10月4日(土)、11日(土)の2回にわたり、岩崎拓さん(CB大阪)の指導により、自然のみかた研究会の行事「カマキリマーキング調査」を行いました。
たとえば自然の変化を説明するときに「昆虫が減った、増えた」ということがありますが、感覚でものを言っていることが多々あると思います。明確な数値で表すことができれば説得力がありますが、そんなときに利用されるのが今回行った「マーキング個体の再捕獲による個体数推定」です。今回は岩崎さんのフィールドのひとつである石川で、オオカマキリを対象に行いました。
フィールドは河川敷のクズが優占する環境(写真)です。第1回(4日)は、ここを参加者が歩き回り、オオカマキリをみつけたら、前翅にマーキング(番号を記入)しました。この日は全部で20個体にマーキングしました。
第2回(11日)も同じ範囲を歩きながらマーキング個体をみつけるとともに、新たに見つかったノーマークの個体は、その後で放しますので、間違って重複記録することがないように続きの番号をマーキングしました。その結果この日は36個体が捕獲され、そのうち、4個体が再捕獲個体でした。写真は再捕獲された13番の個体です。
ここで、数式です。説明は生態学の教科書に譲ることにして、調査範囲全体の個体数をNとすると、20/N=4/36で計算した値が調査範囲内の推定個体数です。これによりN=180という数値が出ました。調査範囲の面積はおよそ3300平方メートルですので、密度は約5.5/100平方メートルとなりました。
この数値は移出入や死亡新生がないと仮定したうえでの数値ですので、おおよその目安となります。
ある場所にいる生物の絶対数を調べることは容易ではありませんので、こうした推定法が使われるわけです。すべての生物に使えるというわけではありませんが、自然保護のひとつの指標として市民活動の中でもっと普及してよいのではないかと思います。また、マーキング法自体は個体の移動を調べるなど生活を調べるためにも利用できます。
カマキリマーキングとあわせて、寄生するヤドリバエの産卵の有無や、同じくハリガネムシの有無などもみてみました。写真のオオカマキリのむね、おなかについている白い点がヤドリバエの卵です。オオカマキリからはハリガネムシは出てきませんでしたが、ハラビロカマキリからは11個体というたくさんのハリガネムシが出てきました。すごい情景ですが、これは岩崎さんが見たうちではもっとも多い記録ということです。昆虫界のハンターもいろいろと外敵が多いのです。
最後の写真はウラナミシジミです。こうした環境では比較的目にするシジミの仲間だそうです。