雲の写真集、私家版だったらどうだったろう
先日、ながらく雲の写真を撮り続けてきた方のご自分の写真集に関する思いが、朝日「ひととき」欄に載った。
撮りためた美しい雲の写真を費用著者負担出版で刊行したのだ(通算No103)。
この古希を過ぎたというご婦人の文章を読んでいくと、単なる記念のためにという程度を超えて、「売れるんじゃないかな」「売れるはず」と半ば当たり前のように思っていた心の動きが行間ににじみ出ている。
ご自分だけの思惑だったのか、あるいは他の誰かに示唆されたのか、それはあきらかにされていない。
さらに読み進むと、案に相違して売れなかった厳しい現実を前に落胆した経緯、急遽フリーマーケットに自ら出店したが写真集は1冊も売れなかったことがわかる。そして、ふとしたことに救いを見出した、と結ばれている。
だれか、ご自分以外の人物を非難する気配はまったくない。実に淡々とした筆致である。
クンちゃんの心に黒雲が湧き起こった。そして願う。
あの版元から出したものでないことを…。
きょう、気になっていたこの写真集を出した版元を調べようと、まず、“あの版元”文芸社の刊行総目録から始めるべくパソコンを立ち上げ、この方のお名前を入力してみた。
期待に反して、一発でヒットしてしまった。
ことし2月の刊行であるから、まだこの月の見本(1月末)はクンちゃんのところに全部届いている時期である。なんとなく、美しいカバー写真に見覚えがあるような気もしてきた。悪い予感は的中した。
担当編集者が書く総目録の内容説明には、次のようにあった。
「大空を舞台に千変万化する雲。──山に湧く雲は生き物のようにいつだって生き生きとして私たちを楽しませてくれているが、都会の雲も、時には予想もつかない素晴らしいショーを見せてくれる。二十代後半から撮りはじめた集大成、選りすぐりの傑作三十点を掲載。空を見上げて素敵な雲に出会うと、思わずニッコリしてしまう。雲はまるで魔法使いのようだ。」
いまさらどうしようもないが、この方が印刷屋さんや個人出版屋さんの手を借りて、軽い費用負担で100部程度の自費出版にとどめていたら、どうだっただろうかと思わざるを得ない。
おそらく、友人知人に配ったのは同じだろう。そしてお友達からかかるお礼の電話では、こんな会話がなされたかもしれない。
「素晴らしい写真で感動しちゃった。ああいう雲があるなんてねえ、70年も生きてきて知らなかったわ」というようなやりとりの後、
「あの出来栄えなら、値段を付けて売ったら結構売れたんじゃないの!」
「うーん、そうかもしれないけど、そうなると費用も高くなるしねえ、みんなに配る程度でいいのよ。70歳の記念の写真集だからね。」
こうなっていたほうが、「売ろうと思えば売れたのよ」という“淡い期待と後悔”の中で、十分充足することが出来ただろう。そして、「ひととき」への投稿内容もまったく違っていたものになっていたはずだ。
いったい、だれが彼女を売る気にさせたのか。
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前回のコメには過分なお褒めの言葉、ありがとうございました。
そんで、こないだのHN
「刹那」
さん始め、クリエイターになりたい方に非常に参考になるコラムがありますので、ぜひみなさん読んでみてください。
漫画家、佐藤秀峰さんの対談です。
こちら⇒http://getnews.jp/archives/81483
佐藤秀峰さんほどの大物漫画家でさえ、もう紙の本は見放しているこの時代。
にもかかわらず、一方では高い料金を払って紙の本を出そうとしている方々もいる。
ぜひ、物書きの先輩として、佐藤さんのこちらのコラムを読んでみてください。
「読者に届ける」
のに、本当に出版社や編集者が必要なのか、考えさせてもらえるコラムです。
ではでは。
ところでユル子大先生は今月何冊の電子書籍を読まれました?何冊の出版社編集者ナシ書籍を読まれました?素敵な本があったならぜひ教えてくださいね~!
一方でアマチュアな方々もそれぞれに、自分の頭で考えて答えを見つけてほしい。今後、「紙媒体にこだわって出版しようとした結果まんまと出版商法にやられたあげく、人にそのことを指摘されるとブチ切れ、騙された事実に気づくと今度は『最初から知ってました~』な顔をしたあげく、騙されそうな人々に上から目線でアドバイスをくれてやることで自分のプライドを保とうとする寂しい人」が生まれないことを祈っています。
正体がKなのか気のせいなのか知らんけど、
キミも上記コメントにある
>一方でアマチュアな方々もそれぞれに、自分の頭>で考えて答えを見つけてほしい。
という自分の言葉り、自分自身に答えがみつかるといいですね。
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/computer/electronic_books/