都会で自然観察会をやって人が集まるか?
自然観察会を開催するためには、やはり生物があるていど生息していることが必要です。
浜寺公園のバッタの原っぱは、スタート当時、バッタが見られる数少ない場所だったのですが、以前は浜寺公園全体にショウリョウバッタやイナゴが見られました。浜寺公園の植生はマツとその林床の低い草地が主なるものですが、林床の草刈りはもともと6月と11月だけでした。この頻度であれば、ショウリョウバッタやイナゴはどこでも見られたのです。しかし、バーベキューブームがはじまるとともに、草刈り頻度が高くなり、大部分の場所からバッタなどの生物が見られなくなりました。しかし、そういう中でも大公園であれば例外的な場所はあるもので、そこがバッタの原っぱだったわけです。
しかし、さがせば、見ものはいろいろあるもので、毎年7月に「ナイトサファリ」と題して、セミの羽化、コウモリ、ライトトラップを行っていますが、これが大人気で親子100人規模の参加があります。
このことから思うに、都会の人工化した公園でも見ものは探せばあるし、むしろ、適切な案内役がいないので多くの人がそれにアクセスできず見過ごしてるものは多々ある ということです。
一方、こんな経験もあります。堺2区という大和川河口にあるもとは港だった入り江に国交省が生物共生型護岸、堺市が人口の浜辺を作った場所があります。ここで大阪自然環境保全協会に自然観察会を開催してもらっていますが、ここの観察会の人気は非常に高い。募集を出せばすぐに埋まるそうです。大阪近辺では和歌山県境の周辺に自然海岸が残されており、もちろん希少なものはそちらに多く、ナチュラリストはそういう場所に行きたいと思うわけですが、一般参加者は都会近くで楽しい経験ができる場所があるなら、そこを選ぶということなんだろうと思います。ナチュラリストと一般参加者には視点に違いがあるんだと思います。
以上のように都会の緑でもいろいろ見るべきものはあるし、一般参加者には十分魅力のある場所になると考えています。