海と緑とこどもたち HONDA ECOACT

地域にこどもたちと自然とのふれあいの場をつくろう!

京阪奈丘陵水系の多様性

2010-11-28 13:30:52 | 生態系サービスと生物多様性

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 高山の自然環境問題をより大きな視点から見る中で、「生態系サービスと生物多様性」の関係をテーマに京阪奈丘陵のことを研究したいと考えていますが、何に焦点をあてるかを考えながら、とりあえず歩いてみようと京阪奈一帯を歩き回っています。きのう11月27日は生駒市高山のTさんが開催した芋ほり行事を訪ねた後、高山から京都府精華町に入り祝園まで歩きました。

 主に考えているのは水系のタイプと生息する生物の関係ですが、水系といっても京阪奈丘陵一帯にはいろいろなタイプのものが存在します。

 京阪奈丘陵の大阪側奈良側京都側にはそれぞれ個性があります。おおまかにいうと、大阪側は断層崖(?)の急傾斜面。奈良側は最奥部に規模の大きな高山溜池があり、そこを源とする富雄川が作る大きな谷が基本構造。京都側は東に向かって緩傾斜で降る丘陵地帯で、奥行きがないため河川は小規模なものが多い。

 この中で奈良の最奥部にある高山溜池の存在は奈良の里山の個性に大きな影響をもっていると思います。これがあるので、ほかに大規模な池がなく小規模なため池と棚田が組み合わさった景観が多く見られることと関係があるのではないかと考えています。

 ところで、大阪、京都の丘陵から平野部に開ける部分に比較的大きな池が見られます。こうした池は冬にはカモなど水鳥が飛来する場所になっているものがあります。しかし、伝統的なため池は池干しや水草帯の除去などのために水鳥はそれほど多くないはずです。しかし、オシドリも見られる学研記念都市公園や探鳥地として有名な枚方の山田池、交野の生物ふれあいの里の池などがあります。また、去年調べた学園前住宅地に組み込まれた池や新たに調整池として作られた池などには里山の池よりもむしろ水鳥が多い場合があります。こうした池が水鳥の渡来地になっているのは前者は積極的に鳥がすごしやすい環境を作ってきたから、後者は管理が昔と異なるためなどの理由が考えられます。つまり新たな都市的生態系が生まれたと見るべきではないかと考えています。下の写真は精華台の調整池ですが、この池でもマガモ、カルガモ、コガモ、カワウ、カイツブリが生息しています。 

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 生物の多様性には環境の複雑さが関わっていると思いますが、複雑さを産むもとがなにかを歴史や地形なども含めた考えたいと思います。

 ところで、京都の最奥部には山の中腹部に集落が見られます。今回この一部で湧水を見ることができました。もし、湧水が集落のはじまりに関係しているとすればこの配置はうなずけます。

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 ところで、大阪側ではじめてクヌギを使ったはさがけのあとを見ました。はさがけとは刈取り後のイネを干すためのものほしのようなもので、田んぼの横の法面にあり、横に渡す棒を支える支柱として生の木が使われることがあります。今森さんの滋賀県の写真でクヌギを使っているのを見ました。京都側では何度かこうしたクヌギを見ましたが。今回大阪側でもはじめて見ました。下の写真ですが、右から2番目は台場クヌギ状になっています。 もちろん、現役のときはこんなに茂っていないはずです。

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比叡山の紅葉

2010-11-21 23:34:02 | あちこち自然探訪

 久しぶりに比叡山に行きました。紅葉真っ盛りですごい人手でした。ごったがえしていても根本中堂の荘厳さはなぜかほっとします。

 下山はすごく久しぶりにきらら坂を下りました。途中修学院離宮の上でカシナガキクイムシの殺虫しているようすも見られました。昔は植林地ばかりと思っていたのですが、今回歩いてみるとほとんど雑木林でした。なんで勘違いしたんだろう?

 出町柳についたのが4時ごろでしたが、それでもなお鞍馬大原方面に行く人がつぎつぎと電車に乗っていました。

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残せるか チュウヒの聖地を 大阪に

2010-11-20 22:50:28 | 自然

 11月20日午後、大阪自然史博物館で「残せるか チュウヒの聖地を 大阪に―湿地・草原の生物多様性の創造と保全のために―」に出席。

 堺7-3区のチュウヒの保護をねらって開催されたものである。堺7-3区のことはチュウヒの保護が生態系トータルで見て無理のないものであることを願うのみであるが、チュウヒ全体について思うところを書いてみたい。

 講演を聞いて感じたのは、チュウヒはコウノトリやトキのような、かつての伝統的な里山の姿を再現することで回復する生物ではなさそうだということだ。彼らのすみかのベストは河口部に成立するヨシ原の湿地など、つまり原生的自然の住人といったらよさそうだ。しかし、八郎潟を干拓してできた大潟村の農地のチュウヒ生息地の例を見ると、核心部にヨシ原があれば周辺の採餌場所などは水田などでも良い。しかも、大潟村の水田はかつての伝統的な水田の姿ではない、一軒の所有面積が10~15haという広大なものだ。30年前の自然派はこうした水田を食糧工場と批判したのではなかったか?そこに有機農法を用いることにより今まで見られなかった生態系が生まれ、そこがチュウヒの生息環境になっている。すなわち、大潟村のチュウヒ生息地は自然の再生ではなく、新しく創造された生態系といえるのではなかろうか?

 別の角度から見ると、チュウヒの生息はTPPで危機に立たされている日本農業、特に大規模農地を生物多様性の観点から守るための旗印になるのではないか?

 それはさておき、この新しい生態系をどう評価すればよいのか?絶滅危惧種の保全という点以外にどんな評価軸があるのか?新しい生態系はすんなりなじむのか?それとも文化的な脈絡から見て違和感を生じるか?個人的にはチュウヒがいたらいいなとは思うが、今入ろうとしているのは未踏の世界なのかもしれない。


マヒワ現る

2010-11-20 22:21:25 | 浜寺公園の自然

 きょう11月20日の午前は浜寺公園自然の会の自然観察会、野鳥観察とカニ釣りに分かれて実施しました。野鳥観察コースではばら庭園で渡り鳥マヒワが出現。群れの大きさはおよそ100羽。立場が弱いらしく、スズメ、ムクドリを気遣いながら池に水を飲みに降りてきました。

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