旧聞に属するのですが、4月5日にCIFER・コア(大阪湾環境再生研究・国際人材育成コンソーシアム・コア)の設立記念セミナーが堺市で開催されました。
講演が4本ありました。①「堺市における臨海部再生の取り組み」堺市都市再生部長柴氏②「環境の変遷と現況(大阪湾の環境診断)」CIFER・コア特別研究員 中西氏③「環境再生の取り組み(海と陸をつなぐ栄養塩の循環とバイオマス利用)CIFER・コア理事(大阪府大大学院教授) 大塚氏④「おおさかの海と川のエコロジー」CIFER・コア理事(大阪市大大学院教授)矢持氏
このセミナーに参加したのは、①自然環境保全と生態系サービスの接点についての関心②堺2区の実験が大きなテーマになっていること③企業がたくさん参加することにより今後どのような展開があるのか?に興味をもってこのセミナーに参加しました。参加者のほとんどは企業のスーツ組、市民参加は保全協会のT君とわたしだけでした。
しかし、講演は興味深い内容でした。印象に残った部分を紹介します。
①栄養塩を除去するだけでなく産業利用も行う目的で堆肥化、ガス化、発電などのバイオマスの利用が研究されているが、これだけで採算を取るのは難しいので、ほかの利用と組み合わせる必要がある。バイオマスの中心である海藻からはサプリメントや繊維を利用できる。
②大和川を遡上するあゆの70~90%は天然ものである。大和川で産卵が確認されている。河口域の浅場はあゆの生育に重要。
③生態系を豊かにし物質循環を円滑にするには底生微細藻類を増やすことが重要。
④南港野鳥園の湿地12.8haの窒素浄化能力はおよそ1000人分相当。
生態系サービスは存在するが、人工の装置を上回ることはない。人工装置の装置では果たせないものはなにかを考えるべきですね。そういうときに高橋先生のおしゃっていた「森林の固有効果、対象効果」を思い出します。森林は防音・防風・生産などさまざまな機能をもっているが、個々の機能は人工物にはおよばない。しかし、人工物はひとつの効果しか持たない。これが対象効果である。それに対し、森林はひとつで多様な機能を果たす。これが森林の固有効果である。