海と緑とこどもたち HONDA ECOACT

地域にこどもたちと自然とのふれあいの場をつくろう!

大阪湾一斉調査@高師浜

2008-06-22 10:21:48 | 浜寺公園の自然

 6月21日(土)、幸いなことに梅雨が小康状態に入り、無事、高師浜で大阪湾一斉生き物調査を実施することができました。この調査は大阪湾岸のおよそ15地点で一斉に海浜生物を調査し、大阪湾の現状を見てみようという試みです。

 われわれ浜寺公園自然の会は地元の高師浜での開催を担当、自然史博物館の山西館長をはじめ大阪湾海岸生物研究会のかたがたの参加を得て、充実した内容になりました。

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 調査結果は取りまとめ中ですが、いくつかのトピックスをご紹介したいと思います。

 カニではケフサイソガニ、チチュウカイミドリガニなどの常連さんが見られましたが、今までケフサイソガニと思っていたのが実は2種類だったことが判明しました。写真の右側がケフサイソガニ、左がタカノケフサイソガニ、どちらもケフサの由来であるハサミの毛がありますが、タカノケフサイソガニは外内とも同じ大きさ、また、ケフサは腹部にも黒点があります。

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 大阪湾ではじめてというハサミシャコエビも出現しました。これは白石さんがテトラポットの周辺を熱心に掘ったことが成果になりました。テトラ周辺にはこのエビの穴が見られました。奄美大島で見たアナジャコの巣穴の小型版のようでした。

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 また、砂浜にはスナガニの巣穴らしきものが見られました。数が少ないのでそっとしてやろうということになりました。

 山西先生は来る途中、浜寺水路を観察して岸壁近くは海藻の光合成で泡がたくさん見られるが、沖に行くと少なくなることを指摘しましたが、今までそういう観察をしていなかったので感心しました。釣り文化協会の方に海水のpHを測っていただきましたが、pHは9でこれも海藻の出す酸素の影響のようです。


ややこしいテイカカズラ

2008-06-16 23:36:00 | 自然

 6月入梅とともに、テイカカズラの花の季節になりました。

 この花についてもどんな観察ができるか調べています。花にやってくる昆虫の代表はズズメガらしいですが、彼らは長いストロー状のくちばしを持っていてホバリングしながら蜜を吸うようです。彼らが花粉媒介に関わっているかどうかはまだわかりませんが、テイカカズラの花を見ると確かに細長いストローでないと花の奥にとどかいないように思えます。

 1枚目の写真は花を上から見たところで、細いスリットのようなものが5本放射状に広がっています。この奥にメシベ、オシベがあります。

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 花を開くと5枚のペン先のようなものがあり、これが合わさって1本の塔のようになっていました。これがオシベとのことです。ただし、先の写真のスリットよりオシベが飛び出ているようすはありませんでした。スリットは内側にすこし反った形状であり、もしくちばしに花粉などがついていれば、ここにひっかかって内側にこそげ落とされそうです。しかし、それは最初にくちばしを突っ込んだ場合でも同じなので果たして花粉をつけたままうまく外に運び出せるのか?疑問をもちました。

 オシベ先端の内外に顆粒状の物質があり、これが花粉のようです。また、内部の下のほうには液状のものが見られ、これが蜜?でしょうか。

 しかし、メシベが見当たりません。再度野外で観察したとき、花を引きちぎったときに植物本体にメシベが残ることに気づきました。長さから判断するとオシベの塔の中にかくれる大きさのようです。

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 かようにテイカカズラの花は虫にとって敷居が高いように思えました。スズメガの訪花となると夜のことで、テイカカズラのあるような場所は密生した樹林の中が多いですからなかなか観察にはいけません。どのように虫が訪れ、どのように花粉を媒介しているのでしょうか?なかなかテイカカズラはややこしい。


フジの花に来るハチ

2008-06-04 18:13:16 | 自然

 生物多様性といえばサクラソウの話は有名ですが、身近な素材で話ができないかと考え、フィールド研究をしています。その過程で観察したことを紹介します。

 フジの花にやってくる昆虫を眺めていましたら、ミツバチがやってきました(写真上)。フジの花はオスベメシベを包んでいる左右一対の舟弁という花びらがあります。ミツバチはここに乗って舟弁を開いた奥にある蜜を採取するようですが、そのとき舟弁が開いてオシベメシベが飛び出てきてハチのおなかにあたります。このとき、花粉のやりとりが行われるのではないかと思います。ミツバチが乗ると、一度開いた舟弁は開いたままになりました。写真の左側のフジは訪花した後の花でオシベメシベが出ています。

 同じフジの花にマルハナバチの仲間がやってきました(写真下)。ところが、マルハナバチは体型のためかフジの舟弁にまっすぐ乗ることができません。マルハナバチはそもそも着陸がへたなようで、フジの花のように横向きの花に来ると花のどこかにしがみつきます。そして、舟弁の根元にあるすきまから奥の蜜を吸いました。したがって舟弁は開かず花粉の送受にはあずかりませんでした。

 これがヤマツツジだと異なります。マルハナバチはもちろん花の一番下の花びらにしがみつきました。そして必死に上に上がろうとしてメシベオシベに足をかけます。そのときオシベメシベの先端が顔にふれていました。一方ミツバチは小型なのでツツジの一番奥に直接飛び込みました。したがって、メシベオシベにふれない場合もあるようでした。Photo Photo_2