海と緑とこどもたち HONDA ECOACT

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重要文化的景観「日根荘大木の農村景観」

2014-02-24 22:22:28 | 自然

 

2月23日、自然とは違うジャンルのシンポジウムに行ってきました。泉佐野市で開かれた「史跡日根荘遺跡土丸・雨山城跡追加指定および重要文化的景観日根荘大木の農村景観選定記念事業泉佐野市制65周年記念シンポジウム 日根荘を語る」という長いタイトルのシンポジウムです。先日この日根荘・大木地区に行ってきたのですが、日根荘の棚田や里山の景観を文化財の観点からはどうとらえているのか興味がありました。

 

重要文化的景観は文化財の1種類で「地域における人々の生活または生業および当該地域の風土により形成された景観地」というものだそうで、消滅の危機に瀕する棚田をはじめとする農地の役割を見直し、その再生への人々の強い思いと地道な取り組みを踏まえて制定されたものということです。まさしく里山里地保全のための制度です。(写真はこの講演会で配られたパンフレット表紙)

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文化財ですから景観といっても歴史や人文的な意義が重要視されるはずですが、建物はほとんど昭和から平成のもの、植生もしかりです。しかし、土地利用は江戸時代からほとんど変わっておらず、また地形や地形に制約を受ける水路もほぼ昔のままで、ここは中世が読み取れる。しかし、そういう土地によって地元の人々は生活しているわけで、そこといかに調和させるかも大事な点です。歴史は重層的なものだから、その前提で物事を考えようという姿勢で担当者はあたっているようです。このあたり、かなり知恵を絞って考えているなと感じました。ジャンルは違いますが、自然分野にとっても参考になることがありそうです。

 

ということですから、重要文化的景観選定のための文化庁審議会の答申文では次のように表現されています。「・・日根荘大木の農村景観は、中世における摂関家の荘園に起源をもち、和泉山脈における盆地の地形とも調和し、当時の土地利用の在り方を継承しつつ、近世から現代にかけて緩やかに進化を遂げた農村の文化的景観であり・・・」

 

なお、自然についても大阪府大で調査しているそうですから、そうした話も聞いてみたいと思いました。

 


久しぶりの服部緑地

2014-02-19 11:23:14 | 生態系サービスと生物多様性

 17日、久しぶりに服部緑地を訪ねてみました。ハシビロガモのたくさんいる池を教えてくださいと尋ねたら、いろんな情報が来まして、その中に服部緑地もあったので行ってみたんですが、結果からいうとハシビロガモはウズワ池でワンペアのみでした。もはや移動の季節に入ってきているのかもしれません。
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 ウズワ池で見たのは、カルガモ11、ハシビロガモ2(♂♀)、カワウ1、マガモ6(♂3♀3)、ホシハジロ6、オオバン1、カイツブリ1、キンクロハジロ♀1、ヨシガモ?1でした。

 また、岸辺の樹木にヤマガラ、エナガ、シジュウカラ、ジョウビタキ、イカルなどが来ていました。イカルはこの後、菰ケ池のほとりでも見ました。なお、菰ケ池には釣り人が多く、水鳥はみあたりませんでした。

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菰ヶ池

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 菰池からグランドを越えて山ケ池に行きました。ここはヨシやハスの群落があります。岸辺にウッドデッキもあり、鳥に餌をやる人もいるようです。久しぶりにオナガガモを見ました。
 この池で見た鳥は、マガモ7、オオバン12、オカヨシガモ3、オナガガモ20、ヨシガモ3、バン1、ヒドリガモ11、コガモ1でした。

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日本庭園の池ではカルガモがひっくりかえって餌をあさっていました。
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菰ヶ池のそばには、服部緑地自然を育てる会が子ども達といきものとのふれあいの場を作っている場所がありました。ここは、2001年ごろにここができるきっかけになったワークショップにかかわっていましたので、懐かしい場所です。

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樫井川水系歩き+補足

2014-02-09 19:00:54 | 生態系サービスと生物多様性

 先日樫井川水系とその水路を歩きましたが、大井関からの井川が到達する十二谷池には行ったものの、それより東側にある大池などのため池群は行きませんでした。これらの池はおそらく樫井川上流の大池隧道から水が来ているようなのですが、それだとたぶん水鳥などもあまりいないだろうと予想していました。気になるので、ふと思い立って行ってみました。
 やはり水鳥はあまりたくさんいませんでした。
 今回巡った池の配置図は末尾に掲示しました。

 まず、大井関より上流の土丸までバスで行き、ここから北へ歩き大池へ向かいます。そのあたりに大池隧道の出口もあるのではないかと予想しています。
 土丸でまずであったのは北側から流れてくる水路でした。
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 どうやら大池隧道を通って雨山の北に流れた水の一部が土丸から樫井川に戻っているらしい。水路をたどると会所がありました。左側の赤いフェンスで囲まれたものです。しかし、ここと大池隧道の取水口を結んだ線上には鳥八尾池があり、おそらく大池隧道は鳥八尾池またはその上の小池に入ってからここにきているのではないかと思います。しかし、鳥八尾池には近づくことができないためそのあたりは不明です。
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 この会所から大池に向かって流れているはずですが、残念ながら暗渠化しており、はっきりとはわかりません。
 さて、大池です。
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 上の写真の右手をズームすると水の入り口らしきものが見えます。
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 大池には古図があり、水路網はだいたい予想通りでした。
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 大池の横にはこんなものもありました。京大原子炉実験所のそばなので放射線モニターです。
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 この日は前日の雪で和泉山系の高いところは雪景色でした。
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 全体に鳥は少なめでした。
一番多かったのは大池の下の小さな池で、ここではコガモ15、オオバン10、ダイサギ?1がいました。オオバンとコガモの組み合わせというのが気になります。この池は写真のとおりヨシがありますが、沈水植物もあるのかも?
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 ほかは、大池キンクロハジロ3、マガモ12、木の上にカワウ10~20、尼津池カワウ1、郷ノ池カイツブリ3、ホシハジロ2といったレベルです。池の配置図を示します。矢印は水の経路です。
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 最後に十二谷池の手前から落ちる水です。いま十二谷池は満水なので池に入らずに水路に戻っているのです。
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樫井川水系歩き

2014-02-05 11:43:18 | 生態系サービスと生物多様性

 2月2日、大阪南部泉佐野市を流れる樫井川水系の川と水路を歩いてきました。
 JR日根野駅前から犬鳴山行きのバスに乗り、上大木下車。上大木から日根野にかけては九条家の経営していた荘園の跡で、比較的資料が残っているため、荘園研究では有名な場所のようです。泉佐野市の歴史博物館ではメインの展示です。
 今回訪ねた場所の略図です。
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 上大木の上流は犬鳴山で、このあたりの河底は和泉層群の泥岩砂岩互層です。
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 上大木は日根野荘の一番上流部にあたり、火走神社などの史跡もありますが、それはスルー。立派な大木小学校を横目に樫井川沿いに下ります。棚田景色から離れ、渓谷沿いの道を進み、雨山と対面する位置に老人施設があります。そこに井関があり、トンネルの入口が見えます。近くにあった完成記念碑によると昭和26年12月に完成したものらしく。雨山の直下をくりぬいて北側の大池に導水しているようです。これは現地にきてはじめてわかったもので大きな発見でした。

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このあたりは渓谷らしい雰囲気のあるところで、久しぶりにカワガラスを見ました。
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対面の雨山も迫力です。岩場がたくさんありますが、ハヤブサのいそうな棚はみつかりませんでした。雨山は南北朝のころの城跡です。

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山中にタマミズキと思われる木があります。
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 さらに降ると雨山と樫井川をはさんで対面する小富士山のふもと水呑地蔵に至ります。道路東側樫井川のほとりには関空道路建設で移築された泉佐野市の文化財でもある旧向井家住宅があります。
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 中を見学しました。また、野菜などの販売もあり、おばあちゃんが作ったという羊羹を買いました。なお、昔の萱場は机場というところにあったらしいです。
 このあと樫井川は土丸集落の手前で西に向きを変えます。土丸集落の背後が分水嶺になっているのです。写真はキセキレイ。
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やがて井関が見えてきます。ここから井川と呼ばれる用水路が北へ流れ、田んぼを潤すのです。
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 しかし、水はほとんど井川に流れるため、日根神社の横のろじ渓は枯れた川になっています。
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 日根神社は大井関に建てられた古社です。何年ぶりかで訪れてみると実に立派なお社でした。境内を井川が流れ、本殿横には禊場?が作られています。

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日根神社の北隣には慈眼院という大日如来の祭られたお寺があります。お庭の苔がきれいですが、神社側からの入口は閉じられていました。水路は慈眼院の中を通り抜け、庭園の一部になっています。

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樫井川を離れ、井川に沿って歩きます。慈眼院から北へ道路をわたると、井川は風情のある集落の中を通り抜けていきます。
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やがて、井川は田んぼの中を通り抜けていきます。途中で水の中をのぞくと、カワニナやシジミの殻がありました。カワニナはずいぶん小粒でしたが、水質的には川の水とあまり変わっていないのだろうと思います。
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農地ではケリが舞っていました。また、イソヒヨドリも見ました。なお、イソヒヨドリは大木でも見ました。

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十二谷池に近付くにつれ、井川の中に野菜くずなどをみかけるようになり、とうとう十二谷池手前でそれまでみかけなかったスクミリンゴ貝の卵塊も現れました。

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十二谷池に導水する入口です。ここでせき止めて水位を上げ、池に送ります。

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十二谷池 ここが井川のゴールのひとつです。

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 泉佐野市と熊取町の間にあるため池群の水がどこから来るのか前から謎でしたが、大井関からの井川が十二谷池というかなり下手の池に送られていることから、十二谷池より上の池のほとんどは樫井川上流から大池隧道を通して入ってきているようです。つまりこれらの大型ため池群は川の水がそのまま入っているようです。
 「川の水がそのまま入っている池というのはあまり野鳥は期待できない」というのが今までの実感です。手賀沼では河川水を大量に導入して栄養分を薄めているのでプランクトンの発生が抑えられ、ハシビロガモのようなプランクトンを好むカモが減っているらしいです。今回ため池にはほとんど行きませんでしたが、十二谷池でもオオバンを一羽ほどみただけで、大池などにもあまりいないのではないかと予想しています。わかりませんが、また機会を設けて確かめに行ってみようと思います。