kohは今日も元気です

思うようにブログアップが出来ませんが、俳句のこと、テレビ番組のこと等、日常をぼちぼち書いていきます。

8月15日という日

2009-08-15 23:55:00 | 日記・エッセイ・コラム

その人は、本当の父の顔を知らない。

その人の父は、その人の顔を見ないまま亡くなった。

それは、戦争のせいです。

……

母のおなかの中にいた時、その人の父に『召集令状』が届いた。

それからしばらくして、母は、その人を生んだ。

そして、8月15日、戦争は終わった。

母は、夫の帰りを待った。幼子、乳飲み子を抱え、田畑を耕しながら…、

しかし、夫は帰らず、『フィリピンにて、戦死』 という知らせだけが届いた。

遺骨も、遺品も何もない。紙切れ1枚で、どう信じろというのか。

しかし、3人の子供を抱え、田畑を耕しながら、か細い女性が1人生きていく、という事は、簡単なことではないはず。

戦死した夫が長男であったことから、家の跡継ぎのこともあり、その人の母は、亡くなった夫の実の弟と結婚することとなった。

……

その人には、2人の弟ができた。

後の父は、兄の子も実の子も、分け隔てなく、育ててくれた。

でも、その人が成人する前に、その父も病気で亡くなった。

母は、若くして、2人の夫を亡くしたことになる。

『召集令状』 と 『フィリピンにて戦死』 

母の人生を翻弄させたたった2枚の紙切れ、

思うに、夫の戦死を確信できないまま再婚をしたその人の母の毎日は、どんな気持ちだったのだろうか?

もし、戦死と言われた夫が、戦地から帰ってきたら…、

そんなことを考えたら、安息の日々とは言えなかったのでは…?

後の父もそういう思いが、時にはあったかもしれない。

戦争さえなければ、こんなことは起きなかった。

戦争が、平凡な日々を奪ってしまった。

戦争を、起こしてはいけない。

どんな理由も、戦争をする理由にはならない。

私が伝え聞いた戦争のこと、伝えなくてはと思い書きました。

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