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直近の名誉毀損裁判から(通算No96)

2011年09月23日 12時10分56秒 | なんとなく関係ありそうな裁判沙汰

教訓・ふたつの名誉毀損事件から


 名誉毀損・侮辱で裁判になった事件の報道はたまに目にする程度だが、9月22日付朝日朝刊には3社面のベタ記事扱いではあるものの、ふたつの裁判所判断が掲載されていた。ネットで少しさかのぼるなどしてみた。

 ひとつは、日経新聞が同社の編集関連部長(ベンチャー市場部)だった大塚将司氏の著作2冊を名誉毀損だとして損害賠償を求めていた訴訟の最高裁判所決定。9月20日付で大塚氏の上告受理申立て*に対し、受理しない旨の決定がなされ、大塚氏の敗訴が確定した。(*控訴審判決に不服がある場合、憲法違反など法定の理由があれば「上告」できるが、それ以外の重要な法令解釈に関する理由の場合は「上告審としての事件受理申立て」をおこなう。)
 大塚氏は、かつて三菱銀行と東京銀行の合併に際してのスクープで名を馳せた(この特報は新聞協会賞を受ける)有能な取材記者だが、在職時に同社経営陣と意見を異にすることとなり、問題にされた2冊を退職後に書いた。
 大塚氏が著書に書いた事実関係は、同氏の在職時ポジションからみても、相当の信憑性があったはずだが、裁判所は三審ともに「真実とは言えず、(大塚氏が)真実と信じた相当の理由もない」として名誉毀損の成立を認めた。(各著書の版元、講談社と東洋経済新報社が相被告になっていない理由はわからない。)

 裁判の証拠には、モノの証拠(物証)、書類の証拠(書証)、ヒトの証拠(人証=にんしょう)があるが、一般に民事訴訟では書証、人証が吟味される。しかし、この事件ではおそらく有力な証拠は存在せず、大塚氏や会社側の人間に対する本人尋問、証人尋問によってコトが決せられたはずである。
 そうなると、大塚氏が間違いなく直接に見聞きした事実=真実といえども、このステージではその存否は裁判官の心証にまかせざるを得ないのである。したがって、他の多くの事件同様、裁判所の判断が正しく、真実だなどということは出来ない。裁判所の判断が“司法的真実”と称されるゆえんである。

 クンちゃんが在職時に扱っていた柱のひとつは、名誉毀損問題である。
 文章表現についての紛争の場合、書き手側に明白な証拠がない場合、「自分が書いたことは間違いない。真実だ」と確信していたとしても、裁判所が正しい判断をして自分を勝たせてくれると期待することなど出来ない、と思っていたほうがよい。
 クンちゃんブログのはじめのほうで、クンちゃんが段ボール箱をさんざんかき回して、証文さがしをやったうえでないと書けないことがあるとして執筆を中断していたのは、まさにこのような事態を想定してのことなのである。
 書かれる相手方にとって不都合なことを書く場合には、その根拠を証明づけられる要素が必要なのである。証拠ずくの世界とも言えそうだ。現在、横浜地裁に係属している“栗田工業・藤野宏会長ちかん裁判”で問題にされている野崎貞雄著『大恩・忘恩・報恩』も、こうした検証のもとに編集している。(もっとも、明白な証拠があるかないか、それだけでは公表できるかできないか、公表すべきかすべきでないかを判断できない重要な問題があるのも事実である。裁判沙汰あるいは敗訴を恐れて何も書かないというのも困ったもので、問題によりけり、場合によりけり、であろう。なお、名誉毀損一般のあらましについては、当ブログ通算No78  http://blog.goo.ne.jp/92freeedition44/e/ab1898223fa2b45e5d38c42ffcc927c7参照)


 この度の最高裁決定については、以下参照。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110921-00000126-jij-soci
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110921/trl11092118030004-n1.htm
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110921-OYT1T01089.htm

 控訴審判決については以下。
http://www.47news.jp/CN/201011/CN2010112401000643.html

『新聞の時代錯誤』『日経新聞の黒い霧』
http://www.toyokeizai.net/shop/books/detail/BI/96c827dea45660f9705db95310285db5/
http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2128551



 もうひとつは、札幌地方裁判所の9月21日の判決。訴えたのは、札幌在住の人で「高校生からのマクロ・ミクロ経済学入門」というブログをやっている方。訴えられたのは『デフレの正体』の著者で日本政策投資銀行参事役・藻谷浩介氏。
 問題になったのは、昨年7月に藻谷氏が投稿したコメントのなかの表現だが、札幌地裁は名誉毀損に該当するとして藻谷氏敗訴の判決を言い渡した。(おそらく控訴ということになるだろう。)
 そのコメントは、http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-411.html に残っているが、
以下【 】とアンダーラインで示す。文中の囲み数字は、ブログ作成者が反論の便宜のために付したもの。

【では、藻谷浩介さんからの、コメントについて解説します。
2010年7月15日 藻谷浩介その1 『デフレの正体』角川oneテーマ21にいただいたコメントです。(数字は筆者挿入です)

そんなことはわかってますが

 わかってますよ。ですが、対外債権が積みあがっていることすら知らない人が余りに多いので、このように書いているのです。問題は①内需が減少する一方のために、対外債権が幾ら積みあがろうと②国内投資も増えないということですよね。その原因は、あなた方の言っているコンベンショナルなマクロ経済学で解けるのですか? ③日銀がインフレ誘導すれば内需は増加すると? あなたは、7章と8章をどう読んだのか? そんなことはとっくに知ってたのですか?④三面等価なんて、資産が腐る世界では意味がない、そのことをわかって使っていますか? 「自分は経済学を知っている、こいつは勉強していない」、そんなつまらない矮小なプライドでモノをいうなってんですよ。経済学なんてどうでもいいのです。枠組みはどうでもいい。⑤対外資産が積みあがるだけで何の役にも立たない、なんて老人の繰言を言うな! なんとかしようと考えないのか? あんたみたいなあたまでっかちしかいなくなったから、自慢できることが実践ではなくて理論だけだから、日本はだめになるのだ。くやしかったら、自分の実践を少しでも語ってみろ。⑥対外資産の増加を国内に少しでも還元する努力をしてみろ。そうでなければ外国に引っ越せ。 ⑦あるいは早く死んで子供に財産でも残せ。そういうことです。
言い直します。それだけ理解力があるのであれば、実践力もあるはずだ。早く正道に戻ってください。】



 以上のコメント中、「あるいは早く死んで子供に財産でも残せ」というくだりほかが名誉毀損にあたる(北海道新聞あるいは共同通信原稿かもしれないが、ここでは「侮辱」となっていて、クンちゃん私見では「事実を摘示していないゆえに」こちらが正しい。)というのだが、クンちゃんとしてはコトの次第について見解を述べる程度の知識を持たないので、軽々の論評は避けたい。
 しかし、ブログへのコメントについて裁判を起こすというのもいかがなものか、という感想を持った。参考にあげたこの札幌の方は、藻谷氏の書き込みに対して、冷静に数回にわたってご自分のブログ本編で反論済みなのである。これとは別に、謝罪とかコメント撤回を求めたが藻谷氏が応じなかったための“もつれ”なのかとも思う。当事者だけにしかわからない機微というものもあるのだろう。
 正直言って、クンちゃんブログのコメント欄にも相当のものがあって、これはたまらんということで承認制をとることにした経緯もあり、鬼蜘蛛ねえさんのところでも同様コメントが来る例は枚挙に暇がないという。前掲の藻谷氏コメントというのも、全体的に褒められた表現ではないが、それをいちいち裁判にするというのもねえ、という感じである。みなさんは、どんな感想でしょうか?

付 記
 札幌地裁がブログコメントについて、侮辱であるか、名誉毀損であるか定かではないが、とにかく不法行為と認定し、損害賠償を認めたからといって、どっかの版元が自社の著者がどっかのブログに書き込んだコメントをあげつらって裁判所に訴えてよい、ということにはならない。札幌の例は、まったく見も知らぬ他人同士のケースである。
 一方、自分のところのお客さんである著者のクレームに適切な対応をしなかったため、著者が憤激のあまり多少過激なことを書き込む、それはその版元の責任である。自分で招いた事態は、自分で乗り切るのが、社会的に一本立ちしている会社の責務であろう。

 なお、この藻谷浩介氏の関連記事は下記。
http://www.j-cast.com/2011/09/22107958.html
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110921/trl11092119470006-n1.htm
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/topic/320160.html




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