です。
宗達は、芸術家というよりも、どちらかというと実用的なデザイン作者。
従って、見る者の目線を意識して作品を製作していると思われます。
風神・雷神の目線は、光琳や抱一のそれとは明らかに違います。
見る側の目線に立って描かれています。
光琳や抱一とはそこが違う。細かい部分の意匠の違いもあるが、
この目線の違いが、作品全体から醸し出される雰囲気を変えているように思います。
作品を実際に見るときは、腰を低く屈んで目線を下げてみることをお勧めします。
そうすると、宗達の風神・雷神と目が合います。
そこに宗達の凄さがあります。
光琳、抱一は結局のところ『模写』の範囲から脱していません。
これが狩野派の限界なのかもしれません。
皆さんも足を運んで是非ご覧になってください。
その時には、腰を低くして目線を下げてみてください。
宗達と同じ空間に浸れます。その為にも空いている時間を狙って下さい。
以下に、出光美術館のお知らせと画像を載せておきますが、
残念ながら、抱一の画像は持ち合わせがありませんでしたので、
会場で直接ご覧になってください。
国宝 風神雷神図屏風 ―宗達・光琳・抱一 琳派芸術の継承と創造―
2006年9月9日(土)~10月1日(日)
桃山から江戸初期に、京都町衆出身の絵師・俵屋宗達が残した最高傑作、国宝「風神雷神図屏風」(建仁寺蔵)。この作品は無款であるにもかかわらず、古来宗達の作として誰疑うことのない屈指の名品です。遠くインド・中国に起源をもつ神々の像を、古典絵巻や彫刻作品などにヒントを得、巨大な単独像に翻案してダイナミックに描き出してみせるこの金地屏風は、今なお強烈な存在感を放ち続けています。
この作品は完成のおよそ七・八十年後に、宗達を慕い琳派の後継者を自負した同じ都の絵師・尾形光琳によって、模作がつくられています(東京国立博物館蔵)。そしてそこからさらに一世紀ほどを経て、幕末に東国江戸で琳派を再興した酒井抱一が、あらためて光琳画から模作をつくりました。これら三つの作品こそが、江戸の初期・中期・後期にそれぞれ琳派絵師の手で描きあげられた、三つの風神雷神図といわれるものです。
本展では、これら琳派の継承を象徴する三つの風神雷神図を一堂に展示する、実に六十六年ぶりの企画であり、研究者のみならず広く一般の方々にも、著名な絵師と作品の揃い踏みによる芸術鑑賞の醍醐味を味わっていただきたいと思います。
なお、展を併設します。
開館時間 午前10時~午後7時(入館は午後6時30分まで) 休館日 本展期間中は無休 入館料 一般1000円/高・大生700円(団体20名以上各200円引)
中学生以下無料(ただし保護者の同伴が必要です) 電話 ハローダイヤル03-5777-8600(展覧会案内)
なお、本展覧会期間中は都合により「列品解説」は開催いたしません。あらかじめご了承ください。
現在の展覧会 展覧会スケジュール
出光美術館名品展I 青磁の美 国宝 風神雷神図屏風 国宝 伴大納言絵巻展 出光美術館名品展II 書のデザイン 志野と織部 併設展示
ルオー・ムンク作品 茶室 朝夕菴/陶片資料室 過去の展覧会
以下は出光美術館から配信されているメルマガの記事です。
□▲○ 風神雷神図屏風とは ◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
風神雷神図屏風―。
この図には署名も印章もない。まったく無落款の、二枚折りの金屏風だ。
そこには、天部である風の神と、雷の神とが、画面のちょうど半分を占め
るほどの迫力のある大きさで、堂々と描き出されている。黒雲を従え、軽
やかに宙を舞う二神。まさに「神々しい」そのすがただが、しかしながら
それらはあまりにも自由であり、かつ開放的だ。轟音とともに稲光を矢の
ような速さで地上に落とす雷神も、強烈な風を巻き起こしてすべての生き
とし生けるものを悩ます風神も、まるで千手観音の眷属(けんぞく)であ
ることを忘れたかのように、まばゆいばかりの金地の空間に浮遊している。
それは、自然そのものでもある。限りなく豊かで、しかもおおらかさを備
えたこの絵は、東洋のどこの国でもなく、日本で生まれた。江戸時代に都
に生きた天才芸術家・俵屋宗達の作とされる本図は、絵師の優れた感性を
伝える、日本絵画史上の珠玉の名作である。
□▲○ 三つの風神雷神図 ◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
江戸時代前期、寛永期の作という説が濃厚な国宝の『風神雷神図屏風』は、
江戸中期に尾形光琳によって見出されて以来、誰疑うことなく俵屋宗達の
作品と考えられてきた。桃山から江戸初期の都の絵師宗達は上層の町衆の
出で、最初は扇絵や装飾料紙を、さらに後年には水墨画や、濃彩の襖絵や
屏風絵なども手懸けた。現在ではこの屏風と同じ図様の宗達による扇面画
もみつかっており、その作者として宗達以外の絵師名を想定することの方
が、遥かに難しい。無論この図を最初にみたときの光琳も、彫塗りと呼ば
れる彩色技法や、たらし込み風の雲霞の表現など、宗達画の特質をよく理
解していたから、なんのためらいもなく、本図を宗達の作と考えたのであ
ろう。光琳は、宗達の風神雷神図を、京の都で、その完成からおよそ八十
年ほどのちに偶然見出した。亡き先人宗達を慕う光琳は、その造形の秘密
に迫るために、さらには故人の作例に挑戦するために、ほぼ同寸で独自の
『風神雷神図屏風』を模倣し、かつ創造したのである。そして光琳が再生
した屏風は、さらに一世紀ほどの時代を経て、幕末期に今度は江戸の絵師
抱一によって見出されることになる。抱一は光琳の屏風絵から再び風神雷
神図をつくりあげ、自らの光琳学習のなかでも実り多き成果のひとつとし
たのである。
□▲○ミュージアムショップからのお知らせ ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「国宝 風神雷神図屏風」展開催にあわせ、新刊図録を作製いたしました。
当館ミュージアムショップで販売中ですので、是非お買い求めください。
また、ご来館いただけない場合には郵便振込でもお求めいただけますので
下記要領でお手続きください。
図録名:国宝 風神雷神図屏風
価格:1,500円
※郵便振替購入方法
①『国宝 風神雷神図屏風』図録
価格:1,500円(税込)
送料:1冊~4冊まで600円(梱包料200円含む)
5冊以上は着払いとさせていただきます。
口座番号:00170-7-566759
加入者名:(財)出光美術館 出版物係
*着払いでお求めの場合には、商品代金と共に梱包料200円をお申込時に
お振り込みください。
※商品到着までご入金確認後7日程お時間をいただきます。
相当の混雑が予想されると思い、一人時間差攻撃に出ました。
夕方が空いているというメルマガ情報を基に、4:30頃を目途に、いざ出陣。
案の定、楽勝。5時を過ぎると仕事帰りの人達で、また混みはじめます。
俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一、三者の作品をじっくり拝見。
以下は私見です。
今迄は三者同時に見比べる機会がなかったので、それぞれに素晴らしい物、
優劣を付け難いものと思っていました。
しかし、宗達のを見た後、光琳、抱一と続けて見ると、
愕然とするものがあります。
光琳は宗達を丁寧に重ねて模写しています。
しかし、絵を描いたときの作者の目線が全然違います。
屏風や掛け軸は、日本家屋に置くもの。床や畳の上に直におきます。
従って見る方もその目線で見ます。上から見下ろす,
下から仰ぎ見るという見方ではない筈です。
宗達は、芸術家というよりも、どちらかというと実用的なデザイン作者。
従って、見る者の目線を意識して作品を製作していると思われます。
風神・雷神の目線は、光琳や抱一のそれとは明らかに違います。
見る側の目線に立って描かれています。
光琳や抱一とはそこが違う。細かい部分の意匠の違いもあるが、
この目線の違いが、作品全体から醸し出される雰囲気を変えているように思います。
作品を実際に見るときは、腰を低く屈んで目線を下げてみることをお勧めします。
そうすると、宗達の風神・雷神と目が合います。
そこに宗達の凄さがあります。
光琳、抱一は結局のところ『模写』の範囲から脱していません。
これが狩野派の限界なのかもしれません。
皆さんも足を運んで是非ご覧になってください。
その時には、腰を低くして目線を下げてみてください。
宗達と同じ空間に浸れます。その為にも空いている時間を狙って下さい。
以下に、出光美術館のお知らせと画像を載せておきますが、
残念ながら、抱一の画像は持ち合わせがありませんでしたので、
会場で直接ご覧になってください。
国宝 風神雷神図屏風 ―宗達・光琳・抱一 琳派芸術の継承と創造―
2006年9月9日(土)~10月1日(日)
桃山から江戸初期に、京都町衆出身の絵師・俵屋宗達が残した最高傑作、国宝「風神雷神図屏風」(建仁寺蔵)。この作品は無款であるにもかかわらず、古来宗達の作として誰疑うことのない屈指の名品です。遠くインド・中国に起源をもつ神々の像を、古典絵巻や彫刻作品などにヒントを得、巨大な単独像に翻案してダイナミックに描き出してみせるこの金地屏風は、今なお強烈な存在感を放ち続けています。
この作品は完成のおよそ七・八十年後に、宗達を慕い琳派の後継者を自負した同じ都の絵師・尾形光琳によって、模作がつくられています(東京国立博物館蔵)。そしてそこからさらに一世紀ほどを経て、幕末に東国江戸で琳派を再興した酒井抱一が、あらためて光琳画から模作をつくりました。これら三つの作品こそが、江戸の初期・中期・後期にそれぞれ琳派絵師の手で描きあげられた、三つの風神雷神図といわれるものです。
本展では、これら琳派の継承を象徴する三つの風神雷神図を一堂に展示する、実に六十六年ぶりの企画であり、研究者のみならず広く一般の方々にも、著名な絵師と作品の揃い踏みによる芸術鑑賞の醍醐味を味わっていただきたいと思います。
なお、展を併設します。
開館時間 午前10時~午後7時(入館は午後6時30分まで) 休館日 本展期間中は無休 入館料 一般1000円/高・大生700円(団体20名以上各200円引)
中学生以下無料(ただし保護者の同伴が必要です) 電話 ハローダイヤル03-5777-8600(展覧会案内)
なお、本展覧会期間中は都合により「列品解説」は開催いたしません。あらかじめご了承ください。
現在の展覧会 展覧会スケジュール
出光美術館名品展I 青磁の美 国宝 風神雷神図屏風 国宝 伴大納言絵巻展 出光美術館名品展II 書のデザイン 志野と織部 併設展示
ルオー・ムンク作品 茶室 朝夕菴/陶片資料室 過去の展覧会
雷神図(国宝):宗達 | 風神図(国宝):宗達 |
雷神図(重要文化財):尾形光琳 | 風神図(重要文化財):尾形光琳 |
以下は出光美術館から配信されているメルマガの記事です。
□▲○ 風神雷神図屏風とは ◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
風神雷神図屏風―。
この図には署名も印章もない。まったく無落款の、二枚折りの金屏風だ。
そこには、天部である風の神と、雷の神とが、画面のちょうど半分を占め
るほどの迫力のある大きさで、堂々と描き出されている。黒雲を従え、軽
やかに宙を舞う二神。まさに「神々しい」そのすがただが、しかしながら
それらはあまりにも自由であり、かつ開放的だ。轟音とともに稲光を矢の
ような速さで地上に落とす雷神も、強烈な風を巻き起こしてすべての生き
とし生けるものを悩ます風神も、まるで千手観音の眷属(けんぞく)であ
ることを忘れたかのように、まばゆいばかりの金地の空間に浮遊している。
それは、自然そのものでもある。限りなく豊かで、しかもおおらかさを備
えたこの絵は、東洋のどこの国でもなく、日本で生まれた。江戸時代に都
に生きた天才芸術家・俵屋宗達の作とされる本図は、絵師の優れた感性を
伝える、日本絵画史上の珠玉の名作である。
□▲○ 三つの風神雷神図 ◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
江戸時代前期、寛永期の作という説が濃厚な国宝の『風神雷神図屏風』は、
江戸中期に尾形光琳によって見出されて以来、誰疑うことなく俵屋宗達の
作品と考えられてきた。桃山から江戸初期の都の絵師宗達は上層の町衆の
出で、最初は扇絵や装飾料紙を、さらに後年には水墨画や、濃彩の襖絵や
屏風絵なども手懸けた。現在ではこの屏風と同じ図様の宗達による扇面画
もみつかっており、その作者として宗達以外の絵師名を想定することの方
が、遥かに難しい。無論この図を最初にみたときの光琳も、彫塗りと呼ば
れる彩色技法や、たらし込み風の雲霞の表現など、宗達画の特質をよく理
解していたから、なんのためらいもなく、本図を宗達の作と考えたのであ
ろう。光琳は、宗達の風神雷神図を、京の都で、その完成からおよそ八十
年ほどのちに偶然見出した。亡き先人宗達を慕う光琳は、その造形の秘密
に迫るために、さらには故人の作例に挑戦するために、ほぼ同寸で独自の
『風神雷神図屏風』を模倣し、かつ創造したのである。そして光琳が再生
した屏風は、さらに一世紀ほどの時代を経て、幕末期に今度は江戸の絵師
抱一によって見出されることになる。抱一は光琳の屏風絵から再び風神雷
神図をつくりあげ、自らの光琳学習のなかでも実り多き成果のひとつとし
たのである。
□▲○ミュージアムショップからのお知らせ ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「国宝 風神雷神図屏風」展開催にあわせ、新刊図録を作製いたしました。
当館ミュージアムショップで販売中ですので、是非お買い求めください。
また、ご来館いただけない場合には郵便振込でもお求めいただけますので
下記要領でお手続きください。
図録名:国宝 風神雷神図屏風
価格:1,500円
※郵便振替購入方法
①『国宝 風神雷神図屏風』図録
価格:1,500円(税込)
送料:1冊~4冊まで600円(梱包料200円含む)
5冊以上は着払いとさせていただきます。
口座番号:00170-7-566759
加入者名:(財)出光美術館 出版物係
*着払いでお求めの場合には、商品代金と共に梱包料200円をお申込時に
お振り込みください。
※商品到着までご入金確認後7日程お時間をいただきます。
いろいろと、参考になります。
私も今日は久しぶりに博物館で遊んでおりました。完成度の高い作品は、私にとって
「萌え-」と、今風には云うのかな!
会期が迫っているので、とても行けそうにないのが悲しいですぅ・・・
勿論、わん太夫さんのを、先に読んでいました、長年の美を見る目が養われていなければ
できないことです、やはりhokusaiさんだけのことがあります、違いが分かる人でなければ
価値の違いを見出せません、やっぱり終生勉強ですね。はい!!
。有難うございました
再度出光美術館に行かれたとか、最初と二度目では印象が変わりましたでしょうか。なるほど、見る側の目線でかれらの絵をとらえるというのは新鮮です。二神の屏風の中の位置(構図)は宗達のものが抜群にすぐれていると思いますが、そこまで気づきませんでした。
わん太夫さんをはじめ、多くの方のレビューを拝見して、わたしもまたあらためて美術館へ行ってみたくなりました。これからも、どうぞよろしくお願いいたします!
そんなに、わん太夫をかいかぶらないで下さい。
わん太夫家では、朝日新聞を購読していないので、どんな記事かは分かりませんが、お褒めいただき有難うございます。
わざわざのコメント有難うございます。
雪月花さんのブログにTBでお返事させていただきました。
そうですよね、目線たしかに重要です。
気がつきませんでした。
次屏風絵観る時までに足腰鍛えておきます!