わん太夫の迷路

気ままに人生を送りたいな~、との希望的観測と共に

鳥獣人物戯画,、こんな見方も楽しいよ~

2021年06月12日 18時03分46秒 | 美術散歩

甲巻の兎と蛙との相撲など楽しいシーン

これを上下180度反転させてみると・・・

現在東京国立博物館で開催中の特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」ですが、
拙ブログに2007年12月10日投稿しましたものをちょっと参考までに。
https://blog.goo.ne.jp/.../03f8a7fed45c710d5001bc615f4e1238
  🐰  🐸  🐰  🐸  🐰  🐸  🐰  🐸
甲巻ですが、兎と蛙との相撲など楽しいシーンばかりで、臨場感に溢れていますよね。
そこで皆さんもよく御存知の、蛙が兎を投げ飛ばして、意気軒昂としている場面がありますが、これって・・・
そうです、この場面を上下逆さまにして見ると・・・
あれれ、兎が蛙たちを、八方無尽に投げ飛ばし、あまりの痛快さに、腹を抱えて大笑いしているではありませんか。
そして兎の足元には、投げ飛ばされて口から吐息を吐いている蛙が横たわっているではありませんか・・・
こんな解釈間違っていますか・・・?
でもそんな解釈も笑って許されるのが、この『鳥獣人物戯画』の好い所ではないでしょうか(笑)
鳥羽僧正と一緒に遊びませんか、お試しあれ♪ d(⌒o⌒)b♪

 

高山寺のHP 
https://kosanji.com/chojujinbutsugiga/


ダ・ヴィンチ没後500年 夢の実現展

2020年01月24日 14時29分40秒 | 美術散歩

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダ・ヴィンチは万能の天才と呼ばれ、その足跡は現在の我々の夢を先取りするものでありました。
例えば、空を飛ぶ道具、水中を移動する道具などなど枚挙にいとまがありません。
さらには彼は作曲や舞台演出、ミュージカルのようなものまで手掛けています。
まさにエンターテイナーですね。
また自然を観察したり、さらには人体を解剖したりと真実をリアルなまでに追求しました。これらは膨大なメモは「レオナルド手稿」として遺されました。

モナリザの画家として有名ではありますが彼の真筆は10数点あまり。
しかも、完成に至らなかったものもあります。

そこで彼の遺志を継いで、東京造形大学でレオナルドの「夢の実現」に取り組んだのが本展です。
レオナルド・ダ・ヴィンチ研究の第一人者である池上英洋教授の指導のもと、学生さんたちとでかれこれ1年間の準備作業での開催となりました。

いよいよ明後日26日(日)までとなってしまいました。

会期:~1月26日(日)
会場:代官山ヒルサイトフォーラム
開館時間:11:00?20:30(入館は20:00まで)
主催:東京造形大学
後援:イタリア大使館 イタリア政府観光局他
入場無料

http://leonardo500.jp/


御即位記念特別展「正倉院の世界―皇室がまもり伝えた美―」

2019年10月24日 15時10分27秒 | 美術散歩

 

令和天皇陛下の御即位を記念し、正倉院宝物を中心とした飛鳥・奈良時代の宝物の特別展。 正倉院宝物展は毎年秋に奈良国立博物館で開催されています。 過去には毎年秋の恒例として奈良に行ってましたが、最近は足が遠のいていましたので、絶好の機会で見逃せません。 令和元年の本年だからこその展覧会です。

展示は1章~6章 第1章 聖武天皇と光明皇后ゆかりの宝物 第2章 華麗なる染織美術 第3章 名香の世界 第4章 正倉院の琵琶 第5章 工芸美の共演 第6章 宝物をまもる

 

各章の見どころ

 第1章 聖武天皇と光明皇后ゆかりの宝物では、東大寺献物帳(国家珍宝帳) これは正倉院宝物の目録のようなもの。 平螺鈿背八角鏡は螺鈿のような南海の煌きをちりばめた鏡

東大寺献物帳(国家珍宝帳)

平螺鈿背八角鏡は螺鈿

 

第2章 華麗なる染織美術では、墨画仏像、紺夾纈絁几褥

墨画仏像

紺夾纈絁几褥

 

第3章 名香の世界では黄熟香、通称「蘭奢待(らんじゃたい)」
これは天下の名香木で足利義満、織田信長、明治天皇が切り取った跡が示されている。

黄熟香、通称「蘭奢待(らんじゃたい)」

 

第4章 正倉院の琵琶では、螺鈿紫檀五絃琵琶(前期のみの展示) 古代インドに起源を持つ五絃琵琶で目を見張る素晴らしい装飾で覆いつくされている。

螺鈿紫檀五絃琵琶(前期のみの展示)

 

第5章 工芸美の共演では、伎楽面 酔胡王、漆胡瓶(聖武天皇御愛用の異国趣味な水差し)

伎楽面 酔胡王

漆胡瓶(聖武天皇御愛用の異国趣味な水差し)

 

第6章 宝物をまもるでは、正倉院御物修理図(部分)

 

会期:10月14日(月・祝)~11月24日(日) 展示替えのため、前期:~11月4日(月・祝)、後期:11月6日(水)~24日(日) 詳細は https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1968#top 写真は正倉院のHPからお借りしました。


『ギリシャ神話と聖書の傑作を巡って』:JR大人の休日倶楽部趣味の講座

2019年10月01日 13時47分50秒 | 美術散歩

『ギリシャ神話と聖書の傑作を巡って』~聖母の誕生、ゼウスの恋Ⅰ~ ジョット、ラファエッロ、ティツィアーノ、レンブラントなど

JR大人の休日倶楽部趣味の講座を受講。

西洋絵画はギリシャ神話とキリスト教の知識があってその意味や理解が深まる。 と言う事で表記の講座を受講。

 

◇聖書の傑作を巡って~聖母の生涯と聖母子像、重要な聖人達 聖母マリアの両親とその誕生  聖母マリアもやはりキリスト同様無原罪で誕生する必要があり、その母聖アンナも無原罪でマリアを受胎した。 今回紹介された絵はジョットのパドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂の「キリストの生涯」から。中世的な平面的画一的なものから解放されルネサンスの先駆けとなった。 さらには、フラ・フィリッポ・リッピの「聖母子と聖アンナ伝」によりより優雅な聖母子となった。 そしてラファエッロが「サン・シストの聖母」でルネッサンスの頂点に。

ヨアキムの夢:ジョットー

 

アンナへのお告げ:ジョットー

 

黄金門での出会い:ジョットー

聖母子と聖アンナ伝(トンド・ピッティ):フラ・フィリッポ・リッピ

 

サン・シストの聖母 (聖会話):ラファエッロ

 

◇ギリシャ神話の傑作を巡って~ゼウスの恋 ゼウスの恋、愛人達~ ゼウスは天空の支配者で鷲と雷がアトリビュート(目印のようなもの) まあひと言で言うと、ど助平で女たらし。いろいろな女神だけでなく人間の女ともまぐわっている。女の元に行く時は奥さんのヘラの女神の目を盗んで行く必要も有り、いろいろなものに変身して近づく。牛や白鳥、金の雨などなど枚挙に切りがない。 牛の時はエウロペ、白鳥の時はレダ、金の雨の時はダナエにと軟派をかけている。

ジュピターとテティス:アングル

 

ダナエ:ティツィアーノ

 

ダナエ:レンブラント

 

レダと白鳥:ダ・ヴィンチの弟子による模写

 

レダと白鳥:ミケランジェロの絵画の模写(ロッソ・フィオレンティーノによる)

 

レダと白鳥:ティントレット

 


フェルメール展余話

2018年11月26日 16時36分58秒 | 美術散歩

フェルメールの活躍した17世紀はオランダが海洋王国として世界で活躍し、市民階級が裕福になった時期。
絵画製作の注文はそれまでの教会や王侯貴族に変わって、そうした市民階級の注文に応じるようになりました。
市民階級はそれまでの宗教画や歴史画などの絵画とは異なり、一般日常生活を描いたものが好まれました。...
フェルメールの絵はそうした市民の需要に応えたものでした。

日本人がフェルメールの絵が好きなのは、宗教画や歴史画などと異なり、絵に難しい説明が要らないことによるものかと。これは日本人が印象派の絵が好きなのと相通ずるところがあ
ると思います。

完全予約制で入場開始時間を規制していますが、先日ふらっと寄ってみたら当日でもOK。
ただ入場開始時間に行くと20~30分待たされると言われ、入場時間をずらして入ってきました。
入場してすぐの辺りは結構混んでいましたが、フェルメールの部屋は混んではいましたが、作品が見えないと言う程ではありませんでした。今回は人物画のみで、風景画は無し。

上野の森美術館は極めて小振りの美術館なので、沢山の入場者では、作品の横にある解説が
見え辛くなるので、ポケットサイズの「青い」ハンドブックを解説書として配ってました。でも絵画の前で皆さん一斉に見ているので混雑には変わりがありません。

入場までの時間を利用して、上野公園を散歩しました。
美術館のすぐ隣には今を時めく「せごどん」西郷さんの銅像があり、久し振りに見てきました。紅葉も色付くこの時季の浴衣姿は寒そうでしたね(笑)


小鶴幸一展 グリッド・コンポジション

2018年09月07日 11時15分59秒 | 美術散歩

知己を得ている画家さんの個展
と言ってもいつもお邪魔した時はお菓子を頂いておしゃべりばかりして帰って来てしまい、
作品のことは殆ど話したことが無かった。
作品は印刷とかCGみたいなものと思い込んでいたら、手書きですと言われてしまった。
汗顔の至りである(汗)
http://www.e-artjoy.com/artist/h04kozko/index.html


青い日記帳(Tak)さんの 出版記念パーティー

2018年08月16日 14時57分26秒 | 美術散歩

10数年来知己を得ている美術ブロガーです。
「いちばんやさしい美術鑑賞」を出版されました。
この本は美術作品にあまり接してない方が楽しく美術鑑賞をできる手助けとなる本です。...
文章は平易でとても分り易く、紹介されている作品も海外の一流美術館にあるものではなく、日本の美術館で気軽に見れる作品を通しての美術鑑賞の入門書です。

パーティーでは乾杯の音頭を山種美術館の山崎妙子館長がされ、三菱一号館美術館の高橋館長とのトークショーなどなど盛り沢山。楽しい会合でした。


「宋磁 ―神秘のやきもの」展

2018年07月18日 16時43分54秒 | 美術散歩

青磁が好きな私としては見逃せません。
中国では唐王朝が滅び、五代十国の時代を経て趙匡胤が宋を建国しました。
宋では官窯、景徳鎮などで青磁や白磁など精緻なものが作られました。
淡色の釉薬ながらシンプルで研ぎ澄まされたデザインなどその技術は美の極みに達しました。
作品はその後の中国王朝だけでなく、日本の室町将軍でも唐物として珍重されました。
その虜になったのは高貴な人たちばかりではありません。

斯く言うこの私も魅入られ、各種展覧会に足を運ぶのみならず、自らも蒐集にはまってしまいました。
最初は約40年前になりますが、美濃の陶芸で加藤道博(道窯)の徳利と杯。
その後は何人かの作家さんの物を求めました。


ターナー展に行く

2018年06月09日 23時59分08秒 | 美術散歩

 

損保ジャパン東郷青児美術館で開催中。

この美術館はゆえあって無料で観れるので助かります。

...

ターナーは18世紀~19世紀に活躍したイギリスを代表する画家。
https://turner2018.com/

彼は27歳と言う異例の若さでロイヤルアカデミーの会員になりました。
彼は風景画家として素晴らしい作品をたくさん遺し、のちの印象派にも多大な影響を与えました。
また、40代には憧れのイタリアにも行き大いに刺激を受けその後の作品にもその影響は反映されています。
彼の作品を見ていて、あれ、どこかで見たことのあるような絵だと思ったら・・・・
そう、17世紀のフランスを代表する画家クロード・ロランの絵でした。彼は画家としての生涯を殆どイタリアで過ごしていますので、ターナーも彼の影響を受けているようです。

余談ですが、天皇皇后両陛下も7日の日にご覧になりました。
https://mainichi.jp/articles/20180608/k00/00m/040/077000c

http://www.sjnk-museum.org/program/5319.html

絵を見終わった後、何か遠い記憶のかなたの中にいるような不思議な心地がしました。


イタリアンな週でした

2016年01月22日 16時26分25秒 | 美術散歩

 

食事のことではありません、あくまでも芸術です。

16日(土)はイタリア文化会館での講演会聴講

「ボティチェリ展」開催記念シンポジウム(小佐野先生以外はイタリア語でのお話)

ボティチェリの生い立ち、人となり、作品との係わりなどに関し4人の講師による解説。

「ボティチェリとメディチ家」:クリスティーナ・アチディーニ

「日本におけるフィレンツェ派の受容小史~とくにボティチェリに言及して~」:小佐野重利

「ボティチェリの家庭内での暮らしについて」:アレッサンドロ・チェッキ

「言葉とイメージ:ダンテ及びペトラルカの挿絵画家としてのボティチェリ」:ジョナサン・K・ネルソン

後半は4氏によるパネルディスカッションでしたが、時間の都合で失礼させていただきました。

東京都美術館で開催中 http://www.tobikan.jp/

・・・

19日(火)はサントリーホールで「イタリア音楽の夕べ」を夫婦で聴く。

こちらは三井不動産グループ主催。

イタリアの作曲家によるオペラのアリアなどを吉田恭子のヴァイオリン、サン・イェングアンのソプラノなど盛りだくさんの集い。

 ・・・

22日(金)は中央区主催の講演会

「レオナルド・ダ・ヴィンチ~天才の挑戦」 

こちらは美術展の招待券がいただけます。

江戸東京博物館で開催中 https://www.edo-tokyo-museum.or.jp/s-exhibition/special/3807/%e3%83%ac%e3%82%aa%e3%83%8a%e3%83%ab%e3%83%89%e3%83%bb%e3%83%80%e3%83%bb%e3%83%b4%e3%82%a3%e3%83%b3%e3%83%81%e3%83%bc%e5%a4%a9%e6%89%8d%e3%81%ae%e6%8c%91%e6%88%a6/

いずれの場合も抽選に当たりましたので、参加費は無料でした (^O^)

 


川瀬巴水版画展と安野光雅「絵と書」展に立ち寄る

2015年04月18日 23時04分55秒 | 美術散歩

 


川瀬巴水版画展と安野光雅「絵と書」展に立ち寄る

大阪の友人に土産を買うため銀座に行き、

和光のギャラリーで安野光雅展を見る。

絵は135万円均一、書は65万円だったかな?

http://www.wako.co.jp/exhibitions/455


和光で土産を買った後、丸善まで歩き、川瀬巴水展を見る。

川瀬巴水は、歌川広重、小林清親の流れを汲んだ風景版画の傑人。

丸善の店員さんとそのようなことをしゃべっていたら、

ひょんなことから、何と思いもよらぬ高い買い物をしてしまいました。

版画を買ったのではありませんが、よりによって数万円もする図録を買って

しまいました。

さすがにこれは単なる道楽に過ぎず、ちょっと家族には内緒です。

オランダ製の豪華な本でした。

http://www.tokyoartantiques.com/galleryDetail.php?gallery=6


参考までに

練馬区美術館

 

開館30周年記念「没後100年小林清親展 文明開化の光と影をみつめて」

https://www.city.nerima.tokyo.jp/manabu/bunka/museum/


太田記念美術館

広重と清親 清親没後100年記念

http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/H270405hiroshige-kiyochika.html


新潮講座 この秋話題の美術館を「貸し切り」で!

2014年11月02日 23時22分38秒 | 美術散歩

美術ブロガ―仲間のとに~さんが案内役を務める講座。

アートテラーのトニーさんは吉本の元お笑い芸人ですが、

美術には非常に造詣が深く、更にはその切り口には思わずお腹を抱えて笑ってしまうことがしばしばです。

今回は3回講座で、第1回は山種美術館で開催中の、「輝ける金と銀」

ー琳派から加山又造まで―

本展は、琳派のギラギラしたのを前面に出すのではなく明治以降の近代画の中での金や銀、プラチナ、そしてアルミの箔などの多彩な使用方法を切り口にした展示です。

講座は山種美術館の山崎妙子館長の解説ととに~さんの「突っ込み」がまた実に好いですね \(^o^)/

山種美術館 http://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html

画像:速水御舟《名樹散椿》


山崎館長から弐代目青い日記帳のTAKさんによろしくとのことでした。


◆フランス近代絵画の楽しみを受講 第3回  講師:千足伸行 成城大学名誉教授

2013年06月24日 15時41分10秒 | 美術散歩

 

 

画像左 冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏:北斎
画像中 東海道五十三次 庄野:広重
画像右 笛吹く少年:マネ

万博と日本ブーム:ジャポニズム

講師:千足伸行 成城大学名誉教授


世界初の万博がロンドンで開催され、その成功を見たナポレオン3世により

パリでも万博が開催されました。

そのパリ万博に幕末以来の日本からも数々の物産が出品されました。

その中で特に注目されたのが美術工芸品でした。

さらに言えば、浮世絵、陶磁器、着物など様々な文物でしたが、

日本から派遣された芸者による日本舞踊や茶の湯の実演などもあったそうです。

そんな日本からの文化・芸術は当時の欧米、とりわけフランスやアメリカまでも席巻し、

19世紀後半はかつてない日本ブームが出現したようです。

それがジャポニズムで、日本趣味とか日本ブームが西洋美術にも影響を与えたことであります。

特に印象派の画家、マネ、モネ、アメリカ人のホイッスラーなどに多大な影響を与えました。

北斎や広重の浮世絵は、陰影濃淡のない平面的な色彩、

明瞭な輪郭線、奥行き、遠近感の無い平面的な画面構成は、

当時のパリの画壇を支配していたアカデミズム見られないものでした。

例えば、西洋絵画で重んじられていたシンメトリーにこだわらない大胆な画面構成や余白を生かした構図などは、

マネなどの若い印象派の画家たちに一つの啓示となったようです。

美術だけではなく、音楽でもプッチーニのオペラ「蝶々夫人」なども「ジャポニズム」によるものです。

富士山が世界文化遺産として登録されましたが、

これも「ジャポニズム」のなせる業かもしれませんね。

今でもヨーロッパで日本と言えば、「フジヤマ、ゲイシャ」を思い浮かべる人が多いそうです。

 


千足伸行先生の「フランス近代絵画の楽しみ」を受講 第2回

2013年06月14日 13時24分22秒 | 美術散歩

  

 

【印象派の陰で:サロン絵画を見直す】

講師:千足伸行 成城大学名誉教授

 

表題はこのようですが、当時の状況からは

「サロン絵画の陰に印象派の絵画があった」と言うのが実態のようです。

サロン絵画はルネッサンスやバロックと手本としたので、

物の形やとりわけ人体を正確に描きました。

その為ギリシャ彫刻などのデッサン、人体のデッサンが重視されました。

当時のサロン画家はブルジョアなどの富裕層を顧客に持っていたので、

画家自身も豪邸に住まうなど裕福な生活を送っていたようです。

それに引き換え、印象派の画家は結構生活に窮していて、

晩年になってやっと経済的にゆとりができたようです。


印象派の絵画は光や色彩を重視するため、

人の顔なども、クロード・モネに見るようにはっきりと判別しないもの。

サロン派の画家からすれば印象派の絵画は「未完成・手抜き」と非難されていました。


サロン派の絵画が注文が多かったのは、

ギリシャ神話などに主題を取った作品。

つまり、ヴィーナスなどの女性の裸体が描かれたもの。

それもかなりエロチシズムを感じさせるもの。

それは客である「男性」の希望に沿うためのものだったようです。

ちなみに当時人気のあった巨匠としては、ジャン=レオン・ジェローム、アレクサンドル・カパネル、

フランソワ・ジェラールなどです。

 


◆フランス近代絵画の楽しみを受講

2013年06月06日 15時36分44秒 | 美術散歩

◆フランス近代絵画の楽しみ

中央区の美術講座を久し振りに受講します。

講師は千足伸行 成城大学名誉教授。

第1回 印象派とその時代:都会と田園

第2回 印象派の陰で:サロン絵画を見直す

第3回 万博と日本ブーム:ジャポニズム

第4回 ベル・エッポク:パリの「酒とバラの日々」


昨日はその第1回。

かいつまんで言うと、印象派は市民的絵画である。

時代も王侯貴族や教会中心から、ナポレオン3世の第2帝政~第3共和政の時代であり、

一般市民が「力」をつけてきた時代である。

印象派の絵は、アトリエ中心の製作というよりも、

陽光降り注ぐ戸外での製作が中心となった、自然をアトリエとしたものでした。

その戸外での製作、特にパリ郊外や田園での活動を容易にしたのは、

産業革命により鉄道が開通したことによるようです。

当時はパリ郊外にピクニックに行くことがはやったようです。

戸外での制作等の結果、印象派の絵画はそれ以前の新古典派やロマン派のような大作ではなく、

概して小振りであり、「市民」家庭で飾れるような絵画です。