礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

昭和24年(1949)の「作詞、作曲家名鑑」

2013-02-04 07:44:07 | 日記

◎昭和24年(1949)の「作詞、作曲家名鑑」

 昨日の続編である。雑誌『ロマンス』第四巻第一二号(一九四九年一二月)の付録『最新流行歌謡大全集』の巻末に、「作詞、作曲家名鑑」というものがついていた。当時活躍していた作詞家・作曲家についてのデータである。
 データとしては、住所、年齢、本名、作詞家・作曲家の別、主な作品、趣味、所属レコード会社などが挙げられていたが、年齢・趣味が抜けている場合もあった。
 ここでは、各人について、その氏名(年齢)、作詞家・作曲家の別、主な作品、趣味、所属レコード会社を紹介してみたい。「主な作品」は、挙げられていたものすべてを紹介した。
 順番は、同書記載の順番の通り。

東 辰三(五〇) 作曲家。「港が見える丘」「君待てども」「涙の乾杯」。趣味は美術。現在はびクター専属。
飯田信夫(四八) 作曲家。「紫のタンゴ」。山田耕筰に師事。ビクター専属。
飯里景應(三四) 作曲家。「泣き笑いの人生」「波止場気質」「君呼ぶギター」。ポリドール専属。
飯田三郎(二八) 作曲家。「啼くな小鳩よ」「小鳩は蹄けど」「心の小鳩」「愛染草」〈アイゼンソウ〉。キング専属。
上原げんと(三六) 作曲家。「上海の花売娘」「東京の花売娘」「薔薇を召しませ」。趣味は映画。キング。
江口夜詩〈エグチ・ヨシ〉(四七) 作曲家。「哀しき口笛」「憧れのハワイ航路」「長崎のザボン売り」「東京の空青い空」。キングで活躍。
大村能章(五八) 作曲家。「野崎小唄」「小判鮫」「旅笠街道」。キング専属。
大高ひさを(三四) 作詞家。「君忘れじのブルース」「玄海ブルース」「花唄街道」。テイチク専属。
大久保徳二郎 作曲家。「上海ブルース」「夜霧のブルース」「長崎エレジー」「あんな女と誰が言う」。テイチク専属。
門田ゆたか(三四) 作詞家。「東京ラプソデイ」「夜のタンゴ」「東京の花売娘」「今宵別れて」。趣昧は釣。コロムビア専属。
倉若春生(三九) 作曲家。「旅のつばくろ」「わかれ船」「かえり船」「とまり船」。江口夜詩氏に師事。現在はテイチク専属。
古賀政男(四七) 作曲家。「影を慕いて」「酒は涙か溜息か」「二人は若い」「丘を越えて」「湯の町エレジー」「湯の町夜曲」。趣昧は、絵画、テニス。現在コロムビア専属。
古関裕而(四二) 作曲家。「船頭可愛いや」「三日月娘」「鐘の鳴る丘」「フランチェスカの鐘」。コロムビア専属。
西條八十(五九) 詩人・作詞家。「東京行進曲」「東京音頭」「愛染かつら」「麗人の歌」「青い山脈」。コロムビア。
佐々木俊一(四〇) 作曲家。「涙の渡り鳥」「島の娘」「長崎物語」「きらめく星座」「月よりの使者」。現在はビクター専属。
サトウ・ハチロー(四八) 詩人・ユーモア作家・作詞家。「めんない千鳥」「リンゴの唄」「ホームランブギ」「長崎の鐘」。コロムビア専属。
佐伯孝夫(四九) 作詞家。「堪太郎月夜唄」「今日われ恋愛す」「月よりの使者」「銀座カンカン娘」。西條八十氏に師事。現在はビクター専属。
清水みのる 作詞家。「旅のつばくろ」「出船の唄」「別れ船」「帰り船」「星の流れに」。テイチク専属。趣味は俳句。
時雨音羽 作詞家。「出船の唄」「鉾をおさめて」「上海の踊り子」。キング専属。趣味は写真。
清水保雄(四一) 作曲家。「勘太郎月夜唄」「湯島の白梅」「今日われ恋愛す」。古賀政男氏に師事。
島田磬也(四一) 作詞家。「湖底の故郷」「夜霧のブルース」「長崎エレジー」。趣味は朗詠、映画、旅行。現在テイチクに属している。
高橋掬太郎(五〇) 作詞家。「酒は涙か溜息か」「片瀬波」「並木の雨」「男の涙」「啼くな小鳩よ」「愛染草」。趣味は麻雀、旅行。キングに属す。
利根一郎 作曲家。「虹の都」「星の流れに」「アメリカ通いの白い船」「星影の小径」。趣味は酒。キング専属。
中山晋平(六四) 作曲家。「波浮の港」〈ハブノミナト〉「銀座の柳」「東京音頭」「出船の港」「砂山」「まんまる音頭」「証城寺の狸囃子」〈ショウジョウジノタヌキバヤシ〉。ビクター専属。
長津義司 作曲家。「一三夜」「君忘れじのブルース」「玄海ブルース」。テイチク専属。
野村俊夫(四七) 作詞家。「上海夜曲」「東京のバラ」「湯の町夜曲」「シベリヤエレジー」「湯の町エレジー」。
服部良一(四四) 作曲家。「別れのブルース」「蘇州夜曲」「雨のブルース」「東京ブギ」「銀座カンカン娘」「嘆きのルンバ」「青い山脈」「貴方とならば」「ホームランブギ」「東京の屋根の下」「セコハン娘」メッテル氏〔亡命ウクライナ人〕に師事。
服部逸郎(四四) 作曲家。「忠治子守唄」「親鸞道中」「さよならワルツ」「ウラルを越えて」「恋の三度笠」。釣が趣味。コロムビア。
弘田龍太郎(五九) 作曲家。「浜千鳥」「叱られて」「雀の学校」「お山のお猿」「靴が鳴る」コロムビア専属。
平川英夫(四五) 作曲家。「星のささやき」「愛の散歩」「恋のマドロス」。服部良一氏に師事。コロムビア。
藤田正人(四三) 作詞家。「妻恋道中」「唐人お吉」「折鶴道中」「どぶろくの辰」「私は泣かない」。趣味は旅行。テイチク専属。
藤浦 洸(五三) 作詞家。「別れのブルース」「一杯のコーヒーから」「貴方とならば」「別れのタンゴ」「しのび泣くブルース」「懐しのブルース」「毒ばらの歌」。コロムビア専属。
松村又一〈マツムラ・マタイチ〉 作詞家。「想い出のブルース」「麗人草の歌」「みんなの象さん」「生さぬ仲」〈ナサヌナカ〉。趣味は旅行。キング専属。
万城目 正 松竹大船音楽部長、またコロムビア専属の作曲家。「旅の夜風」「愛染夜曲」「純情二重奏」「リンゴの唄」「燃える瞳」「しのび泣くブルース」「懐しのブルース」「別れのタンゴ」「恋の十三夜」。
八洲秀章 作曲家。「高原の旅愁」「さくら貝の歌」「港に紅い灯がともる」。コロムビア専属。
山田栄一 作曲家。「国境の町」「隅田川」「母恋星」。ラジオの「世界の音楽」の編曲も。。趣昧は、碁、麻雀。テイチク専属。
吉川静夫(三九) 作詞家。「青春のパラダイス」「流れの旅路」「流れの船唄」。剣道五段の猛者〈モサ〉。支那饅頭が大好きである。ビクター。

今日のクイズ 2013・2・4

◎レコード会社「テイチク」の、正式な社名(昭和24年当時)を次のうちから選んでください。

1 テイチク音響株式会社  
2 帝蓄工業株式会社
3 帝国蓄音機株式会社

【昨日のクイズの正解】 3 灰田勝彦 ■灰田勝彦は、ハワイで生まれたが、父親の納骨のために家族で帰国したあと、関東大震災の混乱で所持品を盗まれ、ハワイに戻れなくなったという(ウィキペディアによる)。

今日の名言 2013・2・3

◎東京の空青い空 あこがれの夢が呼ぶ

 石本美由起作詞・江口夜詩作曲の「東京の空青い空」の一部。唄は、岡春夫。

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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2013-02-06 09:57:34
 一杯のコーヒーからを作曲したのは服部良一ですね?彼は、昔新聞配達をしていたそうでありますが、その新聞がなんと、大本教が買収した大正日日新聞だったのであります。それから服部は璽光尊のシンパでもありました。璽光尊も元々大本教信者でありますから、やはり両者をひきつけたものは大本教であると考えざるを得ません。―別冊太陽『茶室』のコラムより
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