人類はこの方いろいろなものを描いてきたが「風景画」と言うものは近年になってからの物とか。
確かに、石器時代には動物など(ラスコーやアルタミラ洞窟画)のみ。
フランス・ラスコーの洞窟壁画
下って古代ギリシャやローマでも「風景」を描いたものはない。
キリスト教世界になっても、キリストや聖人達を描いた絵の画中には「背景としての風景」が描かれている程度(レオナルド・ダ・ヴィンチの最期の晩餐、受胎告知)
受胎告知:レオナルド・ダ・ヴィンチ
しかし、北ヨーロッパのフランドル地方などでは、ローマカトリックに対峙するように教会の聖母子像など偶像崇拝的な絵画の注文が少なくなってきた。
当時興隆してきた市民階層の注文に沿うような画題が描かれるようになっていった。
ロランの聖母:ヤン・ファン・エイク
ウィーン美術史美術館にはペーター・ブリューゲルなどの風景を描いた素晴らしい作品群があるが、今回は息子ヤン・ブリューゲルの作品が来ているだけなのでちょっとがっかり。
雪中の狩人:ペーター・ブリューゲル
エジプトへの逃避途上の風景:ペーター・ブリューゲル
画中に風景が描かれるようになったのは時祷書によるものが大きいとのこと。
参考として「ベリー公のいとも豪華なる時祷書」のファクシミリ版の展示があった。
ベリー候のいとも豪華な時祷書:ランブール兄弟
ベリー候のいとも豪華な時祷書 11月:ランブール兄弟
今年の正月にフランスのシャンティー城まで見に行ったのですが、
本物の展示はなくモニター映像での鑑賞でした。